(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026055658
(43)【公開日】2026-03-31
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20260324BHJP
【FI】
B41J2/175 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161407
(22)【出願日】2024-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今仲 浩一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC18
2C056FA13
2C056KA01
2C056KB08
(57)【要約】
【課題】インク流通経路からポンプを取り外す場合に、ポンプ内及びポンプ周辺に残留するインクの漏れを抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、ポンプ22と、インク流路23と、開閉弁と、モーター25と、ワンウェイクラッチ26と、閉鎖機構30と、を備える。モーター25は、第1方向R1に回転した場合にポンプ22を駆動させる。ワンウェイクラッチ26は、モーター25に連結され、モーター25が第1方向R1とは逆方向の第2方向R2に回転した場合に回転する。閉鎖機構30は、ワンウェイクラッチ26に連結され、ワンウェイクラッチ26の回転とともに開放状態の開閉弁を閉鎖させ、ポンプ22と開閉弁との間のインクの流通を停止させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを搬送するポンプと、
前記ポンプに接続され、前記インクが流通するインク流路と、
前記インク流路に設けられ、前記インク流路を開閉する開閉弁と、
第1方向に回転した場合に前記ポンプを駆動させるモーターと、
前記モーターに連結され、前記モーターが前記第1方向とは逆方向の第2方向に回転した場合に回転するワンウェイクラッチと、
前記ワンウェイクラッチに連結され、前記ワンウェイクラッチの回転とともに開放状態の前記開閉弁を閉鎖させ、前記ポンプと前記開閉弁との間の前記インクの流通を停止させる閉鎖機構と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ポンプと、前記インク流路と、前記開閉弁と、前記モーターと、前記ワンウェイクラッチと、前記閉鎖機構とを搭載するポンプユニットを備え、
前記ポンプユニットは、前記インクが収容されたインクコンテナと、記録媒体上に前記インクを吐出する記録ヘッドとの間のインク流通経路上に配置され、当該インク流通経路に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記閉鎖機構は、前記ワンウェイクラッチに接続されるとともに前記開閉弁と係合し、前記開閉弁を閉鎖方向に移動させる少なくとも1つのレバー部材を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記閉鎖機構は、
前記モーターが前記第2方向に回転した場合にいずれかの前記レバー部材と係合して前記開閉弁を閉鎖状態にロックするロック部材と、
前記ロック部材をロック方向に付勢する付勢部材と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複写機のような記録装置として、紙などシート状の記録媒体上にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が、高精細な画像を記録できることから広く用いられている。このようなインクジェット記録装置では、インクが収容されたインクコンテナから記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドまで、ポンプによってインクが搬送される。
【0003】
例えば、特許文献1で開示された従来の液体噴射装置(印刷装置)は、加圧空気をインクカートリッジに送るポンプモーターを備える。ポンプモーターが正回転すると、ダイヤフラムが伸縮して空気に対する加圧動作が行われる。一方、加圧空気の圧力値が閾値以上になると、ポンプモーターが逆回転され、大気開放弁が開放されて加圧空気が外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インク等の液体を搬送するポンプは、メンテナンスや修理、交換の際に、液体の流通経路から取り外す必要がある。このとき、ポンプ内やポンプ周辺の液体流路内に残留したインク等の液体が、外部に漏れる虞があることに課題があった。これにより、液体の流通経路からポンプを取り外す場合に、漏れ出た液体によって周囲を汚染してしまうことが懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、インク流通経路からポンプを取り外す場合に、ポンプ内及びポンプ周辺に残留するインクの漏れを抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェット記録装置は、ポンプと、インク流路と、開閉弁と、モーターと、ワンウェイクラッチと、閉鎖機構と、を備える。