(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】インプリント用レプリカモールド材料
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20220107BHJP
B29C 33/40 20060101ALI20220107BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220107BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20220107BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B29C59/02 B
B29C33/40
H01L21/30 502D
C08F220/28
C08F2/50
(21)【出願番号】P 2019535145
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2018028897
(87)【国際公開番号】W WO2019031359
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2017152458
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/065546(WO,A1)
【文献】特開2012-068376(JP,A)
【文献】特開2016-134629(JP,A)
【文献】特開2016-215460(JP,A)
【文献】特開2010-018644(JP,A)
【文献】特開2010-159369(JP,A)
【文献】特開2014-108979(JP,A)
【文献】特開2008-019292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00 - 59/18
B29C 33/00 - 33/76
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント用レプリカモールド材料。
(A):下記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表し、R
5及びR
6はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、r
1及びr
2はそれぞれ独立に1乃至5の整数を表す。)(B):
下記式(3)で表される化合物と下記式(4)で表される化合物との混合体
【化2】
(式中、R
7は水素原子又はメチル基を表す。)
(C):前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、0.01質量%乃至1質量%の光重合開始剤
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、該(A)成分を30質量%乃至90質量%含む、請求項1に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項3】
(D)成分としてチオール基を少なくとも1つ有する化合物をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項4】
(E)成分として酸化防止剤をさらに含有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項5】
(F)成分として界面活性剤をさらに含有する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項6】
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント用レプリカモールド材料。
(A):下記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物
【化3】
(式中、R
1
及びR
2
はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
3
及びR
4
はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表し、R
5
及びR
6
はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、r
1
及びr
2
はそれぞれ独立に1乃至5の整数を表す。)(B):下記式(5)で表される化合物
【化4】
(式中、2つのR
7は
水素原子又はメチル基を表す。)
(C):前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、0.01質量%乃至1質量%の光重合開始剤
【請求項7】
前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、該(A)成分を30質量%乃至90質量%含む、請求項6に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項8】
(D)成分としてチオール基を少なくとも1つ有する化合物をさらに含有する請求項
6又は請求項
7に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項9】
(E)成分として酸化防止剤をさらに含有する請求項
6乃至請求項
8のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項10】
(F)成分として界面活性剤をさらに含有する請求項
6乃至請求項
9のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【請求項11】
請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料から作製された、パターンを有するインプリント用レプリカモールド。
【請求項12】
前記パターンがレンズ形状の反転パターンである、請求項
11に記載のインプリント用レプリカモールド。
【請求項13】
前記インプリント用レプリカモールドの最大厚さが2.0mmである、請求項
11又は請求項
12に記載のインプリント用レプリカモールド。
【請求項14】
請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料をマスターモールド上に塗布する工程、
前記レプリカモールド材料を介して前記マスターモールドを基材と圧着する工程、
前記マスターモールドを前記基材に圧着させたまま該基材を通して前記レプリカモールド材料を露光し、該レプリカモールド材料を光硬化する工程、及び
前記光硬化する工程の後、前記基材上に得られた光硬化物を前記マスターモールドから離型する工程、を含むインプリント用レプリカモールドの作製方法。
【請求項15】
請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載のインプリント用レプリカモールド材料を基材上に塗布する工程、
前記レプリカモールド材料を介して前記基材をマスターモールドと圧着する工程、
前記マスターモールドを前記基材に圧着させたまま該基材を通して前記レプリカモールド材料を露光し、該レプリカモールド材料を光硬化する工程、及び
前記光硬化する工程の後、前記基材上に得られた光硬化物を前記マスターモールドから離型する工程、を含むインプリント用レプリカモールドの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用レプリカモールド材料、及び当該材料から作製された、パターンを有するレプリカモールドに関する。より詳しくは、前記レプリカモールド材料の硬化時における収縮率(以下、本明細書では「硬化収縮率」と略称する。)が小さく、厚膜であっても紫外線領域において高透明性を保持し、更に高ヤング率を有する、パターンを有するレプリカモールドに関するものである。本明細書において“厚膜”とは、0.01mm以上の厚さで、最大厚さ2.0mmの膜を表す。
【背景技術】
【0002】
樹脂レンズは、携帯電話、デジタルカメラ、車載カメラなどの電子機器に用いられており、その電子機器の目的に応じた、優れた光学特性を有するものであることが求められる。また、当該樹脂レンズは、使用態様に合わせて、高い耐久性、例えば耐熱性及び耐候性、並びに歩留まりよく成形できる高い生産性が求められている。このような要求を満たす樹脂レンズ用の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、メタクリル樹脂等の熱可塑性の透明樹脂が使用されてきた。
【0003】
樹脂レンズの製造にあたり、歩留まりや生産効率の向上、さらにはレンズ積層時の光軸ずれの抑制のために、熱可塑性樹脂の射出成型から、室温で液状の硬化性樹脂を使った押し付け成形によるウェハレベル成形への移行が盛んに検討されている。ウェハレベル成形では、生産性の観点から、ガラス基板等の支持体上にレンズを形成するハイブリッドレンズ方式が一般的である。
