(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026115785
(43)【公開日】2026-07-09
(54)【発明の名称】無機化合物粒子製造装置
(51)【国際特許分類】
B01D 9/02 20060101AFI20260702BHJP
B01F 33/30 20220101ALI20260702BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20260702BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20260702BHJP
C01F 7/54 20060101ALN20260702BHJP
【FI】
B01D9/02 602E
B01F33/30
B01F23/45
B01D9/02 601B
B01D9/02 605
B01D9/02 608B
B01D9/02 620
B01D9/02 625Z
B01D9/02 625D
B01D9/02 625E
B01J19/00 N
C01F7/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024232721
(22)【出願日】2024-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真之介
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
(72)【発明者】
【氏名】李 ヨン信
【テーマコード(参考)】
4G035
4G036
4G075
4G076
【Fターム(参考)】
4G035AB37
4G035AE02
4G035AE13
4G036AC70
4G075AA27
4G075AA61
4G075BA10
4G075BB03
4G075BB05
4G075DA02
4G075EB50
4G076AA05
4G076AA18
4G076AB04
4G076BA11
4G076BA13
4G076BB06
4G076BC08
4G076BD06
4G076BE11
4G076BH01
4G076CA02
4G076CA15
4G076CA26
(57)【要約】
【課題】粒径がnm単位の無機化合物粒子を製造できる無機化合物粒子製造装置を提供する。
【解決手段】無機化合物製造装置は、第一溶液と第二溶液とを供給する第1原料供給部と、第1原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第1混合器を有する第1混合部と、第一溶液と第二溶液とを供給する第2原料供給部と、第1混合部の下流側で、第一溶液と第二溶液との混合溶液に、第2原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第2混合部と、を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一溶液と第二溶液とを供給する第1原料供給部と、
前記第1原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第1混合器を有する第1混合部と、
第一溶液と第二溶液とを供給する第2原料供給部と、
前記第1混合部の下流側で、前記第一溶液と前記第二溶液との混合溶液に、前記第2原料供給部から供給される前記第一溶液と前記第二溶液とを混合する第2混合部と、
を備える、無機化合物粒子製造装置。
【請求項2】
前記第2原料供給部は、前記第一溶液と前記第二溶液とを別々に前記第2混合部に供給する、請求項1に記載の無機化合物粒子製造装置。
【請求項3】
前記第2混合部は、
前記第1混合部の下流側で、前記第2原料供給部からの前記第一溶液を混合する第2混合器と、
前記第2混合器の下流側で、前記第2原料供給部からの前記第二溶液を混合する第3混合器と、
を含む、請求項2に記載の無機化合物粒子製造装置。
【請求項4】
前記第2原料供給部は、前記第一溶液と前記第二溶液とを飽和濃度以下となるように混合した混合溶液を前記第2混合部に供給する、請求項1に記載の無機化合物粒子製造装置。
【請求項5】
前記第2混合部の下流側で、前記第一溶液と前記第二溶液との反応で生成し析出した無機化合物粒子の平均粒径を検出する検出評価部と、
前記検出評価部で検出した前記無機化合物粒子の平均粒径に基づいて、前記第1原料供給部及び/又は前記第2原料供給部から供給する前記第一溶液及び/又は前記第二溶液の濃度又は供給量を変化させる制御部と、
をさらに備える、請求項1から4に記載の無機化合物粒子製造装置。
【請求項6】
前記第一溶液は、フッ素及びアルカリ金属元素を含む第一化合物が溶解した溶液であり、
前記第二溶液は、アルカリ土類金属元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素を含む第二化合物が溶解した溶液であり、
