(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】五徳、及び五徳を備えたガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/10 20060101AFI20220114BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F24C15/10 F
F24C3/00 H
(21)【出願番号】P 2017225525
(22)【出願日】2017-11-24
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲太
(72)【発明者】
【氏名】荒木 良多
(72)【発明者】
【氏名】今井 紳二
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真次
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-107777(JP,A)
【文献】特開2008-249178(JP,A)
【文献】特開2013-072630(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02381175(EP,A1)
【文献】特開2003-090544(JP,A)
【文献】特開2015-183886(JP,A)
【文献】特開2007-218498(JP,A)
【文献】中国実用新案第204962874(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板とガスバーナーとの間に形成される隙間を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバーと、
前記カバーの外周面と一体であり、前記カバーの外周面から外側に突出した複数の爪部と、を備え
、
前記複数の爪部は、
前記カバーから外側に突出した下片部と、前記下片部の外側の端部から上方に突出した側片部と、前記側片部の上端部から内側に突出した上片部とを含み、
前記下片部の上面は、平坦面であり、前記カバーの上面と面一に連続していることを特徴とする五徳。
【請求項2】
前記下片部の下面は、前記カバーの下面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の五徳。
【請求項3】
前記下片部の下面は、第一面と、前記第一面よりも外側に位置する第二面とを含み、
前記第二面は前記第一面よりも下方に位置し、且つ前記第一面と前記第二面とは段差無く連続していることを特徴とする請求項
1または2に記載の五徳。
【請求項4】
天板とガスバーナーとの間に形成される隙間を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバーと、
前記カバーの外周面と一体であり、前記カバーの外周面から外側に突出した複数の爪部と、を備えた五徳と、
前記ガスバーナーと、
前記ガスバーナーが挿通される貫通孔を有する前記天板と、を備え、
前記ガスバーナーは、前記貫通孔に挿通される筒状の挿通部を含み、
前記挿通部の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面を含み、
前記五徳が前記天板に載った状態で、前記カバーの上面は、前記凹曲面に対して段差無く連続していることを特徴とするガスコンロ。
【請求項5】
天板とガスバーナーとの間に形成される隙間を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバーと、
前記カバーの外周面から外側に突出した複数の爪部と、を備えた五徳と、
前記ガスバーナーと、
前記ガスバーナーが挿通される貫通孔を有する前記天板と、を備え、
前記ガスバーナーは、前記貫通孔に挿通される筒状の挿通部を含み、
前記挿通部の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面を含み、
前記五徳が前記天板に載った状態で、前記カバーの上面は、前記凹曲面よりも下方に位置することを特徴とするガスコンロ。
【請求項6】
前記貫通孔に取り付けられるリング部材をさらに備え、
前記複数の爪部が前記天板に載った状態で、前記カバーは、前記リング部材との間に間隔をあけて位置することを特徴とする
請求項4または5に記載のガスコンロ
