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  • 特許-血中酸素飽和度測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】血中酸素飽和度測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
A61B5/1455
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184538
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021058408
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503382586
【氏名又は名称】長尾 嘉満
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 嘉満
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-118978(JP,A)
【文献】特表2011-505925(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181267(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3169873(JP,U)
【文献】特開2013-150660(JP,A)
【文献】国際公開第2013/094362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の血中酸素飽和度を測定する血中酸素飽和度測定装置であって、
測定対象となる前記動物に対して、互いに波長の異なる複数のレーザ光を照射する光源部と、
前記動物の少なくとも一部が配置される開放空間を前記光源部との間に挟むように配置される受光モジュールと、を備え、
前記受光モジュールは、
前記動物に対して非接触な状態で前記光源部に対して対向配置され、前記動物を透過した前記複数のレーザ光が進行する経路を囲う遮光性のカバーと、
前記経路を進行した前記複数のレーザ光を受光し、各前記レーザ光の強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、を有する
ことを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血中酸素飽和度測定装置において、
前記カバーは、前記経路に交差する部位に絞り孔が形成された容器状である
ことを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の血中酸素飽和度測定装置において、
前記受光モジュールは、前記経路中に配置され、かつ、前記経路を折り曲げる1以上のミラーをさらに有する
ことを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の血中酸素飽和度測定装置において、
前記カバーは、前記経路に沿って折り曲げられた筒形状を有する
ことを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の血中酸素飽和度測定装置において、
前記光検出部の受光面の反対側の面に対向する前記カバーの部位には、前記カバー内で散乱する光を逃がすための逃げ孔が形成されている
ことを特徴とする血中酸素飽和度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物を測定対象とする血中酸素飽和度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定光を利用して血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメータ等の装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このパルスオキシメータは、ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの間の波長に応じた吸光度の相違を利用して血中酸素飽和度を測定する装置であり、赤色光および赤外光のそれぞれを測定光として生体部位に照射すると共に、生体部位を透過した各測定光を検出する。
【0003】
上述したパルスオキシメータは、一般に、被検者の指や耳朶などの生体部位に装着されるプローブを備えている。このプローブは、被検者の生体部位を覆う筐体と、筐体内に互いに対向して設けられた発光素子(例えばLED)および受光素子(例えばダイオード)とを有している。発光素子から出射された測定光のうち、筐体内の生体部位を透過した測定光は、受光素子によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-150104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のパルスオキシメータでは、プローブの筐体が被検者の生体部位を覆いかつ発光素子および受光素子のそれぞれが生体部位に接触することによって、測定光以外の光が測定に影響することを防止し、測定精度を確保している。
