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  • 特許-配管支持構造 図1
  • 特許-配管支持構造 図2
  • 特許-配管支持構造 図3
  • 特許-配管支持構造 図4
  • 特許-配管支持構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】配管支持構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/18 20060101AFI20220124BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
F16L3/18 B
F16L3/10 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017246630
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019113110
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 啓人
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-351457(JP,A)
【文献】実開平01-089689(JP,U)
【文献】特開2011-169384(JP,A)
【文献】実開平03-055913(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00 - 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互間に配管を挟み込むように相対向し、両端部をボルトで互いに締結されて配管に固定する一対の把持部材の一方を配管の経路上の架台に取り付けることにより配管を支持する配管支持構造において、
前記一方の把持部材に固定される取付部材と、
前記架台に固定され、前記取付部材を取り付けて配管を支持する支持部材と、
この支持部材から前記取付部材の前記把持部材側に張り出し、取付部材を支持部材との間に挟み、これらの並びと直交方向に移動可能に固定する押さえ部材とを具備し、
前記押さえ部材は、配管の軸線方向の回転軸により前記取付部材の接触面上を転動自在にそれぞれ支持され、配管の軸線に直交する方向に平行に並ぶ複数のローラを具備することを特徴とする配管支持構造。
【請求項2】
前記取付部材と支持部材及び押さえ部材との間には、円滑に摺動させる低摩擦抵抗板が介在することを特徴とする請求項1に記載の配管支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管の経路上の架台に配管を支持する配管支持構造に関し、特に配管を支持方向に拘束するが配管に伝わる熱による変位を許容するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管を固定する配管支持構造として特許文献1に記載の配管支持装置がある。この配管支持装置は、対向する一対の把持部材の相互間に配管を挟み、両把持部材の両端部をボルトで締結して配管を支持するサドルを具備する。この配管支持装置は、架台上に複数の鋼球を並設した保持器を設置し、この上にサドルを支持させることにより、配管と共に変位するサドルを鋼球の転動により水平方向の移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭54-67816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置においては、サドルと架台との間に鋼球が介在しているが、配管が上方に移動した際に配管と共に移動するサドルと架台の間に隙間が発生する。この隙間が鋼球の直径以上の大きさになると、鋼球が脱落してしまい、所期の性能を発揮できなくなる。この結果、この装置は、配管の上方への移動を拘束できないし、配管の移動が上方以外の方向に限ぎられた箇所のみに限定的に適用されるという問題がある。
そこで本発明は、配管の支持方向の移動を拘束しつつ、支持方向と直交する方向の移動を難なく許容して、配管の固定と熱変位を確実にする配管支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明の配管支持構造は、相互間に配管Pを挟み込むように対向し、両端部をボルト13で互いに締結して配管Pに固定する一対の把持部材11,12の一方11を構築物に取り付けることにより配管Pを支持する。配管支持構造1は、一方の把持部材11に固定される取付部材10と、配管Pの経路上の架台Sに固定され、取付部材10を取り付けて配管Pを支持する支持部材2と、この支持部材2から取付部材10の把持部材11側に張り出し、取付部材10を支持部材2との間に挟み、これらの並びと直交方向に移動可能に固定する押さえ部材とを具備する。配管Pを構築物の架台Sに対して支持方向に拘束しつつ直交方向への移動を許容する。
取付部材10と支持部材2及び押さえ部材との間には、円滑に摺動させる低摩擦抵抗板6a,10cを介在させる。