【0004】
ウェハレベル成形においては、モールドもウェハレベルで成型される必要がある。一般的な樹脂レンズ製造用のモールドは、金属を掘削及び研磨したものが用いられているが、ウェハレベルでは面内に多数のレンズパターンを有し、かつその面内誤差や画素間ピッチを正確に制御する必要がある。そのため、モールドの作製が非常に困難なうえ、高価となってしまう。さらに、金属製のモールドを用いる場合、樹脂レンズ用材料の硬化に用いるUV光が透過しないため、レンズが成形される支持体の素材に制限が生じる。そのため、マスターモールドとレプリカモールド材料を用いてレプリカモールドを作製し、そのレプリカモールドを用いてウェハレベル成形を行うことが一般的である。その中で、特許文献1に記載のように、比較的安価な一画素分のマスターモールドと、レプリカモールド材料とを用いて、ウェハ内のステップアンドリピート成型でレプリカモールドを作製する方法が開発されている。
【0005】
しかしながら、一般的に用いられるレプリカモールド材料は、樹脂レンズの製造工程に用いるUV光、特に波長365nmの透過率が低く、当該レプリカモールド材料の硬化時における硬化収縮率が高い。そのため、樹脂レンズ用材料の硬化不良や光硬化プロセスの長時間化、さらにはマスターモールドのパターン形状再現性が低いといった問題が生じている。また、レプリカモールドを作製する際のマスターモールドからの離型力、及び作製したレプリカモールドを用いて樹脂レンズ用材料を成型する際の離型力を低下させるべく、レプリカモールドには高ヤング率が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4226061号公報(特開2009-172773号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、カメラモジュール用レンズの成型向けのレプリカモールドの作製に使用し得ると共に、硬化時に低い硬化収縮率を示し、硬化物が高い透明性及び高いヤング率を有するレプリカモールド材料は未だなく、その開発が望まれていた。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、硬化時に低硬化収縮率を示し、硬化物が高透明性及び高ヤング率を有し、且つウェハレベル成形用のレプリカモールドを作製するのに好適なレプリカモールド材料、及び当該レプリカモールド材料から作製された、パターンを有するレプリカモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、アルキレンオキサイド変性した水添ビスフェノールA骨格を有し、かつ両末端に重合性基を有する化合物、一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ乃至4つ有する化合物、及び光重合開始剤を含有する材料をレプリカモールド材料として使用することにより、次の知見を得、本発明を成した。すなわち、本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、厚膜での光インプリント後、紫外線領域において高い透明性を有し、低い硬化収縮率かつ高ヤング率を有する。
【0009】
すなわち本発明は、第1観点として、
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント用レプリカモールド材料。
(A):下記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表し、R
5及びR
6はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、r
1及びr
2はそれぞれ独立に1乃至5の整数を表す。)
(B):下記式(2)で表される基を一分子中に2つ乃至4つ有する化合物(但し、前記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物を除く。)
【化2】
(式中、Xは単結合又は炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表し、R
7は水素原子又はメチル基を表す。)
(C):前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、0.01質量%乃至1質量%の光重合開始剤
第2観点として、
前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量%に対し、該(A)成分を30質量%乃至90質量%含む、第1観点に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
第3観点として、
前記(B)成分が下記式(3)で表される化合物と下記式(4)で表される化合物との混合体である、第1観点又は第2観点に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【化3】
(式中、R
7は前記式(2)における定義と同義である。)
第4観点として、
前記(B)成分がエーテル結合を少なくとも1つ含む又はエーテル結合を含まない脂環構造を一分子中に1つ有し、かつ前記式(2)で表される基を一分子中に2つ有する化合物である、第1観点又は第2観点に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
第5観点として、
前記(B)成分が下記式(5)で表される化合物である、第1観点、第2観点又は第4観点に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
【化4】
(式中、2つのR
7は前記式(2)における定義と同義である。)
第6観点として、
(D)成分としてチオール基を少なくとも1つ有する化合物をさらに含有する第1観点乃至第5観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
第7観点として、
(E)成分として酸化防止剤をさらに含有する第1観点乃至第6観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
第8観点として、
(F)成分として界面活性剤をさらに含有する第1観点乃至第7観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料。
第9観点として、
第1観点至第8観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料から作製された、パターンを有するインプリント用レプリカモールド。
第10観点として、
前記パターンがレンズ形状の反転パターンである、第9観点に記載のインプリント用レプリカモールド。
第11観点として、
前記インプリント用レプリカモールドの最大厚さが2.0mmである、第9観点又は第10観点に記載のインプリント用レプリカモールド。
第12観点として、
第1観点乃至第8観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料をマスターモールド上に塗布する工程、
前記レプリカモールド材料を介して前記マスターモールドを基材と圧着する工程、
前記マスターモールドを前記基材に圧着させたまま該基材を通して前記レプリカモールド材料を露光し、該レプリカモールド材料を光硬化する工程、及び
前記光硬化する工程の後、前記基材上に得られた光硬化物を前記マスターモールドから離型する工程、を含むインプリント用レプリカモールドの作製方法。
第13観点として、
第1観点乃至第8観点のいずれか一に記載のインプリント用レプリカモールド材料を基材上に塗布する工程、
前記レプリカモールド材料を介して前記基材をマスターモールドと圧着する工程、
前記マスターモールドを前記基材に圧着させたまま該基材を通して前記レプリカモールド材料を露光し、該レプリカモールド材料を光硬化する工程、及び
前記光硬化する工程の後、前記基材上に得られた光硬化物を前記マスターモールドから離型する工程、を含むインプリント用レプリカモールドの作製方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、前記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物と、一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ乃至4つ有する化合物とを含有することにより、当該レプリカモールド材料から作製された、パターンを有するレプリカモールドは、厚膜でも紫外線領域において高い透明性を有し、かつ高ヤング率を有する。
【0011】
また本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、光硬化が可能であり、かつマスターモールドからの剥離時にパターンの一部に剥がれが生じない。そして当該レプリカモールド材料は、光硬化時における硬化収縮率が低いため、所望のパターンが正確に形成されたレプリカモールドが得られる。したがって、このレプリカモールドを用いて光インプリントを行うことで、良好なパターン形成が可能である。
