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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】アンテナ回路
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/02 20060101AFI20220125BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
H01Q19/02
H01Q1/24 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020036769
(22)【出願日】2020-03-04
(62)【分割の表示】P 2017235785の分割
【原出願日】2011-11-22
(65)【公開番号】P2020080578
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】61/416,093
(32)【優先日】2010-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/473,726
(32)【優先日】2011-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/477,587
(32)【優先日】2011-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/514,435
(32)【優先日】2011-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517297223
【氏名又は名称】エヌキャップ ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】nCap Licensing,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、レット フランシス
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス、エリック グスマン
(72)【発明者】
【氏名】ステラ、アンソニー ジョセフ
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-251118(JP,A)
【文献】実開昭63-074813(JP,U)
【文献】特開2004-303962(JP,A)
【文献】特開2004-236289(JP,A)
【文献】米国特許第05245745(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/02
H01Q 1/24
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内で使用されるアンテナ回路であって、
該電子機器の少なくとも送信機に電気的に接続された第1のエレメントと、
導電性粒子ベースの材料からな第2のエレメントと、
導電性材料からな第3のエレメントとを備え、
該第1のエレメント、該第2のエレメント、及び該第3のエレメントは、該電子機器内に設けられ、
該第1のエレメントと該第3のエレメントとは、該第2のエレメントを介して機械的に接続され、
該第1のエレメント、該第2のエレメント、及び該第3のエレメント積層構造に設けられており
該第エレメント平坦であるとともに、該第2のエレメントのすぐに設けられてかつ該第2のエレメントに直接接触しており
該第2のエレメントは平坦であるとともに、該第1のエレメントのすぐ隣に設けられてかつ該第1のエレメントに直接接触しており
該導電性粒子ベースの材料は導電性粒子を含み、該導電性粒子の少なくとも大部分が相互に隣接するが、相互に触れないようにバインダ内に分散された状態にあり、
該バインダは、相互に隣接するが相互に触れない少なくとも一部の該導電性粒子間に設けられ、
該導電性粒子ベースの材料の相互に隣接する導電性粒子の少なくとも一部は、誘導的または容量的に互いに結合された状態にある、アンテナ回路。
【請求項2】
該導電性粒子が、異なる不均一形状の導電性粒子、種々のサイズからなる導電性粒子、及び30マイクロメートルよりも小さい導電性粒子のうち少なくとも何れかを含む、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項3】
該第2のエレメントを形成する該導電性粒子ベースの材料のうちの該導電性粒子の少なくとも一部が、該第1のエレメントに誘導的又は容量的に結合され 該第2のエレメントを形成する該導電性粒子ベースの材料のうちの該導電性粒子の少なくとも部分集合が、該第3のエレメントに誘導的又は容量的に結合されている、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項4】
該第3のエレメントは、剛性を有する導電性金属で形成されている、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項5】
該第3のエレメントは、該電子機器のハウジングの内面の一部である、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項6】
非導電性材料が、該第2のエレメントの一方の面の少なくとも一部に隣接して設けられている、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項7】
該第2のエレメントは、柔軟性及び半柔軟性のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項8】
該第2のエレメントは、基準接地に接続されている、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項9】
該第2のエレメントは、伝送ラインである、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項10】
該第2のエレメントは、アンテナ増強エレメントである、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項11】
該第2のエレメントは、放射アンテナエレメントである、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項12】
該第1のエレメントは、無線信号を該第2のエレメントに通過させる、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項13】
該第1のエレメントは、レシーバに電気的に接続されている、請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項14】
該第2のエレメントは、伝送ラインである、請求項13に記載のアンテナ回路。
【請求項15】
該第2のエレメントは、アンテナ増強エレメントである、請求項13に記載のアンテナ回路。
【請求項16】
該第2のエレメントは、受信及び放射アンテナエレメントである、請求項13に記載のアンテナ回路。
【請求項17】
該第1のエレメントは、該第2のエレメントへの無線信号及び該第2のエレメントからの無線信号を通過させる、請求項13に記載のアンテナ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ回路に関する。詳しくは、電磁放射線の伝播、放出および吸収のうち少なくとも1つの用途で用いられる材料のための技術に関する。さらに詳しくは、本発明は、電磁放射線の伝播、放出および吸収のうち少なくとも1つの用途で用いられる、導電性粒子ベースの材料のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアンテナは、印加された交流電圧および関連する交流電流に応答して放射電磁場を生じさせるように用いられるか、または電磁場がアンテナにおいて交流電流、およびその端末間の電圧を誘導するように該場に置くことができる一以上の導電性エレメントの配置を備えたデバイスである。従来のアンテナで使用される導電性エレメントは、典型的には、固体金属導電体から製造される。しかしながら、固体金属導電体の使用は限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-088038号公報
【文献】特開2010-251430号公報
【文献】特開昭62-048107号公報
【文献】特開平8-146119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、電磁放射線の伝播、放出および吸収のうち少なくとも1つの用途で用いられる改良された材料、および該改良された材料の実施に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、少なくとも上述した問題や欠点に取り組み、少なくとも以下に記載する利点を提供することである。従って、本発明の態様は、電磁放射線の伝播、放出および吸収のうちの少なくとも1つで用いる導電性粒子ベースの材料のための技術を提供するものである。
【0006】
本発明の一態様によると、アンテナ増強部材が提供される。該アンテナ増強部材は、導電性粒子ベースの材料からなるアンテナ増強エレメントを備える。該アンテナ増強エレメントは、放射及び受信の少なくとも一方のアンテナエレメントに隣接しかつ該アンテナエレメントからずらした状態で配置されている。前記アンテナ増強エレメントは、前記アンテナエレメントから電気的に絶縁された状態にある。該導電性粒子ベースの材料が、バインダ内に分散した状態の導電性粒子を含む。該導電性粒子は、該導電性粒子の少なくとも大部分が相互に隣接するが、相互に触れないようにバインダ内に分散された状態にある。
【0007】
