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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】
(43)【公開日】
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   
   
【FI】
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】小林 真奈人
(72)【発明者】
【氏名】湊 祐輔
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA09
2H270KA22
2H270KA24
2H270KA32
2H270LA07
2H270LA64
2H270LC02
2H270LD06
2H270MA14
2H270MA24
2H270MF01
2H270MF08
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EB18
2H300EB19
2H300EB21
2H300EC02
2H300EC05
2H300EC09
2H300EC13
2H300EC16
2H300ED01
2H300EF01
2H300EF03
2H300EF14
2H300EF15
2H300EG02
2H300EJ01
2H300EJ09
2H300EJ22
2H300EJ32
2H300EJ45
2H300EJ47
2H300EJ51
2H300EK03
2H300FF04
2H300FF05
2H300GG02
2H300GG11
2H300KK02
2H300KK12
2H300QQ02
2H300TT03
2H300TT04
2H300TT05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の一次転写部のそれぞれに設けられた複数の電極部材に共通の電源からバイアスを印加する構成で、それぞれの一次転写部での一次転写性を維持し、二次転写性を向上。
【解決手段】設定モードにて、第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で第1及び第2の一次転写部材にバイアスを印加しない際、第1及び第2の電極部材にバイアスを印加する第3の印加部に流れる電流の第1の検知結果と、第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の第2の検知結果と、第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の検知部による第3の検知結果を取得して、第1の検知結果及び第2の検知結果に基づいて第1の一次転写部材に印加する転写バイアスを設定、第1の検知結果及び第3の検知結果に基づいて第2の一次転写部材に印加する転写バイアスを設定する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項
所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第1の感光体と、
前記所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第2の感光体と、
前記第1の感光体と接触する第1の一次転写部で前記第1の感光体から一次転写されたトナー像及び前記第2の感光体と接触する第2の一次転写部で前記第2の感光体から一次転写されたトナー像を、二次転写部で記録材に二次転写するために搬送する、周回移動可能な中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第1の一次転写部を形成する第1の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第2の一次転写部を形成する第2の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第1の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第1の電極部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第2の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第2の電極部材と、
前記第1の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部と、
前記第2の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部と、
前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部と、
前記第3の印加部に流れる電流又は前記第3の印加部にかかる電圧を検知する検知部と、
前記第1、第2及び第3の印加部を制御可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記中間転写ベルトに一次転写したトナー像を記録材に二次転写する画像形成モードと、前記画像形成モードで前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にそれぞれ印加する転写バイアスを設定する設定モードと、を実行するように制御を行うことが可能であり、
前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にバイアスを印加しない際の前記検知部による第1の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第2の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第3の検知結果と、を取得して、前記第1の検知結果及び前記第2の検知結果に基づいて前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定し、前記第1の検知結果及び前記第3の検知結果に基づいて前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性の所定のバイアスを定電圧制御で印加した状態で、前記第1、第2及び第3の検知結果を取得するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記画像形成モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材に前記所定のバイアスを定電圧制御で印加するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第1の検知結果を取得した後に前記第2の検知結果を取得し、前記第2の検知結果を取得した後に前記第3の検知結果を取得するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項
前記検知部は第3の検知部であり、
前記第1の印加部に流れる電流又は前記第1の印加部にかかる電圧を検知する第1の検知部と、
前記第2の印加部に流れる電流又は前記第2の印加部にかかる電圧を検知する第2の検知部と、を有し、
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第1の検知部による検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第2の検知結果との差分に基づいて、前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電圧を設定し、前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第2の検知部による検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第3の検知結果との差分に基づいて、前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電圧を設定するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、予め設定された前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第2の検知結果との差分に基づいて、前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流を設定し、予め設定された前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第3の検知結果との差分に基づいて、前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流を設定するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項
所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第1の感光体と、
前記所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第2の感光体と、
前記第1の感光体と接触する第1の一次転写部で前記第1の感光体から一次転写されたトナー像及び前記第2の感光体と接触する第2の一次転写部で前記第2の感光体から一次転写されたトナー像を、二次転写部で記録材に二次転写するために搬送する、周回移動可能な中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第1の一次転写部を形成する第1の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第2の一次転写部を形成する第2の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第1の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第1の電極部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第2の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第2の電極部材と、
前記第1の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部と、
前記第2の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部と、
前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部と、
前記第1の印加部に流れる電流又は前記第1の印加部にかかる電圧を検知する第1の検知部と、
前記第2の印加部に流れる電流又は前記第2の印加部にかかる電圧を検知する第2の検知部と、
前記第1、第2及び第3の印加部を制御可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記中間転写ベルトに一次転写したトナー像を記録材に二次転写する画像形成モードと、前記画像形成モードで前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にそれぞれ印加する転写バイアスを設定する設定モードと、を実行するように制御を行うことが可能であり、
前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加しない状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第1の検知部による第1の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加しない状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第2の検知部による第2の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第1の検知部による第3の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第2の検知部による第4の検知結果と、を取得して、前記第1の検知結果及び前記第3の検知結果に基づいて前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定し、前記第2の検知結果及び前記第4の検知結果に基づいて前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性の所定のバイアスを定電圧制御で印加した状態で、前記第3及び第4の検知結果を取得するように制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記画像形成モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材に前記所定のバイアスを定電圧制御で印加するように制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加しない状態で、前記第1の印加部による前記第1の一次転写部材へのバイアスの印加、及び前記第2の印加部による前記第2の一次転写部材へのバイアスの印加を行った際に、前記第1及び第2の検知結果を取得し、前記第1及び第2の検知結果を取得した後に前記第3の検知結果を取得し、前記第3の検知結果を取得した後に前記第4の検知結果を取得するように制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第1の検知部による検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第3の検知結果との差分に基づいて、前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電圧を設定し、前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記第2の検知部による検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第4の検知結果との差分に基づいて、前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電圧を設定するように制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項
前記制御部は、前記設定モードにおいて、予め設定された前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第3の検知結果との差分に基づいて、前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流を設定し、予め設定された前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流、及び前記第1の検知結果と前記第4の検知結果との差分に基づいて、前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスの目標電流を設定するように制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項
所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第1の感光体と、
前記所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第2の感光体と、
前記第1の感光体と接触する第1の一次転写部で前記第1の感光体から一次転写されたトナー像及び前記第2の感光体と接触する第2の一次転写部で前記第2の感光体から一次転写されたトナー像を、二次転写部で記録材に二次転写するために搬送する、周回移動可能な中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第1の一次転写部を形成する第1の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第2の一次転写部を形成する第2の一次転写部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第1の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第1の電極部材と、
前記中間転写ベルトの移動方向における前記第2の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第2の電極部材と、
前記第1の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部と、
前記第2の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部と、
