(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】シリンダ装置、プレス装置、ワーク接合装置、ワーク固定装置、シリンダ装置動作方法、ワークプレス方法、ワーク接合方法、及びワーク固定方法
(51)【国際特許分類】
F15B 3/00 20060101AFI20220107BHJP
B23Q 3/06 20060101ALI20220107BHJP
B30B 1/32 20060101ALI20220107BHJP
B30B 15/30 20060101ALI20220107BHJP
B30B 15/32 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F15B3/00 D
B23Q3/06 301B
B30B1/32 C
B30B15/30 107
B30B15/32
(21)【出願番号】P 2018040802
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2017049310
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】荒井 茂弘
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03511048(US,A)
【文献】特開平11-287202(JP,A)
【文献】特開2006-258188(JP,A)
【文献】特開2007-085492(JP,A)
【文献】特開平08-028508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B30B 1/32
B30B 15/30
B30B 15/32
F15B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内でスラスト方向に移動可能な出力ロッドと、
前記シリンダ内に形成され、前記出力ロッドを押圧して前記シリンダの一端側から他端側に移送する移送空圧室と、
前記シリンダ内で前記出力ロッドの前記一端側に形成され、スラスト方向に移動可能な油圧室と、
前記シリンダ内で、前記油圧室を前記一端側から前記他端側に移送して前記油圧室を加圧する加圧空圧室と、
前記加圧空圧室が前記加圧により前記油圧室に与えるスラスト方向の力からラジアル方向の力を発生させ、当該ラジアル方向の力によって前記油圧室を前記シリンダ内に固定する固定手段と、
前記加圧空圧室が前記加圧により前記固定した油圧室に発生させる油圧を増幅して前記出力ロッドに出力する油圧増幅手段と、
を具備し
、
前記油圧室は、前記出力ロッドが設けられた第1油圧室と、前記固定手段が設けられた第2油圧室と、から構成されており、
前記固定手段は、前記第2油圧室の油圧によって前記ラジアル方向の力を発生させて前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定し、
前記油圧増幅手段は、前記第1油圧室に発生した油圧を増幅して前記出力ロッドに出力する、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
前記油圧室は、前記加圧空圧室が前記加圧により前記油圧室に与える前記他端側方向の力と前記出力ロッドが前記油圧室に与える前記一端側方向の力と、を受けて油圧を発生させることを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記ラジアル方向の力によって弾性変形した前記第2油圧室の側壁を前記シリンダの内壁に押圧することにより前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のシリンダ装置。
【請求項4】
前記固定手段は、前記第2油圧室に発生した油圧で、スラスト方向に移動するテーパ部材をクランパに押圧することによりラジアル方向の力を発生させ、当該力によって前記クランパを前記シリンダの内壁に押圧することにより前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のシリンダ装置。
【請求項5】
前記加圧空圧室は、前記第1油圧室を加圧する第1ピストンを備えた第1空圧室と、前記第2油圧室を加圧する第2ピストンを備えた第2空圧室と、前記第1空圧室と前記第2空圧室を連通する連通孔とから構成され、
前記第1空圧室は、第1吸排気口を有すると共に前記第2空圧室の前記一端側に形成されている、
ことを特徴とする
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のシリンダ装置。
【請求項6】
前記第1ピストンは、前記第1空圧室の圧力で、前記出力ロッドが押圧対象に当接するまで、前記第2空圧室、前記第1油圧室、及び前記第2油圧室を前記他端側に移動する、
ことを特徴とする
請求項5に記載のシリンダ装置。
【請求項7】
前記第2油圧室の前記第2ピストンが前記第2油圧室に増幅した油圧を発生させる際の、前記第2ピストンの移動量が、前記第2ピストンに配設された前記第2油圧室のシール部材の弾性変形量の範囲内である、
ことを特徴とする
請求項5又は
請求項6に記載のシリンダ装置。
【請求項8】
前記第1油圧室は、前記第2油圧室の前記他端側に形成されており、
前記第1ピストンは、前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通して前記第1油圧室まで形成されていることを特徴とする
請求項5、請求項6又は
請求項7に記載のシリンダ装置。
【請求項9】
前記空圧室は、前記第1油圧室を加圧する第1ピストンを備えた第1空圧室と、前記第2油圧室を加圧する第2ピストンを備えた第2空圧室とから構成され、
前記第2空圧室は、前記第2油圧室の前記一端側に配設され、
前記第1空圧室は、前記第2油圧室の前記他端側に配設され、
前記第2空圧室を加圧する第1吸排気口と、
前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通して前記第1空圧室を加圧する第4吸排気口と、を備える、
ことを特徴とする
請求項1から
請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のシリンダ装置。
【請求項10】
前記第2油圧室を有する入力側ハウジングと、前記第1空圧室及び前記第1油圧室を有する出力側ハウジングを備え、
前記入力側ハウジングは、前記出力側ハウジングの前記一端側に固定されている、
ことを特徴とする
請求項9に記載のシリンダ装置。
【請求項11】
前記第2ピストンは、前記入力側ハウジングと前記第2空圧室との間に配設され、前記第2空圧室からの圧力で前記他端側に移動し、当該移動により前記第2油圧室を加圧するロッド部分を備える、
ことを特徴とする
請求項10に記載のシリンダ装置。
【請求項12】
前記第4吸排気口は、前記第2ピストンと前記ロッド部分を貫通することで、前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通している、
ことを特徴とする
請求項11に記載のシリンダ装置。
【請求項13】
前記移送空圧室は、前記出力ロッドが形成された第3ピストンと、前記第1油圧室の間に形成されており、
前記シリンダの前記一端側に形成された第2吸排気口と、
前記第2吸排気口、及び前記移送空圧室と連通し、前記シリンダ内で前記移送空圧室の移動に応じて伸縮する移送吸排気路と、
を具備したことを特徴とする
請求項8から
請求項12のうちの何れか1の請求項に記載のシリンダ装置。
【請求項14】
前記移送吸排気路は、前記シリンダの外部まで延設されており、当該延設された部分が前記シリンダの内外に摺動することにより伸縮することを特徴とする
請求項13に記載のシリンダ装置。
【請求項15】
前記シリンダ内の前記他端側に設けられた第3吸排気口と、
前記第3吸排気口と連通し、前記油圧室を前記一端側に押圧する第3空圧室と、
を具備したことを特徴とする
請求項13、又は
請求項14に記載のシリンダ装置。
【請求項16】
前記移送吸排気路の前記シリンダの外部に設けられ、前記移送吸排気路の伸縮により移動すると共に、前記油圧増幅手段で増幅された前記第1油圧室の油圧を受けて、前記シリンダ方向に引き寄せる推力を出力する第2出力手段と、
を具備したことを特徴とする
請求項13、
請求項14、又は
請求項15に記載のシリンダ装置。
【請求項17】
請求項15又は
請求項16に記載のシリンダ装置と、
前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置するワーク設置手段と、
前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドに装着した工具で前記設置したワークをプレスするプレス手段と、
前記プレスしたワークを前記所定位置から離脱する離脱手段と、
を具備したことを特徴とするプレス装置。
【請求項18】
請求項15又は
請求項16に記載のシリンダ装置と、
前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置する第1ワーク設置手段と、
前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドで前記設置した第1ワークをピックアップする手段と、
前記シリンダ装置を駆動して、前記ピックアップした第1ワークを第2ワークに押圧して接合させる手段と、
前記出力ロッドを、前記第2ワークに接合させた第1ワークから離脱する離脱手段と、
を具備したことを特徴とするワーク接合装置。
【請求項19】
請求項15又は
請求項16に記載のシリンダ装置と、
前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置するワーク設置手段と、
前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドに装着した工具で前記設置したワークを押圧し固定する手段と、
前記固定したワークを前記所定位置から離脱する離脱手段と、
を具備したことを特徴とするワーク固定装置。
【請求項20】
請求項14に記載のシリンダ装置を動作させるシリンダ装置動作方法であって、
第3吸排気口を加圧すると共に第1吸排気口と第2吸排気口を減圧することにより出力ロッド、第1油圧室、及び第2油圧室を一端側に移動させて初期状態に設定する第1ステップと、
前記第1吸排気口と前記第3吸排気口を減圧すると共に、前記第2吸排気口を加圧することにより前記移送空圧室の空圧力で前記出力ロッドを他端側に移動させて第1の対象に当接させる第2ステップと、
前記第1吸排気口と前記第2吸排気口を減圧すると共に、前記第3吸排気口を加圧することにより前記出力ロッドを初期状態に復帰する第3ステップと、
前記第1の対象位置にある前記出力ロッドの位置と、第2の対象の位置とを一致させる第4ステップと、
前記第2吸排気口と前記第3吸排気口を減圧すると共に、前記第1吸排気口を加圧することにより、前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、前記第1油圧室、前記第2油圧室、及び前記出力ロッドを前記第1空圧室の圧力で移動させる第5ステップと、
前記第1吸排気口を更に加圧して固定手段を動作させ、前記第1油圧室と前記第2油圧室をシリンダに固定する第6ステップと、
前記第1吸排気口を更に加圧して油圧増幅手段を動作させ、前記出力ロッドを第2の対象に押圧する第7ステップと、
前記第1吸排気口と前記第2吸排気口を減圧すると共に、前記第3吸排気口を加圧することにより前記出力ロッド、前記第1油圧室、及び前記第2油圧室を前記一端側に移動させて初期状態に復帰させる第8ステップと、
から構成されたことを特徴とするシリンダ装置動作方法。
【請求項21】
請求項17のプレス装置を動作させてワークをプレスする方法であって、
前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドの位置を初期状態に戻す第1ステップと、
ワークを所定位置に設置する第2ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室と前記出力ロッドを共に駆動させて、前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、又は、前記移送空圧室の圧力で先に前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで駆動させ、次に前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を駆動させ、前記出力ロッド
が当接し停止するまで、移動させる第3ステップと、
前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を固定する第4ステップと、
前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧圧力が増幅される第5ステップと、
第5ステップにより増幅された油圧圧力により前記出力ロッドに装着した工具がワークを油圧力で押圧し、ワークをプレスする第6ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドと共に前記出力ロッドに装着した工具を空圧力でワークから離脱させる第7ステップと、
プレスが完了したワークを所定の位置から離脱する第8ステップと、
を有することを特徴とするワークプレス方法。
【請求項22】
請求項18のワーク接合装置を動作させて第1ワークを第2ワークに接合させる方法であって、
第1ワークを所定位置に設置する第1ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッド、第1油圧室、及び第2油圧室の位置を初期状態に設定する第2ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記移送空圧室の空圧力で前記出力ロッドを他端側に移動させて第1の対象に当接させ、前記第1の対象を把持する第3ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記第1ワークを把持した出力ロッドを初期状態に復帰する第4ステップと、
前記第1ワークを把持した出力ロッドの位置を第2ワーク位置に変更する第5ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドが把持した前記第1ワークが前記第2ワークに当接し停止するまで、前記第1油圧室、前記第2油圧室、及び前記出力ロッドを前記第1空圧室の圧力で移動させる第6ステップと、
前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を前記シリンダに固定する第7ステップと、
