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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20220203BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220203BHJP
   B41J 11/58 20060101ALI20220203BHJP
   B41J 15/00 20060101ALI20220203BHJP
   B41J 3/36 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
B41J29/00 E
B41J29/38 601
B41J11/58
B41J15/00
B41J3/36 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020562027
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2018047941
(87)【国際公開番号】W WO2020136773
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 岳志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘勝
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-000953(JP,A)
【文献】特開2014-063476(JP,A)
【文献】特開2013-256069(JP,A)
【文献】特開2018-183929(JP,A)
【文献】特開2015-141704(JP,A)
【文献】特開2002-002026(JP,A)
【文献】特開2010-173709(JP,A)
【文献】特開2004-082348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0194588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 11/58
B41J 15/00
B41J 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の媒体を有する第1の印字媒体から前記媒体を供給する第1の印字媒体専用の第1の媒体供給装置と、前記媒体と、前記媒体の長手方向に間隔をあけて設けられた複数の無線通信素子と、を有する第2の印字媒体から前記媒体を供給する第2の印字媒体専用の第2の媒体供給装置と、を含む複数種類の媒体供給装置のうちのいずれか1つの媒体供給装置と、
前記いずれか1つの媒体供給装置から供給された前記媒体に印字する印字部を有する印字装置と、を備え、
前記複数種類の媒体供給装置は、前記印字装置に接続される共通の接続部をそれぞれ有し、
前記印字装置は、前記複数種類の媒体供給装置の各々の前記共通の接続部を選択的に接続可能なコネクタ部を有し、
前記第2の媒体供給装置は、前記無線通信素子と通信する無線通信部と、前記無線通信部を前記印字装置と電気的に接続する端子部と、を有する、プリンタ。
【請求項2】
前記第2の媒体供給装置から前記印字装置へ前記第2の印字媒体を搬送する搬送方向において、前記媒体の搬送を停止させて前記無線通信部が前記無線通信素子と通信する通信位置と、前記印字部が前記媒体に印字を開始する印字開始位置との間の距離は、前記搬送方向における前記媒体の前端と、前記搬送方向における前記無線通信素子の中心との間の距離と同等である、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第2の媒体供給装置は、前記第2の印字媒体から引き出された前記媒体が通過する搬送路を有し、前記無線通信部が、前記搬送路の近傍に配置されている、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第2の媒体供給装置の前記端子部は、前記共通の接続部に設けられている、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記複数種類の媒体供給装置は、折り畳まれた前記媒体を有する第3の印字媒体から前記媒体を供給する第3の印字媒体専用の第3の媒体供給装置を含む、
