(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/18 20060101AFI20220128BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20220128BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20220128BHJP
A45C 11/20 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
B65D51/18
A47J41/02 104A
B65D81/18 A
B65D81/18 E
A45C11/20 F
(21)【出願番号】P 2019090153
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2021-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 雄志
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-210136(JP,A)
【文献】特許第5841220(JP,B1)
【文献】特開2018-144832(JP,A)
【文献】特開2014-162544(JP,A)
【文献】特開2013-227034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/18
A47J 41/02
B65D 81/18
A45C 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられ
ており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構により前記中栓に仮止めされた前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が開始されると共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴する蓋付き容器。
【請求項2】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むと共に、前記中栓を前記内蓋の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が開始されると共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴す
る蓋付き容器。
【請求項3】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むことによって、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態となると共に、前記中栓を前記内蓋の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴す
る蓋付き容器。
【請求項4】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構により前記中栓に仮止めされた前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むと共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴す
る蓋付き容器。
【請求項5】
前記容器本体に前記蓋体が取り付けられた状態から、前記外蓋を開方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除された後に、前記中栓の外周部に設けられた外周側当接部に、前記内蓋の内周部に設けられた内周側当接部が当接した状態から、前記内蓋が前記外蓋と一体に開方向に回ることによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が解除されて、前記容器本体から前記蓋体が取り外し可能な状態となることを特徴とする請求項1~
4の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記容器本体に前記蓋体が取り付けられた状態から、前記外蓋を開方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除された後に、前記中栓の外周部に設けられた外周側当接部に、前記内蓋の内周部に設けられた内周側当接部が当接した状態から、前記内蓋が前記外蓋と一体に開方向に回ることによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が解除されて、前記容器本体から前記蓋体が取り外し可能な状態となることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除される位置において、前記通気孔の周囲に対する前記栓体の当接が解除されることによって、前記通気孔が開放された状態となることを特徴とする請求項
6に記載の蓋付き容器。
【請求項8】
前記仮止め機構は、前記中栓の外周部に設けられた被係止部と、前記内蓋の周壁部に設けられて、前記内蓋の拡径方向に弾性変形可能な第1の弾性片と、前記第1の弾性片に設けられて、前記被係止部に係止される係止部とを有することを特徴とする請求項
1又は4に記載の蓋付き容器。
【請求項9】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構は、前記中栓の外周部に設けられた被係止部と、前記内蓋の周壁部に設けられて、前記内蓋の拡径方向に弾性変形可能な第1の弾性片と、前記第1の弾性片に設けられて、前記被係止部に係止される係止部とを有することを特徴とす
る蓋付き容器。
【請求項10】
前記第1の弾性片の外周側に前記第1の雄ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項
8又は9に記載の蓋付き容器。
【請求項11】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が完了する間にクリック感を付与するクリック機構を備え、
前記クリック機構は、前記外蓋に設けられた外側係合凸部と、前記内蓋に設けられた内側係合凸部とを有して、前記外側係合凸部と前記内側係合凸部との何れか一方が何れか他方を乗り越えたときにクリック感を付与することを特徴とす
る蓋付き容器。
【請求項12】
前記クリック機構は、前記内蓋に設けられて、前記内蓋の縮径方向に弾性変形可能な第2の弾性片を有し、
前記内側係合凸部は、前記第2の弾性片に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の蓋付き容器。
【請求項13】
前記外側係合凸部と前記内側係合凸部との何れか一方が何れか他方を乗り越えるときの抵抗が、前記外蓋を閉方向に回したときよりも前記外蓋を開方向に回したときの方が大きいことを特徴とする請求項11又は12に記載の蓋付き容器。
【請求項14】
