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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】アルミニウム物品表面の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/04 20060101AFI20220106BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 22/07 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 22/83 20060101ALI20220106BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20220106BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C23C28/04
C23C28/00 Z
C23C22/07
C23C22/83
B32B15/20
B32B15/08 P
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019530880
(86)(22)【出願日】2018-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2018015731
(87)【国際公開番号】W WO2019017026
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2017139808
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和男
(72)【発明者】
【氏名】平野 智哉
(72)【発明者】
【氏名】沼尾 臣二
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052292(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084397(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/006804(WO,A1)
【文献】特開2008-279697(JP,A)
【文献】特開2002-019015(JP,A)
【文献】特開2005-288986(JP,A)
【文献】特開昭47-028033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
B32B 1/00-43/00
C23C 22/00-22/86
C23C 28/00-28/04
C23F 1/00-4/04
F16J 12/00
F28F 21/00-21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施し、さらにイソシアネート化合物処理をし、前記イソシアネート化合物処理が、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物を使用したものであることを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエッチング処理が、水酸化ナトリウム水溶液および/または水酸化カリウム水溶液を使用したものであることを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載のジルコニウム処理が、リン酸ジルコニウムを使用したものであることを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の方法で表面処理されたアルミニウム物品に、さらに樹脂コーティングを施すことを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項5】
請求項に記載の樹脂コーティングに使用する樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド環を有する化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載の方法で表面処理されたアルミニウム物品に、さらにFRPを積層することを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項7】
アルミニウム物品が熱交換器であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項8】
アルミニウム物品が圧力容器用ライナーであることを特徴とする請求項1~に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【請求項9】
アルミニウム物品の表面の少なくとも一部に表面処理部が形成され、前記表面処理部の表面の少なくとも一部に、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物が結合され、官能基が設けられていることを特徴とする表面処理済みアルミニウム物品。
【請求項10】
前記表面処理部が、アルミニウム物品の表面に形成された凹凸面である請求項に記載の表面処理済みアルミニウム物品。
【請求項11】
前記表面処理部が、ベーマイト皮膜またはジルコニウム皮膜である請求項に記載の表面処理済みアルミニウム物品。
【請求項12】
請求項11のいずれか1項に記載の表面処理済みアルミニウム物品の官能基が設けられた側の表面に有機材料層が積層されてなる複合材料。
【請求項13】
前記有機材料層が樹脂コーティング層である請求項12に記載の複合材料。
【請求項14】
前記有機材料層がFRP層である請求項12に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム物品表面を有効なアンカー効果が発現できるものとすると共に、同表面に施された有機材料層との間の強固な化学結合を可能ならしめるアルミニウム物品表面の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム系材料は、軽量で加工性、熱伝導性に優れており、熱交換器等の各構成部材に広く利用されている。しかし、防食性が必要とされる部分にはこれをそのまま使用することはできず、一般的にはアルミニウム表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)、化成処理、メッキ処理が施されることが多いが、さらに防食性が求められる場合には同表面に樹脂コーティングを施すことが望ましい。樹脂コーティングを施す場合、樹脂とアルミニウムとの強固な接着を確保するためにはアルミニウムの表面処理技術が重要となっている。上述のアルマイト処理や化成処理もアルミニウムの樹脂コーティングのための表面処理技術として使えるが、これらはアンカー効果に頼るのみであるため強固で安定的な接着を得るには十分でなかった。
【0003】
また、自動車部品やOA機器等では軽量化を達成するためアルミニウムをはじめとする金属と樹脂の強固な接着が求められており、これらの分野でもアルミニウムの表面処理技術が重要となっている。
【0004】
従来、アルミニウムの表面処理は一般的にはショットブラスト処理等の単純な物理的方法で行われていたが、これは生産性に劣る上に薄い形状や複雑な形状の物品には適さず、そのため物理的な方法に代わって化学的な方法等の検討が進んでいる。具体的には、アルミニウム表面に化学処理による化成処理(特許文献1、2)、アルマイト処理(特許文献3)を施して同表面に微細な凹凸を形成しておき、これに例えば熱可塑性樹脂の射出成型を行い、微細な凹凸面によるアンカー効果で接着性を向上させる方法等が行われている。
【0005】
上述のように表面に微細な凹凸を付けて接着性を向上させる方法としては、アルミニウム表面にエッチングを施してより入り組んだ構造の凹凸を付けアンカー効果を増す方法や、凹凸の表層を酸化アルミニウムまたは金属リン酸化物の薄膜にする方法が提案されている(特許文献4)。しかしこの方法ではエッチング工程において使用したヒドラジン溶液等の廃液の処理が容易でないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-41579号公報
【文献】特開2016-16584号公報
【文献】特許第4541153号公報