当該発明の他の態様、利点、および顕著な特徴は、添付の図面と一緒になって、当該発明の例示的な実施態様を開示する以下の詳細な記載から当業者に明らかとなるであろう。
本発明のある例示的な実施態様の前記および他の態様、特徴、および利点は、添付の図面と一緒になって以下の記載からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの材料を撮影したイメージである。
図2図2は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナを示す。
図3図3は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナの構造を示す。
図4図4は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナの増強部の実施を示す。
図5図5は、本発明の例示的な実施態様によるコーティングされた導電性粒子ベースのアンテナの増強部の構造を示す。
図6図6は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナの増強部で部分的にコーティングされたアンテナを示す。
図7図7は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いられる型を示す。
図8図8は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの適合するアンテナの製造方法を示す。
図9図9は、本発明の例示的な実施態様によるコンピュータ化デバイスを用いて導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造する方法を示す。
図10図10は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いられるコンピュータ化デバイスの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を通じて、同様な符号は、同様な部品、構成要素、および構造をいうと理解されるであろう。
以下の記載は、添付の図面を参照し、特許請求の範囲によって定義される発明の例示的な実施態様およびそれらの同等物の包括的な理解を助けるために提供する。それは、その理解を助けるための種々の具体的な詳細を含むが、これらは、単に例示的なものとみなされるべきである。従って、当業者であれば、本明細書中に記載された実施態様の種々の変形および修飾を当該発明の範囲および精神から逸脱することなくなすことができるのを認識できるであろう。加えて、よく知られた機能および構築の記載は明瞭性および簡潔性のために省略する。
【0010】
以下の記載および特許請求の範囲で用いられる用語および語句は文言上の意味に限定されるものではなく、発明の明瞭かつ合致する理解を可能とするために発明者によって用いられるに過ぎない。従って、本発明の例示的な実施態様の以下の記載は、説明目的だけのためであって、特許請求の範囲によって定義される発明およびそれらの同等物を限定する目的ではなく提供されるのは当業者に明らかなはずである。
【0011】
単数形「ある」および「該」は、文脈が明瞭にそうでないことを指示するのでなければ複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「ある構成要素の表面」への言及は、そのような表面の一以上への言及を含む。
【0012】
本明細書中で用いられる、用語「実質的に」とは、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全なまたはほとんど完全な程度または度合をいう。例えば、「実質的に」包まれた物体は、該物体が完全に包まれた、またはほとんど完全に包まれた、のいずれかであることを意味するであろう。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容される度合いは、いくつかの場合において、特定の文脈に依存することができる。しかしながら、一般的に言って、完全性の近似は、あたかも絶対的なおよび全くの完全が得られたかのごとく全体としては同一の結果となる。「実質的に」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全なまたはほとんど完全な欠如をいうために否定的な暗示的意味で用いる場合に同等に適用可能である。
【0013】
本明細書中で用いる用語「約」は、所与の値が終点「よりも少し超える」または「よりも少し下回る」ものであり得ることを供することにより、数値範囲の終点に対する柔軟性を供するのに用いられる。
【0014】
本明細書中で用いる、用語「アンテナ」とは、電磁放射線を送信し、または受信するのに用いるトランスデューサをいう。すなわち、アンテナは電磁放射線を電気的信号に変換し、またその逆の変換も行う。電磁放射線は、それが空間を通って移動するにつれて波-様挙動を呈するエネルギーの形態である。自由な空間において、電磁放射線は、非常に低い伝達の喪失でもって光速に近い速さで移動する。電磁放射線は、導電性材料を通って伝播する場合に吸収される。しかしながら、そのような材料の界面に遭遇すると、電磁放射線は部分的に反射され、およびそれを通って部分的に伝達される。ここに、以下に記載される本発明の例示的な実施態様は、界面における反射を低下させることによってより有効な界面を可能とする技術に向けられる。
【0015】
加えて、以下に記載される本発明の例示的な実施態様は、電磁放射線の伝播、放出および吸収のうちの少なくとも1つで用いられる導電性粒子ベースの材料のための技術に関する。導電性粒子ベースの材料のための技術を種々の具体的な実施において以下に記載することができるが、本発明はそれらの具体的な実施に限定されず、他の実施に同様に適用可能である。
【0016】
導電性粒子ベースの材料の最初の概観が以下に提供され、次いで、導電性粒子ベースの材料が使用される具体的な実施がさらに以下に詳細に記載される。導電性粒子ベースの材料のこの最初の概観は、種々の例示的な実施の基礎である導電性粒子ベースの材料を理解するにおいて読者を助けることを意図するが、種々の例示的な実施の鍵となる特徴または必須の特徴を同定する意図ではなく、また特許請求される対象の範囲を限定する意図ではない。
【0017】
導電性粒子ベースの材料
1つの例示的な実施態様において、導電性粒子ベースの材料が使用される。導電性粒子ベースの材料は、少なくとも2つの構成要素、すなわち、導電性粒子およびバインダを含む。しかしながら、導電性粒子ベースの材料は、黒鉛、炭素(例えば、カーボンブラック)、二酸化チタン等のうち少なくとも1つの材料をさらに含む成分を含んでもよい。
【0018】
導電性粒子は、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鋼、金属合金、カーボンナノチューブ、任意の他の導電性材料、およびその任意の組合せのような任意の導電性材料であってもよい。例えば、1つの例示的な実施態様において、導電性粒子は銀でコーティングされた銅である。別法として、導電性粒子は導電性材料および非導電性材料の組合せであってもよい。例えば、導電性粒子は、先に記載された導電性材料のいずれかのような導電性材料でコーティングされたセラミック磁性マイクロスフィアであってもよい。さらに、導電性粒子の各々の組成は相互に変化してもよい。
【0019】
導電性粒子はランダムな不均一形状ないし幾何学的構造のいずれの形状であってもよい。導電性粒子は、全て、同一の形状を有してよく、または導電性粒子は形状が相互に異なってよい。例えば、1つの例示的な実施態様において、導電性粒子の各々は、導電性粒子間で異なるランダムな不均一形状を有してもよい。
【0020】
導電性粒子は、サイズが、数ナノメートルから数千ナノメートルまでの間であってもよい。別法として、導電性粒子は、サイズが、約400ナノメートルから30マイクロメートルの範囲であってもよい。導電性粒子は、サイズが実質的に同様であってよく、または先に確認された範囲に含まれる種々のサイズのものであってもよい。例えば、1つの例示的な実施態様において、導電性粒子は、約400ナノメートルから30マイクロメートルの範囲の種々のサイズのものである。ここに、導電性粒子のサイズの一定範囲を使用する場合、サイズの分布は該範囲にわたって均一であるか、不均一であってもよい。例えば、導電性粒子の75%は所与の範囲内でより大きなサイズであってよく、他方、導電性粒子の25%はより小さなサイズである。
【0021】
有効量の導電性粒子が、導電性粒子がバインダ内に分散されるように、バインダに対して含まれる。導電性粒子はバインダにランダムに、または秩序よく分散されてよい。導電性粒子は均一なまたは不均一な密度で分散されてもよい。導電性粒子は、導電性粒子の少なくとも大部分が相互に密接に隣接するが、相互に触れないように分散されてもよい。
【0022】
バインダは、相互に対して導電性粒子を実質的に固定するために用いられ、非導電性または半導電性物質とすべきである。これらの基準を満足する任意のタイプの従来のまたは新規なバインダを用いてもよい。所与の誘電率を持つ誘電体として機能させるために、バインダの非導電性または半導電性材料を選択してもよい。
【0023】
導電性粒子ベースの材料は、剛性または半剛性構造として形成されてもよい。例えば、導電性粒子ベースの材料は、その中に分散された導電性粒子を有するプラスチックシートであってもよい。導電性粒子ベースの材料は透明または半透明であってよく、かつ任意の濃淡の色彩を含んでもよい。
【0024】