前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧力が増幅される第8ステップと、
第7ステップにより増幅された油圧力により前記出力ロッドが前記把持した第1のワークを油圧力で第2のワークに押圧して接合させる第9ステップと、
を有することを特徴とするワーク接合方法。
【請求項23】
請求項19のワーク固定装置を動作させてワークを所定の位置に固定する方法であって、
ワークを所定の位置に設置する第1ステップと、
前記シリンダ装置を駆動して、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を移動させて、前記出力ロッドと共に前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、又は、前記移送空圧室の圧力で前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで移動し、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を移動させ、前記出力ロッド
が当接し停止するまで移動させる第2ステップと、
前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を固定する第3ステップと、
前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧圧力が増幅される第4ステップと、
前記第4ステップにより増幅された油圧圧力により前記出力ロッドに装着した工具がワークを油圧力で押圧し所定の位置に固定する第5ステップと、
を有することを特徴とするワーク固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置、プレス装置、ワーク接合装置、ワーク固定装置、シリンダ装置動作方法、ワークプレス方法、ワーク接合方法、及びワーク固定方法に関し、例えば、流体圧シリンダを用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
エア(気体)や油(液体)といった流体を用いた流体圧シリンダが工業の広い分野で利用されている。
これら流体圧シリンダは、流体の圧力でシリンダ内のピストンに推力を発生させることにより、例えば、プレスやアクチュエータの駆動など、様々な機械的な動作の原動となることができる。
【0003】
ところで、油圧シリンダは、油圧による大きな加圧力により小さなサイズでも大きな推力を得られるという特徴があるが、油圧供給装置などの大がかりな設備が必要であるという点が問題であった。
そのため、特許文献1では、エアシリンダと油圧シリンダを組み合わせたエアハイドロシリンダによってエア圧で油圧を発生させることにより、複雑な油圧系を省略し、低コストで小型化が可能な流体圧シリンダを提案している。
【0004】
ところが、特許文献1の技術では、エアシリンダのピストンの移動量を油圧シリンダの断面積に対応させて推力を発生させるため、ストロークが短いという問題があった。
例えば、エアハイドロシリンダの出力側にアクチュエータを装着した場合、ストロークを確保するためには、アクチュエータをエアハイドロシリンダごと移動する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エアハイドロシリンダを用いたストロークの大きいシリンダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、シリンダと、前記シリンダ内でスラスト方向に移動可能な出力ロッドと、前記シリンダ内に形成され、前記出力ロッドを押圧して前記シリンダの一端側から他端側に移送する移送空圧室と、前記シリンダ内で前記出力ロッドの前記一端側に形成され、スラスト方向に移動可能な油圧室と、前記シリンダ内で、前記油圧室を前記一端側から前記他端側に移送して前記油圧室を加圧する加圧空圧室と、前記加圧空圧室が前記加圧により前記油圧室に与えるスラスト方向の力からラジアル方向の力を発生させ、当該ラジアル方向の力によって前記油圧室を前記シリンダ内に固定する固定手段と、前記加圧空圧室が前記加圧により前記固定した油圧室に発生させる油圧を増幅して前記出力ロッドに出力する油圧増幅手段と、を具備し、前記油圧室は、前記出力ロッドが設けられた第1油圧室と、前記固定手段が設けられた第2油圧室と、から構成されており、前記固定手段は、前記第2油圧室の油圧によって前記ラジアル方向の力を発生させて前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定し、前記油圧増幅手段は、前記第1油圧室に発生した油圧を増幅して前記出力ロッドに出力する、ことを特徴とするシリンダ装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記油圧室は、前記加圧空圧室が前記加圧により前記油圧室に与える前記他端側方向の力と前記出力ロッドが前記油圧室に与える前記一端側方向の力と、を受けて油圧を発生させることを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記固定手段は、前記ラジアル方向の力によって弾性変形した前記第2油圧室の側壁を前記シリンダの内壁に押圧することにより前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記固定手段は、前記第2油圧室に発生した油圧で、スラスト方向に移動するテーパ部材をクランパに押圧することによりラジアル方向の力を発生させ、当該力によって前記クランパを前記シリンダの内壁に押圧することにより前記第2油圧室と前記第1油圧室を固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、前記加圧空圧室は、前記第1油圧室を加圧する第1ピストンを備えた第1空圧室と、前記第2油圧室を加圧する第2ピストンを備えた第2空圧室と、前記第1空圧室と前記第2空圧室を連通する連通孔とから構成され、
前記第1空圧室は、第1吸排気口を有すると共に前記第2空圧室の前記一端側に形成されている、ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項6に記載の発明では、前記第1ピストンは、前記第1空圧室の圧力で、前記出力ロッドが押圧対象に当接するまで、前記第2空圧室、前記第1油圧室、及び前記第2油圧室を前記他端側に移動する、ことを特徴とする請求項5に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項7に記載の発明では、前記第2油圧室の前記第2ピストンが前記第2油圧室に増幅した油圧を発生させる際の、前記第2ピストンの移動量が、前記第2ピストンに配設された前記第2油圧室のシール部材の弾性変形量の範囲内である、ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項8に記載の発明では、前記第1油圧室は、前記第2油圧室の前記他端側に形成されており、前記第1ピストンは、前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通して前記第1油圧室まで形成されていることを特徴とする請求項5、請求項6又は請求項7に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項9に記載の発明では、前記空圧室は、前記第1油圧室を加圧する第1ピストンを備えた第1空圧室と、前記第2油圧室を加圧する第2ピストンを備えた第2空圧室とから構成され、前記第2空圧室は、前記第2油圧室の前記一端側に配設され、前記第1空圧室は、前記第2油圧室の前記他端側に配設され、前記第2空圧室を加圧する第1吸排気口と、前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通して前記第1空圧室を加圧する第4吸排気口と、を備える、ことを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項10に記載の発明では、前記第2油圧室を有する入力側ハウジングと、前記第1空圧室及び前記第1油圧室を有する出力側ハウジングを備え、前記入力側ハウジングは、前記出力側ハウジングの前記一端側に固定されている、ことを特徴とする請求項9に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項11に記載の発明では、前記第2ピストンは、前記入力側ハウジングと前記第2空圧室との間に配設され、前記第2空圧室からの圧力で前記他端側に移動し、当該移動により前記第2油圧室を加圧するロッド部分を備える、ことを特徴とする請求項10に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項12に記載の発明では、前記第4吸排気口は、前記第2ピストンと前記ロッド部分を貫通することで、前記第2空圧室と前記第2油圧室を貫通している、ことを特徴とする請求項11に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項13に記載の発明では、前記移送空圧室は、前記出力ロッドが形成された第3ピストンと、前記第1油圧室の間に形成されており、前記シリンダの前記一端側に形成された第2吸排気口と、前記第2吸排気口、及び前記移送空圧室と連通し、前記シリンダ内で前記移送空圧室の移動に応じて伸縮する移送吸排気路と、を具備したことを特徴とする請求項8から請求項12のうちの何れか1の請求項に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項14に記載の発明では、前記移送吸排気路は、前記シリンダの外部まで延設されており、当該延設された部分が前記シリンダの内外に摺動することにより伸縮することを特徴とする請求項13に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項15に記載の発明では、前記シリンダ内の前記他端側に設けられた第3吸排気口と、前記第3吸排気口と連通し、前記油圧室を前記一端側に押圧する第3空圧室と、を具備したことを特徴とする請求項13、又は請求項14に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項16に記載の発明では、前記移送吸排気路の前記シリンダの外部に設けられ、前記移送吸排気路の伸縮により移動すると共に、前記油圧増幅手段で増幅された前記第1油圧室の油圧を受けて、前記シリンダ方向に引き寄せる推力を出力する第2出力手段と、を具備したことを特徴とする請求項13、請求項14、又は請求項15に記載のシリンダ装置を提供する。
請求項17に記載の発明では、請求項15又は請求項16に記載のシリンダ装置と、前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置するワーク設置手段と、前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドに装着した工具で前記設置したワークをプレスするプレス手段と、前記プレスしたワークを前記所定位置から離脱する離脱手段と、を具備したことを特徴とするプレス装置を提供する。
請求項18に記載の発明では、請求項15又は請求項16に記載のシリンダ装置と、前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置する第1ワーク設置手段と、前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドで前記設置した第1ワークをピックアップする手段と、前記シリンダ装置を駆動して、前記ピックアップした第1ワークを第2ワークに押圧して接合させる手段と、前記出力ロッドを、前記第2ワークに接合させた第1ワークから離脱する離脱手段と、を具備したことを特徴とするワーク接合装置を提供する。
請求項19に記載の発明では、請求項15又は請求項16に記載のシリンダ装置と、前記シリンダ装置に対してワークを所定位置に設置するワーク設置手段と、前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッドに装着した工具で前記設置したワークを押圧し固定する手段と、前記固定したワークを前記所定位置から離脱する離脱手段と、を具備したことを特徴とするワーク固定装置を提供する。
請求項20に記載の発明では、請求項14に記載のシリンダ装置を動作させるシリンダ装置動作方法であって、第3吸排気口を加圧すると共に第1吸排気口と第2吸排気口を減圧することにより出力ロッド、第1油圧室、及び第2油圧室を一端側に移動させて初期状態に設定する第1ステップと、前記第1吸排気口と前記第3吸排気口を減圧すると共に、前記第2吸排気口を加圧することにより前記移送空圧室の空圧力で前記出力ロッドを他端側に移動させて第1の対象に当接させる第2ステップと、前記第1吸排気口と前記第2吸排気口を減圧すると共に、前記第3吸排気口を加圧することにより前記出力ロッドを初期状態に復帰する第3ステップと、前記第1の対象位置にある前記出力ロッドの位置と、第2の対象の位置とを一致させる第4ステップと、前記第2吸排気口と前記第3吸排気口を減圧すると共に、前記第1吸排気口を加圧することにより、前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、前記第1油圧室、前記第2油圧室、及び前記出力ロッドを前記第1空圧室の圧力で移動させる第5ステップと、前記第1吸排気口を更に加圧して固定手段を動作させ、前記第1油圧室と前記第2油圧室をシリンダに固定する第6ステップと、前記第1吸排気口を更に加圧して油圧増幅手段を動作させ、前記出力ロッドを第2の対象に押圧する第7ステップと、前記第1吸排気口と前記第2吸排気口を減圧すると共に、前記第3吸排気口を加圧することにより前記出力ロッド、前記第1油圧室、及び前記第2油圧室を前記一端側に移動させて初期状態に復帰させる第8ステップと、から構成されたことを特徴とするシリンダ装置動作方法を提供する。
請求項21に記載の発明では、請求項17のプレス装置を動作させてワークをプレスする方法であって、前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドの位置を初期状態に戻す第1ステップと、ワークを所定位置に設置する第2ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室と前記出力ロッドを共に駆動させて、前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、又は、前記移送空圧室の圧力で先に前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで駆動させ、次に前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を駆動させ、前記出力ロッドが当接し停止するまで、移動させる第3ステップと、前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を固定する第4ステップと、前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧圧力が増幅される第5ステップと、第5ステップにより増幅された油圧圧力により前記出力ロッドに装着した工具がワークを油圧力で押圧し、ワークをプレスする第6ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドと共に前記出力ロッドに装着した工具を空圧力でワークから離脱させる第7ステップと、プレスが完了したワークを所定の位置から離脱する第8ステップと、を有することを特徴とするワークプレス方法を提供する。
