(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】スキン層を含む発泡シート、その製造方法およびこれを含む食品容器
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20220125BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220125BHJP
C08J 9/02 20060101ALI20220125BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B5/18 101
C08J9/02 CFD
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2019521451
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2018016921
(87)【国際公開番号】W WO2020138571
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2019-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518048053
【氏名又は名称】ヒューヴィス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HUVIS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】(Nonhyeon-dong)343, Hakdong-ro, Gangnam-gu, Seoul 06060 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】ホ ミ
(72)【発明者】
【氏名】ハム ジンス
(72)【発明者】
【氏名】イ クァンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウジン
(72)【発明者】
【氏名】ハ サンフン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジョンハン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-311226(JP,A)
【文献】特開平4-070321(JP,A)
【文献】特開2015-182385(JP,A)
【文献】特開平3-111244(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118718(WO,A1)
【文献】特開平09-169865(JP,A)
【文献】特開平02-006540(JP,A)
【文献】特開2011-168337(JP,A)
【文献】特開2014-129511(JP,A)
【文献】特開2001-162735(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159227(WO,A1)
【文献】特開2009-234627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/36
B32B 5/18
C08J 9/02
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂発泡層;および
前記ポリエステル発泡層の一面または両面に形成されたポリエステル樹脂を含有するスキン層を含み、
前記ポリエステル樹脂発泡層のセル大きさは300~500μmであり、
前記スキン層のセル大きさは
30~100μmであり、
発泡シートの中心線表面粗さ(R
a)は0.1μm~
2μmであることを特徴とする、発泡シート。
【請求項2】
前記スキン層の厚さは5μm~200μmであることを特徴とする、請求項1に記載の発泡シート。
【請求項3】
前記発泡シートの結晶化度は、平均3%~15%であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡シート。
【請求項4】
ポリエステル樹脂を押出および発泡してポリエステル樹脂発泡層を形成する段階;および
連続的に前記発泡層の一面または両面にポリエステル樹脂を含むスキン層を形成する段階を含み、
前記スキン層を形成する段階は発泡層の表面を-20℃~15℃で急速冷却してスキン層のセルサイズを30~100μmに形成し、
形成された発泡シートは0.1μm~
2μmの中心線表面粗さ(R
a)を有することを特徴とする、発泡シートの製造方法。
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、ポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂チップを溶融して押出および発泡することを特徴とする、請求項4に記載の発泡シートの製造方法。
【請求項6】
スキン層を形成する段階は、ポリエステル樹脂スキン層を5μm~200μmの厚さに形成することを特徴とする、請求項4に記載の発泡シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載された発泡シートを含む、食品容器。
【請求項8】
前記食品容器は発泡シートの一面にバリアー層をさらに含むことを特徴とする、請求項
7に記載の食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキン層を含む発泡シート、その製造方法およびこれを含む食品容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常食品容器として使われている製品は発泡式、非発泡式に分かれる。発泡方式製品はポリスチレンを発泡ガスと混合させて押出させた製品が使われているが、厚さを比較的厚く維持することができるため形態の維持、断熱性、価格競争力が高い長所があるものの、高温で有害物質が検出される短所がある。非発泡容器の場合、熱に安定したポリプロピレンをフィルム形態に製作した製品が使われているが、高温での寸法変化率が小さく、有害物質が検出されない長所がある反面、値段が高く断熱が悪い短所がある。
【0003】
使い捨て耐熱容器として最も多く使われている代表的な製品はカップラーメン容器と言え、従来はポリスチレン発泡容器を使っていたが、高温で有害物質が検出される点がイシュー化されたためこれを紙容器に代替して使っているものの、値段が高い短所がある。
【0004】