前記ポンプは、インクを搬送する。前記インク流路は、前記ポンプに接続され、前記インクが流通する。前記開閉弁は、前記インク流路に設けられ、前記インク流路を開閉する。前記モーターは、第1方向に回転した場合に前記ポンプを駆動させる。前記ワンウェイクラッチは、前記モーターに連結され、前記モーターが前記第1方向とは逆方向の第2方向に回転した場合に回転する。前記閉鎖機構は、前記ワンウェイクラッチに連結され、前記ワンウェイクラッチの回転とともに開放状態の前記開閉弁を閉鎖させ、前記ポンプと前記開閉弁との間の前記インクの流通を停止させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、インク流通経路からポンプを取り外す場合に、モーターが第2方向に回転して開閉弁が閉鎖される。これにより、ポンプと開閉弁との間のインクの流通を停止することができ、ポンプ内及びポンプと開閉弁との間のインク流路内に残留するインクの漏れを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の平面図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の制御系及びインク供給系の構成を示す説明図である。
【
図5】
図4のポンプユニットの反対側から見た斜視図である。
【
図9】
図4のポンプユニットの開閉弁(開放状態)の斜視図である。
【
図10】
図4のポンプユニットの開閉弁(閉鎖状態)の斜視図である。
【
図11】
図3のポンプユニットの斜視図であって、開閉弁の閉鎖状態を示す図である。
【
図12】
図11のポンプユニット(開閉弁閉鎖状態)の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態のインクジェット記録装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の平面図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターである。インクジェット記録装置1は、
図1及び
図2に示すように、装置本体2と、シート供給部3と、シート搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、シート排出部7と、制御部8と、を備える。
【0012】
シート供給部3は、例えば装置本体2の下部に配置される。シート供給部3は、複数枚のシート(記録媒体)Sを収容し、記録時にシートSを1枚ずつ分離して送り出す。
【0013】
シート搬送部4は、シート供給部3に対してシート搬送方向の下流側に配置され、シート供給部3から送り出されたシートSを搬送する。シート搬送部4は、シートSを記録部5及び乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後のシートSをシート排出部7に排出する。また、シート搬送部4は、例えば反転搬送部4rを有する。両面記録が行われる場合、シート搬送部4は、第1面の記録、乾燥後のシートSを反転搬送部4rに振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させたシートSを再度、記録部5及び乾燥部6へと搬送する。
【0014】
シート搬送部4は、第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42を含む。第1ベルト搬送部41は、無端状に形成された第1搬送ベルト411を有する。第2ベルト搬送部42は、無端状に形成された第2搬送ベルト421を有する。第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42は、第1搬送ベルト411及び第2搬送ベルト421それぞれの上側の外面(上面)にシートSを吸着保持して搬送する。第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置されてシートSを搬送する。第2ベルト搬送部42は、第1ベルト搬送部41に対してシート搬送方向の下流側に位置し、乾燥部6に配置されてシートSを搬送する。
【0015】
記録部5は、シート供給部3に対してシート搬送方向の下流側に位置し、第1ベルト搬送部41と対向配置される。記録部5は、第1搬送ベルト411の上面に吸着保持されて搬送されるシートSに対向し、所定の間隔を空けて第1搬送ベルト411の上方に配置される。すなわち、記録部5は、シート搬送部4によって搬送されるシートSと対向する。
【0016】
記録部5は、