【0012】
また本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、任意の基材上に製膜することができ、当該基材上に形成された膜は、厚膜でも紫外線領域において高い透明性を有し、かつ高ヤング率を有する。このため、本発明のインプリント用レプリカモールド材料から作製されたレプリカモールドは、固体撮像素子、センサー用レンズなどの形状精度の求められる光学部材の製造に好適に用いることができる。
【0013】
さらに、本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、上記(B)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって、本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、製造するデバイス種と露光プロセス及びベークプロセスの種類に対応した材料の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造用モールドとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[(A)成分]
(A)成分の化合物は、下記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物である。
【化5】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表し、R
5及びR
6はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、r
1及びr
2はそれぞれ独立に1乃至5の整数を表す。)
【0015】
上記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エトキシ変性水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ変性水添ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ変性水添ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ変性水添ビスフェノールAジメタクリレート、ブトキシ変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ブトキシ変性水添ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシプロポキシ変性水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシプロポキシ変性水添ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ変性水添ビスフェノールFジアクリレート、及びエトキシ変性水添ビスフェノールFジメタクリレートが挙げられる。
【0016】
上記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、ニューフロンティア(登録商標)HBPE-4、同HBPEM-10(以上、第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
【0017】
上記(A)成分のジ(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料における上記(A)成分の含有割合は、上記(A)成分及び後述する(B)成分の総質量100質量%に基づいて、30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。上記(A)成分の含有割合が30質量%未満であると、インプリント用レプリカモールド材料の硬化時に低い硬化収縮率を得ることができず、当該(A)成分の含有割合が90質量%を超えると、当該レプリカモールド材料から得られる硬化物は高ヤング率を得ることができない。
【0019】
[(B)成分]
(B)成分の化合物は下記式(2)で表される基を一分子中に2つ乃至4つ有する化合物(但し、前記式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物を除く。)である。
【化6】
【0020】
上記(B)成分の化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-メタアクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ポリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、1,3-ジアクリロイルオキシアダマンタン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
【0021】
上記(B)成分の化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、A-200、A-400、A-600、A-1000、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、APG-100、APG-200、APG-400、APG-700、3PG、9PG、701A、701、A-HD-N、HD-N、A-NOD-N、NOD-N、A-DOD、DOD-N、A-DCP、DCP、A-DOG、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT、A-TMPT-3EO、A-GLY-3E、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-9300、A-9300-1CL、A-9300-3CL、A-9300-6CL、AD-TMP、A-TMMT、ATM-4E、ATM-35E(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトエステル(登録商標)P-2M、同EG、同2EG、同3EG、同4EG、同9EG、同14EG、同1.4BG、同NP、同1.6HX、同1.9ND、同1.10DC、同G-101P、同PTMGA-250、同NP-A、同MPD-A、同1.6HX-A、同1.9ND-A、同DCP-A、同HPP-A、同G-201P、同TMP-A、同TMP-3EO-A、同TMP-6EO-3A、同PE-3A、同PE-4A(以上、共栄社化学(株)製)、ダイヤピュレスト(登録商標)ADDA(以上、三菱ガス化学(株)製)、ビスコート(登録商標)#195、同#230、同#260、同#310、同#335、同#295、同#300、同#400、同#360、同#3PA、同#3PMA(以上、大阪有機化学工業(株)製)、KAYARAD(登録商標)NPGDA、同PEG400DA、同FM-400、同R-604、同R-684、同GPO-303、同TMPTA、同THE-330、同TPA-330、同PET-30、同T-1420(T)、同RP-1040(以上、日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0022】
上記(B)成分の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
[(C)成分]
(C)成分である光重合開始剤は、本発明のインプリント用レプリカモールド材料の光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されるものではない。例えば、tert-ブチルペルオキシ-iso-ブチレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4-ビス[α-(tert-ブチルジオキシ)-iso-プロポキシ]ベンゼン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α-(iso-プロピルフェニル)-iso-プロピルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)-4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物;9,10-アントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}-フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等のアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0024】