【文献】特開2010-131888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み、廃液処理が容易でない薬液を使用せずに、アルミニウム物品表面を有効なアンカー効果が発現できるものとすると共に、同表面に施されたコーティング樹脂層や積層FRP等の有機材料層との間の強固な化学結合を可能ならしめるアルミニウム物品表面の処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施して同表面を有効なアンカー効果が発現できるような表面とし、さらにその上にシランカップリング剤処理、イソシアネート化合物処理、チオール化合物処理のいずれか1つ以上を施すことで該表面を化学結合ができるようなものとする、アルミニウム物品表面の処理方法である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の態様からなる。
【0010】
[1]アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施し、さらにシランカップリング剤処理、イソシアネート化合物処理、チオール化合物処理のいずれか1つ以上を施すことを特徴とするアルミニウム物品表面の処理方法。
【0011】
[2]前記エッチング処理が、水酸化ナトリウム水溶液および/または水酸化カリウム水溶液を使用したものであることを特徴とする上記[1]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0012】
[3]前記ジルコニウム処理が、リン酸ジルコニウムを使用したものであることを特徴とする上記[1]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0013】
[4]前記シランカップリング剤処理が、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、トリアジンチオール基から選ばれる1種以上を有するシランカップリング剤を使用したものであることを特徴とする上記[1]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0014】
[5]前記イソシアネート化合物処理が、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物を使用したものであることを特徴とする上記[1]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0015】
[6]前記チオール化合物処理が、一級および/または二級のチオール化合物を使用したものであることを特徴とする上記[1]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0016】
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載の方法で表面処理されたアルミニウム物品に、さらに樹脂コーティングを施すことを特徴とする上記[1]~[6]のいずれかに記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0017】
[8]前記樹脂コーティングに使用する樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド環を有する化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とする上記[7]に記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0018】
[9]上記[1]~[6]のいずれかに記載の方法で表面処理されたアルミニウム物品に、さらにFRPを積層することを特徴とする上記[1]~[6]のいずれかに記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0019】
[10]アルミニウム物品が熱交換器であることを特徴とする上記[1]~[9]のいずれかに記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0020】
[11]アルミニウム物品が圧力容器用ライナーであることを特徴とする上記[1]~[9]のいずれかに記載のアルミニウム物品表面の処理方法。
【0021】
[12]アルミニウム物品9の表面の少なくとも一部に表面処理部2が形成され、前記表面処理部2の表面の少なくとも一部に、シランカップリング剤、イソシアネート化合物およびチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が結合され、官能基が設けられていることを特徴とする表面処理済みアルミニウム物品。
【0022】
[13]前記表面処理部2が、アルミニウム物品の表面に形成された凹凸面である上記[12]に記載の表面処理済みアルミニウム物品。
【0023】
[14]前記表面処理部2が、ベーマイト皮膜またはジルコニウム皮膜である上記[12]に記載の表面処理済みアルミニウム物品。
【0024】
[15]上記[12]~[14]のいずれか1項に記載の表面処理済みアルミニウム物品1の官能基が設けられた側の表面14に有機材料層30が積層されてなる複合材料。
【0025】
[16]前記有機材料層30が樹脂コーティング層である上記[15]に記載の複合材料。
【0026】
[17]前記有機材料層30がFRP層である上記[15]に記載の複合材料。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記のように構成されているので、廃液処理が容易でない薬液を使用することなしに、アルミニウム物品表面を有効なアンカー効果が発現できるものとすると共に、同表面に施されたコーティング樹脂層や積層FRP等の有機材料層との間の強固な化学結合を可能ならしめることができ、有機材料層がコーティング樹脂層であれば剥がれ難く、積層FRPであれば強固な接着が実現できる。このように、本発明方法によれば、表面に有機材料層を強固に接着できるアルミニウム物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の処理方法で得られた表面処理済みアルミニウム物品の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2図1の表面処理済みアルミニウム物品と、接合対象の有機材料とを接合して得た複合材の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。本発明において、アルミニウム物品としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱交換器などが挙げられる。前記熱交換器としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラジエータ、ヒータコア、コンデンサ、エバポレータ、オイルクーラ、インタークーラ、配管、ヒートパイプ、ボイラー、蒸発器、インバータ冷却器、ヒートシンク、チラー、電池冷却器等が挙げられる。
【0030】
まず、アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施して同表面に有効なアンカー効果を発現させる「一次処理」について説明をする。
<エッチング処理>
本発明で使用されるエッチングは公知のものであってよい。化学的エッチング法の例としてアルカリエッチング法、りん酸-硫酸法、ふっ化物法、クロム酸-硫酸法、塩鉄法が挙げられ、電気化学的エッチング法の例としては電解エッチング法等が挙げられるが、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウムを使用したアルカリエッチング法が望ましい。アルカリエッチング法では、添加剤としてキレート剤、酸化剤、リン酸塩等を使用することもあるが、基本的にはアルミニウム物品を3~20重量%の水酸化アルカリ水溶液に20~70℃で1~15分程度浸漬し、その後これを5~20重量%の硝酸水溶液に数分浸漬して中和し、最終的には水洗、乾燥を経て、処理を完結する。
<ベーマイト処理>
本発明で使用するベーマイト処理は公知のものであってよい。これはアルミニウム物品に熱水処理を施してその表面をベーマイト(AlOOH)と呼ばれる水酸化アルミニウムに変化させる処理である。このベーマイトの結晶形状は針状であり、処理時間が長くなるに従い結晶が成長し形状が複雑になる。
【0031】
ベーマイト処理には蒸留水が使用されるが、反応促進剤としてアンモニアやトリエタノールアミン等が使用される。例えばトリエタノールアミンを0.3重量%添加し、95℃以上にした蒸留水にアルミニウム物品を3秒~5分浸漬して処理する。
【0032】
ベーマイト処理を施すべきアルミニウム物品はそのまま使用してもよいが、予め脱脂処理や上記アルカリエッチング法でエッチング処理したものを使用してもよい。
<ジルコニウム処理>
本発明で使用されるジルコニウム処理は公知のものであってよい。これは一般的にはリン酸ジルコニウムやジルコニウム塩を使用してアルミニウム物品表面に被膜を生成させる方法であり、具体的には日本パーカライジング社製の化成剤「パルコート3762」、「パルコート3796」等を用い、45~70℃で0.5~3分間アルミニウム物品を処理液に浸漬して処理する。ジルコニウム処理を行う場合は、予め上記アルカリエッチング法で処理したアルミニウム物品を使用することが望ましい。