図2に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応したヘッドユニット51B、51C、51M、51Yを保持する。ヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは、長手方向がシート搬送方向Dcと直交するシート幅方向Dwと平行になるようにシート搬送方向Dcに沿って並置される。なお、4つのヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは基本的な構成が同じであるので、以下の説明では、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「B」、「C」、「M」、「Y」の識別記号は省略することがある。
【0017】
各色のヘッドユニット51それぞれは、ライン型インクジェット方式の記録ヘッド52を有する。記録ヘッド52は、各色のヘッドユニット51それぞれにおいて、シート幅方向Dwに沿って複数(例えば3つ(52a、52b、52c))が千鳥状に配列される。
【0018】
記録ヘッド52は、その底部に複数のインク吐出ノズル521を有する。複数のインク吐出ノズル521は、シート幅方向Dwに沿って並べて配置され、シートS上の記録領域の全域にわたってインクを吐出することができる。すなわち、記録ヘッド52は、インクをシートS上に吐出する複数のインク吐出ノズル521を有する。記録部5は、第1搬送ベルト411によって搬送されるシートSに向かって4色のヘッドユニット51B、51C、51M、51Yそれぞれの記録ヘッド52から順次インクを吐出し、フルカラー画像またはモノクロ画像をシートSに記録する。
【0019】
乾燥部6は、記録部5に対してシート搬送方向の下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録されたシートSは、乾燥部6において第2搬送ベルト421に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。乾燥後のシートSは、シート排出部7に排出される。
【0020】
制御部8は、CPU、記憶部、その他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。シート供給部3、シート搬送部4、記録部5及び乾燥部6それぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動してシートSへの記録を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0021】
続いて、記録部5周辺の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の制御系及びインク供給系の構成を示す説明図である。インクジェット記録装置1は、インクコンテナ10と、ポンプユニット20と、サブタンク40と、ヘッド駆動基板53と、を備える。
【0022】
インクコンテナ10は、装置本体2に対して着脱可能に設けられる。インクコンテナ10は、サブタンク40に供給するインクを収容する。インクコンテナ10内のインク(液体)は、サブタンク40を介して記録ヘッド52まで搬送される。
【0023】
ポンプユニット20は、インクコンテナ10に対するインクの搬送方向の下流側に配置される。言い換えれば、ポンプユニット20は、インクコンテナ10と、記録ヘッド52との間のインク流通経路上に配置されている。ポンプユニット20は、ポンプ22を備え、インクコンテナ10内のインクを吸引し、当該インクをサブタンク40に向かって吐出する。ポンプ22の動作は、制御部8によって制御される。ポンプユニット20の詳細な構成については後述する。
【0024】
サブタンク40は、記録ヘッド52に供給するインクを貯留する。サブタンク40には、インク量センサー(不図示)が設けられる。制御部8は、ポンプ22を制御し、ポンプ22の駆動時間によってインクコンテナ10からサブタンク40へのインクの供給量を制御する。ポンプ22の駆動時間が一定時間経過しても、インク量センサーによって検出されたサブタンク40内のインク量が所定値より高くならない場合、制御部8は、インクコンテナ10内のインク量が空であると判定する。なお、サブタンク40は、記録ヘッド52との水頭差が一定になるようにインク量が管理されている。
【0025】
ヘッド駆動基板53は、記録ヘッド52に隣接して配置され、記録ヘッド52に対して駆動信号を送信する。記録ヘッド52は、インク吐出ノズル521の駆動素子(不図示)を備える。ヘッド駆動基板53は、インク吐出ノズル521の駆動素子に対し、所定の駆動波形、駆動電圧を有する駆動信号を送信する。インク吐出ノズル521の駆動素子の駆動波形は、吐出されたインク滴によって記録される画像の画素(ドット)の階調値に応じて予め準備されている。制御部8は、ヘッド駆動基板53を制御し、記録ヘッド52から吐出されるインクの吐出速度を変更することができる。このように、制御部8は、記録ヘッド52の動作を制御し、シートSへの画像の記録を行う。
【0026】
続いて、ポンプユニット20の構成について説明する。
図4は、
図3のポンプユニット20の斜視図である。
図5は、
図4のポンプユニット20の反対側から見た斜視図である。
図6、
図7及び
図8は、
図4のポンプユニット20の上面図、断面下面図及び断面側面図である。
図9及び
図10は、
図4のポンプユニット20の開閉弁24(開放状態)及び開閉弁24(閉鎖状態)の斜視図である。なお、