前記無機化合物粒子は、複フッ化物複合体粒子である、請求項1から4に記載の無機化合物粒子製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ流路を用いた無機化合物粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機化合物粒子は、様々な用途に用いられており、用途に応じて所望の粒径の無機化合物粒子を得るために、様々な製造方法で作製されている。例えば、結晶性化合物を晶析させる反応槽と、大粒径側の結晶と小粒径側の結晶とに沈降分離により分級する沈降分離機と、濾過して濃縮するろ過器とを含む結晶製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記結晶製造装置では、粒径が数μm単位の粒子の分級操作は困難であり、10μm以上の粒径の粒子に実質的に限定され、さらに小さい粒径がnm単位の無機化合物粒子を得ることはできなかった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、粒径がnm単位の無機化合物粒子を製造できる無機化合物粒子の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る無機化合物製造装置は、第一溶液と第二溶液とを供給する第1原料供給部と、第1原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第1混合器を有する第1混合部と、第一溶液と第二溶液とを供給する第2原料供給部と、第1混合部の下流側で、第一溶液と第二溶液との混合溶液に、第2原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第2混合部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る無機化合物粒子製造装置によれば、粒径がnm単位の無機化合物粒子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置の構成を示す概略図である。
【
図1B】
図1の第3混合器での追加の第二溶液が供給される前後の無機化合物粒子の粒径変化を示す概略図である。
【
図1C】実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置によって得られる無機化合物粒子の粒径分布と粒径制御の範囲を示す概略図である。
【
図2】
図1Aの無機化合物粒子製造装置を用いた実施例1から6、比較例1から3の無機化合物粒子の製造条件及び得られた無機化合物粒子の特性を示す表1である。
【
図3】実施の形態2に係る無機化合物粒子製造装置の構成を示す概略図である。
【
図4】
図3の無機化合物粒子製造装置を用いた実施例7から10、比較例4から5の無機化合物粒子の製造条件及び得られた無機化合物粒子の特性を示す表2である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の態様に係る無機化合物製造装置は、第一溶液と第二溶液とを供給する第1原料供給部と、第1原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第1混合器を有する第1混合部と、第一溶液と第二溶液とを供給する第2原料供給部と、第1混合部の下流側で、第一溶液と第二溶液との混合溶液に、第2原料供給部から供給される第一溶液と第二溶液とを混合する第2混合部と、を備える。
【0010】
第2の態様に係る無機化合物製造装置は、上記第1の態様において、第2原料供給部は、第一溶液と第二溶液とを別々に第2混合部に供給してもよい。
【0011】
第3の態様に係る無機化合物製造装置は、上記第2の態様において、第2混合部は、第1混合部の下流側で、第2原料供給部からの第一溶液を混合する第2混合器と、第2混合器の下流側で、第2原料供給部からの第二溶液を混合する第3混合器と、を含んでもよい。
【0012】
第4の態様に係る無機化合物製造装置は、上記第1の態様において、第2原料供給部は、第一溶液と第二溶液とを飽和濃度以下となるように混合した混合溶液を第2混合部に供給してもよい。
【0013】
第5の態様に係る無機化合物製造装置は、上記第1から第4の態様において、第2混合部の下流側で、第一溶液と第二溶液との反応で生成し析出した無機化合物粒子の平均粒径を検出する検出評価部と、検出評価部で検出した無機化合物粒子の平均粒径に基づいて、第1原料供給部及び/又は第2原料供給部から供給する第一溶液及び/又は第二溶液の濃度又は供給量を変化させる制御部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
