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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026054797
(43)【公開日】2026-03-30
(54)【発明の名称】インク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/322 20140101AFI20260323BHJP
   B41M 5/00 20060101ALN20260323BHJP
【FI】
C09D11/322
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160094
(22)【出願日】2024-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 愛
【テーマコード(参考)】
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2H186BA10
2H186DA14
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB50
2H186FB54
4J039BC10
4J039BC13
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA06
4J039EA42
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】疎水性が高い溶剤処方においても濃い画像濃度と広い線幅を両立させることが可能なインクを提供する。
【解決手段】インクは、一般式(1)で示される界面活性剤と、log Kowが-1.0以上0.4以下の水溶性溶剤と、顔料と、水と、を含有し、前記水溶性溶剤の含有量が30質量%以上50質量%以下である。
【化1】
(一般式(1)中、mとnは和が12以上14以下の整数であり、xは1以上20以下の整数であり、yは1以上10以下の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される界面活性剤と、log Kowが-1.0以上0.4以下の水溶性溶剤と、顔料と、水と、を含有し、
前記水溶性溶剤の含有量が30質量%以上50質量%以下である
インク。
【化1】
(一般式(1)中、mとnは和が12以上14以下の整数であり、xは1以上20以下の整数であり、yは1以上10以下の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載のインクであって、
動的表面張力の10msecの値が37mN/m以上39mN/m以下である
インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、インクジェット印刷用のインクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷に用いられるインクには、濃い画像濃度と広い線幅での印刷が可能なものが好適である。濃い画像濃度は、疎水性の高い溶剤を多く含む溶剤処方を用い、紙表面で顔料を凝集させることで実現可能である。しかしながら、疎水性が高い溶剤処方を用いると、界面活性剤を用いて表面張力を低下させることができず、インクの濡れ広がりが悪くなる。したがって濃い画像濃度と広い線幅はトレードオフの関係にあり、これらを両立させることは困難である。
【0003】
これに対し、特許文献1には、色材と所定の化合物を添加したインクによって、普通紙上及び専用紙の両方において色濃度に優れ、インクジェット記録にあってはさらに吐出安定性が優れ、印字における十分な線幅が確保できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-225603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のインクでは、上記化合物の疎水性が低いため、疎水性が高い溶媒処方においては表面張力を下げる界面活性剤としての効果が得られにくくなり、十分な線幅が得られなくなるという問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、疎水性が高い溶剤処方においても濃い画像濃度と広い線幅を両立させることが可能なインクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るインクは、一般式(1)で示される界面活性剤と、log Kowが-1.0以上0.4以下の水溶性溶剤と、顔料と、水と、を含有し、前記水溶性溶剤の含有量が30質量%以上50質量%以下である。
【化1】
(一般式(1)中、mとnは和が12以上14以下の整数であり、xは1以上20以下の整数であり、yは1以上10以下の整数である。)
【0008】
上記インクは、界面活性剤と水溶性溶剤が共に好適な疎水性を有するため、インクの動的表面張力が好適な範囲となり、濃い画像濃度と広い線幅を両立させることが可能である。
【0009】
動的表面張力の10msecの値が37mN/m以上39mN/m以下であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、疎水性が高い溶剤処方においても濃い画像濃度と広い線幅を両立させることが可能なインクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[インクの構成]
