(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】制御装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 48/08 20090101AFI20220128BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20220128BHJP
H04W 28/08 20090101ALI20220128BHJP
【FI】
H04W48/08
H04W48/16 136
H04W28/08
(21)【出願番号】P 2018023695
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2017029278
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度総務省電波資源拡大のための研究開発事業「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~複数移動通信網の最適利用を実現する制御基盤技術に関する研究開発~」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 佑揮
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亨
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154246(JP,A)
【文献】特開2013-051610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 -H04B 7/26
H04W 4/00 -H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に前記端末装置が受ける効用が最大になるように前記複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する決定手段と、
前記決定された複数の選択指標に基づいて、前記複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する推定手段と、
前記決定された複数の選択指標と、前記推定された前記端末装置の個数と、前記複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、前記複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて前記通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、前記通信事業者が受ける効用が最大になるように前記複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する予測手段と、
前記予測されたインセンティブを前記複数の端末装置の全てのユーザに通知する通知手段とを備える制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記決定処理において、1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときの通信品質を加算した加算結果を前記端末装置が受ける効用として求める、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記1つの端末装置に付与されるインセンティブから前記1つの端末装置の通信費を減算したものを前記金銭的利益として求める、請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときのスループット、または前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を前記通信品質として用いて前記端末装置が受ける効用を求める、請求項
2または請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定手段は、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、前記決定処理を前記複数の端末装置の全てについて実行する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境は、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とを含み、
前記決定手段は、前記通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境において前記決定処理を実行する場合、前記第1の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときのスループットを加算した加算結果を前記端末装置が受ける第1の効用として求める第1の演算処理と、前記第2の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を加算した加算結果を前記端末装置が受ける第2の効用として求める第2の演算処理とのいずれかを実行し、前記第1の効用または前記第2の効用が最大になるように前記複数の端末装置の全てについて前記選択指標を決定する、請求項
5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記要求品質が異なる端末装置が混在する環境において前記決定処理を実行する場合、所望の台数の端末装置の前記無線通信網への接続を決定する毎に、前記無線通信網への接続を決定する対象となる端末装置の効用を含む集合から前記無線通信網への接続が決定された端末装置の効用を除外し、既に無線通信網への接続が決定された端末装置の無線通信網への接続状況に基づいて前記集合に含まれる効用を更新し、その更新した効用を昇順または降順にソートし、そのソートした効用に基づいて、各端末装置が受ける効用が最大になるように、前記所望の台数の端末装置の前記無線通信網への接続を決定する処理を前記集合が空になるまで繰り返し実行する、請求項
5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記予測されたインセンティブに代えて、前記複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を前記複数の端末装置の全てのユーザに通知する、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記複数の無線通信網は、
(1)前記複数の無線通信網の各々は、通信コストが必要な無線通信網
(2)前記複数の無線通信網の各々は、通信コストが不要な無線通信網
(3)前記複数の無線通信網は、通信コストが必要な無線通信網と通信コスト
が不要な無線通信網とを含む無線通信網
のいずれかである、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
決定手段が、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に前記端末装置が受ける効用が最大になるように前記複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する第1のステップと、
推定手段が、前記決定された複数の選択指標に基づいて、前記複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する第2のステップと、
予測手段が、前記決定された複数の選択指標と、前記推定された前記端末装置の個数と、前記複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、前記複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて前記通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、前記通信事業者が受ける効用が最大になるように前記複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する第3のステップと、
通知手段が、前記予測されたインセンティブを前記複数の端末装置の全てのユーザに通知する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
前記決定手段は、前記第1のステップの前記決定処理において、1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときの通信品質を加算した加算結果を前記端末装置が受ける効用として求める、請求項
10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記決定手段は、前記第1のステップにおいて、前記1つの端末装置に付与されるインセンティブから前記1つの端末装置の通信費を減算したものを前記金銭的利益として求める、請求項
11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記決定手段は、前記第1のステップの前記決定処理において、前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときのスループット、または前記複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を前記通信品質として用いて前記端末装置が受ける効用を求める、請求項
11または請求項
12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記決定手段は、前記第1のステップにおいて、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において前記決定処理を前記複数の端末装置の全てについて実行する、請求項
10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境は、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とを含み、
前記決定手段は、前記第1のステップにおいて、前記通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境において前記決定処理を実行する場合、前記第1の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときのスループットを加算した加算結果を前記端末装置が受ける第1の効用として求める第1の演算処理と、前記第2の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの前記1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と前記通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を前記金銭的利益に乗算し、その乗算結果に前記1つの無線通信網に前記端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を加算した加算結果を前記端末装置が受ける第2の効用として求める第2の演算処理とのいずれかを実行し、前記第1の効用または前記第2の効用が最大になるように前記複数の端末装置の全てについて前記選択指標を決定する、請求項
14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記決定手段は、前記第1のステップにおいて、前記要求品質が異なる端末装置が混在する環境において前記決定処理を実行する場合、所望の台数の端末装置の前記無線通信網への接続を決定する毎に、前記無線通信網への接続を決定する対象となる端末装置の集合から前記無線通信網への接続が決定された端末装置を除外して前記端末装置が受ける効用を更新し、その更新した効用を昇順または降順にソートし、そのソートした効用に基づいて、各端末装置が受ける効用が最大になるように、前記所望の台数の端末装置の前記無線通信網への接続を決定する処理を前記集合が空になるまで繰り返し実行する、請求項
14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記通知手段は、前記第4のステップにおいて、前記予測されたインセンティブに代えて、前記複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を前記複数の端末装置の全てのユーザに通知する、請求項
10から請求項
16のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
前記複数の無線通信網は、
(1)前記複数の無線通信網の各々は、通信コストが必要な無線通信網
(2)前記複数の無線通信網の各々は、通信コストが不要な無線通信網
(3)前記複数の無線通信網は、通信コストが必要な無線通信網と通信コスト
が不要な無線通信網とを含む無線通信網
のいずれかである、請求項
10から請求項
17のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項
10から請求項
18のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信(5G)システムでは、増加し続けるモバイルトラヒックを収容するため、既存のマクロセルを補完するフェムトセルおよびピコセル等の小規模なセルの利用が検討されている(非特許文献1)。
【0003】
さらに、無線LAN(Local Area Network)およびLTE(Long Term Evolution)で周波数を共用するLicensed Shared Access (LSA)(非特許文献2)、または移動通信網のスループットを向上させるために、移動通信網にWi-Fi網を併用することが検討されている(非特許文献3)。
【0004】
すなわち、通信サービスを提供する無線網が、被覆範囲または通信メディア、メディアアクセス制御などの観点で非均一であるという特徴がある。
【0005】
また、5Gシステムでは、ピーク時の通信性能の確保、またはユーザが要求する通信性能(例えば、スループット、遅延)に適した無線網を選択可能とするため、端末は、複数の無線通信メディアとの接続が可能であるという前提となっている。
【0006】
このような環境において、システム全体の通信品質を向上させるためには、個々の端末をどの無線網に収容するかを適切に決定することが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】J.G.Andrews, “Seven ways that hetnets are a cellular paradigm shift,” IEEE Communications Magazine, vol. 51, pp. 136-144, March 2013.
【文献】ETSI TS 103 235v1.1.1, “Reconfigurable and high level procedures for operation of Licensed Shared Access (LSA) in the 2300MHz-2400MHz band,” 2015年10月.
【文献】R. Guerra, “Carrier Wi-Fi: the next generation,” Ericsson Review, Ericsson, December 2013.
【文献】G.Bianchi, “Performance analysis of the IEEE802.11 distributed coordination function,” IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 18, no. 3, pp.535-547, March 2000.
【文献】H.Kim and Y.Han, “A proportional fair scheduling for multicarrier transmission systems,” IEEE Communications Letters, vol. 9, no. 3, pp. 210-212, March 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、最悪時においてもスループットを一定値以上に保つことを目的とし、移動通信網およびWi-Fi網への接続端末数を予め設定した閾値以下に制限するという方法が採られている。このとき、接続端末数の閾値は、事前評価を通して得られた値、または経験的に得られた値が用いられている。
【0009】
従って、より多くの端末を収容できる状況においても、接続端末数の制限により、網の利用効率が悪い、または必ずしもスループットの下限値が保証される訳ではないという問題がある。
【0010】
この発明の実施の形態によれば、事業者および端末の双方の制御目的関数を合理的に向上することを可能にする制御装置を提供する。
【0011】
また、この発明の実施の形態によれば、事業者および端末の双方の制御目的関数を合理的に向上することをコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0012】
更に、この発明の実施の形態によれば、事業者および端末の双方の制御目的関数を合理的に向上することをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、制御装置は、決定手段と、推定手段と、予測手段と、通知手段とを備える。決定手段は、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に端末装置が受ける効用が最大になるように複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する。
【0014】
推定手段は、決定手段によって決定された複数の選択指標に基づいて、複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する。
【0015】
予測手段は、決定された複数の選択指標と、推定された端末装置の個数と、複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、通信事業者が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する。
【0016】
通知手段は、予測されたインセンティブを複数の端末装置の全てのユーザに通知する。
【0017】
この発明の実施の形態による制御装置は、各端末装置の効用が最大になり、かつ、通信事業者の効用が最大になるように、全ての端末装置の各々に付与するインセンティブを予測し、その予測したインセンティブを複数の端末装置に通知するので、複数の端末装置のユーザは、インセンティブを参照して、接続する無線通信網を決定することができ、制御装置が予測した無線通信網に接続することを選択する。
【0018】
従って、通信事業者および端末装置の双方の制御目的関数を合理的に向上できる。
【0019】
(構成2)
構成1において、決定手段は、決定処理において、端末装置が受ける効用を複数の無線通信網について求め、その求めた複数の効用のうち、端末装置が受ける効用の期待値である期待効用よりも大きく、かつ、最大の効用を求め、その求めた最大の効用が得られる無線通信網に端末装置を接続することを選択するように選択指標を決定する。
【0020】
構成2によれば、端末装置が受ける効用が期待効用よりも大きく、かつ、最大の効用が得られる無線通信網に端末装置を接続することを選択するように選択指標を決定するので、効用の面において各端末装置に最適な無線通信網を選択できる。
【0021】
(構成3)
構成1または構成2において、決定手段は、決定処理において、1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときの通信品質を加算した加算結果を端末装置が受ける効用として求める。
【0022】
構成3によれば、金銭的利益と通信品質との両方を考慮して各端末装置が受ける効用を決定できる。
【0023】
(構成4)
構成3において、決定手段は、1つの端末装置に付与されるインセンティブから1つの端末装置の通信費を減算したものを金銭的利益として求める。
【0024】
構成4によれば、通信費を超えるインセンティブが付与されるように端末装置が接続することを選択する無線通信網を決定できる。
【0025】
(構成5)
構成3または構成4において、決定手段は、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときのスループット、または複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を通信品質として用いて端末装置が受ける効用を求める。
【0026】
構成5によれば、スループットまたは遅延量を目的として各端末装置の効用を求めることができる。
【0027】
(構成6)
構成1において、決定手段は、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する。