上記光重合開始剤は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、同1173、同MBF、同4265、同TPO(以上、BASFジャパン(株)製)、KAYACURE(登録商標)DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬(株)製)、VICURE-10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン-PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー(株)製)、アデカオプトマーN-1717、同N-1414、同N-1606(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
【0025】
上記光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料における(C)成分の含有割合は、上記(A)成分及び(B)成分の総質量100質量%に対して、例えば0.01質量%乃至1質量%であり、好ましくは0.01質量%乃至0.5質量%であり、より好ましくは0.05質量%乃至0.5質量%である。上記(C)成分の含有割合が0.01質量%未満の場合には、インプリント用レプリカモールド材料は十分な硬化性が得られず、そのためパターニング特性が悪化し、上記(C)成分の含有割合が1質量%よりも多いと、当該レプリカモールド材料から得られる硬化物は紫外線領域における十分な透明性を有することができないからである。
【0027】
[(D)成分]
(D)成分であるチオール基を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、メルカプト酢酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプトプロピオン酸n-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸ステアリル、1,4-ビス(3-メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、トリス[2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート等のメルカプトカルボン酸エステル類;エタンチオール、2-メチルプロパン-2-チオール、1-ドデカンチオール、2,3,3,4,4,5-ヘキサメチルヘキサン-2-チオール(tert-ドデカンチオール)、エタン-1,2-ジチオール、プロパン-1,3-ジチオール、ベンジルチオール等のアルキルチオール類;ベンゼンチオール、3-メチルベンゼンチオール、4-メチルベンゼンチオール、ナフタレン-2-チオール、ピリジン-2-チオール、ベンゾイミダゾール-2-チオール、ベンゾチアゾール-2-チオール等の芳香族チオール類;2-メルカプトエタノール、4-メルカプト-1-ブタノール等のメルカプトアルコール類;3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-チオール、3-(トリエトキシシリル)プロパン-1-チオール等のシラン含有チオール類が挙げられる。
【0028】
上記チオール基を少なくとも1つ有する化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、チオカルコール(登録商標)20(花王(株)製)、カレンズMT(登録商標)PE1、同BD1、同NR1、TPMB、TEMB(以上、昭和電工(株)製)が挙げられる。
【0029】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料における(D)成分は1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、その含有割合は、上記(A)成分及び(B)成分の総質量100質量%に対して、例えば0.01質量%乃至30質量%であり、より好ましくは0.05質量%乃至20質量%である。
【0030】
[(E)成分]
(E)成分である酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤が挙げられる。
【0031】
(E)成分である酸化防止剤は市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGANOX(登録商標)245、同1010、同1035、同1076、同1135[以上、BASFジャパン(株)製]、スミライザー(登録商標)GA-80、同GP、同MDP-S、同BBM-S、同WX-R[以上、住友化学(株)製]、アデカスタブ(登録商標)AO-20、同AO-30、同AO-40、同AO-50、同AO-50F、同AO-60、同AO-60G、同AO-80、同AO-330、同PEP-36、同PEP-8、同PEP-10、同2112、同2112RG、同1178、同1500、同C、同135A、同3010、同TPP、同AO-412S、同AO-503、(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
【0032】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料における(E)成分は1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、その含有割合としては、上記(A)成分及び(B)成分の総質量100質量%に基づいて、例えば0.01質量%乃至20質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%乃至10質量%である。
【0033】
[(F)成分]
(F)成分である界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0034】
上記界面活性剤は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(登録商標)F-171、同F-173、同F-477、同F-486、同F-554、同F-556、同R-08、同R-30、同R-30N、同R-40、同R-40-LM、同RS-56、同RS-75、同RS-72-K、同RS-76-E、同RS-76-NS、同RS-78、同RS-90(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、スリーエムジャパン(株)製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(以上、旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤;及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、BYK-302、BYK-307、BYK-322、BYK-323、BYK-330、BYK-333、BYK-370、BYK-375、BYK-378、BYK-UV3500、BYK-UV3570(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)を挙げることができる。
【0035】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料における界面活性剤は1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、その含有割合としては、上記(A)成分及び(B)成分の総質量100質量%に基づいて、好ましくは0.01質量%乃至40質量%であり、より好ましくは0.01質量%乃至10質量%である。
【0036】
[その他添加剤]
本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有する化合物、エポキシ化合物、光酸発生剤、光増感剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、密着補助剤、離型性向上剤及び溶媒を含有することができる。
【0037】
上記一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有する化合物は、透明性や硬化収縮率およびヤング率を損なわず、粘度を調整するために添加することが可能であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、硬化収縮率、及び紫外線領域における透明性を損なわない点において、脂環構造を含有する化合物が好ましい。
【0038】
上記一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有する化合物は市販品として入手が可能であり、その具体例としては、HEA、HPA、4-HBA、AIB、TBA、NOAA、IOAA、INAA、LA、STA、ISTA、IBXA、2-MTA、ビスコート#155、ビスコート#160、ビスコート#192、ビスコート#150、ビスコート#190、ビスコート#MTG、ビスマーMPE400A、ビスマーMPE550A、MEDOL-10、CHDOL-10、OXE-10、OXE-30、1-ADA、1-ADMA、GBLA、GBLMA(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ファンクリル(登録商標)FA-513AS、同FA-513M(以上、日立化成(株)製)が挙げられる。