【0033】
次に、上述のように有効なアンカー効果を発現するように処理されたアルミニウム物品表面に、シランカップリング剤処理、イソシアネート化合物処理、チオール化合物処理のいずれか1つ以上を施すことで該表面をコーティング樹脂層や積層FRPのような有機材料層との強固な化学結合ができるようにする「二次処理」について説明する。
【0034】
<シランカップリング剤処理>
本発明に使用できるシランカップリング剤はガラス繊維の表面処理等に使用される公知のものであってよい。シランカップリング剤の低濃度の水溶液や有機溶剤溶液をアルミニウム物品表面に接触させることで同表面に存在する水酸基等とシランカップリング剤の加水分解で生じたシラノール基とが反応したり、シラノール基どうしが縮合して生じたオリゴマーがアルミニウム物品表面に吸着し、乾燥処理で強固な化学結合が形成される。こうして、有効なアンカー効果を有するアルミニウム物品表面に、さらにコーティング樹脂層や積層FRPのような有機材料層とアルミニウム物品間の強固な接着を可能ならしめる化学結合を形成することができる官能基を導入する。
【0035】
使用するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジチオールトリアジンプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
シランカップリング剤を用いるアルミニウム物品表面の処理法は公知のものであってよい。同剤を直接スプレーでアルミニウム物品表面に吹き付けてもよいが、シランカップリング剤を溶剤で数%~数十%に希釈した溶液にアルミニウム物品を常温~100℃程度で1分~数日間浸漬した後、これを引き揚げて常温~100℃程度で1分~数時間乾燥させる方法が望ましい。
【0037】
<イソシアネート化合物処理>
本発明で使用するイソシアネート化合物は公知のものであってよい。多官能のイソシアネートであるジフェニルメタンジイソシナネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等や、ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2-イソシアネトエチルメタクリレート(昭和電工社製カレンズMOI(登録商標))、2-イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工社製カレンズAOI(登録商標))、1,1-(ビスアクリロイルオキシエチル)エチルイソシナネート(昭和電工社製カレンズBEI(登録商標))、2-イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工社製AOI-VM(登録商標))等が有効である。
【0038】
イソシアネート化合物を用いるアルミニウム物品表面の処理法は公知のものであってよい。イソシアネート化合物を溶剤で数%~数十%に希釈した溶液にアルミニウム物品を常温~100℃程度で1分~数日間浸漬した後、これを引き揚げて常温~100℃程度で1分~数時間乾燥させる方法が望ましい。
<チオール化合物処理>
本発明に用いるチオール化合物は、市販品として容易に入手可能なものであってよい。市販のチオール化合物は、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(商品名:QX40,三菱化学社製)、商品名:QE-340M,東レ・ファインケミカル社製、エーテル系一級チオール(商品名:カップキュア3-800,コグニス(Cognis)社製)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(商品名:カレンズMT(登録商標) BD1,昭和電工社製)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1,昭和電工社製)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(商品名:カレンズMT NR1,昭和電工社製)等である。中でもエポキシ樹脂中での安定性はカレンズMT PE1が優れている。
【0039】
チオール化合物を用いるアルミニウム物品表面の処理法は公知のものであってよい。チオール化合物を溶剤で数%~数十%に希釈した溶液にアルミニウム物品を常温~100℃程度で1分~数日間浸漬した後、これを引き揚げて常温~100℃程度で1分~数時間乾燥させる方法が望ましい。上記チオール化合物希釈溶液に触媒としてアミン類を添加してもよい。
【0040】
上記の表面処理方法によって得られた表面処理済みアルミニウム物品1は、アルミニウム物品9の表面の少なくとも一部に表面処理部2が形成され、前記表面処理部2の表面の少なくとも一部に、シランカップリング剤、イソシアネート化合物およびチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が結合され官能基が設けられた部分3が形成されてなる(図1参照)。
【0041】
つぎに、一次処理および二次処理によって処理されたアルミニウム物品の表面に、樹脂コーティングを施す方法について説明する。本発明によれば、コーティング樹脂層とアルミニウム物品の間の強固な接着が可能である。コーティング用樹脂は公知のものであってよく、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド環を有する化合物から選ばれる1種以上であるが、さらに上記以外の樹脂を含んでいてもよい。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、公知の方法により製造されるものであってよく、1成分中に少なくとも2個のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、エーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル型エポキシ樹脂等の公知のものが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシが最も好ましい。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。三菱化学社製「エピコート1001」、「エピコート828」等の汎用品を用いることができる。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との付加反応物を縮合重合させたものであって、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。フェノール樹脂の例としては、レゾール型フェノール樹脂およびノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
【0042】
レゾール型フェノール樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂の製造原料として使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、各種クレゾール、各種エチルフェノール、各種キシレノール、各種ブチルフェノール、各種オクチルフェノール、各種ノニルフェノール、各種フェニルフェノール、各種シクロヘキシルフェノール、カテコール、レゾシノール、ハイドロキノン等を、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。アルデヒド類の例としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、グリオキザール、クロトンアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられるが、実用性からホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。好ましいレゾール型フェノール樹脂は、粘度が500~8000mPa・s(25℃)、比重が1.15~1.30、pHが6.6~7.2、不揮発分が40~80%に調整された液状のレゾール型フェノール樹脂である。このようなレゾール型フェノール樹脂は、市販されており、例えば、アイカSDKフェノール社製「BRL-240」、「BRL-1017」等を用いることができる。
【0043】
