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特許6994826エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システム及び関連した部品及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システム及び関連した部品及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/10 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G01M15/10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2016220864
(22)【出願日】2016-11-11
(65)【公開番号】P2017090464
(43)【公開日】2017-05-25
【審査請求日】2019-11-06
(31)【優先権主張番号】1519926.8
(32)【優先日】2015-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1602258.4
(32)【優先日】2016-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516340548
【氏名又は名称】ホリバ ミラ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン タリー
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/051273(WO,A1)
【文献】特開昭58-184531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システムであって、前記システムは、エンジン排気管の開放端に嵌合されるように構成され、
前記エンジン排気管の前記開放端からの排気ガスを受けて、前記排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された一次流管と、
前記エンジン排気管の開放端からの排気ガスを受けて、前記排気ガスを前記エミッション試験装置に送るように構成された二次流管と、
前記二次流管を通る排気ガスの流れを制御するように構成された弁と、
前記エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号を受けて、前記信号に応じて前記弁の動作を制御して前記二次流管を通る排気ガスの流れを変更するように構成された制御システムと、
を有し、
前記エンジン排気管の前記開放端は、排気ガスがそこを通って大気にエミッションされる端部であり、
前記一次流管は、前記二次流管とは異なる断面積を有することを特徴とする、排気流管システム。
【請求項2】
前記流量又は予想流量を示す前記信号は、前記一次流管を通るガスの流量を示す信号を含む請求項1に記載の排気流管システム。
【請求項3】
前記流量又は予想流量を示す前記信号は、前記エンジンの動作のための制御信号を含む請求項1又は請求項2に記載の排気流管システム。
【請求項4】
前記弁は、蝶形弁である請求項1から請求項3の何れか1項に記載の排気流管システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記エミッション試験装置から前記流量又は予想流量を示す信号を受けるように構成された請求項1から請求項4の何れか1項に記載の排気流管システム。
【請求項6】
前記弁は、第1の閉状態と、第2の開状態との間で作動可能である請求項1から請求項5の何れか1項に記載の排気流管システム。
【請求項7】
前記弁は、前記第1の状態と第2の状態との間の状態を採るように作動可能である請求項6に記載の排気流管システム。
【請求項8】
更に、前記エンジン排気管からの排気ガスを受けて、前記排気ガスを前記エミッション試験装置に送るように構成された1つ又はそれ以上のさらなる流管を含む請求項1から請求項7の何れか1項に記載の排気流管システム。
【請求項9】
更に、前記1つ又はそれ以上のさらなる流管のうちの1つを通る排気ガスの流れを制御するように構成されたさらなる弁を含む請求項8に記載の排気流管システム。
【請求項10】
前記さらなる流管は、前記一次及び二次流管の少なくとも1つと異なる断面積を有する請求項8又は請求項9に記載の排気流管システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載のシステムで使用するための、一次及び二次流管を含む管又は導管のネットワーク。
【請求項12】
更に、制御システムを含む請求項11に記載の管又は導管のネットワーク。
【請求項13】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載のシステムで使用するための制御システム。
【請求項14】
前記エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第1の所定閾値を超えたときに前記弁を開くように構成された請求項13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第2の所定閾値を下回ったときに前記弁を閉じるように構成された請求項13又は請求項14に記載の制御システム。
【請求項16】
前記エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、前記一次流管を通るガスの流量を示す信号を含む請求項13から請求項15の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項17】