請求項1に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identifier)タグが設けられた長尺紙に印字を行うプリンタが知られている。この種のプリンタは、長尺紙に印字する印字部と、個々の長尺紙のRFIDタグと通信を行う無線通信部と、を備える。このようなプリンタは、例えば、空港の航空会社のサービスカウンタ等に設けられて、荷物に付けられるバッゲージタグを発行するために用いられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-168154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッゲージタグとして用いられるRFID付きの長尺紙は、印字されるラベルが剥離紙(台紙)上に設けられており、長尺紙の長手方向に沿って複数のラベルが分離可能に配列されている。各ラベルには、ラベルの長手方向における所定の位置にRFIDタグが配置されており、長尺紙が、各ラベルを含む部分で分離されて1つのバッケージタグとして用いられる。1つのバッケージタグに相当する1つの長尺紙の前端と、RFIDタグの中心との間の距離は、国際規格で定められている(図4参照)。関連技術のプリンタにおける無線通信部と印字部の配置では、無線通信部による通信位置と、印字部による印字開始位置との間の距離が、1つの長尺紙の前端と、RFIDタグの中心との間の距離よりも、例えば、10[mm]以上小さい。このため、通信位置でRFIDタグに情報を送信した後、長尺紙に印字する際に、長尺紙を搬送方向の逆方向へ印字開始位置まで戻すことにより、通信及び印字を行うための処理速度の低下を招く問題がある。
【0005】
図7は、関連技術のプリンタにおける課題を説明するための透視側面図である。上述の対策として、図7に示すように、通信位置P101と印字開始位置P102との間の距離が、1つの長尺紙103aにおける前端とRFIDタグの中心との間の距離と等しくなるように無線通信部131及び印字部121を配置することが考えられる。この場合、RFIDタグに情報を送信した後、長尺紙103aを戻すことなく印字開始位置P102で印字を行うことが可能になり、処理速度を高めることができる。しかしながら、この場合には、無線通信部131と印字部121との間の距離を大きく確保することで、プリンタ101の大型化を招いてしまう不都合がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、無線通信素子を有する印字媒体に対して通信及び印字を行う処理速度を高めると共に、印字装置の大型化を抑えることができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するプリンタの一態様は、長尺状の媒体を有する第1の印字媒体から前記媒体を供給する第1の印字媒体専用の第1の媒体供給装置と、前記媒体と、前記媒体の長手方向に間隔をあけて設けられた複数の無線通信素子と、を有する第2の印字媒体から前記媒体を供給する第2の印字媒体専用の第2の媒体供給装置と、を含む複数種類の媒体供給装置のうちのいずれか1つの媒体供給装置と、前記いずれか1つの媒体供給装置から供給された前記媒体に印字する印字部を有する印字装置と、を備え、前記複数種類の媒体供給装置は、前記印字装置に接続される共通の接続部をそれぞれ有し、前記印字装置は、前記複数種類の媒体供給装置の各々の前記共通の接続部を選択的に接続可能なコネクタ部を有し、前記第2の媒体供給装置は、前記無線通信素子と通信する無線通信部と、前記無線通信部を前記印字装置と電気的に接続する端子部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するプリンタの一態様によれば、無線通信素子を有する印字媒体に対して通信及び印字を行う処理速度を高めると共に、印字装置の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、第1の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。
図1B図1Bは、第2の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。
図1C図1Cは、第3の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。
図2A図2Aは、実施例のプリンタにおける第1の給紙装置を示す斜視図である。
図2B図2Bは、実施例のプリンタにおける第2の給紙装置を示す斜視図である。
図2C図2Cは、実施例のプリンタにおける第3の給紙装置を示す斜視図である。
図3図3は、実施例のプリンタにおける印字装置を示す斜視図である。
図4図4は、実施例における第2の給紙装置が支持するRFID付きロール紙を示す平面図である。
図5図5は、実施例における第2の給紙装置を示す平面図である。
図6図6は、実施例のプリンタの要部を説明するための透視側面図である。
