(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】保持具並びにこれを用いた間仕切壁及び間仕切壁の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20220117BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
E04B1/76 400F
E04B2/74 551A
E04B1/76 500F
(21)【出願番号】P 2018040837
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593123683
【氏名又は名称】株式会社オクジュー
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100203068
【氏名又は名称】浅尾 遼
(72)【発明者】
【氏名】熊本 辰視
(72)【発明者】
【氏名】川良 剛
(72)【発明者】
【氏名】日置 栄一
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-082112(JP,A)
【文献】実開昭58-017405(JP,U)
【文献】特開平9-287229(JP,A)
【文献】実開平6-001535(JP,U)
【文献】米国特許第04471592(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1246118(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04B 2/72-2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁における前記充填材の姿勢を保持する保持具であって、
前記充填材に支持面で当接してこの充填材を支持する支持面部と、
前記面材が固定される前記スタッドの第一フランジに対向する前記スタッドの第二フランジに接する接触面部と、
前記接触面部の両側部から前記面材に向けて延在し前記スタッドを挟持する一対の挟持部と、
前記接触面部から外方へ向けて立設される突部と、
前記支持面部と前記突部とを接続する接続部とを備え、
前記突部は、前記接触面部の側部から離隔してあり、
前記接続部は、前記支持面と前記第二フランジとを略同一平面上に位置させる形状である保持具。
【請求項2】
前記突部は、互いに離隔して一対設けられている請求項1記載の保持具。
【請求項3】
前記一対の挟持部は、前記接触面部に対し鋭角に設けられている請求項1又は2記載の保持具。
【請求項4】
前記スタッドは、前記第二フランジの端部にリップ部を有し、前記一対の挟持部の少なくとも一方には、前記リップ部に掛合する掛合部が設けられている請求項1~3のいずれかに記載の保持具。
【請求項5】
前記スタッドは、前記第一フランジ及び前記第二フランジに直交するウェブを有し、前記ウェブは、その外面に段差部を有し、前記一対の挟持部の少なくとも一方には、前記段差部に掛合する掛合部が設けられている請求項1~3のいずれかに記載の保持具。
【請求項6】
前記スタッドは、角筒形状を呈する請求項1~3のいずれかに記載の保持具。
【請求項7】
合成樹脂より一体成型される請求項1~6のいずれかに記載の保持具。
【請求項8】
前記合成樹脂は、ポリアセタール樹脂である請求項7記載の保持具。
【請求項9】
周囲よりも肉厚に形成した拡大部が複数箇所に設けられている請求項7又は8記載の保持具。
【請求項10】
前記拡大部の少なくとも1つは、前記接続部の前記突部近傍に位置し、その拡大部の前記支持面部側には、前記接続部を破断可能にする破断容易部が隣接して設けられている請求項9記載の保持具。
【請求項11】
前記接続部は、前記接触面部に平行な平面部と、前記平面部から延在し前記支持面部に接続される傾斜面部とを有する請求項1~10のいずれかに記載の保持具。
【請求項12】
前記接触面部の幅方向中心に対し線対称である請求項1~11のいずれかに記載の保持具。
【請求項13】
ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁であって、
請求項1~12のいずれかに記載の保持具が、前記スタッドのフランジに装着され、
前記充填材が、前記スタッドの間に充填され、
前記面材が、前記スタッドの他方のフランジに固定された間仕切壁。
【請求項14】
ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁の施工方法であって、
請求項1~12のいずかに記載の保持具を前記スタッドのフランジに装着し、
前記充填材を前記スタッドの間に充填し、