【0028】
構成6によれば、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0029】
(構成7)
構成6において、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境は、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とを含む。決定手段は、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境において決定処理を実行する場合、第1の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときのスループットを加算した加算結果を端末装置が受ける第1の効用として求める第1の演算処理と、第2の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を加算した加算結果を端末装置が受ける第2の効用として求める第2の演算処理とのいずれかを実行し、第1の効用または第2の効用が最大になるように複数の端末装置の全てについて選択指標を決定する。
【0030】
構成7によれば、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とが混在する環境において、複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0031】
(構成8)
構成6において、決定手段は、要求品質が異なる端末装置が混在する環境において決定処理を実行する場合、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する毎に、無線通信網への接続を決定する対象となる端末装置の効用を含む集合から無線通信網への接続が決定された端末装置の効用を除外し、既に無線通信網への接続が決定された端末装置の無線通信網への接続状況に基づいて集合に含まれる効用を更新し、その更新した効用を昇順または降順にソートし、そのソートした効用に基づいて、各端末装置が受ける効用が最大になるように、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する処理を集合が空になるまで繰り返し実行する。
【0032】
構成8によれば、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する毎に、端末装置の効用を更新しながら、各端末装置が受ける効用が最大になるように、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する処理を集合が空になるまで繰り返し実行するので、通信容量の向上を目的とする端末装置と通信の低遅延化を目的とする端末装置とが混在し、端末装置の効用を求める複数の方法が混在していても、各端末装置が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0033】
(構成9)
構成1から構成8のいずれかにおいて、通知手段は、予測されたインセンティブに代えて、複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を複数の端末装置の全てのユーザに通知する。
【0034】
構成9によれば、複数の端末装置のユーザは、複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を知ることができるので、接続される端末装置の個数の少ない順に、各無線通信網に接続される端末装置が決定され、複数の無線通信網に接続される端末装置を迅速に決定できる。
【0035】
(構成10)
構成1から構成9のいずれかにおいて、複数の無線通信網は、
(1)複数の無線通信網の各々は、通信コストが必要な無線通信網
(2)複数の無線通信網の各々は、通信コストが不要な無線通信網
(3)複数の無線通信網は、通信コストが必要な無線通信網と通信コストが不要な
無線通信網とを含む無線通信網
のいずれかである。
【0036】
構成10によれば、無線通信網の通信コストの要否に拘わらず、複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測できる。
【0037】
(構成11)
また、この発明の実施の形態によるプログラムは、
決定手段が、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に端末装置が受ける効用が最大になるように複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する第1のステップと、
推定手段が、決定された複数の選択指標に基づいて、複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する第2のステップと、
予測手段が、決定された複数の選択指標と、推定された前記端末装置の個数と、複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、通信事業者が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する第3のステップと、
通知手段が、予測されたインセンティブを複数の端末装置の全てのユーザに通知する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0038】
この発明の実施の形態によるプログラムをコンピュータに実行させることによって、各端末装置の効用が最大になり、かつ、通信事業者の効用が最大になるように、全ての端末装置の各々に付与するインセンティブを予測し、その予測したインセンティブを複数の端末装置に通知するので、複数の端末装置のユーザは、インセンティブを参照して、接続する無線通信網を決定することができ、制御装置が予測した無線通信網に接続することを選択する。
【0039】
従って、通信事業者および端末装置の双方の制御目的関数を合理的に向上できる。
【0040】
(構成12)
構成11において、決定手段は、第1のステップの決定処理において、端末装置が受ける効用を複数の無線通信網について求め、その求めた複数の効用のうち、端末装置が受ける効用の期待値である期待効用よりも大きく、かつ、最大の効用を求め、その求めた最大の効用が得られる無線通信網に端末装置を接続することを選択するように選択指標を決定する。
【0041】
構成12によれば、端末装置が受ける効用が期待効用よりも大きく、かつ、最大の効用が得られる無線通信網に端末装置を接続することを選択するように選択指標を決定するので、効用の面において各端末装置に最適な無線通信網を選択できる。
【0042】
(構成13)
構成11または構成12において、決定手段は、第1のステップの決定処理において、1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときの通信品質を加算した加算結果を端末装置が受ける効用として求める。
【0043】
構成13によれば、金銭的利益と通信品質との両方を考慮して各端末装置が受ける効用を決定できる。
【0044】
(構成14)
構成13において、決定手段は、第1のステップにおいて、1つの端末装置に付与されるインセンティブから1つの端末装置の通信費を減算したものを金銭的利益として求める。
【0045】
構成14によれば、通信費を超えるインセンティブが付与されるように端末装置が接続することを選択する無線通信網を決定できる。
【0046】
(構成15)
構成13または構成14において、決定手段は、第1のステップの決定処理において、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときのスループット、または複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を通信品質として用いて端末装置が受ける効用を求める。
【0047】
構成15によれば、スループットまたは遅延量を目的として各端末装置の効用を求めることができる。
【0048】
(構成16)
構成11において、決定手段は、第1のステップにおいて、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する。
【0049】
構成16によれば、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0050】
(構成17)
構成16において、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境は、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とを含む。決定手段は、第1のステップにおいて、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境において決定処理を実行する場合、第1の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と前記1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときのスループットを加算した加算結果を端末装置が受ける第1の効用として求める第1の演算処理と、第2の通信路を有する1つの無線通信網に1つの端末装置を接続したときの1つの端末装置の通信費と1つの端末装置に付与されるインセンティブとに基づいて得られる金銭的利益と通信品質とのいずれを重要視するかを示す定数を金銭的利益に乗算し、その乗算結果に1つの無線通信網に端末装置を接続したときの待ち行列モデルを用いた遅延量の逆数を加算した加算結果を端末装置が受ける第2の効用として求める第2の演算処理とのいずれかを実行し、第1の効用または第2の効用が最大になるように複数の端末装置の全てについて選択指標を決定する。
【0051】
構成17によれば、通信容量の向上を目的とする第1の通信路と、通信の低遅延化を目的とする第2の通信路とが混在する環境において、複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0052】
(構成18)
構成16において、決定手段は、第1のステップにおいて、要求品質が異なる端末装置が混在する環境において決定処理を実行する場合、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する毎に、無線通信網への接続を決定する対象となる端末装置の集合から無線通信網への接続が決定された端末装置を除外して端末装置が受ける効用を更新し、その更新した効用を昇順または降順にソートし、そのソートした効用に基づいて、各端末装置が受ける効用が最大になるように、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する処理を集合が空になるまで繰り返し実行する。
【0053】
構成18によれば、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する毎に、端末装置の効用を更新しながら、各端末装置が受ける効用が最大になるように、所望の台数の端末装置の無線通信網への接続を決定する処理を集合が空になるまで繰り返し実行するので、通信容量の向上を目的とする端末装置と通信の低遅延化を目的とする端末装置とが混在し、端末装置の効用を求める複数の方法が混在していても、各端末装置が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の選択指標を決定できる。
【0054】
(構成19)
構成11から構成18のいずれかにおいて、通知手段は、第4のステップにおいて、予測されたインセンティブに代えて、複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を複数の端末装置の全てのユーザに通知する。
【0055】
構成19によれば、複数の端末装置のユーザは、複数の無線通信網の各々に接続される端末装置の個数を知ることができるので、接続される端末装置の個数の少ない順に、各無線通信網に接続される端末装置が決定され、複数の無線通信網に接続される端末装置を迅速に決定できる。
【0056】
(構成20)
構成11から構成19のいずれかにおいて、複数の無線通信網は、
(1)複数の無線通信網の各々は、通信コストが必要な無線通信網
(2)複数の無線通信網の各々は、通信コストが不要な無線通信網
(3)複数の無線通信網は、通信コストが必要な無線通信網と通信コストが不要な
無線通信網とを含む無線通信網
のいずれかである。
【0057】
構成20によれば、無線通信網の通信コストの要否に拘わらず、複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測できる。
【0058】
更に、この発明の実施の形態による記録媒体は、構成11から構成20のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0059】
従って、通信事業者および端末装置の双方の制御目的関数を合理的に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】この発明の実施の形態における無線通信環境を説明するための概念図である。
【
図2】
図1に示す制御装置の実施の形態1における構成図である。
【
図3】
図2に示す制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図3のステップS1の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4のステップS18の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図1に示す制御装置の実施の形態1における別の構成図である。
【
図7】
図6に示す決定手段による選択指標の具体的な決定方法を示す図である。
【
図8】
図6に示す制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図8のステップS1Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図1に示す制御装置の実施の形態2における構成図である。
【
図11】無線通信網b
1と無線通信網b
2との組み合わせを示す図である。
【
図12】
図10に示す制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図12のステップS1Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図10に示す制御装置の動作を説明するための別のフローチャートである。
【
図15】
図14のステップS1Cの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0062】
図1は、この発明の実施の形態における無線通信環境を説明するための概念図である。
図1を参照して、n(nは2以上の整数)個の無線通信網WLC1~WLCnが存在する。無線通信網WLC1~WLCnには、それぞれ、無線局1~nが存在する。
【0063】
例えば、無線通信網WLC3は、無線通信網WLC1の通信範囲内に存在する。従って、無線通信網WLC1~WLCnは、相互に通信範囲が同じまたは異なる。
【0064】
また、m(mは2以上の整数)個の端末装置11~1mが存在する。m個の端末装置11~1mの各々は、無線通信を行う場合、n個の無線通信網WLC1~WLCnのいずれか(即ち、無線局1~nのいずれか)に接続して無線通信を行う。
【0065】
このように、n個の無線通信網WLC1~WLCnおよびm個の端末装置11~1mが存在する状況において、この発明の実施の形態による制御装置100は、後述する方法によって、端末装置11~1mの各々が無線通信網WLC1~WLCnのいずれに接続するのが良いかを制御する。
【0066】
[実施の形態1]
図2は、
図1に示す制御装置100の実施の形態1における構成図である。
図2を参照して、制御装置100は、決定手段101と、推定手段102と、予測手段103と、通知手段104とを備える。
【0067】
決定手段101は、後述する方法によって、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブを用いて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続した場合に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)が受ける効用を求め、その求めた複数の効用のうち最大の効用が得られるように複数の無線通信網WLC1~WLCnのいずれに端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続すべきかを示す選択指標を複数の端末装置11~1mの全てについて決定する。
【0068】
そして、決定手段101は、その決定した複数の選択指標を推定手段102および予測手段103へ出力する。
【0069】
推定手段102は、複数の選択指標を決定手段101から受ける。そして、推定手段102は、後述する方法によって、複数の選択指標に基づいて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続することを選択する端末装置(端末装置11~1mの一部)の個数を推定する。そうすると、推定手段102は、その推定した端末装置の個数を予測手段103へ出力する。
【0070】
予測手段103は、決定手段101から複数の選択指標を受け、推定手段102から端末装置の個数を受ける。そして、予測手段103は、複数の選択指標と端末装置の個数とを用いて、後述する方法によって、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入から複数の端末装置11~1mの全てに付与されるインセンティブを減算した結果である通信事業者の効用が最大になるように複数の端末装置11~1mの各々に付与されるインセンティブを予測する。そうすると、予測手段103は、その予測した複数の端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブを通知手段104へ出力する。
【0071】
通知手段104は、予測手段103から複数のインセンティブを受け、その受けた複数のインセンティブを複数の端末装置11~1mの全てに送信する。これによって、複数のインセンティブは、複数の端末装置11~1mの全てのユーザに通知される。
【0072】
決定手段101における複数の選択指標の決定方法、推定手段102における無線通信網の各々に接続される端末装置(端末装置11~1mの一部)の個数の推定方法および予測手段103における複数の端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブの予測方法について説明する。
【0073】
複数の選択指標の決定方法、端末装置(端末装置11~1mの一部)の個数の推定方法および複数のインセンティブの予測方法の説明に用いる記号と記号の説明とを表1に示す。
【0074】
【0075】
表1において、インセンティブri,bは、例えば、ポイント等の金銭的なインセンティブ、通信費の動的な設定、および無線通信網への接続許可等である。そして、インセンティブri,bは、負のインセンティブも含む。即ち、負のインセンティブri,bは、無線通信網b以外の無線通信網へ接続することを推奨することと同義である。
【0076】
決定手段101における複数の選択指標の決定方法について説明する。
【0077】
インセンティブri,bが提示された場合の端末装置11~1mの利己的な振る舞いを予測するモデルを定義する。
【0078】
端末装置i(i=11~1m)は、時刻tにおいて、通信事業者から無線通信網bに接続するインセンティブとしてri,bが提示されたとき、無線通信網bに接続したときの効用Ui,bが最大となるような無線通信網b∈Bを合理的に選択し、無線通信網bに接続する。
【0079】
xi,bは、端末装置iの無線通信網の選択を表す変数(選択指標)であり、端末装置iが無線通信網bに接続する場合に”1”に設定され、端末装置iが無線通信網bに接続しない場合に”0”に設定される。
【0080】
但し、端末装置11~1mの各々が1つの無線通信網にのみ接続するとした場合、xi,bを集合Bに含まれる全ての無線通信網について合計した値は、“1”である。つまり、接続した無線通信網bに関してxi,b=1となり、その以外の網b’については、xi,b=0となる。
【0081】
このように、xi,bは、“1”または“0”の値を取るが、変数としては、概念上、“0”と“1”との間の値も取り得る。
【0082】
時刻tにおける効用Ui,b(t)は、次式によって表される。
【0083】
【0084】
従って、効用の期待値である期待効用は、次式によってモデル化される。
【0085】
【0086】
式(2)において、fi,b(t)は、端末装置iが無線通信網bに接続した場合のスループットである。γi,bは、端末装置iが無線通信網bに接続した場合の通信コスト、つまり、スループット当たりの通信費である。ri,bは、通信事業者から提示される無線通信網bに接続したときのインセンティブである。
【0087】
