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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電子スイッチ及び調光器
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20220107BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20220107BHJP
   H05B 45/3725 20200101ALI20220107BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220107BHJP
   H05B 47/195 20200101ALI20220107BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/325
H05B45/3725
H05B47/105
H05B47/195
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018558747
(86)(22)【出願日】2017-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 US2017030415
(87)【国際公開番号】W WO2017196572
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/335,495
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/431,926
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518393506
【氏名又は名称】インテレソル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テレフス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ハリー
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-289441(JP,A)
【文献】米国特許第04682061(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子及び出力端子を有する双方向電子スイッチ回路であって、
a.各スイッチデバイスがドレイン端子、ソース端子及びゲート端子を備え、前記ゲート端子及び前記ソース端子間に規定される閾値電圧により特徴付けられる第1及び第2の直列接続電子スイッチデバイスであって、前記第1のスイッチデバイスの前記ドレイン端子は、前記スイッチ回路の前記入力端子を備え、前記第2のスイッチデバイスのドレイン端子は、前記スイッチ回路の前記出力端子を備え、前記第1及び第2のスイッチデバイスの前記ソース端子は、第1のスイッチデバイス制御端子において相互接続され、前記第1及び第2のスイッチデバイスの前記ゲート端子は、第2のスイッチデバイス制御端子において相互接続される、第1及び第2の直列接続電子スイッチデバイスと、
b.前記スイッチデバイスの前記閾値電圧より大きい電圧を有し、電流制御抵抗器を介して前記第1及び第2のスイッチデバイス制御端子間に印加される電圧源であって、
a.前記スイッチ回路の前記入力端子から前記第2のスイッチデバイス制御端子に接続される第1の整流装置と、
b.前記スイッチ回路の前記出力端子から前記第2のスイッチデバイス制御端子に接続される第2の整流装置と、
c.前記第1のスイッチデバイス制御端子から前記第2のスイッチデバイス制御端子に接続される電圧調整装置と、を有する電圧源と、
c.前記第1及び第2のスイッチデバイス制御端子間に接続されるスイッチと、
をさらに備える双方向電子スイッチ回路。
【請求項2】
前記スイッチは、
a.入射する照明の強度に比例するコンダクタンスにより特徴付けられ、前記第1のスイッチデバイス制御端子から前記第2のスイッチデバイス制御端子に接続される光活性化電子デバイスと、
b.第1の制御端子及び第2の制御端子を有するトランジスタにより制御され、前記光活性化電子デバイスを照明するように構成された発光素子であって、前記発光素子により放出される光の強度が、前記第1の制御端子と前記第2の制御端子との間に印加される外部制御信号の振幅に比例する、発光素子と、を備える請求項1の双方向電子スイッチ回路。
【請求項3】
前記光活性化電子デバイスは、コレクタ端子及びエミッタ端子を有する半導体フォトトランジスタを備え、
前記エミッタ端子は、前記スイッチデバイスの前記共通ソース端子に接続され、前記コレクタ端子は、前記スイッチデバイスの前記共通ゲート端子に接続される請求項2の双方向電子スイッチ回路。
【請求項4】
交流電力を負荷装置に接続するための、請求項2の双方向電子スイッチ回路の使用方法であって、
