(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】開閉体の駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/622 20150101AFI20220114BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220114BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20220114BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E05F15/622
B60J5/10 K
F16H25/20
F16H25/24
(21)【出願番号】P 2019078494
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一幸
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-98892(JP,A)
【文献】特開2017-32071(JP,A)
【文献】特開2017-31634(JP,A)
【文献】特開2017-30501(JP,A)
【文献】特開2018-82516(JP,A)
【文献】特開2018-21408(JP,A)
【文献】特開2016-141956(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107558857(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00-5/14
E05F 15/00-15/79
F16H 25/20
F16H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に開閉可能に支持される開閉体を開閉作動させるための駆動装置において、
一端に設けた継手が車体又は開閉体のいずれか一方に連結されると共に、前記一端が閉塞し、他端が開口する外筒と、
一端に設けた継手が前記車体又は前記開閉体のいずれか他方に連結されると共に、前記一端が閉塞し、他端が開口し、当該他端側が前記外筒に対して軸線方向へ相対移動可能に挿入される内筒と、
前記外筒の内周面と前記内筒の外周面の間に設けられ、前記内周面と前記外周面との間の隙間を密封するパッキンと、を備え、
前記外筒又は前記内筒のいずれか一方を第1筒とし、前記外筒又は前記内筒のいずれか他方を第2筒として、
前記第1筒内に、モータと、前記第1筒の内周面と前記モータの外周面との間に介在して前記モータを前記第1筒内に保持するモータ保持筒と、前記モータにより軸線回りに回転可能で、かつ軸線方向へ移動不能なスピンドルとを収納し、
前記第2筒内に、軸線方向に移動不能で、かつ軸線回りに回転不能に収納され、前記スピンドルの回転により軸線方向へ移動可能に前記スピンドルに螺合するナットを収納し、
前記第1筒は、前記モータの外周面に対面する対向面、前記第1筒の一端、又は当該一端と前記対向面との間のいずれかに、前記第1筒と前記第2筒とにより形成される内部空間と外部とを連通する吐出吸入口を有し、
前記モータ保持筒は、前記内部空間から前記吐出吸入口及びその逆へ空気の流通を可能とする軸線方向へ延伸する凹溝を有することを特徴とする開閉体の駆動装置。
【請求項2】
前記凹溝を、前記第1筒の内周面に対面する前記モータ保持筒の外周面に設けたことを特徴とする請求項1記載の開閉体の駆動装置。
【請求項3】
前記凹溝を、前記モータの外周面に対面する前記モータ保持筒の内周面に設けたことを特徴とする請求項1記載の開閉体の駆動装置。
【請求項4】
前記パッキンは、横断面形状を略台形状としたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の開閉体の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に開閉可能に支持される開閉体を開閉作動させるための開閉体の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の開閉体の駆動装置は、軸線方向の上端が車体に連結される外筒と、軸線方向の下端がバックドアに連結されると共に、外筒に対して軸線方向へ相対移動可能に挿入される内筒とを備え、外筒内にモータ及び当該モータにより回転するスピンドルを収納し、内筒内にスピンドルに螺合するナットを回転不能及び軸線方向へ移動不能に収納して、スピンドルの回転運動をナットが直線運動に変換して、内筒を外筒に対して軸線方向に相対移動させることにより、バックドアを開閉作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の開閉体の駆動装置は、内筒を外筒に対して軸線方向へ円滑に相対移動可能とするため、外筒の内周面と当該内周面に接触する内筒の外周面との間にクリアランスを設定する必要がある。