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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-08
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】光導波素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018023888
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2018132765
(43)【公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】201710083128.2
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】翁 懿萱
(72)【発明者】
【氏名】蔡 志賢
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲啓▼堂
(72)【発明者】
【氏名】潘 浩▲うぇい▼
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109923(JP,A)
【文献】特開2008-268873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0242661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光束を受けるための光導波素子であって、
前記光導波素子は入光部及び出光部を含み、
前記入光部は、
第一導光層と、
前記第一導光層の上面に、底面が接続される第二導光層と、
前記第一導光層又は前記第二導光層の上面又は底面に、底面又は上面が接続される少なくとも一つの第三導光層とを含み、
前記第一導光層及び前記第二導光層の一端側の側壁面からなる入光面が共同で第一斜面を構成し、かつ、前記第一導光層及び前記第二導光層の他端側の側壁面からなる出光面が共同で第二斜面を構成し、前記第一斜面及び前記第二斜面がそれぞれ前記第一導光層の底面に対し傾斜して接続され、
前記出光部は前記第二斜面に接続され、かつ、前記出光部の厚さが前記第一導光層、前記第二導光層及び前記少なくとも一つの第三導光層の合計厚さより小さく、
前記表示光束は前記入光部を経由して前記光導波素子に入り、かつ前記出光部を経由して表示領域まで伝送されることを特徴とする光導波素子。
【請求項2】
前記出光部はその中に位置する複数のビームスプリッターを有し、前記複数のビームスプリッターが互いに平行かつ間隔を空けて配列されることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項3】
前記第一導光層は、前記第二導光層と前記少なくとも一つの第三導光層との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項4】
前記第一導光層と前記第二導光層との間に第一界面を有し、前記少なくとも一つの第三導光層とそれに接続する前記第一導光層又は前記第二導光層との間に第二界面を有し、前記第一界面が前記第二界面と平行し、
前記光導波素子はさらに、
前記第一界面に設置された第一部分透過部分反射層と、
前記第二界面に設置された第二部分透過部分反射層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項5】
前記第一部分透過部分反射層と前記第二部分透過部分反射層の光透過率が異なることを特徴とする請求項4に記載の光導波素子。
【請求項6】
前記第一導光層、前記第二導光層及び前記出光部の屈折率が同じく、かつ前記第一導光層、前記第二導光層及び前記出光部の屈折率がそれぞれ前記少なくとも一つの第三導光層の屈折率以下であることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項7】
前記出光部はその中に位置する複数のビームスプリッターを有し、前記複数のビームスプリッターが互いに平行かつ間隔を空けて配列され、
前記出光部の底面が前記第二斜面及び前記第一導光層の底面に接続され、
前記出光部の底面と前記第二斜面の接続部と、前記第二斜面に最も近いビームスプリッターの前記出光部の底面における正投影との間の距離が0以上であることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項8】