前記エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、前記エンジンの動作のための制御信号を示す信号を含む請求項13から請求項16の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項18】
請求項1から請求項10の何れか1項又は請求項13から請求項17の何れか1項に記載のシステム、又は請求項11又は請求項12に記載の管又は導管のネットワークを含むエミッション測定システム。
【請求項19】
携帯型エミッション測定システムである請求項18に記載のエミッション測定システム。
【請求項20】
車両によって運ばれるように構成された請求項19に記載のエミッション測定システム。
【請求項21】
請求項1から請求項20の何れか1項に記載のシステム又はネットワークを含む、試験設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システム、管又は導管のネットワーク、制御システム、エミッション測定システム、及び試験設備に関する。特に、本発明の幾つかの実施形態は、内燃機関の作動による排気ガスの測定に使用するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両で用いられる内燃機関の排気ガスのエミッションは、空気汚染の主要源であり、近年は厳しく検査されるようになってきている。新たな車両及び既存車両用(また、発電機などの他の用途のための内燃機関用)の排気ガスエミッションに対する様々な基準及び要件が存在する。排気エミッションの正確な試験は重要であるが、排気ガスエミッションの正確な試験は困難なプロセスである。
【0003】
ローリングロード上で車両が試験手順を通じて駆動する、標準試験が考案されている。車両エンジンの排気管は、導管を介して試験装置に接続され、この試験装置は、排気ガスエミッションの1つ又はそれ以上の態様、例えば試料中に存在する個別のガス量及び排気ガス流量を測定する。
【0004】
しかしながら、このような標準試験は、必ずしも車両の正常使用時の排気エミッションを表すものではない。従って、車両の正常動作中(すなわち、ローリングロード上の試験手順に従って動作しているときではなく)に用いることができる排気ガスエミッション試験装置を提供する必要がある。
【0005】
車両エンジンがローリングロード上で試験されるのか又は実路走行中に試験されるのかにかかわらず、車両エンジン排気管からエミッションされる排気ガスを測定することが必要である。これは、典型的には車両エンジン排気管に接続された導管を用いて達成され、この導管が排気ガスを試験装置に導く。
【0006】
車両エンジンによりエミッションされる排気ガスの流量は、車両エンジンの動作に応じてかなり変動し得る。例えば、エンジンが高速で運転されている(すなわち、毎分の回転数が高い)場合、排気ガスの流量は、典型的にはエンジンが低速で運転される場合よりも高くなる。
【0007】
排気ガスエミッションを収集するために車両エンジンの排気管に接続される導管は、試験中の排気ガスエミッションの予測流量に応じたサイズにされる。導管の断面が大きすぎると、低流量から正確な結果を得ることができないが、導管の断面が小さすぎると、試験装置は事実上飽和し、結果は実際の排気エミッションを表すことにならない。
【0008】
図1は、3つの異なるサイズの導管について、ある範囲のガス流量にわたるガス流量測定に関連した誤差百分率を示したグラフである(B型は内径約40mm、C型は内径約57mm、D型は内径72mmを有する)。見て分かるように、一般に、導管直径が大きいほど、導管を通るガス流量を測定した場合に低ガス流量での誤差が大きい。
【0009】
ローリングロード及び所定の試験手順を用いた従来の試験は、試験の合理的精度に合わせたサイズの導管の選択が可能である場合もあるが、試験そしてまた車両における発展は、適切なサイズの導管を選択することがもはや単純な仕事ではないことを意味する。
【0010】
特に、試験手順が、車両のより広範な運転状態(例えばより広範なエンジン速度範囲)を包含するにつれて、これらの運転状態の全てにわたって性格な結果を可能にする導管のサイズ選択は困難になる。これは、車両の正常運転中の車両試験で同様に当てはまる。さらに、現代の車両は、特に低エンジン速度で排気ガスエミッションを最小化するためにますます複雑な機構を用いるようになってきている。例えば、ある種の車両エンジンは、アイドリング時又は非常に低いエンジン速度のときにエンジンの全てのシリンダ動作を停止することができる。このことは、車両の動作中の排気ガスエミッション流量間に非常に著しい差異をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、広い範囲のエンジン動作条件にわたって排気ガスエミッション試験装置の精度を改善することが必要とされている。
【0012】
このことは、正確で信頼性の高い排気ガスエミッション用試験装置の提供を求める政府機関からの圧力の高まりによって強調される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明の態様は、エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システムを提供し、このシステムは、エンジン排気管からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された一次流管と、エンジン排気管からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された二次流管と、二次流管を通る排気ガスの流れを制御するように構成された弁と、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量(likely flow rate)を示す信号を受けて、信号に応じて弁の動作を制御して二次流管を通る排気ガスの流れを変更するように構成された制御システムと、を有する。
