(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20220208BHJP
B65D 39/04 20060101ALI20220208BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B65D51/16 310
B65D39/04
A47J41/02 104A
(21)【出願番号】P 2017206511
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 振軍
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094229(JP,A)
【文献】実開昭52-113052(JP,U)
【文献】特開2013-227034(JP,A)
【文献】特開2015-136475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-51/16
A47J 41/00-41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体の外周部に
螺合により着脱自在に取り付けられる外蓋と、
前記外蓋の内側に位置して、前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体と前記中栓との間を密閉するシール部材と、
前記中栓の下面部に位置して、前記容器本体内の圧力を調整する圧力調整部とを有し、
前記中栓は、前記外蓋の下面部に取り付けられた第1の栓体と、前記第1の栓体の下面に対向して前記第1の栓体の下面中央部に回転自在に取り付けられた第2の栓体とを有し、
前記圧力調整部は、前記容器本体の内側と連通される脱気孔が設けられた弾性部材と、前記脱気孔の一端側と当接された状態で前記脱気孔を閉塞する当接部とを有
し、
前記シール部材は、前記第2の栓体の外周部に取り付けられ、
前記弾性部材は、前記第2の栓体の中心部を貫通する取付孔に取り付けられていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記容器本体に前記蓋体を取り付ける際に、前記容器本体に前記外蓋を被せることによって、前記開口部から前記容器本体の内側に前記中栓が嵌め込まれ、前記シール部材が前記容器本体の内側と接触した状態となり、
この状態から、前記容器本体に対して前記蓋体を螺合される方向に回転させることによって、前記容器本体の内側と接触した前記シール部材の摩擦力により前記容器本体に対する前記第2の栓体の回転が阻止されると共に、
前記第1の栓体が前記外蓋と共に前記第2の栓体に対して回転することによって、前記第2の栓体が回転しないまま下方に向けて移動することを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記容器本体から前記蓋体を取り外す際に、前記容器本体に対して前記蓋体を螺合される方向とは反対方向に回転させることによって、前記容器本体の内側と接触した前記シール部材の摩擦力により前記容器本体に対する前記第2の栓体の回転が阻止されると共に、
前記第1の栓体が前記外蓋と共に前記第2の栓体に対して回転することによって、前記第2の栓体が回転しないまま上方に向けて移動することを特徴とする請求項2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記容器本体内の圧力が一定以上に上昇したときに、前記弾性部材の一部が弾性変形し、前記当接部との間に隙間が形成されることによって、前記脱気孔が開放されることを特徴とする請求項1
~3の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
前記第2の栓体は、前記第1の栓体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
1~4の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
前記第1の栓体は、前記外蓋に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
1~5の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項7】
前記圧力調整部は、前記第2の栓体を貫通する吸気孔を有し、
前記弾性部材は、前記第2の栓体の下面側に位置して、前記吸気孔を開閉する弁体を有し、
前記容器本体内の圧力が一定以下に低下したときに、前記弁体が弾性変形することによって、前記吸気孔が開放されることを特徴とする請求項
1~6の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【請求項8】
前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空断熱構造を有する容器本体によって保温・保冷機能を持たせた蓋付き容器がある(例えば、特許文献1,2を参照。)。このような蓋付き容器では、内蓋及び外蓋を用いて容器本体に設けられた開口部を密閉する構造が採用されている。
【0003】
具体的に、蓋付き容器は、上部に開口部が設けられた容器本体と、開口部から容器本体の内側に嵌め込まれた状態で開口部を閉塞する内蓋と、内蓋に取り付けられた状態で容器本体と内蓋との間を密閉する止水パッキンと、開口部を外側から覆った状態で容器本体に螺合により装着される外蓋とを備えている。また、外蓋は、容器本体に装着されたときに内蓋と当接されることによって、内蓋の上方側への移動を規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-227034号公報