αiは、端末装置iもしくはその利用者が無線通信網の選択に際して、スループット等の通信品質と、通信費またはインセンティブ等を含む費用のどちらを重要視するかを示す定数である。αiが大きいほど、費用を重要視することを示す。
【0088】
なお、式(2)の右辺の(ri,b(t)-γi,bfi,b(t))の項は、負になることもある。
【0089】
式(2)におけるスループットfi,b(t)は、無線通信網bに接続している端末装置の個数nb(t)と、端末装置iが無線通信網bに接続した場合の無線品質とを用いて導出される。例えば、無線通信網bがWi-Fi網である場合、非特許文献4に示されている解析モデルを用いてスループットfi,b(t)を求めることができる。また、無線通信網bがLTE(Long Term Evolution)網等の移動通信網である場合、非特許文献5に示されている解析モデルを用いてスループットfi,b(t)を求めることができる。
【0090】
また、式(2)におけるαiは、上述したように定数であり、予め既知であり、γi,b(t)は、端末装置iが無線通信網bに接続した場合の通信費であるので、既知である。
【0091】
更に、式(2)におけるri,b(t)は、通信事業者から付与されるインセンティブであり、既知である。
【0092】
従って、効用Ui,b(t)が最大になるように無線通信網b∈Bを合理的に選択し、xi,b(t)を決定できる。
【0093】
端末装置iが無線通信網bに接続した場合の無線品質は、無線通信網側で計測可能であるが、一方、無線通信網bに接続される端末装置の個数nb(t)については、端末装置iが、どの無線通信網に接続するかを予測することで導出する。
【0094】
端末装置の個数nb(t)は、次式によって導出される。
【0095】
【0096】
各無線通信網に接続する端末装置の個数nb(t)を推定するためには、端末装置の無線通信網の選択指標xi,b(t)を推定する必要がある。
【0097】
端末装置の無線通信網の選択の変化を次式のようにモデル化することで端末装置の振る舞いを推定する。
【0098】
【0099】
式(4)において、Ui,b(t)は、端末装置iが無線通信網bを選択したときの効用である。また、Ui(t)は、端末装置iの平均効用である。
【0100】
そして、端末装置iが無線通信網bに接続したときの効用が、端末装置iが他の無線通信網に接続したときの平均的な効用よりも大きい場合、無線通信網bに接続することを選択し、端末装置iが他の無線通信網に接続したときの平均的な効用以下である場合、無線通信網b以外の無線通信網に接続することを選択する。
【0101】
つまり、式(4)を用いて、ある無線通信網bに接続したときの端末装置iの効用が最大になるように選択指標xi,b(t)を推定する。
【0102】
端末装置iは、式(4)において、dxi,b(t)/dt≠0である限り、無線通信網の選択を変更する。つまり、dxi,b(t)/dt=0となったときが、端末装置iの無線通信網の選択値である。
【0103】
従って、式(4)において、dxi,b(t)/dt=0を解くことにより、端末装置iの無線通信網の選択指標xi,b(t)を求める。
【0104】
そして、その求めた選択指標xi,b(t)を式(3)に代入して無線通信網bに接続される端末装置iの個数nb(t)を推定する。
【0105】
これによって、通信事業者がインセンティブri,b(t)を提示したときに無線通信網bに接続する端末装置iの個数nb(t)をモデル化できる。
【0106】
従って、決定手段101は、式(1)および式(2)を式(4)に代入し、dxi,b(t)/dt=0を解くことにより、端末装置iの無線通信網の選択指標xi,b(t)を決定する。この場合、決定手段101は、端末装置11~1mの全てについて選択指標xi,b(t)を決定する。
【0107】
また、推定手段102は、決定手段101から選択指標xi,b(t)を受け、その受けた選択指標xi,b(t)を式(3)に代入して、無線通信網bに接続する端末装置iの個数nb(t)を推定する。
【0108】
次に、予測手段103における複数の端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブの予測方法について説明する。
【0109】
目的関数の例として、通信事業者の利益の最大化を用いる。通信事業者の目的関数を期待効用として、次式のとおりモデル化する。
【0110】
【0111】
式(5)の右辺第一項は、無線通信網bに接続した全ての端末装置iから通信事業者が得ることができる通信収入であり、第二項は、端末装置iに付与するインセンティブの総量である。
【0112】
無線通信網bに接続したときのみ、xi,b(t)=1となり、無線通信網bに接続しないとき、xi,b(t)=0となる。従って、通信事業者が端末装置iから得られる通信収入は、xi,b(t)γi,bfi,b(t)を集合Bに含まれる全ての無線通信網bについて加算したものである。
【0113】
同様に、端末装置iに付与するインセンティブは、xi,b(t)ri,b(t)を集合Bに含まれる全ての無線通信網bについて加算したものである。
【0114】
従って、通信事業者は、式(5)のJ(t)(ri,b(t);xi,b(t))i∈N,b∈Bをインセンティブriに関する関数とみなし、J(ri,b(t))i∈N,b∈Bが最大になるようにインセンティブri,b(t)を決めることにより、通信事業者自身の効用を最大化することができると同時に、通信事業者自身の効用を最大化するように無線通信網bに接続する端末数を制御することができる。
【0115】
その結果、予測手段103は、決定手段101から選択指標xi,b(t)を受け、推定手段102から端末装置の個数nb(t)を受け、選択指標xi,b(t)および端末装置の個数nb(t)を用いて、式(5)におけるJ(ri,b(t))i∈N,b∈Bが最大になるようにインセンティブri,b(t)を予測する。
【0116】
この場合、予測手段103は、端末装置の個数nb(t)分だけ、xi,b(t)γi,bfi,b(t)を加算するとともに、端末装置の個数nb(t)分だけ、xi,b(t)ri,b(t)を加算する。
【0117】
この発明の実施の形態においては、複数の無線通信網WLC1~WLCnは、次の(1)~(3)のいずれかに示す無線通信網である。
【0118】
(1)複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々は、通信コストが必要な無線通信網
(2)複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々は、通信コストが不要な無線通信網
(3)複数の無線通信網WLC1~WLCnは、通信コストが必要な無線通信網と通信コストが不要な無線通信網とを含む無線通信網
そして、複数の無線通信網WLC1~WLCnが(1)の無線通信網からなる場合、上述したγiは、所定の値に設定される。
【0119】
また、複数の無線通信網WLC1~WLCnが(2)の無線通信網からなる場合、上述したγiは、γi=0に設定される。
【0120】
更に、複数の無線通信網WLC1~WLCnが(3)の無線通信網からなる場合、接続することを選択した無線通信網が通信コストを要する無線通信網であれば、γiは、所定の値に設定され、接続することを選択した無線通信網が通信コストを要しない無線通信網であれば、γiは、γi=0に設定される。
【0121】
従って、制御装置100は、複数の無線通信網WLC1~WLCnが(1)~(3)のいずれの無線通信網である場合も、上述した方法によって端末装置iに付与するインセンティブri,b(t)を予測する。
【0122】
制御装置100によって端末装置iに付与するインセンティブri,b(t)の予測を具体的な無線通信網を用いて説明する。
【0123】
[無線通信網が2個である場合]
2個の無線通信網として、Wi-Fi網と、移動通信網(LTE)とを想定し、端末装置iとして、2個の端末装置11,12を想定する。
【0124】
(I)Wi-Fi網および移動通信網(LTE)の両方が通信コストを要する場合
端末装置11がWi-Fi網に接続した場合の端末装置11の効用U11,WiFi(t)_Iは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0125】
【0126】
また、端末装置11が移動通信網(LTE)に接続した場合の端末装置11の効用U11,LTE(t)_Iは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0127】
【0128】
更に、平均効用U11(t)_Iは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0129】
【0130】
そして、U11,WiFi(t)_IおよびU11(t)_Iを式(4)に代入して、dx11,WiFi(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11のWi-Fi網の選択指標x11,WiFi(t)を決定する。またはU11,LTE(t)_IおよびU11(t)_Iを式(4)に代入して、dx11,LTE(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の移動通信網(LTE)の選択指標x11,LTE(t)を決定する。
【0131】
つまり、U11,WiFi(t)_IがU11(t)_Iよりも大きい場合、x11,WiFi(t)=1に設定され、x11,LTE(t)=0に設定される。
【0132】
一方、U11,WiFi(t)_IがU11(t)_Iよりも大きくない場合、x11,WiFi(t)=0に設定され、x11,LTE(t)=1に設定される。つまり、U11,WiFi(t)_IがU11(t)_Iよりも大きくない場合、端末装置11は、移動通信網(LTE)に接続することを選択する。
【0133】
また、U11,LTE(t)_IがU11(t)_Iよりも大きい場合、x11,LTE(t)=1に設定され、x11,WiFi(t)=0に設定される。
【0134】
一方、U11,LTE(t)_IがU11(t)_Iよりも大きくない場合、x11,LTE(t)=0に設定され、x11,WiFi(t)=1に設定される。つまり、U11,LTE(t)_IがU11(t)_Iよりも大きくない場合、端末装置11は、Wi-Fi網に接続することを選択する。
【0135】
なお、U11,WiFi(t)_IがU11(t)_Iよりも大きく、かつ、U11,LTE(t)_IがU11(t)_Iよりも大きい場合、U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iのうちの大きい方の効用が選択され、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網に接続することを選択する。
【0136】
従って、効用U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iのうちのいずれか一方が平均効用U11(t)_Iよりも大きい場合、平均効用U11(t)_Iよりも大きい効用(U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iのうちのいずれか)が選択される。
【0137】
そして、効用U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iの両方が平均効用U11(t)_Iよりも大きい場合、効用U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iのうち、最大の効用が選択される。
【0138】
なお、U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iが相互に同じである場合、U11,WiFi(t)_IおよびU11,LTE(t)_Iのうちの任意の効用が選択される。
【0139】
平均効用U11(t)_Iよりも大きい端末装置11の効用が選択されると、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網(Wi-Fi網および移動通信網(LTE)のいずれか)に接続することを選択する。つまり、選択指標x11,b(t)がx11,WiFi(t)=1(即ち、x11,LTE(t)=0)またはx11,LTE(t)=1(即ち、x11,WiFi(t)=0)に決定される。
【0140】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WiFi(t)=1(即ち、x12,LTE(t)=0)またはx12,LTE(t)=1(即ち、x12,WiFi(t)=0)に決定する。
【0141】
ここでは、x11,WiFi(t)=1(即ち、x11,LTE(t)=0)、x12,LTE(t)=1(即ち、x12,WiFi(t)=0)に決定されるものとする。
【0142】
そうすると、Wi-Fi網に接続される端末装置の個数nWiFi(t)は、式(3)より、nWiFi(t)=x11,WiFi(t)+x12,WiFi(t)=1+0=1になる。
【0143】
また、移動通信網(LTE)に接続される端末装置の個数nLTE(t)は、式(3)より、nLTE(t)=x11,LTE(t)+x12,LTE(t)=0+1=1になる。
【0144】
その結果、通信事業者の効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_Iは、式(5)を用いると、次式のようになる。
【0145】
【0146】
そして、J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_Iが最大になるように、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0147】
(II)Wi-Fi網および移動通信網(LTE)の両方が通信コストを要しない場合
端末装置11がWi-Fi網に接続した場合の端末装置11の効用U11,WiFi(t)_IIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0148】
【0149】
また、端末装置11が移動通信網(LTE)に接続した場合の端末装置11の効用U11,LTE(t)_IIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0150】
【0151】
更に、平均効用U11(t)_IIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0152】
【0153】
そして、U11,WiFi(t)_IIおよびU11(t)_IIを式(4)に代入して、dx11,WiFi(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11のWi-Fi網の選択指標x11,WiFi(t)を決定する。またはU11,LTE(t)_IIおよびU11(t)_IIを式(4)に代入して、dx11,LTE(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の移動通信網(LTE)の選択指標x11,LTE(t)を決定する。
【0154】
つまり、U11,WiFi(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きい場合、x11,WiFi(t)=1に設定され、x11,LTE(t)=0に設定される。
【0155】
一方、U11,WiFi(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きくない場合、x11,WiFi(t)=0に設定され、x11,LTE(t)=1に設定される。つまり、U11,WiFi(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きくない場合、端末装置11は、移動通信網(LTE)に接続することを選択する。
【0156】
また、U11,LTE(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きい場合、x11,LTE(t)=1に設定され、x11,WiFi(t)=0に設定される。
【0157】
一方、U11,LTE(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きくない場合、x11,LTE(t)=0に設定され、x11,WiFi(t)=1に設定される。つまり、U11,LTE(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きくない場合、端末装置11は、Wi-Fi網に接続することを選択する。
【0158】
なお、U11,WiFi(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きく、かつ、U11,LTE(t)_IIがU11(t)_IIよりも大きい場合、U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIのうちの大きい方の効用が選択され、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網に接続することを選択する。
【0159】
従って、効用U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIのうちのいずれか一方が平均効用U11(t)_IIよりも大きい場合、平均効用U11(t)_IIよりも大きい効用(U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIのうちのいずれか)が選択される。
【0160】
そして、効用U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIの両方が平均効用U11(t)_IIよりも大きい場合、効用U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIのうち、最大の効用が選択される。
【0161】
なお、U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIが相互に同じである場合、U11,WiFi(t)_IIおよびU11,LTE(t)_IIの任意の効用が選択される。
【0162】
平均効用U11(t)_IIよりも大きい端末装置11の効用が選択されると、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網(Wi-Fi網および移動通信網(LTE)のいずれか)に接続することを選択する。つまり、選択指標x11,b(t)がx11,WiFi(t)=1(即ち、x11,LTE(t)=0)またはx11,LTE(t)=1(即ち、x11,WiFi(t)=0)に決定される。
【0163】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WiFi(t)=1(即ち、x12,LTE(t)=0)またはx12,LTE(t)=1(即ち、x12,WiFi(t)=0)に決定する。
【0164】
その後、(I)における方法と同じ方法によって、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0165】
(III)Wi-Fi網が通信コストを不要であり、移動通信網(LTE)が通信コストを要する場合
端末装置11がWi-Fi網に接続した場合の端末装置11の効用U11,WiFi(t)_IIIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0166】
【0167】
また、端末装置11が移動通信網(LTE)に接続した場合の端末装置11の効用U11,LTE(t)_IIIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0168】
【0169】
更に、平均効用U11(t)_IIIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0170】
【0171】
そして、U11,WiFi(t)_IIIおよびU11(t)_IIIを式(4)に代入して、dx11,WiFi(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11のWi-Fi網の選択指標x11,WiFi(t)を決定する。またはU11,LTE(t)_IIIおよびU11(t)_IIIを式(4)に代入して、dx11,LTE(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の移動通信網(LTE)の選択指標x11,LTE(t)を決定する。
【0172】
つまり、U11,WiFi(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きい場合、x11,WiFi(t)=1に設定され、x11,LTE(t)=0に設定される。
【0173】
一方、U11,WiFi(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きくない場合、x11,WiFi(t)=0に設定され、x11,LTE(t)=1に設定される。つまり、U11,WiFi(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きくない場合、端末装置11は、移動通信網(LTE)に接続することを選択する。
