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特許7020863プラント監視システムの試験支援装置、その試験支援方法、及びその試験支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】プラント監視システムの試験支援装置、その試験支援方法、及びその試験支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017207506
(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公開番号】P2019079426
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 節也
(72)【発明者】
【氏名】福島 正喜
(72)【発明者】
【氏名】小田川 直人
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156875(JP,A)
【文献】特開2007-102654(JP,A)
【文献】特開平10-198586(JP,A)
【文献】特開2012-018583(JP,A)
【文献】特開2011-075824(JP,A)
【文献】特開2013-148617(JP,A)
【文献】特開2015-133015(JP,A)
【文献】特開平11-154129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援装置において、
前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを保持する試験設定データ保持部と、
前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、前記プラント監視システムが保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出する座標変換部と、
前記試験項目及び前記操作指定座標を認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信する動作認識部と、を備えることを特徴とするプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項2】
前記画面レイアウトデータを受け取り、前記画面レイアウトデータから前記シンボル名と前記オブジェクトのXY座標とを関連付けた変換用データを作成して保持する変換用データ保持部をさらに備え、
前記座標変換部は前記変換用データを用いて前記操作指定座標と前記試験項目とを関連付ける請求項1に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項3】
前記座標変換部は、前記試験設定データの前記試験項目に前記操作指定座標を関連付けて試験実行データとし、
前記動作認識部は前記試験実行データを読み込んで前記指令を送信する請求項1又は請求項2に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項4】
前記試験実行データは、前記試験項目が前記シンボル名を用いて規定され、
前記動作認識部は、前記試験実行データを読み込んでこの試験実行データに含まれる前記シンボル名を抽出し、
前記座標変換部は、前記動作認識部が抽出した前記シンボル名を前記XY座標に変換して前記動作認識部に引き渡す請求項3に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項5】
表示された各表示画面の複製画面を証拠データとして蓄積する画像データ蓄積部を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項6】
前記表示試験後に配置変更がされて前記座標変換部が直近に取得したXY座標から異なるものとなったオブジェクトの前記配置変更による差分情報を保持する差分情報保持部を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項7】
前記差分情報を前記動作認識部が認識可能な差分試験実行データとして保持する差分試験実行データ保持部と、
前記動作認識部の読み込み対象を前記差分試験実行データに適時に切り替える差分試験制御部と、を備える請求項6に記載のプラント監視システム試験支援装置。
【請求項8】
前記表示画面に画面操作を補助する補助表示を重ねて表示した補助合成画面を作成する補助合成部を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項9】
前記補助合成画面からの画面操作情報の編集を受け付けて前記編集を試験項目に反映させる編集受付部を備える請求項8に記載のプラント監視システムの試験支援装置。
【請求項10】
プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援方法において、
前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを作成するステップと、
前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、前記プラント監視システムが保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出させるステップと、
前記試験項目及び前記操作指定座標を認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信させるステップと、を含むことを特徴とするプラント監視システムの試験支援方法。
【請求項11】
コンピュータに、
プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援方法において、
前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを保持するステップ、
前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、前記プラント監視システムが保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出するステップ、
前記試験項目及び前記操作指定座標を認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信するステップ、を実行させることを特徴とするプラント監視システムの試験支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラント監視システムが備える表示画面の表示試験の支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電プラントを監視するプラント監視システムの表示画面は、十分な表示試験がなされてから納入される。
この表示試験では、設定された試験条件下で試験者が試験手順書を元に各画面を操作し、画面の表示内容を確認する。
【0003】
品質要求の高いプラント監視システムでは、試験結果の証拠として確認した画面画像を全て保管することが要求される。
証拠データの採取における試験者毎のばらつきや、膨大なデータ整理時間の発生を防止するため、試験リストの手順に沿って自動試験を行う試験支援装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-133015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、この試験リスト中で規定する操作指定座標は、画面上のXY座標で定義されていた。しかしながら、設定のために膨大な労力がかかるという課題があった。
従来では、微妙にレイアウトが異なる複数の表示画面がある場合や、レイアウトが途中で変更された場合に、レイアウトに含まれるオブジェクトの各々について座標を定義する必要があったためである。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、表示画面の自動による表示試験で読み込まれる操作指定座標の規定の汎用性を向上したプラント監視システムの試験支援装置、その支援方法、及びその支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置は、プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援装置において、前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを保持する試験設定データ保持部と、前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、試験対象である前記プラント監視システムの機器制御部が保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出する座標変換部と、前記試験項目及び前記操作指定座標を含むデータを読み込みを認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信する動作認識部と、を備えるものである。
【0008】
本実施形態に係るプラント監視システムの試験支援方法は、プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援方法において、前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを作成するステップと、前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、前記プラント監視システムが保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出させるステップと、前記試験項目及び前記操作指定座標を認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信させるステップと、を含むものである。
【0009】
本実施形態に係るプラント監視システムの試験支援プログラムは、コンピュータに、プラント監視システムの表示画面についての表示試験を支援する試験支援方法において、前記表示試験の試験項目における操作対象のオブジェクトについての座標に依存しないシンボル名と、当該試験項目における当該オブジェクトへの操作情報と、が関連付けられた試験設定データを保持するステップ、前記試験設定データから前記シンボル名を読み込み、前記プラント監視システムが保持する画面レイアウトデータに基づいて前記シンボル名に対応する前記オブジェクトのXY座標を操作指定座標として抽出するステップ、前記試験項目及び前記操作指定座標を認識して、前記プラント監視システムに、前記操作指定座標に対して前記操作情報を実行させるための指令を送信するステップ、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、表示画面の自動による表示試験で読み込まれる操作指定座標の規定の汎用性を向上したプラント監視システムの試験支援装置、その支援方法、及びその支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一般的なプラント監視システムの概略構成図。
図2】(A)は表示画面の一例を示す図、(B)は表示画面の他の一例を示す図、(C)は(B)の表示画面の画面レイアウトを示す図である。