ノボラック型フェノール樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ノボラック型フェノール樹脂の製造原料として使用されるフェノール類は、例えばフェノール、各種クレゾール、各種エチルフェノール、各種キシレノール、各種ブチルフェノール、各種オクチルフェノール、各種ノニルフェノール、各種フェニルフェノール、各種シクロヘキシルフェノール、カテコール、レゾシノール、ハイドロキノン等が挙げられる。これらフェノール類は単独で用いても、または混合して用いてもよい。また、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、グリオキザール、クロトンアルデヒド、グルタルアルデヒド等が使用でき、特にホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)が好ましく使用される。これらアルデヒド類は単独で用いても、または混合して用いてもよい。また、ノボラック化触媒の例としては塩酸、硫酸等の無機酸や酢酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられる。これら触媒は単独で用いても、または混合して用いてもよい。ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量は好ましくは300~1000である。このようなノボラック型フェノール樹脂は、市販されており、例えば、アイカSDKフェノール社製「BRG-556」、「BRG-557」等のBRGシリーズ等を用いることができる。
【0044】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合比は、好ましくはエポキシ当量/水酸基当量=0.6/1.4~1.4/0.6、より好ましくはエポキシ当量/水酸基当量=0.8/1.2~1.2/0.8である。混合比がこの範囲外であると被膜の密着性、耐水性が低下する場合がある。
【0045】
塗膜の柔軟性、耐水性を付与する目的で、フェノール樹脂の全てまたは一部をアルキル基および/またはアリル基を有するフェノール樹脂に置き換えてもよい。アルキル基および/またはアリル基を有するフェノール樹脂は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。アルキル基を有するフェノール樹脂としては、原料として4-ターシャリーブチルフェノール、4-オクチルフェノール等を使用して製造したフェノール樹脂であり、例えば、アイカSDKフェノール社製「CKM-1634」等を用いることができる。
【0046】
またアリル基を有するフェノール樹脂としては、フェノール樹脂をアリルエーテル化しクライゼン転位させて得られるアリル化フェノール樹脂が使用できる。例えばアイカSDKフェノール社製の「BRGシリーズ」をアリルエーテル化しクライゼン転位させて得られるものが有効である。
【0047】
アルキル基および/またはアリル基を有するフェノール樹脂の使用は、塗膜の柔軟性、耐水性の向上に有用でありスケールの付着防止にも効果的である。その置き換え割合はフェノール樹脂の100%でもよいが、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上である。10%未満の使用量では塗膜の柔軟性、耐水性向上の効果が出難い。
<不飽和ポリエステル樹脂>
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、スチレンのような重合性モノマーに溶解したものである。このような不飽和ポリエステル樹脂は、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)または「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)等に記載されている。
【0048】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
不飽和多塩基酸としては、特に限定されないが、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
飽和多塩基酸としては、特に限定されないが、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは2000~6000、より好ましくは3000~5000である。不飽和ポリエステルの重量平均分子量が上記範囲から外れると、樹脂中のスチレン量のバランスが崩れ、強度が十分でない場合がある。
<ビニルエステル樹脂>
ビニルエステル樹脂は、ビニルエステルをスチレンのような重合性モノマーに溶解したものである。このようなビニルエステル樹脂は、エポキシアクリレート樹脂とも呼ばれており、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)または「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)等に記載されている。
【0052】
ビニルエステルとしては、特に限定されず、公知の方法のものを用いることができる。ビニルエステルの例としては、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸(例えば、アクリル酸またはメタクリル酸)を反応させて得られる樹脂や、飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基を有する飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルとα,β-不飽和カルボン酸エステル基を有するエポキシ化合物とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。
【0053】
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、並びに1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族系グリシジルエーテルが挙げられる。より具体的には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンとの反応物、テトラブロムビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、アリサイクリックジエポキシカーボネート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ノボラック型グリシジルエーテル、クレゾールノボラック型グリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、靭性の観点から、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル、およびそれらの臭素化物が好ましい。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、可撓性を付与する観点から、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の飽和二塩基酸をエポキシ樹脂と反応させてもよい。
【0054】
飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸および多価アルコールの例は、前記<不飽和ポリエステル樹脂>の説明箇所において記載したものであってよい。また、前記α,β-不飽和カルボン酸エステル基を有するエポキシ化合物の例としては、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0055】
ビニルエステルの重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1,000~6,000、より好ましくは1,500~5,000である。ビニルエステルの重量平均分子量が上記範囲から外れると、アルミニウム物品の表面に対する樹脂コーティング層の接着強度が十分でない場合がある。
【0056】
また、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂と同様の使い方ができる樹脂として、ウレタン(メタ)アクリルレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。
【0057】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリイソシアネートと、ポリヒドロキシ化合物または多価アルコール類とを反応させた後、さらに、水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーである。また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、水酸基含有(メタ)アクリル化合物と、ポリヒドロキシ化合物または多価アルコール類とを反応させた後、さらに、ポリイソシアネートを反応させることによっても得られる。
【0058】
