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▶ ヒップ イノベーション テクノロジー、エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】人工股関節の移植のためのインパクタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20220203BHJP
   A61F 2/34 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61B17/92
A61F2/34
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020184373
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2018504948の分割
【原出願日】2016-07-15
(65)【公開番号】P2021035534
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】62/197,215
(32)【優先日】2015-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518028206
【氏名又は名称】ヒップ イノベーション テクノロジー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
(72)【発明者】
【氏名】ターマニーニ、 ゼーファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァニエル、ブリアン
(72)【発明者】
【氏名】チャールス、キング
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0219562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0218637(US,A1)
【文献】特開2012-120870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/92
A61F 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと寛骨臼ボールインパクタを有し、患者の寛骨臼に移植された寛骨臼カップの凹状内面から延びるステムに寛骨臼ボールを固定する寛骨臼ボールインパクタアセンブリであって、
前記ハンドルは、近位端、中心軸、遠位端を有し、遠位端にねじ部分を有するシャフトと、前記近位端に設けられたハンドル要素と、を含み、
前記寛骨臼ボールインパクタは、近位端と遠位端を有する本体を備え、前記本体の近位端に、前記中実シャフトの遠位端のねじ部分を受け入れるサイズのねじ山が形成され、前記遠位端に、異なる大きさの寛骨臼ボールに適合するサイズの窪み面が形成され、窪み面は寛骨臼ボールの球サイズと同じかまたはほぼ同じサイズの球の断面の形状を有し、
前記寛骨臼ボールがステムに固定されたとき、前記寛骨臼ボールの周面が前記寛骨臼カップの凹状の内面から離間し、前記本体の幅は、最大寸法で前記寛骨臼カップの最大幅よりも小さくなっている寛骨臼ボールインパクタアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の寛骨臼ボールインパクタアセンブリを含み、更に寛骨臼カップを患者の寛骨臼に押し込むための外科用器具を含むキットであって、
前記寛骨臼カップは、
凹状内側の底部から延びるモールステーパを有する中央ステムを有し、
前記外科用器具は、
近位端および遠位端を有するハンドルであって、前記ハンドルが前記ハンドルと同心で前記遠位端に配置されたスリーブ、および、前記ハンドルを貫通して延びる環状チャネルを有し、前記チャネルが前記ハンドルの前記近位端および前記遠位端で開いている、ハンドルと、
近位端および遠位端、ならびに前記近位端に取り付けられたノブ、を有するシャフトであって、前記シャフトが、前記チャネルに摺動可能に配置され、前記スリーブに近接する前記シャフトの前記遠位端に取り外し可能にコレットが固定され、前記スリーブは、テーパ状の環状内側部分を有し、前記テーパは近位方向に狭くなり、前記スリーブの前記テーパ状の環状内側部分は、前記コレットが近位方向に前記スリーブ内に移動するときに前記コレットの遠位端が収縮するような大きさである、シャフトと、