【0039】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポリード(登録商標)GT-401、同PB3600、セロキサイド(登録商標)2021P、同2000、同3000、EHPE3150、同EHPE3150CE(以上、(株)ダイセル製)、EPICLON(登録商標)840、同840-S、同N-660、同N-673-80M(以上、DIC(株)製)が挙げられる。
【0040】
上記光酸発生剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG108、同PAG121、同PAG203、同CGI725(以上、BASFジャパン(株)製)、WPAG-145、WPAG-170、WPAG-199、WPAG-281、WPAG-336、WPAG-367(以上、和光純薬工業(株)製)、TFE-トリアジン、TME-トリアジン、MP-トリアジン、ジメトキシトリアジン、TS-91、TS-01((株)三和ケミカル製)、CPI-100P、CPI-101A、CPI-200K、CPI-110P、CPI-210S、CPI-110B((以上、サンアプロ(株)製)が挙げられる。
【0041】
上記光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、チオキサントン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3-置換クマリン系、3,4-置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ケトクマリン系、クマリン系、ボレート系が挙げられる。上記光増感剤は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、アントラキュアー(登録商標)UVS-581、同UVS-1331(以上、川崎化成工業(株)製)、KAYACURE(登録商標)DETX-S(日本化薬(株)製)が挙げられる。この光増感剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。当該光増感剤を用いることによって、UV領域の吸収波長を調整することもできる。
【0042】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)PS、同99-2、同109、同328、同384-2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400-DW、同477-DW、同99-DW、同123-DW、同5050、同5060、同5151(以上、BASFジャパン(株)製)が挙げられる。この紫外線吸収剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。当該紫外線吸収剤を用いることによって、本発明のインプリント用レプリカモールド材料の光硬化時に、膜の最表面の硬化速度を制御することができ、レプリカモールドを作製する際のマスターモールドからの離型性、及び作製したレプリカモールドを用いて樹脂レンズ用材料を成型する際の当該レプリカモールドからの離型性を向上できる場合がある。
【0043】
上記連鎖移動剤としては、例えば、ジエチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、ジイソプロピルジスルフィド、ジブチルジスルフィド、ジ-tert-ブチルジスルフィド、ジペンチルジスルフィド、ジイソペンチルジスルフィド、ジヘキシルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ビス(2,3,3,4,4,5-ヘキサメチルヘキサン-2-イル)ジスルフィド(ジ-tert-ドデシルジスルフィド)、ビス(2,2-ジエトキシエチル)ジスルフィド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ジベンジルジスルフィド等のアルキルジスルフィド類;ジフェニルジスルフィド、ジ-p-トリルジスルフィド、ジ(ピリジン-2-イル)ピリジルジスルフィド、ジ(ベンゾイミダゾール-2-イル)ジスルフィド、ジ(ベンゾチアゾール-2-イル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ビス(ペンタメチレン)チウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;α-メチルスチレンダイマーが挙げられる。この連鎖移動剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
上記密着補助剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。当該密着補助剤を用いることによって、基材との密着性が向上する。当該密着補助剤の含有量は、上記(A)成分及び(B)成分の総質量100質量%に基づいて、好ましくは5質量%乃至50質量%であり、より好ましくは10質量%乃至50質量%である。
【0045】
上記離型性向上剤としては、例えば、フッ素含有化合物が挙げられる。フッ素含有化合物としては、例えば、R-5410、R-1420、M-5410、M-1420、E-5444、E-7432、A-1430、A-1630(以上、ダイキン工業(株)製)が挙げられる。
【0046】
上記溶媒としては、例えば、トルエン、p-キシレン、o-キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコ-ルジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1-オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アリルアルコール、n-プロパノール、2-メチル-2-ブタノール、イソブタノール、n-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルヘキサノール、トリメチレングリコール、1-メトキシ-2-ブタノール、イソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N-シクロヘキシル-2-ピロリジンが挙げられる。上記溶媒は上記(A)成分及び(B)成分の粘度を調節することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0047】
上記溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒が使用される場合、本発明のインプリント用レプリカモールド材料の全成分、すなわち前述の(A)成分乃至(F)成分並びにその他添加剤を含む全成分から溶媒を除いたものとして定義される固形分は、50質量%乃至99質量%であり、好ましくは70質量%乃至99質量%であることが好ましい。
【0048】
[インプリント用レプリカモールド材料の調製]
本発明のインプリント用レプリカモールド材料の調製方法は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに所望により(D)成分、(E)成分、(F)成分及びその他添加剤を混合し、インプリント用レプリカモール材料が均一な状態となっていればよい。また、(A)成分乃至(C)成分、並びに所望により(D)成分乃至(F)成分及びその他添加剤を混合する際の順序は、均一なインプリント用レプリカモールド材料が得られるなら問題なく、特に限定されない。当該レプリカモールド材料の調製方法としては、例えば、(A)成分、(B)成分を所定の割合で混合し、これに更に(C)成分、並びに所望により(D)成分、(E)成分及び(F)成分を適宜混合し、均一なインプリント用レプリカモールド材料とする方法も挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0049】
[光インプリント及びパターンを有するレプリカモールド]
本発明のインプリント用レプリカモールド材料を、基材上又はマスターモールド上に塗布し、当該基材と当該マスターモールドを貼り合わせて光硬化させ、得られた光硬化物をそのマスターモールドから離型することで所望のインプリント用レプリカモールドを得ることができる。塗布方法としては、公知又は周知の方法、例えば、ポッティング法、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法を挙げることができる。
【0050】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料から得られるレプリカモールドは、マスターモールドから離型後に加熱することで紫外線領域における透明性を向上させることができる。加熱方法はホットプレート、オーブン等の使用が挙げられる。