現代社会において、次第に生活が便利になるにつれて使い捨て用品の使用が増加し、単身世帯の増加による出前料理および簡便料理の製品の需要が次第に増えており、これに伴い、食品包装容器の需要も増加し、有害物質から安全かつ用途による機能が付与された新しい容器の素材に対する消費者のニーズがますます大きくなってきている。したがって、秀麗な外観、便利さ、安全性、環境に優しい性能をすべて備えた包装容器に対する研究が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は発泡層上にスキン層を形成することによって、表面均一度が優秀な発泡シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題を解決するための手段として、ポリエステル樹脂発泡層;および前記ポリエステル発泡層の一面または両面に形成されたポリエステル樹脂を含有するスキン層を含み、前記ポリエステル樹脂発泡層のセル大きさは300~500μmであり、前記スキン層のセル大きさは30~100μmであり、発泡シートの中心線表面粗さ(Ra)は0.1μm~2μmであることを特徴とする発泡シートを提供することができる。
【0007】
また、本発明は、ポリエステル樹脂を押出および発泡してポリエステル樹脂発泡層を形成する段階;および連続的に前記発泡層の一面または両面にポリエステル樹脂を含むスキン層を形成する段階を含み、前記スキン層を形成する段階は発泡層の表面を-20℃~15℃で急速冷却してスキン層のセルサイズを30~100μmに形成し、形成された発泡シートは0.1μm~2μmの中心線表面粗さ(Ra)を有することを特徴とする発泡シートの製造方法を提供することができる。
【0008】
併せて、本発明は、本発明に係る発泡シートを含む食品容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る発泡シートは発泡層上にスキン層を含むことによって、表面均一性が優秀であり、これに伴い、リッド接着性が優秀であり、一定範囲の結晶化度を有する発泡層を含んで熱成形性が優秀な長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る実施例の発泡シートを示した模式図。
【
図2】本発明に係る実施例の発泡シートを示した模式図。
【
図3】本発明に係る実施例および比較例の発泡シートを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージ。
【
図4】本発明に係る実施例および比較例の発泡シートを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージ。
【
図5】本発明に係る実施例および比較例の発泡シートを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発泡シート
本発明は、ポリエステル樹脂発泡層;および前記ポリエステル発泡層の一面または両面に形成されたポリエステル樹脂を含有するスキン層を含み、
前記スキン層のセル大きさは100μm以下であり、発泡シートの中心線表面粗さ(Ra)は0.1μm~1.5μmであることを特徴とする発泡シートを提供する。
【0012】
本発明に係る発泡シートは、
図1および
図2のように、ポリエステル樹脂発泡層およびポリエステル樹脂発泡層10上にスキン層20、21,22を形成して2層以上で構成され得る。具体的には、ポリエステル樹脂発泡層の一面にスキン層を形成することができ、ポリエステル樹脂発泡層の両面にスキン層を形成することができる。前記のような構造を有する発泡シートは、ポリエステル樹脂発泡層上にポリエステル樹脂を含有するスキン層を含むことによって、発泡シートの表面均一度が優秀であり、リッド接着性および熱成形性が向上され得る。
【0013】
一つの例示において、本発明の発泡シートは中心線表面粗さ(Ra)が平均0.1μm~1.5μmであり得る。具体的には、本発明の発泡シートの中心線表面粗さ(Ra)は、平均0.2μm~1.4μm、0.2μm~1.2μm、0.2μm~1.1μm、0.4μm~1.5μm、0.4μm~1.4μm、0.4μm~1.3μm、0.4μm~1.1μm、0.6μm~1.5μm、0.6μm~1.3μm、0.6μm~1.1μm、0.8μm~1.5μm、0.8μm~1.3μm、0.8μm~1.1μm、0.75μm~1.15μm、0.5μm~1.0μm、0.5μm~0.9μm、0.6μm~1.0μm、0.7μm~1.0μm、0.7μm~0.9μm、0.85μm~1.4μm、0.9μm~1.2μm、0.95μm~1.15μm、または0.95μm~1.1μmであり得る。より具体的には、前記発泡シートの中心線粗さ(Ra)は、平均0.75μm~1.1μmであり得る。前記範囲内の中心線表面粗さ値を通じて、本発明の発泡シートはポリエステル樹脂発泡層上にスキン層を形成するため、表面均一度が優秀であることが分かる。
【0014】
本発明に係る発泡シートは結晶化度が平均3%~15%範囲であり得る。具体的には、前記発泡シートの結晶化度は、平均3%~15%、3%~14%、3%~13%、3%~12%、3%~10%、3%~9%、3%~8%、3%~7%、5%~15%、5%~14%、5%~13%、5%~12%、5%~10%、5%~9%、5%~8%、5%~7%、7%~15%、7%~14%、7%~13%、7%~12%、7%~10%、7%~9%、7%~8%、9%~15%、9%~14%、9%~13%、9%~12%、9%~10%、10%~15%、10%~14%、10%~12%、12%~15%、12%~14%、12%~13%、13%~15%、13%~14%または14%~15%であり得る。本発明に係る発泡シートは前記範囲の結晶化度を有するため、成形性が優秀でありながらも今後成形する過程でも適正な結晶化度を有することができる。
【0015】
以下、本発明に係る発泡シートの各構成をより詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明に係る発泡シートはポリエステル樹脂を含む発泡層を含み、前記発泡層はポリエステル樹脂発泡体であり得、この時、前記発泡体は発泡シートのベースとなる役割をする。
【0017】
具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate、PBT)、ポリ乳酸(Poly Lactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(Polyglycolic acid、PGA)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリエチレンアジペート(Polyehtylene adipate、(Polyhydroxyalkanoate、PHA)、ポリトリメチレンテレフタレート(Polytrimethylene Terephthalate、PTT)およびポリエチレンナフタレン(Polyethylene naphthalate、PEN)からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。より具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)であり得る。