【0014】
別の態様は、エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システムを提供し、このシステムは、エンジン排気管の開放端からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された一次流管と、エンジン排気管の開放端からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された二次流管と、二次流管を通る排気ガスの流れを制御するように構成された弁と、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号を受けて、信号に応じて弁の動作を制御して二次流管を通る排気ガスの流れを変更するように構成された制御システムと、を備え、ここでエンジン排気管の開放端は、排気ガスがそこを通って大気にエミッションされる端部である。
【0015】
流量又は予想流量を示す信号は、一次流管を通るガスの流量を示す信号を含むことができる。
【0016】
流量又は予想流量を示す信号は、エンジンの動作に対する制御信号を含むことができる。
【0017】
弁は、蝶形弁とすることができる。
【0018】
制御システムは、エミッション試験装置から流量又は予想流量を示す信号を受けるように構成することができる。
【0019】
一次流管は、二次流管とは異なる断面積を有することができる。
【0020】
弁は、第1の閉状態と、第2の開状態との間で作動可能とすることができる。
【0021】
弁は、前記第1の状態と第2の状態との間の状態を採るように作動可能とすることができる。
【0022】
排気流管システムは、エンジン排気管からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された1つ又はそれ以上のさらなる流管をさらに含むことができる。
【0023】
排気流管システムは、1つ又はそれ以上のさらなる流管のうちの1つを通る排気ガスの流れを制御するように構成されたさらなる弁をさらに含むことができる。
【0024】
さらなる流管は、第1及び第2の流管の少なくとも1つと異なる断面積を有することができる。
【0025】
別の態様は、上記のようなシステムで使用するための、一次及び二次流管を含む管又は導管のネットワークを提供する。
【0026】
管又は導管のネットワークは、さらに弁を含むことができる。
【0027】
管又は導管のネットワークは、さらに制御システムを含むことができる。
【0028】
別の態様は、上記のようなシステム又は上記のような管又は導管のネットワークで使用するための制御システムを提供する。
【0029】
制御システムは、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第1の所定閾値を超えたときに弁を開くように構成することができる。
【0030】
制御システムは、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第2の所定閾値を下回ったときに弁を閉じるように構成することができる。
【0031】
エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、一次流管を通るガスの流量を示す信号を含むことができる。
【0032】
エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、エンジンの動作に対する制御信号を示す信号を含むことができる。
【0033】
別の態様は、上記のようなシステム又はネットワークを含むエミッション測定システムを提供する。
【0034】
エミッション測定システムは、携帯型エミッション測定システムとすることができる。
【0035】
エミッション測定システムは、車両によって運ばれるように構成することができる。
【0036】
別の態様は、上記のようなシステムを含む試験設備を提供する。
【0037】
別の態様は、エミッション試験装置と共に使用するための排気流管システムで使用するための管又は導管のネットワークを提供し、このネットワークは、エンジン排気管からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るための一次流管と、エンジン排気管からの排気ガスを受けて、排気ガスをエミッション試験装置に送るための二次流管と、二次流管を通る排気ガスの流れを制御するための弁と、を含む。
【0038】
管又は導管のネットワークは、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号を受けて、信号に応じて弁の動作を制御して二次流管を通る排気ガスの流れを変更するための制御システムをさらに含むことができる。
【0039】
別の態様は、格納された命令を有する有形コンピュータ可読媒体を含む制御システムを提供し、この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが、エンジン排気管から排気ガスをエミッション試験装置に送るように構成された一次流管及び二次流管に入る排気ガスの流量又は予想流量を示す信号を受けて、信号に応じて弁の動作を制御して二次流管を通る排気ガスの流れを変更するようにさせる。
【0040】
有形コンピュータ可読媒体は、格納された命令を有することができ、この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第1の所定閾値を超えたときに弁を開くようにさせる。
【0041】
有形コンピュータ可読媒体は、格納された命令を有することができ、この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが、エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号が第2の所定閾値を下回ったときに弁を閉じるようにさせる。