加えて、導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インクまたはペーストであってもよい。ここに、バインダは蒸留物、硬化剤、または揮発性有機化合物(VOC)のような溶媒を含んでもよい。この場合、導電性粒子ベースの材料を基板に適用してもよい。また、導電性粒子ベースの材料が、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インクまたはペーストである場合、バインダを基板に接着させてもよい。導電性粒子ベースの材料は基板に噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、インク-ジェット印刷し、シルクスクリーニングに付す等してもよい。乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インクまたはペーストである導電性粒子ベースの材料の使用は、導電性粒子ベースの材料を薄く基板に塗布してもよく、および基板の表面に塗布させてもよい点で有利である。これは、導電性粒子ベースの材料が非常に小さな空間を占有し、事実、基板に一体化することを可能とする。
【0025】
基板はいずれの導電性、非導電性または半導電性基板の表面であってもよい。基板は剛性、半柔軟性または柔軟性であってもよい。基板は平坦、不規則な形状、または幾何学的形状であってもよい。基板は紙、布、プラスチック、ポリカーボネート、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ゴム、アルミニウム、鋼および金属合金のような金属、ガラス、複合材料、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンのような繊維補強プラスチック、テキスタイル、木材等であってもよい。
【0026】
基板はそれに適用されたコーティングを有してもよい。コーティングは導電性、非導電性または半導電性物質であってもよい。コーティングは塗料、ゲル、インク、ペースト、テープ等であってもよい。コーティングは、所与の誘電率を持つ誘電体として機能するように選択してもよい。
【0027】
一旦、導電性粒子ベースの材料が基板に適用されたならば、保護および隠蔽(または装飾的)コーティングの少なくとも1つを導電性粒子ベースの材料に適用してもよい。
導電性粒子ベースの材料の例を、図1を参照し、以下に記載する。
【0028】
図1は本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの材料を撮影したイメージである。
図1を参照すると、導電性粒子ベースの材料は導電性粒子およびバインダを含む。導電性粒子はランダムに成形され、ランダムな大きさを有し、ランダムに位置している。しかしながら、導電性粒子は、導電性粒子の少なくとも大部分が相互に密接に隣接するが、相互に触れないように分散される。
【0029】
ここに、限定されることを意図することなく、所与の密度の導電性粒子の導電性粒子ベースの材料では、導電性粒子の少なくとも大部分が相互に密接に隣接するが、相互に触れないように、導電性粒子がバインダ内に分散されるような厚みで、導電性粒子ベースの材料は適用されてもよい。ここに、限定される意図なくして、導電性粒子ベースの材料は、表面上の任意の所与の2つの点にわたって約3~17オームの抵抗を有することが観察された。
【0030】
ここに、限定される意図なくして、導電性粒子の少なくとも大部分が相互に密接に隣接するが、相互に触れないように導電性粒子がバインダ内に分散されるよう、導電性粒子ベースの材料が処方される場合、導電性粒子ベースの材料は、有効に電磁放射線を伝播し、有効に電磁放射線を空間から吸収し、および有効に電磁放射線を空間に放出する、の少なくとも1つを可能とする特性を呈することが観察された。さらに、それらの特性は、有効量のカーボンブラックのような炭素を導電性粒子ベースの材料に含ませることによって補足し、または増強させてもよいことが観察された。例えば、カーボンブラックの有効量は、導電性粒子ベースの材料に含まれる導電性粒子の約1~7%に対応する量であってもよい。
【0031】
限定されることを意図することなく、電磁放射線が導電性粒子ベースの材料に導入される場合、電磁放射線は容量性および誘導性結合のうちの少なくとも1つを介して導電性粒子から導電性粒子に通過できると信じられる。ここに、バインダは誘電体として機能してもよい。かくして、導電性粒子ベースの材料は、キャパシターのアレイとして作用することができ、これは、なぜ導電性粒子ベースの材料が電磁放射線を有効に伝播し、電磁放射線を空間から有効に吸収し、および電磁放射線を有効に空間に放出する、のうちの少なくとも1つを行うかの理由の少なくとも一部分であり得ると信じられる。
【0032】
別法として、または加えて、かつ限定される意図なくして、導電性粒子ベースの材料が電磁放射線を有効に伝播し、電磁放射線を有効に空間から吸収し、および電磁放射線を有効に空間に放出する、のうちの少なくとも1つを可能とする特性は、原子レベルの量子理論によって説明することができると信じられる。
【0033】
ここに、限定される意図なくして、導電性粒子ベースの材料は、日光に暴露した場合に電気的エネルギーを発生することが観察された。
ここに、限定される意図なくして、導電性粒子ベースの材料の抵抗は経時的に連続的に変化することが観察された。ここに、限定される意図なくして、無線信号でエネルギーを与えた場合、導電性粒子ベースの材料はその信号に対して無限に低い抵抗を有することが観察された。
【0034】
ここに、本開示は、限定される意図なくして、電磁放射線との関連で記載されるが、本発明は生体磁気エネルギーに等しく適用できると信じられる。かくして、電磁放射線に言及する本明細書中におけるいずれの開示も生体磁気エネルギーに等しく適用される。
【0035】
導電性粒子ベースのアンテナ
1つの例示的な実施態様において、導電性粒子ベースの材料は、導電性粒子ベースのアンテナを実施するのに使用される。導電性粒子ベースのアンテナとして用いる場合、導電性粒子ベースのアンテナは導電性粒子ベースの材料を用いて製造される。ここに、導電性粒子ベースの材料は、アンテナの所望の特徴に適合する形状に形成することができる。例えば、アンテナの形状およびサイズは、通信すべき電磁放射線の周波数、または分極、あるいはその両方に依存して変化させることができる。導電性粒子ベースのアンテナは、導電性粒子ベースのアンテナの結合点においてレシーバ、トランスミッター、およびトランシーバのうちの少なくとも1つに電気的に、容量的に、および誘導的に結合される、の少なくとも1つがなされる。導電性粒子ベースのアンテナの結合点は、導電性粒子ベースのアンテナの実質的に終点であってもよい。導電性粒子ベースのアンテナの結合点は、レシーバ、トランスミッター、またはトランシーバに電気的に結合した供給ラインの結合点に結合させてよい。容量的にまたは誘導的に結合された場合、結合は、エアギャップを含み、またはその中に配置されたガラスのような基板を有する距離を通じて起こり得る。
【0036】
導電性粒子ベースのアンテナを導電性粒子ベースの材料を用いて製造する場合、導電性粒子ベースのアンテナは、導電性粒子ベースのアンテナの小さなセクションのみを用いて、電磁放射線を空間に放出することによって、広い帯域の自己チューニング特徴を呈することができる。
【0037】
加えて、導電性粒子ベースのアンテナを導電性粒子ベースの材料を用いて製造する場合、小さな現実のサイズ、および相互に接触しない大部分の粒子のためIR損失は全くまたはほとんどないであろう。加えて、小さな現実のサイズのため無線周波数(RF)表皮効果の損失は全くまたはほとんどないであろう。一旦、信号が導電性粒子ベースのアンテナに結合されたならば、導電性粒子ベースのアンテナは伝送信号に対してほとんどまたは全く抵抗を供さず、およびそれは有意な損失無くして空間に放出される。受信時には同じことが逆に起こり得る。すなわち、受信された信号はほとんどないし全く損失無くして結合デバイスに吸収され、かつ送達することができ、次いで、供給ラインを下ってレシーバまで伝播される。
【0038】
導電性粒子ベースのアンテナの例を、図2を参照して以下に記載する。
図2は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナを示す。図2に示された導電性粒子ベースのアンテナ200の特定の構造は、説明のために用いられる単なる例であって、限定される意図ではない。図2の導電性粒子ベースのアンテナ200を製造するのに用いる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0039】
図2を参照すると、導電性粒子ベースのアンテナ200は基板210、第1のアンテナセグメント220A、第2のアンテナセグメント220B、第1のカプラ230A、第2のカプラ230B、および供給ライン240を含む。
【0040】
基板210はプレキシガラスのような非導電性材料の剛性平坦シートである。しかしながら、任意の他の表面を基板210として選択してもよい。例えば、車両の表面、ビルの壁、無線機器、ガラス、樹木、布、岩、プラスチックシート等のケーシングを基板として選択してもよい。導電性材料が基板210として選択される場合、非導電性または半導電性材料の絶縁コーティングを、導電性粒子ベースのアンテナ200が適用される基板210の領域に適用することができる。非導電性または半導電性材料の絶縁コーティングの例はプラスチックテープ、紙テープ、塗料等を含む。また、基板210が導電性材料である場合、基板を接地面として利用してもよい。加えて、表面調製コーティングを、基板210に適用してよく、それは、導電性粒子ベースの材料の基板210への良好な接着を可能とする。絶縁コーティングは表面調製コーティングと同一の機能を供することができる。また、表面調製コーティングを絶縁性コーティングの直下または頂部に適用してもよい。さらに、表面調製コーティングは、絶縁性コーティングを適用しない場合に用いてよい。
【0041】