図7は、
図8のVII-VII線における断面下面図であり、
図8は、
図6のVIII-VIII線における断面側面図である。
【0027】
ポンプユニット20は、ベース部材21に、ポンプ22と、インク流路23と、開閉弁24と、モーター25と、ワンウェイクラッチ26と、閉鎖機構30と、を搭載している。
【0028】
ベース部材21は、平面視矩形状の直方体形状であって、内部に空間を有する箱体で構成される。ベース部材21の上面に、ポンプ22と、開閉弁24と、モーター25と、ワンウェイクラッチ26と、閉鎖機構30と、が配置されている。
【0029】
ベース部材21の内部には、インク流路23の一部が通っている。ベース部材21の一の側面には、インク流路23の流入口23aが設けられている。ベース部材21の、流入口23aが設けられた側面と交差する他の側面には、インク流路23の流出口23bが設けられている。
【0030】
ポンプ22は、例えばダイヤフラム(不図示)を有するダイヤフラムポンプで構成される。ダイヤフラムポンプは、モーター25によってダイヤフラムを往復移動させ、当該ダイヤフラムの往復移動によりインクを搬送する。ポンプ22は、ともにインク流路23が接続されたインクの吸引部22a及び吐出部22bを有する。ポンプ22は、インク流路23を介して、インクを搬送する。
【0031】
インク流路23は、インクコンテナ10と、記録ヘッド52との間のインク流通経路の一部として構成される。インク流路23は、ポンプ22に接続され、インクが流通する。インク流路23は、一部がベース部材21と一体として形成され、他の一部が例えば軟質チューブ等の配管部材で構成される。インク流路23は、第1流路231と、第2流路232と、第3流路233と、を含む。
【0032】
第1流路231は、ベース部材21の側面に設けられたインクの流入口23aからポンプ22の吸引部22aまで延びる。第1流路231は、インク搬送方向上流部がベース部材21と一体として形成され、下流部がチューブで構成される。第2流路232は、ポンプ22の吐出部22bから開閉弁24の流入部24aまで延びる。第2流路232は、インク搬送方向上流部がチューブで構成され、下流部がベース部材21と一体として形成される。第3流路233は、開閉弁24の流出部24bからベース部材21の側面に設けられたインクの流出口23bまで延びる。第3流路233は、全体にわたってベース部材21と一体として形成される。
【0033】
開閉弁24は、インク搬送方向に対してポンプ22から流出口23bまでの間のインク流路23に配置される。開閉弁24は、ベース部材21の上面に形成された流入部24a及び流出部24bを含む。流入部24a及び流出部24bのそれぞれは、ベース部材21の上部を法線方向に貫通し、ベース部材21内においてインク流路23の第2流路232及び第3流路233に個別に接続する。さらに、開閉弁24は、軸部241と、封止部242と、を有する。
【0034】
軸部241は、ベース部材21の上面に対し、法線方向の上側に延びる円柱形状である。軸部241の下端には、封止部242が取り付けられる。軸部241の上端は、閉鎖機構30と係合する。軸部241は、上下方向に移動可能に配置されている。
【0035】
封止部242は、例えばゴム等の弾性体で構成され、軸部241の下端に取り付けられる。封止部242は、ベース部材21の上面に沿って広がる略円板形状である。封止部242は、ベース部材21の上面に形成された流入部24a及び流出部24bを覆うように、ベース部材21の上面に隣接して対向配置されている。なお、略円板形状である封止部242の径方向に対して中央部242cが、流入部24a及び流出部24bを覆うように上下方向に対向する。封止部242の径方向の外周部242eは、ベース部材21の上面に常時密着している。
【0036】
封止部242は、軸部241を介して下方への荷重を受けていない場合、
図9に示すようにその径方向の中央部242cが上方に膨らみ、
図8に示すように中央部242cに内部空間が生じる。流入部24a及び流出部24bは、中央部242cの内部空間に面している。すなわち、封止部242が下方への荷重を受けていない場合、中央部242cの内部空間を介して流入部24aから流出部24bへインクが流通する。
【0037】
一方、封止部242は、軸部241を介して下方への荷重を受けた場合、
図10に示すようにその中央部242cが下方へ凹み、中央部242cの内部空間は消失する(
図12参照)。封止部242は、中央部242cがベース部材21の上面に密着し、流入部24a及び流出部24bを閉鎖する。すなわち、封止部242が下方への荷重を受けた場合、流入部24a及び流出部24bが閉鎖され、インクの流通が阻止される。このようにして、開閉弁24は、インク流路23に設けられ、インク流路23を開閉する。
【0038】
モーター25は、ベース部材21の上面と略平行に延びる回転軸回りに回転駆動する。モーター25は、ポンプ22に連結されている。モーター25は、ポンプ22のダイヤフラムに接続され、当該ダイヤフラムを往復移動させることで、ポンプ22によるインクの吸引及び吐出を実現させる。モーター25の軸部の一端には、駆動ギヤ25gが取り付けられている。駆動ギヤ25gは、ワンウェイクラッチ26と噛み合う。