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、五徳、及び五徳を備えたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のガスコンロは、トッププレートに設けられたバーナー用開口に介装されるバーナーリングと、バーナーリングの外周に嵌まるように取り付けられる五徳と、バーナーリングを覆うように五徳の内側に取り付けられるリングカバーと、を備える。
【0003】
バーナーリングの外周部と、リングカバーの外周部のそれぞれには、切欠きが設けられており、これらの切欠きには、五徳の爪部の下側の片が嵌まる。下側の片は、切欠きから上方に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のガスコンロでは、リングカバーの上面に煮汁がかかった場合に、リングカバーの一部に嵌まり、上方に突出した各爪部が邪魔になって、リングカバーの上面の拭き掃除がしにくいといった問題がある。また、特許文献1に記載のガスコンロでは、リングカバーと五徳の間の隙間に煮汁が浸入するおそれがあり、この隙間の拭き掃除もしにくいといった問題もある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、拭き掃除のしやすい五徳、およびこの五徳を備えたガスコンロを提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の五徳は、天板とガスバーナーとの間に形成される隙間を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバーと、前記カバーの外周面から外側に突出した複数の爪部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る一態様のガスコンロは、前記の五徳と、前記ガスバーナーと、前記ガスバーナーが挿通される貫通孔を有する前記天板と、を備える。
【0009】
前記ガスバーナーは、前記貫通孔に挿通される筒状の挿通部を含む。前記挿通部の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面を含む。
【0010】
前記五徳が前記天板に載った状態で、前記カバーの上面は、前記凹曲面に対して段差無く連続している。
【0011】
また、本発明に係る一態様のガスコンロは、前記の五徳と、前記ガスバーナーと、前記ガスバーナーが挿通される貫通孔を有する前記天板と、を備える。
【0012】
前記ガスバーナーは、前記貫通孔に挿通される筒状の挿通部を含む。前記挿通部の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面を含む。
【0013】
前記五徳が前記天板に載った状態で、前記カバーの上面は、前記凹曲面よりも下方に位置する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、拭き掃除のしやすい五徳、およびこの五徳を備えたガスコンロを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る一実施形態の五徳を備えたガスコンロを示す側断面図である。
【
図2】
図2は、同上のガスコンロを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の五徳を単体で示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の五徳を示す平面図であり、
図4Bは、同上の五徳を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、五徳、及びこの五徳を備えたガスコンロに関し、詳しくは、複数の爪部をその内側に配されるカバーと一体に設けた五徳、及びこの五徳を備えたガスコンロに関する。
【0017】
[実施形態]
(1)概要
図1、
図2に示す一実施形態の五徳1は、天板2とガスバーナー3との間に形成される隙間S1を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバー4と、カバー4の外周面40から外側に突出した複数の爪部5を備える。
【0018】