このため、内筒の外筒に対する軸線方向への相対移動(以下、「伸縮作動」という)に伴って、雨水、洗浄水等の水がクリアランスから外筒及び内筒内の内部空間に浸入する虞がある。水が内部空間に浸入すると、内部空間に配置されているモータを含む電装部品及びスピンドル等に水が付着して、作動不良を招く問題点を有する。
【0005】
前記問題点を解決する方法として、外筒の内周面と内筒の外周面の間に環状のパッキンを設けることで、クリアランスを完全に塞ぐことが考えられる。しかし、クリアランスを完全に塞ぐと、外筒及び内筒の内部空間と外部とを繋ぐ空気の流通経路が遮断される。空気の流通経路が遮断されると、駆動装置の伸縮作動による内部空間の体積の変化に伴う内部空間の空気の圧縮、膨張による反力が発生するため、伸縮作動が重くなり円滑性を欠く問題点が発生する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、駆動装置の内部空間への水浸入を防止し、かつ伸縮作動が円滑に行うことができるようにした開閉体の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
本発明は、車体に開閉可能に支持される開閉体を開閉作動させるための駆動装置において、一端に設けた継手が車体又は開閉体のいずれか一方に連結されると共に、前記一端が閉塞し、他端が開口する外筒と、一端に設けた継手が前記車体又は前記開閉体のいずれか他方に連結されると共に、前記一端が閉塞し、他端が開口し、当該他端側が前記外筒に対して軸線方向へ相対移動可能に挿入される内筒と、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面の間に設けられ、前記内周面と前記外周面との間の隙間を密封するパッキンと、を備え、前記外筒又は前記内筒のいずれか一方を第1筒とし、前記外筒又は前記内筒のいずれか他方を第2筒として、前記第1筒内に、モータと、前記第1筒の内周面と前記モータの外周面との間に介在して前記モータを前記第1筒内に保持するモータ保持筒と、前記モータにより軸線回りに回転可能で、かつ軸線方向へ移動不能なスピンドルとを収納し、前記第2筒内に、軸線方向に移動不能で、かつ軸線回りに回転不能に収納され、前記スピンドルの回転により軸線方向へ移動可能に前記スピンドルに螺合するナットを収納し、前記第1筒は、前記モータの外周面に対面する対向面、前記第1筒の一端、又は当該一端と前記対向面との間のいずれかに、前記第1筒と前記第2筒とにより形成される内部空間と外部とを連通する吐出吸入口を有し、前記モータ保持筒は、前記内部空間から前記吐出吸入口及びその逆へ空気の流通を可能とする軸線方向へ延伸する凹溝を有することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記凹溝を、前記第1筒の内周面に対面する前記モータ保持筒の外周面に設ける。
【0009】
好ましくは、前記凹溝を、前記モータの外周面に対面する前記モータ保持筒の内周面に設ける。
【0010】
好ましくは、前記パッキンは、横断面形状を略台形状とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、内筒の外周面と外筒の内周面との間の隙間にパッキンを設けたことにより、駆動装置の内部空間内への水浸入を防止できる。さらに、モータを保持するためのモータ保持筒に軸線方向へ延伸する凹溝を設けると共に、内筒又は外筒のいずれか一方に吐出吸入口を設けたことにより、内部空間の体積変化に伴う空気の圧縮膨張による抵抗を受けることなく伸縮作動を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る開閉体の駆動装置を備える車両後部の側面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線縦断面図である。
【