請求項22に記載の発明では、請求項18のワーク接合装置を動作させて第1ワークを第2ワークに接合させる方法であって、第1ワークを所定位置に設置する第1ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、出力ロッド、第1油圧室、及び第2油圧室の位置を初期状態に設定する第2ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記移送空圧室の空圧力で前記出力ロッドを他端側に移動させて第1の対象に当接させ、前記第1の対象を把持する第3ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記第1ワークを把持した出力ロッドを初期状態に復帰する第4ステップと、前記第1ワークを把持した出力ロッドの位置を第2ワーク位置に変更する第5ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記出力ロッドが把持した前記第1ワークが前記第2ワークに当接し停止するまで、前記第1油圧室、前記第2油圧室、及び前記出力ロッドを前記第1空圧室の圧力で移動させる第6ステップと、前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を前記シリンダに固定する第7ステップと、前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧力が増幅される第8ステップと、第7ステップにより増幅された油圧力により前記出力ロッドが前記把持した第1のワークを油圧力で第2のワークに押圧して接合させる第9ステップと、を有することを特徴とするワーク接合方法を提供する。
請求項23に記載の発明では、請求項19のワーク固定装置を動作させてワークを所定の位置に固定する方法であって、ワークを所定の位置に設置する第1ステップと、前記シリンダ装置を駆動して、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を移動させて、前記出力ロッドと共に前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで、又は、前記移送空圧室の圧力で前記出力ロッドがワークに当接し停止するまで移動し、前記第1空圧室の圧力で前記油圧室を移動させ、前記出力ロッドが当接し停止するまで移動させる第2ステップと、前記固定手段により前記第1油圧室と前記第2油圧室を固定する第3ステップと、前記油圧増幅手段により前記第1油圧室の油圧圧力が増幅される第4ステップと、前記第4ステップにより増幅された油圧圧力により前記出力ロッドに装着した工具がワークを油圧力で押圧し所定の位置に固定する第5ステップと、を有することを特徴とするワーク固定方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、空圧によって油圧室をシリンダ内で移動させることにより、ストロークの確保と推力の確保を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】シリンダ装置の動作を説明するための図である。
【
図4】プレス加工を行う例を説明するための図である。
【
図5】第2実施形態のシリンダ装置を説明するための図である。
【
図6】第3実施形態のシリンダ装置を説明するための図である。
【
図7】第3実施形態のシリンダ装置の部品図である。
【
図8】第3実施形態のシリンダ装置を、通常のエアシリンダとして使用する場合の動作状態を表した説明図である。
【
図9】第3実施形態のシリンダ装置を、エアハイドロシリンダとして使用する場合の動作状態を表した説明図である。
【
図10】第3実施形態のシリンダ装置でピンAを圧入する動作状態を表した説明図である。
【
図11】第3実施形態のシリンダ装置でピンAを圧入後初期状態に戻す動作状態を表した説明図である。
【
図12】第3実施形態における先端具の変形例を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態の概要)
従来のエアハイドロシリンダの場合、エアシリンダ部分では、ストロークは大きいが推力が小さいという特徴があり、油圧シリンダ部分では、ストロークは小さいが推力が大きいという特徴がある。
そこで。本実施形態のシリンダ装置1(
図1)では、空圧室20から成る空圧系に、油圧室30から成る油圧系をシリンダ2内でスラスト方向に移動させる機能と、移動後に油圧室30を加圧して油圧を発生させる機能を持たせることにより、必要なストロークを確保すると共に必要な推力を発生する。
【0011】
より詳細には、第3ピストン13に形成された出力ロッド7は、シリンダ2の出力側(図面右側、第3吸排気口8の側)に外部まで延設されている。
第3ピストン13の入力側(図面左側、第1吸排気口5の側)に隣接して移送空圧室85が形成されており、移送吸排気路86から移送空圧室85にエアが供給されると移送空圧室85が加圧される。これにより第3ピストン13と共に出力ロッド7が出力側に移送されてワーク100に当接する。
シリンダ装置1は、このようなエアシリンダ機構により出力ロッド7の大きなストロークを実現する。
【0012】
移送空圧室85の入力側には、油圧発生部55がスラスト方向に移動可能に配設されている。
移送空圧室85の更に入力側には、第1空圧室21が形成されており、第1吸排気口5からエアを供給して加圧すると、油圧発生部55が押圧されて出力側に移動し、先に移送されていた第3ピストン13と当接する。
【0013】
更に、第1吸排気口5からエアを供給すると、油圧発生部55が出力ロッド7と第1空圧室21に挟まれ、出力ロッド7から入力側への力を受け、第1空圧室21から出力側への力を受ける。
これにより、油圧発生部55は、油圧を発生して第3ピストン13を押圧し、その結果、出力ロッド7から油圧が出力される。
【0014】
油圧の出力に際して、油圧発生部55は、第1空圧室21の圧力を利用して油圧発生部55をシリンダ2に固定し、これによって出力ロッド7がワーク100から受ける反作用に対抗するようになっている。
シリンダ装置1は、このような油圧機構により出力ロッド7から大きな油圧を出力することができる。
以上のようにして、シリンダ装置1は、エアシリンダによる長いストロークと、油圧シリンダによる大きな油圧の両方を兼ね備えることができる。
【0015】
(第1実施形態の詳細)
図1(a)は、第1実施形態に係るシリンダ装置1のスラスト方向(中心線の方向)の断面図を示しており、
図1(b)は、部品図を示している。
なお、
図1(a)では、図面の複雑化を避けるためOリングを省略してある。省略したOリングは、エアや油などの流体を封じる空間を構成する部材間に配設されることで、当該空間をシールし、流体の遺漏を防ぐために設置されるもので、
図1(b)の部品図では、Oリングも図示してある。
【0016】
以下では、第1吸排気口5が形成された一端側を加圧用のエアが入力される側であるため入力側と呼び、第3吸排気口8が形成された他端側を油圧が出力される側であるため出力側と呼ぶことにする。
また、シリンダ2内の各部品が最も入力側に位置する
図1(a)に示した状態を初期状態と呼ぶことにする。
【0017】
シリンダ装置1は、部品点数が多く、構造が複雑なため、まず、概略構成について説明する。
シリンダ装置1は、シリンダ2の両開放端を蓋3、4で塞いで構成されており、内部には、移送空圧室85によってスラスト方向に移動する第3ピストン13や、第1空圧室21の第1ピストン11によってスラスト方向に移動する油圧発生部55などが収納(内蔵)されている。
【0018】
シリンダ装置1は、シリンダ2と、シリンダ2内でスラスト方向に移動可能な出力ロッド7と、シリンダ2内で出力ロッド7の一端側(入力側)に形成され、スラスト方向に移動可能な油圧室30と、を備えている。
【0019】
第3ピストン13は、シリンダ2内で最も出力側に配置されている。
第3ピストン13の出力側には、出力ロッド7が形成されており、第3ピストン13の入力側と油圧発生部55の間に移送空圧室85が形成されている。
第2吸排気口6からエアを供給すると移送空圧室85が加圧されて第3ピストン13が押圧されるため、出力ロッド7がワーク100に当接するまで出力側に移動する。
このように、シリンダ装置1は、シリンダ2内に形成され、出力ロッド7を押圧してシリンダ2の一端側から他端側に移送する移送空圧室85を備えている。
【0020】
油圧発生部55は、ピストンハウジング14を筐体とし、その内部に収納された第2空圧室22、第2油圧室32、及び第1油圧室31などから構成された油圧発生機能を有するアセンブリであり、移送空圧室85の入力側に隣接して配設されている。
このように、移送空圧室85は、出力ロッド7が形成された第3ピストン13と、第1油圧室31の間に形成されている。
【0021】
シリンダ2内の各部品が最も入力側に位置する初期状態から、第1吸排気口5からエアを供給することで、第1空圧室21を加圧して油圧発生部55を出力側に押圧する。これにより、油圧発生部55と第3ピストン13とが当接した状態で出力側に移動し、出力ロッド7がワーク100に当接するまで動作させる。
なお、初期状態から、第2吸排気口6からエアを供給することで移送空圧室85を加圧し、出力ロッド7がワーク100に当接するまで第3ピストンだけを出力側に移動し、その後、移送空圧室85を排気しつつ第1空圧室21を加圧することで、油圧発生部55を出力側に押圧し、第3ピストン13に当接するまで出力側に移動させるようにしてもよい。
そして、第2空圧室22の空圧が第2ピストン12を押圧することにより、第2ピストン12の出力側に形成されたロッド部分58の先端面が第2油圧室32を加圧し、当該加圧された油圧によって、油圧発生部55がシリンダ2内で固定される。
油圧発生部55が固定されると、更に、第1空圧室21の空圧が、第1ピストン11を押圧する。これにより、第1ピストン11の出力側に形成され第2油圧室32内を貫通するロッド部分57の先端面が、第1油圧室31を加圧し、当該加圧により高まった油圧が、第4ピストンを介して第3ピストンの出力ロッド7に出力する。
【0022】
このように、シリンダ装置1は、シリンダ2内で、油圧室30(第1油圧室31、第2油圧室32)を一端側から他端側に移送して油圧室30を加圧する加圧空圧室(空圧室20)を備えており、当該加圧空圧室は、第1油圧室31を加圧する第1ピストン11を備えた第1空圧室21と、第2油圧室32を加圧する第2ピストン12を備えた第2空圧室22から構成されている。
そして、油圧室30は、出力ロッド7が設けられた第1油圧室31と、油圧発生部55を固定する固定手段(薄肉部15:後述)が設けられた第2油圧室32から構成されている。
【0023】
シリンダ装置1を構成する部品の材質は、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属である。
シリンダ装置1の大きさは、一例として、外径が20ミリ程度、ストローク長さが50ミリ程度であるが、これよりも大きくても、あるいは、小さくてもよい。以上が、シリンダ装置1の構成の概略である。
なお、以下では、複雑化を避けるため説明を省略するが、エアや油などの流体を封じる空間を構成する部材間には、当該空間をシールし、流体の遺漏を防ぐOリングが設置されている。
【0024】
次に、シリンダ装置1の詳細構成について説明する。
シリンダ2は、両端面が開放された円筒部材であって、シリンダ装置1の筐体を構成している。
シリンダ2の入力側端部は、円柱状の部材で構成された蓋3によって閉塞されている。
蓋3の出力側には、シリンダ2を挿入する凹部43が形成されており、シリンダ2の入力側端部の外周に形成された雄ネジと凹部43の内周面に形成された雌ネジを嵌合させることにより、シリンダ2と蓋3は、ネジ止めされて接合されている。
凹部43が形成された蓋3の中央には、その中心線に沿って第4ピストン89のロッド部分81を摺動可能に挿通する貫通孔が設けられている。
【0025】
蓋3の入力側には、蓋3の中心線と同軸の凸部84が形成されている。凸部84には、円筒形状を有するストッパ82がネジ機構によりネジ止めされている。
ストッパ82の入力側端面は、凸部84の端部よりも入力側に突出しており、ロッド部分81に形成されたストッパ83と当接することにより、ロッド部分81の出力側への最大移動量を規制する。
【0026】
シリンダ2内の入力側の端部部分には、シリンダ2の内壁に沿ってスラスト方向に摺動する第1ピストン11が設けられている。
第1ピストン11の入力側端面と凹部43の底面は対面しており、凹部43の底面には、溝が形成された凸部44が形成されている。
【0027】
凸部44により、第1ピストン11の入力側への移動範囲が規制されるため、第1ピストン11が最も入力側に寄った場合でも、凹部43、第1ピストン11の端面、及びシリンダ2の内壁で囲まれた空間が形成される。
蓋3の側面には、第1吸排気口5から当該空間に連通する吸排気路が形成されており、これによって、第1吸排気口5からの吸気や排気によって加減圧が可能な第1空圧室21が当該空間に形成される。
凸部44に溝が形成されているのは、第1吸排気口5からエアが供給された場合に、第1ピストン11の端面全体にエアが速やかに行き渡るようにするためである。
【0028】
第1ピストン11の出力側端面には、後述の抜止めナット18、第2空圧室22、第2ピストン12、張出部57、第2油圧室32、蓋34を中心線に沿って貫通して第1油圧室31に至るロッド部分50がスラスト方向に形成されている。
このように、第1油圧室31は、第2油圧室32の他端側(出力側)に形成されており、第1ピストン11は、第2空圧室22と第2油圧室32を貫通して第1油圧室31まで形成されている。
第1ピストン11は、油圧発生部55をシリンダ2内で出力側に移動させる機能と、第1油圧室31を加圧して出力ロッド7に油圧を出力させる機能を有している。
【0029】
ロッド部分50は、円筒形状に形成されており、内部には、ロッド部分50と第1ピストン11を貫通する貫通孔が形成されている。