【0018】
一つの例示において、本発明の発泡シートでポリエステル樹脂発泡層の厚さは1mm~5mmであり得る。具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層の厚さは1mm~4.5mm、1mm~4mm、1mm~3.5mm、1mm~3mm、1mm~2.5mm、1.5mm~5mm、1.5mm~4.5mm、1.5mm~4mm、1.5mm~3.5mm、1.5mm~3mm、1.5mm~2.5mm、2mm~5mm、2mm~4.5mm、2mm~4mm、2mm~3.5mm、2mm~3mm、2mm~2.5mm、1.8mm~2.5mm、1.6mm~2.5mm、1.5mm~2.2mm、1.4mm~2.1mmまたは1.8mm~2.2mmであり得る。
【0019】
具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層は、平均300~500μmのセル大きさを有することができる。具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層のセル大きさは300~480μm、300~460μm、300~440μm、300~420μm、300~400μm、300~380μm、300~360μm、300~340μm、350~500μm、350~480μm、350~460μm、350~440μm、350~420μm、350~400μm、350~380μm、400~500μm、400~480μm、400~460μm、400~440μm、400~420μm、450~500μm、450~480μm、330~400μm、370~400μmまたは430~470μmであり得る。前記のような大きさのセルを有することによって、本発明の発泡シートは優秀な強度および耐熱性を有することができる。
【0020】
次いで、本発明に係る発泡シートはポリエステル樹脂発泡層の一面または両面にスキン層を含み、前記スキン層はポリエステル樹脂発泡層の表面粗さを減少させて表面均一度を向上させる役割をする。
【0021】
本発明で、前記スキン層はポリエステル樹脂を含むことができる。前記スキン層はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate、PBT)、ポリ乳酸(Poly Lactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(Polyglycolic acid、PGA)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリエチレンアジペート(Polyehtylene adipate、PEA)、ポリトリメチレンテレフタレート(Polytrimethylene Terephthalate、PTT)およびポリエチレンナフタレン(Polyethylene naphthalate、PEN)からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。具体的には、前記スキン層はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)樹脂を含むことができる。
【0022】
一つの例として、前記スキン層はポリエステル樹脂発泡体またはポリエステル樹脂コーティング層であり得、前記スキン層のセル大きさは、平均100μm以下であり得る。具体的には、前記スキン層のセル大きさは、平均0.1~100μm、0.1~80μm、0.1~70μm、0.1~60μm、5~100μm、5~80μm、5~70μm、10~100μm、10~90μm、10~80μm、10~70μm、10~60μm、20~100μm、20~90μm、20~80μm、20~70μm、20~60μm、30~100μm、30~90μm、30~80μm、30~70μm、30~60μm、40~100μm、40~90μm、40~80μm、40~70μm、40~60μm、50~100μm、50~90μm、50~80μm、30~50μm、40~50μm、60~80μm、70~90μm、70~80μmまたは65~75μmであり得る。前記スキン層がポリエステル樹脂コーティング層である場合にはセルを形成しないこともあり、前記のようなスキン層を含むことによって発泡シートの表面均一度が優秀となり得る。
【0023】
また、本発明の発泡シートでスキン層の厚さは、平均5μm~200μm範囲であり得る。具体的には、前記スキン層の厚さは、5μm~190μm、5μm~180μm、5μm~160μm、5μm~140μm、5μm~120μm、5μm~100μm、5μm~90μm、5μm~80μm、5μm~50μm、5μm~30μm、15μm~190μm、15μm~180μm、15μm~160μm、15μm~140μm、15μm~120μm、15μm~100μm、15μm~90μm、15μm~80μm、15μm~50μm、15μm~30μm、25μm~200μm、25μm~190μm、25μm~180μm、25μm~160μm、25μm~140μm、25μm~120μm、25μm~100μm、25μm~90μm、25μm~80μm、25μm~50μm、25μm~30μm、50μm~200μm、50μm~190μm、50μm~180μm、50μm~160μm、50μm~140μm、50μm~120μm、50μm~100μm、50μm~90μm、50μm~80μm、100μm~200μm、100μm~190μm、100μm~180μm、100μm~160μm、100μm~140μm、100μm~120μm、125μm~200μm、125μm~190μm、125μm~180μm、125μm~160μm、125μm~140μm、150μm~200μm、150μm~190μm、150μm~180μm、150μm~160μm、または180μm~200μmであり得る。前記のような厚さのスキン層を含むことによって、発泡シートの表面は均一性を示し、これに伴い、本発明の発泡シートを食品容器として使う場合、リッド接着性が優秀な特性を示すことができる。
【0024】
一つの例として、本発明に係る発泡シートは、バリアー(Barrier)性能、親水化機能または防水機能を有することができ、界面活性剤、親水化剤、熱安定剤、防水剤、セル大きさ拡大剤、赤外線減衰剤、可塑剤、防火化学薬品、顔料、弾性ポリマー、押出補助剤、酸化防止剤、造核剤、空転防止剤およびUV吸収剤からなる群から選択される一つ以上の機能性添加剤をさらに含むことができる。具体的には、本発明の発泡層は増粘剤、造核剤、熱安定剤および発泡剤を含むことができる。
【0025】
前記増粘剤は特に限定しないが、本発明では例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)が使用され得る。