図8】
図2におけるVIII-VIII線横断面図である。
【
図10】さらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を
図1~8に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る開閉体の駆動装置1を備える車両後部の側面図を示す。車両後部の車体2には、開閉体であるバックドア3が左右1対のドアヒンジ(図示略)により左右方向を向く軸線回りに上下方向に開閉可能に支持される。バックドア3は、下部中央に設けられたドアラッチ装置(図示略)が車体2に設けられたストライカ(図示略)に係合することにより、車体2の後部開口を閉塞する
図1に2点鎖線で示す全閉位置に保持され、ドアラッチ装置とストライカとの係合が解除されることにより、下端部が跳ね上げられて後部開口を開放する
図1に実線で示す全開位置に移動する。
【0014】
図2は、駆動装置1が伸びた状態(バックドア3の全開位置に対応する状態)の正面図を示し、
図3は、
図2におけるIII-III線縦断面図を示し、
図4は、駆動装置1が縮んだ状態(バックドア3の全閉位置に対応する状態)の縦断面図を示す。
【0015】
駆動装置1は、上端が車体2に連結される円筒状の内筒4と、下端がバックドア3に連結されると共に、内筒4の下部が軸線方向(伸縮方向)へ相対移動可能に挿入される円筒状の外筒5とを備え、内筒4内に収納されるモータ等の動力源の回転運動を直線運動に変換して、外筒5が内筒4に対して軸線方向(内筒4及び外筒4の長手方向)へ伸縮作動することで、開閉体3を開閉作動させる装置である。
なお、以下の説明で使用する駆動装置1の方位は、バックドア3が閉じた状態で、駆動装置1が概ね上下方向を向いた状態を基準とする。
【0016】
外筒5は、下端が密封状態で閉塞され、上端が開口する円筒状を呈すると共に、下端に設けたボールソケットジョイントにより構成されるドア用継手51がドア3に左右方向を向く回転軸線回りに回転自在に連結される。
【0017】
外筒5内には、上下方向を向く円筒状のスプリングガイド6と、スプリングガイド6内の上部に固定されるナット7とが収納される。
【0018】
スプリングガイド6は、上端が開口し、下端が外筒5内の下端に軸線回り及び軸線方向へ移動不能に固定されることにより、外筒5と一体となって内筒4に対して軸線方向へ相対移動する。スプリングガイド6の上部外周面には、外径が上方へ向けて漸次細くなるような形態のテーパー部61が設けられる。テーパー部61は、後述の圧縮コイルスプリング13が伸縮する際、スプリングガイド6の先端が圧縮コイルスプリング13のコイル内側に引っ掛かることなく、圧縮コイルスプリング13が円滑に伸縮しうるようにするためのものである。
【0019】
ナット7は、後述のスピンドル12が螺合する軸線方向に貫通する雌ねじ孔71(
図5参照)を有すると共に、スプリングガイド6の上部内周面に軸線回り及び軸線方向へ移動不能に固定される。これにより、ナット7は、スプリングガイド6を介して外筒5に対して軸線回り及び軸線方向へ移動不能に固定される。
【0020】
外筒5の上部内周面には、
図5、6に示すように、環状溝52が設けられる。好ましくは、環状溝52は、外筒5の上部外周面に円筒状のエンドカバー8を隙間無く外嵌することで、エンドカバー8の内周面と外筒5の上端との間に形成される。
【0021】
環状溝52内には、ゴム等により形成される環状のパッキン9が嵌め込まれる。パッキン9は、環状溝52の内周面及び内筒4の外周面にそれぞれ密接することで、内筒4の外周面と外筒5の内周面との間の隙間G(
図6参照)を完全に閉塞する。これにより、駆動装置1における内筒4と外筒5とにより形成される内部空間Sへの水の浸入を阻止して、内部空間Sに配置される後述のモータ10、減速機構11及びスピンドル12等への水の付着を防止する。
【0022】
好ましくは、
図6に示すように、パッキン9は、横断面形状において、外周側が長辺で、内周側が短辺となるような台形状とする。さらには、環状溝52の上下方向の開口幅は、パッキン9の長辺よりも大となるように設定される。これにより、バックドア3の開閉動作に伴う駆動装置1の伸縮作動時に、外筒5の軸線方向と内筒4の軸線方向とが互いにずれても、当該ずれを効果的に吸収可能となる。
【0023】
