(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】流体送達装置用の取付バンド及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20220106BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20220106BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61M5/142 520
A61M5/20 510
A61M37/00 510
(21)【出願番号】P 2019531404
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017064609
(87)【国際公開番号】W WO2018111609
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-20
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517284522
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ラッセル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ギャズビー、エリザベス・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイガン、ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ペック、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤマダ、アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ギャナパシー、プラタプ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-521526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0130207(US,A1)
【文献】米国特許第05224928(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/20
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達装置用の取付バンドであって、
環状本体であって、中空の内部空間を画定する壁部、前記壁部を貫通して延在する、互いに隣接する一対の取付開口部、及び前記一対の取付開口部の反対側で前記壁部を貫通して延在するインジケータ開口部を含み、前記インジケータ開口部が、前記流体送達装置のユーザに対して前記取付バンドの締め付け具合についての表示を提示するように構成されたインジケータ部分を有する、該環状本体と、
前記環状本体から径方向外方に延び、前記取付開口部と実質的に整列される第1のストラップと、
前記環状本体から径方向外方に延び、前記インジケータ開口部と実質的に整列される第2のストラップとを備え
、
前記第1のストラップ及び前記第2のストラップの少なくとも一方に加わる張力に応じて、前記インジケータ部分の縁部が動いて、前記流体送達装置上に位置するウィンドウのなかに入ることを特徴とする取付バンド。
【請求項2】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記環状本体の前記壁部は、前記壁部の内面の周りに周方向に延びるバンド内側段差部をさらに有することを特徴とする取付バンド。
【請求項3】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記環状本体は、前記中空の内部空間を有する略円錐台形状に形成されることを特徴とする取付バンド。
【請求項4】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記インジケータ部分は、前記インジケータ開口部の下縁から前記環状本体の前記壁部に沿って略上方に延びるタブを含むことを特徴とする取付バンド。
【請求項5】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記第1及び第2のストラップは、前記環状本体の直径よりも小さい幅を有することを特徴とする取付バンド。
【請求項6】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記環状本体、前記第1のストラップ、及び前記第2のストラップは、一体的な部品として作製されることを特徴とする取付バンド。
【請求項7】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記環状本体、前記第1のストラップ、及び前記第2のストラップは、弾性材料から作製されることを特徴とする取付バンド。
【請求項8】
請求項1に記載の取付バンドであって、
前記第1のストラップ及び前記第2のストラップの少なくとも一方は、
両ストラップが結合されるとき他方のストラップを通す、少なくとも1つの保持開口部を有することを特徴とする取付バンド。
【請求項9】
請求項8に記載の取付バンドであって、
前記少なくとも1つの保持開口部は、剛性材料から作製されることを特徴とする取付バンド。
【請求項10】
請求項
8に記載の取付バンドであって、
前記少なくとも1つの保持開口部は、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップの少なくとも一方にインサート成形されることを特徴とする取付バンド。
【請求項11】
流体送達装置であって、
コレットアセンブリであって、第1のラッチ部材、その反対側の第2のラッチ部材、及び該コレットアセンブリの中央部分で互いに結合された上側壁部及び下側壁部を含み、前記中央部分によって該コレットアセンブリの周りに延在するコレット外側レッジが画定された、該コレットアセンブリと、
前記コレットアセンブリに着脱自在に結合された取付バンドとを備え、
前記取付バンドは、
環状本体であって、取付開口部、その反対側のインジケータ開口部、前記コレットアセンブリを受容できるように構成された中空の内部空間を画定するバンド壁部、及び前記バンド壁部の内面の周りに周方向に延びるバンド内側段差部を有する、該環状本体と、
前記環状本体から径方向外方に延びる第1のストラップと、
前記第1のストラップの反対側で前記環状本体から径方向外方に延びる第2のストラップとを含み、
前記取付バンドを前記コレットアセンブリに着脱自在に結合するために、前記取付開口部は前記第1のラッチ部材に結合され、かつ、前記インジケータ開口部は、前記第2のラッチ部材に結合され
、
前記第2のラッチ部材は、該部材に形成されたウィンドウを含み、
前記インジケータ開口部は、前記第2のラッチ部材の前記ウィンドウの少なくとも一部内に延出するように構成されたインジケータ部分を含み、
前記インジケータ部分は、前記取付バンドの締め付けに応じて前記ウィンドウ内で動き、前記流体送達装置のユーザに対して前記取付バンドの締め付け具合についての表示を提示することを特徴とする流体送達装置。
【請求項12】
請求項11に記載の流体送達装置であって、
前記環状本体の前記バンド内側段差部は、前記コレットアセンブリの前記コレット外側レッジと係合するように構成されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項13】
請求項11に記載の流体送達装置であって、
前記中央部分は、その内部にバンド内側段差部をさらに画定し、
前記下側壁部は、前記流体送達装置の中心軸を中心として周方向に互いに等間隔を隔てて配置された複数の可撓性タブを有し、
前記流体送達装置は、前記コレットアセンブリに結合された流体分配アセンブリをさらに備え、
前記流体分配アセンブリは、使用前形態と作動前形態との間で前記コレットアセンブリに対して位置決め可能であり、
前記流体分配アセンブリは、プレナムアセンブリと、流体を収容するカートリッジアセンブリとを含むことを特徴とする流体送達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の流体送達装置であって、
前記プレナムアセンブリは、上壁部分と、前記上壁部分に結合された下壁部分とを含むスリーブ壁部を有するスリーブ部品を含み、
前記下壁部分は、前記スリーブ部品の周りに延在するスリーブ外側レッジを画定し、
前記下壁部分は、前記中心軸を中心として周方向に互いに等間隔を隔てて配置された、前記複数の可撓性タブにそれぞれ対応する複数の突出部を有し、
前記使用前形態では、前記スリーブ部品の前記スリーブ外側レッジが前記コレットアセンブリの前記バンド内側段差部と係合し、かつ、前記複数の可撓性タブの各タブが前記複数の突出部の各突出部と係合して前記流体分配アセンブリと前記コレットアセンブリとの間にスナップ嵌めを提供することを特徴とする流体送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の流体送達装置であって、
前記スリーブ部品は、前記下壁部分に平坦な表面として形成され、前記下壁部分の底部から前記スリーブ外側レッジまで延在する複数の平坦な凹部をさらに含み、
前記各平坦な凹部は、前記中心軸から延びる径方向線に対して実質的に直交して配向され、
前記複数の平坦な凹部は、前記複数の可撓性タブを、前記スリーブ部品と干渉することなく軸方向に通過させることができるように構成されていることを特徴とする流体送達装置。
【請求項16】
請求項11に記載の流体送達装置であって、
前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは、前記コレットアセンブリをユーザに固定するのを容易にするために互いに結合されるように構成されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項17】
請求項16に記載の流体送達装置であって、
前記環状本体により中心軸が規定され、
前記取付バンドは、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップが互いに結合されたときに、前記コレットアセンブリに対して略軸方向の力を加えるように構成されることを特徴とする流体送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体送達装置に関し、より詳細には、流体送達装置をユーザに固定するための取付バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロニードルアセンブリを使用した薬剤の経皮送達のための様々な装置が開発されてきた。マイクロニードルアセンブリは、それよりも大きな従来のニードルと比較して、患者が受ける痛みを小さくすることができる。さらに、ニードルを使用した従来式の薬剤の皮下送達(多くの場合は筋肉内送達)は、一度に大量の薬剤を送達するように作動するため、薬剤のバイオアベイラビリティのスパイクが生じる。いくつかの薬剤の場合はこのことは重要な問題ではない。しかし、多くの薬剤は、患者の血流が定常状態の濃度を有することによって恩恵を受ける。経皮送達装置は、長時間にわたって実質的に一定の流量で、薬剤を投与することができる。
【0003】
しかしながら、経皮送達を用いた薬剤の送達には、いくつかの問題がある。例えば、少なくともいくつかの既知の経皮送達装置では、ユーザの皮膚に対する装置の位置、及びその装置を皮膚に取り付けるために用いられる力の量は変化し得るため、それにより、マイクロニードルのユーザの皮膚を適切に貫通する能力に影響を及ぼす恐れがある。加えて、薬剤は、該薬剤中に分散して存在する気泡を有し得るが、この気泡は、マイクロニードルアセンブリの各マイクロニードルを通じた薬剤の送達に影響を及ぼす恐れがある。さらに、薬剤に供給される圧力のばらつきに起因して、マイクロニードルアセンブリの各マイクロニードルを通って送達される薬剤の量が一定(等量)に保たれない恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、流体送達装置用の取付バンドが提供される。本発明の取付バンドは、環状本体を備え、この環状本体は、中空の内部空間を画定する壁部と、壁部を貫通して延びる互いに隣接する一対の取付開口部と、一対の取付開口部の反対側で壁部を貫通して延びるインジケータ開口部とを含む。インジケータ開口部は、流体送達装置のユーザに対して取付バンドの締め付け具合についての表示を提示するように構成されたインジケータ部分を有する。取付バンドはまた、環状本体から径方向外方に延び、取付開口部と実質的に整列された第1のストラップと、環状本体から径方向外方に延び、インジケータ開口部と実質的に整列された第2のストラップとを備える。
【0005】
別の態様では、流体送達装置が提供される。本発明の流体送達装置は、コレットアセンブリを備え、このコレットアセンブリは、該コレットアセンブリの中央部分で互いに結合された上側壁部及び下側壁部を含む。中央部分は、コレットアセンブリの周りに延在するコレット外側レッジを画定する。流体送達装置はまた、コレットアセンブリに着脱自在に結合された取付バンドを備える。取付バンドは、環状本体を含み、この環状本体は、コレットアセンブリを受容できるように構成された中空の内部空間を画定するバンド壁部と、バンド壁部の内面の周りに周方向に延びるバンド内側段差部とを有する加えて、取付バンドは、環状本体から径方向外方に延びる第1のストラップと、第1のストラップの反対側で環状本体から径方向外方に延びる第2のストラップとを含む。
【0006】
さらに別の態様では、流体送達装置をユーザの身体に固定する方法が提供される。本方法は、流体送達装置であって、第1のラッチ部材、及びその反対側の第2のラッチ部材を有するコレットアセンブリを含み、第2のラッチ部材が該部材に形成されたウィンドウを有する、該流体送達装置を提供するステップを含む。本方法はまた、取付バンドをコレットアセンブリに結合させるステップを含む。取付バンドは、環状本体を備え、この環状本体は、コレットアセンブリを受容するように構成された中空の内部空間を画定するバンド壁部と、バンド壁部に形成された取付開口部と、取付開口部の反対側でバンド壁部に形成されたインジケータ開口部とを含む。インジケータ開口部は、第2のラッチ部材のウィンドウ内の第1の位置に位置決めされたインジケータ部分を有する。取付バンドはまた、環状本体から径方向外方に延びる第1のストラップと、第1のストラップの反対側で環状本体から径方向外方に延びる第2のストラップとを備える。本方法はまた、流体送達装置をユーザの身体の一部に隣接した位置に位置決めするステップと、第1のストラップ及び第2のストラップの少なくとも一方に対して張力を加えて、インジケータ部分を、第2のラッチ部材のウィンドウ内の第2の位置に移動させるステップとを含む。さらに、本方法は、第1のストラップ及び第2のストラップを互いに結合させて、ユーザの身体の一部に取付バンドを巻き付けるステップを含む。そして、インジケータ部分の第2の位置によって、第1及び第2のストラップに加えられた張力の量の視覚的な表示が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の上記及び他の特徴、態様及び利点は、添付図面を参照して下記の詳細な説明を読むことにより、より良く理解できるであろう。添付図面中の同様の符号は同様の構成要素を示す。
【0008】
【
図1A】例示的な流体送達装置の使用前形態の断面図
【
図4】
図3に示したコレットアセンブリの分解斜視図
【
図9】
図7の9-9線で切断したスリーブ部品の断面図
【
図10】
図8の10-10線で切断したスリーブ部品の断面図
【
