(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】蓋閉じ装置及び蓋閉じ方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20220113BHJP
B65B 7/28 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B65B7/28 L
(21)【出願番号】P 2017250249
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友希男
(72)【発明者】
【氏名】大内 哲志
(72)【発明者】
【氏名】三井 栄二
(72)【発明者】
【氏名】松岡 淳一
(72)【発明者】
【氏名】北野 幸彦
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-81214(JP,A)
【文献】特開昭60-254209(JP,A)
【文献】米国特許第4896480(US,A)
【文献】特開2009-125904(JP,A)
【文献】特開平5-147604(JP,A)
【文献】実開昭59-34991(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B65B 7/00-7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、2つのフィンガー部とを有し、2つの前記フィンガー部が互いに近接する方向に移動することにより蓋を
挟み込んで保持する
と共に、2つの前記フィンガー部が互いに離間する方向に移動することにより前記蓋の保持を解除する保持部と、
前記保持部の移動及び前記保持部による前記蓋の保持を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記蓋が容器の上方に位置するように前記保持部を移動させ、前記容器の上方の位置で前記保持部による前記蓋の保持を解除させ、前記蓋を落下させることによって前記容器に被せて蓋閉じを行
い、
前記制御部は、前記保持部が傾くことによって前記蓋を傾けた状態で前記蓋の一端部が前記容器の縁部の一端部と当接するように前記保持部を移動させ、前記蓋の一端部と前記縁部の一端部とが当接した状態で前記保持部による前記蓋の保持を解除させることを特徴とする蓋閉じ装置。
【請求項2】
前記容器の設置される容器設置部を備えていることを特徴とする請求項
1に記載の蓋閉じ装置。
【請求項3】
容器の開口部を覆う位置に蓋を被せて前記容器の蓋閉じを行う蓋閉じ方法であって、
ロボットアームと2つのフィンガー部とを有する保持部が
、2つの前記フィンガー部が互いに近接する方向に移動することにより前記蓋を挟み込んで前記蓋を保持する保持工程と、
前記蓋が前記容器の上方に位置するように前記保持部を移動させると共に、
前記保持部が傾くことによって前記蓋を傾けた状態で前記蓋の一端部が前記容器の縁部の一端部と当接するように前記保持部を移動させる移動工程と、
前記保持部が
、2つの前記フィンガー部が互いに離間する方向に移動することにより前記蓋の保持を解除し、前記蓋を落下させることによって前記容器に被せて蓋閉じを行う蓋閉じ工程とを備えていることを特徴とする蓋閉じ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に対し蓋閉じ動作を行う蓋閉じ装置及び蓋閉じ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを用いて検体の蓋閉じ動作を行う装置が提案されている。そのような検体に対し蓋閉じを行う装置として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1には、アームが蓋を保持し、アームが円運動を行うことによって蓋を検体の容器に被せて検体の蓋閉じ動作を行う技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された蓋閉じを行う装置では、アームが保持した蓋を、検体の容器上の所定位置に正確に配置する必要性がある。そのため、アームによる蓋の保持位置及び容器の設置位置について高い精度が必要とされる。また、アームの移動についても高い精度が必要とされる。従って、アームによる蓋の保持部の形状に高い精度が必要とされると共に、容器の設置位置の形状に高い精度が必要とされる。また、アームの制御を行う際にアームの移動に高い精度が必要とされる。このため、蓋閉じ装置の製造コストが増大する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、蓋閉じ動作を行う際に、高い精度が必要とされない蓋閉じ装置及び蓋閉じ方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓋閉じ装置は、蓋を保持する保持部と、前記保持部の移動及び前記保持部による前記蓋の保持を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記蓋が容器の上方に位置するように前記保持部を移動させ、前記容器の上方の位置で前記保持部による前記蓋の保持を解除させ、前記蓋を落下させることによって前記容器に被せて蓋閉じを行うことを特徴とする。