前記ハンドルの外側に取り付けられ、前記ハンドルの中心軸の周りを回転可能な回転可能ガイド・カラーと、前記回転可能ガイド・カラーに固定される近位端をそれぞれが有し、前記中心軸に対して所定の角度で前記回転可能ガイド・カラーから外側に伸びる傾斜ガイド・ロッドおよび前傾ガイド・ロッドと、
前記中心軸に対して垂直またはほぼ垂直に前記回転可能ガイドにねじ込まれるつまみネジであって、前記つまみネジの締め付けにより前記回転可能ガイドの動きが防止される、つまみネジと、
を含む、キット。
【請求項3】
前記コレットは、前記中央ステムの近位部分を解放可能に把持するサイズのコレット内側部分を有し、前記コレットが収縮しているときに前記中央ステムを把持し、前記コレットが収縮していないときに前記中央ステムを解放する、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
少なくとも2つが異なるサイズを有する複数のコレットを含む、請求項2に記載のキット。
【請求項5】
前記傾斜ガイド・ロッドおよび前傾ガイド・ロッドは、前記シャフトに対して45度の角度で配置されている、請求項2に記載のキット。
【請求項6】
前記傾斜ガイド・ロッドおよび前傾ガイド・ロッドは、互いに20度の角度で配置されている、請求項2に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバース型人工股関節を患者に移植することに関連して使用される外科用器具に関する。より具体的には、本発明は、寛骨臼ボールを移植するためのインパクタに関する。
【背景技術】
【0002】
リバース型人工股関節は、米国特許第8,313,531号および第8,540,779号に記載されている。人工装具および修正手術方法も、米国特許第8,992,627号に記載されている。これらの3つの特許の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8,313,531号
【文献】米国特許第8,540,779号
【文献】米国特許第8,992,627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、寛骨臼ボールの確実な固定を可能にする外科用器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の特許に記載されているように、寛骨臼カップは、寛骨臼カップを寛骨臼内に押し込み、必要に応じてネジを用いてさらに固定することによって寛骨臼に固定される。寛骨臼ボールは、モールス・テーパの手段を用いることによって寛骨臼カップの窪み面の底部から延びるステムに取り付けられ、大腿骨カップは、モールス・テーパの手段によって大腿骨インプラント(または大腿骨ステム)に固定される。
【0006】
本明細書において外科ツールとして参照されることもある本発明の外科用器具は、外科医が人工装具のこれらの構成要素のそれぞれを寛骨臼カップの最適な配置に押し込み、寛骨臼ボールおよび大腿骨カップの確実な固定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の寛骨臼カップ・インパクタ組立体の斜視図。
図2】寛骨臼カップ・インパクタ組立体の立面図。
図3】部分的な寛骨臼骨要素を示す図2の断面図。
図4】寛骨臼カップ・インパクタ組立体の分解図。
図5】寛骨臼カップ・インパクタ組立体用の寛骨臼カップ・ハンドルの立面図。
図6】寛骨臼カップ・インパクタ組立体用の内側シャフトの立面図。
図7】寛骨臼カップ・インパクタ組立体用の前傾斜ガイド・ロッドの立面図。
図8】寛骨臼カップ・インパクタ組立体用のコレットの立面図。
図9】寛骨臼ボール・インパクタ組立体および大腿骨カップ・インパクタ組立体用のユニバーサル・ハンドルの立面図。
図10】寛骨臼ボール・インパクタ組立体、寛骨臼ボールおよび寛骨臼カップの斜視図。
図11図10の立面図。
図12】追加の寛骨臼骨要素を有する図11の断面図。
図13】寛骨臼ボール・インパクタの立面図。
図13A図13の寛骨臼ボール・インパクタの断面図。
図14】大腿骨カップ・インパクタ組立体の立面図。
図15】大腿骨カップ・インパクタの斜視図。
図16図15の側面図。
図17図16の上面図。
図18図16の底面図。
図19】大腿骨カップ・インパクタ組立体および大腿骨インプラントに配置された大腿骨カップの立面図であり、大腿骨インプラントは断面図で示されている。