しかし、人間以外の動物を測定対象とする場合、動物の大きさや動きによっては、生体部位を発光素子および受光素子のそれぞれに接触させ難く、正確な測定が困難である。また、動物の意図しない動きによってプローブを装着すること自体が困難な場合も考えられる。
【0006】
本発明は、動物の血中酸素飽和度を簡便に測定できる血中酸素飽和度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、動物の血中酸素飽和度を測定する血中酸素飽和度測定装置であって、測定対象となる前記動物に対して、互いに波長の異なる複数のレーザ光を照射する光源部と、前記動物の少なくとも一部が配置される開放空間を前記光源部との間に挟むように配置される受光モジュールと、を備え、前記受光モジュールは、前記動物を透過した前記複数のレーザ光が進行する経路を囲う遮光性のカバーと、前記経路を進行した前記複数のレーザ光を受光し、各前記レーザ光の強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明は、指向性を有するレーザ光を測定光として利用しているため、測定対象を透過したレーザ光が進行する経路を明確に設定でき、当該経路の周りをカバーによって囲うことができる。また、指向性を有するレーザ光は、経路に沿ってカバー内を進行する一方、レーザ光以外の光(例えば周囲環境の光)は、指向性を有さないため、カバーによって遮られる。すなわち、本発明では、レーザ光を光検出部に導くことを可能にしつつ、当該レーザ光以外の光が光検出部に入射することを抑制できる。その結果、生体部位を覆うような従来のプローブを用いず、開放空間に配置された測定対象に対して非接触な状態で、当該測定対象の血中酸素飽和度を測定できる。これにより、測定対象である動物の大きさや動きによって制限を受けずに、当該動物の血中酸素飽和度を簡便に測定することができる。
【0009】
本発明の血中酸素飽和度測定装置において、前記カバーは、前記経路に交差する部位に絞り孔が形成された容器状であることが好ましい。
本発明によれば、カバーは、レーザ光が通過する絞り孔以外、光の出入りを制限する程度に閉じられた密閉空間を形成できる。これにより、レーザ光以外の光がカバー内に侵入することを抑制でき、測定精度を向上できる。
【0010】
本発明の血中酸素飽和度測定装置において、前記受光モジュールは、前記経路中に配置され、かつ、前記経路を折り曲げる1以上のミラーをさらに有することが好ましい。
本発明では、仮にレーザ光以外の光がカバー内に侵入しても、ミラーに対して定まった角度で入射する光以外は、光検出器に到達するための経路から外れる。これにより、レーザ光以外の光が光検出器に入射することを抑制でき、測定精度を向上できる。
【0011】
本発明の血中酸素飽和度測定装置において、前記カバーは、前記経路に沿って折り曲げられた筒形状を有することが好ましい。
本発明では、ミラーに対して定まった角度で入射するレーザ光以外の光は、光検出器に到達する経路から外れ、カバーにより遮られる。これにより、レーザ光以外の光が光検出器に入射することを、より効果的に抑制できる。
【0012】
本発明の血中酸素飽和度測定装置において、前記光検出部の受光面の反対側の面に対向する前記カバーの部位には、前記カバー内で散乱する光を逃がすための逃げ孔が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、カバー内に侵入して散乱するレーザ光以外の光を、逃げ孔から逃がすことができる。これにより、レーザ光以外の光が光検出器に入射することを、より効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る血中酸素飽和度測定装置を示す模式図。
図2】本発明の第2施形態に係る血中酸素飽和度測定装置を示す模式図。
図3】前記第1実施形態の変形例に係る血中酸素飽和度測定装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る血中酸素飽和度測定装置1の全体構成を示す模式図である。血中酸素飽和度測定装置1は、測定対象Mの血中酸素飽和度を非接触で測定する装置であり、測定対象Mして、ペットなどの動物を想定している。
なお、血中酸素飽和度の一例としては、動脈血酸素飽和度(SpO)が挙げられる。
【0015】
図1に示すように、血中酸素飽和度測定装置1は、光源部2と、光源部2との間に開放空間9を挟んで配置される受光モジュール10と、受光モジュール10に接続された制御部6とを備えている。この開放空間9の広さは、特に限定されないが、測定対象Mである動物の少なくとも一部を配置可能な広さを有する。また、光源部2に対する受光モジュール10の相対位置は調整可能であってもよい。