図7図7は、関連技術のプリンタにおける課題を説明するための透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示するプリンタの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示するプリンタが限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(プリンタの構成)
図1Aは、第1の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。図1Bは、第2の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。図1Cは、第3の給紙装置を備える実施例のプリンタを示す斜視図である。
【0012】
図1A図1B及び図1Cに示すように、実施例のプリンタ1は、複数種類の給紙装置である第1の給紙装置5A、第2の給紙装置5B及び第3の給紙装置5Cと、第1の給紙装置5A、第2の給紙装置5B及び第3の給紙装置5Cのいずれか1つの給紙装置に選択的に接続される印字装置6と、を備える。図1において、プリンタ1の奥行方向をX方向、プリンタ1の幅方向をY方向、プリンタ1の高さ方向をZ方向とする。図1以降においても、図1と同様に、第1、第2及び第3の給紙装置5A、5B、5CについてX、Y、Z方向を示す。
【0013】
本実施例のプリンタ1は、例えば、空港において荷物に付けられるバッゲージタグや、搭乗者の航空機の便名、座席番号などが記録された搭乗券を発行するために用いられるプリンタである。ユーザは、所望のバッケージタグまたは搭乗券を発行するために、異なる印字媒体をそれぞれ供給する第1、第2及び第3の給紙装置5A、5B、5Cのいずれかを選択し、印字装置6と組み合わせて用いる。このため、必要に応じて、印字装置6に接続する給紙装置を変更することにより、複数種類の印字媒体を用いることが可能とされている。なお、本実施例のプリンタ1は、バッケージタグや搭乗券の発行する用途に限定されるものではなく、各種の荷札、値札等のタグ、帳票等を作成するために適用されてよい。また、本実施例において印字とは、文字を記録することに限定されず、画像を記録することを含めて印字と称する。
【0014】
(複数種類の給紙装置の構成)
図2Aは、実施例のプリンタ1における第1の給紙装置5Aを示す斜視図である。図2Bは、実施例のプリンタ1における第2の給紙装置5Bを示す斜視図である。図2Cは、実施例のプリンタ1における第3の給紙装置5Cを示す斜視図である。第1の給紙装置5A、第2の給紙装置5B及び第3の給紙装置5Cにおいて、同一の構成部材には同一符号を付けて示す。
【0015】
図1A及び図2Aに示すように、第1の給紙装置5Aは、第1の印字媒体としてのロール紙3Aが載置される載置部10を有する。ロール紙3Aは、長尺状の媒体としての長尺紙3aと、長尺紙3aが巻かれた芯3bと、を有する。ロール紙3Aは、ロール紙3Aの幅方向(Y方向)の寸法が狭い、いわゆるテープ状の長尺紙3aが芯3bに巻かれたものである。長尺紙3aは、剥離紙上にラベルが重ねられたラベル紙である。
【0016】
第1の給紙装置5Aは、載置部10に載置されたロール紙3Aの外周を回転可能に支持する一組の支持ローラ11A、11Bを有し、ロール紙3Aから引き出された長尺紙3aを、印字装置6へ供給する。また、第1の給紙装置5Aには、載置部10に載置されたロール紙3Aから引き出された長尺紙3aを、印字装置6へ案内するガイドローラ13が設けられている。
【0017】
図1B及び図2Bに示すように、第2の給紙装置5Bは、第2の印字媒体としてのRFID付きロール紙3Bが載置される載置部10を有する。RFID付きロール紙3Bは、芯3bに巻かれた長尺紙3aと、長尺紙3aの長手方向において間隔をあけて設けられた複数の無線通信素子としての複数のRFIDタグ4と、を有する。RFID付きロール紙3Bも、ロール紙3Aと同様に、いわゆるテープ状の長尺紙3aが芯3bに巻かれたものであり、長尺紙3aが、剥離紙3a2上にラベル3a1が重ねられたラベル紙である(図4参照)。
【0018】
第2の給紙装置5Bは、第1の給紙装置5Aと同様に、載置部10に載置されたRFID付きロール紙3Bの外周を回転可能に支持する一組の支持ローラ11A、11Bを有しており、RFID付きロール紙3Bから引き出された長尺紙3aを、印字装置6へ供給する。また、第1の給紙装置5Aと同様に、第2の給紙装置5Bには、載置部10に載置されたロール紙3Aから引き出された長尺紙3aを、印字装置6へ案内するガイドローラ13が設けられている。
【0019】
第2の給紙装置5Bの要部、及びRFID付きロール紙3Bの要部については後述する。