前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空断熱構造を有する容器本体によって保温・保冷機能を持たせた蓋付き容器がある(例えば、下記特許文献1を参照。)。このような蓋付き容器では、内蓋及び外蓋を用いて容器本体に設けられた開口部を密閉する構造が採用されている。
【0003】
具体的に、蓋付き容器は、上部に開口部が設けられた容器本体と、開口部から容器本体の内側に嵌め込まれた状態で開口部を閉塞する内蓋と、内蓋に取り付けられた状態で容器本体と内蓋との間を密閉する止水パッキン(シール部材)と、開口部を外側から覆った状態で容器本体に螺合により装着される外蓋とを備えている。また、蓋付き容器は、内蓋に設けられた空気孔(通気孔)を外蓋に設けられた閉栓パッキン(栓体)が閉塞する構造となっている。
【0004】
蓋付き容器では、容器本体に外蓋が装着されたときに、閉栓パッキンが内蓋と当接されることによって、内蓋の上方側への移動を規制している。また、蓋付き容器では、容器本体から外蓋を取り外す際に、閉栓パッキンによる空気孔の閉塞が解除される。これにより、容器本体内の圧力が低下した(負圧となった)場合でも、容器本体から外蓋を取り外したときに空気孔を通して外気が導入されるため、容器本体内の圧力が大気圧と同じとなる。したがって、内蓋が容器本体の内側に引っ張られることなく、内蓋を容器本体から容易に取り外すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の蓋付き容器では、例えば容器本体の内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体内の内容物が腐敗してガスが発生したときに、内蓋及び外蓋により密閉された容器本体内の圧力が上昇する(陽圧となる)のに伴って、内蓋が外蓋に押し付けられた状態となる。
【0007】
このとき、容器本体と外蓋との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋を取り外す方向に回しづらくなることがあった。また、外蓋を取り外す際に、容器本体内の圧力が勢い良く開放されることによって、大きな音が鳴ったり、内蓋が上方側に飛び出したりすることがあった。
【0008】
また、上述した従来の蓋付き容器では、例えば容器本体の内部に高温の内容物を入れてから時間が経過したときに、その温度が下がることによって、内蓋及び外蓋により密閉された容器本体内の圧力が低下し(負圧となり)、内蓋が容器本体に押し付けられた状態となる。
【0009】
このとき、容器本体と外蓋との間で螺合による締結力が減少することにより、外蓋が緩み易くなることがあった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、蓋体を容易に且つ安全に取り外すことを可能とした蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構により前記中栓に仮止めされた前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が開始されると共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴とする蓋付き容器。
〔2〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むと共に、前記中栓を前記内蓋の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が開始されると共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴する蓋付き容器。
〔3〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むことによって、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態となると共に、前記中栓を前記内蓋の内側に嵌め込んだ状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴する蓋付き容器。
〔4〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構により前記中栓に仮止めされた前記内蓋を前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込むと共に、前記シール部材が前記容器本体の内周部に設けられた張出部に当接した状態から、前記外蓋を閉方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始されることを特徴する蓋付き容器。
〔5〕 前記容器本体に前記蓋体が取り付けられた状態から、前記外蓋を開方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除された後に、前記中栓の外周部に設けられた外周側当接部に、前記内蓋の内周部に設けられた内周側当接部が当接した状態から、前記内蓋が前記外蓋と一体に開方向に回ることによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が解除されて、前記容器本体から前記蓋体が取り外し可能な状態となることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の蓋付き容器。
〔6〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記容器本体に前記蓋体が取り付けられた状態から、前記外蓋を開方向に回すことによって、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除された後に、前記中栓の外周部に設けられた外周側当接部に、前記内蓋の内周部に設けられた内周側当接部が当接した状態から、前記内蓋が前記外蓋と一体に開方向に回ることによって、前記第1の雌ネジ部と前記第1の雄ネジ部との螺合が解除されて、前記容器本体から前記蓋体が取り外し可能な状態となることを特徴とする蓋付き容器。
〔7〕 前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が解除される位置において、前記通気孔の周囲に対する前記栓体の当接が解除されることによって、前記通気孔が開放された状態となることを特徴とする前記〔6〕に記載の蓋付き容器。
〔8〕 前記仮止め機構は、前記中栓の外周部に設けられた被係止部と、前記内蓋の周壁部に設けられて、前記内蓋の拡径方向に弾性変形可能な第1の弾性片と、前記第1の弾性片に設けられて、前記被係止部に係止される係止部とを有することを特徴とする前記〔1〕又は〔4〕に記載の蓋付き容器。
〔9〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が開始される位置にて前記中栓に対して前記内蓋を仮止めする仮止め機構を備え、
前記仮止め機構により前記中栓に対して前記内蓋が仮止めされた状態から、前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が取り付けられると共に、