【0026】
前記造核剤の例としては、タルク、マイカ、シリカ、硅藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズなどの無機化合物が挙げられる。このような造核剤は発泡層の機能性付与、費用の節減などの役割をすることができる。具体的には、本発明ではタルク(Talc)が使用され得る。
【0027】
前記熱安定剤は、有機または無機リン化合物であり得る。前記有機または無機リン化合物は、例えば、リン酸およびその有機エステル、亜リン酸およびその有機エステルであり得る。例えば、前記熱安定剤は商業的に入手可能な物質であって、リン酸、アルキルホスフェートまたはアリールホスフェートであり得る。具体的には、本発明で熱安定剤はトリフェニルホスフェートであり得るが、これに制限されるものではなく、前記発泡層の熱的安定性を向上させることができるものであれば、通常の範囲内で制限なく使用可能である。
【0028】
前記発泡剤の例としては、N2、CO2、フレオン、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、メチルクロライドなどの物理的発泡剤またはアゾジカルボンアミド(azodicarbonamide)系化合物、P,P’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)[P,P’-oxy bis(benzene sulfonyl hydrazide)]系化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(N,N’-dinitroso pentamethylene tetramine)系化合物などの化学的発泡剤があり、具体的には、本発明ではCO2が使用され得る。
【0029】
発泡シートの製造方法
【0030】
また、本発明は、ポリエステル樹脂を押出および発泡して発泡層を形成する段階;および連続的に前記ポリエステル樹脂発泡層の一面または両面にスキン層を形成する段階を含み、形成された発泡シートは0.1μm~1.5μmの中心線表面粗さ(Ra)を有することを特徴とする発泡シートの製造方法を提供する。
【0031】
ここで、「連続的に」とは、ポリエステル樹脂発泡層を形成するとともに、あるいはポリエステル樹脂発泡層が形成される過程で別途の追加の段階なしに、連続的にポリエステル樹脂発泡層上にスキン層を形成することを意味する。例えば、ポリエステル樹脂発泡層とスキン層が共押出を通じて同時に形成されるか、押出および発泡を通じて製造されて出てくるポリエステル樹脂発泡層の表面を急速冷却して、発泡層の一面または両面にスキン層を形成することができる。
【0032】
具体的には、本発明に係る発泡シートの製造方法は、平均0.1μm~1.5μmの中心線表面粗さ(Ra)を有する発泡シートを製造することができる。具体的には、前記製造された発泡シートの中心線表面粗さ(Ra)は、平均0.2μm~1.4μm、0.2μm~1.2μm、0.2μm~1.1μm、0.4μm~1.5μm、0.4μm~1.4μm、0.4μm~1.3μm、0.4μm~1.1μm、0.6μm~1.5μm、0.6μm~1.3μm、0.6μm~1.1μm、0.8μm~1.5μm、0.8μm~1.3μm、0.8μm~1.1μm、0.75μm~1.15μm、0.5μm~1.0μm、0.5μm~0.9μm、0.6μm~1.0μm、0.7μm~1.0μm、0.7μm~0.9μm、0.85μm~1.4μm、0.9μm~1.2μm、0.95μm~1.15μm、または0.95μm~1.1μmであり得る。より具体的には、前記製造された発泡シートの中心線粗さ(Ra)は、平均0.75μm~1.1μmであり得る。本発明に係る発泡シートの製造方法は、ポリエステル樹脂発泡層上にスキン層を形成することによって前記のような中心線表面粗さ値を有するため、表面均一度が優秀な発泡シートを製造することができる。
【0033】
また、本発明に係る発泡シート製造方法は、結晶化度が平均5%~15%範囲である発泡シートを製造することができる。具体的には、前記製造された発泡シートの結晶化度は、平均5%~15%、5%~14%、5%~13%、5%~12%、5%~10%、5%~9%、5%~8%、5%~7%、7%~15%、7%~14%、7%~13%、7%~12%、7%~10%、7%~9%、7%~8%、9%~15%、9%~14%、9%~13%、9%~12%、9%~10%、10%~15%、10%~14%、10%~12%、12%~15%、12%~14%、12%~13%、13%~15%、13%~14%または14%~15%であり得る。本発明に係る発泡シートの製造方法は、前記範囲の結晶化度を有するため成形性が優秀な発泡シートを製造することができる。
【0034】
一つの例示において、前記ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、平均1mm~5mm厚さの発泡層を形成することができる。具体的には、前記ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は1mm~4.5mm、1mm~4mm、1mm~3.5mm、1mm~3mm、1mm~2.5mm、1.5mm~5mm、1.5mm~4.5mm、1.5mm~4mm、1.5mm~3.5mm、1.5mm~3mm、1.5mm~2.5mm、2mm~5mm、2mm~4.5mm、2mm~4mm、2mm~3.5mm、2mm~3mm、2mm~2.5mm、1.8mm~2.5mm、1.6mm~2.5mm、1.5mm~2.2mm、1.4mm~2.1mmまたは1.8mm~2.2mm厚さのポリエステル樹脂発泡層を形成することができる。
【0035】
例えば、前記ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、平均100~300μm大きさのセルを形成することができる。具体的には、前記発泡層を形成する段階は、平均100~280μm、100~260μm、100~240μm、100~220μm、100~200μm、100~180μm、100~160μm、100~180μm、150~280μm、150~260μm、150~240μm、150~220μm、150~200μm、150~180μm、200~300μm、200~280μm、200~260μm、200~240μm、200~220μm、200~300μm、250~300μm、230~250μmまたは230~270μm大きさのセルを形成することができる。前記大きさのセルを形成することによって、本発明の発泡シートは優秀な強度および耐熱性を示すことができる。
【0036】