【0020】
図1C及び図2Cに示すように、第3の給紙装置5Cは、第3の印字媒体としての連続紙3Cが載置される載置部10を有する。連続紙3Cは、長尺紙3aが長手方向においてジグザグに折り畳まれた、いわゆるファンフォールド紙である。第3の給紙装置5Cは、連続紙3Cから引き出された長尺紙3aを、印字装置6へ供給する。
【0021】
以上のように構成された第1の給紙装置5A、第2の給紙装置5B及び第3の給紙装置5Cは、図2A図2B及び図2Cに示すように、印字装置6が有する後述の搬送路23aに接続される給紙口15と、印字装置6と接続される共通の共通接続部16と、を有する。共通接続部16は、第1の給紙装置5A、第2の給紙装置5B及び第3の給紙装置5Cで共通するように同一形状で同一位置に設けられている。共通接続部16は、給紙口15の下方に配置されており、印字装置6側へ向かって突出されている。
【0022】
なお、本実施例では、ロール紙3A及びRFID付きロール紙3Bとして、長尺紙3aが芯3bに巻かれたものが用いられるが、芯3bを有するものに限定されず、芯3bを有していないものが用いられてもよい。
【0023】
(印字装置の構成)
図3は、実施例のプリンタ1における印字装置6を示す斜視図である。説明の便宜上、印字装置6について、後述する図6も参照して説明する。図3及び図6に示すように、印字装置6は、長尺紙3aのラベル3a1に印字する印字部21と、長尺紙3aをラベル3a1毎に切断するカッタ部22と、長尺紙3aを搬送路23aに沿って搬送する搬送機構23と、印字部21、カッタ部22及び搬送機構23等を制御する制御回路24と、を備える。
【0024】
また、印字装置6は、第1、第2及び第3の給紙装置5A、5B、5Cの給紙口15と接続される連結口26と、カッタ部22で切断された長尺紙3aが排出される排紙口27と、第1、第2及び第3の給紙装置5A、5B、5Cの共通接続部16がそれぞれ接続されるコネクタ部28と、を有する。
【0025】
図6に示すように、印字部21は、サーマルヘッド21aと、サーマルヘッド21aとの間に長尺紙3aを挟んで送るプラテンローラ21bと、を有する。カッタ部22は、搬送路23aにおける印字部21の下流側に配置されており、ラベル3a1の後端を切断するカッタ22aを有する。カッタ部22は、1つのバッケージタグとして分離される各長尺紙3a(ラベル3a1)の間に切り込みを形成することで、排紙口27から各長尺紙3aが排出されたときに、長尺紙3a毎に手でもぎ取ることを可能にする。搬送機構23は、一組の搬送ローラ29を有しており、一組の搬送ローラ29が、排紙口27の近傍に配置されている。コネクタ部28は、共通接続部16に設けられており、第2の給紙装置5Bが有する後述の端子部32と電気的に接続されるコネクタ28aを有する。コネクタ28aは、制御回路24と電気的に接続されており、制御回路24が、コネクタ28aを介して、第2の給紙装置5Bを制御する。
【0026】
また、印字装置6は、連結口26から取り込まれた長尺紙3aを検知する第1の位置センサS1と、印字部21を通過する長尺紙3aを検知する第2の位置センサS2と、排紙口27から排出される長尺紙3aを検知する第3の位置センサS3と、を有する。第1の位置センサS1は、連結口26と印字部21のサーマルヘッド21aとの間の搬送路23aに配置され、連結口26から取り込まれた長尺紙3aを検知可能である。第2の位置センサS2は、印字部21と排紙口27との間の搬送路23aに配置され、印字部21を通過する長尺紙3aの後端を検知可能である。第3の位置センサS3は、搬送路23aにおける排紙口27の近傍に配置され、排紙口27から排出される長尺紙3aの後端を検知可能である。各位置センサS1、S2、S3としては、光センサが用いられており、制御回路24と各位置センサS1、S2、S3が電気的に接続されている。また、各位置センサS1、S2、S3は、長尺紙3aを検知する位置が限定されるものではなく、各種の搬送動作に応じて長尺紙3aの前端または後端を検出するように検出位置が切り換えられてもよい。
【0027】
なお、プリンタ1は、制御回路24によって、例えば、コネクタ部28に共通接続部16が接続された給紙装置との情報の送受信を行うことにより、制御回路24が給紙装置の種別を識別するように構成されてもよい。
【0028】
以下、本開示の特徴に関連する、RFID付きロール紙3B、及び第2の給紙装置5Bの詳細について説明する。
【0029】
(RFID付きロール紙の構成)