前記仮止め機構は、前記中栓の外周部に設けられた被係止部と、前記内蓋の周壁部に設けられて、前記内蓋の拡径方向に弾性変形可能な第1の弾性片と、前記第1の弾性片に設けられて、前記被係止部に係止される係止部とを有することを特徴とする蓋付き容器。
〔10〕 前記第1の弾性片の外周側に前記第1の雄ネジ部が設けられていることを特徴とする前記〔8〕又は〔9〕に記載の蓋付き容器。
〔11〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記開口部を覆う外蓋と、
前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、前記容器本体と前記内蓋との間を密閉するシール部材と、
前記外蓋の内側中央部に位置して、前記内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の底面中央部に位置して、前記内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有し、
前記容器本体の内周部に設けられた第1の雌ネジ部と、前記内蓋の外周部に設けられた第1の雄ネジ部との螺合によって、前記容器本体に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられると共に、
前記内蓋の内周部に設けられた第2の雌ネジ部と、前記中栓の外周部に設けられた第2の雄ネジ部との螺合によって、前記中栓に対して前記内蓋が着脱自在に取り付けられており、
前記第2の雌ネジ部と前記第2の雄ネジ部との螺合が完了する間にクリック感を付与するクリック機構を備え、
前記クリック機構は、前記外蓋に設けられた外側係合凸部と、前記内蓋に設けられた内側係合凸部とを有して、前記外側係合凸部と前記内側係合凸部との何れか一方が何れか他方を乗り越えたときにクリック感を付与することを特徴とする蓋付き容器。
〔12〕 前記クリック機構は、前記内蓋に設けられて、前記内蓋の縮径方向に弾性変形可能な第2の弾性片を有し、
前記内側係合凸部は、前記第2の弾性片に設けられていることを特徴とする前記〔11〕に記載の蓋付き容器。
〔13〕 前記外側係合凸部と前記内側係合凸部との何れか一方が何れか他方を乗り越えるときの抵抗が、前記外蓋を閉方向に回したときよりも前記外蓋を開方向に回したときの方が大きいことを特徴とする前記〔11〕又は〔12〕に記載の蓋付き容器。
〔14〕 前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする前記〔1〕~〔13〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、蓋体を容易に且つ安全に取り外すことを可能とした蓋付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓋付き容器を上方側から見た分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す蓋付き容器を下方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す蓋付き容器が備える外蓋及び中栓を下方側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す蓋付き容器が備える内蓋を上方側から見た斜視図である。
【
図5】
図1に示す蓋付き容器が備える内蓋を下方側から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示す蓋付き容器において、中栓に対して内蓋が仮止めされた状態を示す断面図である。
【
図7】
図1に示す蓋付き容器において、止水パッキンが張出部に当接した状態を示す断面図である。
【
図8】
図1に示す蓋付き容器において、中栓に対して内蓋が取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図9】
図1に示す蓋付き容器において、容器本体に対して外蓋が取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図10】
図1に示す蓋付き容器において、第2の雌ネジ部と第2の雄ネジ部との螺合が解除された状態を示す断面図である。
【
図11】
図1に示す蓋付き容器において、第1の雌ネジ部と第1の雄ネジ部との螺合が解除された状態を示す断面図である。
【
図12】
図1に示す蓋付き容器が備えるクリック機構において、外蓋を閉方向に回したときの内側係合凸部が外側係合凸部を乗り越えた後の状態を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図13】
図1に示す蓋付き容器が備えるクリック機構において、外蓋を開方向に回したときの内側係合凸部が外側係合凸部を乗り越えた後の状態を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図13に示す蓋付き容器1について説明する。
なお、
図1は、蓋付き容器1を上方側から見た分解斜視図である。
図2は、蓋付き容器1を下方側から見た分解斜視図である。
図3は、蓋付き容器1が備える外蓋9及び中栓11を下方側から見た斜視図である。
図4は、蓋付き容器1が備える内蓋10を上方側から見た斜視図である。
図5は、蓋付き容器1が備える内蓋10を下方側から見た斜視図である。
図6は、蓋付き容器1において、中栓11に対して内蓋10が仮止めされた状態を示す断面図である。
図7は、蓋付き容器1において、止水パッキン13が張出部8に当接した状態を示す断面図である。
図8は、蓋付き容器1において、中栓11に対して内蓋10が取り付けられた状態を示す断面図である。
図9は、蓋付き容器1において、容器本体2に対して外蓋9が取り付けられた状態を示す断面図である。
図10は、蓋付き容器1において、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除された状態を示す断面図である。
図11は、蓋付き容器1において、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除された状態を示す断面図である。
図12は、蓋付き容器1が備えるクリック機構27において、外蓋9を閉方向に回したときの内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えた後の状態を一部を切り欠いて示す斜視図である。
図13は、蓋付き容器1が備えるクリック機構27において、外蓋9を開方向に回したときの内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えた後の状態を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【0015】
本実施形態の蓋付き容器1は、
図1及び
図2に示すように、容器本体2と、容器本体2の上部に設けられた開口部2aを開閉する蓋体3とを備えている。蓋付き容器1は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、容器本体2に収容された具材(内容物)を保温することが可能なスープジャーである。