a.交流電源から電力を受け取るための第1及び第2の電力入力端子と、
b.前記負荷装置に交流電力を供給するための第1及び第2の電力出力端子と、
c.前記双方向電子スイッチ回路の前記入力端子を前記第1の電力入力端子に接続し、前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子を前記第1の電力出力端子に接続することと、
d.前記第2の電力入力端子を前記第2の電力出力端子に接続することと、
e.前記トランジスタの前記第1及び第2の制御端子に電子制御信号を供給することと、
を含む方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の制御端子に印加される前記制御信号は、前記交流電源と同期してパルスにされ、前記負荷装置に結合された前記交流電力の位相制御を提供する請求項の方法。
【請求項6】
交流電力を負荷装置に接続するための、請求項2の双方向電子スイッチ回路の使用方法であって、
a.交流電源から電力を受け取るための第1及び第2の電力入力端子と、
b.前記負荷装置に交流電力を供給するための第1及び第2の電力出力端子と、
c.第1及び第2の双方向電子スイッチ回路と、
d.前記第1の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子を前記第1の電力入力端子に接続し、前記第1の双方向電子スイッチ回路の前記出力端子を前記第1の電力出力端子に接続することと、
e.前記第2の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子を前記第2の電力入力端子に接続し、前記第2の双方向電子スイッチ回路の前記出力端子を前記第2の電力出力端子に接続することと、
f.前記トランジスタの前記第1及び第2の制御端子に電子制御信号を供給することと、
を含む方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の制御端子に印加される前記制御信号は、前記交流電源と同期してパルスにされ、前記負荷装置に結合された前記交流電力の位相制御を提供する請求項の方法。
【請求項8】
交流電力を負荷装置に接続するための請求項2の双方向電子スイッチ回路の使用方法であって、
a.交流電源から電力を受け取るための第1及び第2の電力入力端子と、
b.前記負荷装置に交流電力を供給するための第1及び第2の電力出力端子と、
c.直列構成に配列された複数の双方向電子スイッチ回路を備える回路アレイであって、最初の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子は、前記回路アレイの前記入力端子であり、
最後の前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子が前記回路アレイの前記出力端子であること、全ての前記双方向電子スイッチ回路の前記第1の制御端子が相互接続され、前記回路アレイの前記第1の制御端子を形成すること、及び、全ての前記双方向電子スイッチ回路の前記第2の制御端子が相互接続され、前記回路アレイの前記第2の制御端子を形成することを除いては、各後続の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子が前の前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子に接続される、前記回路アレイと、
d.前記回路アレイの前記入力端子を前記第1の電力入力端子に接続し、前記回路アレイの前記出力端子を前記第1の電力出力端子に接続することと、
e.前記第2の電力入力端子を前記第2の電力出力端子に接続することと、
f.前記トランジスタの前記第1及び第2の制御端子に電子制御信号を供給することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の制御端子に印加される前記制御信号は、前記交流電源と同期してパルスにされ、前記負荷装置に結合された前記交流電力の位相制御を提供する請求項の方法。
【請求項10】
前記回路アレイの前記双方向電子スイッチ回路の数は、前記交流電源のピーク電圧に基づいて選択される請求項の双方向電子スイッチ回路の使用方法。
【請求項11】
交流電力を負荷装置に接続するための請求項2の双方向電子スイッチ回路の使用方法であって、
a.交流電源から電力を受け取るための第1及び第2の電力入力端子と、
b.前記負荷装置に交流電力を供給するための第1及び第2の電力出力端子と、
c.直列構成に配列された複数の双方向電子スイッチ回路をそれぞれ備える第1及び第2の回路アレイであって、最初の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子は、前記第1及び第2の回路アレイの前記入力端子であり、