第6の態様に係る無機化合物製造装置は、上記第1から第4の態様において、第一溶液は、フッ素及びアルカリ金属元素を含む第一化合物が溶解した第一溶液であり、第二溶液は、アルカリ土類金属元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素を含む第二化合物が溶解した第二溶液であり、無機化合物粒子は、複フッ化物複合体粒子であってもよい。
【0015】
以下、本開示の実施の形態に係る無機化合物粒子製造装置について、添付図面を参照しながら説明する。但し、この実施の形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対位置などは特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0016】
(実施の形態1)
図1Aは、実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置100の構成を示す概略図である。
実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置100は、第一溶液と第二溶液とを供給する第1原料供給部10と、第一溶液と第二溶液とを混合する第1混合部(第1混合器)20と、第一溶液と第二溶液とを供給する第2原料供給部30と、第1混合部20の下流側で、混合溶液に、第一溶液と第二溶液とを混合する第2混合部40と、を備える。
この無機化合物粒子製造装置100によれば、第1混合部20の下流側で、さらに第2混合部40を備える。これによって、第1混合部20で生成した無機化合物粒子の粒径分布を狭いままで平均粒径を大きくすることができ、粒径nmサイズからμmサイズまで粒径制御ができる。
【0017】
以下に、この無機化合物粒子製造装置100を構成する各部材について説明する。
【0018】
<第1原料供給部>
第1原料供給部10は、第一溶液12と第二溶液13とを第1混合部20に供給する。第一溶液12と第二溶液13とは、例えば、第1送液部14及び第2送液部15から第1流路1及び第2流路2を介してそれぞれ供給される。なお、第1原料供給部10によって供給する第一溶液12及び第二溶液13は、合わせて第1原料群11と称する場合がある。
<送液部>
第1送液部14及び第2送液部15は、それぞれ第一溶液12及び第二溶液13を送液することが出来ればよく、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、モーノポンプやピエゾポンプなどの送液装置で構成される。
【0019】
<流路>
第1流路1及び第2流路2の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、石英、セラミックス、シリコン等の無機材料、又は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂類材料を用いることができる。第1流路1及び第2流路2の内径は、例えば、0.1mm以上、1.59mm以下であるが、これに限られない。
図1Aにおいて、第1送液部14及び第2送液部15から連通するそれぞれの第1流路1及び第2流路2には、それぞれ、第一溶液12及び第二溶液13を送液する。例えば、第1流路1には、アルカリ金属フッ化物である第一化合物の第一溶液12を送液し、第2流路にはアルカリ金属フッ化物とは異なる金属元素を有する第二化合物の第二溶液13を送液する。
【0020】
<第一溶液>
第一溶液12は、例えば、アルカリ金属フッ化物である第一化合物の溶液である。第一化合物に含まれるアルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムなどが挙げられる。具体的には、第一化合物は、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム及びフッ化セシウムからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属元素を含んでいてもよい。
第1流路1では、第一溶液12が過飽和状態にならない濃度で送液する。これによって、第1流路1内で第一溶液12に含まれる第一化合物が析出しない。また、第一溶液12の濃度は、第1混合部20で第二溶液13と混合した際には第一溶液12と第二溶液13との混合溶液が過飽和状態となる濃度に設定しておく。具体的には、例えば、第一溶液12と第二溶液13との混合後に第一化合物の濃度が40mM以上、640mM以下となるように設定する。
なお、図では、第一溶液をタンク内に貯留しているが、これは例示であって、これに限定するものではない。
【0021】
<第二溶液>
第二溶液13は、アルカリ金属フッ化物とは異なる金属元素を有する第二化合物の溶液である。第二化合物は、金属塩化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、及び金属有機酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であって、金属フッ化物を除く金属塩を含んでいてもよい。第二化合物に含まれる金属元素は、アルカリ土類金属元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。第二化合物は、例えば、塩化アルミニウムを含んでいてもよい。