第1のアンテナセグメント220Aおよび第2のアンテナセグメント220Bを所望の設計に従って基板210に適用する。ここに、第1のアンテナセグメント220Aはアクティブなアンテナエレメントとして機能しており、および第2のアンテナセグメント220Bは接地面として機能している。基板210が接地面として機能しているか、またはアースが使用される場合、第2のアンテナセグメント220Bを省略してもよい。ここに、第1のアンテナセグメント220Aおよび第2のアンテナセグメント220Bは、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方される導電性粒子ベースの材料を用いて形成される。非導電性材料は噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーニングに付し、インクジェット印刷等してもよい。
【0042】
第1のカプラ230Aおよび第2のカプラ230Bは、各々、第1のアンテナセグメント220Aおよび第2のアンテナセグメント220Bに電気的に、容量的に、および誘導的に結合させる、の少なくとも1つを行う。加えて、第1のカプラ230Aおよび第2のカプラ230Bは、第1のアンテナセグメント220Aおよび第2のアンテナセグメント220Bに接着させ、またはそうでなければそれと固定された関係とする。第1のカプラ230Aおよび第2のカプラ230Bは、供給ライン240の各点に電気的に連結される。
【0043】
供給ライン240は第1のカプラ230Aおよび第2のカプラ230Bに電気的に連結される。また、供給ライン240はレシーバ、トランスミッター、およびトランシーバの少なくとも1つに電気的に連結される。
【0044】
導電性粒子ベースのアンテナの構造の例は、図3を参照して以下に記載される。
図3は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナの構造を示す。図3に示される導電性粒子ベースのアンテナの特定の構造は説明のために用いられる単なる例であって、限定される意図はない。図3の導電性粒子ベースのアンテナを製造するのに用いる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0045】
図3を参照すると、導電性粒子ベースのアンテナは基板310、第1のコーティング350、導電性粒子ベースの材料のコーティング320、および第2のコーティング360を含む。基板310、第1のコーティング350、および第2のコーティング360の一以上を省略してもよい。加えて、一以上のさらなるコーティングを利用してもよい。
【0046】
基板310は、物体がいずれの材料で構築されているかに拘わらず、任意の物体の任意の表面であってもよい。例えば、車両の表面、ビルの壁、無線機器、ガラス、樹木、布、岩、プラスチックシート等のコーティングを基板として選択してもよい。基板310が導電性材料である場合、基板310は接地面として機能してもよい。
【0047】
第1のコーティング350は基板310の頂部に適用される。第1のコーティング350は絶縁性コーティングおよび表面調製コーティングの少なくとも1つであってもよい。絶縁性コーティングとして、第1のコーティング350は非導電性または半導電性材料であってもよい。非導電性または半導電性材料の絶縁性コーティングの例はプラスチックテープ、紙テープ、塗料等を含む。表面調製コーティングとして、第1のコーティング350は、導電性粒子ベースの材料のコーティング320の基板310への良好な接着を可能とする任意の材料であってもよい。そのコーティングは絶縁性コーティングおよび表面調製コーティング双方として機能してもよい。別の方法として、別々の絶縁および表面調製コーティングを一緒に、または個々に利用してもよい。第1のコーティング350は乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方してもよい。この場合、第1のコーティング350を噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等してもよい。第1のコーティング350は省略してもよい。
【0048】
導電性粒子ベースの材料のコーティング320は、もし存在すれば、第1のコーティング350の頂部に適用される。そうでなければ、導電性粒子ベースの材料のコーティング320は基板310の頂部に適用される。別法として、導電性粒子ベースの材料のコーティング320は独立した構造であってもよい。導電性粒子ベースの材料のコーティングは、本明細書中に記載された導電性粒子ベースの材料のいずれの処方を用いて処方してもよい。例えば、導電性粒子ベースの材料のコーティング320は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されてよい。この場合、非導電性材料は噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等してもよい。
【0049】
第2のコーティング360は、もし利用されれば、導電性粒子ベースの材料のコーティング320の頂部に適用される。第2のコーティング360は、導電性粒子ベースの材料のコーティング320を保護するように機能し、または隠蔽するように機能し、あるいはその両方として機能してもよい。第2のコーティング360は、導電性粒子ベースの材料のコーティング320を保護するように機能し、または隠蔽するように機能し、あるいはその両方として機能する任意の材料または構造であってもよい。そのコーティングは保護コーティングおよび隠蔽コーティング双方として働いてよい。別法として、別々の保護および隠蔽コーティングを一緒に、または個々に利用してもよい。1つの例示的な実施態様において、第2のコーティング360は乾燥、または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方される。この場合、第2のコーティング360は噴霧され、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等されてもよい。第2のコーティング360は省略されてもよい。
【0050】
テストを行って、導電性粒子ベースのアンテナを従来のアンテナと比較した。導電性粒子ベースのアンテナを、導電性粒子ベースの材料を用いて形成し、他方、従来の銅アンテナは固体銅ストリップを用いて形成した。導電性粒子ベースのアンテナおよび従来の銅アンテナの双方は、もしあれば、特定の構造の効果が双方のアンテナに対して同等になるように、同一サイズの同一形状(すなわち、図2に示された形状)で製造した。非導電性プレキシガラス基板を用いて、双方のアンテナを固定した。同一の送信電力および周波数をテストで用いた。選択された周波数は約460MHzの範囲内であった。テスト機器は八重洲無線社のFT7900デュアルバンドFMトランシーバ、Telewave型式44Wattmeter、およびテストアンテナから48.8メートル(160フィート)に位置した八重洲無線社の型式Rubber Duckアンテナと共に用いられるSAモードで操作されるFieldFox型式N9912Aポータブル・ネットワーク・アナライザーを含むものであった。従来の銅アンテナおよび導電性粒子ベースのアンテナについてのテストデータを表1において以下に掲げる。
【0051】
【表1】

表1で分かるように、導電性粒子ベースのアンテナは、従来の銅アンテナの順電力(すなわち、22ワット)よりも有意により高い順電力(すなわち、41ワット)を呈する。これは、従来の銅アンテナの逆電力(すなわち、12ワット)よりも有意により低い逆電力(すなわち、1ワット)を呈する導電性粒子ベースのアンテナによって説明することができる。従って、導電性粒子ベースのアンテナの得られた相対的信号強度は、従来の銅アンテナの得られた相対的信号強度(-35デシベル)よりも高い(-26デシベル)。
【0052】
テストから拾うことができるように、所与のアンテナ構造では、導電性粒子ベースのアンテナは、従来の銅アンテナよりも電磁放射線を空間に放出するにおいてより有効である。従って、導電性粒子ベースのアンテナは従来の銅アンテナよりもより高い有効な利得を有する。また、より小さな逆電力があるので、導電性粒子ベースのアンテナへのより低い電磁放射線の入力は熱に変換され得る。かくして、アンテナは所与の入力電力についてより低い温度で作動することができ、従って、より高い電力定格を有することができる。
【0053】
導電性粒子ベースのアンテナを用いることによる加えられた利得は、所与のアンテナ構造についてのより高い利得、またはより低い送信電力、あるいはその両方が望まれるいずれの適用にもよく適合する。
【0054】
導電性粒子ベースのアンテナの伝送性能は、アンテナを駆動するのに用いられる増幅器のタイプに依存して変化することが観察された。例えば、前記テストにおいて八重洲無線社のFT7900デュアルバンドFMトランシーバで用いられるトランスミッターはC級増幅器である。線形A級増幅器を使用する場合、導電性粒子ベースのアンテナの伝送性能は低下し、従来の銅アンテナのそれに近づく。かくして、導電性粒子ベースのアンテナの性能は、C級増幅器のような全入力サイクルよりも小さい場合に作動する増幅器と共に用いられる場合により大きい。説明の便宜のために本明細書中においてはC級増幅器について言及するが、全入力サイクルよりも小さい場合に作動する任意の増幅器の使用も同等に適用可能である。
【0055】
ここに、電力拘束デバイスは、典型的には、C級増幅器を使用して、それらの有効性を利用して、電力を節約する。同様に、C級増幅器を使用する電力拘束デバイスにおける導電性粒子ベースのアンテナの使用は、さらに電力を節約するような導電性粒子ベースのアンテナの有効性を利用する。導電性粒子ベースのアンテナを用いることによって電力拘束デバイスによって得られる電力節約は、より長い操作時間を提供でき、またはより小型化でき、あるいはその両方を可能とする電力源(例えば、バッテリー)を可能とし、それにより、より小型のデバイス、またはより低いコスト、あるいはその両方を可能とすることができる。