図3】第1実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図4】試験リスト保持部が保持する試験リストの一例を示す図。
図5】汎用リスト保持部が保持する汎用リストの一例を示す図。
図6】汎用リストから試験リストへの変換を説明する図。
図7】第1実施形態に係るプラント監視システムの試験支援方法を示すフローチャート。
図8】第2実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図9】第2実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置が有する改良型試験リストの一例を示す図。
図10】第3実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図11】第3実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置で生成される差分情報の一例を示す図。
図12】第3実施形態に係る試験支援方法の差分箇所抽出方法を示すフローチャート。
図13】第4実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図14】第5実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図15】第5実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置で生成される補助合成画面の一例を示す図。
図16】第6実施形態に係るプラント監視システムの試験支援装置の概略構成図。
図17】補助合成画面からの試験内容の編集態様を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、一般的なプラント監視システム100(以下、単に「監視システム100」という)の概略構成図である。
図2(A)は、表示画面11(11a)の一例を示す図、図2(B)は、表示画面11(11b)の他の一例を示す図、図2(C)は図2(B)の画面レイアウト12を示す図である。
【0014】
監視システム100は、図1に示されるように、ポンプ又は温度計などのプラントを構成する機器86(86a~86z)の監視状況を監視画面表示部81に表示して監視員に監視させる。
監視員は、キーボード又はマウス等の入力端末82から機器制御部83を介して表示画面11(図2(A),(B))に対してデータ入力又はマウス操作(以下、単に「画面操作」という)をすることが可能である。
【0015】
監視画面表示部81に表示される画面は、例えば、図2(B)に示されるように、機器86の状態を、デジタル表示、バーチャート表示、又はトレンドグラフ表示などで表示する状態画面11bである。
また、図2(A)に示されるように、図2(B)の状態画面11bを表示する前段階の各種の入力画面11aも監視画面表示部81に表示される。
【0016】
これらの表示画面11(11a,11b)には、画面操作の対象になるオブジェクト13が通常複数含まれる。
オブジェクト13には、通常、文字列又は記号などのシンボル名27aが併記される。
例えば、シンボル名27aは、キーボードから入力すべき“年”、“月”、“日”等の表示であり、オブジェクト13は、この年月日それぞれの入力エリア13aである。
【0017】
また、オブジェクト13がグラフ表示ボタン13bの場合、このグラフ表示ボタン13bに表示される “グラフ表示”がシンボル名27aである。
また、図2(B),(C)に示されるように、“横スケール”及び“縦スケール”のシンボル名27aに対して、変更可能な日数又は単位もオブジェクト13である。
【0018】
表示画面11は、その画面レイアウト12(図2(C))が、例えば機器制御部83内の画面レイアウト保持部84に保持される。
画面操作がなされると、機器制御部83内の画面生成部85が、適切な画面レイアウト12を抽出して、この画面レイアウト12にグラフデータ等を反映させた表示画面11を生成する。
【0019】
画面レイアウト12は、メーカーと製品納入先との間でレイアウトの変更及びオブジェクト13の追加削除が繰り返されて決定される。
よって、最終的に画面レイアウト12が確定するまでは、レイアウトの変更と画面表示試験(以下、単に「表示試験」という)とが繰り返されることになる。
第1実施形態に係る支援装置10は、このように動作する監視システム100に接続されて、例えば製品納入前に実施される監視画面表示部81の表示試験を支援するものである。
【0020】
第1実施形態に係る支援装置10は、図3に示されるように、主に、試験リスト保持部14(試験実行データ保持部)、動作認識部16、データ取得指示部17、及び画像データ蓄積部18を備える。
【0021】
試験リスト保持部14には、表示画面11に関する実行するべき試験内容のデータである試験実行データが、試験リスト19としてリスト化されて保持される。
【0022】
ここで図4は、試験リスト保持部14が保持する試験リスト19の一例を示す図である。
試験リスト19には、図4に示されるように、各画面について試験を実施する日にち、動作項目、試験の順番、及び画面操作情報等が記載される。
【0023】
画面操作情報とは、例えば、各画面におけるマウス操作の有無又はマウス操作対象等のマウス操作情報、及び入力テキスト等のキーボード操作情報等である。
なお、第1実施形態では、試験リスト19中の操作位置情報34は、XY座標を用いて記述される。つまり、操作位置情報34の表現形式は、XY座標による。
【0024】
図1に戻って説明を続ける。
動作認識部16は、試験リスト19から画面操作の表示試験に必要な動作を試験の順番に沿って読み込む。
【0025】