第2流路2では、第二溶液13が過飽和状態にならない濃度で送液する。これによって、第2流路2内で第二溶液13に含まれる第二化合物が析出しない。また、第二溶液13の濃度は、第1混合部20で第一溶液と混合した際には第一溶液12と第二溶液13との混合溶液が過飽和状態となる濃度に設定しておく。具体的には、例えば、第一溶液と第二溶液との混合後に第二化合物の濃度が第一化合物の濃度に対して20分の1以下となるように設定する。
なお、第1混合部20で混合する第一溶液と第二溶液とのそれぞれの濃度は、生成する無機化合物粒子について化学量論比で設定してもよいが、これに限られない。例えば、第一溶液又は第二溶液の一方の濃度を化学量論比から過剰又は不足に設定しておいてもよい。具体的には、第一溶液の濃度を化学量論比から不足に設定するか、又は、第二溶液の濃度を化学量論比から過剰に設定してもよい。このようにすることで、第2混合器41で第一溶液のみを混合した際に、すでに生成している無機化合物粒子の粒子成長を促すことができる。
なお、図では、第二溶液をタンク内に貯留しているが、これは例示であって、これに限定するものではない。
【0022】
<第1混合部(第1混合器)>
第1混合部20は、第1原料群11の第一溶液12と第二溶液13とを混合する第1混合器で構成される。第1流路1を送液された第一溶液12と、第2流路2を送液された第二溶液13とは第1混合器20で混合されて混合溶液となり、混合溶液は、第3流路3に送液される。混合溶液は過飽和状態であり、混合溶液では無機化合物粒子が生成し、析出する。
第1混合部(第1混合器)20は、複数の液体を混合することが出来ればよく、例えば、配管継手のユニオンティーやマニフォールド、溝や貫通孔などを施した平板に、複数の平板を貼り合わせたり、積層して固定したりすることにより作製したものなどの流路接続部材で構成される。具体的には、例えば、T字ミキサ、3方ジョイント等を用いて構成してもよい。
【0023】
<第2原料供給部>
第2原料供給部30は、第1混合部20の下流側の第2混合部40に第一溶液32と第二溶液33とを供給する。実施の形態1では、
図1Aに示すように、第一溶液32と第二溶液33とを別々に第2混合部40に供給する。第一溶液32と第二溶液33とは、例えば、第3送液部34及び第4送液部35から第4流路4及び第5流路5を介してそれぞれ供給される。なお、第2原料供給部30によって供給する第一溶液32及び第二溶液33は、合わせて第2原料群31と称する場合がある。
第2原料供給部30は、第1原料供給部10と同様に、第一溶液32と第二溶液33との濃度を設定することや、純水を供給してその濃度よりも低くすることができる。
【0024】
後述する検出評価部50及び制御部60によって、得られた無機化合物粒子の平均粒径を検出し、検出した平均粒径に基づいてフィードバック制御が行われる場合には、第1原料群11の第一溶液12及び第二溶液13及び/又は第2原料群31の第一溶液32及び第二溶液33の濃度又は供給量を変化させてもよい。例えば、すでに所望とする粒径以上の無機化合物粒子が生成している場合には、第1原料群11の第一溶液12及び/又は第二溶液13の濃度及び/又は流量を制御してもよい。生成した無機化合物粒子の粒径が所望の粒径に達していない場合には、第3送液部34及び/又は第4送液部35を制御して、第2原料群31の第一溶液32及び/又は第二溶液33の濃度及び/又は流量を変化させてもよい。
【0025】
<第2混合部>
図1Bは、
図1の第3混合器42での追加の第二溶液が供給される前後の無機化合物粒子の粒径変化を示す概略図である。
図1Cは、実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置100によって得られる無機化合物粒子の粒径分布と粒径制御の範囲を示す概略図である。
第2混合部40は、第1混合部20の下流側で、第1原料群11の第一溶液と第二溶液との混合溶液に、第2原料供給部30から供給される第2原料群31の第一溶液32と第二溶液33とを混合する。実施の形態1では、
図1Aに示すように、第一溶液32と第二溶液33とを別々に第2混合部40に順次供給する。この場合には、第2混合部40は、第一溶液32と第二溶液33とを順次混合する2つの第2混合器41及び第3混合器42で構成される。つまり、第2混合器41では、第一溶液のみが混合され、すでに生成している無機化合物粒子と追加された第一溶液との混合状態で第6流路6に送液される。この場合、新たな粒子の生成は生じない。第3混合器42では、第二溶液が混合される。この場合、無機化合物粒子と第一溶液との混合状態に第二溶液が追加されるので、第一溶液と第二溶液とによる新たな無機化合物粒子の生成と、すでに存在する無機化合物粒子の表面での粒子成長とのそれぞれの可能性がある。核生成が発生する過飽和度以下の場合、