【0056】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部
1つの例示的な実施態様において、導電性粒子ベースの材料を使用して、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を実施する。導電性粒子ベースのアンテナ増強部として用いる場合、導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、導電性粒子ベースの材料を用いて製造される。ここに、導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、従来のアンテナに対して、その間に設けられた非導電性または半導電性材料と共に、隣接し、ずれた関係で設けられる。別法として、または加えて、従来のアンテナおよび導電性粒子ベースのアンテナ増強部の間のエアキャップを使用してもよい。ここに、従来のアンテナは、レシーバ、トランスミッター、およびトランシーバのうちの少なくとも1つに電気的に結合される。
【0057】
この配置において、導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、従来のアンテナに容量的におよび誘導的の少なくとも1つで結合されている。ここに、従来のアンテナから導電性粒子ベースのアンテナ増強部に容量的および誘導的に結合されている電磁放射線は、導電性粒子ベースのアンテナ増強部によって有効に空間に放射される。
【0058】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、従来のアンテナに隣接し、かつそれからずらして製造し、および位置させることができる。例えば、導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、それを従来のアンテナに隣接しかつずれた関係に置く構造に加え、または形成してもよい。
【0059】
例えば、該構造は、従来のアンテナと、導電性粒子ベースの材料が適用される表面との間にエアギャップを作り出すことができる。該構造は、非導電性材料から構成することができる。別法として、該構造は、導電性材料から構成され、かつ非導電性材料で少なくとも部分的にコーティングされていてもよい。もし該構造が導電性材料から構成されていれば、導電性粒子ベースの材料は、該構造をコーティングする非導電性材料の頂部に適用することができる。ここに、導電性粒子ベースの材料は、従来のアンテナに最も近い構造の側または従来のアンテナから最も遠い構造の側に適用することができる。導電性粒子ベースの材料は、非導電性材料またはその他の材料の層でコーティングしてもよい。該構造の例は、デバイスのハウジング(例えば、無線機器のハウジング)、既存のアンテナ上に置かれたエンクロージャー、およびデバイスのハウジング上に置かれたケース(例えば、無線機器のための保護カバー)を含む。導電性粒子ベースの材料は、従来のアンテナに容量的におよび誘導的に結合されている、のうちの少なくとも1つであり、それにより、従来のアンテナの性能を増大させる。ここに、非導電性材料またはエアギャップあるいはその両方の厚みは導電性粒子ベースのアンテナ増強部の性能利得に直接的に影響し、もし非導電性厚みまたはエアギャップあるいはその両方が余りにも大きいと、性能は減少し得る。エアギャップまたは非導電性材料の厚みあるいはその両方と、従来のアンテナの設計で想定されている周波数の波長との関係性は非常に小さい。前記した例示的な実施の具体的例において、アップル社によって製造されるiPhone(登録商標)のための従来のバンパーケースは、iPhone(登録商標)のアンテナに隣接するある部分(iPhone(登録商標)がその中に設置される場合に隠蔽される表面)に適用された導電性粒子ベースの材料を有してもよい。ここに、導電性粒子ベースの材料は、頂部に適用された非導電性材料の層を有してもよい。
【0060】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部の実施のもう1つの例は、図4を参照して以下に記載される。
図4は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナ増強部の実施を示す。図4に示された導電性粒子ベースのアンテナの特定の構造は、説明で用いる例に過ぎず、限定される意図ではない。図4の導電性粒子ベースのアンテナ増強部を製造するのに用いられる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0061】
図4を参照すると、無線機器480および保護カバー490が示される。無線機器480は内部アンテナ470を含む。保護カバー490は、無線機器480が保護カバー490に設けられる場合に、内部アンテナ470に隣接するように設けられた導電性粒子ベースのアンテナ増強部420を含む。
【0062】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は内部アンテナ470のサイズに対応することが示されているが、導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は内部アンテナ470よりも小さいかまたは大きくてもよい。加えて、導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は内部アンテナに直ちに隣接して設けられているとして示されているが、導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は保護カバー490上の異なる位置に設けられてもよい。
【0063】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は保護カバー490の内側表面に適用されているとして示されているが、導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は、保護カバー490の外側表面に適用してよく、また保護カバー490内に設けられてもよい。導電性粒子ベースのアンテナ増強部420が保護カバー490内に設けられている場合、保護カバー490を構築するのに用いられる材料は、導電性粒子ベースの材料のためのバインダとして機能してもよい。導電性粒子ベースのアンテナ増強部420が導電性粒子ベースの材料の内側または外側表面に設けられている場合、絶縁コーティング、表面調製コーティング、保護コーティング、および隠蔽コーティングの一以上を用いてもよい。加えて、導電性粒子ベースのアンテナ増強部420は、保護カバー490に固定された(基板が有るまたは無い)独立した構造として形成してもよい。
【0064】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部は既存の従来のアンテナに付加してよく、または従来のアンテナが製造される時点で付加されてもよい。
1つの例示的な実施態様において、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を用いて、非導電性材料でコーティングされている従来のアンテナをコーティングする。非導電性材料のコーティングは、乾燥または硬化される液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして実施されてもよい。ここに、非導電性材料は噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等してもよい。別法として、非導電性材料のコーティングは、従来のアンテナに適用されるフィルム、またはテープであってもよい。他の材料の層は、従来のアンテナと非導電性材料との間、または非導電性材料と導電性粒子ベースの材料との間、あるいはその両方に設けてもよい。ここに、配置に依存して、導電性粒子ベースの材料は、非導電性材料またはその他の材料あるいはその両方の層でコーティングされてもよい。ここに、非導電性材料の厚みは導電性粒子ベースの材料の性能利得に直接的に影響し得るが、もし非導電性材料の厚みが余りにも大きいと、性能は減少し得る。非導電性材料の厚みと、従来のアンテナの設計で想定されている周波数の波長との関係性は非常に少ない。
【0065】
コーティングされた導電性粒子ベースのアンテナ増強部の例を、図5を参照して以下に記載する。
図5は、本発明の例示的な実施態様によるコーティングされた導電性粒子ベースのアンテナ増強部の構造を示す。図5に示された導電性粒子ベースのアンテナの特定の構造は、説明で用いる例に過ぎず、限定的であることを意図しない。図5の導電性粒子ベースのアンテナを製造するのに用いる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0066】
図5を参照すると、コーティングされた導電性粒子ベースのアンテナは、従来のアンテナ570、第1のコーティング550、導電性粒子ベースの材料のコーティング520および第2のコーティング560を含む。第1のコーティング550、および第2の560の一以上を省略してもよい。加えて、一以上のさらなるコーティングを利用してもよい。
【0067】
従来のアンテナ570は、本実施例においては、金属のような導電性材料から構成されることを前提とする任意の従来のアンテナの任意の表面であってもよい。