読み込まれた動作は、信号制御部21において、機器制御部83が読み取り可能な信号に変換される。
機器制御部83は、監視員又は試験者の入力端末82からの試験動作の入力に代えて、信号制御部21からの入力に従って表示試験を実施することになる。
【0026】
データ取得指示部17は、動作認識部16からの指示で試験リスト保持部14に保持されている試験リスト19を読み込む。
そして、データ取得指示部17は、記載された試験の順番を参照しながら、監視画面表示部81に表示される各表示画面11のハードコピー(複製画面)を画面複製部22にとらせる。
【0027】
画像データ蓄積部18は、画面複製部22によって次々に取得されたハードコピーを、証拠データとして蓄積する。
証拠データは、例えば、図2(A),(B)に例示される表示画面11である。
【0028】
画像データ蓄積部18に蓄積された証拠データは、データリンク部23によってIDが付与されて、このIDによって試験リスト19の画面所在情報(図4)にリンク付けられる。
証拠データは、データ取得指示部17によって、後にこの画面所在情報から監視画面表示部81に任意に呼び出すことができる。
【0029】
画像データ蓄積部18に蓄積された証拠データと試験リスト19とを照合することで、試験者は適切な表示画面11が適時に表示されたことを確認する。
なお、このリンク付けは、通常、後述する汎用リスト24にも同様になされる。
試験者は、汎用リスト24と証拠データとを照合して表示試験の適切性を確認してもよい。
【0030】
そして、第1実施形態に係る支援装置10は、図3に示されるように、汎用リスト保持部31(試験設定データ保持部)、変換用データ保持部32、及び座標変換部33を備える。
【0031】
汎用リスト保持部31は、画面操作の際の操作位置情報34を、座標に依存しない識別情報27で特定する形式で試験内容を規定する試験設定データを、汎用リスト24として保持する。
オブジェクト13の識別情報27は、例えば上述のシンボル名27aで表記するのが好ましい。
試験者が後に汎用リスト24を確認する際に動作内容の把握が容易だからである。
以下、識別情報27がシンボル名27aである例で説明する。
【0032】
ここで、図5は、汎用リスト保持部31が保持する汎用リスト24の一例を示す図である。
汎用リスト24の各項目は、試験リスト19と原則同様である。
ただし、試験リスト19が、図5に示されるように、画面操作の操作位置を、画面上のXY座標で規定するのに対して、汎用リスト24は、オブジェクト13に付与されたシンボル名27aで規定する。
【0033】
また、汎用リスト24においては、同一の画面操作は、オブジェクト13のXY座標が異なっていても、同一の記述で規定することができる。
また、画面レイアウト12が微妙に異なる複数の表示画面11に対しても、同一の記述で同一の画面操作を表現することができる。
なお、表示試験が実施された汎用リスト24は、試験リスト保持部14又は汎用リスト保持部31等に試験リスト履歴36として蓄積される。
【0034】
変換用データ保持部32は、オブジェクト13が最新のレイアウトで配置された表示画面11をデータ(以下、「変換用レイアウトデータ28」又は「変換用レイアウト28(図中)」という)で保持する。
つまり、変換用データ保持部32が機器制御部83の画面レイアウト保持部84に接続されることで、変換用レイアウトデータ28は、画面レイアウト12に連動して最新の状態に維持される。
【0035】
すなわち、表示画面11のレイアウトを変更する場合、画面レイアウト保持部84の画面レイアウト12を変更すれば、その変更は、支援装置10の起動時等の所定のタイミングで変換用レイアウトデータ28に反映される。
【0036】
変換用レイアウトデータ28は、シンボル名27aからオブジェクト13の検索が可能で、かつ、検出したオブジェクト13のXY座標の特定が可能なデータである。
つまり、各オブジェクト13について、シンボル名27aと、XY座標とが紐付けられている。
【0037】
変換用データ保持部32が画面レイアウト12の変更に応じて変換用レイアウトデータ28を更新する処理の例について、以下説明する。変換用データ保持部32が行う処理は、画面レイアウト保持部84から受け取るデータ形式に応じて異なる。
【0038】
画面レイアウト保持部84から受け取るデータが、シンボル名27aに対応するオブジェクト13のXY座標が紐付けられてデータ内をシンボル名27aで検索して対応するオブジェクト13のXY座標を取得できるデータ形式の場合は、変換用データ保持部32は特段の処理を行うことなく画面レイアウト12を変換用レイアウトデータ28として保持する。
【0039】
画面レイアウト保持部84から受け取るデータが、各シンボル名27aや各オブジェクト13のXY座標を情報として含んでいるものの、シンボル名27aとオブジェクト13を紐付ける情報は含んでいないデータ形式の場合、変換用データ保持部32は画面レイアウト12中のシンボル名27aとオブジェクト13とを紐付ける処理を行い、変換用レイアウトデータ28として保持する。
【0040】
より具体的には、画面レイアウト12内のあるシンボル名27aを検索し、そのXY座標から近くにあるまたは重畳するXY座標を有するオブジェクト13を抽出し、当該シンボル名27aと当該オブジェクト13が対応するものとして紐付けを行う。
【0041】
画面レイアウト12において、シンボル名27aに対応するオブジェクト13は通常は近接または重畳して配置されている。例えば、図2(A)に示した例ではシンボル名“年”の近くに入力エリア13(テキストボックス)であるオブジェクト13aが配置され、シンボル名“グラフ表示”には重畳してボタンであるオブジェクト13bが配置されている。
【0042】