当該貫通孔には、第4ピストン89の入力側に形成されたロッド部分81が摺動可能に貫通している。
【0030】
第1ピストン11の出力側には、油圧発生部55が配置されている。
油圧発生部55は、略円筒状の形状を有するピストンハウジング14を筐体とし、当該筐体内に形成されている第2空圧室22、第2油圧室32、第1油圧室31を駆動して油圧を発生させる油圧発生アセンブリである。
【0031】
ピストンハウジング14は、入力側から第2空圧室22、第2油圧室32、第1油圧室31を形成する内部形状を有する概略円筒形の部材である。
ピストンハウジング14の中央部には、シリンダ2の内周面と所定のクリアランスを隔てて摺動する薄肉部15が外筒部に形成されており、薄肉部15の両側の部分は、薄肉部15よりも外径が小さく形成されている。
【0032】
ピストンハウジング14の入力側の端部には、ピストンハウジング14の開口部を閉塞する抜止めナット18が、ピストンハウジング14に形成された雌ネジと、抜止めナット18に形成された雄ネジを嵌合させることによりネジ止めされて固定されている。
第1ピストン11と抜止めナット18の間には、両者を離れる方向に付勢するコイルバネ19が設けられている。
コイルバネ19は、第1ピストン11の出力側端面と抜止めナット18の入力側端面の対応する位置に形成された凹部に設置されている。
【0033】
また、第1ピストン11には、抜止めボルト17を挿通するための貫通孔が形成されており、抜止めナット18には、抜止めボルト17を固定するためのネジ孔が貫通して設けられている。
抜止めナット18の貫通孔は、入力側がザグリ加工されており、第1ピストン11の貫通孔から当該ザグリ加工された部分まで円筒部材であるカラー16が挿入されている。
【0034】
そして、カラー16には、抜止めボルト17が挿入され、抜止めボルト17の先端が抜止めナット18に形成された雌ネジに嵌合してネジ止めされている。
また、第1ピストン11の貫通孔の入力側は、ザグリ加工されており、抜止めボルト17の頭部が当該ザグリ部分に当接することにより、第1ピストン11の抜けを防止している。
【0035】
図示しないがカラー16の外周面と第1ピストン11の貫通孔の内周面の間にはOリングが設けられており、第1ピストン11は、カラー16に対してスラスト方向に摺動することができる。
このように、第1ピストン11は、コイルバネ19によって抜止めナット18から離れる方向に付勢されると共に、抜止めボルト17によって、第1ピストン11が抜止めナット18から所定距離以上離れないように最大離隔量が規制されている。
【0036】
この最大離隔量は、第1ピストン11の出力側端面と抜止めナット18の入力側端面の間に、第1ピストン11が抜止めナット18側に押し込まれるストロークを確保するための間隙51が形成される量に設定されている。
以上の構成によって、初期状態では、コイルバネ19によって第1ピストン11と抜止めナット18は、抜止めボルト17によって規制される量だけ離れているが、第1空圧室21に圧力が加わって、第2油圧室により油圧発生部55が固定されると、第1ピストン11は、抜止めナット18に接近できるようになる。
なお、この際に、間隙51にあった空気は、ピストンハウジング14の外周とシリンダ2の内周の間の空間を経由して移送空圧室85に排出される。
【0037】
抜止めナット18の出力側には、凹部が形成されており、ピストンハウジング14内で抜止めナット18の出力側に配置された第2ピストン12の端面と当該凹部が形成する空間により第2空圧室22が形成される。
抜止めボルト17は、中心線に沿って貫通孔が形成されており、当該貫通孔を介して第1空圧室21と第2空圧室22は、連通している。
このように、第1空圧室21は、第2空圧室22の一端側(入力側)に設けられており、第1吸排気口5を有している。
更に、第1ピストン11は、第1空圧室21と第2空圧室22を連通する連通孔を有している。
【0038】
第2ピストン12の出力側には、第2油圧室32を形成するために、シリンダ2の内周面から中心線方向に張り出した張出部57が形成されている。
第2ピストン12の出力側端面と、張出部57の入力側端面の間には、張出部57から離れる方向に第2ピストン12を付勢するコイルバネ33が設置されており、コイルバネ33の中心を第2ピストン12のロッド部分58が挿通している。
【0039】
以上の構成によって、初期状態では、第2ピストン12の入力側端面は、抜止めナット18の凹部の縁部分先端に当接し、第2ピストン12の出力側端面と張出部57の入力側端面の間には、第2ピストン12が張出部57側に押し込まれるストロークを確保するための間隙52が設けられている。
また、ピストンハウジング14の間隙52が形成された部分には、第2ピストン12が張出部57の方に移動する際に、間隙52の空気をピストンハウジング14とシリンダ2の間の空間に逃がすための貫通孔40が形成されている。
【0040】
張出部57の中心線上には、第2油圧室32に至る貫通孔が設けられており、第2ピストン12のロッド部分58が摺動可能に挿入されている。
更に、ロッド部分58には、中心線上に第2ピストン12を貫通する貫通孔が形成されており、第1ピストン11のロッド部分50が当該貫通孔を摺動可能に挿通している。
第1ピストン11と第2ピストン12に使用されているシール部材は材質が異なり、第2ピストン12のシール部材の方が摺動抵抗が小さい。そのため第1ピストン11と第2ピストン12を同時に加圧した場合は、第2ピストン12の方がより早く動作を開始し、より早く動作を完了するようになっている。
このようにロッド部分58は、円筒状に形成されており、張出部57を貫通して第2油圧室32に露出した端部が第2油圧室32の油を加圧するピストンとして機能する。
【0041】
ここで、第1空圧室21と第2空圧室22のエアの圧力をP1、第2空圧室22における第2ピストン12の断面積(エアから圧力を受ける部分をスラスト方向に投影した面積、以下同様)をS1、第2油圧室32におけるロッド部分58の断面積をS2、コイルバネ33が第2ピストン12を付勢する力をF1とすると、第2油圧室32の油圧P2は、P2=(P1・S1-F1)/S2となる。そのため、(P1・S1-F1)/S2>P1なら、第2空圧室22の圧力が増幅されて第2油圧室32に伝達される。
油圧発生部55は、この条件が満たされるように構成されており、第2油圧室32は、増大した油圧で油圧発生部55を強固に固定する。
【0042】
第2油圧室32は、第2ピストン12がスラスト方向の力によって張出部57の方に押圧されると、ロッド部分58が第2油圧室32に挿入されるため、上記の式に従って加圧される。この時、加圧された圧力は周囲の内壁を均等に押圧する。第2油圧室32の内壁のスラスト方向の断面積は、入力側と出力側を比較すると、出力側よりもロッド部分58の端面積の分だけ入力側の方が小さい。このため、第2油圧室32内部の油が内壁を押圧する力は断面積が大きい出力側の方が大きくなるので、第2油圧室32には出力側へ移動しようとする力が働く。
この時、空圧室21と空圧室22には同時にエアが供給されるので、第2ピストン12と第1ピストン11は同時に動作を開始する。そのため同時に第1油圧室31にも油圧力が発生し始める。第1油圧室31で発生した油圧力は、蓋34の出力側端面を押圧するので、油圧発生部55には入力側へ移動しようとする力が発生する。
この出力側と入力側に移動させようとする相反する力の関係において、第2油圧室32による出力側へ移動しようとする力の方が大きい場合は、油圧発生部55には第2油圧室32により出力ロッド7を押圧する方向に力が作用するが、出力ロッド7は移動できないので油圧発生部55もその場で停止する。
【0043】
そして第2油圧室32内部で高まった油圧は、出力ロッド7の停止に伴いスラスト方向に移動できなくなり、剛性が弱い薄肉部15に圧力が作用し、矢線で示したラジアル方向(中心線から外に向かう方向)に弾性変形して膨張し、薄肉部15の外周面がシリンダ2の内周面に押圧される。これにより、薄肉部15とシリンダ2の間に摩擦力が発生し、油圧発生部55がシリンダ2内でスラスト方向に固定される。
一方、第1油圧室31による入力側へ移動させる力の方が大きい場合は、第1ピストン11よりも第2ピストン12の方がシール部材による摺動抵抗が小さく、より早く動作するので、第1ピストン11が間隙51の隙間を動き切る前に第2ピストン12の動作が完了し、剛性が弱い薄肉部15に圧力が作用し、外周面がシリンダ2の内周面に押圧して、油圧発生部55がシリンダ2内でスラスト方向に固定される。第1ピストン11と第2ピストン12のシール部材の摺動抵抗の違いは、材質の違いによる摩擦抵抗の違いにより生じているが、形状や、締め代による違いにより生じさせても構わない。
【0044】
このように、シリンダ装置1が備える固定手段は、加圧空圧室(空圧室20)が加圧により油圧室30に与えるスラスト方向の力からラジアル方向の力を発生させ、当該ラジアル方向の力によって油圧室30をシリンダ2内に固定している。
より詳細には、当該固定手段は、第2油圧室の油圧によってラジアル方向の力を発生させ、当該ラジアル方向の力によって弾性変形した第2油圧室の側壁をシリンダの内壁に押圧することにより第2油圧室と第1油圧室を固定している。
【0045】
蓋34は、外周面に雄ネジが形成されており、ピストンハウジング14の出力側端部に形成された雌ネジにねじ込んで固定されている。
蓋34の中心には、出力側にザグリ部分が形成された貫通孔が形成されており、当該貫通孔には、第1ピストン11のロッド部分50の先端部分が挿入されている。
【0046】
蓋34の出力側には、中心線に沿って入力側にロッド部分81が形成された第4ピストン89が配置されており、蓋34の出力側端面、第4ピストン89の入力側端面、給油口栓38の入力側端面、及びピストンハウジング14の内周面で空間によって仕切られた第1油圧室31が形成されている。
第4ピストン89の出力側端面には、第1油圧室31に至る給油口が設けられており、給油の後、給油口栓38によって封じられている。
【0047】
ロッド部分81は、第1油圧室31を貫通して、ロッド部分50の内部に挿入されており、蓋3を挿通して、蓋3の外部まで延設されている。
ロッド部分81の内部には、移送空圧室85と導通する移送吸排気路86が形成されている。
ロッド部分81の入力側先端部には、移送吸排気路86と導通する第2吸排気口6が設けられており、第2吸排気口6の出力側には、ストッパ83が固定されている。
【0048】
第4ピストン89が移送空圧室85の変化にともなってスラスト方向に移動すると、これに応じてロッド部分81がシリンダ2の内部を摺動してシリンダ2内部での挿入長さが伸縮する。これによって移送吸排気路86もシリンダ2内部での長さが伸縮する。
【0049】
このように、シリンダ装置1は、シリンダ2の一端側(入力側)に形成された第2吸排気口6と、当該第2吸排気口、及び移送空圧室85と連通し、移送空圧室85の移動に応じてシリンダ2内での挿入長さを伸縮する移送吸排気路86を備えている。
そして、移送吸排気路86は、シリンダ2の外部まで延設されており、延設部分がシリンダ2の内外に摺動することにより外部への張り出し長さが伸縮する。
【0050】
当該構成により、第1ピストン11がピストンハウジング14に近づくと、ロッド部分50が第1油圧室31に挿入されて第1油圧室31の油が加圧され、第4ピストン89が当該加圧された油圧を受けて出力側に移動する。
ここで、第1空圧室21と第2空圧室22のエアの圧力をP1、第1空圧室21における第1ピストン11の断面積をS3、第1油圧室31の油圧をP3、第1油圧室31における第1ピストン11の断面積をS4とする。
この場合、P3=S3・P1/S4となり、S3>S4なら、第1空圧室21の圧力が増幅されて第1油圧室31に伝達される。
【0051】
シリンダ装置1の油圧系は、第1空圧室21の圧力が第1油圧室31で増幅されて、ワーク100の加工に必要な力F3を出力ロッド7により発揮するように(推力が増大するように)設定されている。
また、後述するように、第4ピストン89は、第3ピストン13に当接して第1油圧室31の増大した油圧を第3ピストン13に伝達する。これにより増大した油圧が出力ロッド7から出力される。
このように、シリンダ装置1は、空圧室が油圧室に発生させる油圧を増幅する油圧増幅手段(第1ピストン、ロッド部分50)と、当該増幅した油圧を出力する出力ロッドを備えており、当該油圧増幅手段は、第1油圧室に発生した油圧を増幅して出力ロッドに出力している。
【0052】
ピストンハウジング14の出力側の開放端には、ネジ溝が形成されており、中心に出力ロッド7を挿通する貫通孔が形成された抜止めナット37がネジ止めされている。
貫通孔からは、第4ピストン89の出力側の端面が突出しており、当該端面が第3ピストン13の入力側端面と当接するようになっている。
【0053】
第4ピストン89の出力側には、第3ピストン13が配設されている。
第3ピストン13は、油圧発生部55の外部に配置されており、シリンダ2の内周をスラスト方向に摺動する。
第3ピストン13の出力側端面には、蓋4を貫通してシリンダ装置1の外部に延設された出力ロッド7が中心線上に形成されている。
【0054】
第4ピストン89の出力側端面、抜止めナット37の出力側端面、第3ピストン13の入力側端面、ピストンハウジング14の薄肉部15に至るまでの外周面、及びシリンダ2の内周面に囲まれた空間により移送空圧室85が形成されている。
【0055】
第4ピストン89の出力側端面には、移送吸排気路86が開口しており、第2吸排気口6と移送空圧室85は、移送吸排気路86を介して導通している。
また、第3ピストン13の入力側端面には、凸部44と同様に溝が形成された凸部が形成されており、移送吸排気路86から供給されたエアが移送空圧室85に速やかに行き渡るようになっている。
【0056】
このように構成された移送空圧室85において、第2吸排気口6からエアが供給されると、移送空圧室85の圧力が高まり、第3ピストン13が出力側に移送され、これにともなって出力ロッド7も出力側に移動する。
【0057】
蓋4は、円柱状の部材であって、入力側にシリンダ2を挿入するための凹部が形成されている。
当該凹部の内周面には雌ネジが形成されており、これがシリンダ2の対応する外周面に形成された雄ネジと嵌合することにより両者は、ネジ止めされている。
蓋4の中心線上には、出力ロッド7を挿通するための貫通孔が形成されている。
【0058】
更に、蓋4の側面には、第3吸排気口8からシリンダ2の内部に連通する吸排気路が設けられており、シリンダ2内の出力側には第3吸排気口8から吸排気される第3空圧室41が形成されている。
第3空圧室41は、第1吸排気口5を開放して第3吸排気口8からエアを供給することにより、第3ピストン13と油圧発生部55を入力側に移動して、シリンダ装置1を初期状態に復帰させるのに用いられる。
このように、シリンダ装置1は、シリンダ2内の他端側に設けられ、第3吸排気口8を有し、油圧室(油圧室30)を一端側(入力側)に押圧する第3空圧室41を備えている。