第1のコーティング550は従来のアンテナ570の頂部に適用される。第1のコーティング550は絶縁性コーティングおよび表面調製コーティングの少なくとも1つであってもよい。絶縁性コーティングとしては、第1のコーティング550は、非導電性または半導電性材料であってもよい。非導電性または半導電性材料の絶縁性コーティングの例はプラスチックテープ、紙テープ、塗料等を含む。表面調製コーティングとしては、第1のコーティング550は、導電性粒子ベースの材料のコーティング520の従来のアンテナ570への良好な接着を可能とする任意の材料であってもよい。同一のコーティングが絶縁性コーティングおよび表面調製コーティング双方として機能してもよい。別法として、別々の絶縁性コーティングおよび表面調製コーティングを一緒にまたは個々に利用してもよい。第1のコーティング550は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されてよい。この場合、第1のコーティング550は噴霧され、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等されてもよい。第1のコーティング550は省略されてもよい。
【0068】
導電性粒子ベースの材料のコーティング520は、もし存在すれば第1のコーティング550の頂部に適用される。さもなければ、導電性粒子ベースの材料のコーティング520は従来のアンテナ570の頂部に適用される。導電性粒子ベースの材料のコーティングは、本明細書中に記載された導電性粒子ベースの材料のいずれかの処方を用いて処方されてもよい。例えば、導電性粒子ベースの材料のコーティング520は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されてもよい。この場合、非導電性材料は、噴霧され、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等されてもよい。
【0069】
第2のコーティング560は、もし利用されれば、導電性粒子ベースの材料のコーティング520の頂部に適用される。第2のコーティング560は、導電性粒子ベースの材料のコーティング520を保護するように機能し、または隠蔽するように機能し、あるいはその両方として機能してもよい。第2のコーティング560は、導電性粒子ベースの材料のコーティング520を保護し、または隠蔽し、あるいはその両方を行ういずれの材料または構造であってもよい。そのコーティングは、保護コーティングおよび隠蔽コーティング双方として機能してもよい。別法として、別々の保護および隠蔽コーティングは一緒にまたは個々に利用されてもよい。1つの例示的な実施態様において、第2のコーティング560は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方される。この場合、第2のコーティング560は、噴霧され、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等されてもよい。第2のコーティング560は、省略されてもよい。
【0070】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、従来のアンテナの全てまたは一部に隣接し、かつそれからずらして製造し、および位置させることができる。例えば、導電性粒子ベースのアンテナ増強部は、所望の波長の半分または4分の1に対応する従来のアンテナの一部に隣接するように製造し、位置させることができる。
【0071】
導電性粒子ベースのアンテナ増強部で部分的にコーティングされたアンテナの例を、図6を参照して以下に記載する。
図6は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースのアンテナ増強部で部分的にコーティングされたアンテナを示す。図6に示された導電性粒子ベースのアンテナ増強部で部分的にコーティングされたアンテナの特定の構造は説明で用いる例に過ぎず、限定的であることを意図しない。図6の導電性粒子ベースのアンテナを製造するのに用いる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0072】
図6を参照すると、供給ライン640に連結されているアンテナ670が示される。アンテナ670は導電性粒子ベースのアンテナ増強部620で部分的にコーティングされている。理解できるように、導電性粒子ベースのアンテナ増強部620はアンテナ670の約4分の1をコーティングする。
【0073】
テストを行って、従来の銅アンテナを、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を備えた従来の銅アンテナと比較した。特に、導電性粒子ベースのアンテナに関して前記したテストと同一の機器およびテスト条件を行った。ここに、絶縁性テープを従来の銅アンテナの全体に適用し、次いで、導電性粒子ベースの材料を絶縁性テープ上に適用した。
【0074】
従来の銅アンテナおよび導電性粒子ベースのアンテナ増強部で増強された従来の銅アンテナについてのテストデータを表2中に以下に掲げる。
【0075】
【表2】

表2で分かるように、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナは、従来の銅アンテナ単独の順電力(すなわち、22ワット)よりも有意により高い順電力(すなわち、28ワット)を呈する。これは、従来の銅アンテナ単独の逆電力(すなわち、12ワット)よりも有意により低い逆電力(すなわち、10ワット)を呈する導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナによって説明することができる。従って、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナの得られた相対的信号強度は、従来の銅アンテナの得られた相対的信号強度(-35デシベル)よりも高い(-27デシベル)。
【0076】
先に確認されたテストから拾うことができるように、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナは、従来の銅アンテナ単独よりも電磁信号を空間に放出するにおいてより有効である。従って、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナは、従来の銅アンテナ単独よりもより高い有効な利得を有する。また、より低い逆電力があるので、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナへのより低い電磁放射線入力は熱に変換されるであろう。かくして、導電性粒子ベースのアンテナ増強部を含む従来の銅アンテナは所与の入力電力についてより低い温度で作動でき、従って、より高い電力定格を有することができる。
【0077】
従って、導電性粒子ベースの材料を用いて、従来のアンテナを増強させることができる。
導電性粒子ベースの伝送ライン
導電性粒子ベースの材料を用いて、導電性粒子ベースの伝送ラインを形成することができる。導電性粒子ベースの伝送ラインを実施するために、導電性粒子ベースの材料を用いて物体を形成するための本明細書中に記載された種々の方法のいずれかにおいて伝送ラインが形成される。ここに、導電性粒子ベースの材料が電磁放射線を有効に空間に放射することを可能とする特性の少なくともいくつかは、導電性粒子ベースの材料が、電磁放射線を、導電性粒子ベースの材料を用いて形成された伝送ラインを下って有効に放射することを可能とする。伝送ラインとしての導電性粒子ベースの材料の使用は、そのより低い抵抗および熱発生のため便宜である。
【0078】
導電性粒子ベースの電磁放射線ハーベスタ
導電性粒子ベースの材料は電磁放射線ハーベスタとして用いてもよい。電磁放射線を伝播しおよび吸収する、のうちの少なくとも1つにおける導電性粒子ベースの材料の高い有効性は、それを、電磁放射線を収集するにおいて用いるのに理想的に適したものとする。そのような収集された電磁放射線は、電磁放射線ハーベスタによって収穫される意図で送信された電磁放射線であってもよいが、収集された電磁放射線はバックグラウンド電磁放射線であってもよい。ここに、電磁放射線ハーベスタは、電磁放射線ハーベスタによって吸収されたエネルギーを収集するレシーバに結合していてもよい。電磁放射線ハーベスタは、導電性粒子ベースの材料を用いて物体を形成するための本明細書中に記載された種々の方法のいずれかにおいて形成される。
【0079】
導電性粒子ベースの適合したアンテナ
導電性粒子ベースの材料を用いて、導電性粒子ベースの適合するアンテナを構築することができる。導電性粒子ベースの適合するアンテナの利点は、後に記載される、例示的な使用の場合との関係で考慮した場合に容易に認識できる。
【0080】
例示的な使用の場合に従うと、導電性粒子ベースの適合するアンテナを軍事状況で用いてもよい。特殊部隊コミュニティは、戦域における通信において、大きな物流および安全性の問題を有する。米国国防省は、その通信能力をラジオスペクトル内に迅速に拡大した。過去において、従来のプッシュツートーク(PTT)通信で用いる場合の種々のフォームファクタの双方向無線機。これらのシステムの使用は、多数の通信プラットフォームよりなる真の「デジタルの戦場」に発展している。データネットワークの膨大なアレイは現実のものとなった。今日用いられる無線通信の範囲は従来の音声からサテライト、メッシュネットワークまで、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)および無人地上センサーまで広く多様化している。
【0081】
この広く種々のシステムが言及されている理由は、なぜ導電性粒子ベースの適合するアンテナが兵士の任務に有益であり得るかの理解を与えることにある。軍隊によって利用されるあらゆるRFデバイスは、広い範囲の周波数および異なるタイプの伝送で作動する(振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、衛星通信、単側帯波等)。
【0082】
しかしながら、従来のアンテナシステムは、限定された範囲の周波数について設計され、およびチューニングされ、一般には、市販されている数百のタイプの無線デバイスのうちの唯一つで働くように設計されている。これらの従来のアンテナシステムに対する他の主な欠点は、それらを戦闘に運ぶ物流である。それらは重く、かさばり、高価であって、輸送するのが困難である。従って、従来のアンテナシステムの欠点に取り組む必要性がある。