【0051】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料を塗布するための基材としては、例えば、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が製膜されたガラス(ITO基板)、シリコンナイトライド(SiN)が製膜されたガラス(SiN基板)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が製膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができる。また、可撓性を有するフレキシブル基材、例えばトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、並びにこれらポリマーを組み合わせた共重合体からなる基材を用いることも可能である。
【0052】
本発明のインプリント用レプリカモールド材料を光硬化させる光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、F2エキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)、紫外線LED(UV-LED)を挙げることができる。また、波長は、一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、又はGHI混合線を用いることができる。露光量は、好ましくは、30mJ/cm2乃至10000mJ/cm2であり、より好ましくは100mJ/cm2乃至8000mJ/cm2である。
【0053】
なお、前述のその他添加剤である溶媒を用いる場合には、光照射前の塗膜及び光照射後の光硬化物の少なくとも一方に対し、溶媒を蒸発させる目的で、ベーク工程を加えてもよい。ベーク工程に使用する機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、又は真空中でベークすることができるものであればよい。ベーク温度は、溶媒を蒸発させる目的を達成できるなら特に限定されないが、例えば、40℃乃至200℃で行うことができる。
【0054】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば特に限定されないが、例えば、東芝機械(株)製のST50、Obducat社製のSindre(登録商標)60、明昌機工(株)製のNM-0801HB等の市販されている装置にて、基材とマスターモールドを圧着し、光硬化後に当該マスターモールドから硬化物を離型する方法を用いることができる。
【0055】
また、本発明で用いる光インプリントに使用するマスターモールドの材料としては、例えば、石英、シリコン(Si)、ニッケル、アルミナ(Al2O3)、カルボニルシラン、グラッシーカーボンを挙げることができるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。また、マスターモールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素系化合物等の薄膜を形成する離型処理を行ってもよい。離型処理に用いる離型剤としては、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツール(登録商標)HD、同DSXが挙げられるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。
【0056】
本発明により得られるインプリント用レプリカモールドのパターンサイズは特に限定されず、例えばナノメートルオーダー、マイクロメートルオーダー、ミリメートルオーダーでも良好なパターンを得ることが可能である。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0058】
[インプリント用レプリカモールド材料の調製]
<実施例1>
ニューフロンティア(登録商標)HBPE-4(第一工業製薬(株)製)(以下、本明細書では「HBPE-4」と略称する。)3g、KAYARAD(登録商標)PET-30(日本化薬(株)製)(以下、本明細書では「PET-30」と略称する。)を7g、及びIRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)(以下、本明細書では「IRGACURE184」と略称する。)を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a1を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0059】
<実施例2>
HBPE-4を5g、PET-30を5g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a2を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0060】
<実施例3>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a3を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0061】
<実施例4>
HBPE-4を7g、PET-30を2.5g、1-ADMA(大阪有機化学工業(株)製)を0.5g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a4を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0062】
<実施例5>
HBPE-4を3g、NKエステルA-DOG(新中村化学工業(株)製)(以下、本明細書では「A-DOG」と略称する。)を7g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a5を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0063】
<実施例6>
HBPE-4を5g、A-DOGを5g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a6を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0064】
<実施例7>
HBPE-4を7g、A-DOGを3g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a7を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0065】
<実施例8>
HBPE-4を7g、NKエステルA-TMPT(新中村化学工業(株)製)(以下、本明細書では「A-TMPT」と略称する。)を3g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-TMPTの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a8を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0066】
<実施例9>
HBPE-4を7g、NKエステルA-DCP(新中村化学工業(株)製)を3g、及びIRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DCPの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a9を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。
【0067】
<実施例10>
HBPE-4を5g、PET-30を5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びチオカルコール20を0.05g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a10を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0068】
<実施例11>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びチオカルコール20を0.05g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a11を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0069】
<実施例12>
HBPE-4を5g、A-DOGを5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びチオカルコール20を0.05g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a12を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0070】