前記面材を前記スタッドの他方のフランジに固定する間仕切壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具並びにこれを用いた間仕切壁及び間仕切壁の施工方法に関する。さらに詳しくは、ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁における前記充填材の姿勢を保持する保持具並びにこれを用いた間仕切壁及び間仕切壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上述の如き間仕切壁に充填材を充填するに際し、例えば特許文献1の施工方法では、上下ランナーの間に角パイプを用いてスタッドを千鳥状に配列し、そのジグザグ状空間内に断熱材を蛇行させることで組み込んでいる。この千鳥状のスタッドにより断熱材の姿勢を保持するが、施工が煩雑となっていた。また、特許文献2の
図1(B)に示す如き、所謂片面壁の場合、施工時のみならず施工後においても、充填材が竪穴区画側へ脱落しないよう保持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-84221号公報
【文献】特開2010-229630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、施工時及び施工後に充填材を間仕切壁内部に保持し得る保持具並びにこれを用いた間仕切壁及び間仕切壁の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る保持具の特徴は、ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁における前記充填材の姿勢を保持する構成において、前記充填材に支持面で当接してこの充填材を支持する支持面部と、前記面材が固定される前記スタッドの第一フランジに対向する前記スタッドの第二フランジに接する接触面部と、前記接触面部の両側部から前記面材に向けて延在し前記スタッドを挟持する一対の挟持部と、前記接触面部から外方へ向けて立設される突部と、前記支持面部と前記突部とを接続する接続部とを備え、前記突部は、前記接触面部の側部から離隔してあり、前記接続部は、前記支持面と前記第二フランジとを略同一平面上に位置させる形状であることにある。
【0006】
上記構成によれば、充填材に支持面で当接してこの充填材を支持する支持面部は、スタッドの第二フランジに接する接触面部に立設した突部と接続部により接続されている。また、接触面部の側部には、スタッドを挟持する挟持部が設けられている。そして、接続部は、支持面と第二フランジとを略同一平面上に位置させる形状である。これにより、支持面に荷重が生じた場合、接触面部における突部の立設部分が支点となり、一対の挟持部に力が作用する。ここで、突部は、接触面部の側部から離隔してあるので、挟持部は支点から離隔することとなる。よって、挟持部に支持面に生じた荷重による力が作用しにくくなり、保持具はスタッドから外れ難く、充填材を保持することが可能となる。
【0007】
上記構成において、前記突部は、互いに離隔して一対設けられているとよい。これにより、一対の突部が互いに独立して作用するので、負荷が1カ所に集中することもなく、充填材の保持の安定性も向上する。
【0008】
また、前記一対の挟持部は、前記接触面部に対し鋭角に設けられているとよい。これにより、一対の挟持部を押し広げてスタッドに装着することになるので、装着後の一対の挟持部の弾性により、スタッドをより強固に挟持でき、充填材の保持力も向上する。
【0009】
上記いずれかの特徴構成において、前記スタッドは、前記第二フランジの端部にリップ部を有し、前記一対の挟持部の少なくとも一方には、前記リップ部に掛合する掛合部が設けられているとよい。
【0010】
一方、上記いずれかの特徴構成において、前記スタッドは、前記第一フランジ及び前記第二フランジに直交するウェブを有し、前記ウェブは、その外面に段差部を有し、前記一対の挟持部の少なくとも一方には、前記段差部に掛合する掛合部が設けられていても構わない。また、前記スタッドは、角筒形状を呈するものであってもよい。
【0011】
上記いずれかの特徴構成において、合成樹脂より一体成型されるとよい。これにより、保持具自体に適度な可撓性を付与できるので、作業性を向上させ且つ装着後に保持具の脱落も抑制できる。係る場合、前記合成樹脂は、ポリアセタール樹脂であるとよい。当該樹脂であれば、適度な強度及び弾性を付与することができる。
【0012】
また、これらの特徴構成において、周囲よりも肉厚に形成した拡大部が複数箇所に設けられているとよい。この拡大部が成型時の突き出し用ピンの当接部分となり、成型作業を効率よく行うことができる。
【0013】
係る場合、前記拡大部の少なくとも1つは、前記接続部の前記突部近傍に位置し、その拡大部の前記支持面部側には、前記接続部を破断可能にする破断容易部が隣接して設けられているとよい。これにより、破断可能部により接続部を破断することで一方の支持面部を除去して、例えば間仕切壁の端部に位置するスタッドに装着することも可能となる。しかも、破断時に拡大部が補強部となり、他の部分が破断することなく、簡単に破断でき作業性もよい。