【0008】
上記構成の蓋閉じ装置では、蓋を落下させることによって容器に被せて蓋閉じが行われるので、蓋閉じ装置に高い精度が求められず、蓋閉じ装置の製造コストを少なく抑えることができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記蓋を傾けた状態で前記蓋の一端部が前記容器の縁部の一端部と当接するように前記保持部を移動させ、前記蓋の一端部と前記縁部の一端部とが当接した状態で前記保持部による前記蓋の保持を解除させてもよい。
【0010】
蓋が傾けられ蓋の一端部が容器の縁部における一端部と当接した状態から、落下によって蓋を容器の開口部に被せて容器の蓋閉じが行われるので、蓋と容器との間において蓋閉じを行う際の位置決めを行うことができ、蓋閉じを正確に行うことができる。
【0011】
また、前記容器の設置される容器設置部を備えていてもよい。
【0012】
容器設置部が備えられているので、容器の設置位置が認識され、蓋閉じを正確に行うことができる。
【0013】
また、前記保持部は、ロボットのアームによって構成されていてもよい。
【0014】
保持部がロボットのアームによって構成されているので、保持部の移動を精度良く行うことができ、蓋閉じを正確に行うことができる。
【0015】
また、本発明の蓋閉じ方法は、容器の開口部を覆う位置に蓋を被せて前記容器の蓋閉じを行う蓋閉じ方法であって、保持部が蓋を保持する保持工程と、前記蓋が前記容器の開口部の上方に位置するように前記保持部を移動させる移動工程と、前記保持部が前記蓋の保持を解除し、前記蓋を落下させることによって前記開口部に被せて前記容器の蓋閉じを行う蓋閉じ工程とを備えていることを特徴とする。
【0016】
上記構成の蓋閉じ方法では、蓋を落下させることによって容器の開口部に被せて容器の蓋閉じが行われるので、保持部の移動に精度が必要とされず、蓋閉じを円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蓋閉じ装置によれば、高い精度が必要とされないので、蓋閉じ装置の製造コストを少なく抑えることができる。また、本発明の蓋閉じ方法によれば、蓋閉じ動作をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る蓋閉じ装置の側面図である。
【
図2】
図1の蓋閉じ装置における本体部のハンド部について示した斜視図である。
【
図3】
図1の蓋閉じ装置によって蓋閉じ動作の行われる容器及び蓋についての斜視図である。
【
図4】
図1の蓋閉じ装置の本体部における制御系統の構成について示したブロック図である。
【
図5】
図1の蓋閉じ装置によって蓋閉じ動作を行う際の、各工程についての蓋閉じ装置及び容器の周辺について示した構成図である。
【
図6】
図1の蓋閉じ装置によって蓋閉じ動作を行う際のフローについて示したフローチャートである。
【
図7】蓋が容器に対し位置がずれている状態で
図1の蓋閉じ装置によって蓋閉じ動作を行う際の蓋の周辺の空気の流れについて、模式的に示した構成図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る蓋閉じ装置によって蓋閉じ動作を行う際の、各工程についての蓋閉じ装置及び容器の周辺について示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る蓋閉じ装置及び蓋閉じ方法について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る蓋閉じ装置1の側面図である。
【0021】
蓋閉じ装置1は、本体部100と、容器設置用台(容器設置部)200とを備えている。容器設置用台200上には、容器300が設置されている。本体部100は、容器300に対し蓋閉じを行うことが可能な蓋400を保持している。本実施形態では、本体部100は、多軸の産業用ロボットとして用いられている。本実施形態で用いられる本体部100は、ロボットアーム110を備えている。
【0022】
図2に、本体部100における保持部10の斜視図を示す。本実施形態では、保持部10は、2つのフィンガー部20を備えている。2つのフィンガー部20は、互いに近接、離間する方向に移動可能に構成されている。
【0023】
フィンガー部20の間に蓋400が位置した状態で、フィンガー部20同士が近接する方向に移動することにより、フィンガー部20によって蓋400を挟み込み、蓋400を保持することが可能に構成されている。
【0024】
なお、本実施形態では、保持部10は、フィンガー部20によって蓋400を挟み込むことにより蓋400を保持する形態について説明しているが、本発明はこれに限定されない。保持部10は、他の形態であってもよい。例えば、保持部10が吸着部を備え、蓋400を吸着によって保持する形態であってもよい。