図20図19の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のインパクタは、リバース型人工股関節の3つの要素を患者に移植するために使用される。要素は、寛骨臼カップ、寛骨臼ボールおよび大腿骨カップである。
【0009】
寛骨臼カップを受け入れる寛骨臼の準備に続いて、寛骨臼カップは寛骨臼に配置され、図1図4に示す寛骨臼カップ・インパクタ組立体1を使用して寛骨臼に押し込まれる。寛骨臼カップ・インパクタ組立体1の要素は、図5図8に示される。図1図3は、組立体1に対する寛骨臼カップ2を示し、図3は、寛骨臼3の一部を含む。
【0010】
寛骨臼カップ・インパクタ組立体1は、寛骨臼カップ・ハンドル4と、内側シャフト5と、前傾斜ガイド・ロッド7と、コレット8とを含んでおり、寛骨臼カップ・ハンドル4は、その長さに沿って環状に延びるチャネルを有し、チャネルは、ハンドル4の近位端および遠位端で開いており、内側シャフト5は、その近位端にノブ6を有している。
【0011】
ガイド・ロッド7は、その遠位端において螺合される。寛骨臼カップ・ハンドル4は、ハンドル・シャフト9と、ハンドル・シャフト9に回転可能に取り付けられた前傾斜ガイド・カラー10とを有する。
【0012】
本明細書では回転可能ガイド10として参照されることもある前傾斜ガイド・カラー10は、前傾穴15および傾斜穴16として示されたネジ穴を有する(図4参照)。
【0013】
ロッド7は、右または左の股関節が交換されているかどうかに応じて、穴16および穴15の1つにねじ込まれる。つまみネジ11は、ロッド7が外科手術中に最適に位置決めされたときにガイド・カラー10の回転を防止するように締め付けられる。
【0014】
ハンドル要素12はシャフト9の近位に固定され、スリーブ13はシャフト9の遠位端に固定される。スリーブ13は、近位方向に狭くなるテーパ状の環状内側部分を有し、スリーブ13のテーパ状の環状内側部分は、コレット8が近位方向にスリーブ13内に移動するときにコレット8の遠位端を収縮させるような大きさである。
【0015】
図4は、3つのコレット8を示しており、各コレット8は、寛骨臼カップ2の異なる大きさに対して異なるサイズになっている。寛骨臼カップ2は、その窪み面の底面から突出するステム14を有する。コレット8のサイズとは、ステム14の近位部分を解放可能に把持するように寸法決めされたその環状内側部分を指す。コレット8は、コレット8が収縮しているときにステム14を把持し、コレット8が開いている、すなわち収縮していないときにステム14を解放する。
【0016】
本発明の外科的方法において、寛骨臼3は、適切なサイズの寛骨臼カップ2を受け入れるように準備され、カップのために寸法決めされたコレット8が選択される。
【0017】
内側シャフト5が寛骨臼カップ・ハンドル4の遠位端に挿入され、次にコレット8が内側シャフト5の遠位端に取り付けられる。次にコレット8が寛骨臼カップ2のステム14に対して押し込まれ、コレット8がステム14をしっかりと把持するようにコレット8がスリーブ13内に引き込まれる。
【0018】
これにより、シャフト5は、ノブ6とハンドル要素12の近位端との間の空間を残して近位に移動する。前傾斜ガイド・ロッド7は、前傾斜ガイド・カラー10の穴16にねじ込まれ、他の前傾斜ガイド・ロッド7は、穴15にねじ込まれ(図4参照)、寛骨臼カップ2は、寛骨臼3に配置される。
【0019】
次に、カップ2内のネジ穴は、ネジを使用してカップを寛骨臼に最終的に固定するために寛骨臼内で適切に調整される。次に、前傾斜ガイド・カラー10は、ロッド7が適切に位置決めされ、つまみネジ11が締め付けられるまで回転する。ガイド・ロッドは、シャフト9に対して45度の角度で、かつ互いに対して20度の角度に設定されていることに留意されたい。
【0020】
外科医は、ロッドを床に平行に保ち、ロッドを患者の肩の方に向けることによって、穴16にねじ込まれたロッドを使用して傾斜を設定する。左の股関節が交換されている場合、ロッドは左の肩に向けられ、右の股関節が交換されている場合、ロッドは右肩に向けられる。傾斜が設定されると、外科医は、穴15にねじ込まれたロッド7を使用して前傾を設定する。
【0021】
本明細書の開示に基づいて当業者には明らかなように、右股関節または左股関節が交換されているかどうかに応じてどちらかの穴15が使用される。
【0022】
前傾ロッドは、前傾ロッドを同じ肩の方に向けることによって、傾斜ロッドに対して20度の前傾を生じる。ロッドは、このようにして後方外科的アプローチで使用され、45度の傾斜角度および20度の前傾角度の複合角度でカップ2の向きを適切に設定する。
【0023】