前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部と、
前記第3の印加部に流れる電流又は前記第3の印加部にかかる電圧を検知する検知部と、
前記第1、第2及び第3の印加部を制御可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記中間転写ベルトに一次転写したトナー像を記録材に二次転写する画像形成モードと、前記画像形成モードで前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にそれぞれ印加する転写バイアスを設定する設定モードと、を実行するように制御を行うことが可能であり、
前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加しない状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第1の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加しない状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第2の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第3の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第4の検知結果と、を取得して、前記第1の検知結果及び前記第3の検知結果に基づいて前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定し、前記第2の検知結果及び前記第4の検知結果に基づいて前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはこれらのうち複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
電子写真方式を用いたカラー複写機、カラープリンタ、カラー複合機などの画像形成装置として、装置本体の小型化、様々な記録材への対応が比較的容易であるといった利点を有することから、中間転写方式を採用した画像形成装置が主流となっている。中間転写方式の画像形成装置は、一般的に、複数の感光ドラムと、中間転写ベルトと、を有して構成される。
このような画像形成装置では、複数の感光ドラム上に形成されたトナー像がそれぞれ一次転写部において順次中間転写ベルト上に静電的に一次転写される。また、中間転写ベルト上に一次転写されたトナー像は、二次転写部において紙などの記録材上に静電的に二次転写される。なお、一次転写部周りの部材の配置などに関して、上流、下流とは、特に別に言及しない場合、中間転写ベルトの搬送方向に関する上流、下流をいうものとする。
中間転写ベルト上のトナーは、一次転写部の下流において、中間転写ベルトと感光ドラムとの間の放電を受けて、帯電量が上昇する傾向がある。そして、本発明者らが検討を進めたところ、中間転写ベルト上のトナーの帯電量が上昇することで、二次転写部においてトナーを記録材に転写することが難しくなることがわかった。例えば、二次転写部においてトナーを記録材に転写するのに必要な二次転写電界が大きくなることで、画像の粒状性が悪化したり、表面に凹凸のあるエンボス紙などへの均一なトナーの転写が難しくなったりする。
特許文献1では、一次転写部の下流かつ中間転写ベルトの内周面側に導電性の電極部材である電位規制部材を配置し、この電位規制部材に感光ドラムの帯電極性と同極性のバイアスを印加する構成が提案されている。そして、特許文献1に記載の構成では、一次転写部から電位規制部材へ流れる電流によって一次転写性が損なわれないように、一次転写部から電位規制部材へ流れる電流を考慮した一次転写バイアスの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】特開2024-120797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
一次転写部の下流における放電によりトナーの帯電量が上昇することを抑制するためには、一次転写部の下流かつ中間転写ベルトの内周面側に配置された電位規制部材に感光ドラムの帯電極性と同極性のバイアスを印加することが有効である。
ここで、画像形成装置の本体コストや本体サイズの上昇を抑制するためには、電位規制部材にバイアスを印加する高圧電源(高圧基板)の数を少なくすることが望まれる。そのため、画像形成装置を、複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電位規制部材に共通の高圧電源からバイアスを印加する構成とすることが考えられる。つまり、画像形成装置に設けられた複数の電位規制部材を、1つの高圧電源あるいは電位規制部材の数よりも少ない数の高圧電源に並列接続することが考えられる。
しかしながら、例えば、一次転写部や電位規制部材の配置公差、一次転写部のインピーダンスの振れなどが、一次転写部ごとに異なることにより、一次転写部から電位規制部材へ流れる電流は、複数の一次転写部のそれぞれで異なることがある。そのため、適切な一次転写バイアスの補正量は、複数の一次転写部のそれぞれで異なることがある。
特許文献1では、単独の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御については言及されているが、複数の電位規制部材にバイアスを印加する高圧電源を1つあるいは電位規制部材の数よりも少なくした場合の補正制御については考慮されていない。
そこで、本発明の目的は、複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電極部材に共通の電源からバイアスを印加する構成において、それぞれの一次転写部での一次転写性を維持しつつ、二次転写性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明の代表的な一態様によると、所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第1の感光体と、前記所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第2の感光体と、前記第1の感光体と接触する第1の一次転写部で前記第1の感光体から一次転写されたトナー像及び前記第2の感光体と接触する第2の一次転写部で前記第2の感光体から一次転写されたトナー像を、二次転写部で記録材に二次転写するために搬送する、周回移動可能な中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第1の一次転写部を形成する第1の一次転写部材と、前記中間転写ベルトの内周面に接触し、前記第2の一次転写部を形成する第2の一次転写部材と、前記中間転写ベルトの移動方向における前記第1の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第1の電極部材と、前記中間転写ベルトの移動方向における前記第2の一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写ベルトの内周面に接触する第2の電極部材と、前記第1の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部と、前記第2の一次転写部材に前記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部と、前記第1及び第2の電極部材に前記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部と、前記第3の印加部に流れる電流又は前記第3の印加部にかかる電圧を検知する検知部と、前記第1、第2及び第3の印加部を制御可能な制御部と、を有し、前記制御部は、前記中間転写ベルトに一次転写したトナー像を記録材に二次転写する画像形成モードと、前記画像形成モードで前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にそれぞれ印加する転写バイアスを設定する設定モードと、を実行するように制御を行うことが可能であり、前記設定モードにおいて、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1及び第2の印加部により前記第1及び第2の一次転写部材にバイアスを印加しない際の前記検知部による第1の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第2の検知結果と、前記第3の印加部により前記第1及び第2の電極部材にバイアスを印加した状態で前記第1の印加部により前記第1の一次転写部材にバイアスを印加せずに前記第2の印加部により前記第2の一次転写部材にバイアスを印加した際の前記検知部による第3の検知結果と、を取得して、前記第1の検知結果及び前記第2の検知結果に基づいて前記第1の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定し、前記第1の検知結果及び前記第3の検知結果に基づいて前記第2の一次転写部材に印加する前記転写バイアスを設定するように制御することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
本発明によれば、複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電極部材に共通の電源からバイアスを印加する構成において、それぞれの一次転写部での一次転写性を維持しつつ、二次転写性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図】画像形成装置の概略断面図である。
【図】画像形成装置の制御系の概略ブロック図である。
【図】電位規制部材の断面図及び斜視図である。
【図】電位規制部材の他の例の断面図である。
【図】電位規制部材の他の例の断面図である。
【図】電位規制部材の配置を説明するための断面図である。
【図】ATVC制御、及び単独の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正を説明するための模式的なグラフ図である。
【図】一次転写部周りの電流経路を説明するための模式図である。
【図】単独の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのタイミングチャート図である。
【図】単独の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのフローチャート図である。
【図】複数の電位規制部材に対するバイアスの印加構成を説明するための模式図である。
【図】実施例1における複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのタイミングチャート図である。
【図】実施例1における複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのフローチャート図である。
【図】実施例2における複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのタイミングチャート図である。
【図】実施例2における複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
まず、本実施例の画像形成装置の全体的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置1の概略断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像をシート状の記録材Sに形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラープリンタである。
画像形成装置1は、プリンタ部(エンジン)2と、制御部3と、記録材Sの給送部4と、記録材Sの排出部5と、を有する。また、画像形成装置1の内部には、機内温度を検知可能な温度センサ71(図2)と、機内湿度を検知可能な湿度センサ72(図2)と、が設けられている。画像形成装置1は、画像形成装置1に設けられるか又は画像形成装置1に接続された原稿読取装置(図示せず)により取得された画像情報(画像信号)に基づいて、記録材Sに画像を形成することができる。また、画像形成装置1は、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(ホスト機器)、デジタルカメラ、スマートフォンなどの外部機器(図示せず)からの画像情報(画像信号)に基づいて、記録材Sに画像を形成することができる。なお、記録材(転写材、記録媒体、シート)Sは、トナーで画像が形成されるものである。記録材Sの具体例としては、普通紙、厚紙、グロスコート紙、マットコート紙、エンボス紙、あるいは普通紙などの代用品である合成樹脂製のシート(合成紙)やオーバーヘッドプロジェクタ用シート(樹脂フィルム)などがある。ここで、記録材Sを「紙」ということがあるが(「紙」、「エンボス紙」、「高抵抗紙」など)、その場合でも記録材Sは紙以外の材料あるいは紙以外の材料を含む材料で形成されたものを含む。
プリンタ部2は、給送部4から給送された記録材Sに、画像情報に基づいて画像を形成する。プリンタ部2は、画像形成ユニット(画像形成部)10y、10m、10c、10kと、トナーボトル18y、18m、18c、18kと、中間転写ユニット20と、二次転写装置26と、定着装置27と、を有する。画像形成ユニット10y、10m、10c、10kは、それぞれイエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の各色のトナー像を形成する。なお、各色用に設けられた同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のy、m、c、kを省略して総括的に説明することがある。また、画像形成装置1は、所望の単色又は4色のうちいくつかの色用の画像形成ユニット10を用いて、例えばブラック単色の画像などの単色画像又はマルチカラー画像を形成することも可能である。
画像形成ユニット10は、像担持体としてのドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム11(11y、11m、11c、11k)を有する。また、画像形成ユニット10は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ12(12y、12m、12c、12k)を有する。また、画像形成ユニット10は、露光手段としての露光装置13(13y、13m、13c、13k)を有する。また、画像形成ユニット10は、現像手段としての現像装置14(14y、14m、14c、14k)を有する。また、画像形成ユニット10は、除電手段としての前露光装置16(16y、16m、16c、16k)を有する。また、画像形成ユニット10は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置17(17y、17m、17c、17k)を有する。画像形成ユニット10は、感光ドラム11上にトナー像を形成する。感光ドラム11に形成されたトナー像は、後述する中間転写ベルト6に転写される。
感光ドラム11は、静電像(静電潜像)やトナー像を担持して移動可能(回転可能)である。本実施例では、感光ドラム11は、外径30[mm]の負帯電性の有機感光体(OPC)である。この感光ドラム11は、基体としてのアルミニウム製のシリンダと、その表面に形成された表面層と、を有する。本実施例では、表面層として、基体上に次の順番で塗布されて積層された、下引き層と、光電荷発生層と、電荷輸送層と、の3層を有する。画像形成動作が開始されると、感光ドラム11は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって、所定の周速度(プロセススピード)で、図中矢印R1方向(反時計回り方向)に回転駆動される。
回転する感光ドラム11の表面は、帯電ローラ12によって均一に帯電処理される。本実施例では、帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面に接触し、感光ドラム11の回転に伴って従動して回転するゴムローラである。帯電ローラ12には、帯電バイアス印加手段(帯電バイアス印加部)としての帯電電源73(73y、73m、73c、73k)(図2)が接続されている。帯電処理時に、帯電電源73は、帯電ローラ12に、所定の帯電バイアス(帯電電圧)を印加する。
帯電処理された感光ドラム11の表面は、露光装置13によって画像情報に基づいて走査露光され、感光ドラム11上に静電像が形成される。本実施例では、露光装置13は、レーザスキャナである。露光装置13は、制御部3から出力される分解色の画像情報に従ってレーザー光を発し、感光ドラム11の表面(外周面)を走査露光する。
