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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】繊維複合体構成部品
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/368 20060101AFI20220128BHJP
   B60G 11/02 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F16F1/368 A
F16F1/368 B
B60G11/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018566973
(86)(22)【出願日】2017-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2017063783
(87)【国際公開番号】W WO2017220321
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】202016103285.7
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518447393
【氏名又は名称】ソゲフィ ハーデー サスペンションズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クリーグ, ニコライ
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-006443(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01308265(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2587649(FR,A1)
【文献】特開昭56-141435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 41/00- 41/36
B29C 41/46- 41/52
B29C 70/00- 70/88
B60G 1/00- 99/00
F16F 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのばね区分及び少なくとも1つの荷重導入ユニット(2、2.1)を備える、ばねとして設計された繊維複合体構成部品であって、前記繊維複合体構成部品(1)の繊維複合体材料が、前記荷重導入ユニット(2、2.1)の長手方向の延伸を横断する平面で、荷重導入要素(3)を形成するまたは囲む端区分において、少なくとも2つの繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)に分割され、2つの隣接する繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)が、特定の角度量にわたって延在する重複を形成しながら逆方向に案内され、それらの対向側面(7)が、それぞれの目玉部を形成するために、それらが重複して配置される区分において摩擦係止様式で互いに接続されていることを特徴とする、繊維複合体構成部品。
【請求項2】
奇数の繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)が、前記荷重導入ユニット(2、2.1)の構築に加わることを特徴とする、請求項1に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項3】
個々の前記繊維複合体材料ストランドの断面積が等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項4】
前記繊維複合体材料ストランドの断面積の合計が、2つの巻き付け方向において等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項5】
前記繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)による前記目玉部の形成が、前記荷重導入ユニット(2、2.1)の長手方向の延伸の中央横断平面に関して対称的に提供されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項6】
前記繊維複合体材料ストランドによる前記目玉部の形成が、前記荷重導入ユニットの長手方向の延伸の中央横断平面に関して非対称的に提供されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項7】
前記繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)による前記目玉部の形成が、各場合において閉目玉部を形成する間に実行されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項8】