一つの例として、前記ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、ポリエステル樹脂を押出および発泡して発泡層を形成することができる。前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate、PBT)、ポリ乳酸(Poly Lactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(Polyglycolic acid、PGA)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリエチレンアジペート(Polyehtylene adipate、PEA)、ポリトリメチレンテレフタレート(Polytrimethylene Terephthalate、PTT)およびポリエチレンナフタレン(Polyethylene naphthalate、PEN)からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。具体的には、前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)樹脂であり得る。
【0037】
本発明で、ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階はポリエステル樹脂を発泡させる発泡工程であって、多様な形態の押出機を利用して遂行可能である。ポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、大きくビーズ発泡または押出発泡を通じて遂行することができ、押出発泡が好ましい。前記ビーズ発泡は、一般的に、樹脂ビーズを加熱して1次発泡させ、これを適当な時間の間熟成させた後に板状、筒状の金型に満たして再び加熱し、2次発泡によって融着、成形して製品を作る方法である。前記押出発泡は、樹脂溶融物を連続的に押出および発泡させることによって、工程段階を単純化することができ、大量生産が可能であり、ビーズ発泡時のビーズの間で亀裂と粒状破壊現象などを防止してより優秀な屈曲強度および圧縮強度を具現することができる。
【0038】
一つの例として、本発明のポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、多様な形態の添加剤が投入され得る。前記添加剤は必要に応じて、流体連結ライン中に投入されるか、あるいは発泡工程中に投入され得る。添加剤の例としては、バリアー(Barrier)性能、親水化機能または防水機能を有することができ、増粘剤、界面活性剤、親水化剤、熱安定剤、防水剤、セル大きさ拡大剤、赤外線減衰剤、可塑剤、防火化学薬品、顔料、弾性ポリマー、押出補助剤、酸化防止剤、造核剤、空転防止剤およびUV吸収剤からなる群から選択される一つ以上の機能性添加剤を含むことができる。具体的には、本発明の発泡シートの製造方法は、増粘剤、造核剤、熱安定剤および発泡剤のうち1種以上を投入することができ、前記で列挙された機能性添加剤のうち1種以上をさらに含むことができる。
【0039】
例えば、本発明のポリエステル樹脂発泡層を形成する段階は、増粘剤、親水化剤、熱安定剤、防水剤、セル大きさ拡大剤、赤外線減衰剤、可塑剤、防火化学薬品、顔料、弾性ポリマー、押出補助剤、酸化防止剤、造核剤、空転防止剤およびUV吸収剤からなる群から選択される一つ以上の添加剤を流体連結ライン中に投入することができる。発泡体の製造時に必要な添加剤のうち、流体連結ライン中に投入されなかった添加剤は、押出工程中に投入可能である。
【0040】
前記増粘剤は特に限定しないが、本発明では例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)が使用され得る。
【0041】
前記造核剤の例としては、タルク、マイカ、シリカ、硅藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズなどの無機化合物などが挙げられる。このような造核剤は発泡層の機能性付与、費用の節減などの役割をすることができる。具体的には、本発明ではタルク(Talc)が使用され得る。
【0042】
前記熱安定剤は、有機または無機リン化合物であり得る。前記有機または無機リン化合物は、例えば、リン酸およびその有機エステル、亜リン酸およびその有機エステルであり得る。例えば、前記熱安定剤は商業的に入手可能な物質であって、リン酸、アルキルホスフェートまたはアリールホスフェートであり得る。具体的には、本発明で熱安定剤はトリフェニルホスフェートであり得るが、これに制限されるものではなく、前記発泡層の熱的安定性を向上させることができるものであれば、通常の範囲内で制限なく使用可能である。
【0043】
前記発泡剤の例としては、N2、CO2、フレオン、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、メチルクロライドなどの物理的発泡剤またはアゾジカルボンアミド(azodicarbonamide)系化合物、P,P’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)[P,P’-oxy bis(benzene sulfonyl hydrazide)]系化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(N,N’-dinitroso pentamethylene tetramine)系化合物などの化学的発泡剤があり、具体的には、本発明ではCO2が使用され得る。
【0044】
また、防水剤は特に限定されず、例えば、シリコン系列、エポキシ系列、シアノアクリル酸系列、ポリビニルアクリレート系列、エチレンビニルアセテート系列、アクリレート系列、ポリクロロプレン系列、ポリウレタン樹脂とポリエーテル樹脂の混合体系列、ポリオールとポリウレタン樹脂の混合体系列、アクリリックポリマーとポリウレタン樹脂の混合体系列、ポリイミド系列およびシアノアクリレートとウレタンの混合体系列などの混合物を含むことができる。
【0045】
一つの例として、本発明に係るスキン層を形成する段階は、前記ポリエステル樹脂発泡層を急速冷却させて形成するか、ポリエステル樹脂を共押出してスキン層を形成することができる。
【0046】
具体的には、前記スキン層をプラスチック樹脂を共押出して形成する場合、プラスチック樹脂を共押出してコーティング層およびスキン層を製造することができる。前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate、PBT)、ポリ乳酸(Poly Lactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(Polyglycolic acid、PGA)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリエチレンアジペート(Polyehtylene adipate、PEA)、ポリトリメチレンテレフタレート(Polytrimethylene Terephthalate、PTT)およびポリエチレンナフタレン(Polyethylene naphthalate、PEN)からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。具体的には、本発明に係るスキン層はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)樹脂を共押出して形成することができる。