もちろん、テキストボックスの内側にシンボル名27aが表示される場合も考えられる。例えば、あるシンボル名27aに重畳するオブジェクト13がある場合、重畳するオブジェクト13を当該シンボル名27aと紐付けるといった処理を行う。また、シンボル名27aに重畳するオブジェクト13が無い場合、近接するオブジェクト13bを当該シンボル名27aと紐付ける。
【0043】
ここで、シンボル名27aに複数のオブジェクト13が近接している場合も有り得る。例えば、図2(A)ではシンボル名“月”の上下にそれぞれオブジェクト13aが配置されている。このような場合、適切なオブジェクト13を抽出に、オブジェクト13とシンボル名27aとの配置規則を利用するのが好ましい。例えば、テキストボックスはシンボル名27aの下または右に配置する等のポリシーに基づいて画面レイアウト12が決定されていることがある。
【0044】
そこで、特定のシンボル名27aに近接するオブジェクト13を探索する場合、当該シンボル名27aの画面右側及び画面下側に限定する等、オブジェクト13の探索範囲をあらかじめ限定しておくことで、適切なオブジェクト13aを抽出することができる。
【0045】
また、別の例として、シンボル名27aのうち、オブジェクト13に重畳しているものと近接しているものがある場合がある。この場合、重畳しているものを優先してそのオブジェクト13と紐付けを行い、その後紐付けが行われていないシンボル名27aであって近接するオブジェクト13が1つのみのものについて紐付けを繰り返す、といった処理も考えられる。
【0046】
また、画面レイアウト保持部84から受け取るデータがビットマップ形式又はラスタ形式の画像データで、シンボル名27aやオブジェクト13がデータとして含まれない場合もある。このような画像データの場合、画像認識により画像に表示された文字、テキストボックス、ボタン等を抽出し、シンボル名27aまたはオブジェクト13として認識する。以降は、上述の画面レイアウト保持部84から受け取るデータが、各シンボル名27aや各オブジェクト13のXY座標を情報として含んでいるものの、シンボル名27aとオブジェクト13を紐付ける情報は含んでいないデータ形式の場合と同様の処理を行い、シンボル名27aとオブジェクト13の紐付けを行う。
【0047】
また、以上の説明ではシンボル名27aを基準にオブジェクト13を抽出して紐付けるものとして説明したが、例えばオブジェクト13を基準にシンボル名27aを紐付ける処理であってもよい。
【0048】
ここで、変換用データ保持部32は、上述の処理を行うためにシンボル名27aの一覧を保持していてもよい。シンボル名27aの一覧は、予め変換用データ保持部32に記憶させておく、汎用リスト保持部31から汎用リスト24を呼び出してシンボル名27a一覧を抽出する等によって保持する。
【0049】
なお、画面レイアウト12を変換用レイアウトデータ28として保持する場合は、変換用データ保持部32は、画面レイアウト保持部84から取得した画面レイアウト12を一時的に保持する例えばメモリまたはRAMで構成される。
【0050】
座標変換部33は、動作認識部16による試験リスト19の読み込みの前段で、動作認識部16から操作位置情報34の更新の要求を受ける。
この要求を受けて、座標変換部33は、汎用リスト24から各試験内容を読み取り、この試験内容で必要になる表示画面11及びこの表示画面11に含まれるオブジェクト13をシンボル名27aで抽出する。
【0051】
ここで、図6は、汎用リスト24から試験リスト19への変換を説明する図である。
座標変換部33は、シンボル名27aで特定されたオブジェクト13を変換用レイアウトデータ28から抽出して、変換用レイアウトデータ28上のオブジェクト13の配置位置をXY座標で抽出する。
【0052】
このXY座標で記述されたオブジェクト13の配置位置を用いて、座標変換部33は、試験リスト19中のXY座標で記述された操作位置情報34を更新して、試験リスト保持部14に保存する。
【0053】
つまり、座標変換部33は、図6に示されるように、表示画面11上の操作位置情報34の表現形式をオブジェクト13のシンボル名27aからXY座標に変換する。
座標変換部33による更新完了通知の受信により動作認識部16が読み込みを開始することで、最新のXY座標情報で表示試験が実施されることになる。
【0054】
次に、第1実施形態に係るプラント監視システムの試験支援方法を、図7のフローチャートを用いて説明する(図3及び図4を適宜参照)。
【0055】
まず、試験者による変更調整工程(S11~S15)について説明する。
表示試験のために表示画面11から入力する入力内容の変更等試験内容を変更する場合(S11がYESの場合)、試験者が汎用リスト24を更新する(S12)。
汎用リスト24において、試験者は、操作位置情報34をシンボル名27aで規定しながら試験内容を変更する。
【0056】
また、表示画面11のレイアウトに変更がある場合(S13がYESの場合)、試験者は、画面レイアウト保持部84の画面レイアウト12のレイアウトを変更する(S14)。
この変更は、変換用レイアウトデータ28に自動で反映される(S15)。
この結果、汎用リスト24及び変換用レイアウトデータ28は、最新のものが保持されることになる。
【0057】
次に、表示試験工程(S16~S24)に移行する。
まず、試験者が支援装置10に入力手段38等から表示試験の開始を指示する(S16)。
なお、この開始の指示は、試験者が行わずに、定期的に支援装置10が自動で起動して表示試験を開始してもよい。
【0058】
動作認識部16が、開始の指示を受けて座標変換部33に試験リスト19の更新を指示する(S17)。
座標変換部33は、汎用リスト24を参照して、試験内容を規定しているシンボル名27aを抽出する。
そして、座標変換部33は、抽出したシンボル名27aを有するオブジェクト13を変換用レイアウトデータ28中で検索して、オブジェクト13のXY座標を特定する(S18)。