また本発明に使用できるポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、(1)飽和多塩基酸および不飽和多塩基酸の少なくともいずれか一方と、多価アルコールとから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに、α,β-不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および不飽和多塩基酸の少なくともいずれか一方と、多価アルコールとから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに、水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および不飽和多塩基酸の少なくともいずれか一方と、多価アルコールとから得られる末端水酸基のポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
<ラジカル重合性不飽和単量体>
上記不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等のラジカル重合性樹脂の製造に使用するラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレンモノマー、スチレンのα-,o-,m-,p-アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-i-プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。また、マレイン酸やフマル酸、イタコン酸等の不飽和酸とアルコールとの縮合物等も用いることができる。また、多官能の各種(メタ)アクリレートを使用してもよい。
<イミド環を有する化合物>
イミド環を有する化合物(イミド環を有する樹脂も含む)は、好ましくはポリアミドイミド、もしくはビスマレイミドまたはビスマレイミドとアリル化合物との組合せである。
【0059】
ポリアミドイミドとしては、市販のものを用いることができ、東洋紡社製「ポリアミドイミド樹脂HR-13NX」、日立化成社製「ポリアミドイミド樹脂溶液HPCシリーズ」等が例示される。
(ビスマレイミド)
ビスマレイミドとしては市販のものが使用できる。例えば、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、ビスフェノールAビス(4-マレイミドフェニルエーテル)、1,2-ビス(マレイミド)エタン、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。
【0060】
ビスマレイミドは、アリル化合物、好ましくはアリル化フェノール化合物、ラジカル重合性化合物、アミン等と組み合わせて使用することが好ましい。
【0061】
アリル化合物としては市販のものが使用できる。例えば2,2’-ジアリルビスフェノールA、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0062】
アリル化フェノール化合物は、上記2,2’-ジアリルビスフェノールAのほか、フェノール樹脂類をアリルエーテル化し、得られたアリルエーテル化フェノール樹脂を加熱しクライゼン転位させる周知の方法で得られたものであってもよい。例えばアイカSDKフェノール社製の「BRGシリーズ」をアリルエーテル化しクライゼン転位させて得られるアリル化フェノール樹脂が好ましく使用できる。
【0063】
ビスマレイミドとアリル化合物の混合比(当量比)は、好ましくはマレイミド基/アリル基=1.0/5.0~5.0/1.0、より好ましくはマレイミド基/アリル基=3.0/1.0~1.0/3.0である。混合比がこの範囲外であると被膜の密着性、耐水性が低下する場合がある。
【0064】
ラジカル重合性化合物としては、公知のラジカル重合性の樹脂、オリゴマー、モノマーが使用できる。例としてはビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルモノマー、スチレンモノマー、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。ビスマレイミドとラジカル重合性化合物の混合比(当量比)は、好ましくはマレイミド基/ラジカル重合性不飽和基=5.0/1.0~1.0/5.0より好ましくはマレイミド基/ラジカル重合性不飽和基=3.0/1.0~1.0/3.0である。混合比がこの範囲外であると被膜の密着性、耐水性が低下する場合がある。
【0065】
アミンとしては、活性水素を有する一級アミンまたは二級アミンが好ましい。耐熱性を考慮すると、例としてはジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられ、ビスマレイミドとアミンの混合比(当量比)は、好ましくはマレイミド基/活性水素=5.0/1.0~1.0/5.0より好ましくはマレイミド基/活性水素=3.0/1.0~1.0/3.0である。混合比がこの範囲外であると被膜の密着性、耐水性が低下する場合がある。
【0066】
また、ビスマレイミドと組み合わせるアリル化合物、ラジカル重合性化合物、アミン等は、単独で用いてもよいし、これらを同時に使用してもよい。
<添加剤>
本発明では、上記樹脂コーティングにおいて、樹脂硬化被膜とアルミニウム物品表面との接着性向上のため、水酸基、カルボキシル基、4級アンモニウムカチオンのいずれか1種以上を含有するポリマーを添加剤として同被膜成形用の樹脂組成物に添加することが有効である。この添加によって、アルミニウム物品表面を化成処理しなくても、該添加剤はアルミニウム物品表面に吸着し、硬化樹脂と同物品表面との堅固な接着が可能になる。このような添加剤としては、ビックケミー・ジャパン社製:商品名「BYK-4510」、「BYK-4512」等がある。
【0067】
また、上記樹脂コーティングにおいて、硬化被膜の汚れ付着防止のために、フッ素セグメントを有するポリマーを添加剤として同被膜形成用の樹脂組成物に添加することが有効である。このような添加剤の例としては、例えば日油社製:商品名「モディパーF206」等が挙げられる。
<ラジカル重合開始剤>
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂を硬化させるためのラジカル重合開始剤としては、過酸化物触媒を使用することができる。過酸化物触媒としては公知のものが使用できる。例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、3-イソプロピルヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等が使用できる。
<硬化促進剤>
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の組み合わせからなる硬化被膜やイミド環を有する化合物を使用する硬化被膜の形成には硬化促進剤を使用することができる。
【0068】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の組み合わせに使用される硬化促進剤の例としては、アミン系および/またはリン系の公知の硬化促進剤が挙げられる。アミン系促進剤としては3級アミン、イミダゾール系化合物が使用され、リン系促進剤としてはホスフィン系等の促進剤が使用される。アミン系促進剤の具体例としては、トリエチルアミン、N,N-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2トリターシャリーブチルホスフィン-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
【0069】
またリン系促進剤の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリターシャリーブチルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0070】
アミン系および/またはリン系の硬化促進剤の使用量は、被膜形成用の樹脂組成物100重量部に対して0.05~10重量部、好ましくは0.3~3.0重量部である。0.05重量部未満では硬化の促進に効果が乏しく、10重量部を超えると耐水性が良好な被膜が得られない場合がある。
【0071】
イミド環を有する化合物としてビスマレイミドまたはビスマレイミドとアリル化合物との組合せを用いる場合、ビスマレイミドの硬化には、ビスマレイミド/アリル化合物、ビスマレイミド/ラジカル重合化合物の硬化の促進剤として過酸化物触媒を使用して、ラジカル重合を積極的に併用してもよい。
【0072】
つぎに、本発明による方法で表面処理されたアルミニウム物品に、さらに樹脂コーティングを施す方法について、詳しく説明をする。
<アルミニウム物品の樹脂コーティング方法>