【0174】
また、U11,LTE(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きい場合、x11,LTE(t)=1に設定され、x11,WiFi(t)=0に設定される。
【0175】
一方、U11,LTE(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きくない場合、x11,LTE(t)=0に設定され、x11,WiFi(t)=1に設定される。つまり、U11,LTE(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きくない場合、端末装置11は、Wi-Fi網に接続することを選択する。
【0176】
なお、U11,WiFi(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きく、かつ、U11,LTE(t)_IIIがU11(t)_IIIよりも大きい場合、U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIのうちの大きい方の効用が選択され、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網に接続することを選択する。
【0177】
従って、効用U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIのうちのいずれか一方が平均効用U11(t)_IIIよりも大きい場合、平均効用U11(t)_IIIよりも大きい効用(U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIのうちのいずれか)が選択される。
【0178】
そして、効用U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIの両方が平均効用U11(t)_IIIよりも大きい場合、効用U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIのうち、最大の効用が選択される。
【0179】
なお、U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIが相互に同じである場合、U11,WiFi(t)_IIIおよびU11,LTE(t)_IIIのうちの任意の効用が選択される。
【0180】
平均効用U11(t)_IIIよりも大きい端末装置11の効用が選択されると、端末装置11は、その選択された効用が得られる無線通信網(Wi-Fi網および移動通信網(LTE)のいずれか)に接続することを選択する。つまり、選択指標x11,b(t)がx11,WiFi(t)=1(即ち、x11,LTE(t)=0)またはx11,LTE(t)=1(即ち、x11,WiFi(t)=0)に決定される。
【0181】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WiFi(t)=1(即ち、x12,LTE(t)=0)またはx12,LTE(t)=1(即ち、x12,WiFi(t)=0)に決定する。
【0182】
その後、(I)における方法と同じ方法によって、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0183】
なお、Wi-Fi網が通信コストを要し、移動通信網(LTE)が通信コストを要しない場合も、同様にして、選択指数xi,WiFi(t),xi,LTE(t)が予測され、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0184】
(I)~(III)においては、2個の端末装置11,12を用いて、端末装置11,12に付与されるインセンティブri,b(t)を予測する具体例について説明したが、m個の端末装置11~1mのインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)も、同様にして予測される。
【0185】
[無線通信網が3個である場合]
3個の無線通信網として、無線通信網WLC1~WLC3を想定し、端末装置iとして、2個の端末装置11,12を想定する。
(IV)無線通信網WLC1~WLC3の各々が通信コストを要する場合
端末装置11が無線通信網WLC1に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC1(t)_IVは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0186】
【0187】
また、端末装置11が無線通信網WLC2に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC2(t)_IVは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0188】
【0189】
更に、端末装置11が無線通信網WLC3に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC3(t)_IVは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0190】
【0191】
更に、平均効用U11(t)_IVは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0192】
【0193】
そして、U11,WLC1(t)_IVおよびU11(t)_IVを式(4)に代入して、dx11,WLC1(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC1の選択指標x11,WLC1(t)を決定する。
【0194】
また、U11,WLC2(t)_IVおよびU11(t)_IVを式(4)に代入して、dx11,WLC2(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC2の選択指標x11,WLC2(t)を決定する。
【0195】
また、U11,WLC3(t)_IVおよびU11(t)_IVを式(4)に代入して、dx11,WLC3(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC3の選択指標x11,WLC3(t)を決定する。
【0196】
つまり、U11,WLC1(t)_IV,U11,WLC2(t)_IV,U11,WLC3(t)_IVのいずれかがU11(t)_IVよりも大きい場合、U11(t)_IVよりも大きい効用(U11,WLC1(t)_IV,U11,WLC2(t)_IV,U11,WLC3(t)_IVのいずれか)が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0197】
また、U11,WLC1(t)_IV,U11,WLC2(t)_IV,U11,WLC3(t)_IVのうちの複数の効用がU11(t)_IVよりも大きい場合、その複数の効用のうちの最大の効用が選択される。そして、最大の効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bは、WLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0198】
なお、U11(t)_IVよりも大きい複数の効用が相互に同じである場合、複数の効用のうちの任意の効用が選択される。そして、その選択された効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0199】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WLC1(t)=1(即ち、x12,WLC2(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC2(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC3(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC2(t)=0)に決定する。
【0200】
ここでは、x11,WLC1(t)=1(即ち、x11,WLC2(t)=x11,WLC3(t)=0)、x12,WLC3(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC2(t)=0)に設定されるものとする。
【0201】
そうすると、無線通信網WLC1に接続される端末装置の個数nWLC1(t)は、式(3)より、nWLC1(t)=x11,WLC1(t)+x12,WLC1(t)=1+0=1になる。
【0202】
また、無線通信網WLC2に接続される端末装置の個数nWLC2(t)は、式(3)より、nWLC2(t)=x11,WLC2(t)+x12,WLC2(t)=0+0=0になる。
【0203】
更に、無線通信網WLC3に接続される端末装置の個数nWLC3(t)は、式(3)より、nWLC3(t)=x11,WLC3(t)+x12,WLC3(t)=0+1=1になる。
【0204】
その結果、通信事業者の効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_IVは、式(5)を用いると、次式のようになる。
【0205】
【0206】
そして、J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_IVが最大になるように、インセンティブr11,WLC1(t),r12,WLC3(t)が予測される。
【0207】
(V)無線通信網WLC1~WLC3の各々が通信コストを要しない場合
端末装置11が無線通信網WLC1に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC1(t)_Vは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0208】
【0209】
また、端末装置11が無線通信網WLC2に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC2(t)_Vは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0210】
【0211】
更に、端末装置11が無線通信網WLC3に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC3(t)_Vは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0212】
【0213】
更に、平均効用U11(t)_Vは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0214】
【0215】
そして、U11,WLC1(t)_VおよびU11(t)_Vを式(4)に代入して、dx11,WLC1(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC1の選択指標x11,WLC1(t)を決定する。
【0216】
また、U11,WLC2(t)_VおよびU11(t)_Vを式(4)に代入して、dx11,WLC2(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC2の選択指標x11,WLC2(t)を決定する。
【0217】
また、U11,WLC3(t)_VおよびU11(t)_Vを式(4)に代入して、dx11,WLC3(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC3の選択指標x11,WLC3(t)を決定する。
【0218】
つまり、U11,WLC1(t)_V,U11,WLC2(t)_V,U11,WLC3(t)_VのいずれかがU11(t)_Vよりも大きい場合、U11(t)_Vよりも大きい効用(U11,WLC1(t)_V,U11,WLC2(t)_V,U11,WLC3(t)_Vのいずれか)が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0219】
また、U11,WLC1(t)_V,U11,WLC2(t)_V,U11,WLC3(t)_Vのうちの複数の効用がU11(t)_Vよりも大きい場合、その複数の効用のうちの最大の効用が選択される。そして、最大の効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0220】
なお、U11(t)_Vよりも大きい複数の効用が相互に同じである場合、複数の効用のうちの任意の効用が選択される。そして、その選択された効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0221】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WLC1(t)=1(即ち、x12,WLC2(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC2(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC3(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC2(t)=0)に決定する。
【0222】
その後、(IV)において説明した方法に従って、J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_IVが最大になるように、インセンティブr11,b(t),r12,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)が予測される。
【0223】
(VI)無線通信網WLC1が通信コストを要し、無線通信網WLC2,WLC3が通信コストを要しない場合
端末装置11が無線通信網WLC1に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC1(t)_VIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0224】
【0225】
また、端末装置11が無線通信網WLC2に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC2(t)_VIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0226】
【0227】
更に、端末装置11が無線通信網WLC3に接続した場合の端末装置11の効用U11,WLC3(t)_VIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0228】
【0229】
更に、平均効用U11(t)_VIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0230】
【0231】
そして、U11,WLC1(t)_VIおよびU11(t)_VIを式(4)に代入して、dx11,WLC1(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC1の選択指標x11,WLC1(t)を決定する。
【0232】
また、U11,WLC2(t)_VIおよびU11(t)_VIを式(4)に代入して、dx11,WLC2(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC2の選択指標x11,WLC2(t)を決定する。
【0233】
また、U11,WLC3(t)_VIおよびU11(t)_VIを式(4)に代入して、dx11,WLC3(t)/dt=0を解くことにより、端末装置11の無線通信網WLC3の選択指標x11,WLC3(t)を決定する。
【0234】
つまり、U11,WLC1(t)_VI,U11,WLC2(t)_VI,U11,WLC3(t)_VIのいずれかがU11(t)_VIよりも大きい場合、U11(t)_VIよりも大きい効用(U11,WLC1(t)_VI,U11,WLC2(t)_VI,U11,WLC3(t)_VIのいずれか)が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0235】
また、U11,WLC1(t)_VI,U11,WLC2(t)_VI,U11,WLC3(t)_VIのうちの複数の効用がU11(t)_VIよりも大きい場合、その複数の効用のうちの最大の効用が選択される。そして、最大の効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0236】
なお、U11(t)_VIよりも大きい複数の効用が相互に同じである場合、複数の効用のうちの任意の効用が選択される。そして、その選択された効用が得られるときの無線通信網(無線通信網WLC1~WLC3のいずれか)に端末装置11を接続することを選択する。即ち、選択指標x11,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)を“1”に決定する。
【0237】
同様にして、選択指標x12,b(t)を、x12,WLC1(t)=1(即ち、x12,WLC2(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC2(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC3(t)=0)またはx12,WLC3(t)=1(即ち、x12,WLC1(t)=x12,WLC2(t)=0)に決定する。
【0238】
その後、(IV)において説明した方法に従って、J(t)(ri,b(t);xi,b(t))_IVが最大になるように、インセンティブr11,b(t),r12,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)が予測される。
【0239】
なお、無線通信網WLC2が通信コストを要し、無線通信網WLC1,WLC3が通信コストを要しない場合、無線通信網WLC3が通信コストを要し、無線通信網WLC1,WLC2が通信コストを要しない場合、および無線通信網WLC1~WLC3のうちの2つの無線通信網が通信コストを要し、残りの1つの無線通信網が通信コストを要しない場合も、上述した方法に従って、端末装置11,12に付与されるインセンティブr11,b(t),r12,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)が予測される。
【0240】
上述した(I)~(VI)においては、端末装置の個数が2個である場合について、端末装置11,12に付与されるインセンティブr11,b(t),r12,b(t)を予測する具体例を説明したが、端末装置の個数が3個以上である場合も、上述した(I)~(VI)における方法に従って、3個以上の端末装置に付与されるインセンティブr11,b(t),r12,b(t),・・・・が予測される。
【0241】
図3は、
図2に示す制御装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
図3を参照して、制御装置100の動作が開始されると、決定手段101は、非特許文献4,5のいずれかに記載の解析モデルを用いてスループットf
i,b(t)を求める。そして、決定手段101は、式(1),(2),(4)を用いて、上述した方法によって選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置11~1mについて決定する(ステップS1)。
【0242】
即ち、決定手段101は、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置iを接続することを選択した場合に付与されるインセンティブを用いて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置iを接続した場合に端末装置iが受ける効用を求め、その求めた複数の効用のうち最大の効用が得られる無線通信網(複数の無線通信網WLC1~WLCnのいずれ)に端末装置iを接続するように選択指標xi,b(t)を決定する決定処理を複数の端末装置11~1mの全てについて実行する。
【0243】
そして、決定手段101は、その決定した複数の選択指標xi,b(t)を推定手段102および予測手段103へ出力する。
【0244】
推定手段102は、決定手段101から複数の選択指標xi,b(t)を受け、その受けた複数の選択指標xi,b(t)に基づいて、式(3)によって、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続することを選択する端末装置の個数nb(t)を推定する(ステップS2)。
【0245】
そして、推定手段102は、その推定した端末装置の個数nb(t)を予測手段103へ出力する。
【0246】
予測手段103は、決定手段101から複数の選択指標xi,b(t)を受け、推定手段102から端末装置の個数nb(t)を受ける。
【0247】