感光ドラム11上に形成された静電像は、現像装置14によってトナーが供給されることで現像(可視化)され、感光ドラム11上にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。本実施例では、現像装置14は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた二成分現像剤を用いる二成分現像装置である。現像装置14の現像容器(現像容器本体)14bには、二成分現像剤が収容されており、消費されたトナーに見合う量のトナーがトナーボトル18から補給される。現像装置14は、現像部材(現像剤担持体)としての現像スリーブ14aを有する。現像スリーブ14aは、例えば、アルミニウムや非磁性ステンレス(本実施例ではアルミニウム)などの非磁性材料で構成されている。現像スリーブ14aの内側には、磁界発生手段(磁界発生部材)としてのローラ状のマグネットであるマグネットローラ(図示せず)が、現像容器14bに対して回転しないように固定して配置されている。現像スリーブ14aは、二成分現像剤を担持して、感光ドラム11と対向する現像領域に搬送する。そして、現像領域において、現像スリーブ14a上の二成分現像剤から感光ドラム11上の静電像の画像部に、トナーが移動して付着する。現像スリーブ14aには、現像バイアス印加手段(現像バイアス印加部)としての現像電源74(74y、74m、74c、74k)(図2)が接続されている。現像時に、現像電源74は、現像スリーブ14aに、所定の現像バイアス(現像電圧)を印加する。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム11上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム11の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像時のトナーの主要な帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4つの感光ドラム11y、11m、11c、11kに対向するように、中間転写ユニット20が配置されている。中間転写ユニット20は、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト6を有する。中間転写ベルト6は、複数の張架ローラとしての駆動ローラ21、テンションローラ22及び二次転写内ローラ23に巻き掛けられて張架されている。中間転写ベルト6は、トナー像を担持して移動可能(回転可能)である。中間転写ベルト6は、駆動ローラ21が駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって回転駆動されることで駆動力が伝達され、感光ドラム11の周速度に対応する所定の周速度で図中矢印R2方向(時計回り方向)に回転(周回移動)する。テンションローラ22は、中間転写ベルト6の張力を一定に制御する。テンションローラ22は、付勢手段としての付勢部材である圧縮コイルバネで構成されたテンションバネ(図示せず)の付勢力によって、中間転写ベルト6を内周面(裏面)側から外周面(表面)側へ押し出すような力が加えられている。この力によって、中間転写ベルト6には、その搬送方向(プロセス進行方向、移動方向)に2~5kgf程度の張力が掛けられている。二次転写内ローラ23は、後述する二次転写外ローラ25と共に、二次転写装置26を構成する。中間転写ベルト6の内周面側には、各感光ドラム11y、11m、11c、11kに対応して、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ15y、15m、15c、15kがそれぞれ配置されている。本実施例では、一次転写ローラ15は、感光ドラム11に対向して配置され、感光ドラム11との間で中間転写ベルト6を挟持する。一次転写ローラ15は、感光ドラム11に向けて押圧され、中間転写ベルト6を介して感光ドラム11に当接して、感光ドラム11と中間転写ベルト6との当接部である一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。駆動ローラ21以外の張架ローラ及び各一次転写ローラ15は、中間転写ベルト6の回転に伴って従動回転する。なお、張架ローラの数は、本実施例における数に限定されるものではなく、例えばより多くてもよい。
感光ドラム11上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ15の作用によって、回転している中間転写ベルト6上に転写(一次転写)される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム11に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト6上に順次重ね合わされるようにして多重転写される。一次転写ローラ15には、一次転写バイアス印加手段(一次転写バイアス印加部)としての一次転写電源75(75y、75m、75c、75k)(図2)が接続されている。一次転写時に、一次転写電源75は、一次転写ローラ15に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写バイアス(一次転写電圧)を印加する。これにより、感光ドラム11上の負極性のトナーからなるトナー像が、中間転写ベルト6上に一次転写される。
一次転写電源75には、その出力電圧を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知センサ75a(図2)と、その出力電流を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知センサ75b(図2)と、が接続されている。本実施例では、例えば1~2[kV]程度の一次転写バイアスが一次転写ローラ15に印加される(「~」はその前後の数値を含む範囲を示す。以下同様。)。また、本実施例では、一次転写時に、一次転写バイアスは定電圧制御される。本実施例では、一次転写電源75y、75m、75c、75kは、各一次転写ローラ15y、15m、15c、15kのそれぞれに対して独立して設けられている。そして、本実施例では、各一次転写ローラ15y、15m、15c、15kに印加する一次転写バイアスは、個別に制御することが可能である。
ここで、本実施例では、一次転写ローラ15は、芯金と、芯金の周囲に形成されたイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム(ニトリルゴム))の弾性層と、を有する。一次転写ローラ15の外径は、例えば、15~20[mm]である。また、一次転写ローラ15としては、電気抵抗値が1×10~1×10[Ω](N/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加)のローラを好適に使用することができる。
また、本実施例では、中間転写ベルト6は、基層と、表層と、が内周面側から外周面側へとこの順番で積層された2層構造を有する無端状のベルトである。基層を構成する材料としては、ポリイミドやポリカーボネートなどの樹脂であり、帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させた材料を好適に用いることができる。基層の厚さは、例えば、0.05~0.15[mm]である。また、表層を構成する材料としては、カーボンブラックにより導電性を付与したCRゴム(クロロプレンゴム)などを好適に用いることができる。表層の厚さは、例えば、0.200~0.300[mm]である。本実施例では、中間転写ベルト6の体積抵抗率は、5×10~1×1014[Ω・cm](23℃、50%RH)である。なお、中間転写ベルト6は、本実施例では2層構造であるが、例えば上記の基層に相当する材料の単層構成であってもよい。また、表層を、フッ素樹脂などの樹脂を含む厚さ0.002~0.01[mm]程度の樹脂コート層としてもよい。また、中間転写ベルト6は、3層以上の多層構成であってもよい。
中間転写ベルト6の外周面側には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写外ローラ25が配置されている。二次転写部材としての二次転写外ローラ25は、対向部材(対向電極)としての二次転写内ローラ23と共に二次転写装置26を構成する。二次転写外ローラ25は、二次転写内ローラ23に向けて押圧され、中間転写ベルト6を介して二次転写内ローラ23に当接して、中間転写ベルト6と二次転写外ローラ25との当接部である二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。中間転写ベルト6上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写装置26の作用によって、中間転写ベルト6と二次転写外ローラ25とに挟持されて搬送されている記録材S上に転写(二次転写)される。二次転写外ローラ25には、二次転写バイアス印加手段(二次転写バイアス印加部)としての二次転写電源76(図2)が接続されている。二次転写時に、二次転写電源76は、二次転写外ローラ25に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である二次転写バイアス(二次転写電圧)を印加する。これにより、中間転写ベルト6上の負極性のトナーからなるトナー像が、記録材S上に二次転写される。二次転写電源76には、その出力電圧を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知センサ76a(図2)と、その出力電流を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知センサ76b(図2)と、が接続されている。また、二次転写内ローラ23の芯金は、接地電位に接続(電気的に接地)されている。本実施例では、例えば1~6.5[kV]程度の二次転写バイアスが二次転写外ローラ25に印加され、15~100[μA]程度の二次転写電流が二次転写部N2に流されることで、中間転写ベルト6上のトナー像が記録材S上に二次転写される。本実施例では、二次転写時に、二次転写バイアスは定電圧制御される。なお、二次転写部材としての二次転写内ローラ23に二次転写電源76からトナーの正規の帯電極性と同極性の直流電圧である二次転写バイアスを印加して、対向部材としての二次転写外ローラ25を接地電位に接続する構成としてもよい。
記録材Sは、中間転写ベルト6に対するトナー像の形成動作と並行して、給送部4から二次転写部N2に向けて搬送される。記録材Sは、給送部4の記録材収容部としてのカセット41に収容されている。カセット41に収容された記録材Sは、給送部4の給送部材としての給送ローラ42などによって1枚ずつ分離されてカセット41から送り出される。この記録材Sは、給送部4の搬送部材としての搬送ローラ43などによって、記録材Sの搬送経路44に設けられた搬送部材としてのレジストローラ(レジストローラ対)19まで搬送される。そして、この記録材Sは、レジストローラ19によって、中間転写ベルト6上のトナー像とタイミングが合わされて、二次転写部N2へと搬送される。なお、図1にはカセット41は1つだけ図示されているが、画像形成装置1はカセット41を複数有していてもよい。また、給送部4は、手差しトレイなどのカセット41とは別の記録材収容部(記録材載置部)からも記録材Sを給送できるようになっていてよい。
ここで、本実施例では、二次転写外ローラ25は、芯金と、芯金の周囲に形成されたイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と、を有する。二次転写外ローラ25の外径は、例えば、20~25[mm]である。また、二次転写外ローラ25としては、電気抵抗値が1×10~1×10[Ω](N/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加)のローラを好適に使用することができる。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着装置27へと搬送される。定着装置27は、定着ローラ27aと、加圧ローラ27bと、を有する。定着ローラ27aは、加熱手段としてのヒータを内蔵している。加圧ローラ27bは、定着ローラ27aに圧接して定着部(定着ニップ部)を形成する。定着装置27は、未定着のトナー像を担持した記録材Sを、定着ローラ27aと加圧ローラ27bとの間に挟持して搬送することで加熱及び加圧して、トナー像を記録材S上に定着(溶融、固着)させる。なお、定着ローラ27aの温度(定着温度)は、定着温度センサ77(図2)によって検知される。トナー像が定着された記録材Sは、排出部5において、排出ローラ51などによって搬送されて、排出口(図示せず)から画像形成装置1の装置本体1aの外部に設けられた排出トレイ52上へと排出(出力)される。
一次転写後の感光ドラム11の表面は、前露光装置16によって除電される。また、一次転写時に中間転写ベルト6に転写されずに感光ドラム11上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置17によって感光ドラム11上から除去されて回収される。本実施例では、ドラムクリーニング装置17は、クリーニング部材としてのクリーニングブレードによって、回転する感光ドラム11の表面から一次転写残トナーを掻き取って、回収容器(図示せず)に回収する。クリーニングブレードは、感光ドラム11に対して所定の押圧力で当接する板状の部材である。クリーニングブレードは、その自由端部側の先端が感光ドラム11の回転方向の上流側を向くように、感光ドラム11の回転方向に対してカウンター方向で感光ドラム11の表面に当接する。また、二次転写時に記録材Sに転写されずに中間転写ベルト6上に残留したトナー(二次転写残トナー)などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置24によって中間転写ベルト6上から除去されて回収される。
なお、各画像形成ユニット10において、例えば、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像装置14、前露光装置16及びドラムクリーニング装置17は、一体的に装置本体1aに対して着脱可能なカートリッジ(プロセスカートリッジ)を構成していてよい。また、本実施例では、中間転写ベルト6、中間転写ベルト6の張架ローラ、各一次転写ローラ15、ベルトクリーニング装置24及び後述する各電位規制部材8などによって中間転写ユニット20が構成される。中間転写ユニット20は、一体的に装置本体1aに対して着脱可能とされていてよい。
2.制御構成
図2は、本実施例の画像形成装置1の制御系の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置1には、制御手段としての制御部3(制御回路)が設けられている。制御部3は、演算処理手段(演算処理部)としてのCPU31、記憶手段(記憶部)としてのROM32やRAM33、制御部3と外部のデバイスとの間での信号の入出力を行う入出力回路(I/F)(図示せず)などを有して構成される。ROM32は、画像形成装置1の各部を制御するプログラムなどを記憶する。RAM33は、制御に関するデータなどを一時的に記憶する。CPU31は、画像形成装置1の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。CPU31は、給送部4、プリンタ部2、排出部5などの各部と接続され、これら各部と信号をやり取りすると共に、これら各部の動作を制御する。ROM32には、記録材Sに画像を形成するための画像形成制御シーケンスなどが記憶されている。
制御部3には、例えば、帯電電源73、現像電源74、一次転写電源75、二次転写電源76、後述する電位規制電源80などが接続されており、これらはそれぞれ制御部3からの信号により制御される。なお、図示は省略されているが、本実施例では、帯電電源73、現像電源74及び一次転写電源75は、それぞれ各画像形成ユニット10に対して独立して設けられている。また、本実施例では、電位規制電源80は、4つ一次転写部N1のそれぞれに対して設けられた後述する電位規制部材8に対して共通化されている。また、制御部3には、温度センサ71、湿度センサ72が接続されている。また、制御部3には、一次転写電源75の電圧検知センサ75a及び電流検知センサ75b、二次転写電源76の電圧検知センサ76a及び電流検知センサ76b、後述する電位規制電源80の電圧検知センサ80a及び電流検知センサ80bが接続されている。この他、制御部3には、定着温度センサ77などが接続されている。各センサの検知結果を示す信号(情報)は、制御部3に入力される。
また、制御部3には、操作部70が接続されている。操作部70は、入力手段としての操作ボタン(キー)などで構成された入力部と、表示手段としての液晶パネル(ディスプレイ)などで構成された表示部70aと、を有する。なお、本実施例では、表示部70aは、タッチパネルとして構成されており、入力手段としての機能も有している。ユーザーやサービス担当者などの操作者は、操作部70を操作することで、画像形成装置1にジョブ(後述)を実行させることが可能である。制御部3は、操作部70からの信号を受けて、画像形成装置1の各種デバイスを動作させる。また、画像形成装置1は、操作部70からではなく、例えばパーソナルコンピュータなどの外部機器からの信号に応じてジョブを実行することも可能である。