【文献】特開2013-220173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蓋付き容器では、例えば容器本体の内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体内の内容物が腐敗してガスが発生したときに、内蓋及び外蓋により密閉された容器本体内の圧力が上昇する(陽圧となる)のに伴って、内蓋が外蓋に押し付けられた状態となる。このとき、容器本体と外蓋との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋を取り外す方向に回しづらくなることがあった。また、外蓋を取り外した際に、容器本体内の圧力が一気に開放されて大きな音が鳴ることがあった。さらに、外蓋を取り外す際に、容器本体内の圧力が開放されることによって、内蓋及び外蓋が上方側に飛び出す可能性があった。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、容器本体内の圧力が上昇することを防ぎつつ、蓋体を容易に且つ安全に取り外すことを可能とした蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部に開口部が設けられた容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体の外周部に螺合により着脱自在に取り付けられる外蓋と、
前記外蓋の内側に位置して、前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体と前記中栓との間を密閉するシール部材と、
前記中栓の下面部に位置して、前記容器本体内の圧力を調整する圧力調整部とを有し、
前記中栓は、前記外蓋の下面部に取り付けられた第1の栓体と、前記第1の栓体の下面に対向して前記第1の栓体の下面中央部に回転自在に取り付けられた第2の栓体とを有し、
前記圧力調整部は、前記容器本体の内側と連通される脱気孔が設けられた弾性部材と、前記脱気孔の一端側と当接された状態で前記脱気孔を閉塞する当接部とを有し、
前記シール部材は、前記第2の栓体の外周部に取り付けられ、
前記弾性部材は、前記第2の栓体の中心部を貫通する取付孔に取り付けられていることを特徴とする蓋付き容器。
〔2〕 前記容器本体に前記蓋体を取り付ける際に、前記容器本体に前記外蓋を被せることによって、前記開口部から前記容器本体の内側に前記中栓が嵌め込まれ、前記シール部材が前記容器本体の内側と接触した状態となり、
この状態から、前記容器本体に対して前記蓋体を螺合される方向に回転させることによって、前記容器本体の内側と接触した前記シール部材の摩擦力によって、前記容器本体に対する前記第2の栓体の回転が阻止されると共に、
前記第1の栓体が前記外蓋と共に前記第2の栓体に対して回転することによって、前記第2の栓体が回転しないまま下方に向けて移動することを特徴とする前記〔1〕に記載の蓋付き容器。
〔3〕 前記容器本体から前記蓋体を取り外す際に、前記容器本体に対して前記蓋体を螺合される方向とは反対方向に回転させることによって、前記容器本体の内側と接触した前記シール部材の摩擦力により前記容器本体に対する前記第2の栓体の回転が阻止されると共に、
前記第1の栓体が前記外蓋と共に前記第2の栓体に対して回転することによって、前記第2の栓体が回転しないまま上方に向けて移動することを特徴とする前記〔2〕に記載の蓋付き容器。
〔4〕 前記容器本体内の圧力が一定以上に上昇したときに、前記弾性部材の一部が弾性変形し、前記当接部との間に隙間が形成されることによって、前記脱気孔が開放されることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
〔5〕 前記第2の栓体は、前記第1の栓体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
〔6〕 前記第1の栓体は、前記外蓋に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
〔7〕 前記圧力調整部は、前記第2の栓体を貫通する吸気孔を有し、
前記弾性部材は、前記第2の栓体の下面側に位置して、前記吸気孔を開閉する弁体を有し、
前記容器本体内の圧力が一定以下に低下したときに、前記弁体が弾性変形することによって、前記吸気孔が開放されることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
〔8〕 前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、容器本体内の圧力が上昇することを防ぎつつ、蓋体を容易に且つ安全に取り外すことを可能とした蓋付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る蓋付き容器の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す蓋付き容器が備える蓋体を上方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す蓋付き容器が備える蓋体を下方側から見た分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す蓋体の圧力調整部を拡大して示す断面図である。
【
図5】
図1に示す蓋体の圧力調整部における別の構成例を示す断面図である。
【
図6】