【0016】
なお、本実施形態の蓋付き容器1は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、蓋付き容器1の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0017】
容器本体2は、
図1、
図2、及び
図7~
図11に示すように、例えばステンレス等からなる金属製の外容器4及び内容器5を有している。容器本体2は、一端が開口した有底筒状の外容器4の内側に、一端が開口した有底筒状の内容器5を収容した状態で、互いの開口端同士が接合されると共に、これら外容器4と内容器5との間に真空断熱層6が設けられた断熱容器により構成されている。
【0018】
真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気孔をろう材により封止することによって形成することができる。
【0019】
容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、保温や保冷といった機能を持たせることが可能である。また、容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、内圧(真空圧)と外圧(大気圧)の差により外容器4及び内容器5に対して常に張力が加わった状態となり、これら外容器4及び内容器5の機械的強度が増すことになる。これにより、外容器4及び内容器5の板厚を薄くした場合でも、容器本体2の剛性を高めることが可能であり、この容器本体2の軽量化を図ることが可能である。
【0020】
容器本体2は、略円形状の底面部2bと、底面部2bの外周から略円筒状に起立した胴部2cと、胴部2cの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2dとを有している。また、口頸部2dの上端部は、容器本体2の開口部2aとして、円形状に開口している。また、口頸部2d(内容器5)の内周面には、第1の雌ネジ部7が設けられている。さらに、第1の雌ネジ部7の下方には、リング状の張出部8が内容器5(容器本体2)の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0021】
蓋体3は、容器本体2の開口部2aを覆う外蓋9と、開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込まれる内蓋10と、内蓋10の底面外周部に取り付けられた状態で、容器本体2と内蓋10との間を密閉するシール部材13と、外蓋9の内側中央部に位置して、内蓋10の内側に嵌め込まれる中栓11と、中栓11の底面中央部に位置して、内蓋10の底面中央部に設けられた通気孔17を閉塞する栓体18とを有している。
【0022】
外蓋9は、
図1~
図3、及び
図7~
図11に示すように、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、容器本体2の胴部2cの外径に合わせて略円筒状に形成された周壁部9aと、周壁部9aの上部を閉塞する上壁部9bとを有している。
【0023】
内蓋10は、
図1、
図2及び
図4~
図11に示すように、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、略円形状の底壁部10aと、底壁部10aの外周から略円筒状に起立した周壁部10bとを有している。また、周壁部10bの外周面の上端側には、リング状の上側フランジ部10cが全周に亘って突出して設けられている。
【0024】
周壁部10b(内蓋10)の外周面には、上述した容器本体2側の第1の雌ネジ部7と螺合される第1の雄ネジ部12が設けられている。蓋付き容器1では、これら第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合によって、容器本体2に対して内蓋10が着脱自在に取り付けられている。
【0025】
また、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、容器本体2に対して内蓋10を少ない回転操作(本実施形態では約180°)で着脱することが可能である。
【0026】
具体的に、二条ネジでは、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合の開始位置が2箇所存在しており、互いの二条ネジを構成する一方のネジ山と他方のネジ山とが所定ピッチで螺旋状に形成されると共に、一方のネジ山の始端と他方のネジ山の始端とが軸線回りに180゜の位相差を持って配置されている。
【0027】
蓋付き容器1では、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12とを螺合させながら、容器本体2に対して内蓋10を右回り(以下、「閉方向」という。)に回転させることによって、容器本体2に内蓋10を取り付けることが可能である。一方、容器本体2に内蓋10が取り付けられた状態から、容器本体2に対して内蓋10を左回り(以下、「開方向」という。)に回転させることによって、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合を解除し、容器本体2から内蓋12を取り外すことが可能である。
【0028】
内蓋10の底面側の外周部には、止水パッキン13が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン13は、容器本体2と内蓋10との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0029】
内蓋10には、リング状の下側フランジ部10dが底壁部10aの外周から拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン13は、この下側フランジ部10dに全周に亘って嵌め付けられている。
【0030】
一方、止水パッキン13は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、下側フランジ部10dから取り外すことが可能である。これにより、内蓋10と止水パッキン13とをそれぞれ別々に洗浄することができ、内蓋10と止水パッキン13との間を衛生的に保つことが可能である。
【0031】
また、止水パッキン13の外周部には、弾性フランジ部13aが設けられている。弾性フランジ部13aは、止水パッキン13の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら突出した形状を有している。
【0032】
止水パッキン13は、容器本体2に内蓋10が取り付けられた際に、弾性フランジ部13aが弾性変形しながら、張出部8に全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2と内蓋10との間を止水パッキン13により密閉することができる。
【0033】