【0047】
また、スキン層をポリエステル樹脂発泡層の表面を急速冷却して形成する場合は、-20℃~0℃の温度範囲で遂行することができる。具体的には、ポリエステル樹脂発泡層の表面を急速冷却してスキン層を形成する場合は、-20℃~15℃、-15℃~10℃または-10℃~0℃の温度範囲で遂行することができる。前記温度範囲でポリエステル樹脂発泡層の表面を急速冷却させることによって適切な大きさのセルを形成することができ、これによって発泡シートの表面が均一となり得る。
【0048】
一つの例示において、前記スキン層を形成する段階は、平均5μm~100μm厚さのスキン層を形成することができる。具体的には、前記スキン層を形成する段階は、5μm~190μm、5μm~180μm、5μm~160μm、5μm~140μm、5μm~120μm、5μm~100μm、5μm~90μm、5μm~80μm、5μm~50μm、5μm~30μm、15μm~190μm、15μm~180μm、15μm~160μm、15μm~140μm、15μm~120μm、15μm~100μm、15μm~90μm、15μm~80μm、15μm~50μm、15μm~30μm、25μm~200μm、25μm~190μm、25μm~180μm、25μm~160μm、25μm~140μm、25μm~120μm、25μm~100μm、25μm~90μm、25μm~80μm、25μm~50μm、25μm~30μm、50μm~200μm、50μm~190μm、50μm~180μm、50μm~160μm、50μm~140μm、50μm~120μm、50μm~100μm、50μm~90μm、50μm~80μm、100μm~200μm、100μm~190μm、100μm~180μm、100μm~160μm、100μm~140μm、100μm~120μm、125μm~200μm、125μm~190μm、125μm~180μm、125μm~160μm、125μm~140μm、150μm~200μm、150μm~190μm、150μm~180μm、150μm~160μm、または180μm~200μm厚さのスキン層を形成することができる。前記のような厚さのスキン層を形成することによって、発泡シートの表面は均一性を示し、これに伴い、本発明の発泡シートを食品容器として使う場合、リッド接着性が優秀な特性を示すことができる。
【0049】
一つの例として、前記スキン層を形成する段階は、平均100μm以下の大きさのセルを形成することができる。具体的には、前記スキン層は、平均00.1~100μm、0.1~80μm、0.1~70μm、0.1~60μm、5~100μm、5~80μm、5~70μm、10~100μm、10~90μm、10~80μm、10~70μm、10~60μm、20~100μm、20~90μm、20~80μm、20~70μm、20~60μm、30~100μm、30~90μm、30~80μm、30~70μm、30~60μm、40~100μm、40~90μm、40~80μm、40~70μm、40~60μm、50~100μm、50~90μm、50~80μm、30~50μm、40~50μm、60~80μm、70~90μm、70~80μmまたは65~75μm大きさのセルを形成することができる。前記のようなスキン層を発泡シートに形成することによって、発泡シートの表面が均一となり得、これに伴い、接着性が向上され得る。
【0050】
食品容器
【0051】
併せて、本発明は本発明に係る発泡シートを含む食品容器を提供する。
【0052】
例えば、前記食品容器は発泡シートの一面にバリアー層をさらに含むことができる。前記バリアー層はエチレンビニルアルコールを含むことができる。前記のようなバリアー層を含むことによって、本発明の食品容器はガスバリア特性を有し、水蒸気透過度が優秀であり、具体的には、窒素充電食品容器に使用可能である。
【0053】
また、前記食品容器は本発明の発泡シートを含むことによって、発泡シートのスキン層により表面粗さが低くて食品容器のリッド(lid)との接着性が優秀であるため、リッドを通じての機密性が向上され得る。これを通じて、前記食品容器は容器内の食品の保管および維持が容易となり得る。
【0054】
一つの例示において、本発明の食品容器は本発明に係る発泡シートを成形して製造された成形品であり得る。具体的には、本発明に係る食品容器は発泡シートの第1面には、平均35℃~65℃範囲の温度で加熱および加圧し、同時に前記発泡シートの第2面には、平均60℃~90℃範囲の温度で加熱および加圧して発泡シートを成形することによって製造され得る。より具体的には、前記発泡シートを成形する前に熱処理されたものであり得る。
【0055】
一つの例示において、本発明の食品容器の結晶化度は15%~35%であり得る。具体的には、前記発泡シートを成形して製造された食品容器の結晶化度は、15%~35%、15%~33%、15%~30%、15%~28%、15%~25%、15%~23%、15%~20%、20%~35%、20%~33%、20%~30%、20%~28%、20%~25%、20%~23%、25%~35%、25%~33%、25%~30%、25%~28%、28%~35%、28%~33%、28%~30%、30%~35%、30%~33%、33%~35%、23%~28%、25%~25%、または28%~33%であり得る。前記のような結晶化度を有することによって、本発明の食品容器は優秀な強度および成形性を有することができる。
【0056】
もう一つの例として、本発明に係る食品容器は、下記の数学式1を満足することができる:
【0057】
[数学式1]
|V1-V0|/V0×100≦10%
【0058】
前記数学式1において、V0は食品容器に100℃の水を入れて2分の間露出させる前の食品容器の体積であって、単位はcm3であり、V1は食品容器に100℃の水を入れて2分の間露出させた後の食品容器の体積であって、単位はcm3である。
【0059】
具体的には、製造された食品容器のサンプルに100℃の水を入れて2分の間露出させる前後の寸法変化率を測定した。これは、食品容器の実際の使用環境と対応する測定値である。例えば、前記体積は、発泡シートの長さ、幅および厚さのそれぞれの長さを乗算して計算された値を意味し得る。例えば、前記数学式1による寸法変化率は、10%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、3%以下、2%以下、0.5%~10%、0.5%~9%、0.5%~8%、0.5%~6%、0.5%~5%、0.5%~3%、0.5%~1.5%、1%~5%、1%~3%、3%~10%または5%~10%であり得る。前記範囲内の数学式1の値を満足することによって、本発明に係る食品容器は高い温度環境で使用しても形態の変化がほとんど発生しないことが分かる。その結果、本発明に係る食品容器は耐熱性が優秀である。
