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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】湯沸かし器具
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/06 20220101AFI20220117BHJP
【FI】
F24H1/06 Z
F24H1/06 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021042614
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2021-08-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520132551
【氏名又は名称】株式会社アザレア
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長広 航
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-504660(JP,A)
【文献】中国実用新案第206440000(CN,U)
【文献】米国特許第06302094(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132349(US,A1)
【文献】登録実用新案第3152010(JP,U)
【文献】特開2018-044692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプによって形成される湯沸かし器具であって、
熱源を配置するための空間が内側に形成された、略円筒形状の巻回部と、
前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部と、
前記巻回部から供給された水を排出する第2端部と、
前記巻回部と前記第1端部とを接続する流路を形成する第1流路と、
前記巻回部と前記第2端部とを接続する流路を形成する第2流路と
を備え、
前記第1流路は、前記第1端部と接続され設置面に接触する第1流路部と、前記設置面には接触せず、当該第1流路部と前記巻回部とを接続する第2流路部とを含み、
前記第2流路は、前記第2端部と接続され前記設置面に接触する第3流路部と、前記設置面には接触せず、当該第3流路部と前記巻回部とを接続する第4流路部とを含み、
前記第2流路部および前記第4流路部はそれぞれ、前記設置面に平行な流路部分と前記設置面に垂直な流路部分とを有する
湯沸かし器具。
【請求項2】
内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプによって形成される湯沸かし器具であって、
熱源を配置するための空間が内側に形成された、略円筒形状の巻回部と、
前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部と、
前記巻回部から供給された水を排出する第2端部と、
前記巻回部と前記第1端部とを接続する流路を形成する第1流路と、
前記巻回部と前記第2端部とを接続する流路を形成する第2流路と
を備え、
前記第1流路は、前記第1端部と接続され設置面に接触する第1流路部と、前記設置面には接触せず、当該第1流路部と前記巻回部とを接続する第2流路部とを含み、
前記第2流路は、前記第2端部と接続され前記設置面に接触する第3流路部と、前記設置面には接触せず、当該第3流路部と前記巻回部とを接続する第4流路部とを含み、
前記第1流路部および前記第2流路部においてそれぞれ前記設置面に平行な流路部分、前記第3流路部および前記第4流路部においてそれぞれ前記設置面に平行な流路部分は、互いに平行であって、それぞれ前記巻回部の軸方向に対して垂直な方向に延びている
湯沸かし器具。
【請求項3】
内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプによって形成される湯沸かし器具であって、
熱源を配置するための空間が内側に形成された、略円筒形状の巻回部と、
前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部と、
前記巻回部から供給された水を排出する第2端部と、
前記巻回部と前記第1端部とを接続する流路を形成する第1流路と、
前記巻回部と前記第2端部とを接続する流路を形成する第2流路と
前記巻回部の上部に配置される調理台を支持する支持部と、
各々、前記支持部を有する第1補強部材および第2補強部材と、
前記支持部を有さず設置面に接触する第3補強部材と
を備え、
前記第1流路は、前記第1端部と接続され前記設置面に接触する第1流路部と、前記設置面には接触せず、当該第1流路部と前記巻回部とを接続する第2流路部とを含み、
前記第2流路は、前記第2端部と接続され前記設置面に接触する第3流路部と、前記設置面には接触せず、当該第3流路部と前記巻回部とを接続する第4流路部とを含む
湯沸かし器具。
【請求項4】
前記第1流路および前記第2流路は、前記巻回部と分離可能に接続される
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の湯沸かし器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯を沸かす器具に関する。
【背景技術】
【0002】