支持部材2又は押さえ部材の少なくとも一方には、支持部材2に配管Pの軸線方向の回転軸により取付部材の接触面上を転動自在にそれぞれ支持され、配管Pの軸線に直交する方向に平行に並ぶ複数のローラ8を具備させる。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、押さえ部材により配管を構築物の支持方向の移動を拘束すると共に、支持方向に直交する方向の移動を許容するので、配管の固定と熱変位の許容を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配管支持構造の正面図である。
図2図1の配管支持構造の側面図である。
図3図1の配管支持構造の図2のIII-III線断面図である。
図4図1の配管支持構造の一部を省略した斜視図である。
図5図1の配管支持構造の一部を拡大した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3において、配管支持構造1は、配管Pの経路上に位置し角パイプやH型鋼材などで構成された架台S上に水平に取り付けられ、配管Pの支持位置に合わせて高さ調整された支持枠2と、配管Pを支持枠2に支持するサドル3とを具備する。
【0009】
支持枠2は、I型鋼材4と、長尺のI型鋼材4の上下フランジに互いに平行に固着された矩形の下板5及び支持板6と、これらの相互間においてI型鋼材4のウェブに基端部が固着され直交方向にそれぞれ延出する複数のリブ7とで構成される。支持板6は支持枠2の一部を構成しているが、配管Pの上下位置に応じて高さ調整された架台Sの一部として一体をなしてもよい。支持板6の長手方向両端部の上面には、低摩擦抵抗板を構成する摩擦抵抗の小さな鋼板であるスライドパッド6aがそれぞれ貼着されている。支持板6には、スライドパッド6a上を隙間を置いて横断する水平の回転軸がブラケット9に軸支された押さえ部材である一対のローラ8,8が支持されている。
【0010】
サドル3は、取付部材10と、取付部材10に固着された第1の把持部材11と、この把持部材11に斜め上下に対向して相互間に配管Pを把持する第2の把持部材12と、第1,第2の把持部材11,12を結合するボルト・ナット13とを具備する。第1の把持部材11及び第2の把持部材12は、配管Pの半部を受け入れるように外膨らみの半円状をなす把持部11a,12aと、これら把持部11a,12aの両端部に連続してボルト・ナット13で締め留められる接合部11b,12bとを具備する。第1の把持部材11には、必要に応じて配管Pの振動を抑制するための制振装置などが接続される。取付部材10は、支持枠2に載置される基台10aと、第1の把持部材11の下面に上端が固着され、左右に間隔をおいて対向するように基台10aから垂直に立ち上がった横断面H形の支持脚10bとを具備する。基台10aは、その配管Pの軸線方向の幅がローラ8のブラケット9,9の間隔より小さく、支持枠2の支持板6とローラ8との隙間に挿入される。図3図4に示すように、基台10aの長手方向両端部の底面には、スライドパッド6aに常時重なる低摩擦抵抗板を構成する摩擦抵抗の小さな鋼板であるスライドパッド10cが貼着されている。基台10aの長手方向両端部の上面には、ローラ8の対応位置に常時位置する低摩擦抵抗板を構成する摩擦抵抗の小さな鋼板であるスライドパッド10cが貼着されている。
【0011】
この配管支持構造1は、把持部材11,12で配管Pを挟んで把持し、ボルト・ナット13で締結することにより、配管Pにサドル3が固定され、配管Pを架台Sに支持する。この状態で配管Pは、取付部材10の基台10aがローラ8,8と支持枠2の支持板6との間に上下に挟まれるので、上下方向に拘束される。一方、配管Pの軸線方向の幅とブラケット9,9の間隔との差分長さ範囲及びローラ8,8間の支持脚10bが規制される範囲で配管Pの水平方向に移動できる。これらの移動時にローラ8,8が基台10a上を転動すると共に、ローラ8とスライドパッド10cの間及びスライドパッド6a,10c間の円滑な摺動により支持板6に対する基台10aの移動が円滑に行われ、配管Pの熱変位を無理なく許容する。
【0012】
なお、本実施形態では、配管Pを架台Sに対して縦方向に支持する状況に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、配管Pを架台Sに対して横方向に支持する場合にも、支持枠2を構成する支持板6、押さえ部材を構成するローラ8、取付部材10を構成する基台10aなどを縦方向に向けて横方向に配置するなど構成を適宜変更することにより適用できることは言うまでもない。
【0013】
また、支持板6には、スライドパッド6aを貼着したが、これに代えてスライドパッド10cの対応位置に常時位置し、スライドパッド10cの下方に隙間を置いて横断する水平の回転軸を有するローラを支持してもよく、この場合にも、支持板6に対する基台10aの移動を円滑に行うことができる。
さらに、ローラ8に代えてスライドパッド10cに接触するスライドパッドを貼着した押さえ板を基台10a上に横断させてもよく、この場合にも、支持板6に対する基台10aの移動を円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0014】
1 配管支持構造
2 支持枠
3 サドル
4 I型鋼材
5 下板
6 支持板
6a スライドパッド
7 リブ
8 ローラ
9 ブラケット
10 取付部材
10a 基台
10b 支持脚
10c スライドパッド
11 第1の把持部材
11a 把持部
11b 接合部
12 第2の把持部材
12a 把持部
12b 接合部
13 ボルト・ナット
P 配管
S 架台
図1
図2
図3
図4
図5