中栓11は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、有底略円筒形状を有して、上壁部9bの下面中央部に溶着等により一体に取り付けられている。中栓11の内側には、断熱層として、例えば発泡ウレタン樹脂などからなる断熱材14が配置されている。また、断熱層としては、上述した断熱材14の代わりに、空気(空隙)であってもよい。
【0034】
周壁部10b(内蓋10)の内周面には、第2の雌ネジ部15が設けられている。一方、中栓11の外周面には、この第2の雌ネジ部15と螺合される第2の雄ネジ部16が設けられている。蓋体3では、これら第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合によって、中栓11に対して内蓋10が着脱自在に取り付けられている。
【0035】
また、第2の雌ネジ部15は、互いに相補形を為す一方のネジ溝の始端と他方のネジ溝の始端とが軸線回りに180゜の位相差を持って配置され、内蓋10の軸回りに約30°の角度範囲に亘って設けられている。一方、第2の雄ネジ部16は、第2の雌ネジ部15に対応して、互いに相補形を為す一方のネジ山の始端と他方のネジ山の始端とが軸線回りに180゜の位相差を持って配置され、中栓11の軸回りに約180°の角度範囲に亘って設けられている。なお、第2の雄ネジ部16のうち、第2の雌ネジ部15と実際に螺合されるのは先端から約30°の角度範囲である。したがって、それ以外の部分については、第2の雌ネジ部15と螺合されることがないため、必ずしもネジ山を構成していなくてもよい。
【0036】
蓋体3では、この蓋体3を下方側から見たときに、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16とを螺合させながら、中栓11に対して内蓋10を右回り(以下、「閉方向」という。)に回転させることによって、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了した位置(以下、「取付位置」という。)にて、中栓11に内蓋10を取り付けることが可能である。一方、蓋体3では、この蓋体3を下方側から見たときに、中栓11に内蓋10が取り付けられた状態から、中栓11に対して内蓋10を左回り(以下、「開方向」という。)に回転させることによって、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合を解除し、中栓11から内蓋10を取り外すことが可能である。
【0037】
内蓋10には、
図1、
図2及び
図4~
図11に示すように、底壁部10aの中央部分を貫通する円形状の通気孔17が設けられている。一方、中栓11の底面中央部には、取付位置にて通気孔17を閉塞する栓体18が設けられている。
【0038】
栓体18は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。栓体18は、その中央部分をドーム状に膨出させた突起部18aと、突起部18aの周囲から拡径方向に延長されたフランジ部18bと、突起部18aとは反対側から円筒状に突出された円筒部18cと、円筒部18cの外周面を切り欠くリング状の溝部18dとを有している。
【0039】
一方、中栓11は、その底面中央部に円筒部18cが嵌合される嵌合凹部11aと、嵌合凹部11aの内周面から突出されて溝部18dに嵌合される嵌合凸部11bとを有している。これにより、栓体18は、中栓11の底面中央部に着脱自在に取り付けられている。
【0040】
蓋体3では、上述した中栓11に内蓋10が螺合により取り付けられた際に、栓体18の突起部18aが弾性変形しながら、通気孔17の周囲と当接されることによって、通気孔17を閉塞することが可能となっている。また、蓋体3では、中栓11から栓体18を取り外して、中栓11と栓体18を別々に洗浄できるため、これら中栓11と栓体18との間を衛生的に保つことが可能である。
【0041】
蓋体3は、
図1~
図6に示すように、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される位置(以下、「仮止め位置」という。)において、中栓11に対して内蓋10を仮止めする仮止め機構19を備えている。仮止め位置は、上述した第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される位置であると共に、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除される位置でもある。
【0042】
仮止め機構19は、中栓11の外周部に設けられた被係止部20と、内蓋10の周壁部10bに設けられた一対の第1の弾性片21と、各第1の弾性片21の先端側に設けられた係止部22とを有している。
【0043】
また、内蓋10及び中栓11には、それぞれ仮止め位置を表す目印(図示せず)が設けられている。すなわち、蓋体3では、内蓋10側の目印と中栓11側の目印との位置合わせによって、中栓11に対して内蓋10を仮止め位置に位置決めすることができる。
【0044】
被係止部20は、第2の雄ネジ部16よりも下方に位置して、中栓11の外周面を全周に亘って凹ませたリング状の溝部により構成されている。
【0045】
一対の第1の弾性片21は、周壁部10bの相対(対向)する位置に周壁部10bと連続して設けられている。具体的に、各第1の弾性片21は、その周囲を切り欠くスリット23の間から下方に向かって延長して設けられている。これにより、第1の弾性片21は、スリット23の間から下方に向かって延長されると共に、その先端(下端)側が拡径方向に弾性変形可能となっている。
【0046】
係止部22は、第1の弾性片21の先端(下端)側の内周面から突出された突起部により構成されている。
【0047】
仮止め機構19では、仮止め位置において、内蓋10の内側に中栓11を嵌め込むことによって、一対の第1の弾性片21を拡径方向に弾性変形させながら、被係止部20に係止部22が係止された状態となる。これにより、仮止め位置において、中栓11に内蓋10を仮止めすることができる。
【0048】
一方、仮止め機構19では、この仮止め位置において、一対の第1の弾性片21を拡径方向に弾性変形させながら、被係止部20に対する係止部22の係止状態を解除することによって、中栓11から内蓋10を取り外すことが可能である。
【0049】
蓋体3は、
図3及び
図4に示すように、上述した仮止め位置において、中栓11に対して内蓋10が開方向に回転することを規制する回り止め機構24を備えている。
【0050】
回り止め機構24は、中栓11の外周部に設けられた外周側当接部25と、内蓋10の内周部に設けられた内周側当接部26とを有している。外周側当接部25は、第2の雄ネジ部16の終端側に位置して、中栓11の外周面から拡径方向に突出された突起部により構成されている。内周側当接部26は、第2の雌ネジ部15の始端側に位置して、内蓋10の内周面から縮径方向に突出された突起部により構成されている。
【0051】