図1Bに示すように、存在する無機化合物粒子の周囲に第一溶液32が分散しているので、無機化合物粒子の表面に、第一溶液32及び第二溶液34によって粒子成長させることができるものと考えられる。
また、この場合に、
図1Cに示すように、マイクロ流路による粒子成長であるので、粒径分布の狭い粒子を生成することができる。さらに、最初に生成した無機化合物粒子について、さらに狭い粒径分布を維持したまま、粒子成長させることができ、平均粒径をnm単位からμm単位に至る広い範囲の粒径で制御できる。
【0026】
なお、後述する実施の形態2では、第一溶液と第二溶液とを混合した混合溶液として第2混合部に供給する場合について説明している。この場合は、第2混合部は、一つの第2混合器で構成される。
第2混合器41又は第3混合器42は、上記第1混合器と同様の混合器を用いることができるが、これに限られず、別の混合器を用いてもよい。また、実施の形態1では第2混合部40を2つの混合器41、42で構成したが、これに限られない。例えば、3以上の混合器によって第2混合部を構成してもよい。この場合には、例えば、第一溶液及び/又は第二溶液を複数回に分けて混合してもよく、第一溶液と第二溶液とを交互に順次混合させるように構成してもよい。上記のように3以上の混合器を用いて、複数回の粒子成長を行うことで、より粒径分布を狭く保ったままで広い範囲にわたって平均粒径を制御できる。
【0027】
<検出評価部>
第一溶液と第二溶液との反応で生成し析出した無機化合物粒子の平均粒径を検出する検出評価部50を備えてもよい。なお、平均粒径は、例えば、粒径のヒストグラムから得られる粒度分布において累積頻度が50%の粒径として表されるメジアン径D50で示してもよい。この場合、検出評価部50は、無機化合物粒子の粒径のヒストグラムを得るものであってもよい。
【0028】
<制御部>
検出評価部50で検出した無機化合物粒子の平均粒径に基づいて、第1原料供給部10及び/又は第2原料供給部30から供給する第一溶液及び/又は第二溶液の濃度及び/又は供給量の供給条件を変化させる制御部60を備えてもよい。
例えば、すでに所望とする粒径以上の無機化合物粒子が生成している場合には、2段階で粒子成長させることから、第1原料群11における第一溶液12と第二溶液13の送液流量を制御してもよい。あるいは、所望とする粒径以上の無機化合物粒子が生成していない場合には、第2原料群31の送液流量を制御してもよい。
【0029】
<回収分離部>
第2混合部40及び必要に応じて設けられる検出評価部50の下流側に、得られた無機化合物粒子を回収する回収分離部(図示せず)を設けてもよい。回収分離部によって生成された無機化合物粒子が分離され、回収される。無機化合物粒子の分離は、例えば、溶液からの固液分離方法による。固液分離方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ろ過や遠心分離を利用することができる。
【0030】
第二化合物が金属塩化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属有機酸塩の場合、第一化合物と第二化合物との混合時に、無機化合物粒子に加え、アルカリ金属元素の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、金属有機酸塩が副生成物として生成する。そのため、副生成物を取り除く洗浄操作を実施してもよい。アルカリ金属化合物は、例えば、ろ過や遠心分離の操作時に水などのような溶媒で洗浄することによって取り除いてもよい。
【0031】
実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置によれば、粒径がnm単位の無機化合物粒子を製造でき、分級操作も不要であり、運転管理が簡易である。
【0032】
次に、得られる無機化合物粒子について例示する。
【0033】
<無機化合物粒子>
本実施の形態1に係る無機化合物粒子は、例えば、複フッ化物複合体粒子であってもよい。複フッ化物複合体は、アルカリ金属元素を含んでいてもよい。複フッ化物は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属元素を含んでいてもよい。