図4は、実施例における第2の給紙装置5Bが支持するRFID付きロール紙3Bを示す平面図である。図4に示すように、RFID付きロール紙3Bの長尺紙3aは、印字されるラベル3a1と、ラベル3a1が設けられた剥離紙3a2と、を有しており、長尺紙3aの長手方向に沿って複数のラベル3a1が分割可能に配列されている。1つのラベル3a1の長辺及び短辺は、個々に切断される剥離紙3a2の外形寸法よりもそれぞれ小さく形成されている。各ラベル3a1には、ラベル3a1の長手方向における所定の位置にRFIDタグ4が配置されている。RFIDタグ4は、情報を記憶する半導体チップ4aと、情報を送受信するためのRFアンテナ4bと、を有する。
【0030】
長尺紙3aが紙片として切断される部分、すなわち、1つのラベル3a1を含む1つのバッケージタグにおいて、長尺紙3aの搬送方向における剥離紙3a2の前端と、RFIDタグ4の中心Oとの間の距離は、国際規格によって121[mm]に定められている。また、1つのバッケージタグの一例としては、1つのラベル3a1が設けられた剥離紙3a2の全長が500[mm]程度に形成されるが、パッケージタグの全長が限定されるものではない。また、剥離紙3a2の前端とラベル3a1の前端との間の距離、剥離紙3a2の後端とラベル3a1の後端との間の距離は、1.5[mm]程度にそれぞれ形成されている。
【0031】
(第2の給紙装置の要部)
図5は、実施例における第2の給紙装置5Bを示す平面図である。図6は、実施例のプリンタ1の要部を説明するための透視側面図である。図5及び図6に示すように、第2の給紙装置5Bは、長尺紙3aを案内するガイドローラ13である第1のガイドローラ13A及び第2のガイドローラ13Bと、ロール紙3から引き出された長尺紙3aを、第1のガイドローラ13Aから第2のガイドローラ13Bへ送る搬送路30と、を有する。そして、第2の給紙装置5Bは、RFIDタグ4と通信を行う無線通信部としてのRFIDリーダライタ31を有する。
【0032】
RFIDリーダライタ31は、RFIDタグ4と情報を送受信するための送受信回路31a及びRFアンテナ31bを有する。RFアンテナ31bは、送受信回路31aと接続されており、RFID付きロール紙3Bから引き出された長尺紙3aのRFIDタグ4が通過する搬送路30の近傍に配置されている。RFアンテナ31bは、搬送路30の近傍として、例えば、第2のガイドローラ13Bに対向する位置に設けられている。
【0033】
RFIDリーダライタ31は、長尺紙3aのラベル3a1に印字する印字情報を含むID情報を、RFIDタグ4に送信する。また、RFアンテナ31bは、電波シールドが施されており、RFIDリーダライタ31がRFIDタグ4と通信を行うときに、RFID付きロール紙3Bに巻かれた他のRFIDタグ4へ影響する電波が遮断されている。
【0034】
また、第2の給紙装置5Bが有する共通接続部16には、RFIDリーダライタ31を印字装置6のコネクタ部28と電気的に接続する端子部32が設けられている。端子部32は、RFIDリーダライタ31の送受信回路31aと電気的に接続されている。第2の給紙装置5Bの共通接続部16が、印字装置6のコネクタ部28に接続されることで、端子部32を介して、RFIDリーダライタ31が印字装置6の制御回路24と電気的に接続される。これにより、印字装置6の制御回路24は、第2の給紙装置5BのRFIDリーダライタ31を制御する。
【0035】
なお、第2の給紙装置5Bの端子部32は、共通接続部16とは独立して、例えば、第2の給紙装置5Bから配線コードによって延長されてもよく、USB(Universal Serial Bus)やUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)、SPI(Serial Peripheral Interface)などのインターフェイスが用いられてもよい。この場合、印字装置6は使用するインターフェイスに応じた端子が接続されるコネクタを有する。
【0036】
RFID付きロール紙3Bを用いてバッケージタグを発行する際、プリンタ1は、1つのバッケージタグに相当する1つの長尺紙3aの部分毎に、RFIDタグ4との通信を行った後、ラベル3a1に印字を行うことで、1つの長尺紙3aの部分をバッケージタグとして排出する。
【0037】
なお、本実施例では、RFIDリーダライタ31の送受信回路31a及びRFアンテナ31bが、第2の給紙装置5Bに設けられたが、RFアンテナ31bのみが第2の給紙装置5Bに設けられて、送受信回路31aが印字装置6側に設けられてもよい。
【0038】
(第2の給紙装置のRFIDリーダライタと、印字装置の印字部との相対位置)
図6に示すように、印字装置6に第2の給紙装置5Bが接続されたプリンタ1について説明する。第2の給紙装置5Bから印字装置6へRFID付きロール紙3Bを搬送する搬送方向(長尺紙3aの長手方向)において、長尺紙3aの搬送を停止させてRFIDリーダライタ31がRFIDタグ4と通信する通信位置P1と、印字部21のサーマルヘッド21aが長尺紙3aのラベル3a1に印字を開始する印字開始位置P2との間の距離は、長尺紙3aの搬送方向における長尺紙3aの前端と、長尺紙3aの搬送方向におけるRFIDタグ4の半導体チップ4aの中心Oとの間の距離と同等である。