回り止め機構24では、仮止め位置において、外周側当接部25と内周側当接部26とが互いに当接されることによって、中栓11に対して内蓋10が開方向に回転することを規制することができる。したがって、仮止め機構19を介して中栓11に仮止めされた内蓋10は、仮止め位置において、中栓11に対して閉方向にのみ回転させることが可能である。
【0052】
蓋体3は、
図3~
図5、
図12及び
図13に示すように、上述した取付位置において、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了するまでの間にクリック感を付与するクリック機構27を備えている。
【0053】
クリック機構27は、外蓋9に設けられた外側係合凸部28と、内蓋10に設けられた内側係合凸部29とを有している。
【0054】
外側係合凸部28は、周壁部9aの内周面における相対(対向)する位置から縮径方向に突出して設けられている。また、外側係止凸部28は、中栓11に対して内蓋10を閉方向に回す側に向かって漸次勾配が高くなる傾斜面28aを有している。
【0055】
内側係合凸部29は、内蓋10の周壁部10bに設けられた一対の第2の弾性片30の先端側に設けられている。一対の第2の弾性片30は、周壁部10bの相対(対向)する位置に周壁部10bと連続して設けられている。具体的に、各第2の弾性片30は、周壁部10bの上端を上下方向に切り欠く一対のスリット31a,31bの間から上方に向かって延長して設けられている。また、一対のスリット31a,31bは、上述した第1の弾性片21を形成するスリット23を挟んだ両側に位置している。
【0056】
これにより、第2の弾性片30は、その先端(上端)側が縮径方向に弾性変形可能となっている。内側係合凸部29は、第2の弾性片30の先端(上端)側から上側フランジ部10cよりも外側に突出して設けられている。
【0057】
クリック機構27では、仮止め位置から中栓11に対して内蓋10を閉方向に回すことによって、内側係合凸部29が外側係合凸部28の傾斜面28aと摺接しながら、第2の弾性片30を縮径方向に弾性変形させる。そして、内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えることによって、
図12に示すように、第2の弾性片30が元の位置へと弾性復帰し、取付位置にて内側係合凸部29と外側係合凸部28とが係合された状態となる。
【0058】
クリック機構27では、このような内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えるときに得られるクリック感によって、内蓋10が取付位置に到達したこと、すなわち、中栓11に内蓋10が取り付けられたことを容易に確認することができる。
【0059】
一方、クリック機構27では、取付位置から中栓11に対して内蓋10を開方向に回すことによって、第2の弾性片30を縮径方向に弾性変形させる。そして、内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えることによって、
図13に示すように、第2の弾性片30が元の位置へと弾性復帰し、内側係合凸部29と外側係合凸部28との係合が解除された状態となる。
【0060】
クリック機構27では、上述した傾斜面28aの勾配の向きによって、閉方向に向かって内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えるときよりも、開方向に向かって内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えるときの抵抗が高くなっている。これにより、取付位置にある外蓋9(中栓11)が内蓋10に対して不用意に緩むことを防止している。
【0061】
なお、本実施形態のクリック機構27では、上述した傾斜面28aが設けられた外側係合凸部28を内側係合凸部29が乗り越えたときにクリック感を付与する構成となっているが、それとは逆に、傾斜面が設けられた内側係合凸部29を外側係合凸部28が乗り越えたときにクリック感を付与する構成としてもよい。
【0062】
また、クリック機構27におけるクリック感の強弱については、内側係合凸部29、外側係合凸部28及び第2の弾性片30の形状、表面状態、材質等で調整することが可能である。一方、クリック感を全く出さないようにすることも可能である。
【0063】
以上のような構成を有する本実施形態の蓋付き容器1では、上述した仮止め機構19により中栓11に対して内蓋10が仮止め位置にて仮止めされた状態から、この中栓11に仮止めされた内蓋10を開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込んだ状態とする。そして、この状態から、外蓋9を閉方向に回すことによって、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が開始される。また、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合により容器本体2に対して内蓋10が下降することによって、
図7に示すように、止水パッキン13が張出部8に当接した状態となる。
【0064】
この状態から、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、
図8に示すように、容器本体2の内側に嵌め込まれた内蓋10に対して中栓11が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される。
【0065】
ここで、止水パッキン13と張出部8の間に生じる摺動抵抗に対して、クリック機構27における内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越える際の摺動抵抗の方が小さくなっている。これにより、容器本体2の内側に嵌め込まれた内蓋10に対して中栓11が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、内側係合凸部29が外側係合凸部28を乗り越えたときにクリック感を得ることができる。
【0066】
そして、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了することによって、取付位置にて内蓋10が中栓11に取り付けられた状態となる。また、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合により内蓋10に対して中栓11が下降することによって、通気孔17の周囲に栓体18が当接し、通気孔17が密閉(閉塞)された状態となる。
【0067】
第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了した後は、
図9に示すように、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、内蓋10が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12とが螺合される。
【0068】