前記少なくとも一つの第三導光層の第一側壁面と前記第一斜面が同一平面にあることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項9】
前記少なくとも一つの第三導光層の第二側壁面と前記第二斜面が同一平面にあることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項10】
前記少なくとも一つの第三導光層の第一側壁面及び第二側壁面のうち少なくとも一つに反射層又は吸光層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項11】
前記少なくとも一つの第三導光層の第一側壁面及び第二側壁面のうち少なくとも一つがつや消し面であることを特徴とする請求項1に記載の光導波素子。
【請求項12】
表示装置であって、
請求項1に記載の光導波素子と、
前記第一斜面の傍に設置された表示光源とを含み、
前記表示光源が前記表示光束を発することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光導波素子及びこの光導波素子を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウント式ディスプレイ(Head-Mounted Display、HMD)は今最も将来性を有する製品の一つである。関連する応用において、今は拡張現実(Augmented Reality、AR)技術及び仮想現実(Virtual Reality、VR)技術に分類することができる。完全な仮想環境を作り出す仮想現実技術に対し、拡張現実はユーザに外部環境の映像及び表示情報を同時に見せることが可能であり、拡張現実の表示効果を実現するものである。
【0003】
拡張現実を実現する基本的な光学構造として、広視角、フルカラー映像及び軽量薄型を兼ね備えたビームスプリッターアレイ導波路(Beam Splitter Array Waveguide)は、今は各種拡張現実の表示装置の主な選択肢の一つになっている。しかし、このように構造の表示装置では、光導波素子に入射した表示光束が光導波素子中のこれらのビームスプリッターの断面積を効率よく充満することができず、出力された表示画面の明るさにムラがある現象が起こる。
【0004】
なお、「背景技術」部分は本発明の内容を理解する目的のみに用いられ、「背景技術」部分で開示された内容には、当業者に知られている既知技術を構成していないものが含まれている可能性がある。「背景技術」部分で開示された内容は、当該内容又は本発明の一つ或いは複数の実施例が解決しようとする課題が、本発明の出願前に既に当業者に把握又は認識されていたことを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光導波素子を離れた表示光束を空間中に均一に分布させるに有利な光導波素子を提供する。
【0006】
本発明は、上記光導波素子を応用した、優れた表示品質を有する表示装置を提供する。
【0007】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術的特徴から一層理解を深めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記一部又はすべての目的又はその他の目的を達成するために、本発明の実施例は、表示光束を受けるための光導波素子を開示する。光導波素子は入光部及び出光部を含む。入光部は第一導光層、第一導光層に接続される第二導光層、及び第一導光層又は第二導光層に接続される少なくとも一つの第三導光層を含み、第一導光層及び第二導光層の入光面が共同で第一斜面を構成し、かつ第一導光層及び第二導光層の出光面が共同で第二斜面を構成する。第一斜面及び第二斜面はそれぞれ第一導光層の底面に対し傾斜して接続される。出光部は第二斜面に接続され、かつ出光部の厚さが第一導光層、第二導光層及び前記少なくとも一つの第三導光層の合計厚さより小さい。表示光束は入光部を経由して光導波素子に入り、かつ出光部を経由して表示領域まで伝送される。
【0009】
上記一部又はすべての目的又はその他の目的を達成するため、本発明の実施例は、上記光導波素子及び表示光源を含む表示装置を提供する。表示光源は第一斜面の傍に配置され、表示光源が表示光束を発する。
【0010】