【0083】
導電性粒子ベースの適合するアンテナは、現在展開され、および開発されつつある無線通信機のいずれかおよび全てで作動できることによって従来のアンテナシステムの欠点に取り組む。固定された形態のアンテナであることとは反対に、導電性粒子ベースの適合するアンテナは、その代わり、必要に応じて構築することができる。
【0084】
例えば、導電性粒子ベースの適合するアンテナは、導電性粒子ベースの材料を用いて現地で構築することができる。この場合、導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インクまたはペーストである。ここに、導電性粒子ベースの適合するアンテナは基板に適用することができる。特に、導電性粒子ベースの材料は噴霧し、刷毛で塗り、ローラで塗り、シルクスクリーンに付し、インクジェット印刷等してもよい。
【0085】
導電性粒子ベースの適合するアンテナは、典型的なアンテナの設計、理論、および方式に基づいて設計することができる。アンテナの設計は予め、またはアンテナが所望の特徴に基づいて要求される時点で作成してもよい。
【0086】
導電性粒子ベースの材料を基板に適用して、所望のアンテナ設計に基づいて導電性粒子ベースの適合するアンテナを形成する。
基板は、アクリル、ABS、構造発泡体のような任意の材料、ポリカーボネートおよびポリスチレンのような溶媒感受性材料のいずれかの表面、およびプライマー処理された壁板、木材および清浄な金属等を含めた非多孔性表面等であってもよい。
【0087】
基板が導電性材料である場合、非導電性または半導電性コーティングをまず基板に適用することができる。この場合、導電性材料は接地面として働くことができる。基板が非導電性材料である場合、接地面は地球の自然地盤を用いることによって達成することができる。別法として、接地面は独立した接地面を製造することによって達成することができる。
【0088】
一旦、アンテナが製造されたならば、供給ラインを、導電性粒子ベースの適合するアンテナおよびRF通信デバイスに結合させる。導電性粒子ベースの適合するアンテナは、供給ラインの結合点に電気的に、容量的に、および誘導的に結合される、のいずれか1つである。導電性粒子ベースの適合するアンテナは、導電性粒子ベースの適合するアンテナの終点において供給ラインの結合点に結合させてもよい。容量的にまたは誘導的に結合させる場合、該結合は、エアギャップまたはガラスのような物質を含む一定距離を通じて起こり得る。
【0089】
導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するために、所望のアンテナ設計の型を用いてもよい。型は、アンテナの所望の設計が切り取られた任意の剛性または半剛性材料で形成されたシートであってもよい。
【0090】
導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いる型の例は、図7を参照して以下に記載する。
図7は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いる型を示す。
【0091】
図7を参照すると、型700が示される。型700は、型またはステンシルを形成するのに用いることができる任意の材料であってもよい。例えば、型700は剛性または半剛性材料で形成されたシートであってもよい。型700の切り欠き部は、アンテナの所望の設計のポジティブおよびネガティブの少なくとも1つであってもよい。型700は、導電性粒子ベースの材料を適用すべき、または適用すべきでないことを示す、表面に提示されたイメージであってもよい。型700は、アンテナの所望の設計を示すディスプレイに、またはガイドブックに提示されたイメージであってもよい。ここに、図7に示された型700は、図2に示されたアンテナ設計に対応する。
【0092】
型700についての種々の切り欠き部の設計の例は、その各々の全開示をここに援用する、2011年4月25日に出願され「アンテナ」という名称の米国意匠特許出願第29/390,425号、2011年4月25日出願され「アンテナ」という名称の米国意匠特許出願第29/390,427号、2011年4月25日出願され「アンテナ」という名称の米国意匠特許出願第29/390,432号、2011年4月25日出願され「アンテナ」という発明の名称の米国意匠特許出願第29/390,435号、2011年4月25日出願され「アンテナ」という名称の米国意匠特許出願第29/390,436号、2011年4月25日出願され「アンテナ」という発明の名称の米国意匠特許出願第29/390,438号、および2011年4月25日出願され「アンテナ」という名称の米国意匠特許出願第29/390,442号に見出される。
【0093】
型を用いて導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するための例示的な方法を、図8を参照して以下に記載する。
図8は、本発明の例示的な実施態様による型を用いて導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造する方法を示す。ここに、導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いる導電性粒子ベースの材料は、乾燥または硬化する液体、塗料、ゲル、インク、またはペーストとして処方されることを前提とする。
【0094】
図8を参照すると、型および基板が工程800において選択される。工程810において、選択された型を選択された基板に対して固定することができる。工程820において、次いで、導電性粒子ベースの材料が型の少なくとも1つの切り欠き部を通過して、基板の対応する部分に適用されるように、導電性粒子ベースの材料を型に適用することができる。導電性粒子ベースの材料は、その粒子密度がある閾値に到達するまで適用することができる。これは、アンテナ(またはアンテナセグメント)の長さにわたって材料の抵抗を測定することによって決定することができる。ここに、該閾値は予め規定された抵抗または抵抗の範囲(例えば、11~15オーム)に対応してもよい。
【0095】
次いで、型を除去し、導電性粒子ベースの材料を、所望の設計による選択された基板上で乾燥し、または硬化させる。工程830において、供給ラインの一以上の結合点を導電性粒子ベースの適合するアンテナに付着させることができる。ここに、工程830は省略してもよい。加えて、絶縁性コーティング、表面調製コーティング、保護コーティング、および隠蔽コーティングの少なくとも1つの適用のようなさらなる工程を含めてもよい。この製造技術のいずれかまたは全ては、後に記載されるように自動化してもよい。
【0096】
導電性粒子ベースの適合するアンテナを本明細書中に記載するが、導電性粒子ベースの適合するアンテナに関連するいずれの開示も、導電性粒子ベースの適合するアンテナ増強部に同等に適用可能である。
【0097】
導電性粒子ベースの適合するアンテナのための製造技術
1つの例示的な実施態様において、導電性粒子ベースの適合するアンテナを構築するための技術が記載される。ここに、コンピュータ化デバイスを用いて、型を形成し、これを用いて、導電性粒子ベースの適合するアンテナを構築する。
【0098】
コンピュータ化デバイスはデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、ポータブルメディアデバイス、特殊化された携帯デバイス等のいずれであってもよい。コンピュータ化デバイスはディスプレイ、入力ユニット、制御ユニット、プリンター、メモリ、通信ユニット、および投影ユニットの一以上を含んでもよい。
【0099】
型を用いて構築される導電性粒子ベースの適合するアンテナは、噴霧可能な、ローラ塗り可能な、または刷毛塗り可能な導電性粒子ベースの材料を用いて形成することができる。導電性粒子ベースの材料はいずれの基板にも直接的に適用してもよい。導電性粒子ベースの適合するアンテナは、一旦、表面上に製造したならば、塗料で塗装して、アンテナを隠蔽し、保護をアンテナに供し、またはアンテナに所望の審美性を供することができる。
【0100】
本発明の例示的な実施態様によると、アンテナを作り、および設置するために、コンピュータ化デバイスを用いて、型を形成することができる。コンピュータ化デバイスは、ある種の特徴/基準に関してユーザーに質問するか、またはそうでなければユーザーがある種の特徴/基準を入力することを可能とするグラフィカル・ユーザー・インターフェースを含んでもよい。入力された特徴/基準に基づき、コンピュータ化デバイスは型を形成する。ここに、ユーザーは特徴/基準の全てを入力しなくてもよい。この場合、ユーザーが入力しなかった特徴/基準はある式、またはローカルもしくは遠隔データベースを介して得ることができる。加えて、ユーザーによる特徴/基準の否の入力についての推定された値を用いることができる。
【0101】
特徴/基準の例は、アンテナをその上に設ける基板、動作周波数、開口またはアンテナのパターン、空間を節約する設計が望まれているか否か、速度因子、共鳴周波数、Q因子、インピーダンス、利得、分極、有効性、帯域、熱特徴、増幅器のタイプ、環境等のうちの一以上を含む。さらに、特徴/基準の一以上は所与の特徴/基準についての多数の予め設定されたオプションを含んでよい。例えば、アンテナがその上に設けられる基板についてのオプションは、木材、金属、ガラス、プラスチック等の一以上を含むことができる。もう1つの例では、所望のアンテナパターンについてのオプションは、無指向性アンテナパターン、指向性アンテナパターン、円状アンテナパターン、フェーズドアレイアンテナパターン等の一以上を含む。
【0102】