図11】プレナムアセンブリのプレナム部品の上面図
【
図13】
図11の13-13線で切断したプレナム部品の断面図
【
図14】
図1Aに示した流体送達装置のプレナムキャップアセンブリの概略分解図
【
図15】プレナムキャップアセンブリの上面図であり、第1の接着層を示す
【
図16】プレナムキャップアセンブリの第2の接着層の上面図
【
図17】プレナムキャップアセンブリの第3の接着剤層の上面図
【
図18】
図1Aに示した流体送達装置のマイクロニードルアレイアセンブリの概略分解図
【
図19A】マイクロニードルアレイアセンブリの概略断面図
【
図19B】
図19Aのマイクロニードルアレイアセンブリの別の実施形態の概略断面図であり、マイクロニードルアレイアセンブリを覆う保護カバーを示す
【
図20】流体送達装置のカートリッジアセンブリの断面図
【
図22】流体送達装置のキャップアセンブリの断面図
【
図23】流体送達装置の機械的制御アセンブリの分解斜視図
【
図28】機械的制御アセンブリの枢動ラッチの斜視図
【
図29】機械的制御アセンブリの保持プレートの正面斜視図
【
図31】組み立てられた機械的制御アセンブリの斜視断面図
【
図33】
図32の33-33線で切断した機械的制御アセンブリの断面図
【
図34】
図33の34-34線で切断した機械的制御アセンブリの断面図
【
図35】機械的制御アセンブリのインサート部品の斜視断面図
【
図37】
図4に示したコレットアセンブリに取り付けられた取付バンドの拡大側断面
【
図38】
図37に示した、コレットアセンブリに結合された取付バンドの拡大斜視図であり、使用前形態におけるインジケータの第1の位置を示す
【
図39】コレットアセンブリに結合された取付バンドの拡大斜視図であり、使用形態におけるインジケータの第2の位置を示す
【
図40】流体送達装置のアプリケータの好適な一実施形態の斜視図
【
図43】
図40に示す43-43線で切断したアプリケータの上面断面図
【
図48】流体送達装置に取り付けられたアプリケータの断面図
【0009】
特に明記しない限り、本明細書に提供される添付図面は、本開示の実施形態の特徴を図示することを意味する。これらの特徴は、本開示の1以上の実施形態を含む様々なシステムに適用可能であると考えられる。したがって、添付図面は、本明細書に開示された実施形態を実施するために必要とされる当業者に既知のすべての追加の特徴を含むことを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において複数の用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有すると定義される。単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈上他に明確に示されない限り、複数の言及を含む。用語「含む(comprising、including)」、及び「有する(having)」は包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することが意図される。「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が、起きても起こらなくてもよいことを意味し、その記載は、事象が起こる例及び起きない例を含む。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される近似の用語は、関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修飾するように適用され得る。したがって、「約(about)」、「およそ(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」などの用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似の用語は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。本明細書、及び特許請求の範囲を通して、範囲の制限の組み合わせ、及び/または交換が可能である。そのような範囲は、特定され、文脈または言い回しが他を示さない限り、そこに含まれるすべての下位範囲を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、上向き、下向き、上側、下側、上部、下部などの位置的用語は、相対的な位置関係を示すためにのみ便宜上用いられる。
【0013】
本明細書中で使用される場合、説明及び請求の範囲の目的のために、用語「流体」は、液体のみに適用され、気体状生成物を含むと解釈されるべきではない。
【0014】
図1Aは、全体が符号10で示される、例示的な流体送達装置(例えば薬物送達装置)の使用前形態の断面図である。
図1Bは、流体送達装置10の作動前形態の断面図である。
図2は、流体送達装置10の分解断面図である。この例示的な実施形態では、流体送達装置10は、流体送達装置10を形成するために互いに結合された複数のサブアセンブリ部品、例えばコレットアセンブリ12及び流体分配アセンブリ14を含む。コレットアセンブリ12及び流体分配アセンブリ14は、その全体が、それぞれの参照番号で示される。
図2に示すように、流体分配アセンブリ14は、複数のさらなるサブアセンブリ部品、例えばプレナムアセンブリ16、カートリッジアセンブリ18、キャップアセンブリ320及び機械的制御アセンブリ20を含む。コレットアセンブリ12、流体分配アセンブリ14、プレナムアセンブリ16、カートリッジアセンブリ18、キャップアセンブリ320、及び機械的制御アセンブリ20の各々は、添付図面において、その全体が、それぞれの参照番号で示される。コレットアセンブリ12は、流体送達装置10の筐体またはハウジングを形成し、流体分配アセンブリ14に摺動可能に取り付けられる。流体分配アセンブリ14を形成するために、キャップアセンブリ320がカートリッジアセンブリ18に結合され、カートリッジアセンブリ18がプレナムアセンブリ16に摺動可能に取り付けられる。加えて、機械的制御アセンブリ20が、以下により詳細に説明するように、カートリッジアセンブリ18に結合される。
【0015】
図3は、流体送達装置10のコレットアセンブリ12の断面図であり、
図4は、流体送達装置10のコレットアセンブリ12の分解斜視図である。
図2~
図4を参照すると、この例示的な実施形態では、コレットアセンブリ12は、コレットロック50と、コレットロック50に結合されたコレット22とを含む。この例示的な実施形態では、コレット22は、略円錐台形状に形成されており、その内部に画定された中空の内部空間24を有する。コレット22は、中心軸線「A」を中心として略対称に形成されている。コレット22の上側リム26が、内部空間24に通じる開口部28を画定する。円筒状の上側壁部30が、上側リム26からコレット22の中央部分32に向かって略垂直下方に延びている。下側壁部34が、中央部分32からコレット22の基部36(下端部)に向かって、外向きの角度で下方に延びている。上側壁部30、中央部分32及び下側壁部34が互いに協働して、内部空間24を画定する。段差部38が上側壁部30の周りに延在し、これにより、本明細書でさらに説明されるように、取付バンド430(
図36に示す)と係合するように構成された外側水平面40(コレット外側レッジ)を画定している。また、段差部38は、プレナムアセンブリ16と係合するように構成された内側水平面42(コレット内側段差部)を画定し、これにより、流体送達装置10の使用前に、プレナムアセンブリ16をユーザの皮膚表面上に適切に位置決めすることができる。
【0016】
図4に示すように、コレット22は、互いに反対側に位置し、かつ下側壁部34を貫通して形成された、全体が符号44で示される一対のノッチを含む。この例示的な実施形態では、ノッチ44は、略長方形の形状を有し、コレットロック50の一部を受容するように構成されている。加えて、コレット22は、コレット22に結合されたときにコレットロック50を位置決めすることができるように構成された1以上のストップ46を含む。例えば、これに限定しないが、1以上のストップ46は、下側壁部34に形成された、径方向内方に延出する突出部として形成されている。ストップ46は、ストップ46が本明細書で説明されるように機能することを可能にする形態または形状を有することができる。
【0017】
図3及び
図4に示すように、コレット22は、上側壁部30と一体的に形成された複数の可撓性タブ48を含む。加えて、複数の可撓性タブ48は、中心軸線「A」を中心として互いに等間隔を隔てて配置されている。具体的には、複数の可撓性タブ48は、第1の端部76からその反対側の自由な第2の端部78まで延在している。この例示的な実施形態では、自由な第2の端部78は、径方向内方に角度をなしており、プレナムアセンブリ16と係合して、流体送達装置10の使用中にプレナムアセンブリ16をユーザの皮膚表面に適切に位置決めすることができるように構成されている。
【0018】
図3及び
図4に示すように、この例示的な実施形態では、コレットロック50は、略環状の形状に形成されており、その下側外縁54から略円筒状の内壁56まで延在する凸状の内面52を有する。内壁56は、上面58まで上方に延びている。コレットロック50は、内壁56と同心の、かつ下側外縁54から上方に延びる略円筒状の外壁部60を含む。加えて、コレットロック50は、互いに反対側に位置し、かつ上面58から上方に延びるラッチ部材62、64を含む。ラッチ部材62、64は、コレット22のノッチ44と結合するように構成されている。ラッチ部材62は、ラッチ部材62から径方向外方に延出する第1の結合部材66を含む。具体的には、第1の結合部材66は、コレット22の下側壁部34に対して実質的に直交する上向きの角度で延出するネック部分63を含む。加えて、第1の結合部材66は、ネック部分63の周縁部を越えて延出し、かつ下側壁部34に対して略平行に延在するヘッド部分65を含む。さらに、第1の結合部材66は、ヘッド部分65を貫通して延在する開口部またはウィンドウ61を含む。ウィンドウ61は、本明細書でさらに説明されるように、流体送達装置10のユーザに対して取付バンド430の締め付け具合についての表示を提示するように構成されている。
【0019】
同様に、ラッチ部材64は、ラッチ部材64から径方向外方に延出する一対の第2の結合部材68を含む。この例示的な実施形態では、一対の第2の結合部材68の各結合部材は、コレット22の下側壁部34に対して実質的に直交する上向きの角度で延出するネック部分67を含む。加えて、第2の結合部材68は、ネック部分67の周縁部を越えて延出し、かつ下側壁部34に対して略平行に延在するヘッド部分69を含む。第1の結合部材66及び一対の第2の結合部材68は、本明細書でさらに説明されるように、取付バンド430と係合するように構成されている。
【0020】
この例示的な実施形態では、コレットロック50の外壁部60は、コレット22の下側壁部34に対して実質的に平行な角度で、径方向内方に傾斜する上側外面70を有し、これにより、コレットロック50の外壁部60とコレット22の下側壁部34とを面対面係合(face-to-face engagement)させることができる。加えて、上面58は、上方に延び、かつコレット22に結合されたときにコレットロック50を適切に位置決めするためにコレット22の1以上のストップ46と係合するように構成された複数のストップ部材72を含む。凸状の内面52から径方向内方に延びる複数の固定タブ74は、プレナムアセンブリ16と係合して、流体送達装置10の使用中にプレナムアセンブリ16をユーザの皮膚表面に適切に位置決めすることができるように構成されている。
【0021】
この例示的な実施形態では、コレット22は、コレットロック50に結合されて、一体的なアセンブリ(
図3に示す)を形成する。具体的には、コレットロック50の上側外面70及びラッチ部材62、64は、恒久的結合方法、例えば、これに限定しないが、接着剤や溶接結合(例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめ)などによって、コレット22の下側壁部34及びノッチ44に結合される。あるいは、コレット22及びコレットロック50は、コレットアセンブリ12の形成を可能にする任意の結合技術を用いて互いに結合される。
【0022】
図5は、流体送達装置10のプレナムアセンブリ16の断面図である。
図6は、プレナムアセンブリ16の分解斜視図である。この例示的な実施形態では、プレナムアセンブリ16は、スリーブ部品100、プレナム部品102、カニューレ104、プレナムキャップアセンブリ106(広義には、「気体抽出装置」)、及びマイクロニードルアレイアセンブリ108を含み、これらは互いに結合されて、一体的なプレナムアセンブリ16を形成する。具体的には、スリーブ部品100は、プレナム部品102に結合されて、その内部にキャビティ110を形成する。この例示的な実施形態では、スリーブ部品100は、例えば、これに限定しないが、接着剤や溶接結合(例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめ)などによって、プレナム部品102に結合される。あるいは、スリーブ部品100及びプレナム部品102は、プレナムアセンブリ16の形成を可能にする任意の接続技術を用いて互いに結合される。
【0023】
図7は、スリーブ部品100の上面図であり、
図8は、スリーブ部品100の底面図であり、
図9は、
図7の9-9線で切断したスリーブ部品100の断面図であり、
図10は、
図8の10-10線で切断したスリーブ部品100の断面図である。
図5~
図10に示すように、この例示的な実施形態では、スリーブ部品100は、環状の下壁部分112及び環状の上壁部分114を含む。上壁部分114は、スリーブ部品100の中心軸線「A」を中心として実質的に軸方向に延び、かつ上壁部分114と一体的に形成された複数の可撓性タブ116を含む。複数の可撓性タブ116は、中心軸線「A」を中心として互いに等間隔を隔てて配置される。添付図面では、4つの可撓性タブ116が図示されているが、他の実施形態では、スリーブ部品100は、スリーブ部品100が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数の可撓性タブ116を有することに留意されたい。この例示的な実施形態では、各可撓性タブ116は、第1の端部118からその反対側の自由な第2の端部120まで延在している。自由な第2の端部120は、カートリッジアセンブリ18を使用前形態及び作動前形態において適切に位置決めするためにカートリッジアセンブリ18と係合するように位置決めされた、径方向内方に延出する突出部122を含む。
【0024】
図7に示すように、下壁部分112は、外径124及び内径126を有し、それらの間に複数の凹部128、130、132が画定されている。中心軸線「A」を中心として互いに等間隔を隔てて配置された4組の凹部128、130、132が図示されているが、他の実施形態では、スリーブ部品100は、スリーブ部品100が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数の組の凹部128、130、132を有することに留意されたい。下壁部分112はまた、中心軸線「A」を中心として互いに等間隔を隔てて配置された、径方向内方に延びる複数のフランジ部材134を含む。4つのフランジ部材134が図示されているが、他の実施形態では、スリーブ部品100は、スリーブ部品100が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数のフランジ部材134を有することに留意されたい。この例示的な実施形態では、フランジ部材134は、プレナム部品102に形成された対応する凹部190と係合して結合するように構成されている。