複フッ化物複合体は、フッ素、アルカリ金属元素、及び、アルカリ金属元素以外の追加金属元素を主成分として含んでいてもよい。追加金属元素は、アルカリ土類金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含んでいてもよい。追加金属元素は、具体的には、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含んでいてもよい。これらの金属元素を含有する複フッ化物は、例えば加圧加熱法により成形体を容易に製造することができる。なお、ここでいう主成分とは、複フッ化物に含まれるフッ素、アルカリ金属元素及び追加金属元素の合計含有量がモル比で80%以上であることを意味する。上記合計含有量は85%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよく、100%であってもよい。
【0034】
複フッ化物複合体は、具体的には、A3AlF6及びABF3の少なくともいずれか一方を含んでいてもよい(ここで、上記組成式中、Aは上述した一種以上のアルカリ金属元素、Bは上述した一種以上のアルカリ土類金属元素を表す)。A3AlF6は、例えば、Li3AlF6、Li2NaAlF6、Li2KAlF6、Na3AlF6、Na2LiAlF6、Na2KAlF6、K3AlF6、K2LiAlF6及びK2NaAlF6からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。ABF3は、例えば、LiMgF3、NaMgF3、KMgF3、LiCaF3、NaCaF3及びKCaF3からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。複フッ化物複合体は、より具体的には、Na3AlF6及びNaMgF3からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0035】
複フッ化物複合体は、フッ素、アルカリ金属元素及びアルミニウムを主成分として含んでいてもよい。なお、ここでいう主成分とは、複フッ化物に含まれるフッ素、アルカリ金属元素及びアルミニウムの合計含有量がモル比で80%以上であることを意味する。上記合計含有量は85%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよく、100%であってもよい。
【0036】
複フッ化物複合体は、その構成アニオンの一部を水酸化物イオン、酸化物イオンによって置換されていてもよい。例えば、液相合成した複フッ化物の場合、複フッ化物イオンの一部が水酸化物イオン及び酸化物イオンの少なくともいずれか一方によって置換されている場合がある。
【0037】
(実施例1-6、比較例1-4)
以下に、実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置を用いて、無機化合物粒子として、複フッ化物であるヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム(Na3AlF6)を製造した実施例及び比較例について述べる。
【0038】
(実施例1)
本実施例1において、第1原料供給部の送液部としてプランジャーポンプを2台用いて、2種類の化合物溶液をそれぞれ送液した。ここで、無機化合物粒子としてNa3AlF6を合成するための化合物溶液として、第一化合物であるフッ化ナトリウムを48mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物である塩化アルミニウム六水和物を40mMで超純水に溶解させた第二溶液とをそれぞれ準備した。そして、第一溶液に対する第二溶液の流量比を1/5に設定し、混合された溶液の流量が10mL/min(第一溶液の流量:第二溶液の流量=5:1)になるように各プランジャーポンプの設定流量を調節した。上記流量の場合、二液混合後の混合溶液における第一化合物の濃度は40mMとなる。
第一溶液及び第二溶液の第1混合器として、T字ミキサ(SUS316材質、内径0.5mm)を利用した。
【0039】
第2原料供給部の送液部にもプランジャーポンプ2台を使用した。なお,第2原料供給部からは、第一化合物であるフッ化ナトリウムを48mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物である塩化アルミニウム六水和物を40mMで溶解させた第二溶液を供給する。このとき、第一溶液に対する第二溶液の流量比は1/5(第一溶液の流量:第二溶液の流量=5:1)であり、仮に第二溶液のみを混合した場合の流量は10mL/minとなり、その混合溶液における第一化合物の濃度は40mMとなる。
第一溶液と第二溶液とを順次混合する場合にも第2混合部40の第2混合器41及び第3混合器42としてT字ミキサ(SUS316材質、内径0.5mm)を利用した。
第2混合部40の第3混合器42にて混合された溶液は,下流に設けられた粒子検出部(粒径評価部)を通過し、粒径が評価された。実施例1では狙いの平均粒径(D50)を10μmと設定し、制御部にてフィードバック制御を行って、送液流量を調整した。
【0040】
(実施例2)
