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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017041926
(22)【出願日】2017-03-06
(65)【公開番号】P2018144174
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友希男
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】松原 陽介
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-34072(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103304(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205551611(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられ、複数の関節軸を有し、且つ、第1の関節軸を共有する第1ロボットアーム、および、第2ロボットアームと、
前記本体部に設けられ、ロボットが作業を行うための作業面を有する作業台と、
前記本体部の下側に設けられ、前記本体部を移動する移動手段と、を備え、
前記作業台は、平面視において少なくともその一部が前記本体部よりも外側に突出した状態で、前記本体部の上面に着脱可能に設置される、ロボット。
【請求項2】
前記第1および第2ロボットアームは、水平多関節型のロボットアームである、請求項1に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産ラインにロボットを導入して、ロボットが人間と同じラインで作業をすることにより、生産性の向上を実現させたいといった要望がある。例えば特許文献1には、所定の作業を行うための作業台を備えた双腕ロボットが開示されている。また、特許文献2には、協調動作が可能な複数のロボットアームを有し、各ロボットアームがヘッドで吊り下げ支持されたロボットが開示されている。このロボットは各ロボットアームで扱うワークが配される作業台が支持柱を介してヘッドと一体になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-252601号公報
【文献】特開平7-308877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のロボットでは、ロボットの本体部と作業台が別々に構成されている。このため、ロボット移設時に作業台とロボットの位置関係にズレが発生し、移設作業が煩雑になる。
【0005】
また、上記特許文献2のロボットは、ばら積みされたワークを拾い上げる作業を想定したものであるため、作業台(パレット)には、ロボットアームで扱うワークが収められるのみである。従って、この作業台は所定の作業(例えば組立作業)を行うための作業面を備えていない。また、ロボットアームがヘッドに吊り下げられているため、ロボットアームの数が増えると、ロボットが大きくなってしまう。その結果、ロボットの重量が増えると移設作業が困難になる。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、所定の作業を行い、かつ、移設作業が容易なロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係るロボットは、本体部と、前記本体部に設けられ、複数の関節軸を有し、且つ、第1の関節軸を共有する第1ロボットアーム、および、第2ロボットアームと、前記本体部に設けられ、ロボットが作業を行うための作業面を有する作業台と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、第1の関節軸を共有する双腕ロボットの本体部に作業面を有する作業台が設けられているので、作業毎に作業台を新規に作成する必要がなく、コスト低減につながる。また、ロボット移設時にも作業台とロボットの位置関係にズレが発生することなく、ロボットを移設できる。治具等が載った作業台をアンカー止めする必要がなくなる。
【0009】
上記ロボットは、前記本体部の下側に設けられ、前記本体部を移動する移動手段を更に備えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、本体部の下側に移動手段を備えているので、ロボットの移設作業が容易である。
【0011】
前記作業台は、前記本体部に着脱可能に構成されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、作業台を取り外すことによりロボットの横幅がコンパクトになるので、移設作業が容易になる。
【0013】
前記第1および第2ロボットアームは、水平多関節型のロボットアームであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上に説明した構成を有し、所定の作業を行い、かつ、移設作業が容易なロボットを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るロボットの全体の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のロボットの構成を示す正面図である。
図3図3は、図1のロボットの動作の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。さらに、一対のアームを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットの全体的な構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のロボットの構成を示す正面図である。