ガスコンロ100は、五徳1と、ガスバーナー3と、ガスバーナー3が挿通される貫通孔20を有する天板2と、貫通孔20に取り付けられるリング部材6を備える。ガスコンロ100は、調理台(図示せず)のカウンターに形成された孔に、上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。なお、ガスコンロ100は、テーブルこんろであってもよい。
【0019】
以下では、
図1、
図2に示すように五徳1が天板2に載った設置状態を基準にして、上下方向を定義して、各構成について説明する。
【0020】
(2)各構成の詳細
(2-1)五徳
図3には、本実施形態の五徳1が単体で示されている。
図4A、
図4Bにも示すように、カバー4は、平面視円環状であり、上下方向に沿った厚み方向を有する板状である。
図5に示すように、カバー4の上面41と下面42のそれぞれは、平坦面であり、上面41と下面42は平行である。
図4A、
図4Bに示すように、カバー4は、その径方向の長さ(つまり外径と内径の差)が周方向に亘って一定である。
【0021】
カバー4は、カバー4の中心C1に向けて開口した一対の切欠き43を有する。一対の切欠き43のそれぞれは、カバー4を厚み方向(上下方向)に貫通している。一対の切欠き43は、周方向に180度の間隔をあけて位置し、互いに対向している。一対の切欠き43は、複数の爪部5のうち、カバー4の中心C1を挟んで対向して位置する1組の爪部5に対して、平面視において同一直線上に位置する。
【0022】
カバー4の外周面40から、本実施形態では、6つの爪部5が外側に突出している。6つの爪部5は、放射状に、かつ周方向に60度の間隔をあけて等間隔に位置する。6つの爪部5は、形状及び寸法が互いに同じである。
【0023】
爪部5は、カバー4の周方向に沿った厚み方向を有する板状である。
図5に示すように、爪部5の厚みとカバー4の厚みは、同じである。
図3に示すように、爪部5は、カバー4の中心C1側に開口したコ字状である。
【0024】
詳しくは、爪部5は、カバー4の外周面40から外側(中心C1から離れる方向(径外方向))に突出した下片部50と、下片部50の外側の端部から上方に突出した側片部51と、側片部51の上端部から内側(中心C1に近づく方向(径内方向))に突出した上片部52とを含む。下片部50と側片部51と上片部52のそれぞれは、カバー4の周方向に沿った方向を厚み方向とする板状である。
【0025】
図5に示すように、下片部50は、上面53と下面54を有する。上面53は、平坦面である。下面54は、第一面54aと、第一面54aよりも外側に位置する第二面54bを含む。
【0026】
第二面54bは、第一面54aよりも下方に位置し、かつ第一面54aと第二面54bが段差無く連続している。第一面54aは、例えば上面53に対して平行な平坦面であり、第二面54bは、外側の部分ほど下方に位置するように傾斜した傾斜面である。
【0027】
本実施形態では、第二面54bは、鈍角を介して径外方向に連続した2つの傾斜面で構成されている。2つの傾斜面のうち、内側に位置する傾斜面は、外側に位置する傾斜面よりも水平方向に対する傾斜角度が僅かに大きい。第二面54bは、内側に位置する傾斜面が第一面54aに対して鈍角を介して連続している。なお、第一面54aと第二面54bや、第二面54bの2つの傾斜面は、曲面を介することで段差無く連続してもよい。
【0028】
下片部50は、上面53がカバー4の上面41に対して面一に並ぶように、カバー4の外周面40から外側に突出する。下片部50の上下長さは、カバー4の上下長さ(厚み)よりも大きく、下片部50の下面54は、カバー4の下面42よりも下方に位置する。下片部50の上面53は、カバー4の上面41よりも外側に位置している。
【0029】
側片部51は、内側(中心C1に近づく方向(径内方向))を向く内側面55と、外側(中心C1から離れる方向(径外方向))を向く外側面56を有する。上片部52は、上面57と下面58を有する。上面57と下面58は、内側の端部同士が凸曲面を介して連続している。上面57は、鍋等の被加熱物が載せられる部分である。上片部52は、その内側の端部がカバー4の上方に位置するように、径方向の長さが設定されている。
【0030】
下片部50の上面53と側片部51の内側面55は、凹曲面を介して滑らかに連続し、側片部51の内側面55と上片部52の下面58は、凹曲面を介して滑らかに連続している。下片部50の下面54と側片部51の外側面56は、凸曲面を介して滑らかに連続し、側片部51の外側面56と上片部52の上面57は、凸曲面を介して滑らかに連続している。
【0031】