【0025】
この例示的な実施形態では、各凹部128(ポケット)は、下壁部分112に、外径124から下壁部分112の内部に向かって所定の径方向距離138だけ延びる略矩形状の凹部として形成されている。
図8に示すように、凹部128は、各フランジ部材134の中心から周方向に角度αだけオフセットされている。
図10に最もよく示されているように、凹部128は、スリーブ部品100の底面136から所定の距離140だけ上方に延びており、かつその内部にコレットロック50の各固定タブ74を受容するように構成されている。
【0026】
さらに、この例示的な実施形態では、各凹部130は、下壁部分112に形成された平坦面として設けられている。また、凹部130は、底面136から下壁部分112の上面142(スリーブ外側レッジ)まで延びており、かつ中心軸線「A」から延びる径方向線に対して略直交している。
図8に示すように、凹部130は、各フランジ部材134の中心から角度βで規定される径方向線に対して略直交するように形成されている。この例示的な実施形態では、凹部130は、プレナムアセンブリ16をコレットアセンブリ12と組み合わせるときに、コレットロック50の各固定タブ74を、スリーブ部品100と干渉することなく軸方向に通過させることができるように構成されている。
【0027】
また、この例示的な実施形態では、凹部132は、周方向において凹部130から接線方向に延びる円弧状凹部として形成されており、中心軸線「A」に対する連続的な半径を有している。具体的には、凹部132は、プレナムアセンブリ16をコレットアセンブリ12と組み合わせるときに、凹部132がコレットロック50の各固定タブ74を受容することを可能にし、それと同時に、コレット22の各可撓性タブ48が凹部130と整列して受容されることを可能にする円弧状の距離だけ延びている。
図6に示すように、凹部132は、底面136から所定の高さ144だけ上方に延びている。
【0028】
下壁部分112はまた、凹部128、130、132によって一部分が画定された複数の突出部またはストップ146を含む。この例示的な実施形態では、各ストップ146は、凹部132の周方向端部148と、その凹部132に隣接する凹部128(
図8に示す)との間に延在する。ストップ146は、コレットロック50の固定タブ74が凹部128内または凹部132の周方向端部148に位置したときに、プレナムアセンブリ16の回転を防止するように構成されている。各ストップ146は、略軸方向に延び、かつ中心軸線「A」から延びる径方向線に対して実質的に直交する外面150を含む。加えて、各ストップ146は、外面150から下壁部分112の上面142まで上向きに延びる傾斜面152を含む。ストップ146は、流体送達装置10の組み立て後に、コレットアセンブリ12に対するプレナムアセンブリ16の回転を防止するために、コレット22の可撓性タブ48と係合するように構成されている。
図6に示すように、凹部130の表面の一部は、凹部132を越えて周方向に延びて傾斜面152に結合し、これにより、プレナムアセンブリ16をコレットアセンブリ12に組み合わせるときにコレット22の可撓性タブ48と係合するように構成されたランプとして機能する。
【0029】
図11は、プレナム部品102の上面図であり、
図12は、プレナム部品102の底面図であり、
図13は、
図11の13-13線で切断したプレナム部品102の断面図である。
図5、
図6、及び
図11~
図13を参照すると、この例示的な実施形態では、プレナム部品102は、底面136に隣接するスリーブ部品100の下壁部分112を水平方向に横断して延在してキャビティ110を画定する略円板状の本体部分160を含む。本体部分160は、上面162(
図11)と、その反対側の下面164(
図12)とを含む。プレナム部品102の上面162は、本体部分160の中央部分の近傍に配置されてチャンバ167を画定する、上方に延びる環状中央壁部166を有する。環状中央壁部166は、カートリッジアセンブリ18と結合されるように構成された上側リム168を含む。プレナム部品102の下面164は、本体部分160から下方に延びる矩形状のフレーム部分170を含む。フレーム部分170は、プレナムキャップアセンブリ106及びマイクロニードルアレイアセンブリ108をプレナム部品102内に位置する取付面174に取り付けるための取付空間172を画定する。
【0030】
プレナム部品102は、軸方向に延在する複数の開口部178を有する円弧状のチャネル176を含む。具体的には、
図12に最もよく示されているように、円弧状のチャネル176は、取付空間172内の取付面174に形成されている。円弧状のチャネル176は、中心半径180(流体通路186から所定半径離れた位置を結ぶ円弧状の線)を中心とする所定の幅を有する。中心半径180は、プレナム部品102の中心軸線「A」と同心である。この例示的な実施形態では、円弧状のチャネル176は、周方向に約270°の角度にわたって延在している。他の実施形態では、円弧状のチャネル176は、プレナム部品102が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の円周角度にわたって延在することができる。この例示的な実施形態では、軸方向に延在する複数の開口部178は、円弧状のチャネル176内に均等に配置される。各開口部178は、その中心を中心半径180上に置いて、下面164から上面162まで本体部分160を貫通して延在している。この例示的な実施形態では、プレナム部品102は、軸方向に延在する10個の開口部178を含む。あるいは、他の適切な実施形態では、プレナム部品102は、プレナム部品102が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数の軸方向に延在する開口部178を含むことができる。
【0031】
この例示的な実施形態では、
図5に最もよく示されているように、カニューレ104は、プレナム部品102の上面162から上方に延びる取付部184に結合される。具体的には、カニューレ104は、中心軸線「A」と同軸に、かつプレナム部品102を貫通して延在する流体通路186と流体連通して結合される。カニューレ104は、取付部184との締まりばめ、及び取付部184内に画定されたキャビティ188内に配置された接着剤によって、プレナム部品102に結合される。本明細書中で使用するとき、用語「締まりばめ」は、カニューレ104と取付部184との間の密着度の値、すなわち、部品間の径方向のクリアランスの量を意味する。クリアランスの負の値は、一般にプレスフィットと呼ばれ、締まりの大きさによって、軽い締まりばめであるか、または締まりばめであるかが決定される。少量の正のクリアランスは、ルーズフィットまたはスライディングフィットと呼ばれる。あるいは、カニューレ104は、プレナム部品102が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の適切な締結技術を用いて、取付部184に結合させることができる。この例示的な実施形態では、カニューレ104の上側部分は、鋭く尖っており、プレナム部品102から遠ざかるように上方に延びている。これにより、本明細書で説明されるように、カニューレ104は、カートリッジアセンブリ18の一部を貫通することができる。
【0032】
図11を参照すると、プレナム部品102は、上面162に形成され、かつ中心軸線「A」を中心として互いに等間隔を隔てて配置された複数の凹部190を含む。凹部190は、上述したように、スリーブ部品100のフランジ部材134に対応するサイズ及び形状に形成されている。具体的には、この例示的な実施形態では、プレナム部品102は、図示した4つの凹部190を含むが、他の実施形態では、プレナム部品102は、プレナム部品102が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数の凹部190を有することに留意されたい。本明細書で説明されるように、スリーブ部品100は、例えば、これに限定しないが、接着剤や溶接結合(例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめ)などによって、プレナム部品102に結合される。具体的には、スリーブ部品100のフランジ部材134は、プレナム部品102の凹部190に結合されて、一体的なアセンブリを形成する。
【0033】
図14は、
図1Aに示した流体送達装置10のプレナムキャップアセンブリ106の概略分解図である。
図15は、プレナムキャップアセンブリ106の上面図である。この例示的な実施形態では、プレナムキャップアセンブリ106は、互いに結合された複数の層を含む一体的なアセンブリである。プレナムキャップアセンブリ106は、感圧接着フィルムから作製された第1の接着層192によって、プレナム部品102の取付面174に結合される。第1の接着層192は、該第1の接着層192を貫通して形成された円弧状のスロット202を含む。円弧状のスロット202は、中心軸線「A」と同軸に形成された開口部204と実質的に同心に配置される。円弧状のスロット202は、中心半径206(開口部204から所定半径離れた位置を結ぶ円弧状の線)を中心とする所定の幅を有する。中心半径206は、中心軸線「A」と同心である。この例示的な実施形態では、円弧状のスロット202は角度θにわたって周方向に延在する。他の実施形態では、円弧状のスロット202は、プレナムキャップアセンブリ106が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の円周角度θにわたって延在することができる。この例示的な実施形態では、円弧状のスロット202は、プレナム部品102の円弧状のチャネル176と少なくとも部分的に対応するように構成され、開口部204は、プレナム部品102の流体通路186に対応するように配置される。
【0034】
プレナムキャップアセンブリ106は、プレナム部品102の反対側に、第1の接着層192に結合されたベント膜194を含む。この例示的な実施形態では、ベント膜194は、中心軸線「A」と同軸に形成された流体入口開口部208を含む。この例示的な実施形態では、流体入口開口部208は、第1の接着層192の開口部204と実質的に同一のサイズを有する。適切な一実施形態では、ベント膜194は、疎油性/疎水性の気体透過性材料から作製される。他の実施形態では、他の種類の適切な材料を使用してもよいことを理解されたい。例えば、これに限定しないが、一実施形態では、ベント膜194は、ナイロン支持材料、例えば米国ニューヨーク州ポートワシントン所在のポール・コーポレーション社(Pall Corporation)から入手可能なVersapor(登録商標)Membrane上に形成されたアクリルコポリマー膜から作製される。この例示的な実施形態では、ベント膜194の孔径は、約0.2マイクロメートル(ミクロン)である。ベント膜194は、約150キロパスカル(kPa)で測定した場合に、約200~2000mL/分/cm2の範囲の空気流量を有する。加えて、ベント膜194は、約35~300kPaの範囲の最小流体気泡圧力を有する。適切な一実施形態では、ベント膜194は、約150kPaで測定した場合に、少なくとも250mL/分/cm2の空気流量と、少なくとも150kPaの最小流体気泡圧とを有する。あるいは、ベント膜194は、プレナムキャップアセンブリ106が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の気体透過性材料から作製することができる。
【0035】
図16は、プレナムキャップアセンブリ106の第2の接着層196の上面図である。この例示的な実施形態では、第2の接着層196は、感圧接着フィルムから形成され、第1の接着層192の反対側でベント膜194に結合される。第2の接着層196は、第1の接着層192と同様に形成され、該第2の接着層196を貫通して形成された円弧状のスロット210を含む。円弧状のスロット210は、流体から気体を除去するために、中心軸線「A」に対して略直交する方向に延びる蛇行流路を形成するように構成されている。円弧状のスロット210は、第1の接着層192のスロット202に実質的に対応するサイズに形成され、かつスロット202に実質的に対応して配置される。スロット210は、中心軸線「A」と同軸に形成された中央開口部212と同心に配置される。円弧状のスロット210の第1の端部214は、直線状のスロット部216によって中央開口部212に接続される。円弧状のスロット210は、第1の接着層192の中心半径206に対応する中心半径218(中央開口部212から所定半径離れた位置を結ぶ円弧状の線)を中心とする所定の幅を有する。この例示的な実施形態では、円弧状のスロット210は、円弧状のスロット202と同じ角度θにわたって周方向に延在する。他の実施形態では、円弧状のスロット210は、プレナムキャップアセンブリ106が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の円周角度にわたって延在することができる。
【0036】
プレナムキャップアセンブリ106は、ベント膜194の反対側で第2の接着層196に結合された不透過性膜198を含む。この例示的な実施形態では、不透過性膜198は、円弧状のスロット210の第2の端部220と同軸に形成された流体出口開口部222を含む。この例示的な実施形態では、流体出口開口部222は、第1の接着層192の開口部204及びベント膜194の流体入口開口部208と実質的に同一のサイズを有する。不透過性膜198は、気体及び液体不透過性材料から作製される。例えば、これに限定しないが、一実施形態では、不透過性膜198は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから作製される。あるいは、不透過性膜198は、プレナムキャップアセンブリ106が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の気体及び液体不透過性材料から作製することができる。
【0037】
図17は、プレナムキャップアセンブリ106の第3の接着層200の上面図である。この例示的な実施形態では、第3の接着層200は、感圧接着フィルムから形成され、第2の接着層196の反対側で不透過性膜198に結合される。第3の接着層200は、該第3の接着層200を貫通して形成されたスロット224(流体送達装置10の第2のチャネル)を含む。スロット224は、不透過性膜198の流体出口開口部222に実質的に対応するサイズに形成され、かつ流体出口開口部222に実質的に対応して配置された第1の端部226を含む。加えて、スロット224は、第1の端部226から第2の端部228まで延在する全半径端部を含む。第2の端部228は、第1の接着層192の開口部204及びベント膜194の流体入口開口部208と実質的に同様のサイズを有する。さらに、第2の端部228は、中心軸線「A」と実質的に同軸に配置される。
【0038】
図5及び
図6を参照して本明細書で説明したように、プレナムアセンブリ16は、プレナムキャップアセンブリ106に結合されるマイクロニードルアレイアセンブリ108を含み、このマイクロニードルアレイアセンブリ108は、プレナム部品102の取付面174に取り付けられる。
図18は、
図1Aに示した流体送達装置10のマイクロニードルアレイアセンブリ108の概略分解図である。