図示しないが、蓋4の凹部の底面には、蓋3の凸部44と同様に、先端に溝が形成された凸部が形成されている。第3ピストン13が出力方向に移動すると蓋4の凸部に当接する。蓋4の底面凸部の溝は、この第3ピストン13が当接した状態において、第3吸排気口8からエアが供給された場合に、第3ピストン13の端面全体にエアが速やかに行き渡るようにするために形成されている。
【0059】
また、蓋4の出力側端面には、中心線と同軸に凸部87が形成されており、凸部87の中央に貫通孔が形成されている。
この凸部87には、雄ネジが形成されており、図示しないナットがネジ止めされている。このナットは、例えば、シリンダ装置1をプレス装置に設置する際に、設置用の端面として使用される。
【0060】
図2は、シリンダ装置1の部品図を示した図である。
図に示したように、シリンダ装置1は、各部品を軸線方向に組み立てることにより構成される。
【0061】
図3は、シリンダ装置1の動作を説明するための図である。
本実施形態のシリンダ装置1では、出力ロッド7に対して、エアシリンダとして動作させる場合と、エアハイドロシリンダとして動作させる場合を別個独立させることができる。
この独立した動作の概要は次の通りである。
(1)通常のエアシリンダとして使用する場合
この場合には、
図1(a)に示した初期状態から、移送空圧室85の空圧を上げることで第3ピストン13と出力ロッド7だけを出力方向(図面右側)に動かす(先端のエアシリンダ部分だけ動かす)。
出力ロッド7を戻す際は、第3空圧室41の空圧を上げることで初期状態に戻す。
(2)エアハイドロシリンダとして動かす場合
この場合には、初期状態から、油圧発生部55を出力方向に動かし、第3ピストン13は油圧発生部55に押されて当接した状態で、一体で動く。
そして、第3ピストン13の出力ロッド7がワークに当接することにより油圧発生部55に油圧力が発生し、最終的にワークをクランプすることに使用する。
ここでワークのクランプは、ワークを他のワークに接合する動作をいい、この接合する動作には、他のワークに組付ける動作、一体化させる動作、合体させる動作を含むものとして説明する。
【0062】
次に、本実施形態のシリンダ装置1により、ワークをクランプする動作の詳細について説明する。
出力ロッド7の先端には、図示しないワークAの把持手段が組付いており、この把持手段により、ワークAに当接すると適宜ワークAの把持と開放が行われるようになっているものとする。把持手段としては、例えば真空吸着装置や爪でワークを把持するチャック装置などがある。
(a)まず、第1吸排気口5と第2吸排気口6を開放して第1空圧室21、第2空圧室22、及び移送空圧室85を減圧しつつ、第3吸排気口8からエアを供給して第3空圧室41を加圧し、油圧発生部55、第1空圧室21、第2空圧室22、移送空圧室85、第1油圧室31、及び第2油圧室32を初期状態(
図1(a)の状態)に設定する。
【0063】
(b)次に、
図3(a)に示すように、エアシリンダ部分だけ動作させ、出力ロッド7を大きく移動して、遠くにあるワークAを取りに行く。
具体的に説明すると、第1吸排気口5の開放状態を維持しながら第3吸排気口8を開放して第3空圧室41を減圧しつつ、第2吸排気口6からエアを供給する。すると、
図3(a)に示したように、移送吸排気路86から供給されるエアが移送空圧室85内を加圧して第3ピストン13を出力側に押す。これにより、第3ピストン13が第4ピストン89から離れると共に、第3空圧室41内のエアが第3吸排気口8から排気され、第3ピストン13の出力ロッド7が出力側に移動し、ワークAに当接する。
このように通常のエアシリンダとして動作する場合には、第3ピストン13は油圧発生部55による大きな油圧力を受けないので、出力ロッド7がワークAに当接しても大きな力が作用することはない。
【0064】
(c)次に、エアシリンダ部分が元の位置に戻り、出力ロッド7先端の把持手段で把持したワークAをピックアップする。
具体的には、
図3(a)の状態において、第2吸排気口6を開放して移送空圧室85内を減圧しつつ、第3吸排気口8からエアを供給する。
すると、第3吸排気口8から供給されたエアにより第3空圧室41が加圧されて、出力ロッド7はワークAを把持した状態で第3ピストン13と共に初期状態に戻る。
【0065】
(d)次に、把持したワークAを所定位置に移動する。
具体的には、シリンダ装置1は出力ロッド7でワークAを把持した状態のまま、ロボットや、ピック・アンド・プレース等により、ワークBの位置まで場所を移動する。
なお、本動作ではワークAを把持した出力ロッド7がワークBの位置まで移動するが、ワークAを把持した出力ロッド7が初期状態に戻った状態で、ワークAがあった位置にワークBがセットされることで、位置移動なしに次の動作に以降するようにしてもよい。
【0066】
(e)シリンダ装置1の位置を移動した後、油圧発生部55を動かして、シリンダ2内部のピストン全部を出力方向に移動させる。
具体的には、第2吸排気口6と第3吸排気口8を開放状態にして第1吸排気口5からエアを供給する。すると、第1吸排気口5から供給されたエアにより、
図3(b)に示したように、第1空圧室21と第2空圧室22が加圧されると共に、第3空圧室41内のエアが第3吸排気口8から排気される。
これにより、第1空圧室21と第2空圧室22が加圧されることで、第1ピストン11と油圧発生部55が出力側に移動すると共に、エアシリンダ部分の第3ピストン13は第4ピストン89に当接した状態を維持しながら油圧発生部55に押されて出力方向に移動する。
【0067】
(f)次に、出力ロッド7が把持しているワークAを組み込む。
すなわち、出力ロッド7を把持したワークAが組み入れるワークBに当接すると、第2油圧室32の油圧が高まり、油圧発生部55が固定され、固定されることで第1油圧室31の油圧力が高まり、高まった油圧力でワークBを押圧し、ワークAを固定する。
具体的には、ワークAがワークBに当接した後、油圧発生部55は出力方向に移動しなくなる。この状態で、更に第1吸排気口5からエアを供給すると、第1空圧室21と第2空圧室22が加圧され、これによって第1油圧室31と第2油圧室32が加圧される。このとき摺動抵抗の違いにより第1ピストン11よりも第2ピストン12の方が早く動作を完了する。
すると、最初に第2油圧室32の薄肉部15がラジアル方向に弾性変形して油圧発生部55をシリンダ2に固定する。
油圧発生部55が固定されると、第1吸排気口5から供給されるエアの圧力が第1ピストン11を出力方向に押すことで、第1ピストン11のロッド部分50の先端面が出力方向に移動して第1油圧室31内の圧力が高まる。第1油圧室31の油圧力が高まることで、出力ロッド7の推力が増大し、先端に把持しているワークAがワークBを押圧して固定される。
このように、本実施形態の動作によれば、ワークAをワークBに組付ける際の組立基準にしっかりと押圧しながら、ワークBを定位置に固定した状態でワークAを組み入れるので、組み付けたときの位置ばらつきが少なくなり、精度よく組み立てることができる。
【0068】
(g)初期状態への復帰
ワークAをワークBに固定した後、出力ロッド7はワークAの把持を開放する。この状態で、第2吸排気口6、第3吸排気口8の開放状態を維持しつつ、第1吸排気口5を開放することで、第1空圧室21と第2空圧室22が減圧する。これにより、第1油圧室31と第2油圧室32の油圧が低下し、第2油圧室32では、弾性変形していた薄肉部15が復元力により元に戻る。これにより、油圧発生部55の薄肉部15による固定が解除される。また、第2ピストン12は、コイルバネ33の付勢力により初期状態の位置に戻る。
そして、第1吸排気口5と第2吸排気口6を開放したまま、第3吸排気口8からエアを供給して、第3空圧室41を加圧する。
これにより、第1油圧室31では、第4ピストン89が第3ピストン13に押圧されて初期状態の位置に戻るとともに、第3ピストン13と油圧発生部55が入力側に移動して初期状態が復元される。
以下、ワークAを交換しながら、以上のサイクルを繰り返す。
【0069】
以上説明した本実施形態のシリンダ装置1による動作(以下、主動作という)では、エアシリンダ部分だけを単独で動作させることでワークAの把持という独立した操作を行った後に初期状態に戻る。その後、エアハイドロシリンダとして動作し、空圧で油圧発生部55を移動した後に増幅した油圧力により、ワークAをワークBに固定している。
これに対して、初期状態にあるシリンダ装置1を次のよう動作(以下、変形動作という)させることも可能である。なお、油圧発生部55が薄肉部15の弾性変形によってシリンダ2に固定される動作等の同一動作については適宜説明を省略する。
また変形動作の説明においては、
図3(a)、(b)を使用するが、いずれも出力ロッド7の先端には
図1(a)に示したワーク100が存在するものとして説明する。
【0070】
説明した主動作では、エアシリンダ部分だけ動作させ出力ロッド7を移動してワークAに当接した後ワークAを把持して初期位置まで戻る。
これに対し変形動作では、ワーク100に当接した出力ロッド7を戻さず、そのままの状態で油圧発生部55を出力側に移動して第3ピストン13に当接した後に油圧力を発生させるものである。
【0071】
具体的には、主動作と同様に、第2吸排気口6からエアを供給して移送空圧室85の空圧を高めることで、第3ピストン13が出力方向に移動して出力ロッド7の先端がワーク100に当接する(
図3(a)の状態)。
この状態で、第3吸排気口8の開放状態を維持しながら第2吸排気口6を開放して移送空圧室85を減圧しつつ、第1吸排気口5からエアを供給する。
すると、第1吸排気口5から供給されたエアにより、
図3(b)に示したように、第1空圧室21と第2空圧室22が加圧されると共に移送空圧室85内のエアが移送吸排気路86を介して第2吸排気口6から排気される。
【0072】
第1空圧室21が膨張することにより、油圧発生部55が出力側に移動して、第4ピストン89が第3ピストン13に当接する。
更に、第1吸排気口5からエアを供給して第1空圧室21と第2空圧室22を加圧し、これによって第1油圧室31と第2油圧室32が加圧され、油圧発生部55が固定される。
油圧発生部55が固定されると、主動作と同様に、第1吸排気口5から供給されるエアの圧力により、第1ピストン11のロッド部分50の先端面が出力方向に移動して第1油圧室31内の圧力が高まり、出力ロッド7の推力が増大しワーク100が押圧される。
この状態から、初期状態への復帰は主動作と同じである。
【0073】
なお、シリンダ装置1にはストッパ83があり、第4ピストン89(エアハイドロピストン)によるストロークを制限してあり、第3ピストン13(エアピストン)のストロークよりも短くなっている。
このため、変形動作を行う場合、第3ピストン13の移動量を第4ピストン89の最大ストロークよりも小さくする。第4ピストン89の最大ストロークよりも大きく第3ピストン13を移動させてしまうと、油圧発生部55が出力方向に移動しても第4ピストン89を第3ピストン13に当接させることができず、油圧を発生させることができなくなるためである。
なお、ストッパ83は必ずしも必要ではなく、エアハイドロ用ピストンのストローク制限をしないようにするために、ストッパ83を設けないことも可能である。ただし、ストッパ83を設けることにより、シリンダ装置1のストローク範囲内で油圧力が発生できる範囲を制限することができる。
【0074】
図4(a)は、シリンダ装置1を用いてプレス加工(抜き加工)を行う例を説明するための図である。
図示しないプレス装置は、出力方向を下方にしてシリンダ装置1を固定している。
出力ロッド7の先端には、抜き型用の工具であるパンチ71が出力ロッド7と同軸に固定されており、その下方には、下から設置台73、ワーク100、治具72の順で設置されている。これらは、ワーク設置手段として機能している。
【0075】
パンチ71は、円柱形状を有しており、金属板で構成されたワーク100に円形の孔を空ける金型である。なお、パンチ71で空ける孔の形状は円形である必要はなく、空ける孔の形状に合わせた任意形状とすることが可能である。
治具72は、パンチの際に、ワーク100を設置台73に押圧してワーク100を固定する部材であって、パンチ71を通過させる貫通孔が形成されている。
設置台73にも、パンチする際にパンチ71を逃がす貫通孔が形成されている。
【0076】
以上の構成において、シリンダ装置1は、次の順でプレス加工を行う。
(1)まず、第1吸排気口5と第2吸排気口6を開放して第3吸排気口8にエアを供給することにより、シリンダ装置1を初期状態とし、これによってパンチ71を後退させて、設置台73の上にワーク100と治具72を所定位置に設置する。
(2)次に、治具72でワーク100を設置台73に押圧して固定する。そして、第3吸排気口8を開放して第2吸排気口6からエアを供給する。
すると、エアによる駆動で出力ロッド7が出力方向に前進し、パンチ71の先端がワーク100に当接する。
【0077】
(3)パンチ71の先端が当接すると、第2吸排気口6を開放して第1吸排気口5からエアを供給する。すると、油圧発生部55が第3ピストン13まで移送されると共に空圧室20の圧力が高まって、油圧発生部55がシリンダ2に固定され、出力ロッド7が油圧で駆動される。これにより、強い力でパンチ71がワーク100に押しつけられて、ワーク100が穿孔される。このようにプレス装置は、プレス手段を備えている。
(4)ワーク100に孔が空けられると、第1吸排気口5を開放して第3吸排気口8からエアを供給し、エア駆動によりパンチ71を引き上げ、次いでワーク100を所定位置から離脱する。このようにプレス装置は、離脱手段を備えている。
【0078】
図4(b)は、シリンダ装置1を用いたプレス加工でワーク100に凹部を形成する例を説明するための図である。
オス金型74は、円柱形状を有するオス型の金型であって、先端に凹部を形成するための突起部が形成されており、出力ロッド7に同軸に取り付けられている。
メス金型75は、メス型の金型であって、オス型金型74の突起部を受ける凹部が形成されている。
【0079】
以上の構成において、シリンダ装置1は、次の順でプレス加工を行う。
(1)まず、第1吸排気口5と第2吸排気口6を開放して第3吸排気口8にエアを供給することにより、シリンダ装置1を初期状態とし、これによってオス金型74を後退させて、メス金型75の上にワーク100と治具72を設置する。
(2)次に、治具72でワーク100をメス金型75に押圧して固定する。そして、第3吸排気口8を開放して第2吸排気口6からエアを供給する。
すると、エアによる駆動で出力ロッド7が出力方向に前進し、オス金型74の先端がワーク100に当接する。
【0080】
(3)オス金型74の先端が当接すると、第2吸排気口6を開放して第1吸排気口5からエアを供給する。すると、油圧発生部55が第3ピストン13まで移送されると共に空圧室20の圧力が高まって、油圧発生部55がシリンダ2に固定され、出力ロッド7が油圧で駆動される。これにより、強い力でオス金型74がワーク100に押しつけられて、ワーク100に凹部が形成される。