最後の前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子が前記第1及び第2の回路アレイの前記出力端子であること、全ての前記双方向電子スイッチ回路の前記第1の制御端子が相互接続され、前記第1及び第2の回路アレイの前記第1の制御端子を形成すること、及び、全ての前記双方向電子スイッチ回路の前記第2の制御端子が相互接続され、前記第1及び第2の回路アレイの前記第2の制御端子を形成することを除いては、各後続の双方向電子スイッチ回路の前記入力端子が前の前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子に接続される、前記第1及び第2の回路アレイと、
d.前記第1の回路アレイの前記入力端子を前記第1の電力入力端子に接続し、前記第1の回路アレイの前記出力端子を前記第1の電力出力端子に接続することと、
e.前記第2の回路アレイの前記入力端子を前記第2の電力入力端子に接続し、前記回路アレイの前記出力端子を前記第2の電力出力端子に接続することと、
f.前記トランジスタの前記第1及び第2の制御端子に電子制御信号を供給することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の制御端子に印加される前記制御信号は、前記交流電源と同期してパルスにされ、前記負荷装置に結合された前記交流電力の位相制御を提供する請求項11の方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の回路アレイの前記双方向電子スイッチ回路の数は、前記交流電源のピーク電圧に基づいて選択される請求項11の双方向電子スイッチ回路の使用方法。
【請求項14】
前記制御信号は、前記交流電源の波形と同期し、調整可能なパルス幅を有する一連のパルスであり、前記負荷装置に供給される平均電流/電力を効果的に制御し、これにより光源負荷の調光効果及び交流モータ負荷の速度制御を提供する請求項11の双方向電子スイッチ回路の使用方法。
【請求項15】
前記制御信号は、前記交流電源の波形とは独立した固定周波数又は可変周波数を有し、これにより無線充電器/発電機として使用するために前記負荷装置の端子に無線周波数(RF)電力波形を生成する一連のパルスである請求項11の双方向電子スイッチ回路の使用方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の制御端子に印加される前記外部制御信号は、前記発光素子の可変照明を可能にする可変直流電圧であり、これにより前記第1及び第2のスイッチデバイスの線形モードでの動作を可能とする請求項11の双方向電子スイッチ回路の使用方法。
【請求項17】
前記第1及び第2のスイッチデバイスがMOSFETsである請求項1の双方向電子スイッチ回路。
【請求項18】
前記第1及び第2の整流装置は、
それぞれアノード端子及びカソード端子を有する第1及び第2の半導体ダイオードを備え、
前記第1の半導体ダイオードの前記アノード端子は、電流制御抵抗器を介して前記双方向スイッチ回路の前記入力端子に接続され、前記第2の半導体ダイオードの前記アノード端子は、電流制御抵抗器を介して前記双方向電子スイッチ回路の前記出力端子に接続され、前記第1及び第2の半導体ダイオードの前記カソード端子は、前記第2のスイッチデバイス制御端子に接続される請求項1の双方向電子スイッチ回路。
【請求項19】
前記電圧調整装置は、アノード端子及びカソード端子を有する半導体ツェナーダイオードを備え、前記アノード端子は、前記第1の制御端子に接続され、前記カソード端子は、前記第2の制御端子に接続される請求項1の双方向電子スイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月12日に出願された「AC直接LVO電子調光スイッチ」と題する米国仮特許出願第62/335495号及び2016年12月9日に出願された「電子スイッチ及び調光器」と題する米国仮特許出願第62/431926号の優先権を主張する。両出願は、発明者が共通であり、現在継続中である。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
未適用。
【背景技術】
【0003】
技術分野
本発明は、電力管理システム、並びに電子スイッチ及び調光制御を提供する方法に関する。
【0004】
関連する背景技術
家庭環境及びビジネス環境における交流(AC)電力への従来のアクセスは、設備電気システムに配線される機械的なコンセントにより供給される。これらのコンセントは、ヒューズや回路遮断器などの電気機械装置を用いて、過大な電気負荷又は潜在的に危険な地絡から保護される。同様に、照明や天井扇風機などの従来の部屋用電気機器の制御は、電気機械スイッチを用いて行われる。これらの基本的に機械的な制御装置は、単純なオン-オフ制御を提供し、必然的に摩耗し、経時的に短絡又は潜在的に危険なアーク放電を引き起こす可能性がある。
【0005】