【0042】
エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、一次流管を通るガスの流量を示す信号を含むことができる。
【0043】
エンジン排気からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号は、エンジンの動作に対する制御信号を示す信号を含むことができる。
【0044】
本発明の実施形態を、例示のみの目的で添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】3つの所与のサイズの導管の流量誤差を表すグラフを示す(従来技術)。
図2】幾つかの実施形態において使用される車両を示す。
図3】幾つかの実施形態の排気流管システム及びエミッション試験装置を示す。
図4】総流量と一次及び二次流管を通る流量との間の関係を表すグラフを示す。
図5】総流量と一次及び二次流管を通る流量との間の関係を表すグラフを示す。
図6】総流量と一次及び二次流管を通る流量との間の関係を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態は、ネットワーク内で互いに接続される1つ又はそれ以上の導管又は管2を含むことができる、排気流管システム1を含む。
【0047】
排気流管システム1は、排気ガスを、エンジン排気管3から、1つ又はそれ以上の導管又は管2の少なくとも一部を通してエミッション試験装置4に送るように構成される。
【0048】
エンジン排気管3は、内燃機関5からの排気管を含む。内燃機関5は、例えば、石油(すなわち、ガソリン)エンジン又はディーゼルエンジンとすることができ、及び/又は、1つ又はそれ以上の他の形態の燃料を燃焼するように構成することができる。
【0049】
内燃機関5は、車両6に取り付けることができる(図2参照)。車両6は、車、トラック、ローリー、バン、バス、客車、自動二輪など、とすることができる。従って、車両6は、内燃機関5に結合した複数の接地車輪61を含むことができ、内燃機関5は、接地車輪61の少なくとも1つの回転(従って地面を横切る車両6の移動)を駆動するように構成されている。幾つかの実施形態において、車両6はトラックを含むことができ、その回転は、内燃機関5によって駆動され、車両6を駆動して地面を横切らせる。
【0050】
幾つかの実施形態において、内燃機関5は、静的エンジン、例えば発電機である。
【0051】
内燃機関5は、その動作の結果として排気ガス(すなわち、内燃機関5内での燃料の燃焼により生じるガス)をエミッションするように構成されている。エンジン排気管3は、これらの排気ガスを大気に送るように構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態において、内燃機関5は、複数のこのようなエンジン排気管3を含み、幾つかの実施形態において、複数の排気管がマニホルドを介して1つのエンジン排気管3に供給する。
【0053】
該又は各エンジン排気管3は、開放端31を含み、そこを通って排気ガスが大気にエミッションされる(例えば、テールパイプ)
【0054】
排気流管システム1(図3参照)は、該又は各エンジン排気管3の開放端31に嵌合されるように構成される。従って、1つ又はそれ以上の管又は導管2の少なくとも幾つかは、該又は各エンジン排気管3からの排気ガスを受けるように構成される。
【0055】
流管システム1は、該又は各エンジン排気管3の開放端31からの排気ガスの実質的に全てが嵌合された排気流管システム1を通ることを保証する1つ又はそれ以上のシールを含むことができる。
【0056】
1つ又はそれ以上の管又は導管2は、一次流管21及び二次流管22を含む。一次及び二次流管21、22は両方とも、排気流管システム1が嵌合されている1つ又はそれ以上のエンジン排気管3の少なくとも1つからの排気ガスを受けるように構成される。一次及び二次流管21、22は、互いに並列に接続されており、その結果、排気ガスは、一次及び二次流管21、22のいずれかを通るが、同じ排気ガスが一次及び二次流管21、22を連続して通らないようになっている。
【0057】
排気流管システム1は、送り管23を含むことができる。送り管23は、エンジン排気管3の開放端31に結合してそれらの間が流体連通するように構成される。送り管23は、さらに一次流管21及び二次流管22とも流体連通して結合しており、排気ガスが送り管23を通って一次及び二次流管21、22へ至ることができるようになっている。
【0058】
幾つかの実施形態において、送り管23及び二次流管22は、実質的に同じ内部断面積(例えば実質的同じ直径)のものである。一次流管21は、実施形態において、送り管23及び二次流管22の一方又は両方より小さい断面積(例えば小さい直径)のものとすることができる。
【0059】
二次流管22は、送り管23に対して角度を成すことができる。幾つかの実施形態において、この角度付き配置は、管を曲げて、送り管23及び二次流管22を定めることにより達成することができる。一次流管21は、送り管23と流体連通するように構成されるように、例えば送り管23と二次流管22との間の接合部(上述のように曲げ部のところに存在するものとすることができる)に配置することができる。二次流管22が送り管23に対して角度を成している幾つかの実施形態において、一次流管21は、送り管23に流体連通するように、送り管23と二次流管22との間の角度付き接合部の外側部分に又はこれに向かって(例えば接合部の凸部分上に)結合することができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、一次流管21は、二次流管22及び/又は送り管23に溶接によって固定される。一次流管21、二次流管、及び/又は送り管23は、少なくとも部分的に鋼(例えば、ステンレス鋼)で形成することができる。幾つかの実施形態において、これらの管21、22、23、及び、場合によっては排気流管システム1の他のいずれかの管又は導管2の1つ又はそれ以上は、このように鋼(例えば、ステンレス鋼)から形成することができ、異なる材料(例えば、プラスチック又はゴム材料)から形成することができる1つ又はそれ以上のシール、カフ、及び/又はカラーを含むことができる。
