(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】移動式クレーントラベルギア車軸
(51)【国際特許分類】
B60G 3/20 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B60G3/20
(21)【出願番号】P 2020534197
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2018080396
(87)【国際公開番号】W WO2019120734
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】102017131165.3
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507186322
【氏名又は名称】マニトワック・クレーン・グループ・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】Manitowoc Crane Group France SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・バッケス
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・シュトゥーアヴォルト
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ツェー・シュニットカー
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-510971(JP,A)
【文献】特開2006-312393(JP,A)
【文献】特開2000-159481(JP,A)
【文献】特開2009-274561(JP,A)
【文献】特開2012-144228(JP,A)
【文献】米国特許第05542492(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーン
であって、
所定の高さ(H)まで複数のプロファイルセグメント(17)から形成されるプロファイル側面(7)を有する中空プロファイルとして少なくとも断面で構成される駆動アセンブリフレーム(2)であって、前記プロファイル側面(7)は、プロファイルの水平幅(B)が中空プロファイルの下側(18)から増加するように互いに接続されている、駆動アセンブリフレーム(2)と、
移動式クレーンの駆動アセンブリフレーム(2)の両側(L、R)に配置された車輪キャリア(3)の相互に独立したサスペンション(1)を備え
る移動式クレーン駆動アセンブリ車軸であって、前記サスペンション(1)は、
上下に配置され、それぞれが少なくとも1つの横方向制御アーム(4、5、6)を備える2つの制御アーム平面を備える二重横方向制御アーム車輪サスペンションとして具体化され、前記横方向制御アーム(4、5、6)は、車輪キャリア(3)を駆動アセンブリフレーム(2)に結合し、前記駆動アセンブリフレーム(2)の長手方向軸(L)と実質的に平行に延びる軸(D)を中心に回転させることができるように駆動アセンブリフレーム(2)に接続される
、移動式クレーン駆動アセンブリ車軸と、を備え、
上部制御アーム平面の少なくとも1つの横方向制御アーム(5、6)は、車輪キャリア(3)から所定の高さ(H)よりも低い駆動アセンブリフレーム(2)のそれぞれの垂直側壁(7)まで延びており、下部制御アーム平面の少なくとも1つの横方向制御アーム(4)は、車輪キャリア(3)から駆動アセンブリフレーム(2)の下側(18)に達しており、ステアリングロッドおよびトラックロッドの機能を実行する駆動アセンブリ要素(22)は、下部制御アーム平面に配置され、駆動アセンブリフレーム(2)の下側(18)に達している、ことを特徴とする、移動式クレーン。
【請求項2】
少なくとも1つの横方向制御アーム(4、5、6)
は、制御ロッド、三角形制御アーム、または四辺形制御アームとして構成される、請求項1
に記載の移動式クレーン
。
【請求項3】
各制御アーム平面は、それぞれ1つの三角形制御アーム(4、5)を備え、少なくとも1つの制御アーム平面
は、他の制御ロッド(6)を備える、請求項
1または2に記載の移動式クレーン
。
【請求項4】
第1の制御アーム平面
は、三角形制御アーム(4、5)を備え、第2の制御アーム平面
は、少なくとも1つの制御ロッド(6)を備え
る、請求項
1ないし
2のうちいずれか1項に記載の移動式クレーン
。
【請求項5】
前記サスペンション(1)は、少なくとも1つの横方向制御アーム(4)