(4)ワーク100に凹部が形成されると、第1吸排気口5を開放して第3吸排気口8からエアを供給し、エア駆動によりオス金型74を引き上げ、次いでワーク100を所定位置から離脱する。
【0081】
(第2実施形態)
本実施の形態に係るシリンダ装置1aは、クランパによって油圧発生部55をシリンダ2に固定する。
図5(a)は、シリンダ装置1aのスラスト方向の断面図を表している。
なお、この図では、全図は示さずに第2空圧室22と第2油圧室32付近を切り出して示している。
第2油圧室32の入力側端面は、ピストンハウジング14に固定された円柱部材95の端面と、円柱部材95の周囲に配置された円環部材91の端面から構成されている。
円環部材91は、内周面が円柱部材95の外周面と接しており、外周面がピストンハウジング14の内周面と接している。これら接した面はOリングによってシールされており、気密性を保ったまま円環部材91は、スラスト方向に移動することができる。
円柱部材95の入力側には、雌ネジ(図示しない)が形成されており、第1実施形態と同様に抜け止めナット18が組付いている。抜け止めナット18の入力側外周には雄ネジ(図示しない)が形成されており、ナット97がねじ込まれて固定されている。
【0082】
ナット97の出力側端面と、円環部材91の間には、コイルバネ96が設置されており、円環部材91は、第2油圧室32を構成する空間を確保しつつ(この空間を確保するために円環部材91の出力側への移動を規制する規制手段98が設けられている)、コイルバネ96によって出力側に付勢されている。
このため、円環部材91は、第2油圧室32の油圧が上昇すると、入力側に移動し、油圧が低下すると、出力側に移動して元に戻るようになっている。
【0083】
図5(b)に示したように、円環部材91の入力側端部には、入力側(図面左側)に行くほど外径が小さくなるテーパ部92が形成されている。
そして、円環部材91のテーパ部92とナット97の出力側端面との間に形成された空間には、クランパ90が配置されている。
クランパ90は、入力側に行くほど内径が小さくなるテーパ部93が形成された円環部材であって、テーパ部93の角度は、テーパ部92の角度と等しくなっている。
【0084】
図5(c)に示したようにクランパ90は、矢線で示したラジアル方向に広がるように4分割されている。
クランパ90の外周面は、シリンダ2の内周面と平行に形成されており、初期状態では、クランパ90の外周面とシリンダ2の内周面に所定のクリアランスが形成され、両者の間に摩擦力が生じないようになっている。
【0085】
更に、クランパ90の外周面には円周方向に溝が形成されており、当該溝には、Oリング94が設置されている。
一般的にOリングは、気密性を保つために設置されるが、Oリング94は、ラジアル方向に広がったクランパ90を引き戻すために設置されている。
そのため、クランパ90の外周面に形成された溝の高さは、Oリング94の直径よりも大きく設定されており、Oリング94がシリンダ2の内周面に接しないようになっている。
なお、本実施形態では、Oリング94を用いているが、ラジアル方向に広がって内径が大きくなった場合に、元の内径に縮んで戻ろうとする部材であれば、他の部材を用いることができる。例えば、弾力性があるひも状の円環状弾性部材を使用してもよい。また、コイルバネの両端を繋いで円環状にしたものを使用してもよい。
【0086】
このように構成されたシリンダ装置1aにおいて、初期状態では、第2油圧室32の圧力が低いため、円環部材91は、コイルバネ96によって出力側に付勢されており、これによって、ナット97の出力側端面と円環部材91のテーパ部92の間に十分なクリアランスが確保される。
そのため、クランパ90は、Oリング94の収縮力により中心軸方向に束ねられてクランパ90とシリンダ2の内周面との間にクリアランスが生じ、油圧発生部55は、スラスト方向に移動することができる。
【0087】
一方、第2油圧室32の圧力が高まると、油圧によってクランパ90が入力側方向に押されて移動する。
すると、クランパ90には、ナット97の出力側端面と円環部材91のテーパ部92で挟まれて、
図5(b)の矢線で示したように、両端側からスラスト方向の力を受ける。
具体的に説明すると、第2ピストン12が前進すると、第2油圧室32の圧力が上昇し、圧力の上昇は連通路32aを通り円環部材91の端面空間の油圧室32b(第2油圧室32)まで達する。
円環部材91は、Oリング94がクランパ90を収縮させようとする力よりも、第2油圧室32の圧力により発生するスラスト方向に移動しようとする力の方が大きくなったとき、クランパ90を押し広げながら入力側に移動する。この時、第2ピストン12により押しのけられた第2油圧室32内部の油が、連通路32aを通り端面空間に流入するので円環部材91がスラスト方向に移動する。
【0088】
このスラスト方向の力は、円環部材91のテーパ部92とクランパ90のテーパ部93の当接により、
図5(b)の矢線で示したように、ラジアル方向の力に変換され、その結果、クランパ90は、ラジアル方向に押し出される。
これにより、クランパ90の外周面とシリンダ2の内周面が当接して摩擦力が発生し、油圧発生部55は、シリンダ2内で固定される。
第2実施形態で用いたクランパ90による固定方法は、後述する第3実施形態で用いることも可能である。
【0089】
この例では、第2油圧室32に発生した油圧で、スラスト方向に移動するテーパ部材(円環部材91)をクランパ90に押圧することによりラジアル方向の力を発生させ、当該力によってクランパ90をシリンダの内壁に押圧することにより第2油圧室32と前記第1油圧室31を固定している。
以上に説明した各実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)エアピストンと油圧ピストンを巧みに組み合わせてエアハイドロ機構を内蔵することにより、ワーク100に当接するまではエアピストンとして動作させ、ワーク100に当接してからは油圧シリンダとして動作させることができ、エアピストンの特徴である長いストロークと油圧ピストンの特徴である大きな圧力の両方を実現することができる。
(2)エアピストンによって必要なストロークを稼いだ後、薄肉部15の弾性変形やクランパ90の押し出しなどによってスラスト方向の力をラジアル方向の力に変換して油圧ピストンをシリンダ2内で固定することができる。
(3)ラジアル方向の力を油圧により増大させて油圧ピストンを固定することができるため、強固に固定することができる。
(4)シリンダ2内に固定した油圧シリンダにエアピストンで油圧を発せさることにより油圧による大きな力を発生させることができる。
(5)必要なストロークのほとんどをエアピストンでカバーし、必要最小限のストロークを油圧ピストンで行うため、油圧ピストンのストローク量が小さくてすみ、そのため、油の遺漏による損耗を最小限に抑えることができる。
【0090】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のシリンダ装置1bについて説明する。
この第3実施形態によるシリンダ装置1dは、出力ロッド7に対して、第1実施形態と同様に、エアシリンダとして動作させる場合と、エアハイドロシリンダとして動作させる場合を別個独立させることができる。
そして、エアハイドロシリンダとして動作する場合に、エア駆動によりピストンハウジング60を所定位置でシリンダ2に固定する固定動作(クランプ動作)と、その後に、エアハイドロ機構により出力ロッド7の先端に増幅された油圧力を発生させる油圧出力動作とを、別々に行うことができるようにしたものである。
【0091】
(1)第3実施形態の概要
この第3実施形態では、固定動作において、ロッド部分58と第2ピストン12の動作により、第2油圧室32にラジアル方向の油圧を発生させることで、薄肉部15を膨張させピストンハウジング60の動きをシリンダ2に固定させる。
一方、油圧出力動作では、第1ピストン11の移動によりロッド部分50の先端が第1油圧室31を押すことで油圧力を増幅する。そして、増幅した油圧力を第4ピストン89が受け、第4ピストン89に配設された出力側ロッド部分81bの端部が第3ピストン13を押すことで、出力ロッド7の先端部から増幅した油圧力を発生させる。
【0092】
(2)第3実施形態の詳細
図6は第3実施形態におけるシリンダ装置1bの構成を表したスラスト方向の断面を表したものである。
図7はシリンダ2内に配設される各部品を表したもので、(a)は各部品の断面を表し、(b)は第1ハウジング61の正面図と側面図、及び抜止めリング29の正面図である。
なお、第1実施形態と同一構造や同一機能の部分については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。また、
図6では、各部をシールするためのOリングが表示されているが、その説明は省略する。また、図面を見やすくするため、他の実施形態と同様に、断面を表す表示はせず、
図6(a)と
図6(b)に分けて符号を表示している。そして、
図6(a)だけエアが存在する領域に斜線を、油が存在する領域にドットを付し、主要部品とエアと油の充填される領域に関連して符号を表示している。
【0093】
図6、7に示すように、本実施形態のシリンダ装置1bでは、第1実施形態におけるピストンハウジング14(
図1参照)に代えて、ピストンハウジング60(図示しない)がシリンダ2内に配設されている。このピストンハウジング60は、第1ハウジング61、第2ハウジング62、第3ハウジング63から構成されている。
図6に示すように、入力側から順に、第2ピストン12と連結されたロッド部分58を収容する第2ハウジング62、ロッド部分50が連接された第1ピストン11を収容する第1ハウジング61、入力側ロッド部分81aと出力側ロッド部分81bが形成された第4ピストン89を収容する第3ハウジング63の順に配設されている。
第2ハウジング62は、後述する蓋39、蓋34と共に入力側ハウジングを構成し、第1ハウジング61と第3ハウジング63は、後述する蓋27、第1形態における抜止めナット37に相当する抜止めリング37aと共に出力側ハウジングを構成している。
【0094】
第2ハウジング62は、両端側が厚肉部に形成され、その間が薄肉部15を構成し、薄肉部15の内側が第2油圧室32となっている。
第2ハウジング62の両端の厚肉部には、第2油圧室32に油を充填するための給油孔が形成され、何れか一方から油を注入した後に給油口栓381、給油口栓382で密閉されている。
第2ハウジング62における入力側の端部には、周上に配置された複数のボルト39aによって、蓋39が固定されている。この蓋39は、第1実施形態における張出部57に対応している。
蓋39には入力側に円筒形状の凹部39dが形成され、凹部39dの底部中央にはロッド部分58を摺動可能に挿通する貫通孔が形成され、この貫通孔の径方向の外側には凹部39dの底部を軸方向に貫通する連通孔39cが形成されている。この連通孔39cは、後述する第5空圧室65と第3空圧室41とを連通する経路の一部を構成している。
蓋39の入力側端部には、シリンダ2の内周壁との間にクリアランスを有するフランジ部が形成され、このフランジ部の周面には摺動補助リング2aが配設されている。摺動補助リング2aは、他の摺動補助リング2b、2cを含め金属以外の材料(例えば樹脂)で形成され、シリンダ2と蓋39、第1ハウジング61との金属接触を回避し、シリンダ2の内周面と第2ハウジング62との摺動を円滑にするために配設されている。
【0095】
第2ピストン12の中央に形成された貫通孔と、蓋39の凹部39dと中央の貫通孔を貫通するように、ロッド部分58が挿通されている。ロッド部分58の入力側は後述する蓋3の貫通孔を貫通してシリンダ2の外部まで延び、出力側は後述する蓋34の貫通孔を貫通して凹部34dまで延びている。
ロッド部分58は、出力側から入力側に向かって順に径が太くなる、小径部、中径部、大径部を備え、小径部と中径部の境界には段部58aが形成されている。このロッド部分58が蓋39内を出力方向に移動することで、第2ハウジング62内に形成される第2油圧室32が加圧され、この加圧された油圧によって薄肉部15がラジアル方向に弾性変形し、ピストンハウジング60(61~63)がシリンダ2内で固定される。
【0096】
ロッド部分58は、略中央部分の大径部にフランジ部58dが形成され、このフランジ部58dが第2ピストン12に連結ネジ12aで固定されている。
また、ロッド部分58の大径部には、中径部の外周に沿った凹部58bが形成されている。ロッド部分58の中径部にはコイルバネ33が挿通され、コイルバネ33の一端側が凹部58bに配置され、コイルバネ33の他端側が蓋39に形成した凹部39dの底面に当接している。
ロッド部分58の大径部の出力側端面(凹部58bの出力側端面)には径方向に張り出したフランジ部58cが形成されている。
ロッド部分58は、コイルバネ33を挿通したロッド部分58の小径部と中径部を蓋39に通した状態において、抜止めリング29が入力側から蓋39にボルト29cで固定されている。抜止めリング29の内径は、ロッド部分58のフランジ部58cの外形よりも小さく形成されているため、コイルバネ33により入力側に付勢されロッド部分58が抜けないようになっている。
抜止めリング29は、
図7(b)に示すように、2分割されていて、同一周上にボルト39a(蓋39の固定用)が貫通する貫通孔29aと、ボルト29cで抜止めリング29を蓋39に固定するためのボルト穴29bが複数形成されている。また2分割された合わせ目は、蓋39に組付けても密着せず隙間があり、第5空圧室65内部のエアと連通孔39c内部のエアは自由に行き来できる構成となっている。
【0097】
このように、ロッド部分58と第2ピストン12の2部材に分けられているのは、ボルト39aによる蓋39の固定と、ボルト29cによる抜止めリング29の固定を行うためである。すなわち、蓋39と抜止めリング29の固定を行った後に、ロッド部分58を第2ピストン12に固定する。
ロッド部分58の中央には軸方向の貫通孔が形成されていて、この貫通孔には後述する入力側ロッド部分81aが挿通されている。
第2ピストン12は、入力側の端面が蓋3とシリンダ2の内周面とともに第2空圧室22を形成し、出力側の端面が蓋39とシリンダ2とともに第5空圧室65を形成している。
【0098】
第2ハウジング62の出力側の端部には、蓋39と対向して蓋34の一部が挿入されている。蓋34の出力側にはフランジ部が形成され、このフランジ部が第2ハウジング62の出力側端部の厚肉部と当接し、ボルト34aで固定されている。
蓋34の中央部は入力側(第2油圧室32側)に突出しており、この突出部の内側に凹部34dが形成され、この凹部34dの底面には貫通孔が形成されている。この底面の貫通孔には、第2油圧室32を通るロッド部分58の先端(小径部)が凹部34dの途中まで挿通されている。
蓋34の凹部34dの径方向の外側には、蓋34を軸方向に貫通する連通孔34bが形成されている。この連通孔34bと、蓋39の連通孔39cとは、第2油圧室32内に配設されるカラー28によって連通されている。