ここで、画像形成装置1は、1つの開始指示により開始される単数又は複数の記録材Sに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブ(印刷ジョブ)を実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程、前回転工程、複数の記録材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、感光ドラム11上や中間転写ベルト6上の記録材Sに転写される画像が形成され得る画像形成領域に関して、静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写を行う期間である。画像形成時(画像形成期間)とは、この期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから記録材Sに転写される画像の形成(露光)が開始されるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程(記録材間工程、画像間工程)は、複数の記録材Sに対する画像形成を連続して行う際(連続印刷、連続画像形成)の記録材Sと記録材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置1の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
3.二次転写性の課題
次に、二次転写性の課題について更に説明する。なお、便宜上、電圧や電位の大小(高低)は、特に別に言及しない場合、絶対値で比較した場合の大小(高低)をいうものとする。また、一次転写部N1、感光ドラム11、一次転写ローラ15、後述する電位規制部材8の配置などに関して、上流、下流とは、特に別に言及しない場合、中間転写ベルト6の搬送方向(プロセス進行方向、移動方向)に関する上流、下流をいうものとする。
前述のように、中間転写ベルト6上のトナーは、一次転写部N1の下流において、中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の放電を受けて、帯電量が上昇する傾向がある。本発明者らが検討を進めたところ、中間転写ベルト6上のトナーの帯電量が上昇することで、中間転写ベルト6との間の鏡映力が上昇し、二次転写部N2においてトナーを記録材Sに転写することが難しくなることがわかった。例えば、中間転写ベルト6上のトナーの帯電量が上昇すると、二次転写部N2においてトナーを記録材に転写するのに必要な二次転写電界が大きくなることで、画像の粒状性が悪化することがある。また、例えば、表面に凹凸のあるエンボス紙などへ均一にトナーを転写することは、二次転写部N2において中間転写ベルト6と紙との間にギャップが生じ、比較的大きな二次転写電界が必要なことなどから難しい。そのため、中間転写ベルト6上のトナーの帯電量が上昇すると、表面に凹凸のあるエンボス紙などへのトナーの転写が更に難しくなる。なお、エンボス紙とは、紙の表面に浮き出しや型押しなどの方法を用いて凹凸による模様をつけた紙(ファンシーペーパー)である。また、合成樹脂を主体とする合成紙や樹脂フィルムなどの比較的電気抵抗の高い記録材(高抵抗紙)などについても、上記エンボス紙などと同様に、中間転写ベルト6上のトナーの帯電量が上昇するとトナーの転写が更に難しくなる。
上述のような一次転写部N1の下流におけるトナーの帯電量の上昇を抑制するためには、一次転写部N1の下流における放電を抑制することが有効である。そのためには、一次転写後の感光ドラム11と中間転写ベルト6との間の電位差を小さくすることが有効である。そして、本発明者らが検討を進めたところ、一次転写部N1の下流における放電を抑制するためには、一次転写部N1の下流かつ中間転写ベルト6の内周面側に導電性の電極部材である電位規制部材を配置し、この電位規制部材に感光ドラム11の帯電極性と同極性のバイアスを印加することが有効であることがわかった。特に、電位規制部材8を中間転写ベルト6の内周面に接触させて配置し、この電位規制部材8に感光ドラム11の帯電極性と同極性の電圧を印加することで、より効果的に上記放電を抑制できる。
また、上記放電は、一次転写部N1から下流側に0.3~1.5[mm]程度までの範囲で起こることが多い。これに対して、電位規制部材8に感光ドラム11の帯電極性と同極性の電圧を印加することで、感光ドラム11と電位規制部材8との間の空間に形成される電界の作用により、上記放電を抑制することができるものと考えられる。そして、中間転写ベルト6の搬送方向において、電位規制部材8を中間転写ベルト6に点(線)で接触させる場合よりも、電位規制部材8を中間転写ベルト6に幅を持って面で接触させる場合の方が、上記放電を抑制する効果が大きい。また、電位規制部材8を中間転写ベルト6に面で接触させることにより、中間転写ベルト6と電位規制部材8との接触状態を安定させることができる。これは、中間転写ベルト6と電位規制部材8との間で静電的な吸着力が働くためであると考えられる。
このように、電位規制部材8を中間転写ベルト6に面接触させることがより好ましい。ここで、面接触(面で接触)するとは、詳しくは後述する接触幅(5~50[mm]程度)よりも狭い範囲で中間転写ベルト6の搬送方向と交差する方向に線状にのみ接触する場合は含まないことを意味する。したがって、例えば、詳しくは後述する接触幅において実質的に全領域が連続して密着している場合だけではなく、不織布などのように多数の接触点が上記範囲に実質的に一様に分布していることも含むものである。
4.電位規制部材
次に、本実施例における電位規制部材8の構成について説明する。図1に示すように、本実施例の画像形成装置1は、各一次転写部N1y、N1m、N1c、N1kの下流において、中間転写ベルト6の内周面に接触するようにそれぞれ配置された、電極部材である電位規制部材8y、8m、8c、8kを有する。本実施例では、各一次転写部N1y、N1m、N1c、N1kに対して設けられる電位規制部材8y、8m、8c、8kの構成は、実質的に同一である。
本実施例における電位規制部材8の形状について説明する。図3(a)は、本実施例における電位規制部材8の断面図である(感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面を示す。)。また、図3(b)は、本実施例における電位規制部材8の斜視図である。
本実施例では、電位規制部材8は、中間転写ベルト6の幅方向(搬送方向と略直交する方向、感光ドラム11の回転軸線方向と略平行な方向)に沿って配置される平面状の第1の部分81を有する。また、本実施例では、電位規制部材8は、中間転写ベルト6の幅方向に沿って配置され、第1の部分81の平面と交差(本実施例では略直交)する方向に延びる平面状の第2の部分82を有する。本実施例では、電位規制部材8の第1の部分81における中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部である接触面83は平面である。つまり、本実施例では、電位規制部材8の接触面83を構成する第1の部分81は平板である。
ここで、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、接触面83の上流側の端部を「A(あるいは上流端A)」、接触面83の下流側の端部を「B(あるいは下流端B)」と定義する。本実施例では、接触面83の上流端Aは電位規制部材8の上流側の端部に対応し、接触面83の下流端Bは電位規制部材8の下流側の端部に対応する。上述のように、より効果的に中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の放電を抑制するためには、電位規制部材8を中間転写ベルト6に面接触させることが好ましい。この観点から、線分AB間の長さ、すなわち、接触面83の中間転写ベルト6の搬送方向における長さである「接触幅」は、5[mm]以上であることが好ましい。線分AB間の長さが長いほど、上記放電を抑制する効果が大きくなるが、長くしすぎると部品精度などの影響により、電位規制部材8を中間転写ベルト6に安定して接触させるのが難しくなることが考えられる。線分AB間の長さは、50[mm]以下で十分であることが多く、典型的には30[mm]以下である。つまり、線分AB間の長さは、5~50[mm]程度が好適であり、典型的には5~30[mm]程度である。別の観点から、線分AB間の長さは、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、隣接する感光ドラム11の軸間距離の半分以下で十分であることが多いといえる。本実施例では、線分AB間の長さが25[mm]の電位規制部材8を使用している。なお、本実施例では、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面における感光ドラム11間の軸間距離は100[mm]程度である。
電位規制部材8には、電位規制バイアス印加手段(電位規制バイアス印加部)としての電位規制電源80が接続されている。電位規制電源80には、その出力電圧を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知センサ80a(図2)と、その出力電流を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知センサ80b(図2)と、が接続されている。本実施例では、電位規制部材8の第2の部分82に電位規制電源80が接続されている。画像形成動作中の少なくとも一次転写時に、電位規制部材8には、電位規制電源80により、感光ドラム11の帯電極性と同極性の直流電圧である電位規制バイアス(電位規制電圧)が印加される。一次転写時は、より詳細には、一次転写バイアスが印加されている期間、更に具体的には、中間転写ベルト6上の画像形成領域(トナー像が転写され得る領域)が一次転写部N1を通過している期間である。これによって、一次転写部N1の下流における中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の電位差を小さくし、一次転写部N1の下流における中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の放電を抑制することができる。本実施例では、電位規制バイアスは負極性の直流電圧である。本実施例では、電位規制バイアスは定電圧制御される。また、本実施例の構成では、電位規制バイアス(負極性の定電圧)は、-500~-5000[V]程度が好適であり、-1000~-3000[V]程度がより好ましい。なお、本実施例では、電位規制電源80により電位規制部材8に定電圧を印加したが、電位規制部材8を接地しても一定の効果が期待できる。
電位規制部材8は、中間転写ベルト6の幅方向に長い部材である。電位規制部材8の接触面83の長手方向(中間転写ベルト6の幅方向に沿う方向)の長さは、中間転写ベルト6の幅方向における最大画像幅よりも長いことが好ましい。なお、最大画像幅は、中間転写ベルト6の幅方向における、画像形成装置1で形成可能な最大の画像の画像形成領域の長さである。本実施例では、電位規制部材8の接触面83の長手方向の長さは、上記最大画像幅よりも長く、かつ、中間転写ベルト6の幅方向における一次転写ローラ15が中間転写ベルト6に接触する幅よりも長い。つまり、本実施例では、上記最大画像幅の範囲、及び中間転写ベルト6の幅方向における一次転写ローラ15が中間転写ベルト6に接触する幅の範囲は、いずれも電位規制部材8の接触面83の長手方向の長さの範囲の内側に収まる。これにより、中間転写ベルト6に転写されるトナー像の中間転写ベルト6の幅方向における長さによらず、上述の放電を抑制することによる中間転写ベルト6上のトナーの帯電量の上昇を抑制する効果を得ることができる。一方、本実施例では、電位規制部材8の長手方向の長さは、中間転写ベルト6の幅よりも短い。つまり、本実施例では、電位規制部材8の長手方向の長さの範囲は、中間転写ベルト6の幅の範囲の内側に収まる。これにより、電位規制部材8の長手方向の端部が中間転写ベルト6の幅方向の端部よりも突出している場合に発生し得る、電位規制部材8と中間転写ベルト6の周囲の部材などとの間の放電を抑制することができる。その結果、上述の中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の放電を抑制する効果が小さくなる可能性を低減することができる。
電位規制部材8は、例えば、導電性を有する1つの材料(材質)で構成することができ、電位規制部材8を構成する材料としては、金属、樹脂、布、不織布などを用いることができる。本実施例では、電位規制部材8は、実質的にSUS(ステンレス鋼)などの導電性を有する金属のみで構成されている。より詳細には、本実施例では、電位規制部材8は、SUSなどの金属製の板材(板金)に曲げ加工を施して第1の部分81と第2の部分82とを形成することで構成されている。このように曲げ加工を施すことで、電位規制部材8の強度を増すことができる。本実施例では、電位規制部材8は、第1の部分81及び第2の部分82のいずれも、画像形成装置1の使用状態において実質的に変形しない。ただし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、電位規制部材8は、2つ以上の材料で構成されていてもよい。
図4は、電位規制部材8の他の例の断面図である(感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面を示す。)。例えば、図4に示すように、図3に示す電位規制部材8と同様の形状を有する基部84と、基部84の表面に設けられた表面層85と、を有する構成とすることができる。中間転写ベルト6に接触する接触面83及び電位規制電源80との接続部を構成する表面層85は、導電性の材料、例えば、金属や導電性の樹脂で構成する。基部84は、導電性の材料で構成してもよいが、非導電性の材料、例えば、非導電性の樹脂などで構成してもよい。基部84と表面層85とは、接着剤による接着、溶着などの任意の固定手段により固定することができる。
また、図5は、電位規制部材8の更に他の例の断面図である(感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面を示す。)。例えば、図5に示すように、電位規制部材8の中間転写ベルト6に接触する接触面83が、導電性の不織布86で構成されていてもよい。なお、図5では、図4に示す構成の電位規制部材8における接触面83の上に導電性の不織布86が設けられているが、図3に示す構成の電位規制部材8における接触面83の上に導電性の不織布86を設けてもよい。導電性の不織布86は、導電性の接着剤による接着などの任意の固定手段により固定することができる。また、不織布86の代わりに、例えば、次のようなものを用いてもよい。導電性の繊維を用いて構成されたフェルトやパイル織物(カットパイル生地(ベルベット、ブラシ)やループパイル生地(タオル地))、あるいは導電性のゴム材料などを用いて構成されたスポンジ(発泡弾性体)などである。このように、電位規制部材8の中間転写ベルト6に接触する接触面83を可撓性又は弾性を有する材料で構成することで、中間転写ベルト6の内周面と電位規制部材8との摺擦によって中間転写ベルト6の内周面に傷が発生する可能性を低減することができる。
次に、本実施例における電位規制部材8の配置について説明する。図6は、中間転写ベルト6の搬送方向において隣接する2つの一次転写部N1間に設けられた電位規制部材8の配置を説明するための断面図である(感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面を示す。)。図6には、一例として、シアン、ブラックの各一次転写部N1c、N1kの間に設けられた(すなわち、シアンの一次転写部N1cに対して設けられた)電位規制部材8cが示されている。
本実施例では、感光ドラム11の外径は30[mm]、一次転写ローラ15の外径は18[mm]、中間転写ベルト6の厚さは0.350[mm]である。また、本実施例では、一次転写ローラ15は、感光ドラム11に対して下流側にオフセットされて配置されている。本実施例では、オフセット量X1は3[mm]である。なお、オフセット量X1は、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、複数の感光ドラム11の中間転写ベルト6に接触する側の共通の接線に沿う方向における、感光ドラム11の回転中心と一次転写ローラ15の回転中心との間の距離である。