が前記車輪キャリア(3)から前記駆動アセンブリフレーム(2)の中央領域まで延びるように構成されている、請求項1ないし
4のうちいずれか1項に記載の移動式クレーン
。
【請求項6】
前記駆動アセンブリ要素(22)は、下部制御アーム平面に配置された横方向制御アーム(4)の長さを実質的に示し、
および/または駆動アセンブリフレーム(2)に対して中央に配置されたステアリングギア(24、25)によって作動される
、請求項1ないし
5のうちいずれか1項に記載の移動式クレーン
。
【請求項7】
前記車輪キャリア(3)は、それぞれの車輪(10)を駆動するための電気モータ(9)または油圧モータ(9)を備える車輪ハブ駆動部(8)を接続するように構成されている、請求項1ないし
6のうちいずれか1項に記載の移動式クレーン
。
【請求項8】
前記車輪キャリア(3)は、ジョイント(11)
を介して車輪キャリア本体(12)に取り付けられた軸受ヘッド(13)を備え、その上にばね懸架シリンダ(14)および/または少なくとも1つの制御アーム(4、5、6)が作用し、前記軸受ヘッド(13)は、車輪ハブ駆動部(8)のエネルギ供給(15)のための接続部(14)を備え、前記ジョイント(11)は、前記車輪キャリア本体(12)へのエネルギ供給(15)のためのフィードスルー(16)を備える、請求項
7に記載の移動式クレーン
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ少なくとも1つの横方向制御アームによって、互いに独立して、車軸の両端に取り付けられた車輪が、移動式クレーンの駆動アセンブリフレームに懸架されている、移動式クレーンのための駆動アセンブリ車軸を備える駆動アセンブリフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンの分野では、いわゆる「リジッド車軸」は、移動式クレーンの駆動アセンブリフレームに駆動アセンブリ車輪を懸架するために広く使用されている設計である。例えば、独国実用新案第20020953号明細書に示されているそのようなリジッド車軸の場合、駆動アセンブリ車輪は、駆動アセンブリフレームに接続されている共通の車軸キャリア上の駆動アセンブリフレームの両側に取り付けられている。しかしながら、この技術的解決策には、ばね圧縮時に車軸の車輪が相互作用するという欠点がある。車軸キャリアは、かなりの設計容積も占める。これは、一方では駆動アセンブリフレームに利用できる空間を犠牲にし、他方では地上高を犠牲にする。
【0003】
これらの問題に対処するために、いわゆる「個別の車輪サスペンション」のクレーン構造における解決策がすでに提案されており、駆動アセンブリ車軸の車輪が互いに独立して駆動アセンブリフレームに懸架されている。この例は、文献独国特許出願公開第3806709号明細書および独国特許出願公開第102016003885号明細書に記載されている。これらの解決策は、特に、この車軸構造用に構成されたコンポーネントに基づいている。異なるタイプのクレーンで使用される場合など、設置パラメータが変更された場合は、入念に再構築する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、可能な限り小さな設計空間を占有し、異なる幾何学的パラメータに容易に適合させることもできる、移動式クレーンのための駆動アセンブリ車軸を提供することである。
【0005】
この目的は、従属請求項が本発明の好ましい実施形態を定義する独立特許請求項1の主題により解決される。
【0006】
本発明に係る駆動アセンブリの移動式クレーン駆動アセンブリ車軸は、移動式クレーンの駆動アセンブリフレームの両側に配置された車輪キャリアの相互に独立したサスペンションを備え、サスペンションは、それぞれ少なくとも1つの横方向制御アームを備える。この横方向制御アームは、それぞれの車輪キャリアを駆動アセンブリフレームに結合し、駆動アセンブリフレームに接続され、駆動アセンブリフレームの長手軸と実質的に平行に延在し、少なくとも1つのジョイントによって画定される回転軸を中心に回転できるようになっている。これは、少なくとも1つの回転ジョイントによって駆動アセンブリフレームに接続することができ、球形ジョイントもこの目的のために等しく考えられる。本発明に係る駆動アセンブリは、本明細書に記載される1つまたは複数の駆動アセンブリ車軸を備え、それは、駆動アセンブリフレームの両側に2つの車輪サスペンションを備えるか、またはそれぞれを備える。
【0007】