前記繊維複合体構成部品(1)の前記繊維複合体材料が、繊維ストランド(4、4.1、4.2)であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項9】
繊維体積含有率が、個々の繊維ストランド(4、4.1、4.2)において異なることを特徴とする、請求項8に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項10】
少なくとも1つの端区分における繊維体積含有率が、その上に形成された前記ばね区分においてより少ないことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの端区分における前記繊維体積含有率が、前記ばね区分よりも5%~30%少ないことを特徴とする、請求項10に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項12】
繊維ストランドのカバー層が、連続的であることを特徴とする、請求項10または11に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項13】
荷重導入要素が、前記繊維複合体材料ストランド(4、4.1、4.2)によって巻き付けられていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項14】
前記荷重導入要素が、金属スリーブ(3)であることを特徴とする、請求項13に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項15】
前記繊維複合体構成部品(1)が細長く、その端部の両方で荷重導入ユニット(2、2.1)を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項16】
前記繊維複合体構成部品(1)が、車両の車輪サスペンションの部品であることを特徴とする、請求項15に記載の繊維複合体構成部品。
【請求項17】
前記繊維複合体構成部品が、板ばね(1)、特に放物形ばねであることを特徴とする、請求項16に記載の繊維複合体構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのばね区分及び少なくとも1つの荷重導入構造を備える、ばねとして具現化された繊維複合体構成部品に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維複合体構成部品は、鋼から典型的に製造される構造構成部品に取って代わるために多くのアプリケーションにおいて使用される。このような構造構成部品はまた、例えば、車両ばね等の、ばねまたはばね要素、例えば、サスペンションアームまたは板ばね等の、車両サスペンションの部品であり得る。このような繊維複合体構成部品は、その長手方向の広がりが、その横断方向における広がりよりも何倍も大きくなり、したがってこのような構成部品の幅及び高さに対して細長い。このような構成部品は、他の構成部品への取り付けのために少なくとも1つの荷重導入構造を有する。それは目玉部として典型的に具現化される。考察される種類の従来型鍛造構成部品において、このような目玉部は概して閉じられている。板ばねにおいて、目玉部が圧延手順によって作り出され、それらはまた時々開いている。その長手方向の広がりに対して横断する1つの側面または両方の側面において、その1つの端部で構成部品から突出する取り付けピンはまた、このような構成部品において荷重導入構造として使用され得る。
【0003】
考察される種類の繊維複合体構成部品は、既知である。例えば、DE102006/047412B1において、荷重導入要素を有するロッド形状の繊維複合体構造が、記載される。この繊維複合体構造は、油圧アクチュエータの構造構成部品である。この既知の繊維複合体構造は、周方向の繊維補強材を有する帯具によって囲まれる、2つのハーフシェルからなる。
【0004】
DE102010/009528A1は、板ばねとして具現化された繊維複合体構成部品を開示する。軸受け目玉部が、この既知の繊維複合体構成部品において荷重導入構造として提供される。この荷重導入構造を構築するために、スリーブが荷重導入要素として使用され、これが繊維複合体材料の端区分の付近で周囲に巻き付けられる。繊維複合体材料から閉じた目玉部を形成するために、より狭い舌部を形成するようにその端部の領域に合わせた大きさに切断される。端部側舌部がスリーブの周囲の巻き付け後に挿入される開口部が、繊維複合体構成部品を形成するために使用されたプリプレグ片内の端部側舌部と整合されて切断される。開口部から突出する舌部の端区分が、断たれる。この様式において、プリプレグ片の端部側の端面は、荷重導入要素としてスリーブの周囲に巻き付けた後、この点において実際のばね区分の端部に戻される。
【0005】
繊維複合体構成部品の製造のために使用された繊維複合体材料の層間剥離の危険性が、荷重の事象において、特にせん断及び/または引張荷重の事象において、考察される種類の繊維複合体構成部品における問題となる。このことは、繊維複合体構成部品の不良をもたらすことから望ましいことではない。