【0016】
光源部2は、複数のレーザ光源を有しており、赤色レーザ光L1および近赤外レーザ光L2を同一方向に交互に出射可能に構成されている。赤色レーザ光L1のピーク波長は、例えば660nm付近であり、近赤外レーザ光L2のピーク波長は、例えば940nm付近である。光源部2から出射された赤色レーザ光L1および近赤外レーザ光L2は、それぞれ、開放空間9に配置された測定対象Mを透過し、受光モジュール10に到達する。
以下、赤色レーザ光L1および近赤外レーザ光L2を単にレーザ光L1,L2と称する場合がある。
【0017】
受光モジュール10は、測定対象Mを透過したレーザ光L1,L2が進行する経路P1を囲うカバー3と、カバー3内に設置されたミラー4および光検出部5とを有する。なお、本実施形態の経路P1は、光源部2によるレーザ光L1,L2の出射位置および出射方向、ならびに、ミラー4の配置によって設定される。
【0018】
カバー3は、遮光性を有する材料から構成されており、ミラー4および光検出部5を収容する容器状に形成されている。具体的には、カバー3は、筒体31と、筒体31の一端部311に設けられた第1蓋体32と、筒体31の他端部312に設けられた第2蓋体33とを有している。
【0019】
筒体31は、1か所で折り曲げられた筒形状を有する。具体的には、光源部2に対向しかつ光源部2によるレーザ光L1,L2の出射方向に沿って配置された第1筒部313と、第1筒部313の一端部に接続されかつ第1筒部313の軸方向に対して交差する方向(例えば直交方向)に沿って配置された第2筒部314とを有する。
【0020】
第1蓋体32は、筒体31の一端部311側(光源部2に対向する側)の開口を塞ぐように設けられている。この第1蓋体32のうちの経路P1に交差する部位には、カバー3の内外を連通する絞り孔321が形成されている。絞り孔321は、レーザ光L1,L2が通過するための最小限の大きさを有することが好ましい。
【0021】
第2蓋体33は、筒体31の他端部312側(光源部2に対向する側とは反対側)の開口を塞ぐように設けられている。筒体31の内側に面する第2蓋体33の面には、光検出部5が設けられている。また、第2蓋体33には、光検出部5と制御部6とを接続するコードを挿通させる孔が形成され、当該孔が封止材によって封止されていてもよい。また、第2蓋体33は、光検出部5が搭載された基板等であってもよい。
このようなカバー3は、レーザ光L1,L2が通過する絞り孔321以外、光の出入りを制限する程度に閉じられた密閉空間を形成する。
【0022】
ミラー4は、レーザ光L1,L2を反射可能な反射面41を有し、筒体31の屈折部分(第1筒部313と第2筒部314との連結部分)に設置されている。このミラー4は、絞り孔321を介してカバー3内に入射したレーザ光L1,L2を反射させることで、経路P1を90度折り曲げ、レーザ光L1,L2を光検出部5の受光面51に到達させる。
【0023】
光検出部5は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子を有しており、受光面51で受光したレーザ光L1,L2の強度に対応する光検出信号S1,S2を制御部6に出力する。この光検出部5は、レーザ光L1,L2の各ピーク波長(660nm,940nm)に良好な検出感度を有する。
【0024】
制御部6は、例えば演算部および記憶部を有しており、演算部が記憶部に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、各種機能を実施する。具体的には、制御部6は、光検出部5から出力される光検出信号S1,S2を取得し、当該光検出信号S1,S2に基づいた演算処理を行うことにより、測定対象Mの血中酸素飽和度を算出する。また、制御部6には、液晶ディスプレイ等の表示部11が接続されており、制御部6によって測定された血中酸素飽和度は、表示部11に表示される。
【0025】
なお、血中酸素飽和度については、例えばLambert-Beerの法則を用いることにより、測定対象Mである動物の血液中のヘモグロビン(酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビン)のモル吸光係数や、当該動物の脈波による光検出信号S1,S2の変化量などに基づいて算出できる。血中酸素飽和度の算出方法は公知であるため、その詳細についての説明は省略する。
【0026】
また、本実施形態では、光源部2がレーザ光L1,L2を時間的に交互に出射するため、光検出部5は、各レーザ光L1,L2の強度に対応する光検出信号S1,S2を交互に出力する。よって、本実施形態では、制御部6が光検出信号S1,S2を取得するタイミングは互いに異なるが、光源部2がレーザ光L1,L2を交互に出射する周期を測定対象Mである動物の脈波の周波数よりも十分に高くすることにより、光検出信号S1,S2の取得タイミングを同一とみなすことが可能である。