(概略構成)
本発明の一実施形態に係るインクは、界面活性剤aと、水溶性溶剤bと、顔料cと、水と、を含有する。本実施形態に係るインクは、典型的には、インクジェット記録装置の記録ヘッドから記録媒体に吐出され、記録媒体に画像を記録する水系インクである。本実施形態に係るインクによって画像を記録する記録媒体としては、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、光沢紙、OHPなどが挙げられる。
【0013】
本実施形態に係るインクでは、特定の構成の界面活性剤aを用いることによって、疎水性の高い溶剤処方においてもインクの動的表面張力を小さくし、インクの濡れ広がりを担保しつつ、画像濃度も高く保つことができる。以下、本実施形態に係るインクの各成分の詳細について説明する。
【0014】
(界面活性剤a)
界面活性剤aは、下記の一般式(1)で示され、エチレンオキサイド鎖と、エチレンオキサイド鎖の一端に配置されたブチレンオキサイド鎖と、エチレンオキサイド鎖の他端に配置された炭化水素鎖を有するノニオン界面活性剤である。界面活性剤aが、疎水性が高いブチレンオキサイド鎖を有するため、疎水性の高い溶剤処方においてもインクの動的表面張力が低下し、インクの濡れ広がりを大きくすることができる。また、疎水性の高い溶剤処方では顔料が凝集するため、画像濃度も高く保つことができる。
【0015】
【化2】
(一般式(1)中、m+nは12以上14以下の整数であり、xは1以上20以下の整数であり、yは1以上10以下の整数である。)
【0016】
一般式(1)中、m+nが11以下、xが21以上又はyが0の場合、界面活性剤aの親水性が高すぎ、インクの動的表面張力が高くなるため、線幅が小さくなってしまう。また、m+nが15以上、xが0又はyが11以上の場合、界面活性剤aの疎水性が高すぎ、インクの動的表面張力が低くなるため、画像濃度が薄くなってしまう。したがって、本実施形態に係るインクでは、m+nを12以上14以下、xを1以上20以下かつyを1以上10以下とすると好適である(実施例参照)。
【0017】
本実施形態に係るインクでは、界面活性剤aの作用を充分に得るために、界面活性剤aの含有量が0.1質量%以上であることが好ましい。また、本実施形態に係るインクでは、界面活性剤aの含有量が1.0質量%以下であることが好ましい。
【0018】
(水溶性溶剤b)
水溶性溶媒bはオクタノール/水分配係数(log Kow)が-1.0以上0.4以下である。これにより、記録媒体上において疎水性相互作用によって顔料cが凝集しやすくなる。この結果として、本実施形態に係るインクでは、記録媒体上において高い画像濃度が得られ、つまり記録媒体に視認性の高い鮮明な画像を記録することができる。
【0019】
水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)が-1.0未満であると、水溶性溶剤bの親水性が高すぎてインクの動的表面張力が高くなるため、濡れ広がりにくくなり、線幅が小さくなってしまう。一方、水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)が0.4を超えると、水溶性溶剤bの疎水性が高すぎてインクの動的表面張力が低くなるため、顔料cが凝集しにくくなり、画像濃度が薄くなってしまう。したがって、水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)は-1.0以上0.4以下が好適である。
【0020】
具体的には水溶性溶媒bとして、プロピレングリコール、2-ピロリドン、1,5-ペンタンジオール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールのうちいずれか1種以上を用いることができる。下記表1にこれらの物質のオクタノール/水分配係数(log Kow)を示す。なお、表1の数値はソフトウェア「HSPiP」から引用したものである。
【0021】
【表1】
【0022】
本実施形態に係るインクでは、上記の水溶性溶剤bの作用を充分に得るために、水溶性溶剤bの含有量は30質量%以上50質量%以下が好適である。
【0023】
(顔料c)
本実施形態に係るインクは、記録媒体に記録された画像における混色防止性及び耐水性を向上させる観点から、着色剤として顔料cを含有する。顔料cは、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、顔料cとしては、必要に応じて、これらと体質顔料を併用することもできる。
【0024】
本実施形態に係るインクに利用可能な無機顔料の具体例としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物などが挙げられ、特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどが挙げられる。
【0025】
本実施形態に係るインクに利用可能な有機顔料の具体例としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料などが挙げられる。
【0026】
本実施形態に係るインクでは、色相について特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。好ましい有彩色顔料の具体例としては、C.I.(Color Index International)ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンなどが挙げられる。本実施形態に係るインクは、顔料cとして、これらの有彩色顔料から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