【0039】
モーター25は、駆動ギヤ25gを、
図4に示す第1方向R1、及び第1方向R1とは逆方向の第2方向R2に回転させる。モーター25は、第1方向R1に回転した場合に、ポンプ22を駆動させる。
【0040】
ワンウェイクラッチ26は、モーター25の駆動ギヤ25gと噛み合う。ワンウェイクラッチ26は、モーター25が第2方向R2に回転した場合に動力が伝達されて回転し、モーター25が第1方向R1に回転した場合には空転する機構を有する。すなわち、ワンウェイクラッチ26は、モーター25に連結され、モーター25が第1方向R1とは逆方向の第2方向R2に回転した場合に回転する。
【0041】
閉鎖機構30は、ワンウェイクラッチ26に連結されている。閉鎖機構30は、第1レバー部材31と、第2レバー部材32と、を有する。第1レバー部材31及び第2レバー部材32は、互いの長手方向の一端部において係合する。第1レバー部材31は、他端部においてワンウェイクラッチ26に連結されている。第2レバー部材32は、他端部において開閉弁24に係合している。閉鎖機構30の詳細な構成については後述する。
【0042】
閉鎖機構30は、第1レバー部材31及び第2レバー部材32を介して、ワンウェイクラッチ26の回転とともに開放状態の開閉弁24を閉鎖させ、ポンプ22と開閉弁24との間のインクの流通を停止させる。
【0043】
上記の構成によれば、インクコンテナ10からサブタンク40までのインク流通経路からポンプ22を取り外す場合に、モーター25が第2方向R2に回転して開閉弁24が閉鎖される。これにより、ポンプ22と開閉弁24との間のインクの流通を停止することができ、ポンプ22内及びポンプ22と開閉弁24との間のインク流路23内に残留するインクの漏れを抑制することが可能になる。すなわち、インクジェット記録装置1のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、制御部8は、シートSに対して画像を記録する通常の動作モードにおいて、モーター25を
図4に示す第1方向R1に回転させる。一方、制御部8は、モーター25の取り外しを行うメンテナンスの動作モードにおいて、モーター25を
図4に示す第2方向R2に回転させる。
【0045】
ポンプユニット20は、インク流路23の流入口23a及び流出口23bがインクコンテナ10と記録ヘッド52との間のインク流通経路に接続されている。そして、ポンプユニット20は、インクコンテナ10と記録ヘッド52との間のインク流通経路に対して着脱可能である。
【0046】
上記の構成によれば、ポンプユニット20上に、ポンプ22、開閉弁24、閉鎖機構30等がまとめて搭載されているため、インク流通経路からポンプ22を取り外す場合に、容易に開閉弁24を閉鎖状態にしてポンプ22を取り外すことが可能になる。なお、開閉弁24が閉鎖状態であるとき、インク流通経路から取り外されたポンプユニット20の流入口23a及び流出口23bの周辺に溜まったインクは、大気圧及びインクの表面張力の作用によって外部に漏れない。
【0047】
続いて、閉鎖機構30の構成について詳細に説明する。
図11は、
図3のポンプユニット20の斜視図であって、開閉弁24の閉鎖状態を示す図である。
図12は、
図11のポンプユニット20(開閉弁24閉鎖状態)の断面側面図である。前述のように、閉鎖機構30は、第1レバー部材31と、第2レバー部材32と、を有する。
【0048】
第1レバー部材31は、長手方向の第1端部31aにおいてワンウェイクラッチ26の軸部26xに接続されている。第1レバー部材31は、ワンウェイクラッチ26の回転(モーター25の第2方向R2)に従って、軸部26xの軸線中心回りに回転する。
【0049】
第1レバー部材31の長手方向の第2端部31bは、第2レバー部材32の長手方向の第1端部32aに近接する。第1レバー部材31は、ワンウェイクラッチ26の軸部26xの軸線中心回りに回転すると、第2端部31bが第2レバー部材32の第1端部32aに係合し、第2レバー部材32を変位させる。
【0050】
第2レバー部材32は、ベース部材21の上面と略平行に延びる支軸部32xを有する。支軸部32xは、第2レバー部材32の長手方向の略中央部に位置する。第2レバー部材32は、支軸部32xの軸線中心回りに回転可能に、ベース部材21の上面に設けられたホルダー27に支持されている。なお、互いに長手形状である第1レバー部材31及び第2レバー部材32は、それぞれの延伸方向が、ベース部材21の上面の法線方向から見て略直交するように配置されている。
【0051】
第2レバー部材32の長手方向の第1端部32aは、第1レバー部材31の長手方向の第2端部31bに近接する。第2レバー部材32は、第1端部32aの下面に、第1レバー部材31の第2端部31bが下方から接触することで、支軸部32xの軸線中心回りに回転する。
【0052】
第2レバー部材32の長手方向の第2端部32bは、開閉弁24の軸部241の上端部と係合する。第2レバー部材32は、支軸部32xの軸線中心回りに回転すると、開閉弁24の軸部241を変位させる。