【0061】
排気流管システム1は、二次流管22を通るガスの流れを制御するように構成された弁11を含む。従って、弁11は、二次流管22に関連付けられたものとすることができる。弁11は、二次流管22の入口に、又はその長さに沿って配置することができる。
【0062】
弁11は、多数の異なる形態をとることができるが、幾つかの実施形態において、蝶形弁の形態とすることができる。
【0063】
弁11は、そこを通る(従って、二次流管22を通る)ガスの流れが実質的に妨げられる第1の状態と、そこを通る(従って、二次流管22を通る)流れが実質的に許容される第2の状態との間で作動するように動作可能である。幾つかの実施形態において、弁11は、弁11を通るガスの流れを変化させる、第1の状態と第2の状態との間の複数の状態(例えば、部分的に開いた弁の状態)を採るように動作可能である。
【0064】
弁11は、従って、弁11の動作(すなわち、第1の状態と第2の状態との間のその作動)を駆動するように構成された弁アクチュエータ111を含むことができる。弁アクチュエータ111は、電気機械式装置、例えば、モータ、サーボモータ、又はソレノイドなどを含むことができる。
【0065】
弁アクチュエータ111は、排気流管システム1の制御システム12からコマンド信号を受けるように構成される。従って、制御システム12は、コマンド信号を伝送することができる有線又は無線通信チャネルを介して、弁アクチュエータ111に結合することができる。
【0066】
コマンド信号は、弁11を第1の状態又は第2の状態とすることに対するコマンドとすることができる。コマンド信号は、幾つかの実施形態において、弁11を本明細書で説明するような第1の状態と第2の状態との間の状態とすることに対する信号とすることができる。従って、弁アクチュエータ111は、コマンド信号を受けて、弁11の動作を制御して所望の状態とするように構成することができる。
【0067】
弁アクチュエータ111は、例えば、弁11の現在の状態を判断し、これをコマンド信号で指示された状態と比較し、この比較に基づいて弁11を作動させるように構成することができる。幾つかの実施形態において、弁アクチュエータ111は、この機能を行わず、代わりに制御システム12によって行われる場合がある。
【0068】
制御システム12は、エンジン排気管からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号を受けて、信号に応じて(例えば弁アクチュエータ111を用いて)弁11の動作を制御して二次流管を通る排気ガスの流れを変更するように構成される。
【0069】
制御システム12は、幾つかの実施形態において、エンジン排気管からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号として、エンジン速度を示す信号(例えば、内燃機関の出力軸の毎分回転数又はエンジン速度のその他の尺度)を受けるように構成することができる。
【0070】
幾つかの実施形態において、制御システム12は、現在のエンジン速度ではなく未来のエンジン速度を示す信号を受けるように構成することができる。理解されるように、これは、排気ガスの予想流量の指標となる。
【0071】
幾つかの実施形態において、この未来のエンジン速度は、排気流管システム1の使用中の内燃機関5の動作の計画された試験手順に基づいて判断することができる。幾つかの実施形態において、この未来のエンジン速度は、加速信号(これは制御システム12によって受けることができる)に基づいて判断することができる。加速信号は、内燃機関5にその動作を制御するために与えられる加速コマンドを示す信号、例えば加速器オペレータ制御(例えば、ペダル、レバーなど)の動作の結果として生成される信号など、とすることができる。従って、幾つかの実施形態において、制御システム12は、内燃機関5のためのエンジン制御システム(例えば、車両6のための制御システム)と通信可能に結合することができる。
【0072】
制御システム12は、弁11をいつどのように動作させるかを決定するその動作において、ガス流又は予想ガス流(例えば、未来のガス流)の変化速度を使用するように構成することができる。例えば、突然の加速は、排気ガスの流量の突然の増加又は他の何らかの認識可能な特性によって示されることができ、又は加速信号から判断することができる。排気ガス流の高い増加率は、現在又は未来(例えば、近い未来)の高流量の指標となり得る。同様に、排気ガス流の高い減少率は、現在又は未来(例えば、近い未来)の低流量の指標となり得る。
【0073】
幾つかの実施形態において、制御システム12は、エミッション試験装置4と通信可能に結合され、エンジン排気管からの排気ガスの流量又は予想流量を示す信号をそこから受けるように構成される。このような実施形態において、その信号は、内燃機関5の動作に関してエミッション試験装置4が受ける1つ又はそれ以上の他の信号(例えば、幾つかの実施形態では制御システム12が直接受けるが他の実施形態ではエミッション試験装置4を介して間接的に受ける信号に関連して一般的に上記で説明したような、現在のエンジン速度又は未来のエンジン速度)に基づくことができ、又はエミッション試験装置4の装置を用いてガスについて測定された流量を示す信号、又はこのような信号の組合せ(排気ガスの現在の測定流量の指標を現在又は未来のエンジン速度の指標と組み合わせたもの)とすることができる。
【0074】