6つの爪部5のうち、中心C1を挟んで対向して位置する一組の爪部5と、一対の切欠き43とは、平面視において同一直線上に位置している。
【0032】
五徳1は、カバー4と複数の爪部5のそれぞれが、例えばステンレス製である。カバー4と複数の爪部5とは、例えば溶接により接合される。なお、カバー4と複数の爪部5とは、鋳物等で一体に成形してもよい。
【0033】
(2-2)天板
天板2は、例えば耐熱性を有する強化ガラスで形成される。
図1に示すように、天板2の上面は、平坦面である。天板2には、ガスバーナー3が挿通される貫通孔20が上下方向に貫通している。貫通孔20は、円孔である。
【0034】
(2-3)ガスバーナー
ガスバーナー3は、バーナー本体30と、バーナー本体30の上に載せられるバーナーキャップ31とを備える。バーナーキャップ31は、バーナー本体30に対して着脱可能である。バーナー本体30とバーナーキャップ31との境界部分の外側(径外方向)に、円環状に並んだ複数の炎が形成される。
【0035】
バーナー本体30は、略円筒状の挿通部32と、挿通部32の下部の周方向の一部から径外方向に突出した混合管部(図示せず)とを有している。挿通部32は、貫通孔20に挿通され、天板2から上方に突出する部分である。
【0036】
挿通部32の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面33と、凹曲面33の下端に連続する略鉛直な取付面34とを含む。取付面34の上部と凹曲面33は、天板2よりも上方に位置する。凹曲面33は、その下端部分が、円環状のカバー4の上面41に対して略面一に並ぶように、形状及び配置が設定されている。これにより、凹曲面33は、カバー4の上面41に対して段差無く連続する。
【0037】
凹曲面33は、
図2に示すように、挿通部32の外周面のうち、周方向の一部(点火プラグ7が設けられる箇所)を除いた残りの部分全体に位置する。取付面34は、挿通部32の外周面に周方向に亘って位置する。凹曲面33は、周方向に亘って、カバー4の上面41に対して段差無く連続する。
【0038】
(2-4)リング部材
図1に示すように、リング部材6は、平面視円環状で板状の上カバー部60と、上カバー部60から下方に突出した円筒状の筒部61を含む。筒部61の外径は、貫通孔20の径よりも若干小さい。上カバー部60の内径は、ガスバーナー3の取付面34の外径よりも僅かに大きく、上カバー部60の外径は、貫通孔20の径よりも大きい。上カバー部60は、貫通孔20内における挿通部32の水平方向の位置によらず(つまり、貫通孔20の中央部に挿通部32が位置しなくても)、隙間S1全体を上方から覆うように、径方向の長さが設定されている。
【0039】
リング部材6は、
図2に示すように、上カバー部60の内周側の端部から上方に突出した一対の突起62をさらに備える。一対の突起62のそれぞれは、切欠き43に対応した形状を有し、例えば円柱状である。
【0040】
(3)ガスコンロ
続いて、
図1に示す、五徳1が天板2に載った設置状態のガスコンロ100について説明する。
【0041】
天板2の貫通孔20には、ガスバーナー3の挿通部32が挿通されている。挿通部32の外周面のうちの取付面34には、リング部材6の上カバー部60が嵌め合わされている。リング部材6は、上カバー部60が天板2の上面に載せられ、筒部61が貫通孔20内に位置する。
【0042】
五徳1は、挿通部32を囲むように、天板2の上面に載せられている。五徳1のカバー4は、挿通部32の外周面のうちの取付面34に嵌め合わされ、一対の切欠き43内に、リング部材6の一対の突起62が嵌め込まれている。一対の突起62の上面と、カバー4の上面とは面一に並んでいる(
図2参照)。
【0043】
五徳1は、複数の爪部5のそれぞれの下片部50の下面54のうちの第二面54bが、天板2の上面に載っている。カバー4は、リング部材6との間に間隔をあけて位置している。
【0044】
カバー4の上面41は、挿通部32の外周面のうちの凹曲面33の下端部と、略面一に並んでおり、凹曲面33に対して段差無く連続して位置している。
【0045】
(4)作用効果
以上説明した本実施形態の五徳1では、複数の爪部5がカバー4から外側に突出して、カバー4の上面41の全体が平坦であるため、カバー4の上面41が雑巾等で拭き掃除しやすい。
【0046】