以上により、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点又は効果を有する。本発明の実施例の光導波素子において、表示光束が第一導光層、第二導光層及び第三導光層を通過する時に分光され続けて、表示光束の断面積が大きくなるため、光導波素子は従来の表示光束が導波素子中のビームスプリッターの断面積を有効に充満できないため発生する明るさのムラを改善できて、光導波素子を離れた表示光束を空間中に均一分布させることができる。その他、上記光導波素子を応用した表示装置は優れた表示品質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上記特徴及び利点をより明確に示すべく、以下は実施例を挙げるとともに、図面を併せて詳しく説明する。
図1】本発明の第一実施例による表示装置の部分断面概略図である。
図2】比較例の表示装置において、光導波素子が映像光束を伝送する光路概略図である。
図3図1の実施例において、光導波素子が映像光束を伝送する光路概略図である。
図4】本発明の第二実施例による表示装置の部分断面概略図である。
図5】本発明の第三実施例による表示装置の部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上記及びその他の技術内容、特徴と効果について、以下は図面を参照しながらその好ましい実施例を詳しく説明することにより、明確に示す。以下の実施例で言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、図面で参照される方向のみを示す。従って、これらの方向用語は説明目的で用いられたものであり、本発明を制限するものではない。
【0013】
図1は本発明の第一実施例の表示装置の部分断面概略図である。図1が示すように、本実施例の表示装置100は、例えばヘッドマウント式ディスプレイであり、対応する構成部品と筐体(図示せず)を利用して、ユーザの頭部に固定することが可能であり、表示光束をユーザの目まで伝送するものである。
【0014】
表示装置100は光導波素子110及び表示光源120を含む。光導波素子110は入光部112及び出光部114を含む。入光部112は第一導光層LG1、第二導光層LG2及び少なくとも一つの第三導光層LG3を含む。図1には一つの第三導光層LG3が概略的に示されているが、前記少なくとも一つの第三導光層LG3の数は1に等しい、又は1より大きくてもよい。
【0015】
第二導光層LG2は第一導光層LG1に接続され、かつ第三導光層LG3は第一導光層LG1又は第二導光層LG2に接続される。例を挙げると、第三導光層LG3は第二導光層LG2に接続され、第二導光層LG2が第三導光層LG3と第一導光層LG1との間に位置するようにしてよいが、これに限定されない。別の実施例において、第三導光層LG3は第一導光層LG1に接続され、第一導光層LG1が第三導光層LG3と第二導光層LG2との間に位置するようにしてもよい。又は、上記少なくとも一つの第三導光層LG3の数が1より大きい場合、例えば、上記少なくとも一つの第三導光層LG3の数が2である場合、第三導光層LG3はそれぞれ第一導光層LG1及び第二導光層LG2に接続され、第一導光層LG1及び第二導光層LG2が二つの第三導光層LG3の間に位置してもよく、これについて以下の明細書内容において詳しく述べる。
【0016】
第一導光層LG1、第二導光層LG2及び第三導光層LG3は平行に設置され、なお、第一導光層LG1と第二導光層LG2との間に第一界面IF1を有し、第三導光層LG3とそれに接続する第二導光層LG2との間に第二界面IF2を有する。第一界面IF1は第二界面IF2と平行する。必要に応じて第一界面IF1及び第二界面IF2それぞれに少なくとも一つのフィルム層を形成してもよい。例を挙げると、第一界面IF1及び第二界面IF2のうち少なくとも一つに接着層(図示せず)又は部分透過部分反射層(図示せず)を形成してもよい。
【0017】
第一導光層LG1の入光面SI1及び第二導光層LG2の入光面SI2が共同で第一斜面T1を構成する。第一導光層LG1の出光面SE1及び第二導光層LG2の出光面SE2が共同で第二斜面T2を構成する。第一斜面T1及び第二斜面T2がそれぞれ傾斜して第一導光層LG1の底面SB1に接続される。つまり、第一斜面T1と底面SB1の夾角θ1は90度ではない、かつ第二斜面T2と底面SB1の夾角θ2も90度ではない。例を挙げると、夾角θ1と夾角θ2が(180°-θ1)/2=θ2を満たすことにより、表示装置100を組み立てる際の部品間の位置合わせに生じる誤差を低減させることができるが、これに限定されない。製造難易度を下げるように、第三導光層LG3の第一側壁面SS1が第一斜面T1と同一平面にあって、かつ第三導光層LG3の第二側壁面SS2が第二斜面T2と同一平面にあってもよいが、これに限定されない。別の実施例において、第三導光層LG3の第一側壁面SS1と第一斜面T1は同一平面ではなく、例えば第三導光層LG3の第一側壁面SS1が第一斜面T1より内側へ一定距離縮小されてもよいが、これに限定されない。その他、第三導光層LG3の第二側壁面SS2と第二斜面T2が同一平面ではなく、例えば第二側壁面SS2が第二斜面T2より内側へ一定距離縮小されてもよいが、これに限定されない。