一般的な電気機器のより微妙な制御は、典型的に、サイクル毎に交流電源波形を中断すること(いわゆる位相制御)を可能にするトライアックなどの電子デバイスにより提供される。これらに先行する可変抵抗器又は単巻変圧器よりはるかに効率的であるにも関わらず、トライアックは、小さなエンクロージャにおいて大きな電気的負荷の制御のために効果的に使用するには、依然としてかなり非効率的であり、設備電気システムへ電気ノイズを戻す可能性がある。
【0006】
従って、設備電気システムにおける幅広い適用のための、より信頼性の高い高効率な制御オプションのより広い範囲を提供する改善された電子制御システムが必要とされる。さらに、低コストで製造できる高度な電力制御機能のための他の回路と統合できる半導体装置を用いて実現可能なそのような制御システムが必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、単純なコンセントのオン-オフスイッチングから、例えば電灯の調光において印加される交流電力の連続的な変動にまで及ぶ設備電気システム全体の交流電力の制御に対する新しいアプローチに関する。
【0008】
より具体的には、本発明は、一実施形態において交流電源波形のオン-オフ及び位相制御の両方を提供する機能の組み合わせに関する。
【0009】
一実施形態は、交流主電源及び所望の負荷の間に接続された非常に低い「オン」抵抗を有する電子スイッチとして、パワーMOS電界効果トランジスタ(MOSFETs)を使用する。典型的なパワーMOSFETsは、本来、ボディダイオードを導電チャネルと並列に結合するので、複数対のデバイスは、ソース端子を共通で備える背中合わせの配置で接続され、真に双方向的な(AC)スイッチ構成を提供する。パワーMOSFETsのスイッチング動作を制御するために、ドレインに接続され、ゲート-ソース間バイアス電圧をプリチャージし、それにより両デバイスを「オン」にする整流ダイオードと、隔離された光源により照明された際にゲート端子を共通ソース端子に短絡させて両デバイスを「オフ」状態にする光結合フォトトランジスタと、を用いた新規のフローティング制御回路が採用される。従って、パワーMOSFETスイッチは、光制御信号により強制的に「オフ」にされない限り、通常は「オン」である。光制御信号は、負荷に供給される電力の公称オン-オフ制御のために連続的に印加することができる。あるいは、光制御信号は、交流電源波形と同期して位相制御を提供することができる。光制御信号用の集積制御回路は、無効負荷のスイッチングに適した立ち上がりエッジ位相制御か、LEDなどの非線形負荷に適した立ち下がりエッジ位相制御のいずれかを提供することができる。
【0010】
特定の実施例は、本発明の概念を例示的な応用に限定することを意図するものではない。本発明の他の態様及び利点は、添付の図面及び詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基本的なパワーMOSFET双方向スイッチユニットの概略図である。
図2】光電子バイアス生成を用いた従来技術の双方向スイッチユニットの概略図である。
図3】改良された双方向スイッチの基本的要素の概略図である。
図4】改良された双方向スイッチの一実施形態の概略図である。
図5】2つのスイッチング素子を用いて合計スイッチ「オン」抵抗を低減し、合計スイッチ「オフ」抵抗を増加させる図3の実施形態の概略図である。
図6図3と同様の一実施形態の概略図であるが、交流電源の両アームにスイッチング素子を有する。
図7】4つのスイッチング素子を用いて合計スイッチ「オン」抵抗をさらに低減し、合計スイッチ「オフ」抵抗をさらに増加させる図5の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、交流電源101から負荷108に供給される電力を制御する基本的なパワーMOSFET双方向スイッチを示す概略図である。パワーMOSFETs102及び103は、それぞれボディダイオード104及び105を備える。スイッチ106は、パワーMOSFETs102及び103に印加されるゲート-ソース間バイアス電圧を制御する。「オン」位置において、バイアス電圧107は、パワーMOSFETsのゲート端子に印加される。電圧107は、反転層を形成させ、それにより各デバイスのドレインからソースへ延びる導電チャネルを生成するパワーMOSFETsの閾値電圧(典型的には5~10ボルト)より大きい電圧である。この「オン」状態において、各パワーMOSFETのドレイン-ソース挙動は、低値の抵抗Rdsとしてモデル化できる。ドレイン及びソース間の電圧降下が約0.6ボルト未満に維持される限り、ボディダイオードは、非導電性に維持され、無視することができる。「オン」状態において、図1の回路は、等価的に、2Rdsの値を持つ直列抵抗器を介して交流電源101に接続される負荷108である。
【0013】