蓋34の出力側端面には、連通孔34bとつながる連通溝34cが径方向に形成されている。
【0099】
第1ハウジング61は、第2ハウジング62よりも出力側に配設され、入力側の端部には、蓋27が複数のボルト27eで固定されている。
この蓋27は、第2ハウジング62に固定された状態で、第2ハウジング62の内側からボルト27aによって蓋34に固定されている。これにより、蓋34に形成された連通溝34cが蓋27で蓋され、第5空圧室65からのエア通路を形成している。また、蓋34と蓋27とがボルト27aで固定されることにより、入力側ハウジングが出力側ハウジングの入力側(一端側)に固定されている。
蓋27には、出力側に凹部27f(
図7(a)参照)が形成されている。この凹部27fの底面は、第1空圧室21の入力側端面として機能する。
蓋27には、凹部27fの底面を貫通し、蓋34の凹部34dと連通する連通孔27bが形成されると共に、凹部27fの底面には連通孔27bと繋がる連通溝27dが径方向に形成されている。
また、蓋27の外周面には、蓋34の連通溝34cと繋がる連通溝27cが軸方向に形成されている。
【0100】
蓋27をボルト27aで蓋34に固定した状態で、第1ハウジング61内には、中央にロッド部分50が延設された第1ピストン11が配設されている。
第1ハウジング61は、第1ピストン11が配設されることで入力側と出力側に仕切られ、入力側に第1空圧室21が、出力側に第4空圧室64が形成される。
【0101】
図7に示すように、第1ハウジング61には、両端側に周溝61a、61bが全周に渡って形成されている。この周溝61aには、上述したように摺動補助リング2b、2cが嵌められ、シリンダ2との摺動を円滑にしている。
また、第1ハウジング61には、全長に渡って軸方向(長手方向)に連通溝61eが形成されている。連通溝61eの入力側端部は、蓋27の連通溝27cと繋がっている。
周溝61a、61bと連通溝61eとが交叉する箇所には、周溝61a、61bに嵌められた摺動補助リング2b、2cによって連通溝61eが塞がれないようにするために、摺動補助リング2b、2cの幅よりも広く、厚さよりも深い凹部61c、61dが形成されている。この連通溝61eとシリンダ2の内周面との間が、第5空圧室65からのエアの通路となっている。
【0102】
図6に戻り、第1ピストン11が内側に配置された第1ハウジング61の出力側の端部には、第3ハウジング63が周方向に配設された複数のボルト63eで固定されている。
第3ハウジング63は、ボルト63eによる固定部から見て、入力側と出力側の両方に凸部が形成されている。この出力側凸部はシリンダ2の内径よりも小さく形成され、軸方向の端面から凹部63aが形成されている。入力側凸部は、第1ハウジング61の内径よりも小さく形成され、入力側端部から凹部63aの底部まで貫通する貫通孔63bが形成され、この貫通孔63bには、第1ピストン11のロッド部分50が挿通されている。
第3ハウジング63の軸方向の途中にはフランジ部が形成されている。第3ハウジング63は、フランジ部が周方向の複数箇所においてボルト63eで第1ハウジング61に固定されている。
このフランジ部の外周面には軸方向の溝63cが形成されている。
また、第3ハウジング63のフランジ部には、溝63cと繋がる位置から径方向に延び途中から軸方向に曲がった、断面L字状の連通孔63dが形成されている。
断面L字状の連通孔63dは、第3ハウジング63の入力側端面まで貫通することで、第4空圧室64と繋がっている。
一方、溝63cは、その入力側が第1ハウジング61の外周に形成した連通溝61eと繋がり、出力側が後述する移送空圧室85と繋がっている。
【0103】
第3ハウジング63の凹部63aには、第4ピストン89が配置されている。この第4ピストン89の中央部には入力方向に延びる入力側ロッド部分81aと、出力方向に延びる出力側ロッド部分81bが形成されている。
第4ピストン89に形成された出力側ロッド部分81bは、後述する抜止めリング37aの出力側端面よりも入力側に到達することがない長さに延出することで、その端面が第3ピストンに当接可能に形成されている。
一方、第4ピストン89の入力側ロッド部分81aは、貫通孔63bを通り、更に、ロッド部50、第1ピストン11、蓋27、蓋34、及び、ロッド部分58(蓋39、蓋3を貫通するロッド部分58)を貫通して、ロッド部分58の外側にまで延出している。
図6に示すように入力側ロッド部分81aは、第1ピストン11とそのロッド部50、蓋27、蓋34に形成された貫通孔、及び、ロッド部分58の入力側端部の貫通孔を摺動可能に貫通している。
入力側ロッド部分81aは、蓋34の凹部34d内の位置から入力側部分の径が、ロッド部分58に形成される貫通孔の内径よりも小さく形成されている。これにより、入力側ロッド部分81aにおける入力側の外周面と、第2ピストン12に固定されたロッド部分58における貫通孔の内周面との間に吸排気路58eが形成されている。
【0104】
入力側ロッド部分81a、第4ピストン89、出力側ロッド部分81bには、軸方向の全長に渡って貫通する移送吸排気路86が形成されている。
そして、入力側ロッド部分81aの入力側の端部には第2吸排気口6が配設されている。この第2吸排気孔6から供給されるエアは、移送吸排気路86を通り、後述する移送空圧室85に供給される。
一方、ロッド部分58の入力側先端には、吸排気路58eと繋がる第4吸排気口9が配設されている。この第4吸排気孔9から供給されるエアは、吸排気路58eを通り、第2空圧室21に供給される。
【0105】
第3ハウジング63の凹部63aは、第4ピストン89が配置されることで仕切られ、入力側に第1油圧室31が形成される。
第4ピストン89には、第1油圧室31に油を充填するための給油孔が形成され、油を注入した後に給油口栓38で密閉されている。
なお、貫通孔63bの内周面を第1ピストン11のロッド部分50が摺動し、このロッド部分50と第1ピストン11に形成された貫通孔の内周面を第4ピストン89の入力側ロッド部分81aが摺動するように構成されている。この、入力側ロッド部分81aと貫通孔63bとの空間にも油が充填されることで、第1油圧室31の一部を構成している。
また、ロッド部分50の貫通孔50と入力側ロッド部分81aの摺動部の途中には、第1油圧室31の油が第1空圧室21に漏れ出ないようにするためにOリングが配置されている。
ロッド部分50は、その先端で貫通孔63b内の油を出力方向に押すことで第1油圧室31を加圧する。
【0106】
第3ハウジング63の出力側端部には、抜止めリング37aが複数のボルト37bで固定されている。抜止めリング37aの固定は、凹部63aに第4ピストン89が配置され、油が充填され給油口栓38がされた状態で行われる。
第4ピストン89と抜止めリング37aのそれぞれ対向する面には、凹部89b、凹部37cが形成され(
図7参照)、第4ピストン89を入力側に付勢するコイルバネ36が配置されている。
【0107】
抜止めリング37aと蓋4との間には、この両者間をシリンダ2内で仕切る第3ピストン13が配置されている。
このシリンダ2内を仕切る第3ピストン13の入力側には、抜止めリング37a(及び第3ハウジング63)との間に移送空圧室85が形成される。一方、第3ピストン13の出力側には、蓋4との間に第3空圧室41が形成される。
第3ピストン13の出力側には、蓋4の中央に形成された貫通孔内を摺動する出力ロッド7が蓋4の外部にまで延出して形成されている。
出力ロッド7の先端には、各種工具の取り付けが可能な取付部77aが形成されている。
図6に示すように、本実施形態の取付部77aとしては、外周面に雄ねじとが形成されると共に、中心部に雌ねじが形成されているが、その他、第1実施形態における把持手段と同様に、真空吸着装置や爪でワークを把持・開放するチャック装置などを適用することも可能である。
図6では、取付部77aの雌ねじ部に先端具77bが螺合により取り付けられている。この先端具77bの先端面は平面に形成されており、第3ピストン13が移送空圧室85から受ける空圧力や、第1油圧室31から第4ピストン89と出力側ロッド部分81bを介して受ける油圧力を、出力ロッド7からそのままワークに伝えるようになっている。
【0108】
次に、第3実施形態のシリンダ装置1bによる動作について説明する。
第3実施形態のシリンダ装置1bの動作について、第1実施形態の動作と同様に、(1)通常のエアシリンダとして使用する場合と、(2)エアハイドロシリンダとして動かす場合について、シリンダ装置1bの初期状態からの動作について説明する。
ここでシリンダ装置1bの初期状態とは、シリンダ2内のピストンハウジング60と第2ピストン12、及び第3ピストン13を入力側に移動した状態で、
図6に示した状態である。
【0109】
(1)通常のエアシリンダとしての動作
図8は、通常のエアシリンダとしの動作状態を表したものである。
図6に示す初期状態からシリンダ装置1bを通常のエアシリンダとして使用する場合、
図8(b)に示すように、第1吸排気口5、第3吸排気口8、及び第4吸排気口9を開放した状態で、第2吸排気口6からエアを供給する。
第2吸排気口6から供給されたエアは移送吸排気路86を通り出力側ロッド部分81bの出力端側から出力されて、移送空圧室85に供給され、移送空圧室85内を加圧する。
初期状態では、第2ピストン12が蓋3と当接した状態であり、ピストンハウジング60全体はコイルバネ33による付勢力で出力方向に付勢されている。これに対し、第3吸排気口8が開放されているため、第3ピストン13における出力側の第3空圧室41は非加圧状態である。
この状態で第2吸排気口6からエアが供給されて移送空圧室85の空圧が上がることで、第3ピストン13と出力ロッド7が、単独で出力方向に移動する。
このように、シリンダ装置1bでは、通常のエアシリンダと同様に、エア供給によって第3ピストン13と出力ロッド7を大きなストロークで移動させることができる。
【0110】
次に、
図8(b)に示すように、出力ロッド7(先端具77b)の先端がワーク100(図面では壁)に当接した状態から、初期状態に戻す場合について説明する。
初期状態に戻す場合、第2吸排気口6からのエアの供給を停止し、第1吸排気口5、第4吸排気口9と同様に開放状態にすることで、移送空圧室85内を減圧する。そして、
図8(b)に示すように、第3吸排気口8からエアを供給することで、第3空圧室41内の空圧を上げる。
これにより、第3ピストン13は第3空圧室41から力を受けて、入力方向に移動し、初期状態に戻る。
第3ピストン13の入力方向の移動により、移送空圧室85内のエアは、移送吸排気路86から第2吸排気口6に排出される。
【0111】
(2)エアハイドロシリンダとしての動作
図9は、エアハイドロシリンダとしての動作状態を表したものである。
図6に示した初期状態から、第2吸排気口6、第3吸排気口8、第4吸排気口9を開放状態とし、第1吸排気口5から第2空圧室22にエアを供給することで、シリンダ装置1bは
図9(a)に示す状態となる。
すなわち、第1吸排気口5からのエア供給により第2空圧室22の圧力が上昇し、第2ピストン12を出力側に押し、第2ピストン12はロッド部分58を介して段差部58aで第2油圧室32を押圧する。この時出力側への押圧力の反力がピストンハウジング60全体に働いていないので、第2油圧室32の油が狭窄されることが無く、薄肉部15は弾性変形を生じない。そのためロッド部分58の段差部58aが第2油圧室32を押圧することにより、ピストンハウジング60全体が出力側に移動する。コイルバネ33はピストンハウジング60全体を出力方向に押すことを補助している。
なお、第4吸排気口9は開放されているため、第1空圧室21の空圧は上昇しないので、第1ピストン11とロッド部分50は出力方向に移動せず、蓋27に当接したままである。またロッド部分50が出力方向に移動しないので、第1油圧室31内の油圧も上昇せず、第4ピストン89も第3ハウジング63に当接したままである。
【0112】
そして、
図9(a)に示すように、第2ピストン12とピストンハウジング60の移動と共に、出力側ロッド部分81bの出力側端部と当接している第3ピストン13と出力ロッド7も出力方向に移動し、出力ロッド7の先端の先端具77bがワーク100に当接する。
第3ピストン13が出力側ロッド部分81bと当接し、かつ、第4ピストン89が第3ハウジング63と当接しているので、出力ロッド7の先端具77bがワーク100に当接するとピストンハウジング60全体の移動が停止する。
【0113】
なお、
図6に示す初期状態から
図9(a)の状態に至るまで、ピストンハウジング60と第3ピストン13、出力ロッド7とを一体的に出力方向に移動させる場合について説明したが、初期状態から先にエアシリンダとして動作させて
図8(b)の状態にした後、
図9(a)の状態にしてもよい。
すなわち、先に
図8で説明したように第2吸排気口6からエアを供給することで通常のエアシリンダとして動作させ、第3ピストン13と出力ロッド7を先にワーク100に当接させて
図8(b)の状態にする。
図8(b)の状態になったか否かは、第2吸排気口6から供給するエア圧力を検出する圧力センサや、出力ロッド7の移動量を検出するセンサ(いずれも図示せず)により検出する。
図8(b)の状態を検出した後、第1吸排気口5から第2空圧室22にエアを供給し、第2ピストン12とピストンハウジング60を移動させることで
図9(a)の状態となる。
なお、この動作において第1吸排気口5からエアを供給すると同時に、第2吸排気口6を開放することが必要であるが、出力ロッド7の空圧による推力が急に低下することを避けるために、第1吸排気口5のエア供給にあわせて第2吸排気口6を徐々に開放するようにしてもよい。
【0114】
図9(a)に示す状態で、
図9(b)に示すように、更に第1吸排気口5からエアを供給する。すると、ピストンハウジング60が移動停止しているため、第2空圧室22内の圧力が更に上昇し、コイルバネ33による入力方向の付勢力を越え、第2ピストン12と共にロッド部分58が出力方向に移動する(クランプ用ピストンの移動)。
なお、第2ピストン12の移動により第5空圧室65の容積が小さくなるが、第5空圧室65内のエアは、移送空圧室85に移動し、第2吸排気口6から排出される。具体的な経路としては、
図6に示すように、第5空圧室65から、凹部39d、連通孔39c、カラー28、連通孔34b、連通溝34c、連通溝27c、連通溝61e、溝63c、移送空圧室85、移送吸排気路86を通り、第2吸排気口6から排出される経路である。
【0115】
ロッド部分58の移動により、第2油圧室32は段部58aで押圧され、内部圧力が上昇する。この油圧により、
図9(b)において径方向の矢印で示すように、薄肉部15が外向きに弾性変形し、ピストンハウジング60は、移動が停止しているだけの状態から、シリンダ2に固定された状態となる。
【0116】
なお、薄肉部15で固定されない状態では、ピストンハウジング60は移動できずに停止しているだけの状態である。