【0018】
光導波素子110の出光部114は第二斜面T2に接続される。例を挙げると、出光部114は固定機構部又は接着層(例えば、光学接着剤)によって第二斜面T2と接合されるが、これに限定されない。出光部114の厚さT114は第一導光層LG1、第二導光層LG2及び前記少なくとも一つの第三導光層LG3の合計厚さTTより小さい。例を挙げると、出光部114の厚さT114は第一導光層LG1及び第二導光層LG2の合計厚さに等しくてもよいが、これに限定されない。
【0019】
複数のビームスプリッター(Beam splitter)BSは光導波素子110の出光部114内に位置する。複数のビームスプリッターBSは互いに平行かつ間隔を空けて配列される。詳しく言うと、ビームスプリッターBSは出光部114の底面SB2に対し傾斜している。つまり、ビームスプリッターBSと底面SB2の夾角θ3は90度ではなく、かつ90度より小さい。また、ビームスプリッターBSと第二斜面T2の傾斜方向が同じである。夾角θ3は夾角θ2と同じでもよいが、これに限定されない。補足すると、ビームスプリッターBSの分布及び配列間隔を必要に応じて変更することが可能であり、図1が示すものに限定されない。
【0020】
表示光源120は第一斜面T1の傍に配置され、かつ表示光源120は表示光束DBを発するものである。例を挙げると、表示光源120は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレイ(plasma display)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED display)、エレクトロウェティングディスプレイ(Electro-Wetting Display、EWD)、電気泳動ディスプレイ(Electro-Phoretic Display、EPD)、エレクトロクロミックディスプレイ(Electro-Chromic Display、ECD)、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)又はその他の応用可能な表示光源であってもよい。その他、表示光源120と第一斜面T1との間に光学素子、例えば表示光束DBを集光又は均一に光導波素子110まで伝送するための単一又は複数のレンズを設置してもよいが、これに限定されない。光導波素子110は表示光束DBを受けるためのものであり、表示光束DBが入光部112を経由して光導波素子110に入り、かつ出光部114を経由して表示領域P又は受光領域(例えば、図1が示す開口絞りであるが、これに限定されない)まで伝送される。
【0021】
表示光束DBが第一斜面T1に入射する角度を制御するこのよって、表示光束DBが光導波素子110から出射する角度を調節する。例を挙げると、大部分の表示光束DBが正面から第一斜面T1に入射するよう、表示光源120の光出射面S120を第一斜面T1と平行するように設置してもよい。これにより、大部分の表示光束DBを光導波素子110の正面方向から出射させる。例を挙げると、表示光源120の光出射面S120が第一斜面T1と平行するように設置され、大部分の表示光束DBが第一斜面T1に対し垂直な角度(第一斜面T1と表示光束DBの夾角が約90度)で光導波素子110の入光部112内に入射され、これによって、大部分の表示光束DBが光導波素子110の出光部114の底面SB2に対し垂直に(表示光束DBと出光部114の底面SB2の夾角が約90度)光導波素子110から出射される。
【0022】