幾つかの実施形態において、制御システム12は、1つ又はそれ以上の管又は導管2内の、例えば、一次及び二次流管21、22の一方又は両方及び/又は送り管23内の、排気ガスの現在の流量に基づいて、弁11の動作を(弁アクチュエータ111を用いて)制御するように構成される。幾つかの実施形態において、制御システム12は、送り管23及び/又は一次流管21を通る測定ガス流量に基づいて、弁11を作動させて第1の状態から第2の状態にするためのコマンド信号を出力するように構成される。制御システム12は、送り管23を通る、又は一次及び二次流管21、22を通る測定ガス流量に基づいて、弁11を作動させて第2の状態から第1の状態にするためのコマンド信号を出力するように構成される。
【0075】
幾つかの実施形態において、制御システム12の動作は、少なくとも一部には、少なくとも1つの所定の閾値と比較した、(上述のように)1つ又はそれ以上の管又は導管2を通る現在のガス流量の比較に基づく。ひとたびガス流量が該又は各所定閾値を下回る又は超えると、適切なコマンド信号が出力され、弁11の動作を制御する。幾つかの実施形態において、該又は各所定閾値は、それぞれの流量(例えば、m3/分)、すなわち絶対閾値であり、幾つかの実施形態において、該又は各閾値は、排気流管システム1の流量の動作範囲に対するそれぞれの相対閾値である。例えば、該又は各閾値は、排気流管システム1の最大流量に対する百分率とすることができる。幾つかの実施形態において、絶対閾値と相対閾値との混合が用いられ、例えば1つの閾値は相対閾値、別の閾値は絶対閾値である。いずれにしても、相対であっても絶対であっても、該又は各閾値は所定流量である。
【0076】
幾つかの実施形態において、制御システム12は、少なくとも部分的に排気ガスの流れの増加率又は減少率に基づいて、弁11を制御するように構成することができる。そのため、制御システム12は、現在の流量を1つ又はそれ以上の所定閾値と比較し、それに従って、適切なコマンド信号を用いて弁11の動作を制御することができる。この増加又は減少率は、本明細書で説明するように測定流量から判断することができ、又は、例えば内燃機関5の動作を制御する制御信号から得ることができる、予想増加又は減少率の指標を用いて判断することができる。
【0077】
制御システム12は、1つ又はそれ以上の管又は導管2を通るガス流量のうちの1つ又はそれ以上、内燃機関5に対する制御信号、及び1つ又はそれ以上環境因子(例えば現在温度、空気圧、湿度など)を含むことができる入力の混合を用いた制御レジメに従って、弁11の動作を制御するように構成することができる。従って、制御システム12は、このような情報の適切な情報源(例えば、1つ又はそれ以上のセンサ)から1つ又はそれ以上環境因子に関する情報を受けるように構成することができる。
【0078】
排気流管システム1は、エミッション試験装置4に流体連通して結合するよう構成される。特に、一次及び二次流管21、22の両方を、そのように結合するように構成することができる。
【0079】
理解されるように、排気流管システム1と、該又は各エンジン排気管3との結合部は、正常動作時のガスの流れの方向に対して、エミッション試験装置4との結合部の上流になる。
【0080】
エミッション試験装置4は、一次及び/又は二次流管21、22を通るガス流の中に延びる1つ又はそれ以上プローブ41を含むことができる。幾つかの実施形態において、第1のプローブ41aは、一次流管21を通って流れるガスに関連付けられたパラメータを検知するように構成され、第2のプローブ41bは、二次流管22を通って流れるガスに関連付けられたパラメータを検知するように構成される。幾つかの実施形態において、該又は各プローブ41は、場合によって、一次及び/又は二次流管21、22を通るガス流量を測定するためのプローブを含むことができる。幾つかの実施形態において、ガス流量を測定するためのプローブは、付随する変換器モジュールを有するピトー管を含むことができる。幾つかの実施形態において、ガス流量を測定するためのプローブは、日本のHORIBAグループのEXFM-ONEなどの超音波排気流メータ(Ultrasonic Exhaust Flow Meter)を含むことができる。
【0081】
幾つかの実施形態において、複数の流管(例えば、一次及び二次流管21、22)の使用により、1つの流管のみを有するシステムと比べて各流管内の流量が低減される。従って、超音波排気流メータ(Ultrasonic Exhaust Flow Meter)、又は限定された流量範囲を有する他のプローブの使用は、幾つかの実施形態によれば、従来可能であると考えられていたよりも広範に実行可能となり得る。同様に、幾つかの実施形態において、各流管内の流量が少なくなることで、流管の制限範囲内に侵入することに起因し得る背圧の問題が低減される。
【0082】
幾つかの実施形態において、複数の流管を使用し、その1つ又はそれ以上を通る流れが1つ又はそれ以上のそれぞれの弁11によって制御されることで、高ガス流量が予測される場合の逆流/背圧の問題を解決又は低減することができる。このような幾つかの実施形態において、複数の流管の使用は、低流量では、本明細書で説明する幾つかの実施形態の場合のように、精度に関して必ずしも必要ではない場合があるが、それでもなお逆流/背圧の問題を解決することができる。これらの逆流/背圧問題は、実施形態により(例えばエミッション試験装置4により)取得される測定値に影響を与える場合があり、及び/又は、例えば低圧排気ガス再循環システムを有するエンジン5において、内燃機関5の動作に影響を与える場合がある。
【0083】
幾つかの実施形態において、エミッション試験装置4は、1つ又はそれ以上の試料管42を含むことができ、この試料管は、各々が、エミッション試験装置4の別の部分による分析のために一次及び/又は二次流管21、22を通るガスからガス試料を抽出するように構成される。幾つかの実施形態において、第1のこのような試料管42aは、一次流管21に関連付けられ、第2のこのような試料管は、二次流管22に関連付けられる。1つ又はそれ以上の試料管42は、エミッション試験装置4の入口と流体連通することができ、その入口は、1つ又はそれ以上の試料管42の全てに対して共通の入口とすることができる(例えば、第1及び第2の試料管42aの両方に対して)