ここで、電位規制部材8の配置を説明するために、電位規制部材8を取り外した場合を仮定する。感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、電位規制部材8がない場合の一次転写部N1の下流における中間転写ベルト6の内周面側の張り面が通る直線を直線Lと定義する。なお、より詳細には、この直線Lは、画像形成動作中の状態(中間転写ベルト6が画像形成可能な張架形態とされている状態)の画像形成装置1の構成から実質的に電位規制部材8のみを取り外した状態(ただし、感光ドラム11及び中間転写ベルト6は停止している。)での上記張り面に相当する。また、直線L上において、中間転写ベルト6の内周面が、電位規制部材8の上流側直近の張架部材から離れる箇所を「C(あるいは上流張架部C)」、電位規制部材8の下流側直近の張架部材から離れる箇所を「D(あるいは下流張架部D)」と定義する。なお、図6では模式的に直線Lは略水平に示されているが、一次転写ローラ15の弾性層が変形するなどして一次転写ローラ15の表面が感光ドラム11側に持ち上げられている場合には、直線Lは下流側に行くほど図中下方に下がるように傾斜していてよい。
本実施例では、電位規制部材8の上流側直近の張架部材は一次転写ローラ15であり、中間転写ベルト6が一次転写ローラ15から離れる箇所の中間転写ベルト6の内周面上の位置が上流張架部Cである。ただし、電位規制部材8の上流側直近の張架部材は、一次転写ローラ15に限定されるものではない。例えば、一次転写ローラ15が感光ドラム11に対して上流側にオフセットされて配置されている場合は、中間転写ベルト6が感光ドラム11から離れる箇所に対応する箇所の中間転写ベルト6の内周面上の位置が上流張架部Cである。
また、本実施例では、電位規制部材8の下流側直近の張架部材は、イエロー、マゼンタ、シアンの一次転写部N1y、N1m、N1cに対しては、それぞれの下流側に隣接して配置された感光ドラム11m、11c、11kである。そして、それぞれ中間転写ベルト6が感光ドラム11m、11c、11kから離れる箇所に対応する箇所の中間転写ベルト6の内周面上の位置が下流張架部Dである。ただし、電位規制部材8の下流側直近の張架部材は、感光ドラム11に限定されるものではない。例えば、一次転写ローラ15が感光ドラム11に対して上流側にオフセットされて配置されている場合は、中間転写ベルト6が一次転写ローラ15から離れる箇所の中間転写ベルト6の内周面上の位置が下流張架部Dである。また、本実施例では、最下流のブラックの一次転写部N1kに対しては、下流側直近の張架部材は、張架ローラ(本実施例ではテンションローラ)22である。そして、中間転写ベルト6が張架ローラ22から離れる箇所の中間転写ベルト6の内周面上の位置が下流張架部Dである。
さらに、いずれの一次転写部N1についても、電位規制部材8の下流側直近の張架部材として、画像形成動作中に中間転写ベルト6の姿勢を規制するその他の張架ローラが存在する場合は、その張架ローラを基準として直線Lと下流張架部Dとを定義する。また、張架ローラではなく、中間転写ベルト6の内周面を清掃するなどの目的でスクレーパーやブラシが中間転写ベルト6の内周面に当接されている場合も、画像形成動作中に中間転写ベルト6の姿勢を規制していれば、下流直近の張架部材とみなせる。スクレーパーは、一般に、シート状あるいはフィルム状の部材で構成される。
図6に示すように、電位規制部材8は、一次転写ローラ15に接触せず、かつ、中間転写ベルト6を介して感光ドラム11に当接しないように、一次転写部N1の下流に近接して配置される。このとき、上流端Aが一次転写部N1に近いほど、上述の中間転写ベルト6と感光ドラム11との間の放電を抑制する効果が大きくなる。本実施例(図6)では、電位規制部材8は、一次転写ローラ15から上流端Aまでの距離X2が8[mm]程度となるように、一次転写部N1の下流の位置に配置されている。ここで、距離X2は、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、複数の感光ドラム11の中間転写ベルト6に接触する側の共通の接線に沿う方向における、一次転写ローラ15の回転中心と上流端Aとの間の距離である。つまり、本実施例では、上記共通の接線に沿う方向において、一次転写ローラ15の回転中心から一次転写ローラ15の外周までの距離(半径)よりも、一次転写ローラ15の回転中心から上流端Aまでの距離の方が小さい。これに限定されるものではないが、上記距離X2は、1~20[mm]程度が好適であり、典型的には1~10[mm]程度である。
そして、本実施例では、電位規制部材8は、その長手方向の両端部において、付勢手段としての付勢部材である圧縮コイルバネで構成された押圧バネ87(図3(b))により、中間転写ベルト6の内周面に押し付けられている。このとき、電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部を、直線Lよりも感光ドラム11側に侵入させるようにする。これにより、画像形成動作中(中間転写ベルト6の走行中)に中間転写ベルト6に波打ちや振動が発生した場合でも、より安定して電位規制部材8を中間転写ベルト6に接触させることができる。本実施例では、電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部である接触面83の上流端A及び下流端Bを、直線Lに対して0.5[mm]程度感光ドラム11側へ侵入させるように、押圧バネ87の押圧力が設定(調整)されている。このように電位規制部材8の接触面83を直線Lに対して感光ドラム11側へ侵入させることにより、画像形成動作中(中間転写ベルト6の走行中)に中間転写ベルト6に波打ちや振動が発生した場合でも、より安定して電位規制部材8を中間転写ベルト6に面接触させることができる。これに限定されるものではないが、電位規制部材8の接触面83の直線Lに対する侵入量は、0.3~5[mm]程度が好適であり、典型的には0.5~3[mm]程度である。この侵入量は、小さすぎると電位規制部材8を中間転写ベルト6に安定して接触させることが難しくなる可能性があり、大きすぎると中間転写ベルト6の安定した搬送が難しくなる可能性がある。
ここで、感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面において、接触面83の上流端A及び下流端Bを通る直線を直線Mと定義する。このとき、直線Mが直線Lにおける線分CDと交差しないようにすることが好ましい。これにより、電位規制部材8の接触面83が平面である場合に、中間転写ベルト6と電位規制部材8とをより確実に面接触させることができる。直線Mが直線Lにおける線分CDと交差する場合、上流端A側の電位規制部材8の端部又は下流端B側の電位規制部材8の端部のいずれかしか中間転写ベルト6の内周面に接触することができなくなる可能性がある。この場合には、面接触により上述の放電抑制効果を高めることが難しくなる可能性がある。
また、図6において、電位規制部材8は、直線Mと直線Lとがほぼ平行になるように配置されているが、直線Mが直線Lにおける線分CDと交差しない範囲であれば、直線Mを直線Lに対して傾けるようにして電位規制部材8を配置してもよい。例えば、上流端A側の方が下流端B側よりも直線Lに近くなるように直線Mを直線Lに対して傾けることで、上流端A付近で中間転写ベルト6の這いまわしにより中間転写ベルト6に生じる曲率を小さくすることができる。したがって、電位規制部材8との摺擦により中間転写ベルト6の内周面に傷が発生する可能性の低減に対しては有利である。
なお、電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部は平面であることに限定されるものではない。例えば、電位規制部材8が感光ドラム11の回転軸線方向と略直交する断面が感光ドラム11側に凸の曲線状に湾曲した曲げ板などで構成され、電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部が感光ドラム11側に凸の曲面であってもよい。このように電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部(接触面)を曲面形状とすることにより、中間転写ベルト6と摺擦する際のストレスを軽減することができる。ローラ状の電位規制部材8を用いることで、電位規制部材8の中間転写ベルト6の内周面に接触する接触部を曲面としてもよい。
5.単独の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御
次に、一次転写バイアスの補正制御について説明する。ここでは、本発明の理解を容易とするために、まず単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御について説明する。また、ここでは、一次転写バイアスの補正制御の動作は、各一次転写部N1y、N1m、N1c、N1kで同様であり、各一次転写部N1y、N1m、N1c、N1kで同期して個別に行われるものとする。つまり、ここでは、4つの電位規制部材8のそれぞれに対して電位規制電源80が独立して設けられているものと仮定する。
本実施例では、画像形成装置1は、一次転写部N1のATVC制御(Active-Transfer-Voltage-Contorol)を行う。これは、画像形成時に、感光ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト6に一次転写するために必要な一次転写電流を一次転写部N1に流すためである。以下、一次転写部N1のATVC制御のことを、単に「ATVC制御」ともいう。
図7(a)は、ATVC制御を説明するための模式的なグラフ図である。ATVC制御では、感光ドラム11、中間転写ベルト6及び一次転写ローラ15から構成される一次転写部N1の総抵抗値に応じた、画像形成時の一次転写バイアスを求めるために、テストバイアス(試験電圧、試験電流)を用いて電圧-電流特性を取得する。ATVC制御は、制御部3により制御されて実行される。
具体的には、一次転写部N1にトナー像がない非画像形成時に、一次転写電源75からテストバイアスとして所定の電圧あるいは所定の電流を一次転写ローラ15に供給する。テストバイアスの所定の電圧又は所定の電流の設定値は、1水準又は複数水準とされる。本実施例では、3水準のテストバイアスを、設定値を変えながら一次転写ローラ15に供給する。そして、所定の電圧のテストバイアスを一次転写ローラ15に供給した際に一次転写ローラ15(一次転写電源75)に流れた電流を、電流検知センサ75aによって検知する。あるいは所定の電流のテストバイアスを一次転写ローラ15に供給した際に一次転写ローラ15に印加された電圧(一次転写電源75の出力電圧)を、電圧検知センサ75bによって検知する。これにより、一次転写部N1のインピーダンス(総抵抗値)に応じた電圧―電流特性を求めることができる。また、この電圧-電流特性に基づいて、一次転写部N1のインピーダンス(総抵抗値)に応じた、トナーの一次転写に適した一次転写電流を流すために必要な電圧を算出することができる。そして、画像形成時には、算出された電圧を目標電圧とした定電圧制御で一次転写バイアス(ここでは、「実行バイアス」ともいう。)を一次転写ローラ15に印加する。
本実施例では、トナーの一次転写に必要な目標電流は、予め実験などに基づいて例えば環境(温度、湿度)に応じた適正値が求められてROM32に記憶されている。ATVC制御では、例えば、第1のテストバイアスとして、まずその時の環境に応じた目標電流に相当する電流(例えば50[μA])を定電流制御で一次転写ローラ15に供給する(図7(a)中の(1))。そして、第1のテストバイアスを一次転写ローラ15に供給した際に一次転写ローラ15に印加された電圧値(例えば1200[V])を検知する。更に、ATVC制御では、上記第1のテストバイアスを供給した際に検知された電圧値に対して±200Vを増減させた2水準のテストバイアスである第2、第3のテストバイアスを定電圧制御で一次転写ローラ15に供給する(図7(a)中の(2)、(3))。そして、第2、第3のテストバイアスを供給した際に一次転写ローラ15に流れた電流値を検知する。以上の3点から、電圧-電流特性を求める。また、求められた電圧-電流特性に基づいて、目標電流を流すために必要な電圧値を、例えば線形近似で算出する。なお、画像形成装置1の構成などに応じて、目標電流を流すために必要な電圧値を曲線近似で求めてもよい。そして、算出された電圧値を画像形成時に印加する実行バイアスVtrの目標電圧として決定する。画像形成時には、算出された電圧値を目標電圧とした定電圧制御で実行バイアスVtrを一次転写ローラ15に印加する。
なお、定電流制御とは、供給対象に供給される電流が目標電流で略一定となるように電源の出力を調整する制御である。また、定電圧制御とは、印加対象に印加される電圧が目標電圧で略一定となるように電源の出力を調整する制御である。
また、本実施例では、非画像形成時として、ジョブの前回転工程(あるいは前多回転工程)において、ATVC制御を行う。ただし、これに限定されるものではなく、ATVC制御は、例えば連続画像形成時に所定の頻度(所定の画像形成枚数ごとなど)で紙間工程において実行するなど、非画像形成時であれば実行することができる。
ここで、本実施例では、電位規制部材8に印加する電位規制バイアスは、定電圧制御される。本実施例では、電位規制バイアスの目標電圧は、予め実験などに基づいて例えば環境(温度、湿度)に応じた適正値が求められてROM32に記憶されている。画像形成時(あるいは後述するATVC制御時)には、電位規制バイアスは環境に応じた目標電圧で定電圧制御される。(即ち、本実施例で取得される一次転写部N1の電圧-電流特性は、電位規制部材8に電位規制バイアスが印加された状態で取得される。このときの電位規制バイアスは、画像形成時に印加される電位規制バイアスと同じに設定されている。)具体的には、電位規制バイアスは、一次転写部N1の下流における放電によって変化する、中間転写ベルト6上のトナーの帯電量の上昇を抑制する効果が十分に高くなるように設定される。また、電位規制バイアスは、一次転写部N1から電位規制部材8に流れる電流、あるいは一次転写バイアスと電位規制バイアスとの間の電位差によって、一次転写効率が目標値以下にならないように、十分な一次転写性を維持できるように設定される。つまり、このような条件を満たす電位規制バイアスの設定値が予め実験などによって決定される。
しかし、画像形成装置1の設置された温湿度環境、画像形成装置1の連続稼働による機内昇温の影響などで、中間転写ベルト6や一次転写ローラ15などの抵抗値が変動する。これにより、一次転写バイアスや電位規制バイアスが目標として設定した電流あるいは電圧の関係からずれて、一次転写性が損なわれる場合がある。中間転写ベルト6、一次転写ローラ15あるいは電位規制部材8のそれぞれの抵抗値の個体差の影響などにより、上述のような電流あるいは電圧のずれの程度は、画像形成装置1の個体ごと、あるいは画像形成装置1の使用状況ごとに変わることがある。
図8は、一次転写部N1周りの電流を示す模式図である。例えば、一次転写電源75から一次転写ローラ15に目標電流Iaが供給されると、電位規制部材8がない場合は、目標電流Iaと、感光ドラム11方向に流れる転写有効電流It1とは、略一致する。しかし、一次転写部N1の下流に電位規制部材8を配置することで、一次転写ローラ15からの電流路は、転写有効電流It1と、電位規制部材8方向に流れる移流電流It2と、に分岐される。上述のように、ATVC制御では、一次転写部N1の総抵抗値に応じた目標電流を流すための実行バイアスVtrの目標電圧を決定する。このとき、電位規制部材8への移流電流It2は、上述のような抵抗変動などの影響を受けて変動する。そのため、この電位規制部材8への移流電流It2、あるいは電位規制電源80の電流検知センサ80bで検知される電流Ibを考慮せずにATVC制御を行った場合には、実際の転写有効電流It1が減少して、一次転写性が損なわれる場合がある。
更に説明すると、前述のように、一次転写部N1の下流における放電を抑制するためには、一次転写部N1の下流かつ中間転写ベルト6の内周面側に導電性の電極部材である電位規制部材8を配置し、この電位規制部材8に感光ドラム11の帯電極性と同極性のバイアスを印加することが有効である。これにより、一次転写後の感光ドラム11と中間転写ベルト6との間の電位差を小さくして、一次転写部N1の下流における放電を抑制することができる。そして、一次転写部N1の下流の放電を効果的に抑制し、二次転写性を向上させるためには、電位規制部材8を一次転写部N1に近づけ、かつ、電位規制部材8に印加する感光ドラム11と同極性のバイアスを高く設定することが望ましい。しかし、一次転写部N1に電位規制部材8を近づけるほど、また電位規制部材8に印加するバイアスが高いほど、一次転写部N1と電位規制部材8との間に電位差が生まれ、一次転写部N1から電位規制部材8への漏れ電流が大きくなる。そのため、一次転写部N1において感光ドラム11方向に流れる一次転写電流が低下して一次転写性が損なわれる。逆に、一次転写性を維持するために電位規制部材8を一次転写部N1から遠ざけるほど、また電位規制部材8に印加するバイアスを下げるほど、一次転写部N1の下流での放電を抑制する効果が低くなり、トナーの帯電量の上昇を抑制することが難しくなり、二次転写性が損なわれる可能性がある。したがって、一次転写性を維持しつつ二次転写性を向上させるためには、一次転写部N1から電位規制部材8へ流れる電流を加味して一次転写バイアスを補正し、感光ドラム11方向に流れる一次転写電流を維持することが望まれる。