図1に示す蓋体の圧力調整部における別の構成例を示す断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る蓋付き容器の構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す蓋付き容器が備える蓋体を上方側から見た分解斜視図である。
【
図9】
図7に示す蓋付き容器が備える蓋体を下方側から見た分解斜視図である。
【
図10】
図7に示す蓋体の圧力調整部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図4に示す蓋付き容器1Aについて説明する。
なお、
図1は、蓋付き容器1Aの構成を示す断面図である。
図2は、蓋付き容器1Aが備える蓋体3Aを上方側から見た分解斜視図である。
図3は、蓋付き容器1Aが備える蓋体3Aを下方側から見た分解斜視図である。
図4は、蓋体3Aの圧力調整部26Aを拡大して示す断面図である。
【0011】
本実施形態の蓋付き容器1Aは、
図1に示すように、真空断熱構造を有する容器本体2と、容器本体2の上部に設けられた開口部2aを開閉する蓋体3Aとを備えている。なお、蓋付き容器1Aの外観形状については、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態の蓋付き容器1Aは、全体として略円筒状の外観形状を有している。
【0012】
容器本体2は、例えばステンレス鋼等からなる有底筒状の外容器4及び内容器5を有し、外容器4の内側に内容器5を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器4と内容器5との間には、真空断熱層6が設けられている。真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気口(図示せず。)を塞ぐことによって形成することができる。なお、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0013】
容器本体2は、略円形状の底面部2bと、底面部2bの外周から略円筒状に起立した胴部2cと、胴部2cの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2dとを有している。口頸部2dの上端部は、円形状の開口部2aを形成している。また、口頸部2dと胴部2cとの間の内周面には、リング状の張出部7が全周に亘って縮径方向に突出して設けられている。
【0014】
蓋体3Aは、
図1~
図4に示すように、容器本体2の口頸部(外周部)2dに着脱自在に取り付けられる外蓋8と、外蓋8の内側に位置して、開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込まれる中栓9とを備えている。
【0015】
外蓋8は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。外蓋8は、略円形状の天壁部8aと、天壁部8aの周囲から略円筒状に立ち下がる外壁部8bとを有している。
【0016】
外蓋8は、容器本体2の開口部2aを外側から覆った状態で、容器本体2の口頸部2dに螺合により装着される。このため、外壁部8bの内周面には、雌ネジ部10が設けられている。一方、口頸部2dの外周面には、雌ネジ部10と螺合される雄ネジ部11が設けられている。これにより、外蓋8は、これら雌ネジ部10と雄ネジ部11との螺合によって、容器本体2の口頸部(外周部)2dに着脱自在に取り付けられている。
【0017】
外壁部8bの外周面には、滑り止めとなる複数の角部8cが周方向に並んで設けられている。なお、滑り止めの形状については、このような複数の角部8cを設けたものに限らず、適宜変更を加えることが可能であり、省略することも可能である。
【0018】
中栓9は、天壁部8a(外蓋8)の下面中央部に取り付けられた第1の栓体12と、第1の栓体12の下面に対向して取り付けられた第2の栓体13とを有している。
【0019】
第1の栓体12は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。第1の栓体12は、略円形状の底壁部12aと、底壁部12aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部12bとを有している。
【0020】
外蓋8と第1の栓体12との間には、天壁部8aの下面中央部(外蓋8の内側)に第1の栓体12(中栓9)を着脱自在に取り付けるための第1の脱着機構14が設けられている。
【0021】
第1の脱着機構14は、外壁部8bの内周面に設けられた内側当接部8dと、第1の栓体12の周壁部(外周部)12bに取り付けられた抜止パッキン15とを有している。
【0022】
内側当接部8dは、外壁部8bの上端側の内周面から全周に亘って縮径方向に突出して設けられている。内側当接部8dには、この内側当接部8eを軸線方向(高さ方向)に切り欠く複数(本実施形態では2つ)のスリット8eが周方向に等間隔に並んで設けられている。
【0023】
抜止パッキン15は、リング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性体からなる。また、抜止パッキン15の外周面には、リング状の弾性フランジ部15aが全周に亘って拡径方向に突出して設けられている。
【0024】
一方、第1の栓体12の外周面には、リング状の第1の上側フランジ部16a及び第2の上側フランジ部16bが全周に亘って拡径方向に突出して設けられている。第1の上側フランジ部16aは、周壁部12bの上端から突出して設けられている。第2の上側フランジ部16bは、第1の上側フランジ部16aの下方から突出して設けられている。