【0039】
ここで、通信位置P1と印字開始位置P2との間の距離と、長尺紙3aの前端とRFIDタグ4の中心Oとの間の距離(121[mm])とが同等とは、同一であることが望ましい。しかし、例えば、長尺紙3aの取扱い時の必要等に応じて、通信位置P1と印字開始位置P2との間の距離が、長尺紙3aの前端とRFIDタグ4の中心との間の距離よりも、数[mm]程度、例えば、1[mm]程度だけ大きい場合も含む。この場合、RFIDタグ4との通信後、長尺紙3aを搬送方向へ1[mm]程度だけ送ることで、長尺紙3aのラベル3a1を印字開始位置P2へ搬送することができる。
【0040】
上述のように、実施例のプリンタ1は、通信位置P1と印字開始位置P2との間の距離を、1つのバッケージタグの国際規格である121[mm]と一致させることによって、印字開始位置P2と通信位置P1との間の距離が短いプリンタと比べて、RFIDタグ4との通信後に、長尺紙3aの搬送方向と逆方向へ長尺紙3aをラベル3a1の印字開始位置P2まで戻す必要がなくなる。このため、通信後に印字を行うために要する時間が短縮されるので、通信及び印字を行う処理速度が高められる。
【0041】
したがって、プリンタ1では、印字装置6に選択的に接続される第2の給紙装置5BにRFIDリーダライタ31を配置することで、通信位置P1と印字開始位置P2との間の距離を確保すると共に、印字装置6の大型化を抑えることが可能になる。
【0042】
また、RFIDタグ4を利用する場合に接続される第2の給紙装置5BにRFIDリーダライタ31が設けられたことにより、印字装置6側にRFIDリーダライタ31が配置される場合と比べて、RFIDタグ4を利用しないときに印字装置6と、第1の給紙装置5Aまたは第3の給紙装置5Cとが接続される場合においても、プリンタ1全体の大型化が抑えられる。
【0043】
また、RFIDタグ4を利用しないユーザは、RFIDタグ4を利用する必要が生じたときに、第2の給紙装置5Bを後付けで用いることが可能であり、印字装置にRFIDリーダライタを組み込む作業や、RFIDリーダライタを備える印字装置への交換が避けられるので、プリンタ1の拡張性が高められる。また、プリンタ1によれば、RFIDタグ4の利用にかかわらずに、複数種類の給紙装置に共通する印字装置6が使用されることで、プリンタ1の保守性が高められる。
【0044】
(第2の給紙装置を備えるプリンタの動作)
第2の給紙装置2Bが印字装置6に接続されたプリンタ1の動作について図6を参照して説明する。図6に示すように、プリンタ1は、第2の給紙装置55Bの給紙口15から供給された長尺紙3aの前端を位置センサS1によって検知し、長尺紙3aのRFIDタグ4の中心Oが通信位置P1と一致する位置まで搬送して長尺紙3aを停止させる。このとき、長尺紙3aのラベル3a1の前端は、印字部21のサーマルヘッド21aによる印字開始位置P2と一致する位置で停止されている。
【0045】
プリンタ1は、通信位置P1でRFIDタグ4との通信を行った後、印字部21のサーマルヘッド21aによって、印字開始位置P2から直ちにラベル3a1に印字を行いながら長尺紙3aを搬送する。プリンタ1は、カッタ部22によって、印字が行われたラベル3a1の後端を部分的に切断することで、他のラベル3a1と分離可能なラベル3a1を、バッケージタグとして排紙口27から排出する。
【0046】
また、プリンタ1の制御回路24は、RFIDリーダライタ31がRFIDタグ4に情報を送信したとき、RFIDリーダライタ31によってRFIDタグ4との通信が正常に行われたか否かを、RFIDタグ4に記憶された情報を受信することによって判断する。制御回路24は、例えば、RFIDリーダライタ31がRFIDタグ4と通信を複数回行った結果に基づいて、RFIDタグ4との通信が正常に行われたか否かを判断してもよい。
【0047】
制御回路24は、RFIDタグ4との通信が正常に行われたと判断した場合、RFIDタグ4に記憶されたID情報に含まれる印字情報を、印字部21によってラベル3a1に印字する。一方、制御回路24は、RFIDタグ4との通信を正常に行えないと判断した場合、印字部21によってラベル3a1に、例えば、「VOID」等の文字のみを印字して排出することで、通信を失敗した利用不可のラベル3a1であることをユーザへ通知する。この場合、プリンタ1は、通信を失敗したラベル3a1の代わりに、次に連続するラベル3a1を用いて所望のバッケージタグを発行する。
【0048】