【0084】
エミッション試験装置4は、1つ又はそれ以上の試験モジュール43を含むことができ、これは、非分散形赤外検出システム、化学発光システム、及び/又はフレームイオン化検出システムのうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。これらの1つ又はそれ以上の試験モジュール43は、例えば、1つ又はそれ以上の試料管42及びエミッション試験装置4の入口を介して、ガスを受け取るように構成することができる。1つ又はそれ以上の試験モジュール43(従って、エミッション試験装置4)は、湿潤ガス試料を受け取るように構成することができる。1つ又はそれ以上の試験モジュール43(従って、エミッション試験装置4)は、ガス試料中の1つ又はそれ以上の標的ガス及び/又はガス試料内で運ばれる1つ又はそれ以上の粒子の体積を求めるように構成することができる。これらの標的ガス及び/又は粒子は、例えば、1つ又はそれ以上の汚染物質又は温室効果ガスを含むことができる。標的ガスは、炭素酸化物(例えば、一酸化炭素)、窒素酸化物、及び炭化水素を含むことができる。
【0085】
幾つかの実施形態において、エミッション試験装置4は、該又は各試験モジュール43によって出力されたデータを記録するように構成されたデータレコーダ44を含むことができる。幾つかの実施形態において、データレコーダ44は、1つ又はそれ以上試験モジュール43に対して分離したユニットとして設けることができ、これに通信可能に結合することができる。
【0086】
幾つかの実施形態において、制御システム12は、データレコーダ44に通信可能に結合しており、本明細書においてエミッション試験装置4によって制御システム12に送信されるものとして論じられた信号は、データレコーダ44によって送信される信号とすることができる。
【0087】
幾つかの実施形態において、データレコーダ44、又はエミッション試験装置4の別の部分は、制御システム12の上記機能の幾つか又は実質的に全てを提供する。
【0088】
実施形態は、コンピュータの動作を制御して上述の制御レジメを与えるための格納された命令を有する、有形コンピュータ媒体を含むことができる。コンピュータは、例えば、エミッション試験装置4及び/又は制御システム12の一部を形成することができる。幾つかの実施形態において、制御システム12は、マイクロコントローラ又はフィールドプログラム可能ゲートアレイなどを含むことができる専用回路として設けられる。
【0089】
理解されるように、一次及び二次流管21、22を有する排気流管システム1を説明した。幾つかの実施形態においては、三次流管(図示せず)を設けることができ、幾つかの実施形態においては、3つより多くの流管を設けることができ、これらの流管は、本明細書で説明した一次及び二次流管21、22の配置に対応する配置で並列に接続される。
【0090】
1つより多くの流管を有する幾つかの実施形態において、流管の1つ又はそれ以上は、他の流管の1つ又はそれ以上とは異なる断面積を有することができる。幾つかの実施形態において、各流管は、他の全ての流管と異なる断面積を有することができる。幾つかの実施形態において、流管の1つ又はそれ以上は、本明細書で説明したような二次流管22内の弁11に対応する弁を有して、そこを通るガス流を制御することができる。このような各弁は、1つ又はそれ以上の弁アクチュエータ(本明細書で説明した弁アクチュエータ111に対応する)と関連付けることができ、この弁アクチュエータは、弁をそれぞれの第1の状態と第2の状態との間で作動させるように、一斉に及び/又は独立して駆動されるように構成することができる。弁は、(例えば該又は各弁アクチュエータを介して)それぞれ独自の制御システム(上述の制御システム12に対応する)に結合することができ、又はそれらの弁の動作を制御するように構成された共通の制御システム12に結合することができる。複数の制御システム12が設けられた場合、制御システムは、互いに通信して、本明細書に記載のような所望の動作を提供するように構成することができる。
【0091】
幾つかの実施形態において、流管の全て(例えば、一次及び二次流管21、22の両方)が、本明細書で説明するようにそれぞれの弁11に関連付けられる。従って、各流管(一次及び二次流管21、22を含む)内の弁11は、そこを通るガス流を制御するように構成することができる。弁11は、関連付けられた流管のそれぞれの入口のところに、又はその長さに沿って配置することができる。各弁11は、独自の弁アクチュエータ111に結合する場合もあり、又は共通の弁アクチュエータ111が存在する場合もある。同様に、各弁11は、独自の制御システム12又は共通制御システム12に結合することができる。
【0092】
2つより多くの流管を有する実施形態において、様々な異なる有効流管断面積を与えるために、関連付けられた1つ又は複数の弁は、それぞれの第1の状態と第2の状態との間で作動することができることが理解される。
【0093】
実施形態の所与の排気流管システム1の有効流管断面積は、その排気流管システム1の部分を形成する流管の断面積、並びにそれに関連付けられた各弁の構成によって決まる。従って、単一の排気流管システム1が、複数の異なる有効流管断面積を提供することができ、この有効流管断面積は、経時的に変化させることができる(例えば、内燃機関5の動作に応じて)。
【0094】
従って、排気流管システム1を通るガスの総体積は、その各流管を通る流れの体積の合計になる(流管は本明細書で説明されるように並列配置で設けられている)。図4から図6までは、一次流管21、二次流管22を通って流れるガス流量、及び総流量の例を示す。
【0095】