また、本実施形態の五徳1では、ガスバーナー3と天板2の間の隙間S1を上方から覆うカバー4が、複数の爪部5と連続しているため、別体に設けて互いに嵌め合わせる場合に比べて、部品点数を抑えられるうえ、互いの境界部分への煮汁の浸入を防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態の五徳1では、カバー4の上面41と下面42が共に平坦面であるため、上面41と下面42が共に拭き掃除しやすい。
【0048】
また、本実施形態の五徳1では、カバー4の上面41と複数の爪部5のそれぞれの下片部50の上面53とが面一に連続しているため、カバー4の上面41と各下片部50の上面53の拭き掃除がスムーズに行える。なお、段差を介して連続する場合、段差に付着した汚れが取り除きにくい。
【0049】
また、本実施形態の五徳1では、複数の爪部5のそれぞれの下片部50の下面54も、高さの異なる2つの面(第一面54aと第二面54b)が段差無く連続しているため、拭き掃除がしやすい。また、本実施形態の五徳1では、下面54のうち、外側に低い第二面54bが位置することで、五徳1を天板2に載せた状態でのがたつきが抑えられる。
【0050】
また、本実施形態の五徳1では、複数の爪部5のそれぞれは、下片部50、側片部51及び上片部52が、表面同士が滑らかに連続しているため、各爪部5の拭き掃除もしやすい。
【0051】
また、本実施形態のガスコンロ100では、ガスバーナー3の外周面に、カバー4の上面41に対して段差無く連続する凹曲面33を含むため、この凹曲面33で受けた煮汁をカバー4の上面41を伝わせて、カバー4の外側へと落下させやすく、ガスバーナー3とカバー4との間に煮汁が入り込むことを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態のガスコンロ100では、カバー4が、リング部材6との間に間隔をあけて位置するため、ガスバーナー3の熱がリング部材6へと伝わりにくく、リング部材6に煮汁がこびりつくことを抑制することができる。
【0053】
(5)変形例
続いて、上述した実施形態の五徳1及びガスコンロ100の変形例について説明する。
【0054】
カバー4の平面視形状は、円環状に限らず、その他の形の環状であってもよく、また、内周面と外周面40の形状が互いに異なってもよい。
【0055】
複数の爪部5のそれぞれは、コ字状に限らず、階段状やZ字状やロ字状等のその他の形状であってもよい。
【0056】
複数の爪部5のそれぞれは、下片部50の上面53が、カバー4の上面41よりも上方または下方に位置してもよい。また、複数の爪部5のそれぞれは、下片部50の下面54が、カバー4の下面42と面一に位置してもよい。
【0057】
複数の爪部5のそれぞれは、下片部50の下面54が、高さが一定の平坦面であってもよいし、下面54の外側の端部にゴムパッキン等の緩衝部材が取り付けられ、下面54のその他の部分が段差無く連続した面であってもよい。
【0058】
ガスバーナー3と五徳1は、ガスバーナー3の凹曲面33に対して、カバー4の上面41が下方に位置するように設けられてもよい。
【0059】
ガスコンロ100は、リング部材6を備えなくてもよく、ガスバーナー3と天板2との間に形成される隙間S1は、カバー4だけで上方から覆い隠してもよい。
【0060】
[まとめ]
上述した実施形態及びその変形例の五徳1のように、本発明に係る第一態様の五徳1は、下記の第一の特徴を備える。
【0061】
すなわち、第一態様の五徳1は、天板2とガスバーナー3との間に形成される隙間S1を上方から覆うように平面視環状に設けられた板状のカバー4と、カバー4の外周面40から外側に突出した複数の爪部5と、を備える。
【0062】
上記の特徴を備えることで、第一態様の五徳1では、カバー4の上面41に複数の爪部5による段差が形成されることを防いで、カバー4の上面41を平坦に設けることができる。そのため、第一態様の五徳1では、カバー4の上面41に煮汁が吹きこぼれた場合に、カバー4の上面41の拭き掃除がしやすい。また、第一態様の五徳1では、カバー4に複数の爪部5が連続しているため、カバー4と各爪部5の間に隙間が出来なくて、この隙間への煮汁の浸入を防ぐことができる。
【0063】
また、本発明に係る第二態様の五徳1は、第一態様の五徳1が備える特徴に加えて、下記の第二の特徴を備える。
【0064】
すなわち、第二態様の五徳1では、複数の爪部5は、カバー4から外側に突出した下片部50と、下片部50の外側の端部から上方に突出した側片部51と、側片部51の上端部から内側に突出した上片部52とを含む。下片部50の上面53は、平坦面であり、カバー4の上面41と面一に連続している。