【0014】
上記いずれかの特徴構成において、前記接続部は、前記接触面部に平行な平面部と、前記平面部から延在し前記支持面部に接続される傾斜面部とを有するとよい。これにより、支持面部と突部との接続経路を短くでき、製作コストを抑えることができる。
【0015】
上記いずれかの特徴構成において、前記接触面部の幅方向中心に対し線対称であるとよい。これにより、左右対称形状となるので、スタッドに装着する際に保持具の向きを考慮する必要がなくなり、作業性(施工性)がよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る間仕切壁の特徴は、ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた構成において、上記特徴構成のいずれかに記載の保持具が、前記スタッドのフランジに装着され、前記充填材が、前記スタッドの間に充填され、前記面材が、前記スタッドの他方のフランジに固定されたことにある。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る間仕切壁の施工方法の特徴は、ランナーに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッドと、前記スタッドに固定される面材と、前記面材の裏面側に充填される充填材とを備えた間仕切壁の施工方法において、上記特徴構成のいずれかに記載の保持具を前記スタッドのフランジに装着し、前記充填材を前記スタッドの間に充填し、前記面材を前記スタッドの他方のフランジに固定することにある。
【発明の効果】
【0018】
上記本発明に係る保持具並びにこれを用いた間仕切壁及び間仕切壁の施工方法の特徴によれば、施工時及び施工後に充填材を間仕切壁内部に保持可能となった。
【0019】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る保持具が用いられる間仕切壁の斜視図である。
【
図9】保持具の装着状態を説明する説明図であり、(a)は本発明、(b)は比較例を示す。
【
図10】他の実施形態に係る保持具の斜視図である。
【
図12】さらに他の実施形態に係る保持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、
図1~9を参照しながら、本発明の第一実施形態についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る保持具1は、
図1,2に例示するように、上下ランナー101a,101bに嵌入され適宜間隔をおいて配設されるスタッド110と、スタッド110に固定される面材102と、面材102の裏面側に充填される充填材103とを備えた間仕切壁100に用いられる。
【0022】
この間仕切壁100は所謂片面壁であり、一方の面(側)は例えば建物のエレベーターシャフトや階段等を構成する竪穴空間S1(室外空間)に接し、他方の面(側)は室内空間S2に接する。この室内空間S2に接する面にのみ壁(面材102)が構築される。本発明に係る保持具1は、このような片側(片面)施工において、スタッド110に装着され、スタッド110間に充填された充填材103の姿勢を保持する。
【0023】
なお、本実施形態では、面材102を2枚の板材102a,102bにより構成しているが、1枚で構成しても構わない。また、面材102としては、例えば合板や石膏ボード等の壁を構築し得る板状(面状)部材であれば、特に限定されない。また、充填材103としては、シート状や袋状を呈し、グラスウール、ロックウール、セラミック繊維等の吸音材や断熱材等、間仕切壁100内に充填されるものであれば、特に限定されるものではない。
【0024】
本実施形態において、スタッド110は、
図2,3に示すように、ウェブ111と、ウェブ111の両端から直交方向に延在すると共に互いに対向する第一、第二フランジ112,113よりなる。第一、第二フランジ112,113の端部には、略半円状のリップ部114が形成されている。第一フランジ112には、面材102が固定される。また、ウェブ111には、段差部115が設けられている。
【0025】
保持具1は、
図2~8に示すように、大略、間仕切壁100内部で充填材103を支持する支持面部2と、第二フランジ113に接する接触面部3と、スタッド110を挟持する一対の挟持部4,4と、接触面部3に立設される突部5と、支持面部2と突部5とを接続する接続部6と、周囲よりも肉厚に形成した拡大部7を備える。
【0026】
本実施形態において、保持具1の各部分2~6は板状を呈し、合成樹脂により一体成型されている。これにより、保持具1全体に適度な弾性が付与されるので、保持具1を撓ませて装着でき、作業性がよく、装着(嵌合)後に脱落しにくく充填材103の姿勢を強固に維持できる。ここで、合成樹脂としては、例えばポリアセタール樹脂が用いられる。ポリアセタール樹脂は、適度な剛性(強度)及び弾性を有するので、作業性と保持力の双方を向上させることができる。但し、ポリアセタール樹脂に限定されるものではなく、例えばABS樹脂やPP樹脂等であってもよい。