【0025】
第1の上側フランジ部16aと第2の上側フランジ部16bとの間には、リング状の上側溝部17が全周に亘って設けられている。抜止パッキン15は、この上側溝部17に嵌め付けられることによって、第1の栓体12の周壁部(外周部)12bに取り付けられている。また、抜止パッキン15が上側溝部17に嵌め付けられた状態において、弾性フランジ部15aが第1の上側フランジ部16a及び第2の上側フランジ部16bよりも外側に突出した状態となっている。
【0026】
一方、第2の上側フランジ部16bには、抜止パッキン15を上側溝部17から取り外し易くするための切欠部18が設けられている。抜止パッキン15は、この切欠部18が形成された位置から、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、上側溝部17(第1の栓体12)から取り外すことが可能である。これにより、第1の栓体12と抜止パッキン15とをそれぞれ別々に洗浄することができ、第1の栓体12と抜止パッキン15との間を衛生的に保つことができる。
【0027】
第1の脱着機構14では、外蓋8の内側に第1の栓体12を嵌め込むことによって、抜止パッキン15の弾性フランジ部15aが弾性変形しながら、内側当接部8dに全周に亘って密着した状態となる。これにより、外蓋8の内側に嵌め込まれた第1の栓体12が抜け止めされた状態となり、天壁部8aの下面中央部(外蓋8の内側)に第1の栓体12(中栓9)を取り付けることができる。
【0028】
一方、第1の脱着機構14では、弾性フランジ部15a(抜止パッキン15)の弾性力に抗して、外蓋8の内側から第1の栓体12を引き抜くことによって、天壁部8aの下面中央部(外蓋8の内側)から第1の栓体12(中栓9)を取り外すことができる。
【0029】
第2の栓体13は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。第2の栓体13は、第1の栓体12の底壁部12aに対応した大きさで、全体として略円板状に形成されている。
【0030】
第1の栓体12と第2の栓体13との間には、底壁部12a(第1の栓体12)の下面中央部に第2の栓体13を回転自在な状態で着脱自在に取り付けるための第2の脱着機構19が設けられている。
【0031】
第2の脱着機構19は、底壁部12aの下面と第2の栓体13の上面とのうち、何れか一方(本実施形態では底壁部12aの下面)に設けられた係止部20と、何れか他方(本実施形態では第2の栓体13の上面)に設けられた被係止部21とを有している。
【0032】
係止部20は、底壁部12aの下面に複数(本実施形態では4つ)のフック片20aを有している。複数のフック片20aは、底壁部12aの中心部(後述する取付孔27)の周囲を囲む位置から、全体として略円筒状に立ち下がると共に、互いに隣り合うフック片20aの間を軸線方向(高さ方向)に切り欠くことによって、周方向に等間隔に並んで設けられている。これにより、複数のフック片20aは、底壁部12aの下面から下方に向かって延長されると共に、先端側が縮径方向に弾性(撓み)変形可能となっている。また、各フック片20aの先端(下端)側の外周面には、爪部20bが拡径方向に突出して設けられている。
【0033】
被係止部21は、第2の栓体13の上面に内筒部21aを有している。内筒部21aは、第2の栓体13の中心部(後述する突出部30a)の周囲を囲む位置から、略円筒状に立ち上がり形成されている。また、内筒部21aの先端(上端)側の内周面には、リング状の内側フランジ部21bが全周に亘って縮径方向に突出して設けられている。
【0034】
第2の脱着機構19では、各フック片20aを弾性変形させながら、内筒部21aの内側に複数のフック片20aを嵌め込むことによって、各フック片20aの爪部20bが内側フランジ部21bに係止される。これにより、底壁部12a(第1の栓体12)の下面中央部に第2の栓体13を回転自在に取り付けることができる。
【0035】
一方、第2の脱着機構19では、内筒部21aの内側から複数のフック片20aを引き抜くことによって、各フック片20aを弾性変形させながら、各爪部20bの内側フランジ部21bに対する係止状態を解除する。これにより、底壁部12a(第1の栓体12)の下面中央部から第2の栓体13を取り外すことができる。
【0036】
なお、第1の栓体12の底壁部12aと周壁部12bとの間には、第1の栓体12の底壁部12a(下面)から第2の栓体13を取り外し易くするための取外凹部12cが設けられている。
【0037】
なお、本実施形態では、上述した底壁部12a(第1の栓体12)の下面側に係止部20を設け、第2の栓体13の上面側に被係止部21を設けた構成となっているが、それとは逆の構成、すなわち、第2の栓体13の上面側に係止部20を設け、底壁部12a(第1の栓体12)の下面側に被係止部21を設けた構成とすることも可能である。また、係止部20と被係止部21とは、上述したフック片20aの爪部20bが内筒部21aの内側フランジ部21bに係止される構成に限らず、互いの係止構造を適宜変更することが可能である。
【0038】
第1の栓体12と第2の栓体13との間には、第1の栓体12の下面と第2の栓体13の上面との間に一定の隙間を形成するための隙間形成機構22が設けられている。隙間形成機構22は、第1の栓体12の下面と第2の栓体13の上面とのうち、何れか一方(本実施形態では底壁部12aの下面)に設けられた段差面23と、何れか他方(本実施形態では第2の栓体13の上面)に設けられた複数(本実施形態では8つ)の当接凸部24とを有している。
【0039】
段差面23は、底壁部12aの下面の内筒部21aの周囲を囲む位置からリング状に突出して設けられている。また、段差面23の先端(下端)は、平坦な面を形成している。