【0027】
以上に説明した本実施形態では、指向性を有するレーザ光L1,L2を測定光として利用しているため、測定対象Mを透過したレーザ光L1,L2が進行する経路P1を明確に設定でき、当該経路P1の周りをカバー3によって囲うことができる。また、指向性を有するレーザ光L1,L2は、経路P1に沿ってカバー3内を進行する一方、レーザ光L1,L2以外の光(例えば周囲環境の光)は、指向性を有さないため、カバー3によって遮られる。すなわち、本実施形態では、レーザ光L1,L2を光検出部5に導くことを可能にしつつ、レーザ光L1,L2以外の光が光検出部5に入射することを抑制できる。その結果、本実施形態の血中酸素飽和度測定装置1は、生体部位を覆うような従来のプローブを用いず、開放空間9に配置された測定対象Mに対して非接触な状態で、当該測定対象M血中酸素飽和度を測定することができる。これにより、測定対象Mである動物の大きさや動きによって制限を受けずに、当該動物の血中酸素飽和度を簡便に測定することができる。
【0028】
また、本実施形態において、カバー3は、経路P1に交差する部位に絞り孔321が形成された容器状であり、レーザ光L1,L2が通過する絞り孔321以外、光の出入りを制限する程度に閉じられた密閉空間を形成できる。これにより、レーザ光L1,L2以外の光がカバー3内に侵入することを抑制でき、測定精度を向上できる。
【0029】
また、本実施形態において、受光モジュール10は、経路P1中に配置され、かつ、経路P1を折り曲げるミラー4を有しており、カバー3は、経路P1に沿って折り曲げられた筒形状を有する。
このような本実施形態では、仮にレーザ光L1,L2以外の光がカバー3内に侵入しても、ミラー4に対して定まった角度で入射するレーザ光L1,L2以外の光は、光検出部5に到達する経路P1から外れ、カバー3によって遮られる。これにより、レーザ光L1,L2以外の光が光検出部5に入射することを抑制でき、測定精度を向上できる。
【0030】
なお、従来のパルスオキシメータは、人体へ照射する測定光としてLED等の光を使用している。これに対して、本実施形態の血中酸素飽和度測定装置1は、動物へ照射する測定光としてレーザ光を使用しており、これにより、上述した効果を実現可能にしている。
【0031】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。第2実施形態の血中酸素飽和度測定装置1Aは、図2に示すように、第1実施形態とは異なる構成の受光モジュール20を有すること以外、第1実施形態と同様の構成を有する。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
受光モジュール20は、第1実施形態と同様、光源部2との間に開放空間9を挟んで配置されている。光源部2に対する受光モジュール20の相対位置は調整可能であってもよい。光源部2から出射したレーザ光L1,L2は、開放空間9に配置された測定対象Mを透過し、受光モジュール20に到達する。
【0033】
具体的には、受光モジュール20は、測定対象Mを透過したレーザ光L1,L2が進行する経路P2を囲うカバー7と、カバー7内に設置された複数のミラー4A,4Bおよび光検出部8とを有する。なお、第2実施形態の経路P2は、光源部2によるレーザ光L1,L2の出射位置および出射方向、ならびに、ミラー4A,4Bの各配置によって設定される。
【0034】
カバー7は、遮光性を有する材料から構成されており、ミラー4A,4Bおよび光検出部8を収容する容器状に形成されている。具体的には、第2実施形態のカバー7は、直方体形状を有しており、任意の壁面が経路P2に交差して配置されている。このカバー7の経路P2に交差する部位には、カバー7の内外を連通する絞り孔71が形成されている。絞り孔321は、レーザ光L1,L2が通過するための最小限の大きさを有することが好ましい。
このようなカバー7は、絞り孔71以外、光の出入りを制限する程度に閉じられた密閉空間を形成する。
【0035】
ミラー4A,4Bは、レーザ光L1,L2を反射可能な反射面41A,41Bを有する。これらのミラー4A,4Bは、絞り孔71を介してカバー7内に入射したレーザ光L1,L2を反射させることで、経路P2をそれぞれ90度折り曲げ、レーザ光L1,L2を光検出部8の受光面81に到達させる。
【0036】
光検出部8は、第1実施形態と同様、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子を有しており、受光したレーザ光L1,L2の強度に対応する光検出信号S1,S2を制御部6に出力する。
この光検出部8は、カバー7内において絞り孔71から離れた位置に配置されており、受光面81がカバー7の絞り孔71側とは反対側を向いている。また、光検出部8は、受光面81の反対側の面である裏面82とカバー7との間に空間をあけて配置されている。