また、第一導光層LG1、第二導光層LG2及び第三導光層LG3が透光材質(例えばガラス、アクリル又はその他の適切な材質など)であって、かつ第一導光層LG1、第二導光層LG2及び第三導光層LG3の屈折率が空気の屈折率より大きいため、全内反射(Total Internal Reflection、TIR)の条件を満たす場合、入光部112に入射した表示光束DBは全内反射によって出光部114へ伝送され、かつ出光部114が第二斜面T2と接続している領域から出光部114に入ることができる。同じく、出光部114は透光材質(例えば、ガラス、アクリル又はその他の適切な材質など)であって、かつ出光部114の屈折率が空気の屈折率より大きいため、全内反射の条件を満たす場合、出光部114に入射した表示光束DBは全内反射によって引き続き前へ伝送され(表示光源120を離れる方向へ伝送され)、そのうちビームスプリッターBSまで伝送された一部の表示光束DBがビームスプリッターBSによって表示領域Pへ反射され、その他の一部の表示光束DBがビームスプリッターBSを透過して引き続き前へ伝送される。一実施例において、異なるビームスプリッターBSから出射される光導波素子110の表示光束DBの光強度分布が均一になるように、ビームスプリッターBSの反射率(Reflectivity)が第二斜面T2を離れる方向に沿って次第に大きくなるようにして、かつビームスプリッターBSの透過率(Transmittance)が第二斜面T2を離れる方向にそって次第に小さくなるようにしてもよい。
【0023】
入光部112が多層式設計の場合、表示光束DBが第一界面IF1(又は第二界面IF2)まで伝送される度に、一部の表示光束DBが第一界面IF1(或第二界面IF2)に反射され、かつその他の一部の表示光束DBが第一界面IF1(又は第二界面IF2)を透過する。表示光束DBが第一界面IF1及び第二界面IF2で分光され続けることを利用して(界面で反射され、又は界面を透過すること)、入光部112における陰領域(即ち、表示光束DB間の空白領域)を小さくして、つまり表示光束DBの断面積を大きくして、表示光束DBが出光部114まで伝送される時に、ビームスプリッターBSの断面積を有効に充満し、出光部114において陰領域が発生することを防止できる。言い換えれば、入光部112の多層式設計を利用して、光導波素子110の入光部112における表示光束DBの分布を均等化させることができる。従って、光導波素子110は従来の明るさにムラがある現象を改善し、光導波素子110から離れた表示光束DBを空間中に均一に分布させることができる。また、入光部112の多層式設計は、製造が簡単で歩留まりが良いなどの利点も有する。
【0024】
一実施例において、さらに、異なる屈折率によって光導波素子110における表示光束DBの分布がより均一になるように、第一導光層LG1、第二導光層LG2、第三導光層LG3及び出光部114の材質を選択することができる。具体的には、第一導光層LG1、第二導光層LG2、第三導光層LG3及び出光部114の屈折率が全て同じである場合、表示光束DBが第一界面IF1又は第二界面IF2を透過する際に屈曲しない(図1の破線が示す表示光束DB’を参照)。しかし、第一導光層LG1、第二導光層LG2及び出光部114の屈折率が同じで、かつ第一導光層LG1、第二導光層LG2及び出光部114の屈折率がそれぞれ第三導光層LG3の屈折率以下である場合、光束が光学的に薄い媒体(屈折率が比較的に小さいフィルム層)から光学的に密な媒体(屈折率が比較的に大きいフィルム層)に進入する際に、屈折角が入射角より小さいため、第三導光層LG3における表示光束DBの伝送距離が短縮し、即ち表示光束DBが第三導光層LG3に進入する点と表示光束DBが第三導光層LG3から出射される点との間の距離が短縮し(距離Dから距離D’に短縮する)、表示光束DBが第一界面IF1又は第二界面IF2を通過する回数を増やすには有利であり、つまり分光回数が増えて、入光部112における表示光束DBの分布をより均一になる。
【0025】
本実施例において、第三導光層LG3の第一側壁面SS1及び第二側壁面SS2のうち少なくとも一つに反射層(図示せず)若しくは吸光層(図示せず)が形成され、又は、第一側壁面SS1及び第二側壁面SS2のうち少なくとも一つがつや消し面であり、表示光束DBが外部に漏れることを防止する。
【0026】
また、第二斜面T2に最も近いビームスプリッターBSと第二斜面T2の適切な距離を保つことにより、第二斜面T2に最も近いビームスプリッターBSに反射された表示光束DBと第二斜面T2を透過した表示光束DBとが干渉することを防止する。具体的には、出光部114の底面SB2が第二斜面T2及び第一導光層LG1の底面SB1に接続され、かつ出光部114の底面SB2と第二斜面T2の接続部Xと、第二斜面T2に最も近いビームスプリッターBSの出光部114の底面SB2における正投影点OPとの間の距離DTが0以上である。言い換えれば、第二斜面T2に最も近いビームスプリッターBSが第二斜面Tと重ならない。