<実施例13>
HBPE-4を7g、A-DOGを3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びチオカルコール20を0.05g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a13を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0071】
<実施例14>
HBPE-4を5g、PET-30を5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びカレンズMT(登録商標)PE1(昭和電工(株)製)(以下、本明細書では「PE1」と略称する。)を0.05g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a14を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0072】
<実施例15>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びPE1を0.05g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a15を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0073】
<実施例16>
HBPE-4を5g、A-DOGを5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びPE1を0.05g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a16を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0074】
<実施例17>
HBPE-4を7g、A-DOGを3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びPE1を0.05g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a17を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む。
【0075】
<実施例18>
HBPE-4を5g、PET-30を5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びIRGANOX(登録商標)1010(BASFジャパン(株)製)(以下、本明細書では「IRGANOX1010」と略称する。)を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a18を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を含む。
【0076】
<実施例19>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びIRGANOX1010を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a19を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を含む。
【0077】
<実施例20>
HBPE-4を5g、A-DOGを5g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びIRGANOX1010を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a20を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を含む。
【0078】
<実施例21>
HBPE-4を7g、A-DOGを3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びIRGANOX1010を0.01g(HBPE-4及びA-DOGの総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a21を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を含む。
【0079】
<実施例22>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びBYK-UV3570(ビックケミー・ジャパン(株)製)を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a22を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分を含む。
【0080】
<実施例23>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びBYK-UV3570を0.1g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して1質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a23を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分を含む。
【0081】
<実施例24>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びBYK-UV3570を0.5g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して5質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a24を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分を含む。
【0082】
<実施例25>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びBYK-UV3570を1g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して10質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a24を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分を含む。
【0083】
<実施例26>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、IRGACURE184を0.01g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して0.1質量%)、及びBYK-UV3570を2g(HBPE-4及びPET-30の総質量100質量%に対して20質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-a26を調製した。本実施例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分を含む。
【0084】
<比較例1>
HBPE-4を10g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b1を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(A)成分及び(C)成分を含むが(B)成分を含まない。
【0085】
<比較例2>
PET-30を10g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b2を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(B)成分及び(C)成分を含むが(A)成分を含まない。
【0086】
<比較例3>
A-TMPTを10g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b3を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(B)成分及び(C)成分を含むが(A)成分を含まない。
【0087】
<比較例4>
NKエステルAPG-700を10g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b5を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(B)成分及び(C)成分を含むが(A)成分を含まない。
【0088】
<比較例5>