スイッチ106の「オフ」位置において、パワーMOSFETsのゲート端子はソース端子に短絡され、ドレイン-ソース間導電チャネルは、ドレイン-ソース間電圧がボディダイオードの降伏電圧未満を維持する限り、消滅する。「オフ」状態において、図1の回路は、等価的に、背中合わせのボディダイオード104及び105を介して交流電源101に接続される負荷108であり、負荷108を電源101から効果的に切断する。
【0014】
「オフ」状態において、パワーMOSFETsのドレイン-ソース間電圧がボディダイオードの降伏電圧Vbr未満を維持するという要件は、ボディダイオードの降伏電圧が交流電源101のピーク電圧を超えることを要求する。従って、例えば、電源101が共通の120ボルト(rms)の交流電源に対応すると仮定すると、各ボディダイオードの降伏電圧は、170ボルトのピーク電源電圧を超えなければならない。
【0015】
パワーMOSFET構造のより詳細な分析は、ボディダイオードが、事実上、MOSFETチャネルと並列に接続されたバイポーラトランジスタのベース-コレクタ接合であることを示す。付加的な寄生素子は、ベース-コレクタ接合のキャパシタンス、並びにベース及びエミッタ間の寄生抵抗を有する。この交流結合回路は、ドレイン-ソース間電圧の変化率dVds/dtに制約を課してベース-エミッタ接合が順方向にバイアスすることを防止し、これによりMOSFETチャネルが「オフ」の間にバイポーラトランジスタを導通させる。結果として生じる漏れ電流は、負荷108にエネルギーを与えるのに十分でないかもしれないが、付加的な効率又は安全性への懸念を引き起こすのに十分大きい可能性がある。
【0016】
同様に、「オン」状態における制約を考慮するには、Rds*Iloadで与えられる各パワーMOSFETのドレイン-ソース間電圧降下が約0.6ボルト未満であることを必要とする。潜在的により重要なことは、Rds*Iloadで与えられ、「オン」状態の各パワーMOSFETにおいて消散される電力が、過度の温度上昇を避けるために数ワット未満を維持しなければならないということである。従って、例えば、一般家庭用回路を20アンペアの典型的な制限を有する120ボルトの交流電源から切り替えるには、各パワーMOSFETのRdsが0.005オーム(5ミリオーム)未満であることを必要とする。
【0017】
デバイスの構造及びドーピングレベルを変化させることにより、ボディダイオードの降伏電圧をRdsの値に対してトレードオフできることは、当該技術分野において周知である。具体的には、Rdsの値はVbr 2.5に比例することが示されている。従って、例えば、Vbrを半分にカットすると、Rdsが5.7分の1に減少する。
【0018】
図1の回路は、スイッチ106及び電圧源107を備える概念的なバイアススイッチング回路が、ソース101のピークからピークの範囲全体に亘って変化する背中合わせのパワーMOSFETs102及び103の共通ソース端子に対し、電気的に浮遊することを示している。概念は単純にもかかわらず、該回路は、実際には低コストで実現することが難しい可能性がある。
【0019】
図2は、制御回路に対する従来技術のアプローチを示す概略図である。図1の電圧源106は、光起電力ダイオードスタック201により置き換えられている。光起電力ダイオードスタック201は、別個の低電圧源203により電力が供給され、電流制限抵抗器205を介してスイッチ204により制御される発光ダイオード(LED)206により照明される場合に、必要なゲート-ソース間バイアス電圧を供給する。素子203~206は、ダイオードスタック201の光学的近傍の範囲内にあると想定される。LED206がスイッチオフされた場合、ダイオードスタック201の両端の電圧は、抵抗器202を介してドレインされ、パワーMOSFETsが「オフ」状態となる。
【0020】
図2の回路が単純なオン-オフスイッチングアプリケーション用に動作するにもかかわらず、バイアス回路を介したパワーMOSFETsのゲート-ソース間キャパシタンスの充電及び放電に関連する時定数は、典型的に、50/60Hzの交流電源で位相制御を行うには大きすぎてしまう。
【0021】
図3は、改良されたスイッチ回路の基本的要素を示す概略図である。パワーMOSFETsは、以下の説明において論じられる好適な実施形態のスイッチングデバイスであるが、改良された回路において、他の形式の電界効果トランジスタを有利に採用することができることは、当業者にとって明らかであろう。図1のように、電圧107は、パワーMOSFETs102及び103を「オン」状態にバイアスするために用いられる。図1の回路における動作とは反対に、スイッチ106が開いたままである限り、パワーMOSFETsは「オン」のみとなる。スイッチ106が閉じた場合、ゲート及びソースが共に短絡され、電圧107が抵抗器300を通過して降下するので、パワーMOSFETsは強制的に「オフ」状態となる。
【0022】