図19Aは、マイクロニードルアレイアセンブリ108の概略断面図である。この例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ108は、プレナムキャップアセンブリ106の第3の接着層200によってプレナムキャップアセンブリ106に結合される。マイクロニードルアレイアセンブリ108は、マイクロニードルアレイ230と、マイクロニードルアレイ230の複数のマイクロニードル234及びベース表面236を少なくとも部分的に覆うドレープ膜232とを含む。マイクロニードルアレイアセンブリ108はまた、マイクロニードルアレイ230の背面240を覆うように延在し、かつ背面240に接着層242によって結合される分配マニホールド238を含む。分配マニホールド238は、マイクロニードルアレイ230に流体を供給するための流体分配ネットワーク244を含む。分配マニホールド238から供給される流体は、液体薬物製剤であり得る。ドレープ膜232で覆われたマイクロニードル234は、例えば、各マイクロニードル234に形成された1以上の開口部または流路246を通じて液体薬物製剤をユーザの皮膚に提供するために、ユーザの皮膚を穿孔するように構成されている。
【0039】
この例示的な実施形態では、ドレープ膜232は、ポリマー(例えばプラスチック)フィルムなどから作製することができ、追加の接着層242を使用してマイクロニードルアレイ230に結合される。他の実施形態では、ドレープ膜232は、エンボス加工またはナノインプリントされたポリマー(例えばプラスチック)フィルムから作製され得る。または、ドレープ膜232は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムから作製され得る。または、ドレープ膜232は、ポリプロピレンフィルムなどの任意の他の適切な材料から作製され得る。マイクロニードルアレイアセンブリ108は、いくつかの実施形態では、ドレープ膜232を含まないことも考えられる。
【0040】
この例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ230は、剛性、半剛性または可撓性の材料シート、例えば、これに限定しないが、金属材料、セラミック材料、ポリマー(例えばプラスチック)材料、またはマイクロニードルアレイ230が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の他の適切な材料から作製され得る。例えば、適切な一実施形態では、マイクロニードルアレイ230は、反応性イオンエッチング、または任意の他の適切な作製技術によって、シリコンから形成され得る。
【0041】
図19Aに示すように、マイクロニードルアレイ230は、マイクロニードルアレイ230の背面240から外向きに延出する複数のマイクロニードル234を含む。マイクロニードルアレイ230は、流体がマイクロニードルアレイ230を貫通して流れることを可能にするための、背面240との間に延在する複数の流路246を含む。例えば、この例示的な実施形態では、各流路246は、マイクロニードルアレイ230及びマイクロニードル234を貫通して延在する。
【0042】
各マイクロニードル234は、背面240から下方に延出し、背面240から遠位にある先端部248を有する尖ったまたは針状の形状(例えば、円錐形状若しくはピラミッド形状、または、円錐形状若しくはピラミッド形状に遷移する円筒形状)に遷移する基部を含む。各マイクロニードル234の先端部248は、マイクロニードルアレイ230から最も離れた位置に位置し、各マイクロニードル234の最小寸法(例えば、直径または断面幅)を規定する。加えて、各マイクロニードル234は、マイクロニードル234がユーザの皮膚を穿通する、すなわちマイクロニードル234が角質層を貫通してユーザの表皮に入るのに十分な、マイクロニードルアレイ230のベース表面236と先端部248との間の任意の適切な長さ「L」を概ね規定する。マイクロニードル234の長さLは、マイクロニードル234が表皮の内面を貫通して真皮内に入らないように制限することが望ましく、このことにより、有利なことにユーザの痛みを最小限に抑えることができる。この例示的な実施形態では、各マイクロニードル234は、約1000μm(マイクロメートル)未満、または約800μm未満、または約750μm未満、または約500μm未満の、またはそれらの間の任意の他のサブレンジの長さL(例えば、約200~400μmの範囲の全長L)を有する。マイクロニードル234の全長Lは、流体送達装置10が使用されるユーザの身体の位置に応じて様々であり得る。例えば、これに限定しないが、ユーザの脚に使用される流体送達装置用のマイクロニードル234の全長Lは、ユーザの腕に使用される流体送達装置用のマイクロニードル234の全長Lと実質的に異なり得る。各マイクロニードル234は、一般に、任意の適切なアスペクト比(すなわち、各マイクロニードル234の断面幅寸法Dに対する長さLの比)を有し得る。アスペクト比は2より大きくてもよく、例えば3より大きくてもよく、または4より大きくてもよい。断面幅寸法(例えば直径)が各マイクロニードル234の長さにわたって変化する場合、アスペクト比は、平均断面幅寸法に基づいて決定され得る。
【0043】
各マイクロニードル234のチャネルまたは流路246は、各マイクロニードルが中空シャフトを形成するようにマイクロニードル234の内部を貫通して形成されるか、または、マイクロニードルの外面に沿って延在するように形成されている。これにより、流体がマイクロニードルアレイ230の背面240から流路246を通って流れることを可能にし、かつ、ユーザの皮膚上に、皮膚内に、及び/または皮膚を貫通して流体を送達することができる下流経路が形成されている。流路246は、任意の適切な断面形状、例えば、これに限定しないが、半円形または円形の形状を画定するように構成され得る。あるいは、各流路246は、非円形形状、例えば、「V」形状、またはマイクロニードル234が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の他の適切な断面形状を画定するように構成され得る。
【0044】
マイクロニードルアレイ230は、一般に、背面240から延出する任意の適切な数のマイクロニードル234を含み得る。例えば、いくつかの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ230に含まれるマイクロニードル234の数は、1平方センチメートル当たり約10~1、500個の範囲、例えば約50~1250個、または約100~500個、またはそれらの間の任意の他のサブレンジであり得る。
【0045】
マイクロニードル234は、一般に、様々なパターンで配置され得る。例えば、いくつかの適切な実施形態では、マイクロニードル234は、長方形または正方形のグリッド、または同心円などの均一な態様で互いに間隔を隔てて配置される。このような実施形態では、マイクロニードル234の間隔は、一般に、これに限定しないが、マイクロニードル234の長さ及び幅、並びに、マイクロニードル234を通じてまたはマイクロニードル234に沿って送達することが意図される液体製剤の量及び種類などの様々な因子に依存し得る。
【0046】
さらに、この例示的な実施形態では、流体分配ネットワーク244は、例えば、分配マニホールド238の上面250と底面252との間に延在する複数のチャネル及び/または開口部を含む。チャネル及び/または開口部は、中央に配置された入口チャネル254を含む。入口チャネル254は、複数の供給チャネル256、及びプレナムキャップアセンブリ106の第3の接着層200に形成されたスロット224(
図14に示す)と流体連通される。この例示的な実施形態では、供給チャネル256は、入口チャネル254から供給された流体を、分配マニホールド238の所定範囲にわたって分配することができる。供給チャネル256の各々は、複数の抵抗チャネル(図示しない)と流体連通される。抵抗チャネルは、供給チャネル256から離間する方向に延び、流体の流れに対する流体分配ネットワーク244の抵抗を増大させるように形成されている。各抵抗チャネルは、出口チャネル258と流体連通される。
図19Aに示すように、各出口チャネル258は、マイクロニードル234の流路246を通じて流体を分配するために、各マイクロニードル234と整列されている。他の実施形態では、抵抗チャネル及びチャネル254、256及び258は、分配マニホールド238が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の構成で形成され得る。
【0047】
この例示的な実施形態では、分配マニホールド238は、ベース基板260(ベース基板260を貫通して形成された入口チャネル254と、ベース基板260の底面264に形成された供給チャネル256及び抵抗チャネルとを含む)を、カバー基板262(カバー基板262を貫通して形成された出口チャネル258を含む)に結合させることによって形成される。入口チャネル254は、穿孔、切削、エッチング、及び/または、ベース基板260を貫通するチャネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によって、ベース基板260内に形成され得る。この例示的な実施形態では、供給チャネル256及び抵抗チャネルは、エッチング技術を用いてベース基板260の底面264に形成される。例えば、好適な一実施形態では、ウェットエッチングまたはフッ化水素酸エッチングを用いて、供給チャネル256及び抵抗チャネルを形成する。別の適切な実施形態では、深堀り反応性イオンエッチング(DRIEまたはプラズマエッチング)を用いて、ベース基板260内に、深いかつ高密度の高アスペクト比構造体を形成することができる。あるいは、供給チャネル256及び抵抗チャネルは、分配マニホールド238が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の作製プロセスを用いて、底面264に形成することができる。この例示的な実施形態では、出口チャネル258は、穿孔、切断、エッチング、及び/または、カバー基板262を貫通するチャネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によって、カバー基板262を貫通して形成される。
【0048】
この例示的な実施形態では、ベース基板260及びカバー基板262は、分配マニホールド238の供給チャネル256及び抵抗チャネルの縁部をシールするために、面対面接触(face-to-face contact)で互いに結合される。適切な一実施形態では、直接結合、または直接整列結合は、2つの基板260、262間にプレボンド(prebond)を形成することによって使用される。プレボンドは、2つの基板を互いに直接接触させる前に、ベース基板260の底面264及びカバー基板262の上面266に接着剤を塗布することを含み得る。2つの基板260、262は、互いに整列され、面対面接触させられ、高温でアニールされる。別の好適な実施形態では、陽極結合を用いて分配マニホールド238を形成する。例えば、基板260、262が加熱される間に、底面264及び上面266の結合界面に電界が印加される。別の実施形態では、基板260、262を互いに結合するために基板260、262を局所的に加熱することを含む、レーザ補助結合プロセスを用いることによって、2つの基板260、262を互いに結合させることができる。
【0049】
この例示的な実施形態では、ベース基板260及びカバー基板262は、ガラス材料から作製される。あるいは、ベース基板260及びカバー基板262は、シリコンから作製してもよい。ベース基板260及びカバー基板262は、互いに異なる材料から作製してもよく、例えば、ベース基板260をガラスから作製し、カバー基板262をシリコンから作製してもよいと考えられる。他の実施形態では、ベース基板260及びカバー基板262は、分配マニホールド238が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の材料及び材料の組み合わせから作製してもよい。
【0050】
図19Bは、マイクロニードルアレイアセンブリ108の別の実施形態の概略断面図である。この例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ108は、接着剤267によってマイクロニードルアレイアセンブリ108に結合された保護カバー268を含む。接着剤267は、保護カバー268をマイクロニードルアレイアセンブリ108に、具体的にはマイクロニードルアレイ230に固定することを容易にするために、保護カバー268の周縁部に配置され得る。あるいは、ドレープ膜232をマイクロニードルアレイ230に結合させるために使用される接着層242を、マイクロニードルアレイ230の周縁部に向けて径方向外方に延在させて、保護カバー268をマイクロニードルアレイアセンブリ108に取り付けるのに使用してもよい。この例示的な実施形態では、保護カバー268は、流体に対して実質的に不浸透性の材料、例えばポリマーや金属箔などから作製され得る。接着剤267は、感圧接着剤、例えば、溶媒ベースのアクリル接着剤、溶媒ベースのゴム接着剤、シリコーン接着剤、及び当該技術分野で公知の他のものであり得る。保護カバー268は、フランジ付きの周縁側壁を有する平板状のカバーとして図示されているが、保護カバー268は積層体などの可撓性のシート材料であってもよいことを理解されたい。保護カバー268はまた、マイクロニードルアレイアセンブリ108からの保護カバーの取り外し(例えば剥離)を容易にするために、保護カバー268の縁部から接着剤267を越えて延在する少なくとも1つのタブ269を含む。
【0051】
図20は、
図1Aに示した流体送達装置10のカートリッジアセンブリ18の断面図である。
図21は、カートリッジアセンブリ18の概略分解図である。この例示的な実施形態では、カートリッジアセンブリ18は、中心軸線「A」を中心として実質的に同心に形成されたリザーバアセンブリ270を含む。リザーバアセンブリ270は、流体通路276を介して互いに流体連通された上側キャビティ272及びその反対側の下側キャビティ274を含む。この例示的な実施形態では、上側キャビティ272は、リザーバアセンブリ270の略凹形の本体部分278によって画定される、略凹形の断面形状を有する。下側キャビティ274は、凹形の本体部分278の中央部分から略垂直下方に延びる下側壁部275によって画定される略矩形状の断面形状を有する。流体通路276の上端部は、上側キャビティ272の最下点で開口しており、流体通路276の反対側の下端部は、下側キャビティ274の中央部分で開口している。流体通路276の下端部は、下側キャビティ274において径方向外方に広がり、略逆漏斗状の断面形状を形成する。他の実施形態では、上側キャビティ272、下側キャビティ274、及び流体通路276の断面形状は、リザーバアセンブリ270が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の構成で形成されてもよい。
【0052】
カートリッジアセンブリ18はまた、リザーバアセンブリ270に結合し、上側キャビティ272を閉鎖するように構成された上側シール部材280(膜)を含む。上側シール部材280は、環状のシール膜として形成され、該上側シール部材280をカートリッジアセンブリ18に密閉的に固定させるための周縁リッジ部材282を含む。カートリッジハウジング284は、上側シール部材280の上側に延在し、リザーバアセンブリ270に固定的に係合されるように構成されている。このことにより、上側シール部材280をリザーバアセンブリ270と密閉的に接触して固定することができ、これにより、上側キャビティ272は閉鎖される。
【0053】