そして、予測手段103は、複数の選択指標xi,b(t)および端末装置の個数nb(t)を用いて、式(5)によって、通信事業者の効用が最大になるように全ての端末装置の各々に付与するインセンティブを予測する(ステップS3)。
【0248】
即ち、予測手段103は、複数の選択指標xi,b(t)および端末装置の個数nb(t)を用いて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入から複数の端末装置11~1mの全てに付与されるインセンティブを減算した結果である通信事業者の効用が最大になるように複数の端末装置11~1mの各々に付与されるインセンティブを予測する。
【0249】
そして、予測手段103は、全ての端末装置11~1mの各々に付与するインセンティブを通知手段104へ出力する。
【0250】
通知手段104は、全ての端末装置11~1mの各々に付与するインセンティブを予測手段103から受け、その受けた全ての端末装置11~1mの各々に付与するインセンティブを端末装置11~1mの全てに通知する(ステップS4)。
【0251】
これによって、制御装置100の動作が終了する。
【0252】
図4は、
図3のステップS1の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図4を参照して、制御装置100の動作が開始されると、制御装置100の決定手段101は、全ての端末装置11~1mにおける定数α
11~α
1m、端末装置11~1mの各々を無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときのインセンティブr
11,WLC1(t)~r
11,WLCn1(t);r
12,WLC1(t)~r
12,WLCn1(t);・・・;r
1m,WLC1(t)~r
1m,WLCn1(t)および端末装置11~1mの各々を無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときの通信コストγ
11,WLC1~γ
11,WLCn;γ
12,WLC1~γ
12,WLCn;・・・;γ
1m,WLC1~γ
1m,WLCnを受け付ける(ステップS11)。
【0253】
そして、決定手段101は、i=1およびb=1を設定する(ステップS12)。その後、決定手段101は、上述した方法によって、端末装置iを無線通信網bに接続したときのスループットfi,b(t)を求める(ステップS13)。
【0254】
引き続いて、決定手段101は、式(1)を用いて、端末装置iを無線通信網bに接続したときの効用Ui,b(t)を求める(ステップS14)。
【0255】
更に、決定手段101は、式(2)を用いて平均効用Ui(t)を求める(ステップS15)。
【0256】
そうすると、決定手段101は、効用Ui,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたか否かを判定する(ステップS16)。
【0257】
ステップS16において、効用Ui,b(t)を全ての無線通信網bについて求めていないと判定されたとき、決定手段101は、b=b+1を設定する(ステップS17)。
【0258】
その後、一連の動作は、ステップS13へ移行し、ステップS16において、効用Ui,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたと判定されるまで、ステップS13~ステップS17が繰り返し実行される。
【0259】
そして、ステップS16において、効用Ui,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたと判定されると、決定手段101は、効用Ui,b(t)および平均効用Ui(t)を式(4)に代入して端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定する(ステップS18)。
【0260】
その後、決定手段101は、全ての端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定したか否かを判定する(ステップS19)。
【0261】
ステップS19において、全ての端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定していないと判定されたとき、決定手段101は、i=i+1を設定する(ステップS20)。
【0262】
その後、一連の動作は、ステップS13へ移行し、ステップS19において、全ての端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定したと判定されるまで、ステップS13~ステップS20が繰り返し実行される。
【0263】
そして、ステップS19において、全ての端末装置iの選択指標x
i,b(t)を決定したと判定されると、一連の動作は、
図3のステップS2へ移行する。
【0264】
図5は、
図4のステップS18の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図5を参照して、
図4のステップS16において、効用U
i,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたと判定されると、決定手段101は、複数の効用U
i,WLC1(t)~U
i,WLCn(t)のうちの最大の効用U
i,max(t)を検出する(ステップS181)。
【0265】
そして、決定手段101は、最大の効用Ui,max(t)が平均効用Ui(t)よりも大きいか否かを判定する(ステップS182)。
【0266】
ステップS182において、最大の効用U
i,max(t)が平均効用U
i(t)よりも大きくないと判定されたとき、決定手段101は、端末装置iを無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときの新たなインセンティブr
i,WLC1(t)~r
i,WLCn(t)を受け付ける(ステップS183)。その後、一連の動作は、
図4のステップS13へ移行する。
【0267】
一方、ステップS182において、最大の効用Ui,max(t)が平均効用Ui(t)よりも大きいと判定されたとき、決定手段101は、最大の効用Ui,max(t)が複数個であるか否かを更に判定する(ステップS184)。
【0268】
ステップS184において、最大の効用Ui,max(t)が複数個であると判定されたとき、決定手段101は、複数の最大の効用Ui,max(t)のうちの任意の最大の効用Ui,max(t)を選択する(ステップS185)。
【0269】
そして、決定手段101は、その選択した最大の効用Ui,max(t)が得られる無線通信網に端末装置iを接続することを選択するように選択指標xi,b(t)を決定する(ステップS186)。
【0270】
一方、ステップS184において、最大の効用Ui,max(t)が複数個でないと判定されたとき、決定手段101は、最大の効用Ui,max(t)が得られる無線通信網に端末装置iを接続することを選択するように選択指標xi,b(t)を決定する(ステップS187)。
【0271】
そして、ステップS186およびステップS187のいずれかの後、一連の動作は、
図4のステップS19へ移行する。
【0272】
上述した制御装置100の動作によれば、端末装置11~1mの各々の効用Ui,b(t)が最大になり、かつ、通信事業者の効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、全ての端末装置11~1mの各々に付与するインセンティブr11,b_opt(t)~r1m,b_opt(t)(添え字の“b_opt”は、最適な無線通信網b_optを表す。)を予測し、その予測したインセンティブr11,b_opt(t)~r1m,b_opt(t)をそれぞれ端末装置11~1mに通知するので、端末装置11~1mのユーザは、インセンティブr11,b_opt(t)~r1m,b_opt(t)を参照して、接続する無線通信網を決定することができ、端末装置11~1mのユーザは、制御装置100が予測した無線通信網に接続することを選択する。
【0273】
従って、通信事業者および端末装置の双方の制御目的関数を合理的に向上できる。
【0274】
なお、
図3のステップS4において、通知手段104は、予測されたインセンティブに代えて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続される端末装置の個数を複数の端末装置11~1mの全てのユーザに通知してもよい。
【0275】
この発明の実施の形態においては、制御装置100の動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。
【0276】
この場合、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。
【0277】
ROMは、
図3に示すフローチャートのステップS1~S4(
図4および
図5に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Aを格納する。
【0278】
RAMは、上述したαi,ri,b(t),γi,bを一時的に格納する。
【0279】
そして、CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0280】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。
【0281】
プログラムProg_Aを記録した記録媒体をパーソナルコンピュータに装着すると、CPUは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0282】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0283】
上記においては、無線通信のスループットを用いて、端末装置iを無線通信網bに接続したときに端末装置iが受ける効用Ui,b(t)、期待効用Ui(t)および通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))を求めると説明したが、この発明の実施の形態においては、無線通信の遅延量を用いて、端末装置iが受ける効用Ui,b(t)、期待効用Ui(t)および通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))を求めてもよい。
【0284】
この場合、端末装置は、超高信頼低遅延通信路に接続する。そして、通信の低遅延化を目的とする場合、遅延量Ib(t)は、例えば、M/M/1/K待ち行列モデルを用いて次式によって表される。
【0285】
【0286】
式(29)のνは、次式によって表される。
【0287】
【0288】
また、式(29)のπKbは、次式によって表される。
【0289】
【0290】
式(29)において、νは、通信路におけるバッファ内の平均パケット数であり、λbは、超高信頼低遅延通信路の負荷であり、πKbは、通信路におけるバッファのパケット数がKbである確率であり、0≦πKb≦1である。
【0291】
式(30)および式(31)において、ρbは、超高信頼低遅延通信路の利用率であり、Kbは、通信路におけるバッファのサイズである。但し、無線通信網bの処理速度をμbとすると、ρb=λb/μbである。
【0292】
式(29)~式(31)によれば、遅延量Ib(t)は、負荷λbの関数であり、負荷λbが大きいほど、大きくなる。
【0293】
一般的に、遅延が低いほど、端末装置iの効用が高くなるため、遅延を効用とする端末装置においては、次の式(32)および式(33)を用いて端末装置の効用がモデル化される。
【0294】
【0295】
【0296】
このように、遅延を効用とする端末装置においては、式(29)~式(31)によって求めた遅延量Ib(t)の逆数によって、式(1)および式(2)のfi,b(t)を置き換えて効用Ui,b(t)および期待効用Ui(t)を求める。
【0297】
遅延を効用とする端末装置を上記の(I)~(VI)において説明した無線通信網に適用する場合、以下のようになる。
【0298】
(I’)Wi-Fi網および移動通信網(LTE)の両方が通信コストを要する場合
この場合、上述した式(6)~式(8)に代えて、それぞれ、式(34)~式(36)によって端末装置11の効用U11,WiFi(t)_I,U11,LTE(t)_Iおよび平均効用U11(t)_Iが求められる。
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
そして、通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))として上記の式(9)に示す効用が用いられ、効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0303】
(II’)Wi-Fi網および移動通信網(LTE)の両方が通信コストを要しない場合
この場合、上述した式(10)~式(12)に代えて、それぞれ、式(37)~式(39)によって端末装置11の効用U11,WiFi(t)_II,U11,LTE(t)_IIおよび平均効用U11(t)_IIが求められる。
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
そして、通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))として上記の式(9)に示す効用が用いられ、効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0308】
(III’)Wi-Fi網が通信コストを不要であり、移動通信網(LTE)が通信コストを要する場合
この場合、上述した式(13)~式(15)に代えて、それぞれ、式(40)~式(42)によって端末装置11の効用U11,WiFi(t)_III,U11,LTE(t)_IIIおよび平均効用U11(t)_IIIが求められる。
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
そして、通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))として上記の式(9)に示す効用が用いられ、効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0313】
なお、Wi-Fi網が通信コストを要し、移動通信網(LTE)が通信コストを要しない場合も、同様にして、端末装置11の効用U11,WiFi(t)_III,U11,LTE(t)_IIIおよび平均効用U11(t)_IIIが求められ、インセンティブr11,WiFi(t),r12,LTE(t)が予測される。
【0314】
(IV’)無線通信網WLC1~WLC3の各々が通信コストを要する場合
この場合、上述した式(16)~式(19)に代えて、それぞれ、式(43)~式(46)によって端末装置11の効用U11,WLC1(t)_IV,U11,WLC2(t)_IV,U11,WLC3(t)_IVおよび平均効用U11(t)_IVが求められる。
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
そして、通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))として上記の式(20)に示す効用が用いられ、効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、インセンティブr11,WLC1(t),r12,WLC3(t)が予測される。
【0320】
(V’)無線通信網WLC1~WLC3の各々が通信コストを要しない場合
この場合、上述した式(21)~式(24)に代えて、それぞれ、式(47)~式(50)によって端末装置11の効用U11,WLC1(t)_V,U11,WLC2(t)_V,U11,WLC3(t)_Vおよび平均効用U11(t)_Vが求められる。
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
そして、通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))として上記の式(20)に示す効用が用いられ、効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が最大になるように、インセンティブr11,b(t),r12,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)が予測される。
【0326】
(VI’)無線通信網WLC1が通信コストを要し、無線通信網WLC2,WLC3が通信コストを要しない場合
この場合、上述した式(25)~式(28)に代えて、それぞれ、式(51)~式(54)によって端末装置11の効用U11,WLC1(t)_VI,U11,WLC2(t)_VI,U11,WLC3(t)_VIおよび平均効用U11(t)_VIが求められる。
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
そして、上述した(VI)において説明した方法と同じ方法によってインセンティブr11,b(t),r12,b(t)(bはWLC1~WLC3のいずれか)が予測される。
【0332】
遅延量I
b(t)を用いて効用U
i,b(t)および期待効用U
i(t)を求める場合、制御装置100の動作は、
図3に示すフローチャート(
図4および
図5に示すフローチャートを含む)に従って実行される。
【0333】
この場合、
図3のステップS1における、「式(1),(2),(4)を用いて」を「式(32),(33),(4)を用いて」に読み替える。また、
図4のステップS13の「端末装置iを無線通信網bに接続したときのスループットf
i,b(t)を求める」を「端末装置iを無線通信網bに接続したときのスループットf
i,b(t)と遅延量I
b(t)の逆数1/I
b(t)とを求める」に読み替える。式(32),(33)においては、通信コストγ
i,bf
i,b(t)の項および遅延の逆数1/I
b(t)の項が存在するため、スループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)の両方を求める必要があるからである。なお、負荷λ
b、利用率ρ
bおよびバッファサイズK
bは、既知であるので、決定手段101は、遅延量I
b(t)を求めることができる。
【0334】
上述したように、スループットまたは遅延量を用いて、端末装置iが受ける効用Ui,b(t)、期待効用Ui(t)および通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))が求められるが、実施の形態1においては、一般的には、通信品質を用いて、端末装置iが受ける効用Ui,b(t)、期待効用Ui(t)および通信事業者が受ける効用J(t)(ri,b(t);xi,b(t))を求めればよい。
【0335】
図6は、
図1に示す制御装置の実施の形態1における別の構成図である。実施の形態1においては、
図1に示す制御装置100は、
図6に示す制御装置100Aからなっていてもよい。
【0336】
図6を参照して、制御装置100Aは、
図2に示す制御装置100の決定手段101を決定手段101Aに代えたものであり、その他は、制御装置100と同じである。
【0337】
効用Ui,b(t)が大きいという状況は、端末装置iが無線通信網bに接続する可能性が高いことに相当するため、決定手段101Aは、効用Ui,b(t)の大きい順に無線通信網bへの接続を決定する。
【0338】
しかし、端末装置iの無線通信網bへの接続状況、つまり、各無線通信網bに接続している端末装置の個数nb(t)によって、無線通信網のスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)等の通信品質が変化するため、端末装置iの無線通信網bへの接続を決定するごとに、効用Ui,b(t)を更新(再計算)する必要がある。
【0339】
そこで、決定手段101Aは、θ(θは正の整数)個の端末装置iの無線通信網bへの接続を決定するごとに効用Ui,b(t)を更新する。
【0340】
そして、決定手段101Aは、次の方法によって端末装置iの無線通信網bへの接続を決定する。
【0341】
端末装置iの集合N(表1に記載された斜字体のN)に含まれる端末装置iの個数Nと、無線通信網bの集合B(表1に記載された斜字体のB)に含まれる無線通信網bの個数Bとを用いて、k(kは、0<k≦N×Bを満たす整数)を規定する。
【0342】
i=1,2,3,・・・,N、b=1,2,3,・・・,Bであるので、決定手段101Aは、式(1)を用いて、N個の端末装置iの各々をB個の無線通信網bの各々に接続したときの端末装置の(N×B)個の効用U1,1(t)~UN,B(t)を演算する。そして、決定手段101Aは、(N×B)個の効用U1,1(t)~UN,B(t)を降順にソートする。
【0343】
ここで、降順にソートされた(N×B)個の効用をUk(t)(k=1,2,3,・・・,N×B)と表記する。従って、Uk(t)>Uk+1(t)が成り立つ。そして、kは、1,2,3,・・・,Nのいずれかと、1,2,3,・・・,Bのいずれかとによって構成されるので、kを構成する端末装置iの要素をikと表記し、kを構成する無線通信網bの要素をbkと表記する。つまり、Uik,bk(t)=Uk(t)となる。