主に屋外において使用されることを想定し、薪や木炭等の燃料を用いて湯を沸かすための器具がある。例えば、特許文献1には、金属パイプ内部に水を循環させ、熱源(ガスコンロや薪など)を金属パイプに近づけることで湯を沸かすアウトドア用の温水器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-226705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アウトドア用品においては携帯性が重要なポイントとなるところ、特許文献1の装置は、グリルでの使用を前提とするものであるため、簡単に持ち運べるものではない。本発明は、持ち運びに適した湯を沸かす器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一の態様において、内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプによって形成される湯沸かし器具であって、熱源を配置するための空間が内側に形成された、略円筒形状の巻回部と、前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部と、前記巻回部から供給された水を排出する第2端部とを備え、前記第1端部、前記第2端部、および前記巻回部の周面が設置面と接触するように配置される湯沸かし器具を提供する。
好ましい態様において、前記巻回部と前記第1端部とを接続する流路を形成する第1流路と、前記巻回部と前記第2端部とを接続する流路を形成する第2流路とを更に備え、前記第1流路および前記第2流路のうち少なくともいずれかは、他の器具に引っ掛けて固定するための形状となっている。
好ましい態様において、前記巻回部の周面に、前記略円筒形状の軸方向に略帯状の補強部材が設けられる。
好ましい態様において、前記第1流路と前記第2流路とを形成する導入部を備え、前記導入部と前記巻回部とは分離可能に接続される。
好ましい態様において、前記補強部材は、前記巻回部の上部に配置される調理台を支持する支持部を備える
好ましい態様において、前記補強部材は、前記支持部を有する第1補強部材および第2補強部材と、前記支持部を有さず前記設置面に接触する第3補強部材とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、持ち運びに適した湯を沸かす器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】湯沸かし器具10の右側面図。
図2】湯沸かし器具10の左側面図。
図3】湯沸かし器具10の斜視図。
図4】湯沸かし器具10に調理台40を取り付けた状態の側面図。
図5】(a)は調理台40の側面図、(b)は調理台40の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施例>
図1および2は、それぞれ湯沸かし器具10の右側面図および左側面図であり、図3は巻回部30および導入部20の斜視図(湯沸かし器具10から補強部材31、補強部材32、補強部材33を捨象したもの)である。
湯沸かし器具10は、内部に水を循環させるための流路が形成された金属製の中空パイプを曲げ加工等することによって、形成される。図3に示すように、湯沸かし器具10は、火のついた薪や木炭その他の燃料などの熱源を、開口している側面から挿入して内部に配置するための空間OPが内側に形成された、長さがLで実効内径Rの略円筒のコイル形状の巻回部30と、巻回部30へ供給するための水を注入する流入口21と、巻回部30から供給された水を排出する流出口22を備える導入部20とに大別される。すなわち、導入部20は、巻回部30と流入口21とを接続する第1流路(流入路;流入口21―管部23―管部27)と、巻回部30と流出口22とを接続する第2流路(流出路;管部24-管部26-管部28)とを形成する。なお、水の流れは反対方向であってもよい。すなわち、第1流路を流出路として機能させ、第2流路を流入路として機能させてもよい。
【0009】
流入口21やおよび流出口22は、ゴムホース等(図示せず)を用いて、温めたい水が貯蔵されたタンク等(図示せず)と接続され、当該タンク内等に配置されたポンプを用いてパイプ内部の水を循環させる。これにより、湯沸かし器具10にて熱交換が行われ、巻回部30に流入した水は温められて巻回部30から流出することで、当該タンク内の水が温められる。
【0010】
また、図1、2に示すように、巻回部30の周面Sには、円筒形状の軸方向に平行に、補強部材31、補強部材32、補強部材33が設けられる。好ましくは、補強部材31、補強部材32、補強部材33は、断面視で、周面を三等分した位置(120°離れた位置)に設けられる。補強部材33は帯状(細長板状)の金属部材であり、溶接などによって、巻回部30と接合される。補強部材31および補強部材32は、断面L字状の金属部材であり、一の面において溶接などによって巻回部30と接合される。他の面(すなわち、当該一の面と90度傾いた面)において、補強部材31および補強部材32には、後述する調理台40を支持する。これにより、調理台40を補強部材32および補強部材33に載せて、調理台40を巻回部30の上部(設置面と反対側)に保持することができる。補強部材32および補強部材33のそれぞれにおいて、当該他の面に、ネジ等を用いて調理台40を取り付けるための取り付け穴その他の取り付け機構を設けてもよい。
【0011】
湯沸かし器具10は、図1および2に示すように、巻回部30を横倒しにした状態(軸が設置面(理想的な水平面)と平行になるよう状態)で使用する。管部23、管部24、および巻回部30の周面S(この例では周面Sに形成された補強部材33)の計3箇所において、設置面GRと接触するようにおいて使用される。ここで、設置面GRとは、例えば地面や床であって、湯沸かし器具10を置く場所である。なお、同図では、便宜上、設置面は平面として描かれているが、必ずしも水平面である必要はなく、おおよそ水平な面であれば、多少の凹凸があってもよいし、曲面であってもよい。要するに、管部23(の少なくとも一部分の領域)、管部24(の少なくとも一部分の領域)および巻回部30の周面S上(に設けられた補強部材33)の少なくとも一部分の領域において同時に設定面に接触するような位置関係となっていればよい。このように、湯沸かし器具10は、3箇所で設置面に接するようになっているので、姿勢が安定する。
【0012】
