(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2017164727
(22)【出願日】2017-08-29
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2016-0121500
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジュン-オ
(72)【発明者】
【氏名】キム、クァン-ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ミョン-フイ
(72)【発明者】
【氏名】ベク、ヨン-ホ
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-183663(JP,A)
【文献】特開2014-045164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬性(rigid)の絶縁層を備えた硬性基板部と、
前記硬性基板部に接続され、軟性(flexible)の絶縁層で形成された軟性基板部と、を含み、
前記軟性基板部は、
長手方向に沿って形成された第1軟性領域と、
前記第1軟性領域に連続して形成され、前記第1軟性領域よりもさらに軟性の材質で形成される第2軟性領域と、
を備え、前記第1軟性領域と前記第2軟性領域が接続する領域に境界面が形成され、
前記第1軟性領域の外層は、長手方向に沿って分節されて形成された複数のカバーレイ(cover lay)を含み、
前記第2軟性領域の外層は、前記複数のカバーレイとは異なるゴム材料から形成される弾性重合体層を含む、プリント回路基板。
【請求項2】
前記第1軟性領域は、長手方向に沿って複数の領域に分節され、
前記第2軟性領域は、前記分節された第1軟性領域の間を接続させる請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記軟性基板部は、
軟性の内部絶縁層と、前記軟性の内部絶縁層に形成された回路パターンとをさらに含む請求項
1または請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記第2軟性領域の外層は、EMI(Electro Magnetic Interference)遮蔽層をさらに含む請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記軟性基板部は、前記第2軟性領域で折り曲げられる構造である請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記軟性基板部は、
前記第2軟性領域で折り曲げられ、長手方向に角度が変わる屈曲を形成する請求項
5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第2軟性領域には、折り曲げられる部分を表示したマーキング(marking)部が形成された請求項
5または請求項
6に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記硬性基板部は、第1硬性基板領域及び第2硬性基板領域を含み、
前記軟性基板部は、前記第1硬性基板領域と前記第2硬性基板領域との間を接続させる請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
リジッドフレキシブル(rigid flexible)プリント回路基板は、軟性回路基板と硬性回路基板とが結合された構造を有し、それぞれのメリットである柔軟性及び表面実装の信頼性を共に備えることができる。
【0003】
しかし、軟性回路基板を用いるにもかかわらず、プリント回路基板を設置される配置形態のまま製造しなければならないので、製造上の歩留まりが高くないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第 2012-0021575号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、硬性(rigid)の絶縁層を備えた硬性基板部と、上記硬性基板部に接続され、曲げることが可能な軟性(flexible)の絶縁層で形成された軟性基板部とを含み、上記軟性基板部は、長手方向に沿って形成された第1軟性領域と、上記第1軟性領域に連続して形成され、上記第1軟性領域よりもさらに軟性の材質で形成される第2軟性領域とを備えるプリント回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の使用例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の他の使用例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の軟性基板部を形成する方法を例示する図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の軟性基板部を形成する方法を例示する図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るプリント回路基板におけるEMI遮蔽層を説明するための部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係るプリント回路基板の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これについての重複説明を省略する。
【0008】
また、本明細書において、第1、第2などの用語は、同一または相応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または相応する構成要素が第1、第2などの用語により限定されない。
【0009】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
図1は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す平面図であり、
図2は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す断面図である。
【0010】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るプリント回路基板は、硬性基板部及び軟性基板部Fを含み、軟性基板部Fは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとを備える。
【0011】
硬性基板部は、硬い材質の絶縁層10を備えることができる。そして、軟性基板部Fは、硬性基板部から突出して形成され、曲げることが可能な材質で形成されることができる。すなわち、本実施例のプリント回路基板は、リジッド‐フレックス構造のプリント回路基板(rigid flex PCB)の構造を有することができる。
【0012】