【0344】
決定手段101Aは、降順にソートされた(N×B)個の効用Uk(t)(k=1,2,3,・・・,N×B)からなるリストLtを作成する。
【0345】
そして、決定手段101Aは、リストLtが空になるまで、次の(A)~(D)を繰り返し実行する。
(A)効用U
k(t)の大きい順にθ個の端末装置i
kについてx
i,b(t)を決定
(B)x
i,b(t)が決定されたθ個の端末装置i
kに関する要素をリストLtから削除
(C)既に接続が決定された端末装置の無線通信網への接続状況に基づいて効用U
i,b(t)を再計算
(D)リストLt内の要素を効用U
i,b(t)について降順に再ソート
図7は、
図6に示す決定手段101Aによる選択指標x
i,b(t)の具体的な決定方法を示す図である。
図7においては、5個の端末装置11~15、2個の無線通信網1,2およびθ=3を想定する。
【0346】
まず、決定手段101Aは、式(1)を用いて、端末装置11~15の各々を無線通信網1,2の各々に接続したときの効用U
11,1(t)~U
15,2(t)を求める(
図7の(a)参照)。
【0347】
そして、決定手段101Aは、効用U
11,1(t)~U
15,2(t)を降順にソートし、ソートした効用U
k(t)からなるリストLtを作成する(
図7の(b)参照)。なお、
図7の(b)においては、ソート前の効用U
11,1(t)~U
15,2(t)も表記されている。
【0348】
そうすると、決定手段101Aは、k=1~3に対応する効用U1(t)~U3(t)について、xi,b(t)を決定する。より具体的には、決定手段101Aは、k=1であるU1(t)(=U13,2(t))に基づいて、端末装置13がいずれの無線通信網にも接続されていないとき、端末装置13を無線通信網2に接続する。即ち、決定手段101Aは、x13,2(t)=1と決定する。一方、決定手段101Aは、端末装置13が既に無線通信網に接続されていれば、その接続を維持する。
【0349】
その後、決定手段101Aは、k=2であるU2(t)(=U11,2(t))に基づいて、端末装置11がいずれの無線通信網にも接続されていないとき、端末装置11を無線通信網2に接続する。即ち、決定手段101Aは、x11,2(t)=1と決定する。一方、決定手段101Aは、端末装置11が既に無線通信網に接続されていれば、その接続を維持する。
【0350】
更に、決定手段101Aは、k=3であるU
3(t)(=U
15,2(t))に基づいて、同様にして、x
15,2(t)を決定する(
図7の(c)参照)。
【0351】
そうすると、決定手段101Aは、無線通信網への接続を決定した効用U
1(t)~U
3(t)をリストLtから削除し(
図7の(d)参照)、端末装置11,13,15の無線通信網2への接続状況に基づいて、リストLt内のU
4(t)~U
10(t)を更新(再計算)する(
図7の(e)参照)。そして、決定手段101Aは、その更新した効用を再ソートする(
図7の(f)参照)。
【0352】
その後、決定手段101Aは、
図7の(c)と同じように、k=1~3に対応する効用U
1(t)~U
3(t)について、x
i,b(t)を決定する。
【0353】
決定手段101Aは、リストLtが空になるまで、上述した動作を繰り返し実行し、端末装置11~15の選択指標xi,b(t)を決定する。
【0354】
このように、決定手段101Aは、端末装置iの全てについて、xi,b(t)を発見的に決定する。決定手段101は、式(4)を用いて解析的にxi,b(t)を決定するが、決定手段101Aは、xi,b(t)を発見的に決定する。
【0355】
決定手段101Aは、端末装置iの全てについてxi,b(t)を決定すると、その決定したxi,b(t)を推定手段102および予測手段103へ出力する。
【0356】
図8は、
図6に示す制御装置100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートのステップS1をステップS1Aに代えたものであり、その他は、
図3に示すフローチャートと同じである。
【0357】
図8を参照して、制御装置100Aの動作が開始されると、決定手段101Aは、非特許文献4,5のいずれかに記載の解析モデルを用いてスループットf
i,b(t)を求める。そして、決定手段101Aは、式(1)を用いて、上述した方法によって選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置11~1mについて発見的に決定する(ステップS1A)。
【0358】
即ち、決定手段101Aは、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置iを接続することを選択した場合に付与されるインセンティブを用いて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置iを接続した場合に端末装置iが受ける効用を求め、その求めた複数の効用を降順にソートし、そのソートした複数の効用からなるリストLtを作成し、リストLtが空になるまで、所望の個数(θ個)の端末装置iごとに無線通信網bへの接続を決定することと、無線通信網への接続を決定した端末装置iの効用をリストLtから削除することと、既に無線通信網への接続を決定した端末装置iの接続状況に基づいてリストLt内の効用を更新することと、その更新した効用を降順に再ソートすることとを繰り返し実行して複数の端末装置11~1mの全てについて選択指標xi,b(t)を決定する。
【0359】
そして、決定手段101Aは、その決定した複数の選択指標xi,b(t)を推定手段102および予測手段103へ出力する。その後、上述したステップS2~ステップS4が順次実行され、制御装置100Aの動作が終了する。
【0360】
図9は、
図8のステップS1Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図9を参照して、制御装置100Aの動作が開始されると、制御装置100Aの決定手段101Aは、全ての端末装置11~1mにおける定数α
11~α
1m、端末装置11~1mの各々を無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときのインセンティブr
11,WLC1(t)~r
11,WLCn1(t);r
12,WLC1(t)~r
12,WLCn1(t);・・・;r
1m,WLC1(t)~r
1m,WLCn1(t)および端末装置11~1mの各々を無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときの通信コストγ
11,WLC1~γ
11,WLCn;γ
12,WLC1~γ
12,WLCn;・・・;γ
1m,WLC1~γ
1m,WLCnを受け付ける(ステップS21)。
【0361】
そして、決定手段101Aは、上述した方法によって、端末装置iを全ての無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときのスループットfi,b(t)(b=WLC1~WLCn)を全ての端末装置11~1mについて求める(ステップS22)。これによって、m×n個のスループット(=f11,WLC1(t)~f11,WLCn(t),f12,WLC1(t)~f12,WLCn(t),・・・,f1m,WLC1(t)~f1m,WLCn(t))が得られる。
【0362】
その後、決定手段101Aは、式(1)を用いて、端末装置iを全ての無線通信網WLC1~WLCnの各々に接続したときの各端末装置iの効用Ui,b(t)(b=WLC1~WLCn)を全ての端末装置11~1mについて求める(ステップS23)。これによって、m×n個の効用(=U11,WLC1(t)~U11,WLCn(t),U12,WLC1(t)~U12,WLCn(t),・・・,U1m,WLC1(t)~U1m,WLCn(t))が得られる。
【0363】
そうすると、決定手段101Aは、複数(m×n個)の効用Ui,b(t)(i=11~1m、b=WLC1~WLCn)を降順にソートし、その降順にソートされた効用Ui,b(t)(i=11~1m、b=WLC1~WLCn)と、効用Ui,b(t)(i=11~1m、b=WLC1~WLCn)に対応付けられたID(=k)とを含むリストLtを作成する(ステップS24)。
【0364】
そして、決定手段101Aは、全ての端末装置の選択指標xi,b(t)をリセット(xi,b(t)=0)する(ステップS25)。
【0365】
その後、決定手段101Aは、リストLtからk=1~θに対応するθ個の効用Uk(t)(k=1~θ)を抽出する(ステップS26)。
【0366】
引き続いて、決定手段101Aは、k=1を設定し(ステップS27)、端末装置ikがいずれの無線通信網にも接続されていないか否かを判定する(ステップS28)。
【0367】
ステップS28において、端末装置ikがいずれの無線通信網にも接続されていないと判定されたとき、決定手段101Aは、端末装置ikを無線通信網bkに接続する(ステップS29)。即ち、決定手段101Aは、端末装置ikの選択指標xik,b(t)をxik,bk(t)=1と決定する。ここで、無線通信網bkは、ID=kに対応付けられた効用Uk(t)が得られたときの端末装置ikが接続している無線通信網である。
【0368】
一方、ステップS28において、端末装置ikがいずれかの無線通信網に接続されていると判定されたとき、決定手段101Aは、端末装置ikの無線通信網への接続を維持する(ステップS30)。
【0369】
そして、ステップS29またはステップS30の後、決定手段101Aは、k=θであるか否かを判定する(ステップS31)。
【0370】
ステップS31において、k=θでないと判定されたとき、決定手段101Aは、k=k+1を設定する(ステップS32)。
【0371】
その後、一連の動作は、ステップS28へ移行し、ステップS31において、k=θであると判定されるまで、ステップS28~ステップS32が繰り返し実行される。
【0372】
そして、ステップS31において、k=θであると判定されると、決定手段101Aは、選択指標xi,b(t)が決定されたθ個の端末装置の効用U1(t)~Uθ(t)をリストLtから削除する(ステップS33)。
【0373】
その後、決定手段101Aは、既に接続が決定された端末装置の接続状況に基づいてリストLt内に残っている効用Uk(t)を更新する(ステップS34)。より具体的には、決定手段101Aは、既に決定された選択指標xi,b(t)に基づいてθ個の端末装置を無線通信網に接続した状態で各無線通信網のスループットfi,b(t)を、再度、求め、その求めたスループットfi,b(t)を用いて、式(1)によって効用Ui,b(t)を再計算することによって効用Uk(t)を更新する。そして、決定手段101Aは、その更新した効用Uk(t)を再ソートする(ステップS35)。
【0374】
その後、決定手段101Aは、リストLtが空であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0375】
ステップS36において、リストLtが空でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップ26へ移行し、ステップS36において、リストLtが空であると判定されるまで、ステップS26~ステップS36が繰り返し実行される。
【0376】
そして、ステップS36において、リストLtが空であると判定されると、一連の動作は、
図8のステップS2へ移行する。
【0377】
図7の(c)に示すkとU
k(t)との対応表をリストLtとして、ステップS28~ステップS32からなるループの動作について説明する。従って、θ=3であると想定する。
【0378】
ステップS28~ステップS32からなるループが1回目に実行される場合、決定手段101Aは、
図7の(c)に示すk=1~3に対応するU
1(t)~U
3(t)に基づいて各端末装置の選択指標x
i,b(t)を決定する。より具体的には、決定手段101Aは、k=1に対応する効用U
1(t)(=U
13,2(t))に基づいて、端末装置13がいずれの無線通信網にも接続されていないか否かを判定する(ステップS28参照)。
【0379】
全ての端末装置の選択指標xi,b(t)がリセットされているので(ステップS25参照)、ステップS28~ステップS32からなるループが1回目に実行される場合、ステップS28においては、端末装置13がいずれの無線通信網にも接続されていないと判定される。その結果、決定手段101Aは、端末装置13を無線通信網2に接続すると決定する。この場合、効用U1(t)(=U13,2(t))が端末装置13を無線通信網2に接続したときの効用を表すので、決定手段101Aは、端末装置13を無線通信網2に接続すると決定する。従って、決定手段101Aは、端末装置13の選択指標をx13,2(t)=1と決定する。
【0380】
その後、決定手段101Aは、ステップS31において、k=θ(=3)でないと判定するので、k=1+1=2を設定する(ステップS32参照)。そして、決定手段101Aは、ステップS28において、k=2に対応する効用U2(t)(=U11,2(t))を受ける端末装置11がいずれの無線通信網にも接続されていないと判定し、k=1の場合と同様にして、端末装置11を無線通信網2に接続すると決定する(x11,2(t)=1)。
【0381】
それ以降、決定手段101Aは、k=3を設定し(ステップS32参照)、ステップS28において、k=3に対応する効用U3(t)(=U15,2(t))を受ける端末装置15がいずれの無線通信網にも接続されていないと判定し、k=1の場合と同様にして、端末装置15を無線通信網2に接続すると決定する(x15,2(t)=1)。
【0382】
そうすると、決定手段101Aは、ステップS31において、k=θ(=3)であると判定し、選択指標x
i,b(t)が決定されたθ(=3)個の端末装置の効用U
1(t)~U
3(t)をリストLtから削除する(
図7の(d)およびステップS33参照)。
【0383】
そして、決定手段101Aは、既に接続が決定された端末装置の接続状況に基づいてリストLt内に残っている効用U
k(t)を更新する(
図7の(d),(e)およびステップS34参照)。その後、決定手段101Aは、更新した効用を再ソートする(
図7の(f)およびステップS35参照)。これによって、リストLtが更新される。
【0384】
その後、決定手段101Aは、リストLtが空でないと判定し(
図7の(f)およびステップS36参照)、ステップS26において、k=1~θ(=3)に対応するθ(=3)個の効用U
1(t)~U
3(t)をリストLt(
図7の(f)参照)から抽出する(ステップS26参照)。これ以降、決定手段101Aは、リストLtが空になるまで、上述した動作を繰り返し実行する。そして、リストLtが空になると、一連の動作は、
図8のステップS2へ移行する。
【0385】
ステップS28が2回目以降に実行される場合、端末装置ikがいずれかの無線通信網に接続されていると判定される場合もあり、その場合、端末装置ikの無線通信網への接続が維持される(ステップS30参照)。その理由は、次のとおりである。ステップS23において求められた複数の効用Ui,b(t)は、降順にソートされているので(ステップS24参照)、同じ端末装置ikについてステップS28が2回目以降に実行される場合、端末装置ikについて最初に決定された選択指標xi,b(t)を維持することが、端末装置ikの効用Ui,b(t)が最大になり、この発明の実施の形態における「端末装置が受ける効用Ui,b(t)が最大になるように選択指標xi,b(t)を決定する」との思想に合致するからである。
【0386】
なお、「端末装置が受ける効用Ui,b(t)が最大になるように選択指標xi,b(t)を決定する」との思想が維持される限り、複数の効用Ui,b(t)は、降順にソートされていなくても、昇順にソートされていてもよい。この場合、ステップS30においては、より大きい効用Ui,b(t)が得られるように、端末装置ikの選択指標xi,b(t)が変更される。
【0387】
また、θは、1以上の整数であるので、θ=1である場合もある。この場合、1つの端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定するごとに効用Ui,b(t)が更新されることになる(ステップS31の“YES”→ステップS34参照)。
【0388】
しかし、1つの端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定するごとに効用Ui,b(t)が更新されると、計算量が膨大になるので、このような膨大な計算が禁止される場合、許容される計算量に応じて、θを“1”よりも大きい値に設定すればよい。
【0389】
更に、
図9の説明においては、効用U
i,b(t)は、式(1)によって計算されると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、効用U
i,b(t)は、式(32)によって計算されてもよい。この場合、
図9のステップS22においては、スループットf
i,b(t)に追加して、式(29)~式(31)によって遅延量I
b(t)も求められる。
【0390】
実施の形態1においては、制御装置100Aの動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、制御装置100Aは、CPU、ROMおよびRAMを備える。
【0391】
ROMは、
図8に示すフローチャートのステップS1A,S2~S4(
図9および
図5に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Bを格納する。RAMは、上述したα
i,r
i,b(t),γ
i,bおよびリストLtを一時的に格納する。
【0392】
そして、CPUは、ROMからプログラムProg_Bを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0393】
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。
【0394】
プログラムProg_Bを記録した記録媒体をパーソナルコンピュータに装着すると、CPUは、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0395】
従って、プログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0396】
[実施の形態2]
図10は、
図1に示す制御装置100の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、制御装置100は、
図10に示す制御装置100Bからなる。
図10を参照して、制御装置100Bは、
図2に示す制御装置100の決定手段101を決定手段101Bに代えたものであり、その他は、制御装置100と同じである。
【0397】
決定手段101Bは、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブを用いて、複数の無線通信網WLC1~WLCnの各々に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続した場合に端末装置(端末装置11~1mのいずれか)が受ける効用を求め、その求めた複数の効用のうち最大の効用が得られるように複数の無線通信網WLC1~WLCnのいずれに端末装置(端末装置11~1mのいずれか)を接続すべきかを示す選択指標xi,b(t)を複数の端末装置11~1mの全てについて決定する。
【0398】
通信特性が異なる複数の通信路としては、例えば、WiFi網における通信路、LTE網における通信路、高速大容量通信路および超高信頼低遅延通信路が想定される。
【0399】
決定手段101Bは、端末装置iをWiFi網における通信路、LTE網における通信路、および高速大容量通信路のいずれかに接続するとき、式(1)を用いて効用Ui,b(t)を求める。この場合、高速大容量通信路におけるスループットfi,b(t)を、非特許文献5に示されている解析モデルを用いて求めることができる。
【0400】
また、決定手段101Bは、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続するとき、式(32)を用いて効用Ui,b(t)を求める。そして、遅延量Ib(t)は、式(29)~式(31)によって求められる。
【0401】
更に、決定手段101Bは、要求品質がスループットfi,b(t)である場合、式(1)を用いて効用Ui,b(t)を求め、要求品質が遅延量Ib(t)である場合、式(32)を用いて効用Ui,b(t)を求める。この場合、決定手段101Bは、要求品質がスループットfi,b(t)であることを示す信号SSTHを端末装置iから受信し、要求品質が遅延量Ib(t)であることを示す信号SDLYを端末装置iから受信する。従って、決定手段101Bは、信号SSTHを端末装置iから受信すれば、式(1)を用いて効用Ui,b(t)を求め、信号SDLYを端末装置iから受信すれば、式(32)を用いて効用Ui,b(t)を求める。
【0402】