【0040】
複数の当接凸部24は、第2の栓体13の上面の複数のフック片20aの周囲を囲む位置から隙間に対応する高さで突出して設けられている。また、複数の当接凸部24は、径方向に延長されると共に、周方向に等間隔に並んで設けられている。
【0041】
隙間形成機構22では、段差面23に複数の当接凸部24が当接されることによって、互いに隣り合う当接凸部24の間で、第1の栓体12の下面と第2の栓体13の上面との間に一定の隙間を形成することができる。また、隙間形成機構22では、第1の栓体12の下面に取り付けられた第2の栓体13が回転するときの段差面23と複数の当接凸部24との間の摺接抵抗を下げることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、上述した底壁部12a(第1の栓体12)の下面側に段差面23を設け、第2の栓体13の上面側に当接凸部24を設けた構成となっているが、それとは逆の構成、すなわち、第2の栓体13の上面側に段差面23を設け、底壁部12a(第1の栓体12)の下面側に当接凸部24を設けた構成とすることも可能である。また、隙間形成機構22については、上述した段差面23に当接凸部24が当接される構成に限らず、適宜変更することが可能である。
【0043】
第2の栓体13(中栓9)の外周部には、止水パッキン25が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン25は、容器本体2と中栓9との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性体からなる。
【0044】
第2の栓体13の下面には、この第2の栓体13の外形よりも縮径された縮径部13aと、縮径部13aの下端側から全周に亘って拡径方向に突出されたリング状の下側フランジ部13bと、下側フランジ部13bの上方に位置するリング状の下側溝部13cとが設けられている。
【0045】
一方、止水パッキン25の内周面には、下側溝部13cに嵌合されるリング状の嵌合凸部25aと、下側フランジ部13bが嵌合されるリング状の嵌合凹部25bとが設けられている。
【0046】
止水パッキン25は、下側溝部13cに嵌合凸部25aが嵌合されると共に、嵌合凹部25bに下側フランジ部13bが嵌合されることによって、第2の栓体13の外周部に取り付けられている。
【0047】
一方、第2の栓体13には、止水パッキン25を外周部から取り外し易くするための切欠部13dが設けられている。止水パッキン25は、この切欠部13dが形成された位置から、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、第2の栓体13の外周部から取り外すことが可能である。これにより、第2の栓体13と止水パッキン25とをそれぞれ別々に洗浄することができ、第2の栓体13と止水パッキン25との間を衛生的に保つことができる。
【0048】
止水パッキン25の外周部には、中栓9が容器本体2(口頸部2d)の内側に嵌め込まれた際に、張出部7に接触する弾性フランジ部25cが設けられている。弾性フランジ部25cは、止水パッキン25の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら突出した形状を有している。
【0049】
止水パッキン25は、中栓9が容器本体2(口頸部2d)の内側に嵌め込まれた際に、弾性フランジ部25cが弾性変形しながら、張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2と中栓9との間を止水パッキン25により密閉することができる。
【0050】
ところで、本実施形態の蓋付き容器1Aは、中栓9の下面中央部に位置して、容器本体2内の圧力を調整するための圧力調整部26Aを備えている。
【0051】
圧力調整部26Aは、第2の栓体13の中心部を貫通する円形状の取付孔27を有し、この取付孔27に弾性部材28が着脱自在に取り付けた構成を有している。また、弾性部材28の中心部には、脱気孔29が貫通して設けられている。圧力調整部26Aは、この脱気孔29により容器本体2の内側と連通される構成となっている。
【0052】
一方、圧力調整部26Aは、脱気孔29の一端(上端)側と当接された状態で脱気孔29を閉塞する当接部30を有している。当接部30は、第1の栓体12の底壁部12aの中心部から下方に向かって略球面状に突出された突出部30aからなる。
【0053】
これに対応して、脱気孔29の一端(上端)側には、この突出部30aにより閉塞されるシール部31が設けられている。シール部31は、取付孔27よりも上方に突出した弾性部材28の一部からなり、脱気孔29に連続して形成されると共に、その先端(上端)側に向かって漸次拡径されたラッパ形状を有している。シール部31は、その先端側が弾性変形しながら、突出部30aの周囲と全周に亘って密着した状態となっている。
【0054】
弾性部材28は、取付孔27よりも下方に突出されると共に、脱気孔29の他端(下端)から全周に亘って拡径方向に突出されたリング状の取付フランジ部32を有している。取付フランジ部32は、第2の栓体13の下面中央部に設けられた取付凹部33の内側に嵌め付けられている。
【0055】
弾性部材28は、取付フランジ部32を下方に向けて引っ張ることで、取付孔27から取り外すことが可能である。これにより、第2の栓体13と弾性部材28とをそれぞれ別々に洗浄することができ、第2の栓体13と弾性部材28との間を衛生的に保つことができる。
【0056】