この例示的な実施形態では、カートリッジハウジング284は、環状の垂直に延びる壁部286を含み、この壁部286は、上側シール部材280の周縁リッジ部材282に結合するように構成された径方向内方に延びるフランジ部材288を有する。具体的には、フランジ部材288は、リザーバアセンブリ270の凹状の本体部分278と協働して、それらの間の上側シール部材280を圧縮して密封的に固定する。この例示的な実施形態では、垂直に延びる壁部286の下端部300は、例えば、これに限定しないが、超音波溶接、スピン溶接、レーザ溶接、及び/または熱かしめによって、リザーバアセンブリ270のフランジ302に結合される。他の実施形態では、垂直に延びる壁部286は、カートリッジハウジング284をリザーバアセンブリ270に固定的に係合することを可能にする任意の結合技術(例えば、これに限定しないが、接着剤など)を用いて、フランジ302に結合され得る。
【0054】
カートリッジハウジング284はまた、垂直に延びる壁部286の外面308に周方向に形成された上側溝304及び下側溝306を含む。上側溝304及び下側溝306は、本明細書で説明されるように、スリーブ部品100の複数の可撓性タブ116、具体的には、複数の可撓性タブ116の自由な第2の端部120に形成された径方向内方に延出する突出部122と係合するサイズ及び形状に形成されている。加えて、カートリッジハウジング284はまた、垂直に延びる壁部286の上側縁部312に形成された複数のラッチ受容開口部310を含む。ラッチ受容開口部310は、本明細書で説明されるように、機械的制御アセンブリ20に結合して、機械的制御アセンブリ20をカートリッジアセンブリ18に固定するように構成されている。
【0055】
図22は、
図1Aに示した流体送達装置10のキャップアセンブリ320の断面図である。この例示的な実施形態では、キャップアセンブリ320は、互いに結合された隔壁部品322及びスナップキャップ部品324を含む。隔壁部品322は、リザーバアセンブリ270に結合して下側キャビティ274を閉鎖するように構成されている。隔壁部品322は、中心軸線「A」に対して実質的に直交する方向に延びる下側壁部326を有する。下側壁部326は、リザーバアセンブリ270の下側壁部275のリム330と密閉的に係合するように構成された周縁チャネル328を含む。隔壁部品322はまた、下側壁部326に対して横方向に、リザーバアセンブリ270に結合されたときに下側キャビティ274内に軸方向に延びる、環状の上側シール壁部332を含む。スナップキャップ部品324は、隔壁部品322の上側に延在し、リザーバアセンブリ270の下側壁部275に固定的に係合されるように構成されている。このことにより、隔壁部品322をリザーバアセンブリ270と密閉的に接触して固定することができ、これにより、下側キャビティ274は密閉して閉鎖される。
【0056】
スナップキャップ部品324は、流体送達装置10の使用中に隔壁部品322の下側壁部326へのアクセスを容易にするための中央開口部336を有する下側壁部334を含む。スナップキャップ部品324は、下側壁部334の周縁部から上方及び下方に延びる、環状の垂直に延びる壁部338を含む。この例示的な実施形態では、垂直に延びる壁部338の上側部分340は、ラッチ部品342によってリザーバアセンブリ270の下側壁部275に係合される。ラッチ部品342は、リザーバアセンブリ270の下側壁部275内に形成された対応する溝344と接続するための径方向内方に突出するフランジを含む。ラッチ部品342は、連続的な環状フランジであってもよいし、または径方向内方に突出する複数のフランジ部品であってもよい。他の実施形態では、垂直に延びる壁部338は、スナップキャップ部品324を下側壁部275に固定的に係合させることを可能にする任意の接続技術、例えば、これに限定しないが、締まりばめ、接着剤、溶接結合(例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめ)などによって、リザーバアセンブリ270の下側壁部275に係合させることができる。この例示的な実施形態では、垂直に延びる壁部338の下側部分346は、径方向外方に延在するフランジ部分348を含む。このフランジ部分348は、スナップキャップ部品324とプレナム部品102の環状中央壁部166の上側リム168との間に延在する追加のシール部材(図示せず)と係合するように構成された周辺シール面350を画定する。
【0057】
図23は、
図1Aに示した流体送達装置10の機械的制御アセンブリ20の分解斜視図である。この例示的な実施形態では、機械的制御アセンブリ20は、少なくとも、本体部品360と、プランジャ部品362と、付勢アセンブリ364とを含む。付勢アセンブリ364は、本体部品360とプランジャ部品362との間に配置され、プランジャ部品362を軸方向において本体部品360から離れる方向に付勢する。本体部品360は、一対の枢動ラッチ368を本体部品360に結合させるように構成された一対の保持プレート366と、付勢アセンブリ364によってプランジャ部品362に加えられる力の量を調節するように構成されたねじ付き調節部材370とを含む。
【0058】
図24は、本体部品360の斜視図である。
図25は、本体部品360の上面図である。
図26は、
図25の26-26線で切断した本体部品360の断面図である。
図27は、
図26の27-27線で切断した本体部品360の断面図である。この例示的な実施形態では、本体部品360は、略円板状の外側本体部分390と、外側本体部分390から上方に延びる略円筒状の内側部分392とを含む。本体部品360は、図示のように、26-26線及び27-27線を中心として略対称に形成されている。外側本体部分390は、横方向に延びる頂壁部394と、頂壁部394から垂下する環状側壁部396とを含む。頂壁部394は、その内部に画定されたキャビティ398を有する。キャビティ398は、該キャビティ398を貫通して延在する、より小さい中央開口部400を有する。この例示的な実施形態では、キャビティ398及び中央開口部400は、略矩形状の形状を有する。あるいは、キャビティ398及び中央開口部400は、本体部品360が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の形状を有することができる。この例示的な実施形態では、キャビティ398は、その内部に画定された、枢動ラッチ368を受容するために複数のノッチ402を有する。具体的には、複数のノッチ402は、中央開口部400を横切って略整列され、26-26線を中心として略対称に配置された2対のノッチ402を含む。
図24及び
図27に示すように、ノッチ402は、キャビティ398の底側壁部404の内部に向かって下方に延びている。
【0059】
頂壁部394は、該頂壁部394を貫通して形成され、かつ各保持プレート366のラッチ部品を受容するように構成された複数の開口部406を含む。各開口部406の両側には、ねじ孔408が設けられている。ねじ孔408は、保持プレート366を本体部品360に結合させるために使用される機械的部品410を受容する。
図24及び
図26に示すように、環状側壁部396は、各開口部406に隣接する切欠部412を含み、これにより、本明細書でさらに説明されるように、保持プレート366のラッチ部品が延在することが可能となる。
【0060】
この例示的な実施形態では、
図24及び
図26に最もよく示されるように、円筒状の内側部分392は、キャビティ398の底側壁部404から上方に延びる環状壁部414を含む。加えて、
図24及び
図27に示すように、環状壁部414は、頂壁部394の上方に頂壁部394から所定距離418を隔てて配置された、中央開口部400の上方に底側縁部416を有する。したがって、キャビティ398の底側壁部404と環状壁部414の底側縁部416との間に空間が画定され、これにより、本明細書でさらに説明されるように、枢動ラッチ368がプランジャ部品362と係合することが可能となる。
【0061】
円筒状の内側部分392は、頂壁部394から環状壁部414の頂縁420まで延びる複数のガセット部分418をさらに含む。具体的には、本体部品360は、環状壁部414からキャビティ398を通って頂壁部394まで径方向外方に延びる、互いに対称に配向された2つのガセット部分418を含む。加えて、ガセット部分418は、上方に延び、かつ頂壁部394から環状壁部414の頂縁420まで径方向内方にテーパしている。ガセット部分418は、本体部品360の円筒状の内側部分392に対して追加的な構造的支持を提供するように構成されている。さらに、
図27に示すように、環状壁部414は、頂縁420から、頂壁部394から上方に所定距離418隔てた位置までの所定の長さ422を有する。環状壁部414は、その内部に形成されたねじ付き部分424を含む。ねじ付き部分424は、頂縁420から、環状壁部414の長さよりも短い距離426だけ下方に延びるように形成されている。これにより、ねじ付き調節部材370が、円筒状の内側部分392の全体を通じて螺合されることなく、本体部品360に結合することを可能にする。
【0062】
図28は、機械的制御アセンブリ20の枢動ラッチ368の斜視図である。この例示的な実施形態では、枢動ラッチ368は、座標軸460によって規定されるX-Y平面に対して略対称に形成されている。枢動ラッチ368は、細長いレバー部分450を含む。レバー部分450は、その端部454に結合された一対の円筒状ピン452を有する。各円筒状ピン452は、中心線「B」と同軸になるように、レバー部分450の各側部から延出している。ラッチ部分456が、レバー部分450の端部454から離間する方向に延びている。具体的には、ラッチ部分456は、レバー部分450の端部454からレバー部分450に対して角度σをなして延びている。ラッチ部分456は、該ラッチ部分456を貫通して形成された凹状切欠部458を含む。より具体的には、凹状切欠部458は、中心線「C」に関する半径「R」によって規定される。中心線「C」は、座標軸460のX-Y平面内にあり、レバー部分450に対して、ラッチ部分456と同じ角度σをなして傾斜している。したがって、凹状切欠部458は、角度σをなしてラッチ部分456を貫通して延在し、凹状切欠部458の中心線「C」はレバー部分450に対して略直交する。
【0063】
図29は、機械的制御アセンブリ20の保持プレート366の正面斜視図である。
図30は、保持プレート366の背面斜視図である。この例示的な実施形態では、保持プレート366は、中心線「D」を中心として略対称に形成されている。保持プレート366は、略矩形状の本体部分462を含む。本体部分462の外側縁部464(前側縁部)は、本体部品360の周縁部と実質的に同様の半径を有する。一対の皿孔466が、本体部分462を貫通して形成されている。一対の皿孔466は、本明細書で説明されるように、機械的部品を受容するように構成されている。各皿孔466は、該皿孔466を貫通して延在し、かつ中心線「D」に対して略平行に形成された細長いスロット468を有する。スロット468は、保持プレート366が本体部品360に結合されたときに、保持プレート366が本体部品360の中心軸線「A」に対して径方向に摺動することを可能にする。本体部分462はまた、該本体部分462を貫通して延在し、かつ中心線「D」を略中心として位置する細長い開放端スロット470を含む。開放端スロット470は、本体部品360に結合されたときに、本体部品360の各ガセット部分418の少なくとも一部を受容するように構成されている。
【0064】
一対のボス472が、本体部分462の底部から下方に延出している。ボス472は、開放端スロット470の両側にそれぞれ配置され、かつ保持プレート366の後側縁部474に隣接している。ボス472は、枢動ラッチ368を本体部品360に結合させることができるように構成されている。具体的には、ボス472は、底側壁部404と概ね面対面接触してキャビティ398内に延び、本体部品360のキャビティ398内に形成されたノッチ402の幅にわたって延びるような、すなわち、各ボス472が各ノッチ402の頂部開口部を横切って延びるようなサイズ及び形状に形成されている。詳細については後述するが、枢動ラッチ368の円筒状ピン452は、流体送達装置10が組み立てられたときにノッチ402内に位置決めされ、本明細書で説明されるように、保持プレート366のボス472によってノッチ402内に保持される。
【0065】
各保持プレート366はまた、本体部分462の底部から下方に延出し、かつ外側縁部464に隣接するラッチ部品476を含む。ラッチ部品476は、中心線「D」を略中心として配置される。ラッチ部品476は、保持プレート366の本体部分462と一体的に形成された細長い本体部分478を有する。ラッチ部品476の自由端は、径方向外方に延出する突出部480を含む。突出部480は、カートリッジアセンブリ18のカートリッジハウジング284のラッチ受容開口部310との着脱自在なラッチ結合を提供するように構成されている。
【0066】
図31は、組み立てられた機械的制御アセンブリ20の斜視断面図であり、
図32は、機械的制御アセンブリ20の上面図であり、
図33は、
図32の33-33線で切断した機械的制御アセンブリ20の断面図であり、
図34は、
図33の34-34線で切断した機械的制御アセンブリ20の断面図である。
図23及び
図31~
図34を参照すると、付勢アセンブリ364は、第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378を含む。一実施形態では、第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378はばねである。あるいは、第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378は、付勢アセンブリ364が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の付勢部品、例えば、弾性材料、膨張性発泡体、流体(すなわち、気体または液体)圧縮部材などを含む。この例示的な実施形態では、第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378は各々、互いに異なる長さ及び互いに異なる力定数(力プロファイル)を有する。付勢アセンブリ364はまた、ねじ部品374と、チューブ376と、インサート部品380と、ねじ部品374に結合させることができるように構成されたナット382とを含む。
【0067】
インサート部品380は、
図33及び
図35に最もよく示されているように、略円筒状の形状を有し、中心軸線「A」を中心として対称の形状を有する。インサート部品380は、本体部482と、本体部482の第1の端部486から延出する円筒状突出部484とを有する。本体部482の第2の端部488は、その内部に第1の付勢部材372の端部を受容することができるサイズに形成された第1のボア490を含む。本体部482はまた、その内部に第2の付勢部材378の端部を受容することができるサイズに形成され、かつ第1のボア490よりも小さい第2のボア492を含む。開口部494が、インサート部品380を貫通して延在している。開口部494は、該開口部494を通じてチューブ376を受容することができるサイズに形成されている。
【0068】
図23及び
図31~
図34に示すように、ねじ部品374が、チューブ376を通じて挿入される。第2の付勢部材378は、その端部がねじ部品374の頭部384に載置されるようにして、チューブ376の周りに配置される。このため、第2の付勢部材378は、チューブ376の外周よりも大きく、かつねじ部品374の頭部384の外周よりも小さい内径を有する。ねじ部品374及びチューブ376は、第2の付勢部材378がインサート部品380の第2のボア492内に収容されるように、第2の端部488からインサート部品380の開口部494を通じて挿入される。ナット382は、ねじ部品374に結合され、これにより、インサート部品380をねじ部品374及びチューブ376に保持することができる。
【0069】