実施例2では、第一原料群として、第一化合物を768mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物を640mMで超純水に溶解させた第二溶液とを用いた以外は,実施例1と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。なお、第一原料群の第一溶液と第二溶液とを混合した溶液における第一化合物の濃度は640mMとなる。また、実施例2では狙いの粒径を250nmと設定した。
【0041】
(実施例3)
実施例3では、フィードバック制御を行わない以外、実施例1と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0042】
(実施例4)
実施例4では、フィードバック制御を行わない以外、実施例2と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0043】
(実施例5)
実施例5では、第一原料群として、第一化合物を192mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物を160mMで超純水に溶解させた第二溶液とを用いた以外は,実施例1と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。なお、第一原料群の第一溶液と第二溶液とを混合した溶液における第一化合物の濃度は160mMとなる。また、実施例5では狙いの粒径を500nmと設定した。
【0044】
(実施例6)
実施例6では、フィードバック制御を行わない以外、実施例5と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0045】
(比較例1)
比較例1では、フィードバック制御を行わず、第二原料群を用いない以外、実施例1と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0046】
(比較例2)
比較例2では、フィードバック制御を行わず、第二原料群を用いない以外、実施例2と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0047】
(比較例3)
比較例3では、フィードバック制御を行わず,第二原料群を用いない以外、実施例5と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0048】
(評価)
粒径評価値(平均粒径)が狙いの設定粒径に対して5%以内の場合◎、5~10%以内の場合〇、それ以外の場合を×とした。
【0049】
図2は、
図1Aの無機化合物粒子製造装置を用いた実施例1から6、比較例1から3の無機化合物粒子の製造条件及び得られた無機化合物粒子の特性を示す表1である。
【0050】
図2の表1に示すように、第1混合部に加えて第2混合部を有する無機化合物粒子製造装置を用いた実施例1から6の場合には、狙いの平均粒径に誤差範囲で到達することができたことがわかる。これに対して、第2混合部を設けない無機化合物粒子製造装置を用いた比較例1から3の場合には、狙いの平均粒径に誤差範囲で到達することができなかった。
【0051】
また、実施例1、2、5と実施例3、4、6とを対比すると、検出評価部及び制御部を用いたフィードバック制御を行った場合のほうが、狙いの平均粒径に対して得られた粒子の平均粒径が誤差を考慮してより近く、収率も高いことがわかる。
【0052】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る無機化合物粒子製造装置100aの構成を示す概略図である。
実施の形態2に係る無機化合物粒子製造装置100aは、実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置と対比すると、
図3に示すように、第1原料供給部30において、第一溶液と第二溶液とを混合した混合溶液36として供給され、第2混合部40aが一つの第2混合器41で構成され、生成した無機化合物粒子を含む溶液に混合溶液が混合される点で相違する。その他の構成については実施の形態1に係る無機化合物粒子製造装置と実質的に同様である。この場合には、第2混合部40aに供給する前の混合溶液36の段階で無機化合物粒子が析出しないように飽和濃度未満となるように第一溶液の濃度と第二溶液との濃度が設定される。
これによって、第2混合部40aを一つの第2混合器41で構成できるので、小型化できる。また、送液部の脈動による製造の不安定さを低減させることができる。
【0053】
(実施例7-10及び比較例4-5)
以下に、実施の形態2に係る無機化合物粒子製造装置を用いて、無機化合物粒子として、複フッ化物であるヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム(Na3AlF6)を製造した実施例及び比較例について述べる。
【0054】
(実施例7)