ノブ6の近位端がハンマーで打たれ、それによって寛骨臼内に寛骨臼カップを押し込むので、ハンドル要素12を保持することによって、組立体は定位置に維持される。組立体1は、その後、手術部位から取り外される。
【0024】
寛骨臼ボール・インパクタ組立体は、図10図12に示されており、寛骨臼ボール・インパクタ20は、図13の立面図に示されている。寛骨臼ボール・インパクタ組立体13は、寛骨臼ボール・インパクタ20とユニバーサル・ハンドル40とから構成されている(図9も参照)。
【0025】
ユニバーサル・ハンドル40は、遠位端部にネジ部分42を有し、近位端部にハンドル要素43を有するシャフト41を含む。寛骨臼ボール・インパクタ20は、近位端および遠位端を有する。図13Aに示すように、寛骨臼ボール・インパクタ20の近位端は、ネジ溝22を有し、遠位端は、窪み面部分23を有する。窪み面部分は球の断面形状である。ネジ部分42は、寛骨臼ボール・インパクタ20のネジ溝22にねじ込まれる。
【0026】
寛骨臼ボール・インパクタ20は、異なる大きさの寛骨臼ボール21に適合するサイズに作られる。ボール21が選択されると、ボール21は、寛骨臼カップ2のステム14上に配置される。適切な大きさの寛骨臼ボール・インパクタ20がユニバーサル・ハンドル40にねじ込まれ、寛骨臼ボール・インパクタ20の窪み面がボールの上に配置され、ボールが寛骨臼ボール・インパクタ20内に受け入れ可能になる。
【0027】
この文脈における適切なサイズとは、寛骨臼ボール・インパクタの窪み面部分が寛骨臼ボールを受け入れるような大きさであることを意味する。したがって、窪み面は、球の断面の形状を有し、窪み面に収容される寛骨臼ボールの球サイズと同じかまたはほぼ同じ大きさを有する。
【0028】
ユニバーサル・ハンドル40が、ステム14の中心軸とシャフト41の中心軸とが同じまたはほぼ同じ線上にある位置(図11および図12に示す)に保持された状態で、ハンドル要素43の近位端をハンマーで打撃して、モールス・テーパによって寛骨臼ボール21をステム14にしっかりと固定する。
【0029】
大腿骨カップ・インパクタ30が図15図18に示されている。大腿骨カップ・インパクタ30は、本明細書ではインパクタ先端部31として参照される大腿骨カップ・インパクタ30の遠位端部における突面部分と、大腿骨カップ・インパクタ30の近位端部にあるネジ部分32とを含む。突面部分は球状形状である。
【0030】
ネジ部分32は、インパクタをユニバーサル・ハンドル40に固定するために用いられる。大腿骨カップ・インパクタ30がユニバーサル・ハンドル40に固定されたら、要素の組合せは、本明細書では大腿骨カップ・インパクタ組立体として参照される。
【0031】
図19および図20は、大腿骨カップ・インパクタ30、大腿骨カップ50、および大腿骨インプラント51を図示している。大腿骨カップ50は、大腿骨インプラント51の窪み53に関連するモールス・テーパに適合するように寸法決めされたステム52を有している。
【0032】
大腿骨カップ・インパクタ30は、異なるサイズの大腿骨カップ50に適合するサイズに作られる。大腿骨カップ50は、寛骨臼ボール21に関節接合するように寸法決めされた球の断面形状の窪み面部分を有する。大腿骨カップ50が選択されると、ステム52は窪み53に配置される。
【0033】
適切な大きさの寛骨臼カップ・インパクタがユニバーサル・ハンドル40にねじ込まれ、突状インパクタ先端部31が大腿骨カップ50の窪み部に配置される。この文脈における適切なサイズとは、大腿骨カップ・インパクタの突面が大腿骨カップの窪み面部分に受け入れられるような大きさであることを意味する。したがって、突面は、球の断面形状を有し、大腿骨カップの窪み面部分と同じまたはほぼ同じ大きさを有する。
【0034】
したがって、突面は、球の断面形状を有し、大腿骨カップの窪み面部分と同じまたはほぼ同じ大きさを有する。ユニバーサル・ハンドル40が、ステム52の中心軸とシャフト41の中心軸とが同じまたはほぼ同じ線上にある位置(図19および図20に示す)に保持された状態で、ハンドル要素43の近位端をハンマーで打撃して、モールス・テーパによって大腿骨カップ50を大腿骨インプラント51にしっかりと固定する。
【0035】
本発明の外科用器具は、手術用キットの一部を含むことができる。キットは、他の外科用器具および/またはインプラントと共に本発明の1つまたは複数の外科用器具を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20