この例示的な実施形態では、ねじ付き調節部材370は、本体部品360の円筒状の内側部分392のねじ付き部分424に結合され、これにより、円筒状の内側部分392内でインサート部品380の軸方向の位置決めをすることができる。本明細書で説明されるように、これにより、付勢アセンブリ364によってプランジャ部品362に加えられる力の量を調節することが可能となる。この例示的な実施形態では、インサート部品380は、該インサート部品380にねじ部品374、チューブ376、第2の付勢部材378及びナット382が結合された状態で円筒状の内側部分392内に挿入され、ねじ付き調節部材370と当接させられる。
【0070】
枢動ラッチ368は、円筒状ピン452がノッチ402内に配置され、ラッチ部分456が径方向内方に延在するようにして、本体部品360内に配置される。保持プレート366は、各ラッチ部品476が各開口部406を通って下方に延在するようにして、本体部品360上に配置される。各保持プレート366のボス472は、ノッチ402上に延在し、これにより、その内部に枢動ラッチ368の円筒状ピン452を保持する。これにより、枢動ラッチ368は、本体部品360に結合されたままで、円筒状ピン452を中心として回転することが可能となる。保持プレート366は、本体部品360のねじ孔408にねじ結合された機械的部品410によって、本体部品360に結合される。
【0071】
図31、
図33及び
図34に示すように、第1の付勢部材372は、インサート部品380の第1のボア490内に配置される。この例示的な実施形態では、第1の付勢部材372は、第2の付勢部材378の外周、及びねじ部品374の頭部384の外周よりも大きい内径を有する。第1の付勢部材372は、インサート部品380の第1のボア490からプランジャ部品362まで延在する。プランジャ部品362は、円板状のドーム型ヘッド386と、円板状のドーム型ヘッド386から垂直上方に同軸的に延びる環状のガイド壁部387とを含む。図示のように、ガイド壁部387は、その内部に、第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378を受容することができるように構成されている。ガイド壁部387は、ガイド壁部387の自由端に隣接し、かつ径方向外方に延在するフランジ388を含む。フランジ388は、
図33及び
図34に示すように、プランジャ部品362を使用前形態に保持することができるように、枢動ラッチ368、具体的にはラッチ部分456と係合するように構成されている。この例示的な実施形態では、ドーム型ヘッド386は、流体送達装置10の使用中に付勢アセンブリ364によって加えられた力によって、カートリッジアセンブリ18の上側シール部材280と係合するように構成されている。
【0072】
この例示的な実施形態では、図面を参照すると、好適な一実施形態では、流体送達装置10の流体分配アセンブリ14は、キャップアセンブリ320をカートリッジアセンブリ18に結合させることによって組み立てられる。具体的には、隔壁部品322の上側シール壁部332は、リザーバアセンブリ270の下側キャビティ274内に挿入され、スナップキャップ部品324のラッチ部品342は、リザーバアセンブリ270の溝344内にスナップ嵌めされる。このようにして、スナップキャップアセンブリ320、具体的には隔壁部品322は、カートリッジアセンブリ18の上側キャビティ272の流体通路276をシールする。流体が、流体送達装置10の使用中にユーザに送達するために、上側キャビティ272内に収容される。上側キャビティ272は、カートリッジハウジング284によって固定された上側シール部材280により閉鎖される。
【0073】
機械的制御アセンブリ20は、
図33及び
図34に示すように、使用前形態で組み立てられ、保持プレート366によってカートリッジアセンブリ18の上側部分に結合される。具体的には、本体部品360の環状側壁部396は、環状側壁部396の切欠部412がカートリッジハウジング284のラッチ受容開口部310と整列するようにして、カートリッジハウジング284の上側縁部312上に配置される。機械的部品410が中心線「E」に対して径方向に変位することを可能にし、かつラッチ部品476がラッチ受容開口部310に係合されることを可能にするために、機械的部品410を緩める。その後、機械的部品410を締めて、機械的制御アセンブリ20をカートリッジアセンブリ18に固定する。
【0074】
この例示的な実施形態では、カートリッジアセンブリ18は、それに取り付けられたキャップアセンブリ320及び機械的制御アセンブリ20と共に、プレナムアセンブリ16に結合される。本明細書で説明されるように、プレナムアセンブリ16は、プレナムキャップアセンブリ106と、該プレナムキャップアセンブリ106に結合されたマイクロニードルアレイアセンブリ108とを含む。カートリッジアセンブリ18は、プレナムアセンブリ16のキャビティ110内に挿入される。可撓性タブ116は、径方向外方に撓んで、それらの間にカートリッジアセンブリ18を受容する。カートリッジハウジング284の環状の下側溝306は、可撓性タブ116の径方向内方に延在する突出部122と整列され、これにより、可撓性タブ116が径方向内方に撓み、カートリッジアセンブリ18を使用前形態に固定することが可能となる。
【0075】
この例示的な実施形態では、流体送達装置10の流体分配アセンブリ14は、流体分配アセンブリ14をコレットアセンブリ12の中空の内部空間24内に下方から軸方向に挿入することによって、コレットアセンブリ12に結合される。具体的には、プレナムアセンブリ16のスリーブ部品100の凹部130は、コレットロック50の固定タブ74と軸方向に整列される。流体分配アセンブリ14は、スリーブ部品100の下壁部分112の上面142(スリーブ外側レッジ)がコレットアセンブリ12の可撓性タブ48に当接するまで、軸方向上方に変位させられる。流体分配アセンブリ14を、中心軸線「A」を中心として回転させて、可撓性タブ48を凹部130と軸方向に整列させる。これにより、コレットロック50の固定タブ74をスリーブ部品100の凹部132内に周方向に変位させることができる。流体分配アセンブリ14は、再び軸方向上方に変位し、スリーブ部品100の下壁部分112の上面142(スリーブ外側レッジ)がコレット22の段差部38の内側水平面42(コレット内側段差部)に当接すると変位は停止する。このようにして、流体分配アセンブリ14は、コレットロック50の固定タブ74の軸方向上方に配置される。次いで、流体分配アセンブリ14を、中心軸線「A」を中心として回転させて、スリーブ部品100の凹部128を固定タブ74と軸方向に整列させる。流体分配アセンブリ14が回転すると、可撓性タブ48は、凹部132上に張り出した凹部130の平面部分に沿って摺動する。これにより、可撓性タブ48の径方向外方への撓みが生じる。流体分配アセンブリ14が回転すると、可撓性タブ48は、ストップ146の外面150と回転係合し、外面150に対して径方向内方に撓み、これにより、流体分配アセンブリ14とコレットアセンブリ12との間のスナップ嵌め結合が提供される。このことにより、コレットアセンブリ12に対する流体分配アセンブリ14のさらなる回転を防止することができ、これにより、凹部128は固定タブ74と軸方向に整列されるように位置決めされる。このようにして、流体送達装置10は、
図1Aに示した使用前形態に組み立てられる。
【0076】
適切な一実施形態では、流体送達装置10は、例えば、これに限定しないが、アームバンド、レッグバンド、ウエストバンド、リストバンドなどの取付バンド430を含む。取付バンド430は、流体送達装置10の使用中に流体送達装置10をユーザに取り付けることができるように、コレットアセンブリ12に結合させることができるように構成されている。
図36は、
図1Aに示した流体送達装置10の取付バンド430の斜視図であり、
図37は、コレットアセンブリ12に取り付けられた取付バンド430の拡大側断面図である。この例示的な実施形態では、取付バンド430は、環状本体部432を含む。環状本体部432は、略円錐台形状に形成された壁部434と、壁部434によって内部に画定された中空の内部空間435とを有する。環状本体部432は、コレット22の上側壁部30及び下側壁部34に対応するサイズ及び形状に形成されている。内部空間435は、流体送達装置10を受容するように構成されている。取付バンド430は、環状本体部432の壁部434の内面438の周りに周方向に延びるバンド内側段差部436を含む。この例示的な実施形態では、バンド内側段差部436は、コレット22の段差部38と、コレット22の上側壁部30の周りに延在する外側水平面40(コレット外側レッジ)とに対応するサイズ及び形状に形成されている。
【0077】
図36に示すように、取付バンド430は、コレットロック50の第2の結合部材68と結合するように構成された、互いに隣接する一対の取付開口部440を含む。具体的には、取付開口部440は、コレットロック50の第2の結合部材68のヘッド部分69によって取付バンド430がコレットアセンブリ12上に保持されるように、第2の結合部材68のネック部分67に対応するサイズ及び形状に形成されている。加えて、取付バンド430は、取付開口部440の反対側にインジケータ開口部442を含む。インジケータ開口部442は、略腎臓状(kidney-shaped)の形状を有し、コレットロック50の第1の結合部材66のヘッド部分65によって取付バンド430がコレットアセンブリ12上に保持されるように、第1の結合部材66のネック部分63に対応するサイズ及び形状に形成されている。インジケータ開口部442は、インジケータ開口部442の下縁からインジケータ開口部442の内方に延出する内側延出部分444(すなわち、インジケータまたはインジケータ部分)を有する。具体的には、インジケータ444は、インジケータ開口部442の下縁から壁部434に沿って略上方に延びるタブである。インジケータ444は、ヘッド部分65のウィンドウ61内に延出するように構成され、流体送達装置10のユーザに対して、取付バンド430の締め付け具合についての表示を提示するように構成されている。
【0078】
取付バンド430は、環状本体部432から略径方向外方に延びる第1のストラップ446を含む。この例示的な実施形態では、第1のストラップ446は、取付開口部440と径方向に実質的に整列されている。取付バンド430はまた、環状本体部432から略径方向外方に延び、インジケータ開口部442と径方向に実質的に整列された、反対側の第2のストラップ448を含む。この例示的な実施形態では、ストラップ446、448は、環状本体部432の直径よりも小さい幅を有する。あるいは、ストラップ446、448は、取付バンド430が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の幅を有することができる。加えて、この例示的な実施形態では、環状本体部432及びストラップ446、448は、一体的な部品として作製される。例えば、これに限定しないが、適切な一実施形態では、環状本体部432及びストラップ446、448は、薄いエラストマーなどの弾性材料から作製することができる。あるいは、環状本体部432及びストラップ446、448は別々に作製され、取付バンド430が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の結合方法を用いて互いに結合させてもよい。例えば、これに限定しないが、ストラップ446、448は、ばねピンまたはヒンジを使用して、環状本体部432に結合させることができる。
【0079】
図36に示すように、第2のストラップ448は、少なくとも1つの保持開口部496を含む。この例示的な実施形態では、保持開口部496は、剛性材料、例えば、これに限定しないが、剛性プラスチック及び/または金属から作製される。保持開口部496は、第2のストラップ448にインサート成形してもよいし、または、例えば、これに限定しないが、接着結合及び/または機械的結合によって第2のストラップ448に結合させてもよい。この例示的な実施形態では、第1のストラップ446及び第2のストラップ448は、流体送達装置10をユーザに固定するために互いに結合されるように構成されている。例えば、第2のストラップ448は互いに隣接する2つの保持開口部496を有し、第1のストラップ446は、ユーザの身体の一部(例えば、手首、腕、脚など)の周りに巻き付けられ、保持開口部496の一方に通した後に折り返して保持開口部496の他方に通される。あるいは、取付バンド430が、1つの保持開口部496を有し、第1のストラップ446が、該ストラップの表面に結合され配置された所定の長さのフック・アンド・ループ材料(図示しない)を有するようにしてもよい。第1のストラップ446は、保持開口部496に通した後、ループ締結要素でフック締結要素に締結させるように、それ自体の上に折り返される。他の実施形態では、第1のストラップ446及び第2のストラップ448は、流体送達装置10が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の結合機構を有することができる。
【0080】
図38は、コレットアセンブリ12に結合された取付バンド430の拡大斜視図であり、使用前形態におけるインジケータ444の第1の位置を示す。
図39は、コレットアセンブリ12に結合された取付バンド430の拡大斜視図であり、使用形態におけるインジケータ444の第2の位置を示す。流体分配アセンブリ14は、
図38及び39には示されていない。この例示的な実施形態では、第1のストラップ446及び第2のストラップ448は、流体送達装置10の使用前形態において結合が解除されるか、または緩められる。インジケータ444は、第1の結合部材66のヘッド部分65に形成されたウィンドウ61を通して見えるが、第2のストラップ448には張力が加えられていないので、インジケータ444の縁部はウィンドウ61の上側に位置する。このように、インジケータ444は、取付バンド430における張力が加えられていないことを示す視覚的表示を、ウィンドウ61を介してユーザに提供する。使用中には、ストラップ446、448は互いに結合され、張力が加えられる。したがって、
図39に示すように、インジケータ444の縁部は、第2のストラップ448の弾性材料に加えられた張力に起因して、ウィンドウ61内で下方に変位する。このようにして、インジケータ444は、取付バンド430における張力の量の視覚的表示を、ウィンドウ61を介してユーザに提供する。第1の結合部材66のヘッド部分65は、取付バンド430における張力の適切な量をユーザに示すための視覚的基準を有することが考えられる。例えば、これに限定しないが、ヘッド部分65は、取付バンド430に適切な量の張力が加えられたときに、インジケータ444の縁部と一致する目印を有することができる。
【0081】
図37~
図39に示すように、取付バンド430は、取付開口部440及びインジケータ開口部442を介してコレットアセンブリ12に結合される。流体送達装置10は、内部空間435内に配置される。取付開口部440は、コレットロック50の第2の結合部材68の各結合部材を受容するように拡張される。取付バンド430の弾性材料は、結合部材68のヘッド部分69が取付開口部440を通って変位することができるように、各取付開口部440を拡張させる。ヘッド部分69が取付開口部440を通って変位した後、取付開口部440は、取付バンド430を作製するのに使用された弾性材料の弾性により、その元の形状及びサイズに戻る。このように、取付開口部440は、ヘッド部分69が取付開口部440を通って元の位置に容易に変位できないように、結合部材68のネック部分67を取り囲む。同様に、インジケータ開口部442は、コレットロック50の第1の結合部材66を受容するように拡張される。インジケータ開口部442は、ヘッド部分65がインジケータ開口部442を通って変位することができるように拡張される。ヘッド部分65がインジケータ開口部442を通って変位した後、インジケータ開口部442は、元のサイズ及び形状に戻り、ヘッド部分65がインジケータ開口部442を通って元の位置に容易に変位できないように、結合部材66のネック部分63を取り囲む。