第1の給紙装置5Aまたは第3の給紙装置5Cが印字装置6に接続されたプリンタ1の動作についても、RFIDタグ4との通信を行うための動作を除き、上述した動作と同様である。なお、プリンタ1は、長尺紙3aのRFIDタグ4の中心Oを通信位置P1に停止させた後、印字するときに長尺紙3aを1[mm]程度だけ搬送方向へ送り、印字開始位置P2でラベル3a1に印字を行うように、RFIDリーダライタ31及び印字部21が配置されてもよい。この場合であっても、ラベル3a1に印字する際にラベル3a1を搬送方向と逆方向へ戻すことが避けられるので、印字に要する時間が短縮される。
【0049】
(実施例の効果)
上述したように、実施例のプリンタ1は、共通接続部16をそれぞれ有する複数種類の各給紙装置5A、5B、5Cと、各給紙装置5A、5B、5Cの各々の共通接続部16を選択的に接続可能なコネクタ部28を有する印字装置6と、を備えて、第2の給紙装置5Bが、RFID付きロール紙3BのRFIDタグ4と通信するRFIDリーダライタ31と、RFIDリーダライタ31を印字装置6と電気的に接続する端子部32と、を有する。これにより、RFID付きロール紙3Bを用いる際、長尺紙3aにおけるRFIDタグ4の位置に関する国際規格に応じて、印字装置6と第2の供給装置5Bとを離すことで、印字装置6の大型化を避けながら、印字部21から離れた位置にRFIDリーダライタ31を容易に配置することが可能になる。このため、印字部21とRFIDリーダライタ31との間の距離を適正に確保することで、RFIDタグ4との通信を行った後に長尺紙3aに印字するときに、長尺紙3aを搬送方向と逆方向へ戻すことなく、印字を行うことが可能になる。その結果、RFIDタグ4との通信後に印字に要する時間を短縮し、通信及び印字を行う処理速度の高速化を図ると共に、印字装置6の大型化を抑えることができる。なお、本実施例は、バッゲージタグを発行する用途に限定されず、各種のタグの規格に応じて、印字部21とRFIDリーダライタ31との距離を容易に確保し、通信及び印字を行う処理速度の高速化を図ると共に、印字装置6の大型化を抑えることができる。
【0050】
加えて、プリンタ1によれば、RFIDタグ4を利用しないユーザが、RFIDタグ4を利用する必要が生じたときに、第2の給紙装置5Bを後付けで用いることが可能であり、プリンタ1の拡張性を高めることができる。また、プリンタ1によれば、RFIDタグ4の利用にかかわらずに、複数種類の給紙装置に共通する印字装置6が使用されることで、プリンタ1の保守性を高めることができる。
【0051】
また、実施例のプリンタ1において、RFIDリーダライタ31がRFIDタグ4と通信する通信位置P1と、印字部21のサーマルヘッド21aが長尺紙3aのラベル3a1に印字を開始する印字開始位置P2との間の距離が、長尺紙3aの搬送方向における長尺紙3aの前端と、長尺紙3aの搬送方向におけるRFIDタグ4の半導体チップ4aの中心Oとの間の距離と同等である。これにより、プリンタ1は、RFIDタグ4との通信後に、長尺紙3aを搬送方向と逆方向へ戻さずに迅速に印字を行うことが可能になり、通信と印字を行う処理速度を高速化することができる。
【0052】
また、実施例のプリンタ1における第2の給紙装置5BのRFIDリーダライタ31は、搬送路30の近傍に配置されている。これにより、RFIDリーダライタ31が、RFID付きロール紙3Bから引き出されたRFIDタグ4と通信するときに、RFID付きロール紙3Bに巻かれた他のRFIDタグ4へ電波が影響することを抑えられる。
【0053】
また、実施例のプリンタ1における第2の給紙装置5Bの端子部32は、共通接続部16に設けられている。これにより、印字装置6に第2の給紙装置5Bを共通接続部16によって接続することで、端子部32を介して、RFIDリーダライタ31を印字装置6の制御回路24に容易に接続することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンタ
3A ロール紙(第1の印字媒体)
3B RFID付きロール紙(第2の印字媒体)
3C 連続紙(第3の印字媒体)
3a 長尺紙(媒体)
3b 芯
4 RFIDタグ(無線通信素子)
5A 第1の給紙装置(第1の媒体供給装置)
5B 第2の給紙装置(第2の媒体供給装置)
5C 第3の給紙装置(第3の媒体供給装置)
6 印字装置
16 共通接続部(共通の接続部)
21 印字部
28 コネクタ部
30 搬送路
31 RFIDリーダライタ(無線通信部)
31a 送受信回路
31b RFアンテナ
32 端子部
O 中心
P1 通信位置
P2 印字開始位置
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7