【0006】
層間剥離の危険性は、荷重導入構造がDE102010/009528A1から既知の繊維複合体構成部品を使用してループによって形成される、他の繊維複合体構成部品に関して改善されるが、このような繊維複合体構成部品の積載力は、概して、とりわけ動的荷重の事象において、非常に低い。このことは、相応な、より広い設計の板ばねによって、補うことができる。しかしながら、この目的のために必要な設置空間は、しばしば入手不可能である。加えて、より多くの材料が同様に使用されなくてはならず、この繊維複合体構成部品によってもたらされることであり、所望された軽量化に不都合な影響を有する。更に、コストの上昇が予想される。
【0007】
この考察された先行技術から始まり、本発明は、したがって、許容可能な材料の使用を伴い高荷重を許容するだけでなく、繊維複合体構成部品に関して層間剥離の危険性が削減される繊維複合体構成部品を提供する目的に基づいており、その荷重導入構造は、繊維複合体材料のループによって提供される。
【発明の概要】
【0008】
本目的は、はじめに挙げられたような問題における種類の繊維複合体構成部品により本発明に従って達成され、繊維複合体構成部品の繊維複合体材料は、荷重導入要素を形成または囲む端区分において、荷重導入構造の長手方向の広がりに対して横断する平面で、少なくとも2つの繊維複合体材料ストランドに分割され、2つの隣接する繊維複合体材料ストランドは、各々が目玉部を形成するために特定の角量にわたって延在する重複を形成しながら、各々反対方向に案内され、それらが重複して配置される区分において、互いに向かい合う横方向面と摩擦係止様式で互いに接続される。
【0009】
本繊維複合体構成部品において、荷重導入構造は、少なくとも2つの繊維複合体材料ストランドによって形成される。荷重導入構造は、典型的に目玉部であり、開目玉部または閉目玉部として具現化することができる。本発明に従う繊維複合体構成部品における特別な特性は、隣接する繊維複合体材料ストランドを巻き付けるまたは屈曲する方向が、荷重導入構造を形成するために反対方向にあるということである。このことは、第1の繊維複合体材料ストランドが目玉部を形成するために時計周りに案内され、一方で1つまたは2つの隣接する繊維複合体材料ストランドが、反対方向に巻き付けるまたは屈曲する方向、したがって反時計回りに案内される場合を意味する。繊維複合体材料ストランドが荷重導入構造の目玉部を形成するために案内される際に巻き付ける量は、少なくとも隣接する繊維複合体材料ストランドが特定の角量にわたって重複するように十分に大きい。重複する領域において、これらの互いに向かって面する繊維複合体材料ストランドの側面は、重複する配置の領域において互いに接触する。これらの横方向面は、繊維複合体構成部品の硬化樹脂によって典型的に一体的に接合され、摩擦係止様式において互いに更に接続される。この設計を伴い、繊維複合体材料が、その目玉部の長手方向の広がりに対して横断する平面において、少なくとも1つの荷重導入構造の領域内で分割されることは有利である。荷重導入要素に巻き付ける量は、したがって繊維複合体材料ストランドの長さにのみ左右される。繊維複合体構成部品の残りの設計は、したがってこのコンセプトによって荷重導入構造の形成に影響を受けることはない。荷重導入構造は、したがって繊維複合体構成部品の残りの要素とは無関係に設計され得る。これはまた荷重導入構造に関して、繊維複合体構成部品の残りの部分の設計に適用され、逆もまた同様である。
【0010】
隣接する繊維複合体材料ストランドの反対方向に巻き付けることに関する重複は、特に大きな面積にわたって、2つの隣接する繊維複合体材料ストランドの平面接点の形成を可能にする。隣接する繊維複合体材料ストランドを互いに接着させることは、大きな力が荷重導入構造に導入され、更に層間剥離が効果的に防止されることを確実とする。隣接する繊維複合体材料ストランドの広範囲の接着は、荷重導入要素が提供される場合、この要素が荷重導入構造の繊維複合体構造内に確実に収容されることに寄与する。複合体繊維材料ストランドによって囲まれる、このような荷重導入要素は、例えば金属スリーブであり得る。
【0011】
目玉部は、各繊維複合体材料ストランドによって270°超で好ましくは形成される。これらの繊維複合体材料ストランドの横方向接触面は、次いで少なくとも90°を超えて延在する。荷重導入構造の目玉部を合同で形成する繊維複合体材料ストランドによって形成された目玉部は、しかしながら、閉じられまたはほぼ閉じられて好ましくは具現化される。繊維複合体材料ストランドの正面接合部は、次いで、繊維複合体材料の残りの部分の表面まで、またはほとんどそこまで案内される。閉目玉部は、繊維複合体構成部品の最終形成のために使用された樹脂によって各繊維複合体材料ストランドによって次いで形成され、これによってこのような繊維複合体材料ストランドの戻り端部面の間の残りの隙間がまた、充填される。
【0012】