本実施例7において、第一原料群の送液部としてプランジャーポンプを2台用いて、2種類の化合物溶液をそれぞれ送液した。ここで、Na3AlF6を合成するための化合物溶液として、第一化合物であるフッ化ナトリウムを48mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物である塩化アルミニウム六水和物を40mMで超純水に溶解させた第二溶液とをそれぞれ準備した。そして、第一溶液に対する第二溶液の流量比を1/5に設定し、混合された溶液の流量が10mL/min(第一溶液の流量:第二溶液の流量=5:1)になるように各プランジャーポンプの設定流量を調節した。上記流量の場合、二液混合後の第一化合物の濃度は40mMとなる。
第一溶液及び第二溶液の第1混合器として、T字ミキサ(SUS316材質、内径0.5mm)を利用した。
第二原料群の送液部にもプランジャーポンプを使用した。なお、第二原料群には、第一化合物であるフッ化ナトリウムを24mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物である塩化アルミニウム六水和物を20mMで溶解させた第二溶液とを予め混合した混合溶液を用いた。このとき、第一溶液に対する第二溶液の体積比は1/5(第一溶液の体積:第二溶液の体積=5:1)であり、二液混合後の第一化合物の濃度は20mMとなる。この溶液を10mL/minで送液した。
第一原料群と第二原料群とを混合する第2混合器にもT字ミキサ(SUS316材質、内径0.5mm)を利用した。
第2混合器にて混合された溶液は、下流に設けられた粒子検出部(粒径評価部)を通過し、粒径が評価された。実施例1では狙いの粒径を10μmと設定し、制御部にてフィードバック制御を行い、第1原料群及び/又は第2原料群の送液流量を調整した.
【0055】
(実施例8)
実施例8では、第1原料群として、第一化合物を768mMで超純水に溶解させた第一溶液と、第二化合物を640mMで超純水に溶解させた第二溶液とを用いる以外は、実施例7と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。なお、第一原料群を混合した溶液における第一化合物の濃度は640mMとなる。また、実施例2では狙いの粒径を250nmと設定した。
【0056】
(実施例9)
実施例9では、フィードバック制御を行わない以外、実施例1と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0057】
(実施例10)
実施例10では、フィードバック制御を行わない以外、実施例2と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0058】
(比較例4)
比較例4では、フィードバック制御を行わず、第2原料群を用いない以外、実施例7と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0059】
(比較例5)
比較例5では、フィードバック制御を行わず、第2原料群を用いない以外、実施例8と同様の製造条件で無機化合物粒子を作製した。
【0060】
(評価)
粒径評価値(平均粒径)が狙いの設定粒径に対して5%以内の場合◎、5~10%以内の場合〇,それ以外の場合を×とした。
【0061】
図4は、
図3の無機化合物粒子製造装置を用いた実施例7から10、比較例4から5の無機化合物粒子の製造条件及び得られた無機化合物粒子の特性を示す表2である。
【0062】
図4の表2に示すように、第1混合部に加えて第2混合部を有する無機化合物粒子製造装置を用いた実施例7から10の場合には、狙いの平均粒径に誤差範囲で到達することができたことがわかる。これに対して、第2混合部を設けない無機化合物粒子製造装置を用いた比較例4及び5の場合には、狙いの平均粒径に誤差範囲で到達することができなかった。
【0063】
また、実施例7、8と実施例9、10とを対比すると、検出評価部及び制御部を用いたフィードバック制御を行った場合のほうが、狙いの平均粒径に対して得られた粒子の平均粒径が誤差を考慮してより近く、収率も高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示に係る無機化合物粒子製造装置によれば、粒径がnm単位の無機化合物粒子を製造できる。
【符号の説明】
【0065】
1 第1流路
2 第2流路
3 第3流路
4 第4流路
5 第5流路
6 第6流路
7 第7流路
8 第8流路
9 第9流路
10 第1原料供給部
11 第1原料群
12 第一溶液
13 第二溶液
14 第1送液部
15 第2送液部
20 第1混合部(第1混合器)
30 第2原料供給部
31 第2原料群
32 第一溶液
33 第二溶液
34 第3送液部
35 第4送液部
36 混合溶液
37 第5送液部
40 第2混合部
41 第2混合器
42 第3混合器
50 検出評価部
60 制御部
100、100a 無機化合物粒子製造装置