【0037】
このような第2実施形態において、カバー7には、逃げ孔72が形成されている。この逃げ孔72は、カバー7のうち光検出部8の裏面82に対向する部位に形成されている。逃げ孔72は、カバー7内の意図しない散乱光をカバー7の外側に逃がすという目的を果たすことができる範囲で小さく形成されることが好ましい。
また、カバー7の外側には、逃げ孔72に連通する筒状の遮光部材73が設けられており、周囲環境の光が逃げ孔72からカバー7内へ侵入することを防止している。
【0038】
以上の第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様、レーザ光L1,L2の経路P2をカバー7によって囲うことにより、レーザ光L1,L2を光検出部8に導くことを可能にしつつ、当該レーザ光L1,L2以外の光(例えば周囲環境の光)が光検出部8に入射することを抑制できる。その結果、開放空間9に配置された測定対象Mの血中酸素飽和度を非接触で測定することができる。これにより、測定対象Mである動物の大きさや動きによって制限を受けずに、測定対象Mの血中酸素飽和度を簡便に測定することができる。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様、ミラー4A,4Bや絞り孔71による効果を奏することができる。
【0039】
さらに、第2実施形態では、カバー7に逃げ孔72が形成されている。このため、意図せずにカバー7内に侵入した光が存在する場合、カバー7内で散乱する当該光を逃げ孔72からカバー7の外側に逃がすことができ、これにより測定精度をより向上できる。
【0040】
[変形例]
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0041】
前記各実施形態では、カバー3,7に絞り孔321,71が形成されているが、本発明はこれに限定されない。また、前記各実施形態では、カバー3,7内にミラー4,4A,4Bが設置されているが、本発明はこれに限られない。
例えば、図3は、前記第1実施系形態の変形例に係る受光モジュール10Aを示している。この受光モジュール10Aは、直線状の筒形状を有するカバー3Aを備えている。この変形例では、測定対象Mを透過したレーザ光L1,L2が、カバー3Aの一端部の開口からカバー3A内に入射し、カバー3A内を光検出部5まで直線的に進む。
ここで、カバー3Aが形成する筒の長さは、レーザ光L1,L2の減衰が問題にならない範囲内でより長く設計されることが好ましい。また、カバー3Aが形成する筒の内径は、レーザ光L1,L2が入射できる範囲内でより小さく設計されることが好ましい。
このような変形例においても、測定対象Mの血中酸素飽和度を非接触で測定することができる。
【0042】
その他、前記第1実施形態のカバー3の筒体31を2か所以上で折り曲げた形状にし、ミラー4を2つ以上設置してもよい。
また、前記第2実施形態のカバー7内に設置されるミラーの数は、特に限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0043】
前記第2実施形態で説明したカバー7の逃げ孔72は、前記第1実施形態のカバー3に形成されてもよい。例えば、光検出部5は、レーザ光L1,L2以外の光が光検出部5の裏面側に回り込み可能であるように配置され、カバー3の第2蓋体33に逃げ孔が形成されてもよい。
【0044】
前記各実施形態では、光源部2がレーザ光L1,L2を交互に出射し、光検出部5,8がレーザ光L1,L2の光強度に対応する光検出信号S1,S2を交互に出力するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、光検出部5,8がレーザ光L1,L2を個別に検出する複数の受光素子を有する場合、光源部2がレーザ光L1,L2を同時に出射し、各受光素子がレーザ光L1,L2の光強度に対応する光検出信号S1,S2をそれぞれ出力してもよい。この場合、各受光素子に対して、レーザ光L1,L2の各ピーク波長を選択的に透過させるフィルタが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1,1A…血中酸素飽和度測定装置、10,10A,20…受光モジュール、2…光源部、3,3A…カバー、31…筒体、311…一端部、312…他端部、313…第1筒部、314…第2筒部、32…第1蓋体、321…絞り孔、33…第2蓋体、4,4A,4B…ミラー、41,41A,41B…反射面、5…光検出部、51…受光面、6…制御部、7…カバー、71…絞り孔、72…逃げ孔、73…遮光部材、8…光検出部、81…受光面、82…裏面、9…開放空間、11…表示部、L1…赤色レーザ光、L2…近赤外レーザ光、M…測定対象、P1,P2…経路、S1,S2…光検出信号。
図1
図2
図3