言い換えると、駆動アセンブリ車軸の両側に、駆動アセンブリ車輪を懸架するための少なくとも1つの横方向制御アームが設けられており、それぞれの車輪は、プロセスで相互作用することなく、ばね圧縮およびばね伸長時に、少なくとも1つの横方向制御アームによって駆動アセンブリフレームに対して案内される。車輪がばね圧縮され、ばね伸長されると、横方向制御アームは、駆動アセンブリフレームの水平長手方向軸に実質的に垂直に延びる平面に実質的に平行に移動する。
【0008】
好ましい実施形態によれば、本発明に係る駆動アセンブリ車軸は、二重横方向制御アーム車軸として具体化される、すなわち、サスペンションは、車輪キャリアが少なくとも2つの相互に重なっている横方向制御アームを介して駆動アセンブリフレームに結合されるように、二重横方向制御アームサスペンションとして具体化される。本発明に係る駆動アセンブリ車軸のそれぞれのサスペンション内の相互に重なる横方向制御アームの垂直位置は、本発明に係る駆動アセンブリ車軸のそれぞれのサスペンション内の制御アーム平面と以下で呼ばれる平面をそれぞれ画定することができる。
【0009】
本発明に係る駆動アセンブリ車軸は、原則として、いわゆる「複数制御アーム車軸」として具体化することができ、それぞれの車輪キャリアは、少なくとも1つの横方向制御アームおよび他の制御装置を介して駆動アセンブリフレームに対して案内される。ここで、他の制御アームは、好ましくは、それぞれジョイントを介して車輪キャリアおよび駆動アセンブリフレームに接続される制御ロッドとして具体化される。他の制御アームは、対応して、駆動アセンブリフレームの長手方向軸に対して実質的に垂直に延びる回転軸を示す長手方向制御アームとして、またはフレームの長手方向軸に対して斜めに延びる回転軸を示す傾斜制御アームとして同様に構成され得る。
【0010】
本発明に従って使用される1つまたは複数の横方向制御アームに関して、駆動アセンブリフレームおよび車輪キャリアのそれぞれに軸受を備える制御ロッドは、原則として、設計として考えられるか、または車輪キャリアに対して1つの軸受とフレームに2つの軸受を備える同様に三角形制御アームが考えられる。車輪キャリアとフレームのそれぞれに2つの軸受を備えた、いわゆる四辺形制御アーム、特に、台形制御アームまたは並列制御アームも考えられる。
【0011】
駆動アセンブリ車軸の好ましい実施形態によれば、二重横方向制御アーム車輪サスペンションの各制御アーム平面は、それぞれが1つの三角形制御アームまたは四辺形制御アームを備え、少なくとも1つの制御アーム平面、特に、上部制御アーム平面、他の制御ロッドを備える。この他の制御ロッドは、好ましくは、横方向制御アームとして構成することができる。
【0012】
駆動アセンブリ車軸の他の好ましい実施形態によれば、第1の制御アーム平面、特に、下部制御アーム平面は、三角形制御アームまたは四辺形制御アームを備え、第2の制御アーム平面、特に、上部制御アーム平面は、2つの制御ロッドを備える。第2の制御アーム平面はまた、制御ロッドとして具現化され、それを介して制動および駆動トルクが支持される長手方向または斜めの制御アームを備えることができる。
【0013】
駆動アセンブリ車軸のサスペンションは、少なくとも1つの横方向制御アーム、特に、下部制御アーム平面の横方向制御アームが、車輪キャリアから駆動アセンブリフレームの中央領域まで、すなわち、駆動アセンブリフレームの垂直中央平面に向かって可能な限り遠くまで延在するように構成することもできる。さらに、駆動アセンブリ車軸のサスペンションは、少なくとも1つの横方向制御アーム、特に、上部制御アーム平面の横方向制御アームが、車輪キャリアから駆動アセンブリフレームの垂直側壁まで延びるように構成することもできる。
【0014】
本発明に係る第1の態様、すなわち、上記の横方向制御アーム個別車輪サスペンションと組み合わせて、本発明は、本発明に係る他の態様、すなわち、以下に説明するような車輪キャリアも備えることができる。この時点で、この車輪キャリアは、本明細書に記載されている他の態様とは無関係に、自律的な発明であり得ることに留意されたい。本明細書に記載されている全ての態様は、それ自体を考慮した場合、自律的な発明と見なすことができ、または任意の適切な組み合わせで協力することもできる。提案された駆動アセンブリ設計は、個々の構造コンポーネント間の機能的関係を示す技術的に実施可能なシステムを提示するために、特に、構造要素として車輪キャリアを備えることができる。
【0015】
移動式クレーン駆動アセンブリのための本発明に係る車輪キャリアは、車輪キャリアに取り付けられた車輪を駆動するための車輪ハブ駆動部のエネルギ供給および/または電源を接続するように構成され、車輪ハブ駆動部は、電気モータまたは油圧モータを備える。言い換えると、各車輪キャリアは、車輪の駆動に必要なモータとその供給接続をすでに支えているため、中央駆動モータ、1つまたは複数のギア、および車輪キャリアまで延びる駆動軸を備えた従来の駆動トレインを省略できる。本発明に係る車輪ハブ駆動部は、ダイレクト駆動として構成することができ、あるいは、モータの下流に接続された遊星歯車、および駐車および操作ブレーキとしてのマルチディスクブレーキ装置を備えるように構成することもできる。