コーティング用の樹脂が低粘度の液体である場合はこれを直接塗布に使用してもよいが、溶剤を使用した方が薄膜を形成できる。使用する溶剤は樹脂を溶解ないしは分散できるものであればよく、公知のものが使用できる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、1,4-ジオキサン等のエーテル類等、水等の一般的なものが、単独、若しくは二種以上を併用して使用できる。
【0073】
樹脂を溶剤で希釈してなる樹脂液の濃度は、5~80重量%程度であってよい。溶剤を揮発させる前の被膜の厚みが25μm以下、好ましくは17μm以下になるように、または、硬化後の被膜の厚みが20μm以下、好ましくは17μm以下になるように、樹脂液をアルミニウム物品表面に塗布することが好ましい。溶剤を揮発させる前の被膜の厚さが25μmを超え、または硬化後の被膜の厚みが20μmを超えると、熱伝導率を低下させるので好ましくない。被膜の厚みが上記の値以下になるように、被膜生成用の樹脂組成物の濃度を調整することが望ましい。溶剤揮発前の被膜の厚みの下限および硬化後の被膜の厚みの下限は特に限定されないが、溶剤揮発前の被膜の厚みは1μm以上、硬化後の被膜の厚みは0.5μm以上であることが好ましい。
【0074】
アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施し、さらにシランカップリング剤処理、イソシアネート化合物処理、チオール化合物処理のいずれか1つ以上を施したアルミニウム物品の表面に、上記樹脂を使用してコーティング膜を形成する方法は、特に限定されないが、アルミニウム物品表面に樹脂を溶剤で希釈してなる樹脂液を均一に塗布し、溶剤を常温または低温加熱で揮発させた後、所定の焼き付け温度で被膜を硬化させることにより行う。コーティング膜を二層構造にする場合は、一層目を形成した後に再度同様の操作を行う。
【0075】
焼き付け温度は、特に限定されないが、一般に50~250℃である。焼き付け温度は樹脂の種類により適宜選定される。短時間で焼き付けるには高温が望ましい。焼き付け時間は焼き付け温度との関係で、例えば5~150分の範囲で、適宜選定される。
【0076】
本発明による、樹脂コーティングを施したアルミニウム物品の製造方法において、アルミニウム物品の代表例は熱交換器の構成部材であり、組み合わせたアルミニウム部材どうしをろう付け(好ましくは真空ろう付け)して作製したものである。
【0077】
次に、一次処理および二次処理によって処理されたアルミニウム物品の表面に、FRP(繊維強化プラスチック)を積層する方法について説明する。
【0078】
アルミニウム物品表面にエッチング処理、ベーマイト処理、ジルコニウム処理のいずれか1つ以上を施し、さらにシランカップリング剤処理、イソシアネート化合物処理、チオール化合物処理のいずれか1つ以上を施したアルミニウム物品の表面に、FRPを積層する方法は、公知の方法であってよい。例えば、前述したようなコーティング用樹脂とガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等を用いるハンドレアップ、成形材料やプリプレグのプレス成形やインジェクション成形、レジントランスファーモールディング(RTM成形)、フィラメントワインディング成形(FW成形)、引き抜き成形(PL成形)等が挙げられる。ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の繊維としてはロービング、クロス、マット等の公知の性状のものが使用できる。
【0079】
しかして、アルミニウム物品9の表面に樹脂コーティング30またはFRP30が積層されてなる複合材は、図2に示すように、表面処理済みアルミニウム物品1の官能基が設けられた側の表面14に有機材料層(樹脂コーティング層、FRP層)30が積層されてなる構成になっている。
【実施例
【0080】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(合成例1)アリル化フェノール樹脂の合成
攪拌機、還流管を備えたフラスコ中に、炭酸カリウム:720g、トリフェニルホスフィン:12g、水:1100g、5%Pd/C:4g、アイカSDKフェノール社製フェノールノボラック樹脂「BRG556」:104g(1.0当量)、酢酸アリル:569g(1.2当量)を仕込み、90℃で8時間反応を続けた。
【0081】
次に反応液を40℃まで冷却し、トルエン:400g、水400gを加え、撹拌後、反応液をろ過し、分液してトルエン層を取り出し、トルエンと酢酸アリルを減圧留去した。その後さらにトルエン400gを残留物に加えてこれをトルエンに溶解させ、生じたトルエン液を3回水洗し、その後トルエンを減圧留去してBRG556アリルエーテルを収率95%で得た。
【0082】
このBRG556アリルエーテルをフラスコに仕込み、160℃で3時間撹拌しクライゼン転位反応を行いアリル化フェノール樹脂BRG556CLを得た。
(実施例1)
<ワニスの作製>
(A)エポキシ樹脂として三菱化学社製エピコート1001:24重量部、(B)フェノール樹脂としてアイカSDKフェノール社フェノール樹脂「BRL-240」:16重量部を、MEK:50重量/水:60重量部から成る溶剤に溶解し、生成した溶液に2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30):0.4重量部を添加し、コーティング用ワニス-1を作製した。
<コーティングを施したアルミニウム製テストピースの作製>
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これに水酸化ナトリウムによるエッチング処理(5%水酸化ナトリウム水溶液に1.5分間浸漬後5%硝酸で中和し水洗し乾燥)を施した。
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1、昭和電工社製):5.44g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に30℃で2時間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-1を厚みが12μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて第1硬化被膜を形成した。
【0083】
続いて第1硬化被膜の表面にスプレーにてコーティング用ワニス-1を厚みが12μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に50分間放置し被膜を硬化させて第2硬化被膜を形成した。
【0084】
こうして二層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は121W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表1に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0041gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを落下させると、その衝撃力で簡単に剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0024gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。

(実施例2)
<ワニスの準備>
実施例1と同じコーティング用ワニス-1を使用した。
<コーティングを施したアルミニウム製テストピースの作製>
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これに水酸化ナトリウムによるエッチング処理(5%水酸化ナトリウム水溶液に1.5分間浸漬後5%硝酸で中和し水洗し乾燥)を施し、これをさらにトリエタノールアミン0.3重量%水中で3分間煮沸してベーマイト処理を施した。
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI):2.50g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に50℃で4分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-1を厚みが24μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて硬化被膜を形成した。
【0085】