そして、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が完了することによって、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態となる。また、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合により容器本体2に対して内蓋10が下降することによって、止水パッキン13の弾性フランジ部13aが弾性変形しながら、張出部8に全周に亘って密着し、容器本体2と内蓋10との間が密閉された状態となる。
【0069】
ここで、内蓋10の中心が容器本体2の中心に対して若干ずれた位置に取り付けられていたとしても、内蓋10が外蓋9と一体に閉方向に回るうちに、緩やかなすり鉢形状に形成された張出部8の形状に沿うように内蓋10が誘導され、中心軸が合う方向へ内蓋10が移動する。これにより、容器本体2と内蓋10との中心軸が一致することで、止水パッキン13が張出部8に全周に亘って偏りなく密着し、良好な止水性を発揮することができる。
【0070】
一方、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態から、外蓋9を開方向に回すことによって、
図10に示すように、内蓋10に対して中栓11が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除される。これにより、内蓋10は、仮止め位置にて中栓11に仮止めされた状態となる。
【0071】
また、内蓋10に対して中栓11が上昇することによって、通気孔17の周囲に対する栓体18の当接が解除されて、通気孔17が開放された状態となる。これにより、通気孔17を通して容器本体2内の圧力が開放されるため、容器本体2内の圧力が外部と同じ圧力(大気圧)となる。
【0072】
そして、この状態から、更に外蓋9を開方向に回すことによって、
図11に示すように、回り止め機構24の外周側当接部25に内周側当接部26が当接されることによって、内蓋10が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除される。また、容器本体2に対して内蓋10が上昇することによって、張出部8に対する止水パッキン13の当接が解除される。
【0073】
これにより、容器本体2から蓋体3が取り外し可能な状態となる。すなわち、仮止め機構19により内蓋10が中栓11に仮止めされた状態のまま、この内蓋10を外蓋9と共に、容器本体2から取り外すことが可能となる。
【0074】
ここで、第1の弾性片21の外周側には、第1の雄ネジ部12が設けられている。このため、蓋体3が容器本体2に取り付けられた状態では、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12とが螺合しており、第1の弾性片21が拡径側に弾性変形することはない。このため、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除された後でも、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除されない状態では、被係止部20に対する係止部22の係止状態が解除されることはない。したがって、容器本体2から蓋体3を取り外すまでは、仮止め機構19により内蓋10が中栓11に仮止めされた状態のまま、内蓋10が中栓11(外蓋9)から不意に外れることがなく、安全である。
【0075】
以上のように、本実施形態の蓋付き容器1では、上述した容器本体2と内蓋10との間で第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除される前に、内蓋10と中栓11との間で第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除されることで、通気孔17の周囲に対する栓体18の当接が解除されて、この通気孔17が開放された状態となる。
【0076】
すなわち、本実施形態の蓋付き容器1では、容器本体2に対して内蓋10が螺合により取り付けられた状態のまま、この内蓋10に対する中栓11の螺合を解除し、通気孔17を開放することが可能である。
【0077】
これにより、容器本体2内の圧力上昇により内蓋10が外蓋9(中栓11)に押し付けられた場合や、容器本体2内の圧力低下により内蓋10が容器本体2の内側に引っ張られた場合でも、影響を受けることなく、内蓋10に対する中栓11の螺合を解除し、通気孔17を容易に開放することが可能である。
【0078】
また、本実施形態の蓋付き容器1では、通気孔17が開放された後に、容器本体2と内蓋10との間で第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除されることで、容器本体2内の圧力上昇により内蓋10及び外蓋9(中栓11)が上方へ飛び出すことがなく、安全に容器本体2から蓋体3を取り外すことが可能である。
【0079】
したがって、本実施形態の蓋付き容器1では、容器本体2内の圧力が上昇した場合や容器本体2内の圧力が低下した場合でも、蓋体3を容易に且つ安全に取り外すことが可能である。
【0080】
なお、容器本体2内の圧力が上昇する(陽圧となる)場合としては、例えば、容器本体2の内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体2内の内容物が腐敗してガスが発生したときなどを挙げることができる。一方、容器本体2内の圧力が低下する(負圧となる)場合としては、例えば、容器本体2の内部に高温の内容物を入れた後に、その内容物が冷めたときなどを挙げることができる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記蓋付き容器1では、上述した仮止め機構19を介して中栓11に仮止めされた内蓋10を容器本体2の内側に嵌め込む構成となっているが、内蓋10を開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込んだ後に、中栓11を内蓋10の内側に嵌め込んだ状態から、外蓋9を閉方向に回すことも可能である。
【0082】
この場合、外蓋9を閉方向に回すことによって、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が開始された後、止水パッキン13が張出部8に当接し、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される。そして、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了することによって、上記
図7に示す場合と同様に、取付位置にて内蓋10が中栓11に取り付けられた状態となる。
【0083】
第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了した後は、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、内蓋10が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が完了する。これにより、上記