以上のような構成を有する本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2に蓋体3Aを取り付ける際に、先ず、容器本体2の口頸部2dに外蓋8を被せることによって、開口部2aから容器本体2の内側に中栓9が嵌め込まれ、張出部7に止水パッキン25が接触した状態となる。
【0057】
次に、この状態から、容器本体2側の雄ネジ部11に対して蓋体3A側の雌ネジ部10が螺合される方向(右回り方向)に外蓋8を回転させると、張出部7に接触した止水パッキン25の摩擦力によって、容器本体2に対する第2の栓体13の回転が阻止される。
【0058】
一方、第1の栓体12は、回転が阻止された第2の栓体13に対して回転自在となっている。このため、第1の栓体12は、外蓋8と共に第2の栓体13に対して回転することになる。したがって、容器本体2に対して外蓋8を右回りに回転させることによって、止水パッキン25が取り付けられた第2の栓体13は、回転しないまま下方に向けて移動する。これにより、容器本体2に蓋体3Aが取り付けられる際に、張出部7に接触した止水パッキン25は、回転することなく下方へと押し込まれ、捩れることなく張出部7の全周に亘って略均一に密着した状態となる。
【0059】
さらに、容器本体2に蓋体3Aを取り付ける際は、容器本体2に対して止水パッキン25を回転させずに、外蓋8だけを右回りに回転操作できるため、この外蓋8を回転操作したときの操作抵抗を低減できる。
【0060】
また、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2に蓋体3Aが取り付けられた際に、突出部30a(当接部30)が弾性部材28のシール部31に当接されることによって、脱気孔29の一端(上端)側が閉塞された状態となる。
【0061】
一方、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2から蓋体3Aを取り外す際に、先ず、容器本体2側の雄ネジ部11に対して蓋体3A側の雌ネジ部10が螺合される方向とは反対方向(左回り方向)に外蓋8を回転させる。
【0062】
このとき、第1の栓体12は、外蓋8と共に第2の栓体13に対して回転することになる。したがって、容器本体2に対して外蓋8を左回りに回転させることによって、止水パッキン25が取り付けられた第2の栓体13は、回転しないまま上方に向けて移動する。これにより、容器本体2から蓋体3Aを取り外す際に、張出部7に密着した止水パッキン25は、回転することなく上方に向けて移動し、捩れることなく張出部7との密着状態が解除される。
【0063】
また、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2から蓋体3Aを取り外す際に、シール部31に対する突出部30a(当接部30)の当接が解除されることによって、脱気孔29が開放された状態となる。これにより、容器本体2内の圧力が低下した(負圧となった)場合でも、容器本体2から蓋体3Aを取り外した際には、脱気孔29を通して外気が導入されるため、容器本体2内の圧力が外部と同じ圧力(大気圧)となる。したがって、中栓9が容器本体2の内側へと引っ張られることなく、蓋体3Aを容器本体2から容易に取り外すことが可能である。
【0064】
本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2に蓋体3Aが取り付けられた状態において、容器本体2内の圧力が一定以上に上昇した(陽圧となった)ときに、弾性部材28のシール部31が弾性変形し、突出部30a(当接部30)との間に隙間が形成されることによって、脱気孔29が開放された状態となる。これにより、脱気孔29から隙間形成機構22により形成された隙間を通して容器本体2内の圧力を外部へと開放することができる。
【0065】
一方、容器本体2内の圧力が開放された後は、シール部31が弾性復帰し、このシール部31が突出部30aの周囲と全周に亘って密着した状態となる。これにより、再び脱気孔29が閉塞された状態となる。
【0066】
したがって、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2内の圧力上昇に伴って、容器本体2(雄ネジ部11)と外蓋8(雌ネジ部10)との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋8を取り外す方向に回しづらくなるといったことがなく、蓋体3Aを容器本体2から容易に取り外すことが可能である。
【0067】
また、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2から蓋体3Aを取り外した際に、容器本体2内の圧力が一気に開放されて大きな音が鳴るといったことを防ぐことが可能である。
【0068】
さらに、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2から蓋体3Aを取り外す際に、容器本体2内の上昇した圧力により蓋体3Aが上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0069】
なお、容器本体2内の圧力が上昇する(陽圧となる)場合としては、例えば、容器本体2の内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体2内の内容物が腐敗してガスが発生したときなどを挙げることができる。
【0070】