【0060】
以下、実施例および比較例を通じて前記の内容をより具体的に説明するが、本発明の範囲は下記に提示された内容によって制限されるものではない。
【0061】
実施例1:ポリエステル樹脂発泡層およびスキン層を含む発泡シート(表面急速冷却)
本発明に係る発泡シートを製造するために、まずPET樹脂100重量部を130℃で乾燥させて水分を除去したし、第1押出機に前記水分が除去されたPET樹脂と前記水分が除去されたPET樹脂100重量部を基準として、ピロメリット酸無水物(Pyromellitic dianhydride)1重量部、タルク1重量部およびIrganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃に加熱して樹脂溶融物を製造した。その後、第1押出機に発泡剤としてButaneをPET樹脂100重量部を基準として5重量部投入し押出発泡したし、発泡層を2mmの厚さに形成してポリエステル発泡層を製造した。この時、冷却装置である円筒形のMandrelの温度を-20℃に維持させて発泡層の表面を急速冷却させて発泡層上にスキン層を形成した発泡シートを製造した。
【0062】
この時、製造されたスキン層のセルサイズは40~90μmであり、発泡層のセルサイズは300~500μmであった。
【0063】
実施例2:ポリエステル樹脂発泡層およびスキン層を含む発泡シート(表面急速冷却)
本発明に係る発泡シートを製造するために、まずPET樹脂100重量部を130℃で乾燥させて水分を除去したし、第1押出機に前記水分が除去されたPET樹脂と前記水分が除去されたPET樹脂100重量部を基準として、ピロメリット酸無水物(Pyromellitic dianhydride)1重量部、タルク1重量部およびIrganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃に加熱して樹脂溶融物を製造した。その後、第1押出機に発泡剤としてButaneをPET樹脂100重量部を基準として5重量部投入し押出発泡したし、発泡層を2mmの厚さに形成してポリエステル発泡層を製造した。この時、冷却装置である円筒形のMandrelの温度を-10℃に維持させて発泡層の表面を急速冷却させて発泡層上にスキン層を形成した発泡シートを製造した。
【0064】
この時、製造されたスキン層のセルサイズは50~100μmであり、発泡層のセルサイズは300~500μmであった。
【0065】
実施例3:ポリエステル樹脂発泡層およびスキン層を含む発泡シート(共押出)
本発明に係る発泡シートを製造するために、まずPET樹脂を130度で乾燥させて水分を除去したし、第1押出機に前記水分が除去されたPET樹脂と前記水分が除去されたPET樹脂100重量部を基準として、ピロメリット酸無水物(Pyromellitic dianhydride)1重量部、タルク1重量部およびIrganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃に加熱して樹脂溶融物を製造した。
【0066】
その後、第1押出機に発泡剤としてButaneをPET樹脂100重量部を基準として5重量部投入した。
【0067】
一方、第2押出機には表面層となるスキン層形成用の樹脂層として、PET樹脂を100重量部を前記第2押出機に供給して280℃に加熱溶融した。
【0068】
その後、この溶融状態のスキン層樹脂組成物を、分岐流路を有する分配管で合流金型の管体とスリットからそれぞれ合計が15kg/時間とされる量で吐出させて、発泡性樹脂組成物の外層側に積層合流させた後、合流金型の先端と接続されたサーキュラーダイ(口径110mm、スリット隙間0.95mm)から115kg/時間となる樹脂吐出量で円筒形に共押出させることによって、発泡層を通じてその外側にスキン層が積層された発泡シートを形成した。この時、発泡層を2mmの厚さに形成したし、冷却装置である円筒形のMandrelの温度を-10℃に維持させて発泡シートを製造した。
【0069】
この時、製造されたスキン層のセルサイズは0μmであり、発泡層のセルサイズは300~500μmであった。
【0070】
実施例4:食品容器
実施例1で製造した発泡シートをHeaterで熱を加えてシートの表面温度を160℃に加熱した後、キャビティの温度が45℃であり、プラグの温度が65℃である発泡シート成形装置を利用して10秒の間Pressして四角状の食品容器を製造した。
【0071】
実施例5:食品容器
実施例2で製造した発泡シートを使ったことを除いては実施例4と同じ方法で食品容器を製造した。
【0072】
実施例6:食品容器
実施例3で製造した発泡シートを使ったことを除いては実施例4と同じ方法で食品容器を製造した。
【0073】
比較例1
まずPET樹脂100重量部を130℃で乾燥させて水分を除去したし、第1押出機に前記水分が除去されたPET樹脂と前記水分が除去されたPET樹脂100重量部を基準として、ピロメリット酸無水物(Pyromellitic dianhydride)1重量部、タルク1重量部およびIrganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃に加熱して樹脂溶融物を製造した。その後、第1押出機に発泡剤としてButaneをPET樹脂100重量部を基準として5重量部投入し押出発泡したし、発泡層を2mmの厚さに形成してポリエステル発泡層を製造した。この時、冷却装置である円筒形のMandrelの温度を30℃に維持させて発泡層の表面を急速冷却させて発泡層を含む発泡シートを製造した。
【0074】
この時、製造した発泡シートの表面と内部に形成されたセルサイズは300~500μmであった。
【0075】
比較例2
まずPET樹脂100重量部を130℃で乾燥させて水分を除去したし、第1押出機に前記水分が除去されたPET樹脂と前記水分が除去されたPET樹脂100重量部を基準として、ピロメリット酸無水物(Pyromellitic dianhydride)1重量部、タルク1重量部およびIrganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃に加熱して樹脂溶融物を製造した。その後、第1押出機に発泡剤としてButaneをPET樹脂100重量部を基準として5重量部投入し押出発泡したし、発泡層を2mmの厚さに形成してポリエステル発泡層を製造した。この時、冷却装置である円筒形のMandrelの温度を50℃に維持させて発泡層の表面を急速冷却させて発泡層を含む発泡シートを製造した。