【0027】
支持面部2は、
図2~8に示すように、充填材103に当接して支持する略平坦な支持面20を有する。この支持面20は、後述する接続部6により、第二フランジ113と略同一平面C上に位置するように配置される。
【0028】
接触面部3は、
図2~8に示すように、面材102が固定される第一フランジ112に対向する第二フランジ113に接する面状の本体部30を有する。この本体部30の外面31には、後述する突部5が一対設けられている。
【0029】
挟持部4は、
図2~8に示すように、接触面部3の両側部32,32から面材102に向けて延在し、板状を呈する本体部40を備える。この挟持部4は一対設けられており、一対の挟持部4,4でスタッド110を挟持する。この本体部40は、接触面部3の本体部30との角度θが鋭角に設けられている。また、本体部40の先端には、リップ部114及び段差部115にそれぞれ掛合する掛合部41が設けられている。対向する掛合部41,41の幅W1は、スタッド110の幅W2より小さい。よって、一対の挟持部4,4を押し広げて第二フランジ113に装着することとなり、嵌合後の一対の挟持部4,4の弾性によって挟持(嵌合)がより強固となる。
【0030】
突部5は、
図2~8に示すように、接触面部3の外面31から外方(室外空間S1側)へ向けて略直角に立設されてある。この突部5は、接触面部3の側部32から離隔させ、本体部30の幅方向中心N側に位置させてある。
【0031】
ここで、本実施形態において、突部5は、互いに離隔させて一対設けてある。一方で、例えば、1つの突部5に接続部6をそれぞれ左右に設ける態様(略T字状)が考えられる。しかし、この態様の場合、左右一対の支持面部2,2に生じた荷重が1カ所に集中し、破損する可能性がある。また、一方の支持面部2に生じた荷重が、他方の支持面部2や他方側の挟持部4に影響しやすくなり、安定性に欠ける。本実施形態の如く、一対の突部5,5を適宜間隔をおいて設けることで、互いの突部5が独立して荷重を負担することができ、負荷の集中を分散し且つ充填材103の保持の安定性も向上する。
【0032】
接続部6は、支持面部2の支持面20と突部5の端部51とを接続する。本実施形態において、接続部6は、接触面部3の本体部30に平行な平面部61と、この平面部61から延在し支持面部2の支持面20に接続される傾斜面部62とを有する。
【0033】
本実施形態において、拡大部7は、
図3~8に示すように、支持面部2の外側端部21と、支持面20の接続部6側の部分と、平面部61における突部5の端部51側近傍部分にそれぞれ形成されている。この拡大部7は、保持具1を合成樹脂で一体成型(射出成型)の際の押しピンが当接する部分として機能する。
【0034】
この拡大部7の内、平面部61の突部5の端部51側近傍部分に形成された第三拡大部73の支持面部2側には、接続部6の平面部61を破断可能にする破断容易部8が隣接して設けられている。第三拡大部73及び破断容易部8は、本体部30に対向する位置に設けられている。よって、
図2に破線で示すように、破断容易部8で接続部6を破断させる(折る)ことで、スタッド110の配列方向の一方にスペースがない場合であっても、保持具1をスタッド110に装着できる。しかも、周囲よりも肉厚に形成した拡大部7に隣接して破断容易部8を設けてあるので、簡単に破断することができ、作業性もよい。なお、破断容易部8としては、例えばノッチが挙げられるが、特に形状や態様は限定されない。
【0035】
本実施形態において、保持具1は、接触面部3の幅方向中心Nに対し線対称に形成されてある。すなわち、上述した各部位2~8は、幅方向中心Nに対し左右一対設けられている。保持具1を左右対称形状とすることで、保持具1を装着(嵌合)する際に、保持具1の向きを考慮する必要がなくなり、作業性がよい。なお、側面図は同一に表れる。
【0036】
ここで、
図9を参照しながら、保持具1の装着状態について説明する。
図9(b)に、本発明に係る保持具1の比較例としての保持具1’を示す。この保持具1’は、上述の突部5及び接続部6を備えておらず、接触面部3’を水平方向に延在させて支持面部2’を形成してある。接触面部3’の側部32’に挟持部4’を設けてある。係る場合、支持面部2’に荷重Fが生じると、この側部32’が支点Pとなり、この支点Pを介して挟持部4’に荷重f’が作用するので、掛合部41’の掛合が簡単に外れてしまう。
【0037】
一方、
