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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】検体塗抹装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20220128BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G01N1/28 V
G01N33/48 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018004253
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019124523
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-11-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成29年9月21日~23日 日本臨床検査自動化学会第49回大会・JCLaS EXPO 2017 パシフィコ横浜・展示ホールA・B・C(神奈川県)にて公開 (2)平成29年9月21日 日本臨床検査自動化学会第49回大会・JCLaS EXPO 2017 パシフィコ横浜・会議センター(神奈川県)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】591058127
【氏名又は名称】メディカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】月岡 浩康
(72)【発明者】
【氏名】坪山 仁
(72)【発明者】
【氏名】内田 麻里恵
(72)【発明者】
【氏名】古畑 健司
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-049224(JP,A)
【文献】特開平02-258041(JP,A)
【文献】特開昭55-039041(JP,A)
【文献】特開平06-324051(JP,A)
【文献】特開平05-087711(JP,A)
【文献】特開平11-311592(JP,A)
【文献】特開平08-075754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-37/00
B01F 9/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験管を撹拌する撹拌装置と、
試験管内の検体を吸引し、所定位置で塗抹する吸引・塗抹部と
を備え、
前記撹拌装置は、
試験管頭部を側方から挟持可能なチャック部、および、試験管頭部を上方から押圧可能な押圧部を有する試験管保持機構と、
試験管下部に当接して偏心回転が可能なように支える試験管支持部を有する回転機構と、
試験管胴体部を挟持する胴体挟持機構と、
前記チャック部の開閉および前記押圧部の高さ位置を調整する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記チャック部の下降によって試験管下部が前記試験管支持部に当接すると、前記押圧部と試験管頭部との上下方向間隔が所定値になるまで前記押圧部を上昇させるとともに、前記チャック部と試験管頭部との横方向間隔が所定値になるまで前記チャック部を広げさせることで、前記上下方向間隔の隙間および前記横方向間隔の隙間で試験管頭部を移動可能にさせてから前記回転機構に回転を開始させ、
前記回転機構で規定の回転が終了すると前記回転機構の回転を停止させ
前記回転機構の回転を停止させた後、前記胴体挟持機構で試験管胴体部を挟持させ、前記チャック部に試験管頭部を挟持させて前記チャック部を上昇させることで試験管を開栓し、
前記吸引・塗抹部に試験管内の検体吸引を行わせ、
前記検体吸引の終了後に試験管を閉栓するように制御することを特徴とする検体塗抹装置。
【請求項2】
前記試験管支持部は、試験管としてスピッツ管を偏心可能なように支える凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載の検体塗抹装置。
【請求項3】
検体として尿を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の検体塗抹装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管内の検体を撹拌させる撹拌装置、および、それを有する検体塗抹装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体塗抹装置が広く知られている。この検体塗抹装置では、採取した検体をスライドグラス上に塗抹して検査を行っていることが一般的である。
【0003】
検体としては、尿や、血液、喀痰などを含んでいる液状のものが代表例として挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-32584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検体塗抹装置では、採取した検体をスライドグラス上に塗抹して検査を行っており、検体を均一に塗抹することが望まれる。