【0025】
図3に、容器300及び蓋400についての斜視図を示す。本実施形態では、容器300は、主に生化学的分析や臨床検査等でマイクロプレートとして使用されるものである。容器300は、透明な樹脂によって形成され、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等によって形成されている。容器300には、液体を収容可能な穴としてのウェル310が複数形成されている。本実施形態では、長辺に12個、短辺に8個並べられ、計96個のウェル310が形成されている。
【0026】
蓋400は、容器300におけるウェル310の形成された面を覆うことが可能に構成されている。蓋400の側面によって囲まれて形成された開口部は、容器300におけるウェル310の形成された面よりも大きく構成されている。従って、蓋400が容器300を覆ったときには、蓋400の側面が容器300の側面よりも外側に位置するように構成され、蓋400の開口部の内部に容器300の上部が収容される。蓋400の側面は、容器300の上部の収容を容易にするために、容器300に近づくにつれて広がるように形成されていることが好ましい。
【0027】
蓋400が容器300を覆うことが可能なので、容器300のウェル310に試薬等の液体を注入した後に長期間に亘って載置しておく必要がある場合に、蓋400によってウェル310の開口部を閉じることができる。これにより、ウェル310内部の液体が外部に晒されずに済むので、ウェル310内部の液体の蒸発を防ぐことができる。
【0028】
次に、本体部100の制御構成について説明する。
図4に、本体部100における制御構成についてのブロック図を示す。
【0029】
図4に示されるように、本体部100における制御部14は、演算部14aと、記憶部14bと、サーボ制御部14cとを含む。
【0030】
制御部14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御部14は、集中制御する単独の制御部14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御部14によって構成されていてもよい。
【0031】
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、本体部100の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、本体部100の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14cに出力する。例えば、演算部14aは、プロセッサユニットによって構成されている。
【0032】
サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、本体部100におけるロボットアーム110のそれぞれの関節に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0033】
次に、本実施形態における蓋閉じ装置1によって行われる蓋閉じ動作について説明する。
【0034】
図5(a)~(d)に、蓋閉じ装置1の本体部100が蓋400についての蓋閉じ動作を行う際の各工程について示した構成図を示す。また、
図6に、蓋閉じ装置1が蓋閉じ動作を行う際のフローについて示したフローチャートを示す。
【0035】
まず、蓋閉じ装置1の本体部100が蓋400を保持する(S1)。本実施形態では、本体部100が蓋400を保持する際には、保持部10の2つのフィンガー部20が間に蓋400を挟み込むことにより保持する(保持工程)。フィンガー部20同士の間に蓋400が位置した状態でフィンガー部20同士が互いに近接する方向にフィンガー部20を駆動させることにより、フィンガー部20によって蓋400を保持させる。
【0036】
本体部100の保持部10が蓋400を保持すると、
図5(a)に示されるように、本体部100におけるロボットアーム110の駆動を制御し、保持部10を容器300に近接させるように移動させる。このように、保持部10を移動させることにより、蓋400を、容器300の上方の位置に配置させる(S2)(移動工程)。
【0037】
このとき、容器300は容器設置用台200に設置されているので、蓋閉じ装置1における容器設置用台200の所定位置に容器300が設置されることにより、蓋閉じ装置1によって容器300の設置された位置が認識される。容器300の設置位置が認識されるので、蓋400を容器300の上方の位置に正確に配置させることができ、蓋閉じを正確に行うことができる。
【0038】
図5(b)に示されるように、蓋400が容器300の上方に位置すると、そこで保持部10による蓋400の保持が解除される。保持部10による蓋400の保持が解除される際には、フィンガー部20同士が互いに離間する方向に移動することにより蓋400の保持を解除する。
【0039】
保持部10による蓋400の保持が解除されると、