(水)
本実施形態に係るインクでは、水として、例えば、イオン交換水、精製水、蒸留水などを用いることができる。本実施形態に係るインクでは、乾燥性や吐出信頼性の観点から、水の含有量が40質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0028】
(その他の成分)
本実施形態に係るインクには、必要に応じて、上記以外の成分を配合してもよい。例えば、本実施形態に係るインクには、溶剤中における顔料cの分散性を高める作用を有する分散剤を配合することができる。分散剤としては、顔料分散樹脂や界面活性剤などを用いることができる。
【0029】
顔料分散樹脂は、樹脂の微粒子であり、顔料cの表面に吸着することで、溶剤中における顔料cの分散性を高める。顔料分散樹脂の分子量は、数万程度であることが好ましい。具体的には上記条件を満たす材料として、スチレンアクリル樹脂が挙げられ、酸価150mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲の樹脂が適性である。酸価が低い場合には顔料分散性が悪く、微粒子化が困難となり、発色・着色力が落ちる。また酸価が高い場合はインクの保存安定性が悪くなるためである。
【0030】
分散剤として配合される界面活性剤は、上記の界面活性剤aとは別に配合され、顔料cと溶剤との間の界面張力を低下させることで、溶剤中における顔料cの分散性を高める。このような界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤を用いることができる。
【0031】
また、本実施形態に係るインクには、分散剤以外にも、必要に応じ、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、中和剤、防カビ剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0032】
本実施形態に係るインクは、以上のような構成を有する。本実施形態に係るインクは上述のように、界面活性剤aの一般式(1)において、m+nを12以上14以下、xを1以上20以下、yを1以上10以下とし、水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)を-1.0以上0.4以下とすることにより、インクの動的表面張力が好適な範囲となり、具体的には10msecにおける動的表面張力が37mN/m以上39mN/m以下となるように構成されている。これにより、本実施形態に係るインクは濃い画像濃度と広い線幅を両立させることが可能となる(実施例参照)。
【実施例0033】
本発明の実施例及び比較例として、インクの調整及び評価を行った。
【0034】
(インクの調整)
まず、顔料分散液を調整した。顔料分散液は、顔料cと、顔料分散樹脂と、水酸化ナトリウムと、オルフィン(登録商標)E1010と、水と、を表2に示す含有量となるように配合することで調整した。
【0035】
【表2】
【0036】
顔料cとしてはPR-112を用いた。顔料分散樹脂としては、分子量が20,000で、酸価が100mgKOH/gのスチレン-アクリル樹脂を用いた。水酸化ナトリウムは、顔料分散樹脂を中和するための中和剤として配合し、顔料分散樹脂を105%等量で中和する量とした。オルフィン(登録商標)E1010は、分散剤として配合される界面活性剤であり、日信化学工業株式会社製のノニオン界面活性剤である。水としてはイオン交換水を用いた。
【0037】
顔料分散液の調整は、メディア型湿式分散機に用いた湿式分散により、上記の成分を混合することで行った。メディア型湿式分散機としては、例えば、湿式分散器(より具体的には、浅田鉄工株式会社製「ナノグレンミル」、日本コークス工業株式会社製「MSCミル」、株式会社シンマルエンタープライゼス製「ダイノーミル」など)が挙げられる。
【0038】
メディア型湿式分散機による湿式分散では、メディア(直径が0.5mmのジルコニアビーズ)をベッセル内にセットし、吐出量を200~600g/minで制御することで、水に分散した顔料cに分散剤が付着した顔料分散体の平均粒子径が70~130nmとなるように調整した。顔料分散体の粒度分布測定は、シスメックス株式会社製「ゼータサイザー ナノ」を用い、顔料分散液をイオン交換水で300倍希釈した希釈液にて行った。
【0039】
次に、実施例及び比較例に係るインクを調整した。実施例及び比較例に係るインクは、上記の顔料分散液と、界面活性剤aと、水溶性溶剤bと、水と、を表3に示す含有量となるように配合することで調整した。
【0040】
【表3】
【0041】
実施例及び比較例で用いた界面活性剤a及び水溶性溶剤bを表4及び表5に示す。なお、表4及び表5中のm、n、x及びyは、上記の一般式(1)中のm、n、x及びyを示している。また、表4及び表5には、水溶性溶剤bについて、計算ソフトウェア「HSPiP」から引用したlog Kowも示されている。水としてはイオン交換水を用いた。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