【0006】
しかし、試験管に採取された検体では、検体量が少ない場合には検体中の粉粒体が均一に撹拌され易いが、検体量が多い場合には検体中の粉粒体が均一に撹拌され難いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、試験管内に収容されている検体量にかかわらず粉粒体を検体中に均一に撹拌させることができる撹拌装置、および、それを有する検体塗抹装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る撹拌装置は、試験管頭部を側方から挟持可能なチャック部、および、試験管頭部を上方から押圧可能な押圧部を有する試験管保持機構と、試験管下部を偏心回転させる回転機構と、前記チャック部の開閉および前記押圧部の高さ位置を調整する制御手段とを備え、前記回転機構は、試験管下部に当接して前記偏心回転が可能なように支える試験管支持部を有し、前記制御手段は、前記チャック部の下降によって試験管下部が前記試験管支持部に当接すると、前記押圧部と試験管頭部との上下方向間隔が所定値になるまで前記押圧部を上昇させるとともに、前記チャック部と試験管頭部との横方向間隔が所定値になるまで前記チャック部を広げさせることで、前記上下方向間隔の隙間および前記横方向間隔の隙間で試験管頭部を移動可能にさせてから前記回転機構に回転を開始させ、前記回転機構で規定の回転が終了すると前記回転機構の回転を停止させるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る検体塗抹装置は、上記の撹拌装置と、試験管内の検体を吸引し、所定位置で塗抹する吸引・塗抹部とを備え、前記撹拌装置には、試験管胴体部を挟持する胴体挟持機構が設けられ、前記制御手段は、前記回転機構の回転を停止させた後、前記胴体挟持機構で試験管胴体部を挟持させ、前記チャック部に試験管頭部を挟持させて前記チャック部を上昇させることで試験管を開栓し、前記吸引・塗抹部に試験管内の検体吸引を行わせ、前記検体吸引の終了後に試験管を閉栓するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試験管内に収容されている検体量にかかわらず粉粒体を検体中に均一に撹拌させることができる撹拌装置、および、それを有する検体塗抹装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る検体塗抹装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る撹拌装置の側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る撹拌装置の側面断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る撹拌装置および検体塗抹装置で行う一例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を挙げ、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、撹拌装置や検体塗抹装置を正面側から見て、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向と適宜に言う。
【0013】
図1図4に示すように、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る撹拌装置10は、試験管頭部Th(以下、試験管がスピッツ管である例で説明する)を側方から挟持可能なチャック部12、および、試験管頭部Thを上方から押圧可能な押圧部14有する試験管保持機構16と、試験管下部Tbを偏心回転させる回転機構18と、試験管保持機構16の開閉および高さ位置を調整する制御部20とを備える。
【0014】
回転機構18は、試験管下部Tb(スピッツ管下部)に下方から当接して上記の偏心回転が可能なように支える試験管支持部22(スピッツ管支持部)を有する。試験管支持部22は試験管下部Tbに当接する凹部24を備えており、凹部24は、すり鉢状の上側凹部24uと、上側凹部24uに連続し上下方向に延びる円筒状の空間を形成する下側凹部24vとで構成されている。
【0015】
そして、試験管下端Tbb(試験管中心が通過する部位であることが多い)が下側凹部24vに入り、上側凹部24uと下側凹部24vとの連続部24cに試験管下端Tbbの周囲が当接するようになっている。本実施形態では、試験管Tとしてスピッツ管Tsが用いられことを想定して、凹部24はスピッツ管Tsの寸法に対応させた寸法にされている。
【0016】
制御部20は以下の制御を行うように設定されている。すなわち、チャック部12の下降によって試験管下部Tbが試験管支持部22に当接すると、図3に示すように、押圧部14と試験管頭部Thとの上下方向間隔dv(縦方向間隔)が所定値(例えば3mm)になるまで押圧部14を上昇させるとともに、チャック部12の内側挟持部12eと試験管頭部Thとの横方向間隔dhが所定値(例えば3mm)になるまでチャック部12を広げさせる。そして、このように上下方向間隔dvの隙間Svおよび横方向間隔dhの隙間Shで試験管頭部Thを移動可能にさせてから回転機構18に回転を開始させ、回転機構18で規定の回転が終了すると回転機構18の回転を停止させる。なお、本明細書で試験管頭部Thとは、蓋部Cまで含む概念である。