図9を用いて、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御について説明する。図9は、ジョブの実行中の一次転写バイアス及び電位規制バイアスの電圧値及び電流値の推移を示すタイミングチャート図である。
制御部3は、ジョブの前回転工程において一次転写部N1のATVC制御を実行する際に、概略、次のようにして一次転写バイアスの補正を行う。制御部3は、ジョブの前回転工程において、電位規制部材8に電位規制バイアスを印加した状態で、電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値を、一次転写ローラ15にテストバイアスを印加しない際と、一次転写ローラ15にテストバイアスを印加した際と、で検知する。そして、制御部3は、検知されたこれらの電流値に基づいて一次転写バイアスの補正を行う。以下、図9を参照して更に詳しく説明する。
ジョブが開始されると、中間転写ベルト6の駆動が開始されて、前回転工程が開始される(T1)。その後、電位規制電源80から電位規制部材8への定電圧制御での電位規制バイアスの印加が開始される(T2)。例えば、この際の電位規制バイアスの目標電圧Vbは、画像形成時と同様の環境に応じた所定の電圧(例えば、Vb=-3000[V])とされる。そして、テストバイアスが一次転写ローラ15に印加される前に、電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値Ib1が電流検知センサ80bにより検知される(例えば、Ib1=-5[μA])。
その後、ATVC制御が開始されて、一次転写電源75から一次転写ローラ15への目標電流It1(例えば、It1=50[μA])を狙ったテストバイアス(前述の第1のテストバイアス)の定電流制御での印加が行われる(T3)。この際の目標電流It1は、環境に応じた画像形成時の一次転写バイアスの目標電流に相当するものとされる。そして、前述のようにして補正前の実行バイアスVtr(例えば、Vtr=1200V)が決定される。なお、前述のように、本実施例では、ATVC制御において3水準のテストバイアスの一次転写ローラ15への印加が行われるが、図9では簡単のため画像形成時の目標電流を狙った定電流制御でのテストバイアスについてのみ図示している。上記テストバイアスの印加により実行バイアスVtrが決定されるが、ここで決定された実行バイアスVtrは、前述のように中間転写ベルト6の抵抗変動などによる電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流Ib1の変動に影響を受ける。これにより、目標電流Iaと実際の転写有効電流It1とがずれる可能性がある。
そのため、本実施例では、テストバイアス(前述の第1のテストバイアス)を一次転写ローラ15に印加した際に、電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値Ib2が電流検知センサ80bにより検知される(例えば、Ib2=-10[μA])。また、テストバイアスを一次転写ローラ15に印加しない際に検知された電流値Ib1と、テストバイアスを一次転写ローラ15に印加した際に検知された電流値Ib2と、の差分ΔI(=|Ib1-Ib2|)(例えば、ΔI=5[μA])が求められる。そして、この差分ΔIを前述の移流電流It2とみなし、上記テストバイアスの目標電流It1にこの差分ΔIが上乗せされて目標電流Iaが決定される。また、ATVC制御で取得された電圧―電流特性に基づいて、その目標電流Iaに対応するように補正された実行バイアスVtr’(例えば、Vtr’=1500[V])が決定される。図7(b)は、一次転写バイアスの補正を説明するための模式的なグラフ図である。つまり、図7(b)中に実線で示す電位規制部材8がない場合(電位規制バイアスがOFFの場合)の電圧-電流特性に基づいて、図7(b)中に破線で示す電位規制部材8がある場合(電位規制バイアスがONの場合)の電圧-電流特性に応じた実行バイアスVtr’を決定することができる。画像形成時には、その決定された補正後の実行バイアスVtr’が定電圧制御で一次転写ローラ15に印加される(T4~T5)。
なお、本実施例では一次転写バイアスを定電圧制御しているため、上述の一次転写バイアスの補正制御において目標電流Iaに対応する電圧値を決定したが、これに限定されるものではない。例えば、一次転写バイアスを定電流制御する場合は、一次転写バイアスの補正制御において上述のようにして目標電流Iaを決定し、画像形成時にはその決定された目標電流Iaで一次転写バイアスを定電流制御すればよい。これによっても、電位規制部材8に流れる電流の変動を考慮した一次転写バイアスの補正が可能となる。これは、後述する本実施例の制御及び実施例2の制御についても同様である。一次転写バイアスを定電流制御する場合、ATVC制御により例えば画像形成時の一次転写バイアスの初期電圧値などを決定することができる。また、画像形成装置1は、一次転写バイアスの定電圧制御と定電流制御との両方を行うようになっていてもよい。
また、上述の一次転写バイアスの補正制御では、テストバイアスを印加した際に電位制御部材8(電位規制電源80)に流れる電流として、前述の第1のテストバイアスを印加した際の電流を検知したが、これに限定されるものではない。例えば、複数水準のテストバイアスを印加して求められた電圧-電流特性に基づいて決定された、目標電流に対応する補正前の実行バイアスVtrをテストバイアスとして再度印加して、その際に電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流を検知してもよい。これは、後述する本実施例の制御についても同様である。
次に、図10を用いて、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御の手順について説明する。図10は、ジョブの手順の概略を示すフローチャート図である。
制御部3は、ジョブを開始すると(S1)、電位規制電源80から電位規制部材8への定電圧制御での所定の電圧の印加を開始し、電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値Ib1を電流検知センサ80bにより検知する(S2)。次に、制御部3は、一次転写電源75から一次転写ローラ15にテストバイアスを印加して(S3)、取得した一次転写部N1の電圧―電流特性に基づいて補正前の実行バイアスVtrを決定する(S4)。また、S4において、制御部3は、テストバイアス(目標電流It1で定電流制御したテストバイアス)を印加した際に電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値Ib2を電流検知センサ80bにより検知する。次に、制御部3は、電流値Ib1と電流値Ib2との差分(電流変化)ΔI(=|Ib1-Ib2|)を求める(S5)。その後、制御部3は、上記目標電流It1に対してΔIを上乗せした目標電流Iaを決定する(S6)。次に、制御部3は、上記一次転写部N1の電圧―電流特性に基づいて目標電流Iaに対応する補正後の実行バイアスVtr’を決定する(S7)。そして、制御部3は、補正後の実行バイアスVtr’を定電圧制御で一次転写ローラ15に印加して通常の画像形成動作を実行し(S8)、ジョブを終了する(S9)。
6.複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御
次に、本実施例における、複数の一次転写部N1のそれぞれに対して設けられた複数の電位規制部材8に共通の高圧電源から電位規制バイアスを印加する場合の、一次転写バイアスの補正制御について説明する。本実施例における一次転写バイアスの補正制御の基本的な動作は、上述の単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御と同様である。
図11は、本実施例における複数の電位規制部材8に対するバイアスの印加構成を説明するための模式図である。図11に示すように、本実施例では、4つの一次転写部N1y、N1m、N1c、N1kのそれぞれに対して設けられた電位規制部材8y、8m、8c、8kは、1つの電位規制電源(高圧電源)80に並列接続されている。つまり、本実施例では、画像形成装置1は、1つの電位規制電源80から、これに並列接続された4つの電位規制部材8y、8m、8c、8kに電位規制バイアスを印加する構成とされている。
図12を用いて、本実施例における複数の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御について説明する。図12は、本実施例における、ジョブの実行中の、第1及び第2の一次転写部材に印加する一次転写バイアスの電圧値の推移、及び電位規制バイアスの電圧値及び電流値の推移を示すタイミングチャート図である。ここでは、簡単のため第1及び第2の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御に注目して説明する。一例として、第1の一次転写部はイエローの一次転写部N1y、第2の一次転写部はマゼンタの一次転写部N1mであるものとする。そして、第1の一次転写部材、第1の一次転写電源、第1の電位規制部材は、それぞれイエローの一次転写ローラ15y、一次転写電源75y、電位規制部材8yであるものとする。また、第2の一次転写部材、第2の一次転写電源、第2の電位規制部材は、それぞれマゼンタの一次転写ローラ15m、一次転写電源75m、電位規制部材8mであるものとする。
本実施例では、制御部3は、ジョブの前回転工程において一次転写部N1のATVC制御を実行する際に、概略、次のようにして第1及び第2の一次転写部N1y、N1mに対する一次転写バイアスの補正を行う。制御部3は、ジョブの前回転工程において、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにテストバイアスを印加しない状態で、第1及び第2の電位規制部材8y、8mを含む並列接続された複数の電位規制部材8(以下、単に「複数の電位規制部材8」ともいう。)に電位規制バイアスを印加し、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I0を検知する。続いて、制御部3は、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対して、順次、個別に、テストバイアスを印加する。第1の一次転写ローラ15yにテストバイアスを印加している際は、第2の一次転写ローラ15mにはテストバイアスは印加しない。また、第2の一次転写ローラ15mにテストバイアスを印加している際は、第1の一次転写ローラ15yにはテストバイアスを印加しない。制御部3は、第1の一次転写ローラ15yにテストバイアスを印加した状態で、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加し、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I1を検知する。また、制御部3は、第2の一次転写ローラ15mにテストバイアスを印加した状態で、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加し、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I2を検知する。そして、制御部3は、電流値I0と電流値I1との差分(電流差)ΔI1、電流値I0と電流値I2との差分(電流差)ΔI2を算出する。また、制御部3は、算出された差分ΔI1、ΔI2に基づいて第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mのそれぞれに対する一次転写バイアスの補正を行う。以下、図10を参照して更に詳しく説明する。
ジョブが開始されると、中間転写ベルト6の駆動が開始されて、前回転工程が開始される(T6)。その後、電位規制電源80から複数の電位規制部材8への定電圧制御での電位規制バイアスの印加が開始される(T7)。本実施例では、この際の電位規制バイアスの目標電圧Vbは、画像形成時と同様の環境に応じた所定の電圧(例えば、Vb=-3000[V])とされる。そして、テストバイアスが第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに印加される前に、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I0が電流検知センサ80bにより検知される(例えば、I0=-4[μA])。
その後、ATVC制御が開始されて、第1の一次転写電源75yから第1の一次転写ローラ15yへの目標電流(例えば、50[μA])を狙ったテストバイアス(前述の第1のテストバイアス)の定電流制御での印加が行われる(T8)。この際の目標電流は、環境に応じた画像形成時の一次転写バイアスの目標電流に相当するものとされる。そして、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第1の一次転写部N1yに対する補正前の実行バイアスVtr1が決定される。なお、図9の場合と同様に、図10では簡単のため画像形成時の目標電流を狙った定電流制御でのテストバイアスについてのみ図示している。この際に、第2の一次転写ローラ15mには、第2の一次転写電源75mからテストバイアスは印加されない。また、テストバイアスを第1の一次転写ローラ15yに印加した際に、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I1が電流検知センサ80bにより検知される(例えば、I1=-9[μA])。そして、テストバイアスを第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに印加しない際に検知された電流値I0と、テストバイアスを第1の一次転写ローラ15yのみに印加した際に検知された電流値I1との差分ΔI1(=|I1-I0|)(例えば、ΔI1=5[μA])が求められる。
続いて、第1の一次転写ローラ15yに印加されていたテストバイアスがOFFされ、第2の一次転写電源75mから第2の一次転写ローラ15mへの目標電流(例えば、50[μA])を狙ったテストバイアス(前述の第1のテストバイアス)の定電流制御での印加が行われる(T9)。そして、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第2の一次転写部N1mに対する補正前の実行バイアスVtr2が決定される。また、テストバイアスを第2の一次転写ローラ15mに印加した際に、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I2が電流検知センサ80bにより検知される(例えば、I2=-7[μA])。そして、テストバイアスを第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに印加しない際に検知された電流値I0と、テストバイアスを第2の一次転写ローラ15mのみに印加した際に検知された電流値I2との差分ΔI2(=|I2-I0|)(例えば、ΔI2=3[μA])が求められる。
続いて、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第1の転写ローラ15yに対する補正された実行バイアスVtr1’(例えば、Vtr1’=1400V)、及び第2の転写ローラ15mに対する補正された実行バイアスVtr2’(例えば、Vtr2’=1200V)が決定される。つまり、例えば、第1の一次転写部N1yに関して、上記差分ΔI1を前述の移流電流It2とみなし、上記テストバイアスの目標電流にこの電流ΔI1が上乗せされて目標電流Iaが決定される。また、ATVC制御で取得された電圧―電流特性に基づいて、その目標電流Iaに対応するように補正された実行バイアスVtr1’が決定される。第2の一次転写部N1mに関しても同様にして補正された実行バイアスVtr2’が決定される。画像形成時には、その決定された補正後の実行バイアスVtr1’及びVtr2’が、定電圧制御で第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにそれぞれ印加される(T10~T11)。
次に、図13を用いて、本実施例における複数の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御の手順について説明する。図13は、本実施例におけるジョブの手順の概略を示すフローチャート図である。