決定手段101Bは、通信特性が異なる複数の通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、端末装置iを全ての無線通信網bに接続したときの効用U
i,b(t)を全ての端末装置iについて求める。そして、決定手段101Bは、その求めた複数の効用U
i,b(t)に基づいて、制御装置100Aの決定手段101A(
図6参照)と同じ方法によって、全ての端末装置の選択指標x
i,b(t)を求める。そうすると、決定手段101Bは、その求めた選択指標x
i,b(t)を推定手段102および予測手段103へ出力する。
(i)通信特性が異なる通信路が混在する環境
通信特性が異なる通信路が混在する環境においては、WiFi網における通信路およびLTE網における通信路の少なくとも1つと、高速大容量通信路および超高信頼低遅延通信路の少なくとも1つとが混在する。ここで、WiFi網における通信路およびLTE網における通信路の少なくとも1つを含む無線通信網をb
1と表記し、高速大容量通信路および超高信頼低遅延通信路の少なくとも1つを含む無線通信網をb
2と表記する。
【0403】
(i-1)b1=WiFi網であるときの効用Ui,b1(t)
端末装置iをWiFi網b1に接続したときの効用Ui,b1(t)_Iは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0404】
【0405】
(i-2)b1=LTE網であるときの効用Ui,b1(t)
端末装置iをLTE網b1に接続したときの効用Ui,b1(t)_IIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0406】
【0407】
(i-3)b2=高速大容量通信路であるときの効用Ui,b2(t)
端末装置iを高速大容量通信路b2に接続したときの効用Ui,b2(t)_IIIは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0408】
【0409】
(i-4)b2=超高信頼低遅延通信路であるときの効用Ui,b2(t)
端末装置iを超高信頼低遅延通信路b2に接続したときの効用Ui,b2(t)_IVは、式(1)を用いると、次式のようになる。
【0410】
【0411】
図11は、無線通信網b
1と無線通信網b
2との組み合わせを示す図である。
図11を参照して、無線通信網b
1として、WiFi網またはLTE網が存在し、無線通信網b
2として、高速大容量通信路を有する無線通信網、または超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網が存在する場合、無線通信網b
1と無線通信網b
2との組み合わせは、(a)~(i)の9通りある。
【0412】
[組み合わせ(a)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(a)である場合、平均効用Ui(t)_Iは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0413】
【0414】
[組み合わせ(b)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(b)である場合、平均効用Ui(t)_IIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0415】
【0416】
[組み合わせ(c)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(c)である場合、平均効用Ui(t)_IIIは、平均効用Ui(t)_I(=式(59))と同じになる。
【0417】
[組み合わせ(d)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(d)である場合、平均効用Ui(t)_IVは、平均効用Ui(t)_II(=式(60))と同じになる。
【0418】
[組み合わせ(e)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(e)である場合、平均効用Ui(t)_Vは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0419】
【0420】
なお、式(61)において、b21は、高速大容量通信路を表し、b22は、超高信頼低遅延通信路を表す。
【0421】
[組み合わせ(f)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(f)である場合、平均効用Ui(t)_VIは、平均効用Ui(t)_V(=式(61))と同じになる。
【0422】
[組み合わせ(g)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(g)である場合、平均効用Ui(t)_VIIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0423】
【0424】
なお、式(62)において、b11は、WiFi網を表し、b12は、LTE網を表す。
【0425】
[組み合わせ(h)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(h)である場合、平均効用Ui(t)_VIIIは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0426】
【0427】
[組み合わせ(i)]
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(i)である場合、平均効用Ui(t)_IXは、式(2)を用いると、次式のようになる。
【0428】
【0429】
なお、式(64)において、b21は、高速大容量通信路を表し、b22は、超高信頼低遅延通信路を表す。
【0430】
無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(a)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_Iを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_Iを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b2(t)=0)またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b1(t)=0)に決定する。
【0431】
また、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(b)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_IIを用いて、または効用Ui,b2(t)_IVよび平均効用Ui(t)_IIを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b2(t)=0)またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b1(t)=0)に決定する。
【0432】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(c)である場合、効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_Iを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_Iを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b2(t)=0)またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b1(t)=0)に決定する。
【0433】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(d)である場合、効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_IIを用いて、効用Ui,b2(t)_IVよび平均効用Ui(t)_IIを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b2(t)=0)またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b1(t)=0)に決定する。
【0434】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(e)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、または効用Ui,b2(t)_IVおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b21(t)=xi,b21(t)=0)、またはxi,b21(t)=1(即ち、xi,b1(t)=xi,b22(t)=0)、またはxi,b22(t)=1(即ち、xi,b1(t)=xi,b21(t)=0)に決定する。
【0435】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(f)である場合、効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、または効用Ui,b2(t)_IVおよび平均効用Ui(t)_Vを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b1(t)=1(即ち、xi,b21(t)=xi,b21(t)=0)、またはxi,b21(t)=1(即ち、xi,b1(t)=xi,b22(t)=0)、またはxi,b22(t)=1(即ち、xi,b1(t)=xi,b21(t)=0)に決定する。
【0436】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(g)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_VIIを用いて、または効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_VIIを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_VIIを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b11(t)=1(即ち、xi,b12(t)=xi,b2(t)=0)、またはxi,b12(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b2(t)=0)、またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b12(t)=0)に決定する。
【0437】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(h)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_VIIIを用いて、または効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_VIIIを用いて、または効用Ui,b2(t)_IVおよび平均効用Ui(t)_VIIIを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b11(t)=1(即ち、xi,b12(t)=xi,b2(t)=0)、またはxi,b12(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b2(t)=0)、またはxi,b2(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b12(t)=0)に決定する。
【0438】
更に、無線通信網b1と無線通信網b2との組み合わせが組み合わせ(i)である場合、効用Ui,b1(t)_Iおよび平均効用Ui(t)_IXを用いて、または効用Ui,b1(t)_IIおよび平均効用Ui(t)_IXを用いて、または効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_IXを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b11(t)=1(即ち、xi,b12(t)=xi,b21(t)=xi,b22(t)=0)、またはxi,b12(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b21(t)=xi,b22(t)=0))、またはxi,b21(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b12(t)=xi,b22(t)=0)、またはxi,b22(t)=1(即ち、xi,b11(t)=xi,b12(t)=xi,b21(t)=0)に決定する。
【0439】
決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境において、上述した方法によって各端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定する。
(ii)要求品質が異なる端末装置が混在する環境
決定手段101Bは、要求品質が異なる端末装置が混在する環境においては、信号SSTHを端末装置iから受信すると、式(1)に従って、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b2(t)_IIIを求め、信号SDLYを端末装置iから受信すると、式(32)に従って、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b2(t)_IVを求める。
【0440】
そして、決定手段101Bは、次式によって平均効用Ui(t)_Xを求める。
【0441】
【0442】
そうすると、決定手段101Bは、効用Ui,b2(t)_IIIおよび平均効用Ui(t)_Xを用いて、または効用Ui,b2(t)_IVおよび平均効用Ui(t)_Xを用いて、実施の形態1の項目(I)に記載した方法に従って、端末装置iの選択指標xi,b(t)をxi,b21(t)=1(即ち、xi,b22(t)=0)、またはxi,b22(t)=1(即ち、xi,b21(t)=0))に決定する。
【0443】
決定手段101Bは、要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、上述した方法によって各端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定する。
(iii)通信特性が異なる通信路が混在する環境と、要求品質が異なる端末装置が混在する環境とが混在する場合
上記(ii)において説明したように、決定手段101Bは、信号SSTHを端末装置iから受信すると、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b2(t)_IIIを求め、信号SDLYを端末装置iから受信すると、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b2(t)_IVを求める。
【0444】
従って、通信特性が異なる通信路が混在する環境と、要求品質が異なる端末装置が混在する環境とが混在する場合は、
図11に示す組み合わせ(e),(f),(i)の場合と同じである。
【0445】
よって、決定手段101Bは、上述した組み合わせ(e),(f),(i)の場合において説明した方法に従って各端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定する。
【0446】
実施の形態2においては、決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、
図6に示す制御装置100Aの決定手段101Aと同じ方法によって、端末装置iの選択指標x
i,b(t)を決定してもよい。
【0447】
この場合、決定手段101Bは、(i)通信特性が異なる通信路が混在する環境においては、
図11に示す組み合わせ(a)~(i)の各々において、端末装置iを全ての無線通信網の各々に接続したときの効用U
i,b(t)を端末装置iの全てについて求める。
【0448】
また、決定手段101Bは、(ii)要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、端末装置iを高速大容量通信路または超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0449】
更に、決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境と、要求品質が異なる端末装置が混在する環境とが混在する場合、
図11に示す組み合わせ(e),(f),(i)の各々において、端末装置iを全ての無線通信網の各々に接続したときの効用U
i,b(t)を端末装置iの全てについて求める。
【0450】
そして、決定手段101Bは、効用Ui,b(t)を求めると、実施の形態1において説明した(A)~(D)に従って端末装置iの選択指標xi,b(t)を決定する。
【0451】
図12は、
図10に示す制御装置100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートのステップS1をステップS1Bに代えたものであり、その他は、
図3に示すフローチャートと同じである。
【0452】
図12を参照して、制御装置100Bの動作が開始されると、決定手段100Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、式(1),(2),(4)(または式(1),(32),(4))を用いて、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて決定する(ステップS1B)。
【0453】
そして、その後、上述したステップS2~ステップS4が順次実行され、制御装置100Bの動作が終了する。
【0454】
図13は、
図12のステップS1Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、
図4に示すフローチャートのステップS13,S14をそれぞれステップS13A,S14Aに代えたものであり、その他は、
図4に示すフローチャートと同じである。
【0455】
図13を参照して、制御装置100Bの動作が開始されると、上述したステップS11,S12が順次実行される。そして、ステップS12の後、決定手段101Bは、端末装置iを無線通信網bに接続したときのスループットf
i,b(t)、またはスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を上述した方法によって求める(ステップS13A)。
【0456】
その後、決定手段101Bは、端末装置iを無線通信網bに接続したときの効用Ui,b(t)を式(1)または式(32)によって求める(ステップS14A)。
【0457】
そして、上述したステップS15~ステップS20が順次実行され、ステップS19において、全ての端末装置iの選択指標x
i,b(t)を決定したと判定されると、一連の動作は、
図12のステップS2へ移行する。
【0458】
図12のステップS1Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて決定するステップであるため、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループは、2回以上実行される。
【0459】
図12のステップS1Bが、通信特性が異なる通信路が混在する環境(例えば、高速大容量通信路および超高信頼低遅延通信路が混在する環境)において実行される場合、決定手段101Bは、例えば、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、無線通信網bとして高速大容量通信路を有する無線通信網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、無線通信網bとして超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網を選択する。
【0460】
そして、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0461】
また、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときのスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(32)を用いて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0462】
図12のステップS1Bが、要求品質が異なる端末装置が混在する環境(例えば、スループットf
i,b(t)を目的とする端末装置および遅延量I