荷重導入構造が、アプリケーションまたはそのような繊維複合体構成部品の使用における要求に対して荷重導入特性に関して適用され得ることは、荷重導入構造を形成するために、端部で荷重導入要素の長手方向の広がりに対して横断する平面において分割された繊維複合体材料ストランドを有するこのような繊維複合体構成部品の更なる特に有利な点である。予期された荷重に応じて、第1の巻き付け方向において目玉部を形成する繊維複合体材料ストランドの合計断面積が、対応する目玉部または目玉部が他の巻き付け方向において形成された、繊維複合体材料ストランドの合計断面積とは異なるということが確実に提供され得る。荷重導入構造は、このコンセプトを使用する荷重導入構造の中央横断平面に関して、対称的または非対称的に設計され得る。非対称設計は、例えば、これらの荷重が特定の機能方向から係合するとき、ねじり荷重が、荷重導入構造を介して吸収されなければならない、といったアプリケーションのために提案する。
【0013】
荷重導入構造の目玉部が形成され及び/または囲まれることによる繊維複合体材料ストランドの数は、少なくとも2つである。しかしながら、奇数の繊維複合体材料ストランドが、両方向において中央横断平面から対称的に進む反対側の巻き付け方向の代替品を設計することが可能となるため、好ましくは選択される。このことは、代替品に関するが、各繊維複合体材料ストランドの幅には必ずしも関することはない。隣接する繊維複合体材料ストランドが各々、荷重導入構造の目玉部を形成するために反対方向において周囲を巻き付けることにおいて、複合体材料ストランドの数が大きくなればなるほど、このように提供された荷重導入構造の積載力がより高くなる。多くのアプリケーションに対して、繊維複合体材料ストランドの数が3または5であれば、十分であろう。
【0014】
一方向に配向した繊維、同様に織り繊維材料、繊維不織材料、または同様のもの等の繊維ストランドが、繊維複合体材料として使用することができる。その端部領域において必要とされた繊維複合体材料ストランドに容易に分割され得る繊維ストランドが使用されない場合、荷重導入構造が形成される端区分が、1つ以上の切り込みによって反対方向に巻き付けるために必要な繊維複合体材料ストランドに分割される。
【0015】
このような繊維複合体構成部品は、多くの点においてこのような荷重導入構造を有することができる。例えば、繊維複合体構成部品が板ばねの場合、その2つの端部においてこのような荷重導入構造が装備されるであろう。このような繊維複合体構成部品はまた、確実に、少なくとも1つのこのような荷重導入構造を有するフレーム、補助フレーム、サスペンションアーム、または同様のものであり得る。
【0016】
一例示的な実施形態において、例えば、金属スリーブ等の一般的な荷重導入要素は、このような荷重導入構造の繊維複合体材料ストランドの目玉部によって囲まれる。このような金属スリーブの断面積は、円形の断面積を有し得る。このような荷重導入要素を上記で記載した様式で囲むため、このような荷重導入要素の断面積はまた、円形からは逸脱し得、例えば、長方形として具現化することもできる。
【0017】
例えば、板ばね等の繊維複合体構成部品として製造されたこのようなばねのばね特性曲線は、とりわけ繊維複合体構成部品の繊維体積含有率を介して設定することができる。繊維体積含有率は、構成部品の特定の形状で使用される繊維、典型的にガラス繊維、の体積率を規定する。ばねとして設計されたこのような繊維複合体構成部品の断面積に関する繊維体積含有率は、断面積に関する繊維の比率をこのように規定する。このような、例えば、放物形ばねとして設計された繊維複合体構成部品は、そのばね区分、この場合、ばねアームの広がりにわたって一定の繊維体積含有率を有することができる。荷重導入要素に向かう方向における断面積の削減のため、実際に使用された繊維量は、一定の繊維体積含有率を伴うこの方向において減少する。例えば、たわみ等のばねストレスの事象における切り欠き効果を削減するために、繊維ストランドのカバー層が、連続して具現化される。繊維体積含有率は、ばね区分、すなわち、例えば、ばねアーム内に関して荷重導入要素を形成または囲む端区分において削減することができる。周囲の状況が、この場合利用され、これらの端区分は繊維縦方向においてより低いひずみに耐えなくてはならず、主に層間荷重を有する。むしろ、これらの端区分はまた、いずれの顕著ではない場合においても、弾性的に反応しないことが提供され、これは上昇した樹脂比率によって確実とされる。繊維ストランドの使用をより低くすることは、繊維複合体構成部品上に重量削減効果を有する。繊維ストランドのカバー層はまた、この様式で形成された端区分への推移において典型的に連続的である。射出合成物がこのような端区分の型成型にすでにより低い圧力で浸出過程中により良く分配され得ることが、このような設計の場合にまた有利である。その理由は、少なくとも1つの端区分において、射出された合成物の流動作用を損なう、繊維ストランドの数がより小さくなることである。実験が、少なくとも1つの端区分において、繊維体積含有率が、同様の品質の繊維複合体構成部品を伴い、最大50%まで削減することができることを示した。このような少なくとも1つの端区分における繊維体積含有率の削減量は、繊維複合体構成部品のために意図されたアプリケーションに応じて設計されるであろう。