こうして一層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は121W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表1に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0048gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを落下させると、その衝撃力で簡単に剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0031gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。

(実施例3)
<ワニスの準備>
実施例1と同じコーティング用ワニス-1を使用した。
<コーティングを施したアルミニウム製テストピースの作製>
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これに水酸化ナトリウムによるエッチング処理(5%水酸化ナトリウム水溶液に1.5分間浸漬後5%硝酸で中和し水洗し乾燥)を施し、これをさらにリン酸ジルコニウム処理液(日本パーカライジング社製パルコート3762)に60℃2分浸漬して水洗、乾燥工程を経てジルコニウム処理を施した。
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン:2.22g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に70℃3分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-1を厚みが24μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて硬化被膜を形成した。
【0086】
こうして一層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は120W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表1に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0051gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを落下させると、その衝撃力で簡単に剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0038gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。

(実施例4)
<ワニスの作製>
東洋紡社製ポリアミドイミド樹脂「HR-13NX」:30重量部を、N-メチルピロリドン/キシレン=67重量部/33重量部からなる混合溶媒:70重量に溶解し、コーティング用ワニス-2を作製した。
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これをトリエタノールアミン0.3重量%水中で3分間煮沸してベーマイト処理を施した。
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、昭和電工社製:PE-1:5.44g(0.01モル)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコン社製KBM-503):2.48g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に70℃で3分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-2を厚みが24μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて硬化被膜を形成した。
【0087】
こうして一層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は122W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表1に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0055gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを落下させると、その衝撃力で簡単に剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0039gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。

(実施例5)
<ワニスの作製>
大和化成工業社製ビスマレイミドBMI-1100:15重量部、アリル化フェノール樹脂BRG556CL:15重量部、Inchem社製フェノキシ樹脂PKHB:10重量部を、γ-ブチロラクトン:60重量に溶解したものに、伊東黒鉛工業社製の鱗片状黒鉛(グラファイト)CNP7:2.5重量部を加え、コーティング用ワニス-3を作製した。
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これをリン酸ジルコニウム処理液(日本パーカライジング社製パルコート3762)に60℃2分浸漬して水洗、乾燥工程を経てジルコニウム処理を施した。
【0088】
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、昭和電工社製:PE-1:5.44g(0.01モル)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコン社製KBM-503):2.48g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に70℃で3分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-1を厚みが12μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて硬化被膜を形成した。続いてコーティングワニス-3を厚みが12μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて硬化被膜を形成した。
【0089】
こうして二層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は123W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表1に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0045gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを5回落下させると、その衝撃力で剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0021gと極めて小さな値であった。結果は表1に示す。

(実施例6)
<ワニスの作製>
昭和電工社製ビニルエステル樹脂:100重量部に、オクチル酸コバルト:0.5重量部、有機過酸化物触媒328E:1.5重量部を添加し、コーティング用ワニス-4を作製した。
(一次処理)
50mm×90mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これに実施例2と同様にエッチング処理とベーマイト処理を施した。
(二次処理)
次に一次処理を施したアルミニウム製板を、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI):2.50g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に40℃で5間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。
(樹脂コーティング)
次に二次処理を施したアルミニウム製板にスプレーにてコーティング用ワニス-4を厚みが11μmとなるように塗布し、この塗膜付きアルミニウム製板を80℃乾燥機中に30分間+120℃30分間放置し硬化被膜を形成した。
【0090】
こうして一層構造コーティング膜厚10μmのアルミニウム製テストピースを得た。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は120W/m・kであった。コーティングを施す前のアルミニウム製板についての熱伝導率測定値(後述する比較例1)に対して30%以下の低下に抑えることができた。結果は表2に示す。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0062gと極めて小さな値であった。結果は表2に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを5回落下させると、その衝撃力で剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れなく重量減少が0.0041gと極めて小さな値であった。結果は表2に示す。