b(t)を目的とする端末装置が混在する環境)において実行される場合、決定手段101Bは、例えば、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するときに信号S
STHを端末装置iから受信すると、無線通信網bとして高速大容量通信路を有する無線通信網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するときに信号S
DLYを端末装置iから受信すると、無線通信網bとして超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網を選択する。そして、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用U
i,b(t)を求める。また、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(32)を用いて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用U
i,b(t)を求める。
【0463】
図12のステップS1Bが、通信特性が異なる通信路が混在する環境と、要求品質が異なる端末装置が混在する環境とが混在する場合(即ち、
図11の(e),(f),(i)の場合)、決定手段101Bは、次のように、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを実行する。
【0464】
図11の(e)の場合、決定手段101Bは、例えば、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、無線通信網bとしてWiFi網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、無線通信網bとして高速大容量通信路を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、無線通信網bとして超高信頼低遅延通信路を選択する。
【0465】
そして、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iをWiFi網に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをWiFi網に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。また、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。更に、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときのスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(32)を用いて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0466】
図11の(f)の場合、決定手段101Bは、例えば、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、無線通信網bとしてLTE網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、無線通信網bとして高速大容量通信路を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、無線通信網bとして超高信頼低遅延通信路を選択する。
【0467】
そして、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iをLTE網に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをLTE網に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。また、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。更に、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときのスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(32)を用いて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0468】
図11の(i)の場合、決定手段101Bは、例えば、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、無線通信網bとしてWiFi網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、無線通信網bとしてLTE網を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、無線通信網bとして高速大容量通信路を選択し、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを4回目に実行するとき、無線通信網bとして超高信頼低遅延通信路を選択する。
【0469】
そして、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを1回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iをWiFi網に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをWiFi網に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。また、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを2回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iをLTE網に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをLTE網に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。更に、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを3回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときのスループットfi,b(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iを高速大容量通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。更に、決定手段101Bは、ステップS13A,S14A,S15~S17からなるループを4回目に実行するとき、ステップS13Aにおいて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときのスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)を求め、ステップS14Aにおいて、式(32)を用いて、端末装置iを超高信頼低遅延通信路に接続したときの効用Ui,b(t)を求める。
【0470】
従って、
図13に示すフローチャートに従えば、決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて決定することができる。
【0471】
図14は、
図10に示す制御装置100Bの動作を説明するための別のフローチャートである。
図14に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートのステップS1をステップS1Cに代えたものであり、その他は、
図3に示すフローチャートと同じである。
【0472】
図14を参照して、制御装置100Bの動作が開始されると、制御装置100Bの決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、式(1)または式(32)を用いて、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて発見的に決定する(ステップS1C)。
【0473】
その後、上述したステップS2~ステップS4が順次実行され、制御装置100Bの動作が終了する。
【0474】
図15は、
図14のステップS1Cの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図15に示すフローチャートは、
図9に示すフローチャートのステップS22,S23をそれぞれステップS22A,S23Aに代えたものであり、その他は、
図9に示すフローチャートと同じである。
【0475】
図15を参照して、制御装置100Bの動作が開始されると、上述したステップS21が実行される。
【0476】
そして、ステップS21の後、制御装置100Bの決定手段101Bは、端末装置iを全ての無線通信網bに接続したときのスループットfi,b(t)、またはスループットfi,b(t)および遅延量Ib(t)を全ての端末装置iについて求める(ステップS22A)。
【0477】
その後、決定手段101Bは、式(1)または式(32)を用いて、端末装置iを全ての無線通信網bに接続したときの各端末装置iの効用Ui,b(t)を全ての端末装置iについて求める(ステップS23A)。
【0478】
そうすると、上述したステップS24~ステップS36が順次実行され、ステップS36において、リストLtが空であると判定されると、一連の動作は、
図14のステップS2へ移行する。
【0479】
図14のステップS1Cは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて決定するステップであるため、ステップS22A,S23Aは、通信特性が異なる通信路が混在する複数の無線通信網および/または異なる要求品質を実現する通信路を有する複数の無線通信網に対して実行される。
【0480】
図14のステップS1Cが、通信特性が異なる通信路が混在する環境(例えば、高速大容量通信路および超高信頼低遅延通信路が混在する環境)において実行される場合、決定手段101Bは、ステップS22Aにおいて、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0481】
そして、決定手段101Bは、ステップS23Aにおいて、式(1)を用いて高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用Ui,b(t)を求め、式(32)を用いて超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用Ui,b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0482】
図14のステップS1Bが、要求品質が異なる端末装置が混在する環境(例えば、スループットf
i,b(t)を目的とする端末装置および遅延量I
b(t)を目的とする端末装置が混在する環境)において実行される場合、決定手段101Bは、ステップS22Aにおいて、信号S
STHを端末装置iから受信すると、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、信号S
DLYを端末装置iから受信すると、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。そして、決定手段101Bは、ステップS23Aにおいて、式(1)を用いて高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(32)を用いて超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0483】
図14のステップS1Bが、通信特性が異なる通信路が混在する環境と、要求品質が異なる端末装置が混在する環境とが混在する場合(即ち、
図11の(e),(f),(i)の場合)、決定手段101Bは、次のように、ステップS22A,S23Aを実行する。
【0484】
図11の(e)の場合、決定手段101Bは、ステップS22Aにおいて、端末装置iをWiFi網に接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。そして、決定手段101Bは、ステップS23Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをWiFi網に接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(1)を用いて、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(32)を用いて、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0485】
図11の(f)の場合、決定手段101Bは、ステップS22Aにおいて、端末装置iをLTE網に接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。そして、決定手段101Bは、ステップS23Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをLTE網に接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(1)を用いて、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(32)を用いて、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0486】
図11の(i)の場合、決定手段101Bは、ステップS22Aにおいて、端末装置iをWiFi網に接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、端末装置iをLTE網に接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)を求め、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときのスループットf
i,b(t)および遅延量I
b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。そして、決定手段101Bは、ステップS23Aにおいて、式(1)を用いて、端末装置iをWiFi網に接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(1)を用いて、端末装置iをLTE網に接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(1)を用いて、高速大容量通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求め、式(32)を用いて、超高信頼低遅延通信路を有する無線通信網に端末装置iを接続したときの効用U
i,b(t)を求めることを全ての端末装置iについて実行する。
【0487】
従って、
図15に示すフローチャートに従えば、決定手段101Bは、通信特性が異なる通信路が混在する環境および/または要求品質が異なる端末装置が混在する環境において、選択指標x
i,b(t)を全ての端末装置iについて決定することができる。
【0488】
そして、
図9に示すフローチャートにおいて説明したように、
図15に示すフローチャートに従って選択指標x
i,b(t)を決定することによって、端末装置iが受ける効用U
i,b(t)が最大になるように端末装置iの選択指標x
i,b(t)を決定できる。なお、
図15に示すフローチャートについてのその他の説明は、
図9に示すフローチャートについての説明と同じである。
【0489】
実施の形態2においては、制御装置100Bの動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、制御装置100Bは、CPU、ROMおよびRAMを備える。
【0490】
ROMは、
図12に示すフローチャートのステップS1B,S2~S4(
図13および
図5に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_C、または
図14に示すフローチャートのステップS1C,S2~S4(
図15および
図5に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Dを格納する。RAMは、上述したα
i,r
i,b(t),γ
i,bおよびリストLtを一時的に格納する。
【0491】
そして、CPUは、ROMからプログラムProg_CまたはプログラムProg_Dを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0492】
また、プログラムProg_CまたはプログラムProg_Dは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。
【0493】
プログラムProg_CまたはプログラムProg_Dを記録した記録媒体をパーソナルコンピュータに装着すると、CPUは、記録媒体からプログラムProg_CまたはプログラムProg_Dを読み出して実行し、上述した方法によって、端末装置11~1mに付与される複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を予測し、その予測した複数のインセンティブr11,b(t)~r1m,b(t)を端末装置11~1mのユーザに通知する。
【0494】
従って、プログラムProg_CまたはプログラムProg_Dを記録した記録媒体は、コンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0495】
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0496】
なお、この発明の実施の形態においては、高速大容量通信路は、一般的には、通信容量の向上を目的とする通信路であればよく、超高信頼低遅延通信路は、一般的には、通信の低遅延化を目的とする通信路であればよい。
【0497】
上述した実施の形態によれば、この発明の実施の形態による制御装置は、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に端末装置が受ける効用が最大になるように複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する決定手段と、
決定された複数の選択指標に基づいて、複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する推定手段と、
決定された複数の選択指標と、推定された端末装置の個数と、複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、通信事業者が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する予測手段と、
予測されたインセンティブを複数の端末装置の全てのユーザに通知する通知手段とを備えていればよい。
【0498】
また、この発明の実施の形態によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムは、決定手段が、複数の無線通信網の各々に端末装置を接続したときの通信品質と複数の無線通信網の各々に端末装置を接続することを選択した場合に付与されるインセンティブとを用いて、無線通信網に端末装置を接続した場合に端末装置が受ける効用が最大になるように複数の無線通信網のいずれに端末装置を接続することを選択するかを示す選択指標を決定する決定処理を複数の端末装置の全てについて実行する第1のステップと、
推定手段が、決定された複数の選択指標に基づいて、複数の無線通信網の各々に接続することを選択する端末装置の個数を推定する第2のステップと、
予測手段が、決定された複数の選択指標と、推定された端末装置の個数と、複数の無線通信網に接続する全ての端末装置から通信事業者が得る通信収入と、複数の端末装置の全てに付与されるインセンティブとを用いて通信事業者が受ける効用をインセンティブの関数として表し、通信事業者が受ける効用が最大になるように複数の端末装置の各々に付与されるインセンティブを予測する第3のステップと、
通知手段が、予測されたインセンティブを複数の端末装置の全てのユーザに通知する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムであればよい。
【0499】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0500】
この発明は、制御装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0501】
1~n 無線局、11~1m 端末装置、100,100A,100B 制御装置、101,101A,101B 決定手段、102 推定手段、103 予測手段、104 通知手段。