【0018】
ばねとして設計された繊維複合体構成部品の長手方向の広がりにわたる繊維体積含有率における変化は、このような繊維複合体構成部品の設計のための更なる影響オプションを表現する。ばねとして具現化された繊維複合体構成部品の構想における設計自由度は、特に製造方法に影響を与えることなく、鋼から慣例的に製造されるものに関してこのように強化される。
【0019】
ばねとして具現化されたこのような繊維複合体構成部品の設計における更なる自由度は、繊維体積含有率が繊維複合体材料ストランドにおいて少なくとも部分的に異なり得ることである。このように、例えば、ばねに関して横断方向において互いに隣接して配置された繊維複合体材料ストランドは、同様の繊維体積含有率を有することができ、一方で上下に位置づけられた複合体材料繊維ストランドは、異なる繊維体積含有率を有する。また、繊維複合体構成部品の横断方向において異なる繊維体積含有率を有する繊維複合体材料ストランドを配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、添付の図面を参照して例示的な実施形態に基づいてこれより記載される。
【0021】
図1】車両用繊維複合体構成部品として生産された板ばねの斜視図を示す。
図2図1の板ばねの荷重導入構造左側の拡大斜視部分図を示す。
図3】荷重導入要素の周囲に巻き付き、部分的に屈曲していない繊維複合体材料ストランドを有し、図2の荷重導入構造を別の視点で示す。
図4】荷重導入要素を囲む繊維複合体材料ストランドを有する、図3の荷重導入構造を同様の視点で示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、細長い繊維複合体構成部品として生産された板ばね1を示す。リースばね1は、繊維複合体材料から図1で示される形態にされる。繊維ストランドが、図1の例示的な実施形態において、繊維複合体材料として使用されている。繊維複合体板ばね1は、既知の樹脂射出成形方法(樹脂トランスファー成形)のコースにおいて製造されている。この方法において、織物半仕上げ製品として使用された繊維ストランドが、金型に据えられる。それに続くステップにおいて、樹脂が金型の空洞内に射出され、繊維ストランドが所望の形状に配置される。図1に示された板ばねはまた、プリプレグを使用して製造され得る。
【0023】
板ばね1は、その2つの端部において荷重導入構造2、2.1をそれぞれ支持する。荷重導入構造2は、これより詳細に記載される。荷重導入構造2.1は、例解された例示的な実施形態において完全に同じように構築される。したがってこの観点における記述は、荷重導入構造2.1に同様に適用する。
【0024】
荷重導入構造は、金属スリーブ3を備え、その付近に荷重導入要素として、目玉部が提供される。金属スリーブ3は、放射状の横方向面に沿って繊維複合体材料によって囲まれる。目玉部を形成するスリーブ3を囲む様式は、荷重導入構造2における特別な特性である。図2は、実際の板ばねの端部の区分における板ばね1の荷重導入構造2を示す。スリーブ3は、例解された例示的な実施形態において、3つの繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2によって周囲を巻き付けられる。繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2は、異なる巻き付け方向でスリーブ3の周囲に案内される。繊維複合体材料ストランド4は、図2の図においてスリーブ3の横方向面の周囲を時計回りに巻き付ける。繊維複合体材料ストランド4.2はまた、同様の巻き付け方向において案内される。対称的に、2つの繊維複合体材料ストランド4と4.2との間に位置する繊維複合体材料ストランド4.1は、反時計回り、したがってスリーブ3の周囲を繊維複合体材料ストランド4、4.2に対して反対方向において案内される。3つ全ての繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2は、スリーブ3の横方向面の周囲をおよそ360°案内される。繊維複合体材料ストランド4の端部面5上に示されるような、それぞれの端部側の端部面の間の残りのガセット及びストランド4、4.1、4.2のはじめの端部の上側は、硬化のために使用される樹脂を使用して充填される。この樹脂で充填されたガセットは、参照印6によって図2において示される。閉目玉部は、このように各繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2によって示される例示的な実施形態においてスリーブ3の放射状横方向面の周囲に据えられる。
【0025】
繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2は、上記で記載されたスリーブ3の隣接する繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2それぞれを反対方向で巻き付けることを可能にするために、スリーブ3の長手方向の広がりの横断平面、したがって板ばね1の長手方向の広がりにおいて分割される。