図8に示す場合と同様に、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態となる。
【0084】
なお、中栓11を内蓋10の内側に嵌め込んだ際に、内蓋10に対して中栓11が仮止め位置から周方向にずれていた場合でも、外蓋9を閉方向に回すことによって、仮止め位置にて内蓋10が中栓11に対して仮止めされた状態となる。したがって、この状態から、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、容器本体2に蓋体3を取り付けることが可能である。
【0085】
また、上記蓋付き容器1では、上述した仮止め機構19を省略することも可能である。この場合も、内蓋10を開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込んだ後に、中栓11を内蓋10の内側に嵌め込んだ状態とする。そして、この状態から、外蓋9を閉方向に回すことによって、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が開始され、止水パッキン13が張出部8に当接し、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される。そして、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了することによって、取付位置にて内蓋10が中栓11に取り付けられた状態となる。
【0086】
第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了した後は、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、内蓋10が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が完了する。これにより、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態となる。
【0087】
一方、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態から、外蓋9を開方向に回すことによって、内蓋10に対して中栓11が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除される。
【0088】
そして、この状態から、更に外蓋9を開方向に回すことによって、回り止め機構24の外周側当接部25に内周側当接部26が当接されることによって、内蓋10が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除される。
【0089】
これにより、容器本体2から蓋体3が取り外し可能な状態となる。この場合、容器本体2から外蓋9を取り外した後に、容器本体2から内蓋10を取り外すことになる。
【0090】
また、上記蓋付き容器1では、上述した第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が開始された後、止水パッキン13が張出部8に当接した状態となる構成となっているが、仮止め機構19により中栓11に仮止めされた内蓋10を開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込むことによって、止水パッキン13が張出部8に当接した状態となる構成であってもよい。
【0091】
この構成の場合、この状態から、外蓋9を閉方向に回すことによって、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が開始される。そして、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了することによって、取付位置にて内蓋10が中栓11に取り付けられた状態となる。
【0092】
第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が完了した後は、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が開始される。そして、この状態から、更に外蓋9を閉方向に回すことによって、内蓋10が外蓋9と一体に閉方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が完了する。これにより、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態となる。
【0093】
一方、容器本体2に蓋体3が取り付けられた状態から、外蓋9を開方向に回すことによって、内蓋10に対して中栓11が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第2の雌ネジ部15と第2の雄ネジ部16との螺合が解除される。これにより、内蓋10は、仮止め位置にて中栓11に仮止めされた状態となる。
【0094】
そして、この状態から、更に外蓋9を開方向に回すことによって、回り止め機構24の外周側当接部25に内周側当接部26が当接されることによって、内蓋10が外蓋9と一体に開方向に回りながら、第1の雌ネジ部7と第1の雄ネジ部12との螺合が解除される。
【0095】
これにより、容器本体2から蓋体3が取り外し可能な状態となる。すなわち、仮止め機構19により内蓋10が中栓11に仮止めされた状態のまま、この内蓋10を外蓋9と共に、容器本体2から取り外すことが可能となる。
【0096】
また、この構成の場合も、上述した内蓋10を開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込んだ後に、中栓11を内蓋10の内側に嵌め込んだ状態から、外蓋9を閉方向に回すことも可能である。さらに、上述した仮止め機構19を省略した構成とすることも可能である。
【0097】
また、上記蓋付き容器1では、上述した中栓11に取り付けられた栓体18によって、内蓋10に設けられた通気孔17を閉塞する構成となっているが、通気孔が設けられた弾性部材を内蓋10に取り付けて、中栓11に設けられた栓体となる突起部を弾性部材に当接させることによって、通気孔を閉塞する構成とすることも可能である。
【0098】
なお、本発明は、上述した真空断熱構造を有する容器本体によって保温・保冷機能を持たせた蓋付き容器に好適に適用できるが、上述した開口部が設けられた容器本体と、開口部を開閉する蓋体とを備えた蓋付き容器に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…蓋付き容器 2…容器本体 2a…開口部 3…蓋体 7…第1の雌ネジ部 8…張出部 9…外蓋 10…内蓋 11…中栓 12…第1の雄ネジ部 13…止水パッキン(シール部材) 15…第2の雌ネジ部 16…第2の雄ネジ部 17…通気孔 18…栓体 19…仮止め機構 20…被係止部 21…第1の弾性片 22…係止部 24…回り止め機構 25…外周側当接部 26…内周側当接部 27…クリック機構 28…外側係合凸部 29…内側係合凸部 30…第2の弾性片