図5(c)に示されるように、蓋400が保持部10による保持位置から落下する。このとき蓋400は容器300の上方に位置しているので、蓋400が落下すると、蓋400は容器300に被さる(S3)(蓋閉じ工程)。蓋400が容器300に被さると、蓋閉じ装置1による容器300への蓋400による蓋閉じ動作が完了する。
【0040】
蓋閉じ装置1による容器300への蓋400による蓋閉じ動作が完了すると、本体部100におけるロボットアーム110の駆動を制御し、
図5(d)に示されるように、保持部10が蓋400及び容器300から離間するように保持部10を移動させる(S4)。
【0041】
蓋400が容器300に対し位置がずれている状態で蓋400を落下させることにより蓋400を容器300に被せる際の、蓋400の周辺の空気の流れについて、
図7に示す。
【0042】
図7(a)に示されるように、蓋400を落下させると、蓋400が重力に従って下方に移動するので、蓋400の内部に位置する空気が蓋400に押されて蓋400の外側に逃げようとする。従って、蓋400の内側から外側に向かう空気の流れが発生する。
【0043】
蓋400は落下しているので、蓋400の内側から外側に向かう方向へ空気が流れている状態で、蓋400が容器300に近接している。このとき、仮に、
図7(b)に示されるように、蓋400の位置がずれ、蓋400と容器300とが接触するような位置関係にある場合には、空気の流れが蓋400と容器300との間の領域で発生していることにより、蓋400の側壁410がこの空気の流れによって外側に向けて押される。蓋400の側壁410が空気の流れによって押されることにより、
図7(c)に示されるように、蓋400の側壁410が容器300の外側に向かって移動する。これにより、蓋400による位置のずれが修正される。
【0044】
このように、蓋400と容器300との間の位置のずれが比較的小さい場合には、蓋400の保持を解除して蓋400を落下させ容器300に被せることにより、蓋400と容器300との間の位置のずれを修正させることができる。従って、蓋400による容器300への蓋閉じ動作を行う際に、蓋400と容器300との間の位置精度を高くせずに済む。そのため、保持部10による蓋400の保持位置及び容器300の配置位置に高い位置精度が求められずに済む。これにより、蓋閉じ装置1に高い精度が求められず、蓋閉じ装置1の製造コストを低く抑えることができる。
【0045】
また、容器300に対し蓋400による蓋閉じ動作を行う際に、蓋閉じ動作の精度を高く保つことができる。仮に、容器300と蓋400との間で蓋閉じ動作が行われた際に、位置ずれが生じたままである場合には、蓋400が容器300に完全に被さらずに、蓋400が容器300におけるウェル310の形成された面に載った状態で蓋400及び容器300が次の工程に搬送される可能性がある。例えば、蓋400を容器300に被せた後に蓋400及び容器300がラックに収められる場合には、ラックと蓋400あるいは容器300とが接触してしまう可能性がある。
【0046】
また、本発明によれば、蓋閉じ装置1によって蓋閉じ動作を行う際に、蓋400と容器300との間の位置ずれが修正されるので、保持部10の位置精度を高くしなくて済む。従って、本体部100のロボットアーム110の駆動制御において、ロボットアーム110の移動の精度を高くしなくて済む。従って、本体部100においてロボットアーム110を駆動させるためのサーボモータに高い位置精度が求められず、本体部100の製造コストをさらに少なく抑えることができる。そのため、蓋閉じ装置1の製造コストをさらに低く抑えることができる。
【0047】
また、蓋400と容器300との間の位置ずれが修正されるので、蓋閉じ動作を行う際に蓋400と容器300との間で位置ずれがあったとしても、蓋閉じ動作を円滑に行うことができる。従って、仮に、蓋閉じ装置1の精度が低くても円滑に蓋閉じ動作を行うことができ、より確実に蓋閉じ動作を行うことができる。
【0048】
蓋を容器に被せて蓋閉じ動作を行う際には、従来のように、蓋が容器に被せられるまで蓋が保持されることも考えられる。しかしながら、その場合には、蓋を容器に被せる際に、蓋を保持する保持部が、蓋が容器に被さるような位置に正確に配置される必要がある。そのため、蓋と容器との間の位置精度が高いことが求められる。また、ロボットアームを駆動させるためのサーボモータに高い位置精度が求められ、蓋閉じ装置の製造コストが嵩んでしまう可能性がある。また、蓋を容器に被せる際に、蓋の移動速度を速くした場合には、蓋と容器との間の空気によって蓋が押され、これによって蓋と容器との間で位置ずれが生じ、蓋を容器に精度良く被せることができない場合がある。また、蓋を容器に被せる際に、空気による影響を排除するために蓋の移動速度を遅くする場合には、蓋閉じ動作に時間がかかってしまい、蓋閉じ装置による蓋閉じ動作の効率が低下する可能性がある。
【0049】