内筒4は、上端が閉塞され、下端が開口する円筒状を呈すると共に、上端に設けたボールソケットジョイントにより構成される車体用継手41が車体2に左右方向を向く回転軸線回りに回転自在に連結され、外筒5内に軸線方向へ相対移動可能に挿入される。
【0024】
内筒4内には、動力源であるモータ10と、モータ10の回転を減速する減速機構11と、減速機構11に接続されるスピンドル12とが収容される。
【0025】
図7、8に示すように、内筒4の上部外周面には、内部空間Sと外部を連通する吐出吸入口42が設けられる。吐出吸入口42には、撓曲性の吐出吸入チューブ14の一端が接続される。好ましくは、吐出吸入口42及び吐出吸入チューブ14は、モータ10の上部に電気的に接続される電線101を外部へ導出させるための導出口と兼用するため、内筒4におけるモータ10の外周面に対面する対向面又はそれよりも上位に設けられる。さらに、好ましくは、吐出吸入チューブ14の他端は、車体2の内側を形成するインナパネル(又は内張り)21に設けた開口に接続される。
【0026】
モータ10は、上下が開口する円筒状のモータ保持筒15を介して内筒4内の上部にがた付き無く保持される。モータ10に電気的に接続される電線101は、吐出吸入口42及び吐出吸入チューブ14内を通って外部である車体2の内部空間へ導出される。
【0027】
モータ保持筒15は、例えばゴム等の弾性力を有する材料により上下が開口する円筒状に形成され、その内側にモータ10をがた付きないように保持すると共に、外周面が内筒4の内周面に密接する。
【0028】
モータ10の外周面が接するモータ保持筒15の内周面には、軸線方向へ延伸する複数の凹溝15aが設けられる。凹溝15aは、モータ10がモータ保持筒15内に保持された状態において、モータ10の外周面と内筒4の内周面との間に軸線方向への隙間を形成し、当該隙間によりモータ10よりも上位の空間とモータ10よりも下位の内部空間Sとを連通する空気流通路Rを形成する。これにより、空気流通路Rは、外筒5が内筒4に対して軸線方向へ相対的に移動する駆動装置1の伸縮作動による内部空間Sの体積変化に伴って、外気を吐出吸入チューブ14から内部空間Sへ導入したり内部空間Sの圧縮空気を吐出吸入チューブ14から外部へ導出させる。
【0029】
減速機構11は、モータ10よりも下位にあって、モータ10の回転を減速する遊星歯車により構成され、減速した回転を出力軸111から出力する。
【0030】
スピンドル12は、軸線方向の上端部が減速機構11の出力軸111に接続されると共に、内筒4内に支持される軸受17により回転可能に枢支されることにより、内筒4に対して軸線回りに回転可能で、かつ軸線方向へ移動不能に内筒4内に収容される。軸受17は、内筒4内に回転不能に固定されるスプリングプレート16により内筒4内に支持される。出力軸111のスピンドル12に対する接続は、スピンドル12の上端部を出力軸111に直接接続するか、又はクラッチ及び/又はブレーキ機構を介して接続する。
【0031】
スピンドル12の下部は、外筒5内に固定されたスプリングガイド6内に軸線方向へ移動可能に挿入されると共に、スプリングガイド6内に固定されたナット7の雌ねじ孔71に螺合する。これにより、スピンドル12がモータ10の駆動力により軸線回りに回転すると、ナット7は、スピンドル12の回転運動を直線運動に変換して、スプリングガイド6と共に軸線方向へ直線移動する。これに伴って、外筒5は、ナット7と一体的に内筒4に対して軸線方向へ相対移動する。
【0032】
内筒4と外筒5との間には、内筒4及び外筒5に対して軸線方向の伸び方向への付勢力を付与する圧縮コイルスプリング13が収納される。
【0033】
圧縮コイルスプリング13は、上端が内筒4に固定されたスプリングシート16に当接し、下端が外筒5内の下端に当接し、下半分がスプリングガイド6の外周面と外筒5の内周面との間の隙間に配置され、上半分がスピンドル12の外周面と内筒4の内周面との間の隙間に配置されることで、内筒4及び外筒5に対して軸線方向の伸び方向への付勢力を付与する。
図4に示す駆動装置1の縮み状態においては、スピンドル12は、ほぼ全長がスプリングガイド6内に進入し、圧縮コイルスプリング13は、圧縮された状態でほぼ全長がスプリングガイド6の外周面と外筒5の内周面との間の隙間に介在する。
【0034】
次に駆動装置1の作用について説明する。
駆動装置1は、バックドア3が全閉位置にあるときには
図4に示す縮み状態にあり、バックドア3が全開位置にあるときには
図2、3に示す伸び状態にある。