【0027】
図2は比較例の表示装置における光導波素子が映像光束を伝送する光路概略図であり、なお、比較例の光導波素子は単一の導光板であり、多層式設計が採用されていない。図3図1の実施例における光導波素子が映像光束を伝送する光路概略図である。図2の表示装置100’において、表示光束DBが光導波素子110’を充満することができず、光導波素子110’を離れた表示光束DBの空間中の分布が不均一であり、表示光束DB間の隙間Gが比較的に大きく、明らかに陰領域が形成されている。図2の表示装置100’に対し、本願の表示装置100は入光部112の多層式設計を利用し、入光部112における表示光束DBの分布を比較的に均一にすることで(囲み部分を参照)、光導波素子110を離れた表示光束DBの空間中の分布がより均一になり、かつ表示光束DB間の隙間Gが比較的に小さく、陰領域が取り除かれている。
【0028】
以下は図4及び図5を併せて、本発明の表示装置の別の実施例を説明するが、同じ又は類似する素子に同じ又は類似する符号を付与し、かつ同じ又は類似する素子が同じ又は類似する機能を有するため、同じ説明を省略する。図4及び図5は本発明の第二実施例及び第三実施例の表示装置の部分断面概略図である。
【0029】
図4が示すように、表示装置200と図1の表示装置100は主に以下の点において相違する。表示装置200において、第三導光層LG3が第一導光層LG1に接続され、第一導光層LG1が第三導光層LG3と第二導光層LG2との間に位置する。
【0030】
図5が示すように、表示装置300と図1の表示装置100は主に以下の点において相違する。表示装置300において、光導波素子110はさらに、第一界面IF1に設置された第一部分透過部分反射層116及び第二界面IF2に設置された第二部分透過部分反射層118を有する。第一部分透過部分反射層116と第二部分透過部分反射層118の光透過率が異なってもよい。例を挙げると、第二部分透過部分反射層118の光透過率を50%の光束を透過させ、かつ50%の光束を反射するように設計し、また第一部分透過部分反射層116の光透過率を入射角が50度より小さい光束を透過させ、かつ入射角が50度より大きい光束を反射させるように設計してもよいが、これに限定されない。
【0031】
以上をまとめると、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点又は効果を有する。本発明の実施例の光導波素子において、表示光束が第一導光層、第二導光層及び第三導光層を経由する時に分光され続け、表示光束の断面積が大きくなるため、光導波素子は従来の表示光束が光導波素子中のビームスプリッターの断面積を有効に充満できないため引き起こす明るさのムラを改善できて、光導波素子を離れた表示光束を空間中に均一に分布させることができる。また、上記光導波素子を用いた表示装置は優れた表示品質を有する。
【0032】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施の範囲はこれに限定されることなく、即ち、請求の範囲及び明細書の説明内容に基づく簡単かつ同じ効果を有する変更又は修正も本発明の範囲に属する。また、本発明の任意の実施例又は請求項は必ずしも本発明が開示した全ての目的又は利点又は特徴を有する必要がない。さらに、要約書と発明の名称は特許検索に利用されるものであり、本発明の請求の範囲を制限するものではない。さらに、明細書又は請求の範囲に言及する「第一」、「第二」、「第三」又は「第四」などの用語は素子(element)を命名する名称又は異なる実施例や範囲を区別するものであり、素子の数量の上限又は下限を限定するものではない。
【符号の説明】
【0033】
100、100’、200、300:表示装置
110、110’、310:光導波素子
112:入光部
114:出光部
116:第一部分透過部分反射層
118:第二部分透過部分反射層
120:表示光源
BS:ビームスプリッター
D、D’、DT:距離
DB、DB’:表示光束
G:隙間
IF1:第一界面
IF2:第二界面
LG1:第一導光層
LG2:第二導光層
LG3:第三導光層
OP:正投影
P:表示領域
S120:光出射面
SB1、SB2:底面
SE1、SE2:出光面
SI1、SI2:入光面
SS1:第一側壁面
SS2:第二側壁面
T1:第一斜面
T2:第二斜面
T114:厚さ
TT:合計厚さ
X:接続部
θ1、θ2、θ3:夾角
図1
図2
図3
図4
図5