この非固定状態(
図9(a)の状態)で、第1吸排気口5からのエア供給を停止し、第4吸排気口9からのエア供給を開始すると、ピストンハウジング60全体が逆方向(入力方向)に移動してしまう。すなわち、第1空圧室21の圧力で第1ピストン11とロッド部分50が移動して第1油圧室31内の油圧が上昇するが、出力ロッド7はワーク100で固定されているため、ワーク100からの反力によりピストンハウジング60全体が逆方向(入力方向)に移動してしまう。
そこで、ピストンハウジング60が薄肉部15の弾性変形により固定されたか否かについては、シリンダ2の外周部にひずみゲージ(図示しない)を配設し、薄肉部15によるシリンダ2への押圧力により生じるシリンダ2の変形ひずみを検知し、所定のひずみ量を検知することでピストンハウジング60の固定を判断する。あるいは第2油圧室32内の圧力を検出する圧力センサ(図示しない)を配置し、この圧力が所定値(薄肉部15が弾性変形する値)を超えたか否かにより判断してもよい。なお、圧力センサによる検出対象を第2空圧室22としてもよい。また、圧力センサに変えて、出力ロッド7の移動を検出するセンサやロッド部分58(第4吸排気口9、第2吸排気口6、ロッド部分50でもよい)の移動を検出するセンサを設け、移動が停止してから所定時間(第2油圧室の圧力が上昇し肉薄部15が弾性変形するまでの時間)経過により、固定されたと判断するようにしてもよい。
【0117】
薄肉部15の弾性変形によりピストンハウジング60がシリンダ2に固定された
図9(b)の状態では、出力ロッド7先端の先端具77bはワーク100に当接しているだけで、先端具77bの先端からは増幅された推力は出力されない。
そこで、所望のタイミングにおいて、
図9(c)に示すように、第4吸排気口9からエアを供給すると、供給されたエアは、吸排気路58e、凹部34d、連通孔27bを通り第1空圧室21の圧力を上昇させる。
そして第1ピストン11が第1空圧室21の圧力を受け、ロッド部分50の先端が、第1油圧室31を押圧し、増幅された油圧力を第4ピストン89が受ける。この増幅された油圧力を第4ピストン89が受けることにより推力が増大され、第4ピストン89と当接している第3ピストン13、出力ロッド7からワーク100に出力される。
【0118】
次に
図9(c)の状態からシリンダ装置1bを初期状態にするには、
図9(c)の状態でエアを供給していた第1吸排気口5と第4吸排気口9を開放状態にすると共に、開放状態の第2吸排気口6と第3吸排気口8からエアを供給することで行うが、ここからの動作は後述する
図10(c)の状態から初期状態に戻す動作と同じであるため、詳細は
図11を使用して後述する。
【0119】
次に、エアハイドロシリンダとしての動作(2)を使用してピンAを所定の部材ストックBから取り出して、被取付対象Cに圧入する動作について説明する。
図10はピンAの圧入動作における各状態を表したものである。
図10に示すように、ピンAの圧入動作では、出力ロッド7の先端の取付部77aに、ピンA保持用の先端具77cを取り付ける。この先端具77cは、取付対象であるピンAを把持する機構として、ピンAよりも僅かに大径の凹部が先端に形成され凹部底面に配置された磁石でピンAを把持するようになっている。
【0120】
最初に、初期状態にあるシリンダ装置1bと部材ストックBにおけるピンAの何れか一方又は双方を移動することで、両者の軸線位置を一致させる。
次に、
図8で説明した通常のエアシリンダとしての動作により、第2吸排気口6から移送空圧室85にエアを供給することで、第3ピストン13と出力ロッド7を出力方向に前進させる。出力ロッド7先端の先端具77cがピンBに到達すると、先端の凹部と底面の磁石によりピンAを把持する。ピンAの把持完了については、予めシリンダ装置1bから部材ストックBまでの距離が既知であるから、出力ロッド7の移動距離で検出するが、上述したように、第2吸排気口6から供給するエア圧力の検出値から検出するようにしてもよい。
その後、
図10(a)に示すように、第2吸排気口6を開放し第3吸排気口8から第3空圧室41に供給することで、出力ロッド7とピンAを把持した先端具77cを入力側に退避させる。部材ストックBには、抜き取られたピンAに対して点線で示している。
【0121】
次に、ピンAを把持したシリンダ装置1bと被取付対象Cの取付位置(ピンAの圧入位置)の何れか一方又は双方を移動することで、両者の軸線位置を一致させる。
そして
図10(b)に示すように、第2吸排気口6と第4吸排気口9の開放状態を継続し、第3吸排気口8を開放し、第1吸排気口5から第2空圧室22にエアを供給する。
これにより、
図9(a)の説明と同様に、第2ピストン12とピストンハウジング60がエア駆動により前進し、ピストンハウジング60に押された第3ピストン13と出力ロッド7も前進して、先端具77cが把持したピンAが被取付対象Cに当接すると移動を停止する。この状態のシリンダ装置1bは、出力ロッド7先端側を除き
図9(a)と同じ状態である。
すなわち、先端具77cが把持するピンAが被取付対象Cに当接すると、第2ピストン12とピストンハウジング60全体の移動が停止する。
【0122】
そして、ピンAが被取付対象Cに当接することで、第2ピストン12とピストンハウジング60の移動が停止した状態で、更に第1吸排気口5からエアを供給する。
すると、
図9(b)の説明と同様に、ピストンハウジング60が移動停止しているため、
図10(b)に示すように第2ピストン12と共に段部58aが前進して第2油圧室32の内部圧力を上昇させ、薄肉部15が外向きに弾性変形して、ピストンハウジング60がシリンダ2に固定された状態となる。
ピストンハウジング60がシリンダ2に固定された
図10(b)の状態では、先端具77cが把持するピンAが被取付対象Cに当接しているだけで、出力ロッド7の先端からは増幅された推力は出力されていない。
そこで、
図10(c)に示すように、第1吸排気口5からのエア供給を継続し、第2吸排気口6と第3吸排気口8を開放した状態のまま、所望のタイミングにおいて、第4吸排気口9からエアを供給する。第4吸排気口9からの供給エアは、吸排気路58e、凹部34d、連通孔27b、連通溝27dを通り第1空圧室21の圧力を上昇させる。
そして第1ピストン11が第1空圧室21の圧力を受け、エアハイドロ機構により第1ピストン11とロッド部分50が、
図10(c)に示すようにエアハイドロストロークだけ出力方向に移動し、ロッド部分50の先端が、第1油圧室31を押圧する。これにより、ロッド部分50の先端面積と第4ピストン89の端面積との比に応じて増幅された油圧力を第4ピストン89が受け、 第3ピストン13と出力ロッド7及び先端具77cとピンAを押しながら油圧ストロークだけ出力方向に移動する。この移動の際に、第1油圧室31で増幅された油圧力が第4ピストン89の入力側の端面積を押圧することで、先端具77cとピンAからは増大された大きな推力が出力される。この大きな推力でピンAが被取付対象Cに圧入される。
【0123】
ピンAの被取付対象Cへの圧入が完了すると、シリンダ装置1bを初期状態に戻す。
ピンAの被取付対象Cに圧入した状態(
図10(c)の状態)では、
図9(c)の状態と異なり、第1ピストン11とロッド部分50が出力側に前進しているので、初期状態に戻す手順は次の通りである。
図11は、ピンAの圧入後に初期状態に戻す動作における各状態を表したものである。
まず、
図10(c)の状態から、エアを供給していた第1吸排気口5と第4吸排気口9を開放状態にすると共に、開放状態の第2吸排気口6と第3吸排気口8からエアを供給する。
第2吸排気口6と第3吸排気口8から供給されたエアは、それぞれ第3ピストン13における入力側の移送空圧室85と、出力側の第3空圧室41に供給される。このとき第3ピストン13は、移送空圧室85内の断面積と供給されたエア圧力に応じて出力側への推力が発生し、第3空圧室41内の断面積と供給されたエア圧力に応じて入力側への推力が発生する。出力側への推力が大きい場合は、第3ピストン13は移動を開始しない。入力側への推力が大きい場合は、出力側ロッド部分81bに当接したままピストンハウジング60の移動と共に入力側へ移動を開始する。
また移送空圧室85に供給されたエアは、溝63c、連通孔63dを通り第4空圧室64に供給される。第1空圧室21は第4吸排気口9が開放されて減圧されているので、第4空圧室が加圧されることにより第1ピストン11が入力側へ移動する。
これに対し、第1吸排気口5の開放により第2空圧室22の圧力が低下しロッド部分58による押圧力が低下するため、第2油圧室32の圧力も低下して薄肉部15によるピストンハウジング60全体の固定が解除される。このためピストンハウジング60全体は、第2吸排気口6から供給されたエアにより移送空圧室85、第1空圧室21、第5空圧室65の圧力が高められるので入力方向に移動する。このとき第3ピストン13に出力側への推力の方が大きく働いて移動しない場合は、
図11(a)に示すように、ピストンハウジング60全体は第3ピストン13から離れて入力方向に移動する。
【0124】
ピストンハウジング60の移動と共に、第2吸排気口6から供給されたエアは、移送空圧室85から、溝63c、連通溝61e、連通溝27c、連通溝34c、連通孔34b、カラー28、連通孔39cを通り第5空圧室65に供給される。そして第5空圧室65内の圧力が高まると共に、コイルバネ33の付勢力により、第2ピストン12は、フランジ部58cが抜止めリング29に当接するまで入力方向に移動し、
図11(a)の状態となる。
その後、第2ピストン12は、ピストンハウジング60全体と共に入力方向に移動し、
図11(b)に示すように、第2ピストン12が蓋3に当接した時点で移動を停止する。第2ピストン12が蓋3に当接したか否かについては、例えば、ロッド部分58に配置した目標物(図示せず)が所定位置に到達したことをセンサで検出することができる。
【0125】
図11(b)に示すように、第2ピストン12が蓋3に当接したことを検出した後、第2吸排気口6からのエア供給を停止し開放状態にする。これにより第3ピストン13が移送空圧室85の圧力により出力側に押圧されている場合でも、予め第3吸排気口8からエアが供給されているので、第2吸排気口6を開放したと同時に移送空圧室85の圧力が第3空圧室41の圧力より低くなり、第3ピストン13は入力方向に移動する。
そして、第3ピストン13は、出力側ロッド部分81bに当接することで移動を停止し、
図11(c)に示す初期状態となる。
【0126】
次に、第3実施形態の変形例について説明する。
第3実施形態のシリンダ装置1bでは、エアハイドロ機構により増幅された油圧による推力を、出力ロッド7の先端からシリンダ装置1bから離れる側に出力するのに対し、本変形例では更に、同エアハイドロ機構を使用して増幅された油圧による推力をシリンダ装置1b側に引き込む推力を発生させるようにしたものである。
図12は、第3実施形態の変形例によるシリンダ装置1bの一部を表した説明図である。なお、図示したシリンダ装置1bの入力側以外の部分については
図6と同一であるため省略している。
この変形例のシリンダ装置1bでは、引き込み用の動作領域を確保するために、第3実施形態よりも入力側ロッド部分81aが長く形成されている。そして、引込み用の爪76が入力側ロッド部分81aの先端部に螺合により固定されている。
【0127】
このピンAを圧入する場合の動作は、
図10(a)~(c)で説明した圧入動作と同様に行われる。
なお
図12では、予めピンAが被取付対象Cに仮止めされた状態であるが、
図10で説明した先端具77cと同様に、ピンAの把持手段を爪76に取り付けることで、ピンAを部材ストックBから把持し、その後被取付対象Cに圧入することも可能である。
【0128】
以上説明したように、第3実施形態のシリンダ装置1bでは、第2油圧室32の油圧を上昇させてピストンハウジング60をシリンダ2に固定するための第1吸排気口5とは別に、出力ロッド7先端の先端具77bから推力を発生させるための第4吸排気口9を設けている。
これにより、ピストンハウジング60の固定動作と、出力ロッド7先端の先端具77bからの推力発生動作を独立させることができる。
【0129】
以上、本発明の各実施形態と変形例について説明したが、各実施形態で説明した構成については可能な範囲で他の実施形態に適用するようにしてもよい。
例えば、第3実施形態と変形例において、シリンダ2の外周部にひずみゲージを配設し、薄肉部15によるシリンダ2への押圧力により生じるシリンダ2の変形ひずみを検知してピストンハウジング60の固定を判断したが、第1実施形態、及び第2実施形態においても同様に、ひずみゲージを配設してピストンハウジング14が薄肉部15の弾性変形により固定されたか否かについて判断してもよい。
【0130】
また、説明した第3実施形態では、第2ハウジング62の薄肉部15でピストンハウジング60をシリンダ2に固定する場合について説明したが、
図5で説明した第2実施形態と同様に、クランパによってピストンハウジング60をシリンダ2に固定するようにしてもよい。
また、第3実施形態においても、
図4で説明したのと同様の動作にして、プレス加工による抜き加工や凹部を形成することができる。
なお、段落0089で説明した第1、第2実施形態の効果については、第3実施形態においても得ることができる。
【符号の説明】
【0131】
1;シリンダ装置 1a;シリンダ装置 1b;シリンダ装置
2;シリンダ 3;蓋 4;蓋
5;第1吸排気口 6;第2吸排気口 7;出力ロッド
7a;空洞部 7d;吸排気路 8;第3吸排気口
8a;吸排気ロッド 8b;吸排気路 8d;連通ロッド
8e;連通路 8f;連通路 9;第4吸排気口
11;第1ピストン 12;第2ピストン 13;第3ピストン
14;ピストンハウジング 15;薄肉部 16;カラー
17;抜止めボルト 18;抜止めナット 19;コイルバネ
20;空圧室 21;第1空圧室 22;第2空圧室
27;蓋 34;蓋 39;蓋
51;間隙 52;間隙 30;油圧室
31;第1油圧室 32;第2油圧室 33;コイルバネ
34d;凹部 37;抜止めナット 38;給油口栓
40;貫通孔 41;第3空圧室 43;凹部
44;凸部 50;ロッド部分 55;油圧発生部
57;張出部 58;ロッド部分 58a;段部
58b;凹部 58c;フランジ部 58d;フランジ部
58e;吸排気路 60;ピストンハウジング 61;第1ハウジング
62;第2ハウジング 63;第3ハウジング 64;第4空圧室
65;第5空圧室 71;パンチ 72;治具
73;設置台 74;金型 75;金型
81;ロッド部分 81a;入力側ロッド部分 81b;出力側ロッド部分
82;ストッパ 83;ストッパ 84;凸部
87;凸部 85;移送空圧室 86;移送吸排気路
89;第4ピストン 90;クランパ 91;円環部材
92;テーパ部 93;テーパ部 94;Oリング
95;円柱部材 96;コイルバネ 97;ナット
100;ワーク A;ピン B;部材ストック
C;被取付対象