各インクの調整では、溶剤を撹拌機にて撹拌しながら、表3に示す成分を順番に加えていった。また、孔径φ5μmのフィルタを用いて撹拌後のインクの濾過を行うことで、異物やゴミ、粗大粒子などを除去した。
【0045】
(インクの評価)
実施例及び比較例に係るインクについて、画像濃度及び保存安定性の評価を行った。
【0046】
<動的表面張力測定>
インクの10~1000msecの動的表面張力は、バブルプレッシャー法(KRUSS社製:バブルプレッシャー式動的表面張力計BP100)で行い、使用キャピラリは径が0.4mmのものを使用した。バブルプレッシャー法とは、径が既知のキャピラリを液体に挿入し、キャピラリに気体を送り込み、先端にできる気泡の圧力から表面張力を計算する方法であり、動的表面張力の測定方法として最も広く使用されている。気体の注入量を変えることで界面が形成される速度を変化させ、界面の形成速度ごとの表面張力の変化を測定する。界面が形成され始めてから圧力が最大になるまでの時間を「表面寿命(Surface Age)」と呼び、動的表面張力測定を評価する上での時間のパラメータとされている。実施例及び比較例に係るインクについて、バブルプレッシャー法で測定された動的表面張力の10msecの値を評価した。以下に記載の動的表面張力は、いずれも10msecにおける値である。
【0047】
<評価機>
画像濃度の評価、耐擦過性及び間欠吐出維持性の評価は、温度32℃且つ相対湿度50%RHの環境下で実施した。これらの3つの評価には、評価機としてインクジェット記録装置(ライン型記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製試験機)を使用した。実施例及び比較例に係るインクは、評価機のブラック用インクタンクに充填した。画像濃度、耐擦過性、間欠吐出維持性の評価には、記録媒体として、コピー用紙(モンディ社製「CC90」)を使用した。
【0048】
<画像濃度の評価>
上記評価機を用いて、記録媒体にコピー用紙(モンディ社製「CC90」)を用い、記録ヘッド1個から吐出されるインクの量が11.5pLとなるように設定し、2.3cm×11.5cmのベタ画像を印刷した。画像が形成された普通紙を一昼夜、常温常湿環境下に保存した後、ベタ画像の画像濃度を蛍光分光濃度計(FD-5:コニカミノルタ社製)により測定し、ベタ画像内の3箇所の画像濃度の平均値を印刷濃度とした。測定条件は、観察光源D50、照明条件M2、視野2°、濃度ステータスIとした。画像濃度1.18以上を良好(〇)と判定し、画像濃度1.18未満を不良(×)と判定した。
【0049】
<濡れ広がりの評価>
濡れ広がりの評価は、印字物の線幅によって評価した。線幅の測定は各用紙に対して、ベタが埋まるかどうかの指標となる。記録媒体にコピー用紙(モンディ社製「CC90」)を使用した。上記評価機を吐出速度8m/sになるように調節し、ヘッド温度32℃、湿度15%において、ワンドットライン(1ドットで形成した1列の線)を印刷した。そのワンドットラインを顕微鏡で観察し、線幅を測定した。線幅75μm以上を良好(〇)と判定し、線幅75μm未満を不良(×)と判定した。
【0050】
<評価結果>
実施例及び比較例に係るインクについて、上記画像濃度及び濡れ広がりの評価結果を次の表6及び表7に示す
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
表6及び表7に示すように、実施例1~12に係るインクは、画像濃度と線幅が共に良好であった。一方、比較例1、3に係るインクは、水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)が-1.0未満であり、親水性が高すぎるため、インクの動的表面張力が高くなってしまい、濡れ広がりにくくなり、線幅が不良となった。また、比較例2、4に係るインクは、水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)が0.4を超え、疎水性が高すぎるため、インクの動的表面張力が低くなってしまい、画像濃度が不良となった。
【0054】
また、比較例5、8、9に係るインクは界面活性剤aの親水性が高すぎるため、インクの動的表面張力が高くなってしまい、線幅が不良となった。具体的には比較例5に係るインクは炭化水素鎖の炭素数が小さく(m+nが11)、比較例8に係るインクはエチレンオキサイド鎖の炭素数が大きく(xが21)、比較例9に係るインクはブチレンオキサイド鎖の炭素数が小さい(yが0)ため、親水性が高くなっている。
【0055】
比較例6、7、10に係るインクは界面活性剤aの疎水性が高すぎるため、インクの動的表面張力が低くなってしまい、画像濃度が不良となった。具体的には比較例6に係るインクは炭化水素鎖の炭素数が大きく(m+nが15)、比較例7に係るインクはエチレンオキサイド鎖の炭素数が小さく(xが0)、比較例10に係るインクはブチレンオキサイド鎖の炭素数が大きい(yが11)ため、疎水性が高くなっている。
【0056】
以上から、本発明に係るインクは、界面活性剤aと水溶性溶剤bの疎水性を共に好適な範囲とすることで、インクの動的表面張力を好適な範囲とし、画像濃度と線幅を共に良好とすることができる。具体的には界面活性剤aの炭化水素鎖の炭素数(m+n)を12以上14以下、エチレンオキサイド鎖の炭素数(x)を1以上20以下、ブチレンオキサイド鎖の炭素数(y)を1以上10以下とし、かつ水溶性溶剤bのオクタノール/水分配係数(log Kow)を-1.0以上0.4以下とすることで界面活性剤aと水溶性溶剤bの疎水性を共に好適な範囲とすることが可能であるといえる。