【0026】
繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2によってスリーブ3を反対方向において巻き付けることに起因して、荷重導入構造2は、特に高荷重を受け得る。スリーブ3上及び荷重導入構造2上に作用する張力またはせん断力は、その方向とは無関係に繊維複合体材料ストランド4、4.2、または4.1の少なくとも板ばね付近の区分に常に比例的に導入される。
【0027】
特に高い張力が発生した場合に繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2の巻き付けを開くことが、それらが互いに向かって面する側面上で使用される樹脂によって、広範囲にわたり互いに一体的に接着されていることにおいて、したがって板ばね1を製造するためのスリーブ3の長手方向範囲の方向において、効果的に防止される。このため、隣接する繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2はそれぞれ、それらがある区分において重複するようにスリーブ3の周囲に案内される。示される例示的な実施形態において、重複は、ほぼ360°未満である。
【0028】
上記で記載された巻き付けを例解するために、図3は、スリーブ3から部分的に巻き付けられていない繊維複合体材料ストランド4を備える荷重導入構造2を示す。隣接する繊維複合体材料ストランドの接着、ここでは繊維複合体材料ストランド4及び繊維複合体材料ストランド4.1は、接している横方向面7を介しており、一体的に接着され、したがって樹脂を介して摩擦係止様式において互いに接続される。例解された例示的な実施形態において、繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2によるスリーブ3の巻き付けは、ほぼ360°にわたっており、2つの隣接する繊維複合体材料ストランドの接触面は、特に大きい。繊維複合体材料ストランド4、4.1、4.2によってスリーブ3を反対方向に巻き付ける結果として、それらがまた引張応力の事象においてのみ、反対方向においてスリーブ3の横方向面から取り外せ得るということが重要である。しかしながら、これは、隣接する繊維複合体材料ストランド4、4.1、と4.1、4.2との間の一体接着によって効果的に抑制される。接着は、このようなせん断力に持ちこたえるために、繊維複合体構成部品の硬化に使用された樹脂に対して迅速かつ十分に強い。
【0029】
図4は、繊維複合体材料ストランド4と横方向面7上で一体的に接着される状態の、図3の例解図の視点から荷重導入構造2を示す。
【0030】
例解された例示的な実施形態において、金属スリーブ3の巻き付けは、中央横断平面に関して対称的に構築される。また対応する要求によって必要とされる場合、非対称的に設計することもできる。例解された例示的な実施形態において、繊維複合体材料ストランド4.1の断面積は、具体的にはおよそ5:3の割合で、繊維複合体材料ストランド4、4.2の断面積よりも大きい。
【0031】
上記で記載されたコンセプトを使用して、任意の荷重導入構造2、2.1が、したがってその上に作用するそれぞれの要求に対して最適に設計され得る。特に、荷重導入構造2、2.1は、例解された例示的な実施形態の場合と同様に、同一である必要はない。金属スリーブ3の巻き付けの設計に関して、進行方向における前部の荷重導入構造を、進行方向における後部の荷重導入構造とは異なるように設計することが全く可能である。
【0032】
記載された例示的な実施形態において、繊維体積含有率は、板ばね1の長さにわたって一定である。
【0033】
繊維複合体構成部品として生産された従来式の板ばねと比較した板ばね1の耐久性に関するシミュレーションは、著しく良い特性を示す。DE102010/009528A1において記載された板ばねは、比較用の板ばねとして使用される。シミュレーションを受けた両方の板ばねの寸法は、同一である。シミュレーション中、ミニバン内で使用される間のこれらの板ばねのひずみを、シミュレートした。ケーススタディされた荷重は、本発明に従う板ばねの著しく改善された特性を示す。以下の表において、シミュレーション中の結果として生じる横断方向引張応力のパーセンテージ割合が、解明された比較用ばねの横断方向引張応力の割合として示され、その値は、本発明に従うそれぞれの板ばねの各々に対して、100%にスケーリングされる。
【0034】
結果は、特別な様式の荷重導入構造の設計のため、それぞれの荷重実例に導入された横断方向引張応力は、比較用板ばねの実例よりも顕著に低いということを示す。
【0035】
本発明は、放物形ばねに基づく実施例として記載されている。本発明のコンセプトはまた、他の部品、特に、例えばスタビライザまたはサスペンションアーム等の、サスペンション部品にも使用され得るということは明らかである。このような繊維複合体構成部品はまた、別の背景において使用される停止手段、フック、または目玉部を形成するために使用され得る。
【0036】
参照番号のリスト
図1
図2
図3
図4