以上のように、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、容器本体2内の圧力が上昇することを防ぎつつ、蓋体3Aを容易に且つ安全に取り外すことが可能である。また、止水パッキン25による密閉性を良好に保ちながら、蓋体3Aを開閉する際の操作性を向上させることが可能である。したがって、このような蓋体3Aを備える蓋付き容器1Aでは、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0071】
なお、本実施形態の蓋付き容器1Aでは、上述した蓋体3Aが備える圧力調整部26Aの構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、
図5に示す圧力調整部26Bや、
図6に示す圧力調整部26Cのような構成とすることも可能である。なお、
図5は、圧力調整部26Bの構成を示す断面図である。
図6は、圧力調整部26Cの構成を示す断面図である。
【0072】
このうち、
図5に示す圧力調整部26Bは、上記弾性部材28に設けられた取付フランジ部32の代わりに、第2の栓体13に設けられた吸気孔34を開閉する弁体35が設けられた構成となっている。
【0073】
吸気孔34は、第2の栓体13の取付孔27の周囲に位置して、第2の栓体13を貫通して設けられている。また、吸気孔34は、取付孔27に連続して形成されているが、取付孔27とは離れた位置に形成することも可能である。
【0074】
弁体35は、取付孔27よりも下方に突出されると共に、脱気孔29の他端(下端)から全周に亘って拡径方向に突出され、なお且つ、その先端側が第2の栓体13の下面側に向けて湾曲した形状を有している。これにより、弁体35は、その先端側が弾性変形しながら、吸気孔34の周囲に全周に亘って密着した状態となっている。
【0075】
すなわち、この圧力調整部26Bでは、弾性部材28が取付孔27に取り付けられた際に、弁体35の先端側が第2の栓体13の下面に当接されることによって、吸気孔34が閉塞された状態となっている。
【0076】
圧力調整部26Bでは、容器本体2内の圧力が一定以下に低下した(負圧となった)ときに、弁体35が弾性変形し、第2の栓体13の下面との間に隙間が形成されることによって、吸気孔34が開放された状態となる。これにより、吸気孔34を通して外気が導入されるため、容器本体2内の圧力低下を緩和することが可能である。したがって、容器本体2から蓋体3Aを取り外す際に、中栓9が容器本体2の内側へと引っ張られることなく、蓋体3Aを容器本体2から容易に取り外すことが可能である。
【0077】
なお、容器本体2内の圧力が低下する(負圧となる)場合としては、例えば、容器本体2の内部に高温の内容物を入れた後に、その内容物が冷めたときなどを挙げることができる。
【0078】
一方、
図6に示す圧力調整部26Cは、
図5に示す圧力調整部26Bのうち、当接部30として、上述した突出部30aの代わりに、底壁部12aの中心部(複数のフック片20aの内側)を平坦化した平坦部30bが設けられた構成となっている。
【0079】
シール部31は、その先端側が弾性変形しながら、平坦部20bと全周に亘って密着した状態となっている。なお、
図6に示すシール部31は、
図5に示すシール部31よりも広口ラッパ状に形成されている。
【0080】
圧力調整部26Cでは、上記圧力調整部26Aと同様に、容器本体2内の圧力が一定以上に上昇した(陽圧となった)ときに、シール部31が弾性変形し、平坦部30b(当接部30)との間に隙間が形成されることによって、脱気孔29が開放された状態となる。これにより、脱気孔29から隙間形成機構22により形成された隙間を通して容器本体2内の圧力を外部へと開放することが可能となっている。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図7~
図10に示す蓋付き容器1Bについて説明する。
なお、
図7は、蓋付き容器1Bの構成を示す断面図である。
図8は、蓋付き容器1Bが備える蓋体3Bを上方側から見た分解斜視図である。
図9は、蓋付き容器1Bが備える蓋体3Bを下方側から見た分解斜視図である。
図10は、蓋体3Bの圧力調整部26Aを拡大して示す断面図である。また、以下の説明では、上記蓋付き容器1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0082】
本実施形態の蓋付き容器1Bは、
図7~
図10に示すように、容器本体2と、容器本体2の開口部2aを開閉する蓋体3Bとを備えている。
【0083】
蓋体3Bは、第1の栓体12の内部に、例えば発泡ポリプロピレン(EPP)などの断熱材36が配置された構成となっている。また、上記蓋体3Aとは異なる第1の脱着機構14A及び第2の脱着機構19Aを備える以外は、上記蓋体3Aと基本的に同じ構成を有している。
【0084】
具体的に、第1の栓体12は、底壁部12a及び周壁部12bを形成する部材とは別に、周壁部12bの上面を閉塞する略円板状の天壁部12dを形成する部材を有している。第1の栓体12は、天壁部12dを周壁部12bの上端部に溶着等により一体に取り付けることによって、その内部に、例えば発泡スチロールなどの断熱材36が配置された構成となっている。なお、第1の栓体12の内部は、断熱層として空気(空洞)が配置された構成としてもよい。
【0085】
第1の脱着機構14Aは、上記内側当接部8dの代わりに、天壁部8aの下面から略円筒状に立ち下がる内壁部8fを有している。
【0086】
内壁部8fは、外壁部8bよりも高さ方向の寸法が短く、外壁部8bとは同心円状に配置されている。また、内壁部8fには、この内壁部8fを軸線方向(高さ方向)に切り欠く複数(本実施形態では2つ)のスリット8gが周方向に等間隔に並んで設けられている。
【0087】