【0082】
流体送達装置10を取付バンド430に対してさらに固定し、かつ取付バンド430が流体送達装置10に対して略軸方向の力を加えることを可能にするために、取付バンド430のバンド内側段差部436は、コレットアセンブリ12の段差部38に対して位置決めされる。加えて、取付バンド430の内面438は、コレットアセンブリ12の上側壁部30に対して位置決めされる。取付バンド430は、開口部440、442及び結合部材66、68によって、所定の位置に固定される。取付バンド430が、ユーザの腕または手首などのユーザの身体の周りに締結されると、取付バンド430は、流体送達装置10に対して、中心軸線「A」に概ね沿った実質的に軸方向の力を加える。ユーザの身体に対する軸方向の力は、例えば、ユーザの皮膚におけるコレットアセンブリ12で取り囲まれた部分を押圧するかまたはクラウニング(crowning)することによって、ユーザの皮膚を変形させることができる。インジケータ444は、第1の結合部材66のウィンドウ61を通して見ることができ、適切な量の力が流体送達装置10に加えられたことを示す視覚的表示をユーザに提示する。ユーザの皮膚におけるコレットアセンブリ12で取り囲まれた部分の皮膚変形及びクラウニングは、マイクロニードルアレイアセンブリ108のユーザの皮膚内への適切な穿刺を容易にする。
【0083】
アプリケータ500(広義には、アプリケーション装置)は、
図1Aに示す使用前形態から、
図1Bに示す作動前形態への流体送達装置10の遷移を容易にするために任意選択で提供される。
図40は、流体送達装置10のアプリケータ500の好適な一実施形態の斜視図である。
図41は、アプリケータ500の正面断面図である。
図42は、アプリケータ500の側断面図である。
図43は、
図40に示す43-43線で切断したアプリケータ500の上面断面図である。この例示的な実施形態では、アプリケータ500は、アプリケータ500を作動させるためのボタン504(始動スイッチ)を有するハウジング502を含む。ハウジング502は、流体送達装置10を作動させるために使用されるピストン506(衝撃部品)を収容する。ピストン506は、1以上の安全アーム508、509によって安全位置にロックされる。加えて、ハウジング502は、安全アームばね510、ピストンばね512、及びボタンばね514を収容する。
【0084】
この例示的な実施形態では、細長い本体部520は、本体部520の底部516から頂部518に向かって径方向内方にテーパする略円筒状の形状を有する。ハウジング502はまた、本体部520の頂部518に結合されたキャップ522を含む。キャップ522は、本体部520に対して軸方向に変位するように構成されたボタン504を保持するように構成されている。なお、アプリケータ500は、
図40に示すように、中心線「E」を含むY-Z平面及びX-Y平面に対して略対称に形成されていることに留意されたい。
【0085】
図41~
図43を参照すると、本体部520は、それを貫通して延在する段差付きボア528を含む。底部516では、段差付きボア528は、その内部にコレット22の上側壁部30を受容するサイズ及び形状に形成された周縁部を有する第1の段差部分530を含む。
図41に示すように、第1の段差部分530は、本体部520の底部516から所定の距離532だけ上方に延びている。段差付きボア528はまた、第1の段差部分530から所定の距離536だけ上方に延びる第2の段差部分534を含む。この例示的な実施形態では、第2の段差部分534は、第1の段差部分530がコレット22の上側壁部30と当接している間に、流体分配アセンブリ14を受容するサイズ及び形状に形成された周縁部を有する。加えて、段差付きボア528は、第2の段差部分534から上方に延びて本体部520を貫通して連続する第3の段差部分538を含む。本体部520の内側、具体的には第3の段差部分538には、保持リング525が配置される。保持リング525は、ピストン506及び安全アーム508、509をハウジング502内に軸方向に保持するように構成されている。加えて、第3の段差部分538は、第2の段差部分534から所定の距離542だけ上方に延びる、軸方向に延びる複数の溝540を含む。溝540は、中心線「E」から径方向に延びる線を略中心とする湾曲した断面形状を有する。すなわち、溝540は、第2の段差部分534を通って軸方向に延び、中心線「E」を中心として径方向に配置される。あるいは、溝540の断面形状は、アプリケータ500が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の形状であり得る。この例示的な実施形態では、第3の段差部分538は、ピストン506をその内部に収容するサイズ及び形状に形成された周縁部を有する。
【0086】
この例示的な実施形態では、段差付きボア528の第3の段差部分538は、溝540から上方に所定の距離544だけ離間して配置されたピストン保持部材546を含む。ピストン保持部材546は、本体部520の外壁部548から径方向内方に延びる本体部分から形成され、安全アーム508、509が作動するまでピストン506を適所にロックし、これにより、ピストン506のロックを解除することができるように構成されている。加えて、ピストン保持部材546は、ピストン506とピストン保持部材546との間に位置するピストンばね512、及び、ボタン504とピストン保持部材546との間に位置するボタンばね514のためのばねシートとして機能する。
【0087】
本体部520はまた、本体部520を軸方向に貫通する、互いに反対側に位置する一対の長手方向チャネル550を含む。チャネル550は、段差付きボア528の第2の段差部分534及び第3の段差部分538をそれぞれ貫通して延在する。
図41に最もよく示されているように、チャネル550は、本体部520の外壁部548の内部に形成され、底部516において第3の段差部分538から第2の段差部分534まで径方向外方にテーパしている。これにより、安全アーム508、509を、アプリケータ500の作動中及び/または使用中に流体送達装置10と干渉しないようにして、チャネル550に挿入することができる。したがって、チャネル550は、その内部で摺動する各安全アーム508、509を受容するサイズ及び形状に形成されている。すなわち、安全アーム508、509は、アプリケータ500の使用中に、本体部520の内部で軸方向に自由に摺動することができる。
図43に最もよく示されているように、溝540及びチャネル550は、中心線「E」を中心として略周方向に互いに等間隔を隔てて配置される。
【0088】
図44は、安全アーム508の斜視図である。この例示的な実施形態では、アプリケータ500は、2つの安全アーム508、509を含む。あるいは、アプリケータ500は、アプリケータ500が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の数の安全アームを含み得る。この例示的な実施形態では、安全アーム509は、安全アーム508と略同様に形成されているが、安全アーム508の反対側に対称的に形成されていることに留意されたい。したがって、本明細書では、安全アーム508についてのみ詳細に説明する。この例示的な実施形態では、安全アーム508は、上端554及び下端556を有する細長い本体部分552を含む。本体部分552は、略矩形状の断面形状を有する。あるいは、本体部分552は、安全アーム508が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の断面形状を有することができる。この例示的な実施形態では、安全アーム508は、その上端554に、細長い本体部分552に沿って軸方向に延びるばね係合部材562を含む。ばね係合部材562は、安全アーム508をアプリケータ500内の安全位置に付勢する安全アームばね510と係合するように構成されている。
【0089】
さらに、安全アーム508は、細長い本体部分552に対して略直交する方向に延びるピストン係止アーム558を含む。ピストン係止アーム558は、それから延出する突出部560を有する。
図41に示すように、ピストン係止アーム558は、ピストン保持部材546の一部を越えて径方向内方に延び、ピストン506に隣接して配置される。突出部560は、ピストン係止アーム558から前方に延出し、本明細書でさらに説明されるように、ピストン506がピストン保持部材546から解放されることを防止するように構成されている。
【0090】
安全アーム508は、その下端556に、細長い本体部分552の内面566から径方向外方に延出する安全アーム保持部材564を含む。
図41に示すように、安全アーム保持部材564は、アプリケータ500に対して径方向内方に延出しており、安全アーム508が安全位置で軸方向に付勢されたときに保持リング525と当接するように構成されている。このようにして、安全アーム保持部材564は、アプリケータ500内に安全アーム508を保持することができる。細長い本体部分552の下端556は、安全アーム保持部材564の反対側で径方向外方にテーパしており、ノッチ567を形成する。
図41に示すように、ノッチ567は、段差付きボア528の第2の段差部分534に対応するように構成されている。したがって、安全アーム508は、ハウジング502のチャネル550内に配置され、その内部での軸方向変位のために保持される。
【0091】
図45は、
図40に示したアプリケータ500のピストン506の正面斜視図である。この例示的な実施形態では、ピストン506は、機械的部品(図示しない)によってピストンハンガー570に結合されたピストンヘッド568を含む。ピストンヘッド568は、ピストンハンガー570に形成された取付孔578に対応するねじ孔(図示しない)を有する略円筒状の中実体である。取付孔578及びピストンヘッド568のねじ孔は、ピストンヘッド568をピストンハンガー570に着脱自在に結合させることができる。この例示的な実施形態では、ピストンヘッド568は、アプリケータ500の使用中にピストン506が望ましい速度及び衝撃速度を達成し、使用のために流体送達装置10を適切に作動させることを可能にする所定の質量を有する略中実の部品として作製される。
【0092】
ピストンハンガー570は、軸方向に延びる複数の突出部574を有する略環状の底側壁部572を含む。各突出部574は、ハウジング502の本体部520に形成された各溝540に略対応するように構成されている。突出部574は、中心線「E」から径方向に延びる線に対して略整列された略湾曲形状を有する。すなわち、突出部574は、底側壁部572に沿って軸方向に延び、中心線「E」のを中心として径方向に配置される。あるいは、突出部574の形状は、本明細書で説明されるように、ピストンハンガー570がハウジング502と摺動可能に係合することを可能にする任意の形状であり得る。
【0093】
ピストンハンガー570はまた、中心線「E」を中心として実質的に対称に配置された一対のテーパ状アーム576を含む。テーパ状アーム576は、底側壁部572から上方に延びている。図示のように、取付孔578は、テーパ状アーム576間に設けられ、底側壁部572を軸方向に貫通して延在している。
図45~
図47に示すように、ピストンハンガー570は、テーパ状アーム576の上端582間に延在するブリッジ部分580を含む。このようにして、テーパ状アーム576、底側壁部572、及びブリッジ部分580の間に、閉じた長手方向ギャップ584が画定される。ギャップ584は、その内部にハウジング502のピストン保持部材546を摺動可能に受容するサイズに形成されている。ブリッジ部分580は、詳細については後述するが、ピストン保持部材546からピストン506を解放することができるように、アプリケータ500のボタン504と係合するように構成された上向きに延びる傾斜面586を含む。
【0094】
図40~
図42を参照すると、ボタン504は、本体部分590を含み、本体部分590は、それから略軸方向下方に延びるリリース部材592を有する。リリース部材592は、ピストンハンガー570の上向きに延びる傾斜面586と摺動可能に係合するように構成された下向きに延びる傾斜面594を含む。ボタン504はまた、キャビティ596を含み、キャビティ596は、ボタン504が作動されたときにブリッジ部分580の少なくとも一部をその内部に受容するように構成されている。互いに反対側に位置する一対のボタン保持部材598が、本体部分590の底部から略径方向外方に延びている。
図42に示すように、各ボタン保持部材598は、ハウジング502内に画定されたチャネル内に配置される。具体的には、本体部520は、ボタン504を保持しボタン504の軸方向の変位を可能にするチャネル600を画定するために、キャップ522内に形成された一対のチャネル602に対応する一対のチャネル602を含む。
【0095】
この例示的な実施形態では、安全アーム508、509は、ハウジング502内に挿入され、下端556が段差付きボア528の第2の段差部分534に位置するようにチャネル550内に位置決めされる。加えて、ピストンばね512は、段差付きボア528に挿入され、ピストン保持部材546の底部に当接して位置決めされる。ピストン506は、段差付きボア528の第3の段差部分538内に位置決めされる。具体的には、ピストン506の突出部574は、ハウジング502の各溝540に対して整列される。さらに、ピストンハンガー570は、ピストンばね512を貫通させて軸方向に挿入され、ピストン保持部材546と係合するように配向される。保持リング525は、ハウジング502に結合され、ハウジング502内でピストン506及び安全アーム508、509を軸方向に保持する。安全アームばね510及びボタンばね514は、本体部520の頂部518から段差付きボア528に挿入される。ボタンばね514は、ピストン保持部材546の頂部に当接して配置され、安全アームばね510は、安全アーム508、509の頂部に当接して配置される。ボタン504は、本体部520の頂部518に対して位置決めされ、ボタン保持部材598は、本体部520内に画定されたチャネル600と整列される。キャップ522は、ボタン504及び安全アームばね510を保持するために、1以上の締結部材(図示しない)によってハウジング502の頂部518に結合される。
【0096】
作動中、ピストン506は、段差付きボア528内で軸方向上方に変位する。ピストン506の突出部574とハウジング502の溝540との間のクリアランスは、ピストン506のブリッジ部分580が軸から離れた量だけ変位して軸方向に摺動してピストン保持部材546を通過することを可能にする。ピストンばね512は、ピストン506をピストン保持部材546に対して下方に付勢するように機能する。また、このことにより、ピストン506の軸線をハウジング502の軸線と略整列させることができ、これにより、ブリッジ部分580をピストン保持部材546に係合させることを可能にする。したがって、ピストン保持部材546は、ピストン506をピストン保持部材546上の所定の位置に固定するためにピストン506のギャップ584内に延びる。
【0097】
安全アームばね510は、安全アーム508、509の下端556が第2の段差部分534から段差付きボア528の第1の段差部分530内まで下方に延びるように、安全アーム508、509を軸方向下方に付勢する。これにより、ピストン係止アーム558、具体的にはそれから延びる突出部560を、テーパ状アーム576の上端582に隣接するように位置決めすることができる。このような配置により、ピストン506が、ピストン係止アーム558によってピストン保持部材546から変位されられることを防止することができる。