また、管部27および管部28において、巻回部30と導入部20とは分離することができるようになっている。例えば、導入部20および巻回部30の端部において、導入部20のパイプの外径と巻回部30のパイプの外径とを僅かに異なり且つ外径がテーパ形状となるように形成しておき、導入部20を巻回部30内に(あるいは逆に巻回部30を導入部20内に)挿入することで、導入部20と巻回部30とを接続する。導入部20と巻回部30との接続形態は一例であって、パイプ部材について既知の任意の接続機構を採用することができる。このように、導入部20と巻回部30を分解して持ち運べるようにすることで、湯沸かし器具10の携帯性がさらに向上する。
【0013】
また、第1流路および第2流路のうち少なくともいずれかは、グリルやコンロなどの他の器具に引っ掛けて固定するための形状に曲げ加工されている。この例では、第2流路において上に凸な部分を有しており、管部28の下側がグリル等の側壁の上端と接触することになる。なお、同図に示した上に凸な形状は一例であって、設置面に平行な部位(管部27、28)と設置面に垂直な部位(管部23、25)とを有する構造である必要はない。管部23および24以外は、設置面積を多く確保できる形状が好ましいが、それ以外の管部は、鈎状などの、曲面のみで構成された形状であってもよい。
【0014】
図4に示すように、補強部材31および補強部材32を介して湯沸かし器具10に調理台40を取り付けることができる。
調理台40は、例えば図5に示すように、食材を載せる面42と、面42と接続され傾斜した2つの面41から構成された、断面視で上に凸形状を有する板状部材である。調理台40は、例えば、一枚の金属の板を折り曲げ加工することによって形成される。面41の底端面には、補強部材31および補強部材32に設けられたネジ穴に対応する位置に、ネジ取付用の穴44が形成される。なお、調理台40の形状は一例である。例えば、図4においては、40を取り付けた状態において、面42は巻回部30の周面Sから離れているが、面42の裏面と巻回部30の周面Sとは接触してもよい。
【0015】
上記実施例の湯沸かし器具10は、軽量かつコンパクトで、持ち運びに適している。また、屋外のように凹凸がある地面であっても、三脚などの設置用具を別途用意することなく、湯沸かし器具10を設置することができる。また、一般的に、流入口21や流出口22に接続されるホースはゴムなどの伸縮性のある部材が用いられるが、このような部材は熱に弱いことが多いところ、上記実施例によれば、流入口21および流出口22は地面などの設置面付近の低い位置に設けられるので、流入口21や流出口22が熱による劣化を受けにくい。
【0016】
また、設置方法として、地面に置く以外にも、他の器具に引っかけて固定することも可能である。これにより、地面に設置することが困難な場所や熱源がグリルやコンロ内に置かれている場合であっても、湯沸かし器具10を用いて湯を沸かすことができる。
また、補強部材31、補強部材32、補強部材33を設けて巻回部30の強度を高めることで、熱膨張による変形や破損の虞が低減する。
また、調理台40を支持する支持部を介して調理台40を設置することで、熱源からの熱を、調理など湯を沸かす以外の目的にも利用することができる。
【0017】
<他の実施例>
湯沸かし器具10の全体のサイズ、パイプの内径や外径、巻回部30の径、巻き数、ピッチ、第1流路や第2流路の形状は一例であって、図示したものに限らない。また、湯沸かし器具10は、屋内で使用してもよい。湯を沸かす目的、目標温度は任意である。また、循環されるのは水に限らず、液体であればよい。
調理台40は、ネジ等によって補強部材31および補強部材32に取り付けるのではなく、補強部材31および補強部材32に載せるだけでもよい。あるいは、調理台40は設置しなくてもよい。この場合、湯を沸かしている間に熱源の炎を鑑賞するという楽しみ方も考えられる。また、調理台40の形状は図4に示したものに限られない。例えば、面42を板材として構成するのではなく、金網として構成してもよい。同様に面41については、板材ではなく、棒状の部材であってもよく、少なくとも調理台40を巻回部30に載せて固定できるような形状であればよい。
【0018】
巻回部30の形状(パイプの巻き方)は、上述した円筒形状以外にも、角柱形状(断面が、三角形、四角形、六角形、その他の多角形)であってもよい。
【0019】
補強部材31~33のサイズや位置は、上記例に限定されない。例えば、補強部材31~33は各々、円筒の軸に対して傾いて設けられてもよい。また、円筒の長さ方向の全体をカバーする必要はない、すなわち、補強部材31~33の長さは、円筒の長さLよりも小さくでもよい。
【0020】
要するに、本発明に係る湯沸かし器具は、内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプによって形成される湯沸かし器具であって、熱源を配置するための空間が内側に形成された、略円筒形状の巻回部と、前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部と、前記巻回部から供給された水を排出する第2端部とを備え、前記第1端部、前記第2端部、および前記巻回部の周面で設置面と接触すればよい。
【符号の説明】
【0021】
10・・・湯沸かし器具、20・・・導入部、21・・・流入口、22・・・流出口、23、24、25、26、27、28・・・管部、30・・・巻回部、31・・・補強部材、32・・・補強部材、33・・・補強部材、40・・・調理台、41、42・・・面、44・・・穴
【要約】
【課題】持ち運びが容易な湯沸かし器具を提供すること。
【解決手段】湯沸かし器具(湯10)は、内部に水を循環させるための流路が形成された中空パイプを曲げ加工することによって形成され、熱源を配置するための空間(OP)が内側に形成された、略円筒形状の巻回部(30)と、前記巻回部へ供給するための水を注入する第1端部(流入口21)と、前記巻回部から供給された水を排出する第2端部(流出口22)とを備える。前記第1端部、前記第2端部、および前記巻回部の周面は、設置面(GR)と接触するように配置される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5