制御部3は、ジョブを開始すると(S10)、電位規制電源80から並列接続された複数の電位規制部材8への定電圧制御での所定の電圧の印加を開始し、複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I0を電流検知センサ80bにより検知する(S11)。次に、制御部3は、第1の一次転写電源75yから第1の一次転写ローラ15yにテストバイアスを印加して、取得した第1の一次転写部N1yの電圧―電流特性に基づいて第1の一次転写ローラ15yに対する補正前の実行バイアスVtr1を決定する(S12)。そして、制御部3は、テストバイアスを第1の一次転写ローラ15yに印加した際に複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I1を電流検知センサ80bにより検知し、電流値I0と電流値I1との差分(電流変化)ΔI1(=|I1-I0|)を求める(S13)。その後、制御部3は、第1の一次転写ローラ15yに印加されていたテストバイアスをOFFする(S14)。続いて、制御部3は、第2の一次転写電源75mから第2の一次転写ローラ15mにテストバイアスを印加して、取得した第2の一次転写部N1mの電圧-電流特性に基づいて第2の一次転写ローラ15mに対する補正前の実行バイアスVtr2を決定する(S15)。そして、制御部3は、テストバイアスを第2の一次転写ローラ15mに印加した際に複数の電位規制部材8(電位規制電源80)に流れる電流値I2を電流検知センサ80bにより検知し、電流値I0と電流値I2との差分(電流変化)ΔI2(=|I2-I0|)を求める(S16)。次に、制御部3は、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第1の転写ローラ15yに対する補正された実行バイアスVtr1’、及び第2の転写ローラ15mに対する補正された実行バイアスVtr2’を決定する(S17)。そして、制御部3は、補正後の実行バイアスVtr1’及びVtr2’を定電圧制御で第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにそれぞれ印加して通常の画像形成動作を実行し(S18)、ジョブを終了する(S19)。
ここでは、簡単のため第1及び第2の一次転写部のそれぞれに対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したが、本実施例では図11に示すように4つの一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8が共通の電位規制電源80に並列接続されている。この場合、第3及び第4の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御も上述の方法で同様に行うことができる。3つの一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8、あるいは5つ以上の一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8が共通の電位規制電源80に並列接続されている場合も同様である。つまり、第1及び第2の一次転写部に関して上述したのと同様に、複数の一次転写部に対して、順次、個別に、テストバイアスを印加する。そして、上述したのと同様に、テストバイアスを印加したときに検知した電流値Ix(x=1、2、・・・)と、テストバイアスを印加しないときに検知した電流値I0と、の差分(電流変化)に基づいて、各一次転写部に対する一次転写バイアスを補正することができる。
このように、本実施例では、画像形成装置1は、所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第1の感光体(第1の感光ドラム)11yと、上記所定の極性に帯電可能であり、トナー像を担持する第2の感光体(第2の感光ドラム)11mと、第1の感光体11yと接触する第1の一次転写部N1yで第1の感光体11yから一次転写されたトナー像及び第2の感光体11mと接触する第2の一次転写部N1mで第2の感光体11mから一次転写されたトナー像を、二次転写部N2で記録材Sに二次転写するために搬送する、周回移動可能な中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6の内周面に接触し、第1の一次転写部N1yを形成する第1の一次転写部材(第1の一次転写ローラ)15yと、中間転写ベルト6の内周面に接触し、第2の一次転写部N1mを形成する第2の一次転写部材(第2の一次転写ローラ)15mと、中間転写ベルト8の移動方向における第1の一次転写部N1yの下流側に設けられ、中間転写ベルト6の内周面に接触する第1の電極部材(第1の電位規制部材)8yと、中間転写ベルト6の移動方向における第2の一次転写部N1mの下流側に設けられ、中間転写ベルト6の内周面に接触する第2の電極部材(第2の電位規制部材)8mと、第1の一次転写部材15yに上記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部(第1の一次転写電源)75yと、第2の一次転写部材15mに上記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部(第2の一次転写電源)75mと、第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部(電位規制電源)80と、第3の印加部80に流れる電流又は第3の印加部80にかかる電圧を検知する検知部80a、80b(本実施例では電流検知センサ80b)と、第1、第2及び第3の印加部75y、75m、80を制御可能な制御部3と、を有する。本実施例では、制御部3は、中間転写ベルト6に一次転写したトナー像を記録材Sに二次転写する画像形成モード(画像形成動作)と、画像形成モードで第1及び第2の印加部75y、75mにより第1及び第2の一次転写部材15y、15mにそれぞれ印加する転写バイアス(一次転写バイアス)を設定する設定モード(前回転工程における一次転写バイアスの補正制御)と、を実行するように制御を行うことが可能である。そして、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第1及び第2の印加部75y、75mにより第1及び第2の一次転写部材15y、15mにバイアスを印加しない際の検知部80bによる第1の検知結果(I0)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加せずに第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の検知部80bによる第2の検知結果(I1)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加せずに第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の検知部80bによる第3の検知結果(I2)と、を取得して、第1の検知結果及び第2の検知結果に基づいて第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアス(一次転写バイアス)を設定し、第1の検知結果及び第3の検知結果に基づいて第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアス(一次転写バイアス)を設定するように制御する。
また、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定の極性と同極性の所定のバイアスを定電圧制御で印加した状態で、第1、第2及び第3の検知結果を取得するように制御する。また、本実施例では、制御部3は、画像形成モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定のバイアスを定電圧制御で印加するように制御する。また、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第1の検知結果を取得した後に第2の検知結果を取得し、第2の検知結果を取得した後に第3の検知結果を取得するように制御する。また、本実施例では、上記検知部80bは第3の検知部80bであり、画像形成装置1は、第1の印加部75yに流れる電流又は第1の印加部75yにかかる電圧を検知する第1の検知部(第1の電圧検知センサ75ay、第1の電流検知センサ75by)と、第2の印加部75mに流れる電流又は第2の印加部75mにかかる電圧を検知する第2の検知部(第2の電圧検知センサ75am、第2の電流検知センサ75bm)と、を有し、制御部3は、設定モードにおいて、第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の第1の検知部75ay、75byによる検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第2の検知結果との差分に基づいて、第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電圧を設定し、第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の第2の検知部75am、75bmによる検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第3の検知結果との差分に基づいて、第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電圧を設定するように制御する。また、制御部3は、設定モードにおいて、予め設定された第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第2の検知結果との差分に基づいて、第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流を設定し、予め設定された第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第3の検知結果との差分に基づいて、第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流を設定するように制御してもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、一次転写に必要な目標電流を確保することによる一次転写性の維持と、所定の電位規制バイアスによって一次転写部N1の下流における放電を効果的に抑制することによる二次転写性の向上と、の両立が可能となる。したがって、本実施例によれば、複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電極部材に共通の電源からバイアスを印加する構成において、それぞれの一次転写部での一次転写性を維持しつつ、二次転写性を向上させることができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施例では、複数の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御の他の例について説明する。本実施例においても、実施例1と同様に、簡単のため第1及び第2の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御に注目して説明する。一例として、第1の一次転写部はイエローの一次転写部N1y、第2の一次転写部はマゼンタの一次転写部N1mであるものとする。
実施例1では、先に複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加した上で、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにテストバイアスを印加したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、先に第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにテストバイアスを印加した後に、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加してもよい。この場合、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加した状態で、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対して、順次、個別に、テストバイアスを印加して、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに流れる電流の変化を求める。このような方法によっても、第1及び第2の一次転写部N1y、N1mのそれぞれに対する一次転写バイアスを補正することが可能である。
図14を用いて、本実施例における複数の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御について説明する。図14は、本実施例における、ジョブの実行中の、第1及び第2の一次転写部材に印加する一次転写バイアスの電圧値及び電流値の推移、及び電位規制バイアスの電圧値の推移を示すタイミングチャート図である。
ジョブが開始されると、中間転写ベルト6の駆動が開始されて、前回転工程が開始される(T12)。その後、電位規制電源80からの出力電圧が複数の電位規制部材8に印加される前に、ATVC制御が開始されて、第1及び第2の一次転写電源75y、75mから第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mへの目標電流を狙ったテストバイアスの印加が行われる(T13)。そして、実施例1で説明したのと同様にして第1及び第2の一次転写部N1y、N1mのそれぞれに対する補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2が決定される。なお、本実施例では、この際に実施例1と同様にテストバイアスの定電流制御での印加などが行われて補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2が決定される。そして、本実施例では、補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2が決定された後は、前回転工程における第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対するバイアス(補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2)の印加は、定電圧制御で行われる。そして、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2が印加されている際に、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15m(第1の一次転写電源75y、75m)に流れる電流値I1a及びI2aが、それぞれ第1及び第2の電流検知センサ75by、75bmにより検知される。その後、第1の一次転写ローラ15yへのバイアス(補正前の実行バイアスVtr1)の印加が維持されたまま、第2の一次転写ローラ15mに印加されていたバイアス(補正前の実行バイアスVtr2)がOFFされ、電位規制電源80から複数の電位規制部材8への定電圧制御での電位規制バイアスの印加が開始される(T14)。そして、第1の一次転写ローラ15y(第1の一次転写電源75y)に流れる電流値I1bが第1の電流検知センサ75byにより検知され、電流値I1aと電流値I1bとの差分(電流変化)ΔI1(=|I1a-I1b|)が求められる。
次に、複数の電位規制部材8への電位規制バイアスの印加が維持されたまま、第1の一次転写ローラ15yに印加されていたバイアス(補正前の実行バイアスVtr1)がOFFされ、第2の一次転写ローラ15mへのバイアス(補正前の実行バイアスVtr2)の印加が開始(再開)される(T15)。そして、その際に、第2の一次転写ローラ15m(第2の一次転写電源75m)に流れる電流値I2bが第2の電流検知センサ75bmにより検知され、電流値I2aと電流値I2bとの差分(電流変化)ΔI2(=|I2a-I2b|)が求められる。
そして、実施例1にて単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第1の転写ローラ15yに対する補正された実行バイアスVtr1’、及び第2の転写ローラ15mに対する補正された実行バイアスVtr2’が決定される。つまり、例えば、第1の一次転写部N1yに関して、上記差分ΔI1を前述の移流電流It2とみなし、上記テストバイアスの目標電流にこの電流ΔI1が上乗せされて目標電流Iaが決定される。また、ATVC制御で取得された電圧―電流特性に基づいて、その目標電流Iaに対応するように補正された実行バイアスVtr1’が決定される。第2の一次転写部N1mに関しても同様にして補正された実行バイアスVtr2’が決定される。画像形成時には、その決定された補正後の実行バイアスVtr1’及びVtr2’が、定電圧制御で第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにそれぞれ印加される(T16~T17)。