コンピュータ化デバイスは、一以上の特徴/基準の少なくとも1つを入力するにおいてユーザーをガイドすることができ、ユーザーからのさらなる情報を要求してもよい。
入力された一以上の特徴/基準に基づき、コンピュータ化デバイスはパターン決定アルゴリズムを用いてアンテナパターンを決定する。アンテナパターンは予め設定されたアンテナパターン、またはアルゴリズムおよび入力された一以上の特徴/基準に基づいて形成されたアンテナパターンであってもよい。加えて、コンピュータ化デバイスは、アンテナパターンのスケーリング因子、アンテナパターンの寸法もしくはアンテナパターンのエレメント、グレイン方向、適用の注意等の一以上を決定することができる。別法として、または加えて、特徴/基準は予め設定しなくてもよい。
【0103】
コンピュータ化デバイスは1を超えるアンテナパターンを決定してよく、および決定された1を超えるアンテナパターンの中から所望のアンテナパターンをユーザーが選択するのを可能とすることができる。
【0104】
一旦、アンテナパターン、ならびにアンテナパターンのスケーリング因子、アンテナパターンの寸法もしくはアンテナパターンのエレメント、グレイン方向、適用の注意等が決定されたならば、得られた型がコンピュータ化デバイスのディスプレイに提示されること、コンピュータ化デバイスの投影ユニットを用いて表面に投影されること、外部および統合された印刷の1つを用いて印刷されることの少なくとも1つであってもよい。投影ユニットを使用する場合、コンピュータ化デバイスは、さらに、投影ユニットとその上にアンテナが構築されるべき表面の間の距離に少なくとも基づいて投影された型のスケールを調整するデバイスを含んでもよい。さらに、投影ユニットを使用する場合、コンピュータ化デバイスは、さらに、投影された型がコンピュータ化デバイスの移動に拘わらず表面の同一位置に留まるように投影された型の位置を調整するデバイスを含んでもよい。次いで、型を用いてアンテナを構築することができる。
【0105】
また、型はストレージデバイスに記憶されるデジタルデータに対応してよく、またはデジタルデータに基づいてアンテナ材料に適用される他のデバイスに連絡されてもよい。
1つの例示的な実施態様において、コンピュータ化デバイスは入力された特徴/基準を、アンテナパターン、アンテナパターンのスケーリング因子、アンテナパターンの寸法もしくはアンテナパターンのエレメント、グレイン方向、適用の注意等の一以上を決定する遠隔コンピュータ化デバイスに連絡させ、次いで、これはコンピュータ化デバイスに伝達される。
【0106】
1つの例示的な実施態様において、アンテナパターンはコンピュータ化デバイスから遠隔的に記憶されてよく、およびアンテナパターンが決定される前または後にコンピュータ化デバイスに伝達される。アンテナパターンは、コンピュータ化デバイスまたはその他の存在による要求に応じてコンピュータ化デバイスに伝達してもよい。
【0107】
コンピュータ化デバイスを用いて導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造する例示的な方法を、図9を参照して、以下に記載する。
図9は、本発明の例示的な実施態様によるコンピュータ化デバイスを用いて導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造する方法を示す。
【0108】
図9を参照すると、工程900において、特徴/基準が前記したコンピュータ化デバイスによって得られる。工程910において、アンテナパターンは、前記したように、得られた特徴/基準に基づいてコンピュータ化デバイスによって選択される。工程920において、型は前記したように形成される。
【0109】
前記したコンピュータ化デバイスの例を、図10を参照し、以下に記載する。
図10は、本発明の例示的な実施態様による導電性粒子ベースの適合するアンテナを製造するのに用いるコンピュータ化デバイスの構造を示す。
【0110】
図10を参照すると、コンピュータ化デバイスはコントローラ1010、ディスプレイユニット1020、メモリユニット1030、入力ユニット1040、通信ユニット1050、型形成部1060、およびアンテナ形成部1070を含む。図10に示されるコンピュータ化デバイスの構成要素の一以上は省略してもよい。また、図10に示されるコンピュータ化デバイスの構成要素の一以上の機能は統合された構成要素によって行ってもよい。加えて、さらなる構成要素をコンピュータ化デバイスと共に含めてもよい。
【0111】
コントローラ1010はコンピュータ化デバイスの全体的な操作を制御する。より具体的には、コントローラ1010はディスプレイユニット1020、メモリユニット1030、入力ユニット1040、通信ユニット1050、型形成部1060、およびアンテナ形成部1070を制御し、またはそれと連絡したり、あるいはその両方を行う。コントローラ1010はコンピュータ化デバイスによって行われるものとして本明細書中に明示的にまたは黙示的に記載された機能/操作/アルゴリズム/役割のいずれかを行うために、または行った結果として、コードを実行する。用語「コード」は、実行可能な指示、オペランドデータ、配置パラメータ、およびメモリユニット1030に記憶された他の情報の一以上を表すために本明細書中で用いることができる。
【0112】
ディスプレイユニット1020は、ユーザーに情報を提示するのに用いられる。ディスプレイユニット1020はディスプレイユニットの任意のタイプであってもよい。ディスプレイユニット1020は、コンピュータ化デバイスと一体化されてよく、またはコンピュータ化デバイスとは別々であってもよい。ディスプレイユニット1020は、入力ユニット1040と一体化されて、タッチスクリーンディスプレイを形成してもよい。ディスプレイユニット1020は、ディスプレイによって行われるものとして本明細書中に明示的にまたは黙示的に記載された機能/操作/役割のいずれかを行う。
【0113】
メモリユニット1030は、コンピュータ化デバイスによって行われるものとして本明細書中に明示的にまたは黙示的に記載された機能/操作/アルゴリズム/役割のいずれかを実行するために、コントローラ1010によって処理されるコードを記憶する。加えて、他の実行可能な指示、オペランドデータ、配置パラメータ、および他の情報の一以上をメモリユニット1030に記憶してもよい。コンピュータ化デバイスの正確な構成に依存して、メモリユニット1030は揮発性メモリ(ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等)、非揮発性メモリ(例えば、読出専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等)またはそのいくつかの組合せであってもよい。
【0114】
入力ユニット1040を用いて、ユーザーが情報を入力するのを可能とする。入力ユニット1040は、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、音声認識等のような入力ユニットのいずれかのタイプまたは組合せであってもよい。
【0115】
通信ユニット1050は一以上の存在の間でデータを送信し、および受信する。通信ユニット1050は、有線、無線等のような、様々なタイプの、様々なトランシーバ、レシーバおよびトランスミッターを含んでもよい。
【0116】
型形成部1060は、型を形成する場合に行われるものとして本明細書中に明示的にまたは黙示的に記載された機能/操作/アルゴリズム/役割のいずれかを行うことができる。例えば、型形成部1060はプリンター、カッター、プロジェクター、ディスプレイ等であってもよい。
【0117】
アンテナ形成部1070は、アンテナを生じさせる場合に行われるものとして本明細書中に明示的にまたは黙示的に記載された機能/操作/アルゴリズム/役割のいずれかを行うことができる。例えば、アンテナ形成部1070は導電性粒子ベースの材料を基板に噴霧するスプレイヤーであってもよい。
【0118】
ここに、コンピュータ化デバイスの前記した機能性はコンピュータ化デバイスにインストールされ、およびそれによって実行されるアプリケーションに由来するものであってもよい。
【0119】
この時点において、前記した本例示的実施態様は、典型的には、入力データの処理および出力データの生成をある程度含むことに注意すべきである。この入力データの処理および出力データの生成は、ハードウェア、またはハードウェアと組み合わせたソフトウェアで実施することができる。例えば、具体的な電子的構成要素を、前記した本発明の例示的実施態様に関連した機能を実施するための携帯デバイスまたは同様なもしくは関連する回路において使用することができる。別法として、記憶された指令(すなわち、コード)に従って動作する一以上のプロセッサーは、前記した本発明の例示的実施態様に関連した機能を行うことができる。もしそれが当てはまれば、そのような指示を一以上の非一時的プロセッサー読み出し可能媒体に記憶することができるのは本開示の範囲内のものである。非一時的プロセッサー読出可能媒体の例はROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、および光学データストレージデバイスを含む。非一時的プロセッサー読み出し媒体は、指示が分布した様式で記憶され、かつ実行されるようにネットワーク結合コンピュータシステムにわたって分布させることもできる。また、本発明を達成するための機能的コンピュータプログラム、指示、および指示セグメントは、本発明が関する技術分野において技量があるプログラマーによって容易に解釈できる。
【0120】
当該発明がその特定の例示的実施態様を参照して示され、かつ記載されてきたが、形態および詳細における種々の変形を、添付の請求の範囲によって規定される発明およびそれらの同等物の精神および範囲を逸脱することなくそこでなすことができるのは当業者に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10