ビスコート#230を5g、PET-30を5g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b6を調製した。本比較例で使用したビスコート#230は(A)成分に該当しないので、本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(B)成分及び(C)成分を含むが(A)成分を含まない。
【0089】
<比較例6>
ビスコート#230を5g、A-DOGを5g、及びIRGACURE184を0.01g加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b7を調製した。比較例で使用したビスコート#230は(A)成分に該当しないので、本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(B)成分及び(C)成分を含むが(A)成分を含まない。
【0090】
<比較例7>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、及びIRGACURE184を0.2g(HBPE-4及びPET-30の総質量に対して2質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b8を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(C)成分の含有割合が、(A)成分と(B)成分との総質量100質量%に対し0.01質量%乃至1質量%の上限値を超えている。
【0091】
<比較例8>
HBPE-4を7g、PET-30を3g、及びIRGACURE184を0.0005g(HBPE-4及びPET-30の総質量に対して0.005質量%)加え、インプリント用レプリカモールド材料RM-b9を調製した。本比較例のインプリント用レプリカモールド材料は、(C)成分の含有割合が、(A)成分と(B)成分との総質量100質量%に対し0.01質量%乃至1質量%の下限値未満である。
【0092】
[インプリント用レプリカモールドの作製]
実施例1乃至実施例26及び比較例1乃至比較例8で得られた各インプリント用レプリカモールド材料を、予めNOVEC(登録商標)1720(スリーエムジャパン(株)製)(以下、本明細書では「NOVEC1720」と略称する。)を用いて離型処理したニッケル製モールド(2mm径×300μm深さの凹レンズ型を縦3列×横5列の15個配置)へポッティングし、その上に石英ガラス基板を被せ、ナノインプリント装置NM-0801HB(明昌機工(株)製)を用いて光インプリントを行った。光インプリントは、常時23℃の条件で、a)10秒間かけて500Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて5000mJ/cm2の露光、c)10秒間かけて除圧、d)ニッケル製モールドと石英ガラス基板を分離して離型、というシーケンスで行い、当該石英ガラス基板上に凸レンズパターンを得た。その石英ガラス基板上に得られた凸レンズパターンを150℃のホットプレートで5分間加熱し、インプリント用レプリカモールドを得た。使用した前記石英ガラス基板は、予めKBM-5103(信越化学工業(株)製)をスピンコートし、150℃のホットプレートで5分間加熱することにより、密着処理を行ったものである。得られたインプリント用レプリカモールドについて、工業用顕微鏡 ECLIPSE L150((株)ニコン製)を用いて、凸レンズパターンの剥がれ・割れの有無を観察した。その結果を表1及び表2に示す。
【0093】
[レプリカモールドの離型処理]
前述の方法により得られたレプリカモールドのうち、凸レンズパターンの剥がれ・割れがいずれも観察されなかったレプリカモールドの凸レンズパターン表面上へ、NOVEC1720をスピンコートし、100℃のホットプレートで10分間加熱することにより、前記レプリカモールド表面を離型処理した。
【0094】
[インプリント材料の調製]
A-DOGを5g及びUM-90(1/3)DA(宇部興産(株)製)5gを混合し、その混合物にIRGACURE184を0.2g加え、インプリント材料を調製した。
【0095】
[レプリカモールドを用いた凹レンズパターンの作製]
調製したインプリント材料を、前述の密着処理を行った石英ガラス基板上へポッティングし、その上に前述の離型処理したレプリカモールドを被せ、ナノインプリント装置NM-0801HB(明昌機工(株)製)を用いて光インプリントを行った。光インプリントは、常時23℃の条件で、a)10秒間かけて500Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて5000mJ/cm2の露光、c)10秒間かけて除圧、d)レプリカモールドと石英ガラス基板を分離して離型、というシーケンスで行い、当該石英ガラス基板上に凹レンズパターンを得た。工業用顕微鏡 ECLIPSE L150((株)ニコン製)を用いて、得られた凹レンズパターンの剥がれ・割れの有無を観察した。その結果を表1及び表2に示す。
【0096】
[硬化膜の作製及び光学特性評価]
実施例1乃至実施例26及び比較例1乃至比較例8で得られた各インプリント用レプリカモールド材料を、0.5mm厚のシリコーンゴム製スペーサーとともに、NOVEC1720で表面処理をしたガラス基板2枚で挟み込んだ。この挟み込んだインプリント用レプリカモールド材料を、バッチ式UV照射装置(高圧水銀灯2kW×1灯)(アイグラフィックス(株)製)を用いて40mW/cm2で125秒間UV露光した。得られた硬化物を前記ガラス基板から剥離した後、150℃のホットプレートで5分間加熱することで、厚さ0.5mmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜の波長365nmにおける透過率を、分光光度計UV2600((株)島津製作所製)を用い、リファレンスを空気にした状態で測定した。その結果を表3及び表4に示す。
【0097】
[硬化膜のヤング率測定]
前述の厚さ0.5mmの硬化膜を5mm×60mmの短冊状にカットした。その短冊状硬化膜の両端15mmを治具に固定し、オートグラフAGX-500NX((株)島津製作所製)を用いて試験速度5mm/分で引っ張り試験を行い、変位0.5%から1%におけるヤング率を測定した。その結果を表3及び表4に示す。
【0098】
[硬化収縮率測定]
実施例1乃至実施例26及び比較例1乃至比較例8で得られた各インプリント用レプリカモールド材料(いずれも液体)、及び当該レプリカモールド材料から得られた前述の硬化膜について、乾式自動密度計アキュピック1330-01((株)島津製作所製)を用いて、密度を測定した。そして以下の式より、硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率=((硬化後の膜密度-硬化前のレプリカモールド材料の密度)/硬化後の膜密度)×100%
得られた結果を表3及び表4に示す。
【0099】
【0100】
【0101】
表1に示す結果より、実施例1乃至実施例26で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製されたレプリカモールドの凸レンズパターンは、割れ・剥がれがいずれも観察されなかった。また、得られたレプリカモールドを用い、光インプリントにより作製した凹レンズパターンにも、割れ・剥がれはいずれも観察されなかった。一方、表2に示す結果より、比較例2、比較例4及び比較例8で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製されたレプリカモールドには、割れ・剥がれの少なくとも一方が観察された。そして比較例3及び比較例7で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製されたレプリカモールドを用い、光インプリントにより作製した凹レンズパターンには、いずれも剥がれが観察された。
【0102】
表3に示す結果より、実施例1乃至実施例26で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製された硬化膜はいずれも、0.5mmの厚膜において、波長365nmにおける透過率が80%以上であり、紫外線領域における高い透明性が確認された。さらに、実施例1乃至実施例26で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製された硬化膜はいずれも、1.0GPa以上の高いヤング率を示し、硬化収縮率はいずれも8.5%以下と低い値を示した。一方、表4に示す結果より、比較例1乃至比較例8で調製されたインプリント用レプリカモールド材料から作製された硬化膜は、波長365nmにおける透過率が80%を下回るか、又はヤング率が1.0GPaを下回るか、又は硬化収縮率が8.5%を上回る結果となった。
【0103】
以上の結果から、本発明のインプリント用レプリカモールド材料は、光硬化時における硬化収縮率が低く、当該レプリカモールド材料から作製された成形体は、紫外線領域における高い透明性と、高ヤング率を同時に有するものとなる。