次に、図15を用いて、本実施例における複数の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御の手順について説明する。図15は、本実施例におけるジョブの手順の概略を示すフローチャート図である。
制御部3は、ジョブを開始すると(S20)、第1及び第2の一次転写電源75y、75mから第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにテストバイアスを印加して、取得した第1及び第2の一次転写部N1y、N1mの電圧―電流特性に基づいて、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mのそれぞれに対する補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2を決定する(S21)。上述のように、制御部3は、補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2を決定した後は、前回転工程における第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対するバイアスの印加は、定電圧制御で行うように制御する。また、S21において、制御部3は、バイアス(補正前の実行バイアスVtr1及びVtr2)を第1及び第2の一次転写ローラ15に印加した際に第1及び第2の一次転写ローラ15y、15m(第1及び第2の一次転写電源75y、75m)に流れる電流値I1a及びI2aを、それぞれ第1及び第2の電流検知センサ75by、75bmにより検知する。その後、制御部3は、第1の一次転写ローラ15yへのバイアス(補正前の実行バイアスVtr1)の印加を維持したまま、電位規制電源80から並列接続された複数の電位規制部材8への定電圧制御での所定の電圧の印加を開始し(S22)、第2の一次転写ローラ15mに印加されていたバイアス(補正前の実行バイアスVtr2)をOFFする(S23)。そして、制御部3は、第1の一次転写ローラ15y(第1の一次転写電源75y)に流れる電流値I1bを第1の電流検知センサ75byにより検知し、電流値I1aと電流値I1bとの差分(電流変化)ΔI1(=|I1a-I1b|)を求める(S24)。その後、制御部3は、第1の一次転写ローラ15yに印加されていたバイアス(補正前の実行バイアスVtr1)をOFFし(S25)、第2の一次転写電源75mから第2の一次転写ローラ15mへのバイアス(補正前の実行バイアスVtr2)の印加を開始(再開)する(S26)。そして、制御部3は、第2の一次転写ローラ15m(第2の一次転写電源75m)に流れる電流値I2bを第2の電流検知センサ75bmにより検知し、電流値I2aと電流値I2bとの差分(電流変化)ΔI2(=|I2a-I2b|)を求める(S27)。次に、制御部3は、単独の一次転写部N1に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したのと同様にして、第1の転写ローラ15yに対する補正された実行バイアスVtr1’、及び第2の転写ローラ15mに対する補正された実行バイアスVtr2’を決定する(S28)。そして、制御部3は、補正後の実行バイアスVtr1’及びVtr2’を定電圧制御で第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mにそれぞれ印加して通常の画像形成動作を実行し(S29)、ジョブを終了する(S30)。
ここでは、簡単のため第1及び第2の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御に関して説明したが、本実施例では図11に示すように4つの一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8が共通の電位規制電源80に並列接続されている。この場合、第3及び第4の一次転写部に対する一次転写バイアスの補正制御も上述の方法で同様に行うことができる。3つの一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8、あるいは5つ以上の一次転写部のそれぞれに対して設けられた電位規制部材8が共通の電位規制電源80に並列接続されている場合も同様である。この場合、複数の一次転写部のすべてに先に一次転写バイアスを印加し、その後複数の電位規制部材に電位規制バイアスを印加した状態で、複数の一次転写部に対して、順次、個別に、テストバイアスを印加する。そして、上記同様に、一次転写部材に流れる電流の差分(電流変化)に基づいて各一次転写部に対する一次転写バイアスを補正することができる。
また、本実施例では、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加しない状態での第1及び第2の一次転写ローラ15y、15m(第1及び第2の一次転写電源75y、75m)に流れる電流の検知は並行して行われた。ただし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、例えば、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加しない状態で、第1の一次転写ローラ15yに流れる電流、第2の一次転写ローラ15mに流れる電流を、順次、検知するようにしてもよい。そして、例えば、電位規制バイアスを印加しない状態で複数の一次転写ローラ15に流れる電流を検知し終えた後に、電位規制バイアスを印加した状態で各一次転写ローラ15に流れる電流を、順次、検知するようにすることができる。
なお、本実施例では、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに流れる電流の変化を求めることで第1及び第2の一次転写部N1y、N1mのそれぞれに対する一次転写バイアスを補正したがこの限りではない。第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに流れる電流の変化を求める方法に代えて、実施例1のように電位規制部材に流れる電流を検知する検知部を設け、電位規制部材8に流れる電流の変化を検知しても良い。
例えば、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加しない状態で、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対して、順次、個別に、テストバイアスを印加したときの電位規制部材8に流れる電流(I1a、I2a)をそれぞれ検知する。
一方、複数の電位規制部材8に電位規制バイアスを印加した状態で、第1及び第2の一次転写ローラ15y、15mに対して、順次、個別に、テストバイアスを印加したときの電位規制部材8に流れる電流(I1a’、I2a’)をそれぞれ検知する。
また、電位規制バイアスを印加した場合と、印加しなかった場合における電位規制部材8に流れる電流の変化(ΔI1=I1a-I1a’、ΔI2=I2a-I2a’)を求める。そして、電位規制部材8に流れる電流の変化(ΔI1=I1a-I1a’、ΔI2=I2a-I2a’)に基づいて、第1及び第2の一次転写部N1y、N1mのそれぞれに対する一次転写バイアスを補正しても良い。
このように、本実施例では、画像形成装置1は、第1の一次転写部材15yに所定の極性(第1及び第2の感光体11y、11mの帯電極性)とは逆極性のバイアスを印加する第1の印加部(第1の一次転写電源)75yと、第2の一次転写部材15mに上記所定の極性とは逆極性のバイアスを印加する第2の印加部(第2の一次転写電源)75mと、第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定の極性と同極性のバイアスを印加する第3の印加部(電位規制電源)80と、第1の印加部75yに流れる電流又は第1の印加部75mにかかる電圧を検知する第1の検知部75ay、75by(本実施例では第1の電流検知センサ75by)と、第2の印加部75mに流れる電流又は第2の印加部75mにかかる電圧を検知する第2の検知部75am、75bm(本実施例では第2の電流検知センサ75bm)と、第1、第2及び第3の印加部75y、75m、80を制御可能な制御部3と、を有する。本実施例では、制御部3は、画像形成モード(画像形成動作)と、設定モード(前回転工程における一次転写バイアスの補正制御)と、を実行するように制御を行うことが可能である。そして、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加しない状態で第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の第1の検知部75byによる第1の検知結果(I1a)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加しない状態で第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の第2の検知部75bmによる第2の検知結果(I2a)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加せずに第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の第1の検知部75byによる第3の検知結果(I1b)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加せずに第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の第2の検知部75bmによる第4の検知結果(I2b)と、を取得して、第1の検知結果及び第3の検知結果に基づいて第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアス(一次転写バイアス)を設定し、第2の検知結果及び第4の検知結果に基づいて第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアス(一次転写バイアス)を設定するように制御する。
また、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定の極性と同極性の所定のバイアスを定電圧制御で印加した状態で、第3及び第4の検知結果を取得するように制御する。また、本実施例では、制御部3は、画像形成モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mに上記所定のバイアスを定電圧制御で印加するように制御する。また、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加しない状態で、第1の印加部75yによる第1の一次転写部材15yへのバイアスの印加、及び第2の印加部75mによる第2の一次転写部材15mへのバイアスの印加を行った際に、第1及び第2の検知結果を取得し、第1及び第2の検知結果を取得した後に第3の検知結果を取得し、第3の検知結果を取得した後に第4の検知結果を取得するように制御する。また、本実施例では、制御部3は、設定モードにおいて、第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の第1の検知部75ay、75byによる検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第3の検知結果との差分に基づいて、第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電圧を設定し、第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の第2の検知部75am、75bmによる検知結果に基づいて取得した電圧-電流特性、予め設定された第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第4の検知結果との差分に基づいて、第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電圧を設定するように制御する。また、制御部3は、設定モードにおいて、予め設定された第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第3の検知結果との差分に基づいて、第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスの目標電流を設定し、予め設定された第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流、及び第1の検知結果と第4の検知結果との差分に基づいて、第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスの目標電流を設定するように制御してもよい。
また、画像形成装置1は、第3の印加部80に流れる電流又は第3の印加部80にかかる電圧を検知する検知部80a、80b(例えば電流検知センサ80b)を有していてもよい。そして、制御部3は、設定モードにおいて、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加しない状態で第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加せずに第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の検知部80bによる第1の検知結果(I1a)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加しない状態で第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加せずに第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の検知部80bによる第2の検知結果(I2a)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加せずに第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加した際の検知部80bによる第3の検知結果(I1a’)と、第3の印加部80により第1及び第2の電極部材8y、8mにバイアスを印加した状態で第1の印加部75yにより第1の一次転写部材15yにバイアスを印加せずに第2の印加部75mにより第2の一次転写部材15mにバイアスを印加した際の検知部80による第4の検知結果(I2a’)と、を取得して、第1の検知結果及び第3の検知結果に基づいて第1の一次転写部材15yに印加する転写バイアスを設定し、第2の検知結果及び第4の検知結果に基づいて第2の一次転写部材15mに印加する転写バイアスを設定するように制御してもよい。
以上説明したように、本実施例の制御によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、中間転写ベルトに接触する接触面が平面である電位規制部材(電極部材)は、板金などで形成された板状の部材であったが、同様の接触面を形成することができれば、例えば断面矩形のブロック状の部材などの他の形態であってもよい。中間転写ベルトに接触する接触面が曲面である電位規制部材(電極部材)についても同様である。
また、上述の実施例では、感光体の所定の帯電極性は負極性であったが、これに限定されるものではなく、感光体の所定の帯電極性は正極性であってもよい。同様に、上述の実施例では、トナーの正規の帯電極性は負極性であったが、トナーの正規の帯電極性は正極性であってもよい。感光体の所定の帯電極性、トナーの正規の帯電極性が正極性である場合における各種印加電圧は、上述の実施例に準じて、上述の実施例とは逆極性とするなど適宜変更すればよい。
また、上述の実施例では、画像形成時に電位規制部材(電極部材)に印加されるバイアスを定電圧制御していたが、定電流制御してもよい。この場合、ATVC制御時に一次転写部材にテストバイアスを印加した場合とそうでない場合の検知電圧に基づいて、一次転写バイアスを決定しても良い。
また、感光体は、ドラム状のもの(感光ドラム)に限定されるものではなく、無端ベルト状のもの(感光ベルト)などであってもよい。
また、上述の実施例では、画像形成装置は、複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電極部材を1つの高圧電源に並列接続した構成とされていたが、本発明は斯かる構成に限定されるものではない。複数の一次転写部のそれぞれに対して設けられた複数の電極部材を、その電極部材の数よりも少ない数の高圧電源に並列接続した構成であれば、それらの一次転写部のそれぞれに対する一次転写バイアスの補正制御に関して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
1 画像形成装置
6 中間転写ベルト
8 電位規制部材(電極部材)
11 感光ドラム(感光体)
15 一次転写ローラ(一次転写部材)
80 電位規制電源
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