図4は、本発明の回路の一実施形態を示す概略図である。図1の電圧源106は、スイッチングユニット400において、パワーMOSFETsの閾値電圧より大きいツェナー電圧を有するツェナーダイオード402に置き換えられている。ツェナーダイオード402は、それぞれパワーMOSFETsのドレイン端子に接続され、電流制限抵抗器403及び405により保護される整流ダイオード404及び406を介してバイアスされる。従って、照射がない場合には、抵抗器-ダイオード分岐部403-404及び405-406は、ドレイン端子のいずれもがツェナー電圧を超えたとき、ツェナーダイオード402にバイアスを与え、パワーMOSFETs102及び103を「オン」状態にする。LED206により照明されると、フォトトランジスタ401は、分岐部403-404及び405-406からパワーMOSFETsのソース端子へバイアス電流をシャントして、パワーMOSFETsを「オフ」状態にする。本回路において、ターンオン時定数は、電流制限抵抗器403及び405の値及びパワーMOSFETsのゲート-ソース間のキャパシタンスにより決定される。一方、ターンオフ時定数は、LED206により供給される照明レベルでのフォトトランジスタ401の飽和電流によって決定される。これらの時定数は両方とも、交流電源の周期よりもはるかに短く設定することができ、これにより、本実施形態は、オン-オフ及び位相制御モードの両方で動作することができる。
【0023】
図5は、回路のパフォーマンス向上のために2つのスイッチユニット400を用いた図4の実施形態の概略図である。本実施形態において、パワーMOSFETsは、図4において用いられるユニットの半分の降伏電圧を有するように選択されると仮定する。従って、個々のスイッチユニットのオン抵抗は、上述のように、5.7分の1に減少すると予想され、直列に接続された2つのスイッチユニットの合計オン抵抗は、図4の回路に対して2.8分の1に減少する。さらに、「オフ」状態にある各スイッチユニット間の電圧降下は半分になり、これにより各ユニットが経験するdVds/dtを2分の1に減少させ、結果として「オフ」状態の漏れ電流が減少する。
【0024】
図5はまた、LED206の照明を制御する電子スイッチ回路を含む。LED206を通る電圧源203からの電流は、抵抗器205により制限され、トランジスタ500により制御される。トランジスタ500は、制御端子501に印加される外部の制御電圧により制御される。これにより、外部の制御回路(図示せず)を介して交流主波形と同期してLEDの迅速なスイッチングが可能となり、調光アプリケーションで使用されるものと同様に、印加される交流波形の位相制御を提供する。他の実施形態において、制御信号は、交流電源波形と同期し、調整可能なパルス幅を有する一連のパルスであり、負荷に供給される平均電流/電力を効果的に制御し、これにより、光源の負荷に対する調光効果及びACモータ負荷の速度制御を提供する。他の実施形態において、制御信号は、交流電源波形とは独立した固定周波数又は可変周波数を有する一連のパルスであり、これにより、無線充電器/発電機として使用するための負荷端子に無線周波数(RF)電力波形を生成する。他の実施形態において、制御信号は、LEDの可変照明を可能とする可変直流電圧であり、これによりMOSFETsを線形モードで動作させることができる。
【0025】
図6は、図5と同様の一実施形態の概略図であるが、交流電源の各アームに個々のスイッチユニット400が配置されている。発明者は、この回路構成がスイッチデバイスのターンオフ特性をさらに改善し、漏れ電流をさらに減少させることを見出した。
【0026】
図7は、交流電源の各アームに2つのスイッチユニット400を用いて、回路のパフォーマンスをさらに改善する図6の実施形態の概略図である。本実施形態においては、図3において用いられるユニットの4分の1の降伏電圧を有するパワーMOSFETsが選択されると仮定する。従って、個々のスイッチユニットのオン抵抗は、上述のように、32分の1に減少すると予想され、直列に接続された2つのスイッチユニットの合計オン抵抗は、図4の回路に対して8分の1に減少する。さらに、「オフ」状態にある各スイッチユニット間の電圧降下は4分の1になり、これにより各ユニットが経験するdVds/dtを4分の1に減少させ、結果として図4の回路に対し、「オフ」状態の漏れ電流がさらに減少する。上述のように、発明者は、この回路構成がスイッチデバイスのターンオフ特性をさらに改善し、漏れ電流をさらに減少させることを見出した。
【0027】
まとめ
設備電気システム全体にわたる交流電力の制御に対する新しいアプローチについて説明されている。本アプローチは、スイッチを「オン」状態に自己バイアスし、光結合制御素子を用いてスイッチを強制的に「オフ」状態にする、光学的に結合され、電気的に浮遊した制御回路を有する双方向スイッチサブ回路構成のパワーMOSFETsを使用する。制御回路の時定数は、オン-オフ制御及び位相制御を可能にするのに十分に速い。改善されたパフォーマンスを提供するために、複数のサブ回路を容易にカスケード接続することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7