【0018】
ロボット1は、ベース(本体部)12と、ベース12に支持された一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」と記載する場合がある)13、13と、ロボット1が作業を行うための作業台2と、ベース12内に収納された制御装置(図示せず)とを備えている。
【0019】
ベース12は、略直方体形状の筐体を有し、筐体内部に制御装置(図示せず)等のロボット11の各種ユニットを収納する。ベース12の下面には、ロボット1を所定の位置に移動させるための複数のキャスタ(移動手段)20と、所定の位置でロボット11の移動を規制して設置するための複数のアジャスタ21が設けられる。
【0020】
各アーム13は、複数の関節軸を有し、ベース12に対して移動可能に構成され、アーム部15とリスト部17とエンドエフェクタ(図示せず)とを備えている。本実施形態ではロボットアームは水平多関節型ロボットアームである。なお、右のアーム13および左のアーム13は、実質的に同じ構造であってもよい。また、右のアーム13および左のアーム13は、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0021】
アーム部15は、本例では、第1リンク15aおよび第2リンク15bとで構成されている。第1リンク15aは、ベース12の上面に固定された基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸線L1まわりに回動可能である。第2リンク15bは、第1リンク15aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク15aの先端に規定された回転軸線L2まわりに回動可能である。
【0022】
リスト部17は、昇降部17aおよび回動部17bにより構成されている。昇降部17aは、第2リンク15bの先端と直動関節J3により連結され、第2リンク15bに対し昇降移動可能である。回動部17bは、昇降部17aの下端と回転関節J4により連結され、昇降部17aの下端に規定された回転軸線L3まわりに回動可能である。リスト部17の回動部17bにはそれぞれ所定の作業を行うためのエンドエフェクタ(図示せず)が連結される。
【0023】
上記構成の各アーム13は、各関節J1~J4を有する。そして、アーム13には、各関節J1~J4に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。また、本実施形態のロボット1は、同軸双腕型のロボットである。二本のアーム13は第1関節J1を共有している。2本のアーム13、13の第1リンク15a、15aの回転軸線L1は同一直線上にあり、一方のアーム13の第1リンク15aと他方のアーム13の第1リンク15aとは上下に高低差を設けて配置されている。
【0024】
作業台2は、ロボットが作業を行うための作業面2aを有する。作業面2aは平面視で矩形である。作業台2は、ネジ等の締結部材2bによって、ベース12の上面に着脱可能に設置される。
【0025】
次に、作業台2で所定の作業を行うロボット1の動作の一例について図3を用いて説明する。図3に示すように、ロボット1は、例えば、生産ラインに導入され、作業者と同じラインで作業をするように構成されている。ロボット1は基準座標系(以下、ベース座標系という)を持っている。この座標系は、例えば、作業台2の作業面2aと左右のアーム13,13の第1関節J1(図2参照)の回転軸線L1との交点が原点であり、第1関節J1の回転軸線L1がZ軸であり、Z軸に直交する任意の軸がX軸であり、Z軸及びX軸に直交する軸がY軸である。ロボット1の左右のアーム13,13に対する動作領域は、このベース座標系を基準として設定される。本実施形態では、動作領域は、平面視で矩形であって、ロボット1の正面に配置された作業台2を覆うように設定される。作業台2の上には、4種類のワーク(W1、W2,W3,W4)が配置されている。ロボット1の左側に位置する作業者は、ロボット1に材料部材W1を供給する。ロボット1は供給された材料部材W1に対して、第1の部品W2及び第2の部品W3を取り付けて、加工品W4を完成させる。ロボット1の右側に位置する作業者は、完成された加工品W4に対して次の作業行程を行う。
【0026】
従って、本実施形態によれば、ロボット1のベース12に作業面aを有する作業台2が設けられているので、作業毎に作業台を新規に作成する必要がなく、コスト低減につながる。また、ロボット移設時にも作業台2とロボット1の位置関係にズレが発生することはない。ロボット1の移設作業が容易になる。また、治具等が載った作業台をアンカー止めする必要がない。
【0027】
また、本実施形態のロボット1は、同軸双腕型のロボットであるので、設置スペースが小さく、且つ人間による細かな手作業と同様な作業を実行できる。
【0028】
また、ロボット1は、ベース12の下側にキャスタ20を備えているので、ロボット1の移設時には作業が容易である。
【0029】
また、作業台2は、ベース12に着脱可能に取り付けられているので、作業台2を取り外すことによりロボット1の横幅がコンパクトになる。移設作業が容易になる。
【0030】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態のロボット1は、水平多関節型のロボットアーム13を備える構成としたが、第1関節J1を共有する双腕ロボットであれば、例えば直交座標系ロボットでもよい。
【0031】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、所定の作業を行う作業ロボットに有用である。
【符号の説明】
【0033】
1 ロボット
2 作業台
2a 作業面
2b 締結部材
12 ベース(本体部)
13 ロボットアーム
15 アーム部
17 リスト部
図1
図2
図3