図9(a)に示す本発明に係る保持具1は、突部5が接触面部3の側部32から離隔し、幅方向中心N側に立設させてある。そして、突部5の端部51と支持面部2とを接続部6を介して接続し、支持面20と第二フランジ113とを略同一平面C上に位置させてある。係る場合、支持面部2に外側に向けて荷重Fが生じると、突部5の立設部分52が支点Pとなる。そして、この支点P(立設部分52)は、接触面部3の側部32から離隔しており、その側部32に挟持部4が設けられている。これにより、荷重Fによって、支点Pを介して接触面部3に荷重f1が第二フランジ113の外方へ向けて作用すると共に、挟持部4にも側部32を介して同一方向に荷重f2が作用する。従って、掛合部41の掛合が外れ難く、充填材103を強固に保持できる。
【0038】
次に、間仕切壁100の片面施工について説明する。
上下ランナー101a,101bを設置すると共に、その上下ランナー101a,101bに嵌入され適宜間隔をおいてスタッド110を配設する。次に、スタッド110の第二フランジ113に保持具1を適宜間隔をおいて鉛直方向に取り付ける。そして、スタッド110の間に充填材103を充填していく。この際、上述したように、支持面部2に荷重Fが生じても、保持具1が脱落することはなく、充填作業をスムースに行うことができる。そして、スタッド110の第一フランジ112に面材102を取り付ける。
【0039】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上記第一実施形態において、保持具1を接触面部3の幅方向中心Nに対し線対称に形成した。しかし、保持具1は左右対称形状でなくても構わない。例えば、
図10,11の第二実施形態に示す如く、挟持部4Aの形状を異ならせた保持具1Aであってもよい。挟持部4Aは、接触面部3Aの第一側部32A1に設けられる平面状の第一挟持部4A1と、第二側部32A2に設けられる半円状の第二挟持部4A2とを備える。この第二挟持部4A2は、略半円状のリップ部114に沿う形状である。また、第一挟持部4A1の先端には、ウェブ111の段差部115に掛合する略直角の第一掛合部41A1が設けられている。他方、第二挟持部4A2の先端には、リップ部114の先端に掛合する第二掛合部41A2が設けられている。この挟持部4Aは、上述のスタッド110の形状に即して形成されてある。このように、挟持部4の形状は、装着するスタッド110の形状、大きさ等に合わせて適宜変更すればよい。なお、第二掛合部41A2には、外方に向けて突出する摘まみ部42Aが形成されている。これにより、着脱の操作性が向上し、作業性がよい。
【0040】
また、上記第一実施形態において、接続部6を平面部61と傾斜面部62とにより構成したが、この態様に限られるものではない。例えば、
図12,13の第三実施形態に示すように、接続部6Bは、上記実施形態と同様の第一平面部61Bと、第一平面部61B及び支持面部2Bにそれぞれ直交する第二平面部63Bとにより構成されている。このように、接続部6は、支持面20と第二フランジ113とを略同一平面C上に位置させる形状であれば、上記各実施形態の形状に限定されるものではない。なお、傾斜面部62の方が第二平面部63Bよりも接続経路を短くできるので、製造コストを抑えることができ、接触面部3及び挟持部4の変形量も抑制できる。
【0041】
上記第一実施形態において、スタッド110として、略半円状のリップ部114が形成された所謂リップ溝形鋼を例に説明した。しかし、スタッド110はこれに限られるものではなく、保持具1は
図14に示す如き各種形状のスタッド110A~Dに適用可能である。例えば、同図(a)のスタッド110Aは、略直角のリップ部114Aと、比較的なだらかな傾斜を有する段差部115Aとを有し、これらに掛合部41,41を掛合させる。また、同図(b)のスタッド110Bは、さらに形状が異なるリップ部114B及び段差部115Bとを有し、これらに掛合部41,41を掛合させる。同図(c)のスタッド110Cは、段差部115が省略されているが、リップ部114Cとウェブ111Cとを挟持する。さらに、同図(d)のスタッド110Dは、リップ溝形鋼ではなく、角筒形状を呈する。このスタッド110Dに対しても保持具1を適用することが可能である。同図に示すように、側面を挟持するようにしてもよく、さらに段差部115Dに掛合部41を掛合させるように挟持部4を調整してもよい。
【0042】
上記各実施形態において、支持面部2及び接続部6に拡大部7を断面円形の拡大部7を複数設けたが、拡大部7の形状、個数、位置は上記に限られるものではない。また、上記第一実施形態において破断容易部8を設けたが、第二、第三実施形態に示す如く、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:保持具、2:支持面部、3:接触面部、4:挟持部、5:突部、6:接続部、7:拡大部、8:破断容易部、20:支持面、21:外側端部、30:本体部、31:外面、32:側部、40:本体部、41:掛合部、51:端部、52:立設部分、61:平面部、62:傾斜面部、71~73:第一~第三拡大部、100:間仕切壁(片面壁)、102:面材、103:充填材、110:スタッド、111:ウェブ、112:第一フランジ、113:第二フランジ、114:リップ部、115:段差部、N:幅方向中心