【0065】
上記の特徴を備えることで、第二態様の五徳1では、カバー4の上面41から、複数の爪部5のそれぞれの下片部50の上面53にかけて、拭き掃除を円滑に行える。
【0066】
また、本発明に係る第三態様の五徳1は、第二態様の五徳1が備える特徴に加えて、下記の第三の特徴を備える。
【0067】
すなわち、第三態様の五徳1では、下片部50の下面54は、カバー4の下面42よりも下方に位置する。
【0068】
上記の特徴を備えることで、第三態様の五徳1では、下片部50を上下に厚く設けることができて、爪部5の強度を確保しやすい。
【0069】
また、本発明に係る第四態様の五徳1は、第一乃至第三態様のいずれかの五徳1が備える特徴に加えて、下記の第四の特徴を備える。
【0070】
すなわち、第四態様の五徳1では、複数の爪部5は、カバー4から外側に突出した下片部50を含む。下片部50の下面54は、第一面54aと、第一面54aよりも外側に位置する第二面54bとを含む。第二面54bは第一面54aよりも下方に位置し、且つ第一面54aと第二面54bとは段差無く連続している。
【0071】
上記の特徴を備えることで、第四態様の五徳1では、各爪部5の下片部50の下面54の第一面54aと第二面54bの拭き掃除を円滑に行える。
【0072】
上述した実施形態及びその変形例のガスコンロ100のように、本発明に係る第一態様のガスコンロ100は、下記の第一の特徴を備える。
【0073】
すなわち、第一態様のガスコンロ100は、第一乃至第四態様のいずれかの五徳1と、ガスバーナー3と、ガスバーナー3が挿通される貫通孔20を有する天板2と、を備える。ガスバーナー3は、貫通孔20に挿通される筒状の挿通部32を含む。挿通部32の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面33を含む。
【0074】
五徳1が天板2に載った状態で、カバー4の上面は、凹曲面33に対して段差無く連続している。
【0075】
上記の特徴を備えることで、第一態様のガスコンロ100では、ガスバーナー3の凹曲面33上にこぼれ落ちた煮汁を、カバー4の上面41を伝わらせてカバー4の外側へと流すことができ、挿通部32とカバー4との間の隙間に煮汁が浸入することを抑制することができる。
【0076】
また、上述した実施形態の変形例のガスコンロ100のように、本発明に係る第二態様のガスコンロ100は、下記の第二の特徴を備える。
【0077】
すなわち、第二態様のガスコンロ100は、第一乃至第四態様のいずれかの五徳1と、ガスバーナー3と、ガスバーナー3が挿通される貫通孔20を有する天板2と、を備える。ガスバーナー3は、貫通孔20に挿通される筒状の挿通部32を含む。挿通部32の外周面は、下側の部分ほど外側に位置するように設けられた凹曲面33を含む。
【0078】
五徳1が天板2に載った状態で、カバー4の上面は、凹曲面33よりも下方に位置する。
【0079】
上記の特徴を備えることで、第二態様のガスコンロ100では、ガスバーナー3の凹曲面33上にこぼれ落ちた煮汁を、カバー4の上面41を伝わらせてカバー4の外側へと流すことができ、挿通部32とカバー4との間の隙間に煮汁が浸入することを抑制することができる。
【0080】
また、本発明に係る第三態様のガスコンロ100は、第一または第二態様のガスコンロ100の特徴に加えて、下記の第三の特徴を備える。
【0081】
すなわち、第三態様のガスコンロ100は、貫通孔20に取り付けられるリング部材6をさらに備える。複数の爪部5が天板2に載った状態で、カバー4は、リング部材6との間に間隔をあけて位置する。
【0082】
上記の特徴を備えることで、第三態様のガスコンロ100では、ガスバーナー3の熱が、カバー4を介してリング部材6に伝わることを抑制でき、リング部材6の上まで浸入した煮汁が蒸発して、リング部材6にこびりつくことを抑制することができる。
【0083】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 五徳
2 天板
20 貫通孔
3 ガスバーナー
32 挿通部
33 凹曲面
4 カバー
40 外周面
41 上面
42 下面
5 爪部
50 下片部
51 側片部
52 上片部
53 上面
54 下面
54a 第一面
54b 第二面
6 リング部材
100 ガスコンロ
S1 隙間