比較例1
実施例で使用したアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)をそのままテストピースとして使用し、熱伝導率を測定した。得られた熱伝導率は161W/m・kであった。
【0091】
上記テストピースを用いて耐食試験を行ったところ、耐食試験1、2共に紐で吊るしておいたテストピースが消失した。

比較例2
実施例1において、二次処理を行わない以外は実施例1と全く同じ方法でテストピースを作製した。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、実施例と同様にレーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は121W/m・kであった。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れはなかったが重量減少が0.3854gと大きな値であった。結果は表2に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを落下させると、その衝撃力で剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れはなかったが重量減少が0.2217gと極めて大きな値であった。結果は表2に示す。

比較例3
実施例5において、二次処理を行わない以外は実施例5と全く同じ方法でテストピースを作製した。
<熱伝導率>
上記テストピースについて、実施例と同様にレーザーフラッシュ法にて熱伝導率の測定を行った。測定結果は121W/m・kであった。
<耐食試験1>
上記テストピースを、群馬県草津温泉の温泉水(pH=2、53℃)に1ヶ月間浸漬したところ湯の花が付着した。引き揚げたテストピースに付着した湯の花は水道水で洗い流すことができた。乾燥後外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れが見られ重量減少が0.4516gと大きな値であった。結果は表2に示す。
<耐食試験2>
上記テストピースを、長崎県小浜温泉の温泉水(pH=8.2、97℃)に1ヶ月間浸漬したところ炭酸カルシウム系のスケールが付着した。引き揚げたテストピースに付着した炭酸カルシウム系のスケールは、乾燥後50cmの高さから同ピースを5回落下させると、その衝撃力で剥がれた。外観を観察し重量変化を測定したところ、外観は膨れが見られ重量減少が0.2856gと極めて大きな値であった。結果は表2に示す。

(実施例7)
産業機械用のアルミニウム製オイルクーラー(昭和電工社製)を用意し、そのオイル入口と出口に栓をし、以下の手順で表面全体に樹脂コーティングを施した。
<一次処理>
産業機械用のアルミニウム製オイルクーラー(昭和電工社製)に水酸化ナトリウムによるエッチング処理(5%水酸化ナトリウム水溶液に1.5分間浸漬後5%硝酸で中和し水洗し乾燥)を施し、これをさらにリン酸ジルコニウム処理液(日本パーカライジング社製パルコート3762)に60℃2分浸漬して水洗、乾燥工程を経てジルコニウム処理を施した。
<二次処理>
次に一次処理を施したアルミニウム製オイルクーラーを、昭和電工社製PE-1:5.44g(0.01モル)、昭和電工社製カレンズMOI:2.50g(0.01モル)をトルエン100g中に溶解した溶液に40℃で5間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。

<第1硬化被膜コーティング>
実施例1で使用したコーティング用ワニス-1にアルミニウム製オイルクーラーを1分間浸漬し、引き揚げて液を切った後エアーブローで余剰のワニスを吹き飛ばした。こうして同オイルクーラーの表面全体に厚み12μmの塗膜を形成した。この塗膜付きオイルクーラーを80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に10分間放置し被膜を硬化させて第1硬化被膜を形成した。
<第2硬化被膜コーティング>
冷却後、再度コーティング用ワニス-1に第1硬化被膜付きオイルクーラーを1分間浸漬し、引き揚げて液を切った後エアーブローで余剰のワニスを吹き飛ばした。こうして同オイルクーラーの第1硬化被膜の表面全体に厚み12μmの塗膜を形成した。この塗膜付きオイルクーラーを80℃乾燥機中に30分間放置し乾燥させ、さらに200℃乾燥機中に50分間放置し被膜を硬化させて第2硬化被膜を形成した。
【0092】
こうして二層構造硬化被膜(全膜厚10μm)のコーティングを施したアルミニウム製オイルクーラー(樹脂コートオイルクーラー)を作製した。
<熱交換実験>
硬化被膜コーティングを施したアルミニウム製オイルクーラーのオイル入口と出口にゴムホースを繋ぎ、同オイルクーラーを水温16.5℃の井戸の中に沈め、これに30℃の不凍液を13リットル/分、流したところ、出口で不凍液の温度が24℃になることを確認した。
<長期浸漬試験>
上記硬化被膜コーティングを施したアルミニウム製オイルクーラーを井戸水の中に半年間浸漬し続けたが、外観には異常がなかった。

(実施例8)
10mm×150mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(表:3000番、裏:4000番でろう付け)を準備し、これに実施例6と同様の一次処理と二次処理を行った。
【0093】
次に光硬化型FRPシート ショウゼットVE-1000S(光硬化ビニルエステル樹脂+ガラスマット1プライからなるプリプレグシート)10mm×150mm(厚み:1.0mm)をラップ部5cmになるように貼り合わせ、太陽光を10分間照射して硬化させた。
【0094】
この硬化物のラップ部の接着強度を確認するため引張せん断接着強さ試験(JISK6850)を行ったところ、21MPaでFRP部分が破壊した。

(比較例4)
10mm×150mm(厚み:2.0mm)のアルミニウム製板(3000番)、裏:4000番でろう付け)を準備し、これにアセトン拭きのみを行った。
【0095】
次に光硬化型FRPシート「ショウゼットVE-1000S」(光硬化ビニルエステル樹脂+ガラスマット1プライからなるプリプレグシート)10mm×150mm(厚み:1.0mm)をラップ部5cmになるように貼り合わせ、太陽光を10分間照射して硬化させた。
【0096】
この硬化物のラップ部の接着強度を確認するため引張せん断接着強さ試験(JISK6850)を行ったところ、2MPaでラップ部が剥がれた。

(実施例9)
<圧力容器の成形>
円筒状の胴部の両側にドーム部を有する繭型のアルミニウム製ライナー(胴部の長さ:593mm、胴部の外径:380mm、ドーム部を含めた全長:830mm、肉厚:4mm)に、実施例6と同様の一次処理、二次処理を施した。
【0097】
次に可視光硬化型ビニルエステル樹脂〔商品名、リポキシLC-720(昭和電工(株)製)〕を含浸したガラスロービング(日東紡社製RS240 PE-535)をフィラメントワインディング法で、最初にヘリカル巻きを層厚で0.98mm、次いでフープ巻きを膜厚0.6mm(繊維含有率:50vol%)となるようにワインディングした。
【0098】
ワインディング終了後、380~1200nmの波長領域を含む光源である600Wメタルハライドランプ3個を配置して、照射面の380~450nmの光強度が50mW/cm2になるように成形体を回転させながら光を照射したところ30分で硬化し、FRPを積層した圧力容器を短時間で成形できた。
<内圧試験>
バースト試験装置を使用し、容器の表面に付着させた歪みゲージで容器の歪みの状態を見ながら水を圧入し内圧を上げていったところ、内圧8MPaにおいて、胴部のドーム部より80mm離れた位置でバーストした。設計値通りであることを確認した。
【0099】
また破壊物は、容器のアルミニウムからFRPが剥がれることなく付着したままのものであり、アルミニウムとFRPが強固に接着できていることを確認した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
本出願は、2017年7月19日付で出願された日本国特許出願特願2017-139808号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容は、そのまま本願の一部を構成するものである。
【0102】
ここで用いられた用語及び説明は、本発明に係る実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【符号の説明】
【0103】
1…表面処理済みアルミニウム物品
2…表面処理部
3…官能基が設けられた部分
9…アルミニウム物品
14…官能基が設けられた側の表面
30…有機材料層(樹脂コーティング層、FRP層)
図1
図2