【0053】
シートSに対して画像を記録する通常の動作モードにおいて、
図4及び
図8に示すように、第1レバー部材31は、第2レバー部材32に接触していない。この場合、開閉弁24は、第2レバー部材32からの荷重を受けておらず、封止部242の中央部242cが上方に膨らんでいる。インクは、開閉弁24において中央部242cの内部空間を介して流通する。なお、第2レバー部材32は、第2端部32b側が支軸部32xの軸線中心回りに上方に変位している。
【0054】
一方、メンテナンスの動作モードにおいてモーター25が第2方向R2に回転した場合、
図11及び
図12に示すように、第1レバー部材31は、ワンウェイクラッチ26の軸部26xの軸線中心回りに回転し、下方から第2レバー部材32に接触する。第2レバー部材32は、支軸部32xの軸線中心回りに回転し、第2端部32b側が下方に変位する。これにより、開閉弁24は、第2レバー部材32からの下方への荷重を受け、封止部242の弾性力に抗して中央部242cを下方へ凹ませ、流入部24a及び流出部24bを閉鎖する。インクは、開閉弁24において流通が阻止される。
【0055】
なお、上記の実施形態では、閉鎖機構30が第1レバー部材31及び第2レバー部材32を有することとしたが、開閉弁24を第1レバー部材31の長手方向の第2端部31bの箇所に配置することで、単一のレバー部材によって開閉弁24の閉鎖を行うことも可能である。すなわち、閉鎖機構30は、ワンウェイクラッチ26に接続されるとともに開閉弁24と係合し、開閉弁24を閉鎖方向に移動させる少なくとも1つのレバー部材を有する。
【0056】
上記の構成によれば、ワンウェイクラッチ26とレバー部材を用いた簡便な構成により、ポンプ22を駆動するための単一のモーター25を利用して、容易に開閉弁24を閉鎖することができる。したがって、簡便で低コスト化が図られた構成により、インクジェット記録装置1のメンテナンス性を向上させることが可能になる。
【0057】
また、閉鎖機構30は、ロック部材33と、付勢部材34と、をさらに有する。
【0058】
ロック部材33は、第2レバー部材32の長手方向の第2端部32b側の外側に、第2レバー部材32に隣接して配置される。ロック部材33は、上下方向に延びる長手形状であり、下端にベース部材21の上面と略平行に延びる支軸部33xを有する。ロック部材33は、支軸部33xの軸線中心回りに回転可能に、ホルダー27に支持されている。
【0059】
ロック部材33の上端には、係止部33aが形成されている。係止部33aは、第2レバー部材32に向かって突出するフック形状に構成されている。
図12に示すように、係止部33aには、下方から第2レバー部材32の第2端部32bが引っ掛かる。係止部33aの上部には、下方へ向かうにつれて第2レバー部材32に接近する方へ傾く傾斜面33bが形成されている。
【0060】
付勢部材34は、ロック部材33の上端付近であって、係止部33aの箇所と、ホルダー27との間に配置されている。付勢部材34は、例えば圧縮コイルばねで構成され、ロック部材33の係止部33aの箇所を、第2レバー部材32に向かって付勢している。
【0061】
シートSに対して画像を記録する通常の動作モードにおいて、
図8に示すように、第2レバー部材32の第2端部32bは、ロック部材33よりも上方に位置し、ロック部材33に係合していない。インクは、開閉弁24において中央部242cの内部空間を介して流通する。
【0062】
一方、メンテナンスの動作モードにおいてモーター25が第2方向R2に回転した場合、
図12に示すように、第2レバー部材32は、支軸部32xの軸線中心回りに回転し、第2端部32b側が下方に変位する。第2レバー部材32の第2端部32bは、ロック部材33の傾斜面33bに接触し、付勢部材34の付勢力に抗してロック部材33を
図12における時計回りに変位させながら傾斜面33b上を滑り、係止部33aの下方まで変位する。第2レバー部材32の第2端部32bは、係止部33aに引っ掛かり、上方への変位が不可の状態となる。
【0063】
このようにして、ロック部材33は、第2レバー部材32と係合し、開閉弁24を閉鎖状態にロックする。付勢部材34は、ロック部材33をロック方向に付勢する。この構成によれば、ロック部材33及び付勢部材34によって、開閉弁24の閉鎖状態を保持することが可能になる。したがって、開閉弁24の、意図しない開放状態への変位を阻止することができ、インクジェット記録装置1のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、インクジェット記録装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェット記録装置
5 記録部
8 制御部
10 インクコンテナ
20 ポンプユニット
21 ベース部材
22 ポンプ
23 インク流路
24 開閉弁
25 モーター
26 ワンウェイクラッチ
30 閉鎖機構
31 第1レバー部材(レバー部材)
32 第2レバー部材(レバー部材)
33 ロック部材
34 付勢部材
52 記録ヘッド
R1 第1方向
R2 第2方向