【0016】
本発明に係る車輪キャリアの好ましい実施形態によれば、後者は、ジョイント、特に、回転ジョイントを介して実際の車輪キャリア本体に取り付けられる軸受ヘッドを有することができる。次に、車輪サスペンションのばね懸架シリンダまたは車輪サスペンションの少なくとも1つの制御アームもこの軸受ヘッドに作用することができる。軸受ヘッドは、ジョイントを介して車輪キャリア本体に接続されているため、車輪キャリア本体の動きから軸受ヘッドを運動学的に切り離すことができる。言い換えれば、軸受ヘッドは、例えば、ステアリングロック時に、車輪キャリア本体と一緒に回転せず、むしろ実質的にその元の位置に留まる。これにより、例えば、ばね懸架シリンダまたは制御アームなどのサスペンション部品を軸受ヘッド、つまり、車輪キャリア本体に簡単に接続できるようになるだけでなく、車輪ハブ駆動部のエネルギおよび/または電源をその位置と向きに関して機械的に安全に接続できる。駆動モータが電気モータとして構成されているか、油圧モータとして構成されているかに応じて、この供給は、内部の導電性または流体案内導管を備え、これは、ジョイントで車輪キャリア本体に接続される軸受ヘッドに位置的に安定して接続され、車輪ハブに固定的に接続される車輪キャリアに直接接続されている場合よりも、より低い機械的応力にさらされる。しかしながら、車輪キャリアに固定的に接続されている駆動モータにエネルギまたは動力を伝達するために、軸受ヘッドから車輪キャリア本体へのフィードスルーが必要である。本発明の好ましい実施形態によれば、これは、電気的解決のための滑り接触/スリップリングおよび/または油圧的解決のための溝/穴を備える、いわゆる回転ユニオンとして実現され、以下でさらに詳細に説明される。
【0017】
電気駆動部または油圧駆動部は、車輪駆動部をポンプおよび/または発電機の動作に切り替えることにより、減速中に車両の運動エネルギを回復するオプションを提供し、このようにして回復されたエネルギを、例えば、油圧または電気アキュムレータなどの貯蔵装置に貯蔵できるようにする。油圧または電気機械駆動部は、ゼロ摩耗回生および/または油圧ブレーキ効果を可能にし、規制された方法で貯蔵装置からエネルギをさらに引き出すことにより、加速時に燃料を節約する。
【0018】
電気解決策はさらに、車載電気アキュムレータから車両駆動部を完全に供給するか、または車両駆動部を、例えば、幹線接続または変圧器ケーブル接続などの外部エネルギ供給に取り外し可能に接続することにより、建物内での無排出動作のオプションを提供する。この「インハウス」動作モードは、クレーンが水平面で低速で運転されている場合に特に有利である。電気のみで動作される上部構造機能と組み合わせることで、これにより、全ての不可欠なクレーン機能の完全または部分的なハイブリッド駆動部が可能になる。
【0019】
前述の態様の1つを補足することができる他の態様は、以下で説明するように、トラックロッドとステアリングロッドを組み合わせて、以下でトラックステアリングロッドと呼ばれる組み合わされた駆動アセンブリ要素を形成することに関する。組み合わされたトラックステアリングロッドは、発生するステアリングエラーを最小限に抑えるために、下側の三角形制御アームの平面に配置できる。
【0020】
駆動アセンブリ車軸のトラックステアリングロッドは、下部制御アーム平面に配置されたそれぞれの横方向制御アームの長さも実質的に示すことができ、これにより、車輪がばね圧縮されてばねが伸びたときに発生するステアリングエラーを最小限に抑えることができる。
【0021】
次に、駆動アセンブリフレームの構造中心軸に対して中央に配置されたステアリングギアは、油圧または電気機械シリンダによって作動させることができる。したがって、駆動アセンブリのダイナミクスにおける前述のエラーを最小限に抑えるために、ステアリングアクティベーション、トラッキング、および三角形制御アームを1つの平面に配置できる。
【0022】
前述の態様の1つを可能にし、かつ/または補足することができる他の態様は、以下で説明される移動式クレーン駆動アセンブリフレームに関する。
【0023】