【0017】
また、この撹拌装置10には、試験管胴体部Tmを挟持する胴体挟持機構26が設けられている。
【0018】
そして、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る検体塗抹装置30は、上記の撹拌装置10と、試験管T内の検体を吸引し、所定位置で塗抹する吸引・塗抹部とを備える。本実施形態では、検体塗抹装置30は尿検査を行う装置であるが、血液検査を行う装置であってもよく、それ以外の検査(生体検査)を行う装置とすることも可能である。
【0019】
そして、検体塗抹装置30では、上記の制御部20は更に以下の制御を行うように設定されている。
【0020】
すなわち、回転機構18の回転を停止させた後、胴体挟持機構26で試験管胴体部Tmを挟持させ、チャック部12に試験管頭部Thを挟持させる。そして試験管保持機構16でチャック部12を上昇させることで蓋部Cを取り外すことによって試験管Tを開栓させる。
【0021】
そして、吸引・塗抹部に試験管内の検体吸引を行わせる。そして、吸引・塗抹部による検体吸引の終了後、試験管保持機構16で試験管Tを閉栓させる。吸引・塗抹部は、吸引した検体をスライドグラス上に塗抹するように制御されている。
【0022】
(作用、効果)
以下、図4を参照しつつ、撹拌装置10および検体塗抹装置30の動作説明を行う。
【0023】
まず、試験管保持機構16が、検体ラック(図示せず)に立てられて配列されている試験管T(スピッツ管)をチャック部12で挟持する。その際、押圧部14を試験管頭部Thに当接させて押圧することで試験管Tのぐらつきを抑える(ステップS1)。
【0024】
そして、試験管TをID読み取り位置にまで搬送し、試験管TのIDを読み取る(ステップS2)。
【0025】
その後、試験管Tを撹拌装置10上にまで移動させてチャック部12を下降させることで、試験管下端Tbbを下側凹部24vに入れるとともに試験管下端Tbbの周囲を連続部24cに当接させる。この結果、試験管Tが撹拌装置10にセットされる(ステップS3)
【0026】
そして、制御部20は、チャック部12と試験管頭部Thとの横方向間隔dhが所定値になるまでチャック部12を広げさせ、更に、押圧部14と試験管頭部Thとの上下方向間隔dvが所定値になるまで押圧部14を上昇させることで、試験管Tのチャック部12から開放および押圧部14からの開放を行う(ステップS4)。この状態では、試験管Tは、上下方向間隔dvの隙間Svおよび横方向間隔dhの隙間Shで試験管頭部Thが移動可能になっている。なお、チャック部12の広がり動作と押圧部14の上昇動作を同時に行ってもよく、押圧部14の上昇動作を先に行ってもよい。
【0027】
制御部20は、この状態で回転機構18のモータMを回転させることで試験管支持部22を回転軸Mxまわりに偏心回転させる。この結果、上下方向間隔dvの隙間Svおよび横方向間隔dhの隙間Shで試験管頭部Thがあばれるように移動しつつ試験管Tが偏心回転する(ステップS5)。これにより、試験管Tに収容されている検体の量が多くても検体中の粉粒体を充分に撹拌することができる。すなわち、検体量が多くても少なくても検体中に粉粒体を均一に撹拌させることができる。
【0028】
回転機構18で規定の回転が終了すると、制御部20は回転機構18の回転を停止させる(ステップS6)。続いて制御部20は、胴体挟持機構26で試験管胴体部Tmを挟持させ、チャック部12に試験管頭部Thを挟持させて試験管保持機構16でチャック部12を上昇させることで試験管Tを開栓させる(ステップS7)。
【0029】
そして、制御部20は、吸引・塗抹部に試験管内の検体吸引を行わせる(ステップS8)。そして、吸引・塗抹部による検体吸引の終了後、試験管保持機構16で試験管Tを閉栓させる(ステップS9))。
【0030】
また、吸引・塗抹部に、吸引した検体をスライドグラス上に塗抹させる。吸引した検体は、試験管内で粉粒体が均一に撹拌された検体の一部であり、スライドグラス上にはこの検体が塗抹される。
【0031】
以上の動作を繰り返すことで、検体ラックに立てられた各試験管に検体が順次入れられて検体ラックに格納されていく。
【0032】
よって本実施形態により、試験管内に収容されている検体量にかかわらず粉粒体を検体中に均一に撹拌させたものを撹拌装置10で塗抹することができる。従って、検体塗抹装置30では正確な検査を行うことができる。
【0033】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は本発明の技術的思想を具体化するための例示であって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記実施形態に特定するものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0034】
10 撹拌装置
12 チャック部
14 押圧部
16 試験管保持機構
18 回転機構
20 制御部(制御手段)
22 試験管支持部
24 凹部
26 胴体挟持機構
30 検体塗抹装置
T 試験管
Tb 試験管下部
Th 試験管頭部
Tm 試験管胴体部
Ts スピッツ管
Sv 隙間
Sh 隙間
dv 上下方向間隔
dh 横方向間隔
図1
図2
図3
図4