図4に示す駆動装置1の縮み状態において、モータ10の駆動力によりスピンドル12が所定の方向へ回転して、ナット7が軸線方向の伸び方向(
図4において下方)へ移動すると、外筒5は、スプリングガイド6及びナット7と共に伸び方向へ移動する。この動作により、駆動装置1が伸び状態となって、バックドア3を全閉位置から開き方向へ移動させる。この場合、内筒4の外周面と外筒5の内周面との間の隙間Gはパッキン9により密封されているため、内部空間Sへの水の浸入は防止される。
【0035】
駆動装置1の伸び作動の場合においては、伸び作動に伴って内部空間Sの体積が増大することから、外部の空気が吐出吸入チューブ14から導入されて、空気流通路Rを流通して内部空間Sに導入される。これにより、内筒4の外周面と外筒5の内周面との間の隙間Gをパッキン9により密封しても、内部空間S内の空気の膨張による抵抗を受けることなく、外筒5を伸び方向へ円滑に移動させることが可能となる。
【0036】
図2、3に示す駆動装置1の伸び状態において、モータ10の駆動力によりスピンドル12が前述の所定の方向と反対方向に回転して、ナット7が軸線方向の縮み方向(
図3において上方)へ移動すると、外筒5は、スプリングガイド6及びナット7と共に縮み方向へ移動する。この動作により、駆動装置1が縮み状態となって、バックドア3を全開位置から閉じ方向へ移動させる。この場合においても、内筒4の外周面と外筒5の内周面との間の隙間Gがパッキン9により密封されているため、内部空間Sへの水の浸入は防止される。
【0037】
駆動装置1の縮み作動の場合においては、縮み作動に伴って内部空間Sの体積が縮小することから、内部空間Sの空気が空気流通路Rを通って吐出吸入チューブ14から外部へ吐出される。これにより、内筒4の外周面と外筒5の内周面との間の隙間Gをパッキン9により密封しても、内部空間S内の空気の圧縮による抵抗を受けることなく、外筒5を縮み方向へ円滑に移動させることが可能となる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0039】
(a)
図9に示すように、内筒4の内周面に対面するモータ保持筒15の外周面に軸線方向へ延伸する凹溝15bを複数設ける。これにより、内筒4の内周面とモータ保持筒15との間に、内部空間Sから吐出吸入口42及びその逆へ空気の流通を可能とする空気流通路Rが形成される。
【0040】
(b)
図10に示すように、内部空間Sと外部とを互いに連通する吐出吸入口43を、実線で示すように内筒4の一端(上端)、または2点鎖線で示すようにモータ10と内筒4の上端との間の領域に設ける。吐出吸入口43には、前記実施形態と同様な吐出吸入チューブ18が接続される。モータ10に電気的に接続された電線102は、吐出吸入口43及び吐出吸入チューブ18を通して外部へ導出される。これにより、内部空間S内の空気は、駆動装置1の伸縮作動に伴って、空気流通路Rを通って吐出吸入チューブ18から外部へ吐出され、外部の空気は、吐出吸入チューブ18から空気流通路Rを通って内部空間S内へ吸入される。
【0041】
(c) 内筒4をバックドア3に連結し、外筒5を車体2に連結する。
【0042】
(d) モータ10、減速機11、スピンドル12及びモータ保持筒15を外筒5内に設け、スプリングガイド6及びナット7を内筒4内に設ける。この場合には、吐出吸入口42、43及び吐出吸入チューブ14、18は外筒5に設けられる。
【0043】
(e) 開閉体をバックドア以外の例えば、トランクリッド、サイドドアとする。
【0044】
(f) 前記実施形態においては、吐出吸入口42、43は、モータ10の電線101、102を外部へ導出させるための電線通口と兼用したが、これに限定されるものでなく、これに代えて、吐出吸入口42、43と電線通口とをそれぞれ独立させる。
【0045】
(g) (a)~(f)を適宜組み合わせる。
【符号の説明】
【0046】
1 駆動装置 2 車体
21 インナパネル 3 バックドア(開閉体)
4 内筒 41 車体用継手
42、43 吐出吸入口 5 外筒
51 ドア用継手 52 環状溝
6 スプリングガイド 61 テーパー部
7 ナット 71 雌ねじ孔
8 エンドカバー 9 パッキン
10 モータ 101、102 電線
11 減速機構 111 出力軸
12 スピンドル 13 圧縮コイルスプリング
14、18 吐出吸入チューブ 15 モータ保持筒
15a、15b 凹溝 16 スプリングプレート
17 軸受 G 隙間
R 空気流通路 S 内部空間