本発明に係る、移動式クレーンのための駆動アセンブリフレームは、その長さに亘って、少なくとも部分的に、中空プロファイルとして構成され、垂直中央平面に対して対称または非対称であるように具体化することもできる。プロファイルの実質的に水平な上側および下側に加えて、本発明に係るプロファイルは、プロファイルの上側をフレームのそれぞれの側でプロファイルの下側に接続する垂直または傾斜したプロファイル側面を備え、後者と一緒に、中空プロファイルを形成する。これらのプロファイル側面は、プロファイルの水平幅がプロファイルの下側から駆動アセンブリフレームの所定の垂直高さまで増加するように、本発明に従って互いに接続された少なくとも2つ、好ましくはより多くの個々のプロファイルセグメントから構成される。ここで、フレーム幅は、少なくとも高さの一部に亘って一定のままであると考えられる。フレームの幅は、高さの異なるセクションで異なるレートではあるが、同様に上方向に増加し続ける。所定の高さを超えると、駆動アセンブリフレームの任意の断面の進行が可能であり、これには、少なくとも高さのセクションに亘るフレーム幅の減少が含まれる。対称的なプロファイルに加えて、駆動アセンブリフレームの中央平面に対して非対称的なプロファイルも、原則として考えられる。
【0024】
次に、個々のプロファイルセグメントを直線プロファイルセグメントとして構成することが考えられ、駆動アセンブリフレームの構造垂直軸に対して内向きまたは外向きに角度が付けられたプロファイルセグメントも同様に考えられる。プロファイルセグメントは、互いに直接当接することもできるが、互いに角度をなしており、プロファイル内の個々のプロファイルセグメント間の特定の遷移半径を表す中間セグメントも考えられる。
【0025】
上述の移動式クレーン駆動アセンブリフレームは、本発明に係る駆動アセンブリ車軸と併せて、提供される最大の設計スペースを利用することを可能にし、特に、既知の解決策より軽量でより高い耐荷重を有するクレーンの下部構造を可能にする。
【0026】
以下において、本発明は、本発明に係る態様の好ましい実施形態に基づいてより詳細に説明される。それは、本発明の任意の態様からの個々の特徴または複数の特徴の任意の適切な組み合わせも含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】クレーン駆動アセンブリフレームに組み立てられた、本発明に係る移動式クレーン駆動アセンブリ車軸を下から見た図である。
【
図2】本発明に係る移動式クレーン車輪キャリアの断面図である。
【
図3】
図2の車輪キャリアの回転軸受の詳細図である。
【
図4】本発明に係る移動式クレーン駆動アセンブリフレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の他の態様に係る移動式クレーン駆動アセンブリフレーム上に組み立てられた、本発明の第1の態様に係る2つの同一の駆動アセンブリ車軸を示す図の例である。駆動アセンブリ車軸のそれぞれは、二重横方向制御アーム駆動アセンブリ車軸として構成され、三角形制御アームとして形成された横方向制御アーム4が下部制御アーム平面19(
図2)に配置され、フレームの中心近くに配置された2つの離間した回転ジョイント軸受を介して駆動アセンブリフレーム2に作用する。したがって、三角形制御アーム4の全体的な回転軸Dは、フレームの長手方向軸Lに平行に延びる。外側の端部では、三角形制御アーム4が球状ジョイント21を介して車輪キャリア3に回転可能に連結されている(
図2を参照)。ステアリングレバー23を介して車輪キャリア3に作用する組み合わされたトラックステアリングロッド22もまた、下部制御アーム平面19に配置される。ステアリングシリンダ24を反対方向にばね圧縮および/またはばね伸長することにより、中央ステアリングレバー25およびそれに接続されたトラックステアリングロッド22を介して、関連する車軸の車輪10のステアリングロックが生じる。ステアリングロック時の車輪キャリア3の回転は、下側の制御アーム平面19では、下側の三角形制御アーム4の球面ジョイント21によって可能になり、対照的に、上側の制御アーム平面20では、車輪キャリア本体12と軸受ヘッド13との間に形成された回転ジョイント11によって可能になる。
【0029】
同様に、図示されている実施形態は、上部制御アーム平面20に三角形制御アーム5を備え、これは、制御ロッド6と同様に、横方向制御アームとして形成され、対応する車輪10がばね圧縮またはばね伸長されるとすぐに、共通の回転軸Dを中心に駆動アセンブリフレーム2で一緒に旋回する。回転ジョイント11は、水平回転軸を中心とした回転を許可しないため、横方向制御アーム5および6は、ばね懸架シリンダ14と同様に、さらに詳細には示されていない球形ジョイントおよび/または回転ジョイントを介して軸受ヘッド13に連結されている。フレームの端部では、ばね懸架シリンダ14と横方向制御アーム5と6は、同様に回転ジョイントを介して取り付けられている。
【0030】
図1および