例えば、ポリイミド(polyimide)フィルム等の軟性の絶縁層及び銅箔(copper foil)で形成されたFCCL(Flexible Copper Clad Laminate)を積層し、曲げることの可能な軟性基板を形成して、軟性基板上に選択的に回路パターン及びエポキシ等の硬性の絶縁層(軟性の絶縁層に比べて硬性であることを意味する)15をさらに形成することにより、軟性基板よりも硬い硬性基板を形成することができる。これにより、軟性基板のみで形成されている部分は、曲げることが可能な軟性基板部Fとなり、その他は硬性基板部となるリジッド‐フレックス構造のプリント回路基板を形成することができる。ここで、軟性及び硬性とは、互いの相対的な差を示す意味であり、使用者の意図によって曲げることが可能な程度の強度を有する材質を軟性の材質といい、曲げることが可能ではないものを硬性の材質という。
【0013】
本実施例において硬性基板部は、2つの硬性基板領域、すなわち、第1硬性基板領域Ra及び第2硬性基板領域Rbを有し、軟性基板部Fは、第1硬性基板領域Raと第2硬性基板領域Rbとの間を接続する。これにより、硬性基板-軟性基板-硬性基板が連続して接続された構造を有することができる。
【0014】
本実施例のプリント回路基板において軟性基板部Fは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとで形成される。第2軟性領域F2a、F2bは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cよりもさらに軟性の材質で形成され、曲げることが可能だけでなく、折り曲げることも可能に形成されることができる。
【0015】
また、軟性基板部Fの長手方向に沿って、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとが連続して接続される形態に形成されることができる。
【0016】
図1及び
図2を参照すると、軟性基板部Fは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cが大部分を占め、第2軟性領域F2a、F2bは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cを接続するために、部分的に形成された構造を有することができる。
【0017】
例えば、第1軟性領域F1a、F1b、F1cは、軟性基板部Fの長手方向に沿って形成され、途中の一部が分離されて複数の分節された領域で形成されることができる。そして、分節された第1軟性領域F1a、F1b、F1cの間には第2軟性領域F2a、F2bが形成され、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとが連続して接続された構造を有することができる。ここで、第2軟性領域F2a、F2bは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cよりもさらに柔軟な材質であるため、分節された第1軟性領域F1a、F1b、F1cを接続させる関節のような役割を担うことができる。
よって、第2軟性領域F2a、F2bを折り曲げることにより、軟性基板部Fの延長する方向が変更される屈曲を形成することができる。
第2軟性領域F2a、F2bを折り曲げる形態に応じて、所望する角度及び形態に軟性基板部Fの配置形態を変更させることができる。
【0018】
図3及び
図4は、一実施例に係るプリント回路基板の使用例を示す図である。
図3を参照すると、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとが連続して接続された一字形の軟性基板部Fは、第2軟性領域F2a、F2bの途中で一部F2aを90度折り曲げることにより、L字形に構造を変更することができる。
【0019】
図4をさらに参照すると、第2軟性領域F2a、F2bの途中で他の部分F2bを再び90度折り曲げることにより、軟性基板部Fは、2箇所で角度が変更される配置構造を有することができる。ここで、折り曲げる角度、第2軟性領域F2a、F2bの位置及び個数は、軟性基板部Fを配置しようとする形態に合わせて決定すればよい。
【0020】
したがって、本実施例に係るプリント回路基板は、先ず製造工程上の取り扱い及び歩留まりの有利な形態に製造し、その後、製品を使用する際に、所望する配置形態に変更して使用できるというメリットがある。
【0021】
一方、第2軟性領域F2a、F2bには、折り曲げる部分を表示したマーキング部Mを形成してもよい。
図1を参照すると、マーキング部Mは、第2軟性領域F2a、F2bの外層に表示された折り線であることができる。
【0022】
第2軟性領域F2a、F2bは、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと外層との材質を異なるものにすることで形成されることができる。例えば、
図1を参照すると、軟性基板部Fにおいて、第1軟性領域F1a、F1b、F1c及び第2軟性領域F2a、F2bの内部絶縁層20を同一の材質で形成し、内部絶縁層20に形成された回路パターン25を保護する外層の材質を異なるものにすることで、第1軟性領域F1a、F1b、F1cと第2軟性領域F2a、F2bとの軟性を異なるように形成することができる。
図5及び
図6は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の軟性基板部Fを形成する方法を例示する図である。
【0023】
図5を参照すると、内部絶縁層20に回路パターン25を形成した後に、選択的にカバーレイを付着して第1軟性領域F1a、F1b、F1cの外層30を形成することができる。カバーレイは、回路パターンを保護する目的で使用されるフィルムであって、ポリイミドフィルム等の堅い材質の保護フィルムであることができる。
【0024】
図6を参照すると、分離されたカバーレイの間に弾性重合体を充填して弾性重合体層の第2軟性領域F2a、F2bの外層40を形成することができる。弾性重合体は、ゴム等のような高弾力の材質であって、カバーレイに比べて柔軟であるが、折り曲げられることに対する復元力はカバーレイに比べて弱い。これにより、弾性重合体が外層40を形成する第2軟性領域F2a、F2bは、カバーレイが外層30を形成する第1軟性領域F1a、F1b、F1cに比べて折り曲げが容易であり、折り曲げられた後にもその状態を保持することが容易である。
第2軟性領域F2a、F2bの外層は、EMI(Electro Magnetic Interference)遮蔽層45を含むことができる。
図7は、一実施例に係るプリント回路基板におけるEMI遮蔽層を説明するための部分断面図である。
【0025】
図7を参照すると、弾性重合体の間に金属層を形成し、電磁気を遮断するEMI遮蔽層45として用いることができる。ここで、EMI遮蔽層45は、接地回路に接続することができる。
【0026】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0027】
Ra、Rb 硬性基板領域
F 軟性基板部
F1a、F1b、F1c 第1軟性領域
F2a、F2b 第2軟性領域
M マーキング部
10 硬性の絶縁層
15 硬性基板部の回路パターン
20 軟性基板部の内部絶縁層
25 軟性基板部の回路パターン
30 第1軟性領域の外層
40: 第2軟性領域の外層