第1の脱着機構14Aでは、内壁部8fの内側に第1の栓体12を嵌め込むことによって、抜止パッキン15の弾性フランジ部15aが弾性変形しながら、内壁部8fの内周面に全周に亘って密着した状態となる。これにより、内壁部8fの内側に嵌め込まれた第1の栓体12が抜け止めされた状態となり、天壁部8aの下面中央部(外蓋8の内側)に第1の栓体12(中栓9)を取り付けることができる。
【0088】
一方、第1の脱着機構14Aでは、弾性フランジ部15a(抜止パッキン15)の弾性力に抗して、内壁部8fの内側から第1の栓体12を引き抜くことによって、天壁部8aの下面中央部(外蓋8の内側)から第1の栓体12(中栓9)を取り外すことができる。
【0089】
第2の脱着機構19Aは、第2の栓体13の上面側に係止部20を設け、底壁部12a(第1の栓体12)の下面側に被係止部21を設けた構成となっている。
【0090】
係止部20は、第2の栓体13の上面に複数(本実施形態では4つ)のフック片20cを有している。複数のフック片20cは、第2の栓体13の中心部(取付孔27)の周囲を囲む位置から、全体として略円筒状に立ち上がると共に、互いに隣り合うフック片20cの間を軸線方向(高さ方向)に切り欠くことによって、周方向に等間隔に並んで設けられている。これにより、複数のフック片20cは、第2の栓体13の上面から上方に向かって延長されると共に、先端側が縮径方向に弾性(撓み)変形可能となっている。また、各フック片20cの先端(上端)側の外周面には、爪部20dが拡径方向に突出して設けられている。
【0091】
被係止部21は、底壁部12a(第1の栓体12)の下面に内筒部21cを有している。内筒部21cは、底壁部12aの中心部(突出部30a)の周囲を囲む位置から、略円筒状に立ち下がり形成されている。また、内筒部21cの先端(下端)側の内周面の一部には、リング状の内側フランジ部21dが縮径方向に突出して設けられている。
【0092】
第2の脱着機構19Aでは、各フック片20cを弾性変形させながら、内筒部21cの内側に複数のフック片20cを嵌め込むことによって、各フック片20cの爪部20dが内側フランジ部21dに係止される。これにより、底壁部12a(第1の栓体12)の下面中央部に第2の栓体13を回転自在に取り付けることができる。
【0093】
一方、第2の脱着機構19Aでは、内筒部21cの内側から複数のフック片20cを引き抜くことによって、各フック片20cを弾性変形させながら、各爪部20dの内側フランジ部21dに対する係止状態を解除する。これにより、底壁部12a(第1の栓体12)の下面中央部から第2の栓体13を取り外すことができる。
【0094】
以上のような構成を有する本実施形態の蓋付き容器1Bでは、上記蓋付き容器1Aと同様に、上述した圧力調整部26Aを備えることから、上記蓋付き容器1Aと同様の効果を得ることが可能である。
【0095】
すなわち、本実施形態の蓋付き容器1Bでは、容器本体2内の圧力上昇に伴って、容器本体2(雄ネジ部11)と外蓋8(雌ネジ部10)との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋8を取り外す方向に回しづらくなるといったことがなく、蓋体3Bを容器本体2から容易に取り外すことが可能である。
【0096】
また、本実施形態の蓋付き容器1Bでは、容器本体2から蓋体3Bを取り外した際に、容器本体2内の圧力が一気に開放されて大きな音が鳴るといったことを防ぐことが可能である。さらに、本実施形態の蓋付き容器1Bでは、容器本体2から蓋体3Bを取り外す際に、容器本体2内の上昇した圧力により蓋体3Bが上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0097】
以上のように、本実施形態の蓋付き容器1Bでは、容器本体2内の圧力が上昇することを防ぎつつ、蓋体3Bを容易に且つ安全に取り外すことが可能である。また、止水パッキン25による密閉性を良好に保ちながら、蓋体3Bを開閉する際の操作性を向上させることが可能である。したがって、このような蓋体3Bを備える蓋付き容器1Bでは、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0098】
なお、本実施形態の蓋付き容器1Bでは、上述した蓋体3Bが備える圧力調整部26Aの構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、上記
図5に示す圧力調整部26Bや、上記
図6に示す圧力調整部26Cを備えた構成とすることも可能である。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明は、上述した真空断熱構造を有する容器本体によって保温・保冷機能を持たせた蓋付き容器に好適に適用できるが、上部に開口部が設けられた容器本体と、開口部を開閉する蓋体とを備えた蓋付き容器に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1A,1B…蓋付き容器 2…容器本体 2a…開口部 3A,3B…蓋体 4…外容器 5…内容器 6…真空断熱層 7…張出部 8…外蓋 9…中栓 10…雌ネジ部 11…雄ネジ部 12…第1の栓体 13…第2の栓体 14,14A…第1の脱着機構 15…抜止パッキン 16a…第1の上側フランジ部 16b…第2の上側フランジ部 17…上側溝部 18…切欠部 19,19A…第2の脱着機構 20…係止部 21…被係止部 22…隙間形成機構 23…段差面 24…当接凸部 25…止水パッキン(シール部材) 26A,26B,26C…圧力調整部 27…取付孔 28…弾性部材 29…脱気孔 30…当接部 31…シール部 32…取付フランジ部 33…取付凹部 34…吸気孔 35…弁体 36…断熱材