図2から分かるように、駆動アセンブリフレーム2の下に比較的長い下部三角形制御アーム4を誘導し、上部横方向制御アーム5および6を大幅に短くすると、この目的のために、駆動アセンブリフレーム2に制御アームまたは駆動アセンブリの他の部品のための開口部または空洞を設ける必要なしに、従来の解決策と比較して、駆動アセンブリフレーム2の幅を大幅にまたは深さを均等に拡大できる。フレームの断面は、フレームの長さ全体に亘って一定であり、それにもかかわらず大幅に拡大されているため、構築が非常に簡単でありながら、従来の解決策と比較して非常に高い耐荷重を備えたクレーンの下部構造が提供される。本発明に係る駆動アセンブリ車軸を二重横方向制御アーム車軸として構成することにより、標準化されたコンポーネントを高度に使用することも可能になり、安価で簡単に構築できる駆動アセンブリ車軸だけでなく、何よりも大きくて複雑でない容量を、駆動アセンブリの車軸の様々な幾何学的パラメータを示す様々なタイプのクレーンに適合させることができる。
【0031】
図2は、本発明の第2の態様を表す、本発明に係る車輪キャリア3の断面を示している。本発明に係る車輪キャリア3は、車輪ハブ駆動部8の形態で、それが取り付ける車輪10のためのそれ自体の駆動部を備える。図示される実施形態では、車輪ハブ駆動部8は、車輪10と同軸に車輪キャリア3によって支えられ、遊星歯車および切り替え可能なカップリングを介して後者を駆動する油圧モータ9を備える。モータ9に動力を供給するために、この目的のために提供される作動油の油圧供給および排出を備える油圧電源15が提供される。クレーンの下部構造の駆動アセンブリフレーム2からの油圧導管は、軸受ヘッド13に直接接続されており、軸受ヘッド13は、車輪10が車輪キャリア3と一緒にステアリングロックを受けるとすぐに、ばね懸架シリンダ14と横方向制御アーム5と6に対してその位置で実質的に安定したままである。その結果、ステアリングロックによって引き起こされる、軸受ヘッド13につながる油圧導管への応力は無視できるほど小さい。次に、作動油は、回転ジョイント11の回転ユニオン16を介して油圧モータ9に続く。この目的のために、環状溝が、オイル供給または同様に油排出のために、軸受ヘッド13の円筒内面に組み込まれる。車輪キャリア本体12の円筒形軸受ジャーナル27のラジアルボアおよび接続アキシャルボアと協働して、前記環状溝は、互いに対して回転する要素、すなわち、軸受ヘッド13および車輪キャリア本体12を介して作動油のためのフィードスルーを形成する。車輪キャリア3に対するその位置に固定されたモータ9は、静的油圧導管を介して車輪キャリア本体12のボアから供給され得る。図示の実施形態では、モータ9を出る油は、それが供給される方法と同じ方法で駆動アセンブリフレーム2に向かって案内される。
【0032】
図4は、本発明の他の態様、すなわち、中空プロファイルとして構成され、所定の高さHまで下部領域で上方向に増加し続けるフレーム幅Bを示す移動式クレーン駆動アセンブリフレーム2を示す。
【0033】
この目的のために、垂直対称面Mに対して対称であるフレーム2は、プロファイルセグメント17によって形成されるプロファイル壁7が上方向に拡大するように互いに接続される下部領域の複数のプロファイルセグメント17から構成される。側壁7に対して全体として見ると、個々のプロファイルセグメントは補強ジグザグパターンを形成する。すなわち、フレームの側面Bは、上方向に交互に顕著なレートで増加する。所定の高さHより上では、フレーム2は、一定の幅を示すことができ、少なくとも部分的に増加または減少する幅も同様に考えられる。したがって、本発明に従って形成されたフレーム2の中空プロファイルは、駆動アセンブリ車軸によってそれが与えられる設計空間を最大限に利用する。
図1に示されているように、空洞や開口部がセクションに設けられていない一定のプロファイル断面は、所定の材料がクレーンの下部構造に使用されている場合、フレーム2の耐荷重を決定的に助ける。
【符号の説明】
【0034】
1 サスペンション
2 駆動アセンブリフレーム
3 車輪キャリア
4、5、6 横方向制御アーム
7 側壁
8 車輪ハブ駆動部
9 電気/油圧モータ
10 車輪
11 回転ジョイント
12 車輪キャリア本体
13 軸受ヘッド
14 サスペンションのばね懸架シリンダ
15 電源
16 回転ユニオン
17 プロファイルセグメント
18 プロファイルの下側
19 下部制御アーム平面
20 上部制御アーム平面
21 球面ジョイント
22 トラックステアリングロッド
23 ステアリングレバー
24 ステアリングシリンダ
25 中央ステアリングレバー
M フレームの対称面
D 横方向制御アームの回転軸
L フレームの長手方向軸