【0076】
この時、製造した発泡シートの表面と内部に形成されたセルサイズは700~1000μmであった。
【0077】
比較例3:食品容器
比較例1で製造した発泡シートを使ったことを除いては実施例4と同じ方法で食品容器を製造した。
【0078】
比較例4:食品容器
比較例2で製造した発泡シートを使ったことを除いては実施例4と同じ方法で食品容器を製造した。
【0079】
実験例1:発泡シートの物性測定
前記実施例に係る発泡シートおよび比較例で製造された発泡シートの物性を評価するために、中心線表面粗さ、高温伸び率、およびリッド接着性を測定した。測定方法は下記に記載したし、その結果は下記の表1の通りである。
【0080】
1)中心線表面粗さの測定
KS B 0161に基づいて中心線表面粗さ値を測定した。
【0081】
2)高温伸び率
直径が10cmである円形の発泡シートのサンプルを200℃のオーブンで60秒の間露出させる前と後の発泡シートの体積変化率を測定した。
【0082】
3)リッド接着性測定
PET foam Sheetとリッドフィルム(EVAホットメルト60μm)を25*60mmで準備して、リッド接着用Hot Pressで温度150℃で2kgf圧力でSealingした後、KS M 3725規格を基準として引張試験機を利用して引張速度200mm/分の速度で剥離強度を測定した。
【0083】
【0084】
表1を詳察すると、実施例1~3の発泡シートの中心線表面粗さ値は0.5μm~2μmであることを確認することができる。その反面、比較例1および2の発泡シートは中心線表面粗さ値がそれぞれ5μmおよび7μmに表され、本発明に係る発泡シートの表面粗さ値が遥かに小さく、発泡シートの表面が均一であることが分かる.また、実施例1~3の発泡シートは高温伸び率を測定した結果、250~350%の高温伸び率(200℃、60秒)を表すことを確認することができる。その反面、比較例1および2の発泡シートは高温伸び率がそれぞれ150%および180%に表れることを確認することができる。これを通じて、本発明に係る発泡シートは高温伸び率が優秀であるため、発泡シートの成形性が優秀であることが分かる。
【0085】
さらに、実施例1および2の発泡シートは、KS M 3725による剥離強度が0.7kgf以上であり、具体的には、0.7~1.1kgfの値を表す。比較例の発泡シートが0.4または0.5kgf程度の剥離強度を有するので、比較例と比較して2~3倍程度に剥離強度が増加したことを確認することができる。これを通じて、本発明に係る発泡シートはリッド接着性が優秀であることが分かる。
【0086】
実験例2
本発明に係る発泡シートの形態を確認するために、実施例3の発泡シートを対象に走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)撮影を遂行したし、測定された結果を
図3~
図6に示した。
【0087】
図3は実施例1の発泡シートの断面を走査電子顕微鏡で撮影したイメージであって、ポリエステル樹脂発泡層の一面にスキン層が形成されており、ポリエステル樹脂発泡層は、微細なセルを含んでいることを確認することができる。具体的には、ポリエステル樹脂発泡層の厚さは約1.2±0.1mmであり、スキン層の厚さは200±5μmであり、ポリエステル樹脂発泡層上にスキン層が形成されて発泡シートの表面がなめらかで均一であることが分かる。また、ポリエステル樹脂発泡層に形成されたセルは300~500μmであり、スキン層に形成されたセルは40~90μmであることが分かる。
【0088】
また、
図4は実施例3の発泡シートの断面を走査電子顕微鏡で撮影したイメージであって、ポリエステル樹脂発泡層の一面にスキン層が形成されており、ポリエステル樹脂発泡層は、微細なセルを含んでいることを確認することができる。具体的には、ポリエステル樹脂発泡層の厚さは約1.5±0.1mmであり、スキン層の厚さは90±5μmであり、ポリエステル樹脂発泡層上にスキン層が形成されて発泡シートの表面がなめらかで均一であることが分かる。また、ポリエステル樹脂発泡層に形成されたセルは約300~500μmであり、スキン層に形成されたセルは0μmであることが分かる。
【0089】
これと比較して、
図5は比較例1の発泡シートの断面を走査電子顕微鏡で撮影したイメージであって、ポリエステル樹脂発泡層の一面にスキン層が形成されていないことを確認することができる。具体的には、ポリエステル樹脂発泡層の厚さは約1.5±0.1mmであり、ポリエステル樹脂発泡層に形成されたセルは300~500μmであることが分かる。
【0090】
これを通じて、本発明に係る発泡シートは発泡層の一面または両面にスキン層を形成することによって、表面が均一でリッド接着性が優秀であることが分かる。
【0091】
実験例3
本発明に係る発泡シートで製造した食品容器の物性を確認するために、実施例4~6、比較例3および4で製造した食品容器はH/D(H:収容部の深さ、D:開口部の直径)が0.4である四角形態の容器で、熱成形して製造したものであって、前記食品容器を対象に高温の水を入れた時の下記の数学式1による体積変化率を測定して耐熱性を評価したし、前記食品容器の側面と下面の厚さ比率を測定して成形性を評価したのであり、その結果は表2に表した。
【0092】
[数学式1]
|V1-V0|/V0×100
【0093】
前記数学式1において、V0は食品容器に100℃の水を入れて2分の間露出させる前の食品容器の体積であって、単位はcm3であり、V1は食品容器に100℃の水を入れて2分の間露出させた後の食品容器の体積であって、単位はcm3である。
【0094】
【0095】
表2を詳察すると、実施例4~6の食品容器は耐熱性実験を通じて寸法変化率を測定した結果、数学式1で示した寸法変化率値が1%以下に示されることが分かる。具体的には、実施例1~3の寸法変化率はいずれも1%に示された。その反面、比較例3および4の食品容器の寸法変化率は3%以上であって、高温の状態で寸法変化率が高いものと示された。したがって、本発明に係る発泡シートは耐熱性が優秀であることが分かる。
【0096】
また、実施例4~6の食品容器は側下厚さ比率を測定した結果、食品容器の側面と下面の厚さ比率が0.8%以上であることを確認することができる。具体的には、実施例4~6の食品容器の側下厚さ比率はそれぞれ0.9または1と示された。その反面、比較例3および4で製造した食品容器の側面と下面の厚さ比率は0.5または0.3であることを確認することができる。これを通じて、本発明に係る発泡シートは、成形性が優秀であるため食品容器の製造が容易であることが分かる。
【0097】
本発明に係る発泡シートは発泡層の一面または両面にスキン層を形成することによって、発泡シートの表面が均一であり、一定範囲の結晶化度を有するため熱成形性が優秀であるだけでなく、リッド接着性が優秀であり、体積変化率が小さい食品容器を提供することができる。