これに対し、本実施形態では、蓋400が容器300の上方に位置したところで保持部10による蓋400の保持が解除され、蓋400が重力に従って落下しながら容器300に被せられることにより、比較的高速に蓋閉じ動作を行うことができる。従って、蓋閉じ装置1による蓋閉じ動作の効率を高く維持したまま、蓋400を容器300に精度良く被せることができる。従って、蓋閉じ装置1の運転コストを少なく抑えることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、容器300が、主に生化学的分析や臨床検査等でマイクロプレートとして使用されるものである形態について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、他の用途に用いられる容器に対し蓋閉じ動作が行われる場合に適用されてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、蓋400及び容器300が直方体の形状を有している形態について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、例えば、蓋400及び容器300が円筒状であってもよい。また、蓋400が容器300に被さることができるのであれば、他の形状であってもよい。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る蓋閉じ装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
第1実施形態では、保持部10が蓋400を保持し、そこから蓋400が容器300の上方に位置するまで保持部10が移動し、蓋400と容器300との間が離間した状態で保持部10が蓋400の保持を解除している。これに対し、第2実施形態では、容器300の上方の位置で保持部10が傾いていることにより蓋400が傾いており、蓋400の一部と容器300の一部とが当接した状態で保持部10が蓋400の保持を解除している点で第1実施形態と異なる。
【0054】
第2実施形態における蓋閉じ装置1aによる蓋閉じ動作の行われる際の、各工程についての蓋閉じ装置1及び容器300の周辺についての構成図を
図8に示す。
【0055】
図8(a)に示されるように、保持部10が蓋400を保持すると、容器300に近接する方向に保持部10を移動させて蓋400を容器300に近接させる。
【0056】
保持部10が移動して蓋400が移動することにより、蓋400が容器300の上方に位置すると、保持部10が傾くことにより蓋400を傾斜させる。蓋400が傾斜することにより、蓋400の一方の端部(一端部)のみが容器300の一方の端部(一端部)により近接した状態になる。この状態で保持部10が蓋400を保持したまま、蓋400の一方の端部が容器300の一方の端部と当接するまで保持部10を下方に移動させて蓋400を容器300に向けて移動させる。
【0057】
蓋400が傾いた状態で下方に移動した結果、
図8(b)に示されるように、蓋400の一方の端部が容器300の一方の端部に当接する。蓋400の一方の端部と容器300の一方の端部とが当接すると、そこで保持部10による蓋400の保持が解除される。これにより、蓋400における保持部10によって保持された側の他方の端部が重力に従って落下し、蓋400における他方の端部が容器300の他方の端部に被さる。これにより、
図8(c)に示されるように、蓋400の全体に亘って容器300に被さる。蓋400が容器300に被さると、蓋閉じ装置1aによる容器300への蓋400による蓋閉じ動作が完了する。
【0058】
蓋閉じ装置1aによる容器300への蓋400による蓋閉じ動作が完了すると、
図8(d)に示されるように、保持部10が蓋400及び容器300から離間するように保持部10を移動させる。
【0059】
このように、第2実施形態では、保持部10を傾斜させることにより蓋400を傾け、蓋400の一方の端部と容器300の一方の端部とが当接するまで蓋400を容器300に向けて移動させる。蓋400と容器300とが当接すると、そこで保持部10による蓋400の保持を解除し、蓋400の重力に従った下方への移動によって蓋400を容器300に被せている。
【0060】
蓋400の一方の端部と容器300の一方の端部とが当接した状態で蓋400を重力に従って落下させ、蓋400を容器300に被せるので、蓋400と容器300との間において蓋閉じを行う際の位置決めを行うことができる。従って、蓋閉じ動作をより正確に行うことができる。
【0061】
また、蓋400の一方の端部と容器300の一方の端部とが当接した状態で蓋400を重力に従って落下させ、蓋400を容器300に被せるので、例えば、蓋400の側壁によって形成された開口部が長方形であり、容器300の縁部が長方形である場合には、蓋400と容器300との間の平行関係が矯正され、その状態で蓋400が容器300に被せられる。蓋400と容器300との間の平行関係が矯正された状態で、蓋400による容器300への蓋閉じ動作が行われるので、より正確に蓋閉じ動作を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 蓋閉じ装置
10 保持部
14 制御部
300 容器部
400 蓋