各流管は、実施形態によれば円形断面を有することができる。流管の外径は、例えば、2.54cm(1インチ)、3.81cm(1.5インチ)、4.45cm(1.75インチ)、5.08cm(2インチ)、6.35cm(2.5インチ)、7.62cm(3インチ)、10.16cm(4インチ)、12.7cm(5インチ)、又は15.24cm(6インチ)とすることができるが、他の直径も想定される。例えば、外径又は内径は、幾つかの実施形態では1cmと20cmとの間とすることができ、又は幾つかの実施形態では2cmと16cmとの間とすることができる。
【0096】
理解されるように、本発明の実施形態は、従来のシステムよりも効率的な排気ガス流量動作範囲を提供しようとするものである。従って、制御システム12は、該又は各弁11の動作を制御して、排気ガスの流量が低いときには流管に比較的小さい有効断面積を与え、排気ガスの流量が高いときには有効断面積を大きくするように動作することができる。
【0097】
本発明の幾つかの実施形態はまた、車両6の実際の試験で、試験プロセス中に導管を外して交換することを必要とせずに広い範囲の排気ガス流量にわたって使用することができるシステムを提供しようとするものであり、これは従来のシステムではいずれにしても典型的には非実用的であった。本発明の幾つかの実施形態は、携帯型エミッション測定システムと共に用いることができる(例えば、エミッション試験装置4は、内燃機関5がその一部を形成する車両6によって運ばれるように構成された、携帯型エミッション測定システムとすることができる)。
【0098】
本発明の幾つかの実施形態は、従来技術で普及している交換できる導管の組の代わりに用いようとすることができる。
【0099】
幾つかの実施形態において、内燃機関5は、複数のエンジン排気管3及び複数の開放端31を有する。従って、本発明の実施形態は、総排気ガス流量を正確に求めることができるように、エンジン排気管3の複数の開放端31の各々に同時に嵌合されるように構成された排気流管システム1を含むことができる。幾つかの実施形態において、各開放端31をそれぞれ独自の管又は導管2に関連付けることができ、下流マニホルドを設けて、管又は導管2の組の全てからのガスを合わせて単一の出口管内に導くことができる。各管又は導管2内の流量を求めることができ、ガスの試料は、各管又は導管2から、若しくは単一の出口管から、又は両方から取得することができる。
【0100】
本発明の実施形態は、排気ガス流量がかなり変動するように構成された内燃機関5、例えば、エンジン5のアイドリング時にはシリンダのサブセットのみが動作し、エンジン5が負荷下にあるときにはシリンダの全てが動作するマルチシリンダエンジンによって発生する排気ガスの体積の正確な指標を得ようとするときに特に有用であり得る。排気ガスの流量のこのような広範な変動は、法律が高排気ガスエミッション体積に対して制限又は罰則を課すようなってくるにつれて、ある種の内燃機関5に関連してより一般的になってきている。理解されるように、実施形態のエミッション試験装置4は、測定されたガス流量を用いてガスエミッション体積を求めるように構成することができ、これが判定するその他の情報を用いて個別の標的ガスの体積の指標を提供することができる。
【0101】
理解されるように、内燃機関5によってエミッションされる排気ガスの体積の正確な指標を得ることは、エンジン5が事前定義目標(汚染レベルを低減するために設計されることが多い)を満たすことを保証するために、また、そのようなエンジン5及びそれらの制御システムを設計するプロセスの一部として(車両のエミッションを事前定義目標を下回るように保持し、汚染レベルを低減しようとするために)、極めて重大な情報である。
【0102】
本発明の実施形態の通信可能に結合される部品は、有線又は無線通信チャネルによって結合することができる。幾つかの実施形態において、結合される部品は、デジタル又はアナログ信号を用いて通信することができ、これは、例えば0-5V、0-3V、0-12V又は0-16Vの信号を用いることができる。
【0103】
本明細書では、排気ガス(単数形及び複数形)に言及している。理解されるように、排気ガスは、典型的には複数の成分ガスを含む。この言及は、それに従って解釈されたい。
【0104】
本発明の実施形態は、本明細書で開示されたシステムのいずれかを含む試験設備を含むことができる。試験設備は、内燃機関5及び/又は内燃機関5を含む車両6を受け入れるように構成された試験ベイを含むことができる。試験ベイは、ローリングロードを含むことができる。試験ベイは、内燃機関5及び/又は車両6の動作のための試験手順を定める装置を含むことができる。
【0105】
この明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、「含む」及び「含んでいる」というという用語並びにそれらの変形は、指定した特徴、ステップ又は整数が含まれていることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を排除するものとして解釈すべきではない。
【0106】
上記説明、以下の特許請求の範囲、若しくは添付図面において、それらの特定の形態で若しくは開示された機能を実行するための手段に関して開示された特徴、又は開示された結果を得るための方法若しくはプロセスは、適宜、別個に、又はそのような特徴のいずれかの組合せで、本発明をその多様な形態で実現するために利用される。
【符号の説明】
【0107】
1:排気流管システム
2:管又は導管
3:エンジン排気管
4:エミッション試験装置
5:内燃機関
6:車両
11:弁
12:制御システム
21:一次流管
22:二次流管
23:送り管
31:開放端
41:プローブ
42:試料管
43:試験モジュール
44:データレコーダ
52:試料管
61:接地車輪
111:弁アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6