【0098】
本明細書で説明されるように、アプリケータ500を流体送達装置10と共に使用するために、ユーザは、取付バンド430及び流体送達装置10をユーザの身体に取り付ける。具体的には、取付バンド430は、例えばユーザの腕または手首などのユーザの身体の一部の周りに引き伸ばして締結される。取付バンド430は、概ね中心軸線「A」に沿って、流体送達装置10に対して略軸方向の力を加える。流体送達装置10のユーザの身体に対する力は、流体送達装置10の真下に位置するユーザの皮膚の一部に、コレットアセンブリ12よってクラウンを形成することができる。コレットアセンブリ12はまた、流体送達装置10の使用中に、ユーザの皮膚の適切な量の変形(歪み)を維持することができる。インジケータ444は、第1の結合部材66のウィンドウ61を通して見ることができ、取付バンド430が流体送達装置10に対して適切な量の力を加えるのに十分なだけ引き伸ばされたときに、ユーザに対して視覚的表示を提示する。ユーザの皮膚におけるコレットアセンブリ12によって取り囲まれた部分の皮膚変形及びクラウニングは、マイクロニードルアレイアセンブリ108のユーザの皮膚への適切な穿刺を容易にする。
【0099】
アプリケータ500は、
図48に示すように、流体送達装置10の上に配置される。コレットアセンブリ12の上側壁部30は、段差付きボア528の第1の段差部分530内に配置される。上側壁部30は、安全アーム508、509の下端556と当接する。ユーザがアプリケータ500に対して下向きの圧力を加えると、安全アーム508、509がチャネル550内で軸方向上方に変位し、これにより、ピストン係止アーム558がテーパ状アーム576の上端582から離間する方向に変位する。ユーザは、ボタン504を押してピストン506を解放する。具体的には、ボタン504が押されると、リリース部材592の傾斜面594は、ピストンハンガー570の上向きに延びる傾斜面586と摺動可能に係合する。ボタンをさらに押し下げると、ピストンハンガー570の上向きに延びる傾斜面586が、アプリケータ500の中心軸「E」に対して横方向に変位する。ブリッジ部分580とピストン保持部材546との係合が解除されると、ハウジング502内でピストンばね512がピストン506を軸方向下方に付勢する。ピストン506は、機械的制御アセンブリ20のねじ付き調節部材370と当接して、流体送達装置10を
図1Aに示す使用前形態から
図1Bに示す作動前形態に遷移させる。
【0100】
本明細書で説明されるように、ピストン506は、アプリケータ500の使用中にピストン506が望ましい速度及び衝撃速度を達成し、使用のために流体送達装置10を適切に作動させることを可能にする所定の質量を有する。この例示的な実施形態では、ピストン506の質量とピストンばね512のばね力とが組み合わさって、機械的制御アセンブリ20のねじ付き調節部材370との衝突時に、約0.05ニュートン秒(Ns)よりも大きいピストン506のモーメントまたは衝撃、及び、約0.1キログラムメートル2/秒2(kg・m2/s2)またはジュール(J)よりも大きいピストン506の運動エネルギーを提供する。ピストンは、マイクロニードルアレイアセンブリ108の複数のマイクロニードル234がユーザの皮膚に向かって加速され、適切に挿入されるように、流体送達装置10の機械的特性を克服するために、所定の速度及び衝撃速度で機械的制御アセンブリ20と当接する。適切な一実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ108は、少なくとも約4メートル/秒(m/s)の速度でユーザの皮膚に衝撃を与えるように構成されている。あるいは、マイクロニードルアレイアセンブリ108は、マイクロニードルアレイアセンブリ108がユーザの皮膚内に適切に挿入されることを可能にする任意の速度でユーザの皮膚に対して衝突するように構成されている。
【0101】
流体送達装置10がユーザに適切に取り付けられ、
図1Bに示される作動前形態に構成された後、ユーザは、枢動ラッチ368を押圧してプランジャ部品362を解放することによって、流体送達装置10を作動させることができる。一実施形態では、ユーザは、枢動ラッチ368を同時に押圧するように構成されたツール(図示しない)を使用することができる。枢動ラッチ368が押圧されると、円筒状ピン452の周りを枢動し、ラッチ部分456の凹状切欠部458が中心軸線「A」と軸方向に整列される。これにより、プランジャ部品362は、枢動ラッチ368との係合が解除され、カートリッジアセンブリ18の上側シール部材280と当接することができる。
【0102】
この例示的な実施形態では、付勢アセンブリ364は、流体送達装置10の使用中に、プランジャ部品362に対して、軸方向の2段階の力プロファイルを加えるように機能する。具体的には、プランジャ部品362が解放されると、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372は、プランジャ部品362に対して、力、すなわち、第1の力プロファイルを加える。
図1Bに示すように、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372の上端の軸方向位置は、互いに対して軸方向に変位させられる。さらに、本明細書で説明されるように、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372は、互いに異なる長さ及び力定数を有し、このため、プランジャ部品362に対して加えられる軸力は、プランジャ部品362が変位するにしたがって変化する。
【0103】
初めは、プランジャ部品362を付勢アセンブリ364によって軸方向に変位させるように、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372はプランジャ部品362に対して力を加える。プランジャ部品362が変位すると、プランジャ部品362に対して加えられる力が減少するように、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372が伸長する。プランジャ部品362の所定の軸方向変位において、第2の付勢部材378は、完全に伸長するか、または、ねじ部品374及びナット382によってそれ以上伸長することが阻止される。この位置で、第1の付勢部材372は、プランジャ部品362に対して、力、すなわち第2の力プロファイルを加え続ける。
【0104】
具体的には、
図1Bに示されるように、第2の付勢部材378及び第1の付勢部材372は、プランジャ部品362が解放されたときに軸方向下方に伸長するように構成されている。第1の付勢部材372及び第2の付勢部材378は、ねじ付き調節部材370に対して位置決めされたインサート部品380を押圧する。第2の付勢部材378が下方に延びるにしたがって、ねじ部品374、チューブ376及びナット382は、インサート部品380内で軸方向に変位する。ナット382がインサート部品380の頂部に当接すると、第2の付勢部材378の伸長は阻止され、これにより、プランジャ部品362に対して力が加えられることが阻止される。一方、第1の付勢部材372は、プランジャ部品362がカートリッジアセンブリ18のリザーバアセンブリ270に対して完全に変位するまで、プランジャ部品362に対して力を加え続ける。
【0105】
付勢アセンブリ364によってプランジャ部品362に加えられた圧力は、カートリッジアセンブリ18に伝達される。カートリッジアセンブリ18に伝達された圧力により、上側キャビティ272内に収容された流体は、カニューレ104を通じて流体通路276内に導入される。流体は、流体通路276から出て、プレナムキャップアセンブリ106に流入する。具体的には、
図14を参照すると、流体は、第1の接着層192の開口部204、ベント膜194の流体入口開口部208を通って下方に流れ、第2の接着層196の円弧状のスロット210に流入する。不透過性膜198が第2の接着層196の底部に結合されており、これにより、流体が第2の接着層を直接通過することが防止される。したがって、流体は、付勢アセンブリ364によって加えられた圧力によって円弧状のスロット210に充填され、不透過性膜198の流体出口開口部222に導かれる。流体は、流体出口開口部222を通過し、第3の接着層200に形成されたスロット224に流入する。流体は、スロット224によって、マイクロニードルアレイアセンブリ108の入口チャネル254に導かれる。
【0106】
流体送達装置10の使用中、流体に、気体及び/または空気が混合され得る。したがって、プレナムキャップアセンブリ106は、流体から気体及び/または空気を除去することができるように構成されている。流体が円弧状のスロット210を通じて押し出されるとき、付勢アセンブリ364によって加えられた圧力によって流体から気体を除去することができる。具体的には、流体は、円弧状のスロット210に充填され、第2の接着層196の上に配置されたベント膜194に接触させられる。流体中に分散した気体及び/または空気は、ベント膜194に向かって上方に押し出され、そしてベント膜194を通過する。本明細書で説明されるように、ベント膜194は、気体及び/または空気は通過させるが、流体は通過させないように、疎油性/疎水性の気体透過性材料から作製される。次いで、気体及び/または空気は、第1の接着層192の円弧状のスロット202を通過する。円弧状のスロット202は、プレナム部品102の円弧状のチャネル176と少なくとも部分的に対応するように構成されており、これにより、気体及び/または空気を流体の流れからプレナム部品102の内部チャンバ167内に排出することができる。本明細書で説明されるように、プレナム部品102は、カートリッジアセンブリ18に取り付けられるように構成され、これにより、排出された気体を受容するための無菌の内部チャンバ167を形成することができる。
【0107】
流体は、マイクロニードルアレイアセンブリ108の入口チャネル254に導かれ、このとき、実質的に気体及び/または気泡を含まない。流体は、分配マニホールド238に流入し、その後、供給チャネル256、抵抗チャネル(図示しない)及び出口チャネル258を通ってマイクロニードル234の流路246に流入し、ユーザの皮膚に導入される。この例示的な実施形態では、付勢アセンブリ364は、プランジャ部品362と関連して機能し、カートリッジアセンブリ18からカニューレ104を通って流体通路276への流体の実質的に完全な排出を提供する。プランジャ部品362及び付勢アセンブリ364は、約32キロパスカル(kPa)(4.6ポンド/平方インチ(psi))~約150kPa(21.8psi)の範囲の初期力を提供する。
【0108】
この例示的な実施形態では、付勢アセンブリ364によってプランジャ部品362に加えられる力の数学的表現は、第1の付勢部材372から加えられる力と第2の付勢部材378から加えられる力との和である。
【0109】
【0110】
ここで、FM(x)は、ミリメートル単位の位置の関数としての第1の付勢部材372から加えられる力(ニュートン)であり、FT(x)は、ミリメートル単位の位置の関数としての第2の付勢部材378から加えられる力(ニュートン)である。
【0111】
第1の付勢部材372から加えられる力は、プランジャ部品362の第1の付勢部材372の長さに対する位置に応じて、下記の2つの式によって表すことができる。
【0112】
【0113】
ここで、Kmは第1の付勢部材372の力定数であり、Lmは第1の付勢部材372の長さであり、Bmは第1の付勢部材372の基本長さであり、xは第1の付勢部材372の長さに対するプランジャ部品362の変位である。
【0114】
同様に、第2の付勢部材37から加えられる力は、下記の2つの式によって表すことができる。
【0115】
【0116】
ここで、KTは第2の付勢部材378の力定数であり、LTは第2の付勢部材378の長さであり、BTは第2の付勢部材378の基本長さであり、xは第2の付勢部材378の長さに対するプランジャ部品362の変位である。
【0117】
この例示的な実施形態では、第1の付勢部材372の長さは、方程式2で説明される条件を満たさないように、プランジャ部品362の最大変位を超えて延びる。したがって、第1の付勢部材372は、常に、プランジャ部品362に対して力を加える。加えて、第2の付勢部材378の長さは、プランジャ部品362がその最大変位に達する前に第2の付勢部材378がプランジャ部品362への力の供給を停止するように予め定められている。この例示的な実施形態では、方程式3に記載された条件は、プランジャ部品362の変位の少なくとも一部に有効である。
【0118】
本明細書で詳細に説明した装置、システム及び方法は、流体送達装置が、薬剤から気体及び/または空気を除去するとともに、マイクロニードルアセンブリの各マイクロニードルを通じて実質的に等量の薬剤を分配することを可能にする。流体送達装置のプレナムキャップアセンブリは、不透過性材料と、疎油性/疎水性の気体透過性材料との間に配置された流体供給チャネルを含む。これにより、流体送達装置10のユーザに対して実質的にあらゆる薬剤を送達するとともに、薬剤から気体及び/または空気を除去することができる。加えて、付勢アセンブリは、マイクロニードルアレイアセンブリを通じた薬剤の流量及び分布を長時間にわたって最適化することができるように圧力プロファイルを決定することを可能にし、これにより、ユーザに送達される流体の濃度を定常状態に保つことができる。さらに、流体送達装置は、マイクロニードルをユーザの皮膚に最適に挿入することができるようにするために、流体送達装置をユーザの皮膚に適切に取り付けることを可能にするバンドまたはストラップを含む。
【0119】
流体送達装置用の装置、システム及び方法の例示的な実施形態を上記に詳細に説明した。本明細書で説明した装置、システム及び方法は、本発明で説明された特定の実施形態に限定されるものではなく、装置及びシステムの構成要素、及び/または方法のステップは、本明細書で説明した他の構成要素及び/またはステップと独立して別個に使用してもよい。例えば、本発明の方法は、他の流体送達装置、システム、及び方法と組み合わせて使用してもよく、本明細書で説明した装置、システム及び方法のみによる実施に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、様々な流体送達用途に関連して実施及び使用され得る。
【0120】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、ある図面では示されており、他の図面では示されていないが、これは便宜上のためである。本開示の原理にしたがって、ある図面の任意の特徴は、他の図面の任意の特徴と組み合わせて言及及び/またはクレームすることができる。
【0121】
本明細書は、実施例を用いて、最良の実施の形態(ベストモード)を含む本発明の内容を開示し、かつ本発明を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに記載内容に組み入れられたあらゆる方法の実施を含む)することを可能にしている。本発明の特許される技術範囲は、特許請求の範囲の請求項の記載によって特定され、当業者が想到可能な他の実施形態もそれに含まれ得る。そのような他の実施形態は、各請求項の文言と異なっていない構成要素を含む場合、またはそれらが各請求項の文言とは実質的には異ならない均等な構成要素を含む場合、それらの請求項の特定する技術範囲内にあるものとする。
【0122】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態において種々の変更を行うことができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく例示的に解釈されることが意図される。