【0059】
そして、座標変換部33は、オブジェクト13をXY座標で規定した試験内容で試験リスト19を更新する(S19)。
試験リスト19の更新後、座標変換部33は、動作認識部16に更新完了通知を送信する。
動作認識部16は、更新完了通知を受信して、試験リスト19を読み込む。
【0060】
そして、動作認識部16は、試験リスト19から読み込んだ試験内容に基づき信号制御部21を介して機器制御部83に信号入力をする(S20)。
機器制御部83は、製品納入前に監視員が入力端末82から行う画面操作に代えて、この信号制御部21からの入力信号に基づいて画面生成部85に表示画面11を生成させる。
【0061】
また、動作認識部16がデータ取得指示部17に試験リスト19の読み込みを指示する(S21)。
データ取得指示部17は、試験リスト19の読み込みで取得した試験内容に沿って、表示画面11の複製を画面複製部22に指示する(S22)。
【0062】
画面複製部22は、監視画面表示部81に表示される表示画面11を複製して画像データ蓄積部18に証拠データとして保存する。
データ取得指示部17は、表示画面11が切り替えられる都度(S23でNO)、画面複製部22に表示画面11を複製させる(S20へ戻る)。
【0063】
一連の入力操作に関する表示画面11を表示させた後(S23でYES)、他の試験項目に関する表示画面11の表示試験に移行する(S24でNO,S20へ戻る)。
表示試験では、例えば、図2(A)の入力画面11aにおいて入力する数値を変更して、図2(B)に例示された状態画面11bでその反映を確認する。
試験リスト19で予定されていた全表示試験が完了した場合(S24でYES)、支援装置10による表示試験は終了する(END)。
【0064】
なお、支援装置10の各動作は、プログラムに沿ってコンピュータで実行してもよい。
例えば、これらは、CPU等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、或いはHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、を具備するコンピュータとして構成することができる。
【0065】
この場合、図3に示す各部のうち、画面複製部22、データリンク部23、データ取得指示部17、座標変換部33、動作認識部16、及び信号制御部21の機能は、記憶装置に記憶された所定のプログラムをプロセッサが実行することによって実現することができる。
また、このようなソフトウェア処理に換えて、ASIC(Application Specific Integration Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現することもできる。
【0066】
さらに、支援装置10は、ソフトウェア処理とハードウェアによる処理を組み合わせて実現することもできる。
また、図3に示す構成のうち、画像データ蓄積部18、試験リスト保持部14、汎用リスト保持部31、及び変換用データ保持部32は、ROMまたはRAM等の記憶装置によって実現される。
【0067】
以上のように、第1実施形態に係る支援装置10によれば、オブジェクト13のレイアウトが異なる複数の表示画面11が含まれる場合や、システムの修正にともなうレイアウト変更などが発生した場合でも、一つの汎用リスト24に基づいて表示試験の実施をすることができる。
また、座標変換部33による座標変換を監視画面表示部81のモニタ解像度に対応させれば、試験内容の規定にあたり、モニタ解像度による操作位置の変化への考慮が不要になる。
【0068】
つまり、第1実施形態に係る支援装置10によれば、表示画面11の自動による表示試験を少数の汎用リスト24で行うことで、操作指定座標の規定の汎用性を向上させることができる。
【0069】
(変形例)
支援装置10の構成は、変換用データ保持部32を設けずに、座標変換部33が画面レイアウト保持部84から画面レイアウト12を受け取るものであってもよい。この場合、座標変換部33は画面レイアウト12及び汎用リスト24を用いて試験リスト19を生成する。
【0070】
この場合の具体的な処理は、座標変換部33が画面レイアウト保持部84から受け取るデータ形式によって異なる。シンボル名27aと対応するオブジェクト13が紐づけされたデータ形式である場合、座標変換部33の行う処理は第1実施形態と実質的に同じである。
【0071】
画面レイアウト保持部84から受け取るデータが、シンボル名27aと対応するオブジェクト13とが紐づけられていないデータ形式の場合、上述した変換用データ保持部32によるシンボル名27aに対応するオブジェクト13を抽出する処理を座標変換部33が行う。ただし、シンボル名27aと対応するオブジェクト13のXY座標とを紐付けする処理を行うことなく、汎用リスト24上のシンボル名27aを対応するオブジェクト13のXY座標(操作指定座標)に変換する処理を行う。
【0072】
例えば、図2(A)に示した例において、シンボル名“年”について、その下の入力エリア(テキストボックス)を対応するオブジェクト13aとして抽出する。ここで、変換用データ保持部32はシンボル名“年”と当該オブジェクト13aを紐づけて変換用レイアウトデータ28として保持したが、本変形例の座標変換部33は汎用リスト24の当該シンボル名27aを、当該オブジェクト13aのXY座標に変換して試験リスト19とする。
【0073】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る支援装置10の概略構成図である。
また、図9は、第2実施形態に係る支援装置10が有する改良型試験リスト19a(19)の一例を示す図である。
【0074】
第2実施形態に係る支援装置10は、図8及び図9に示されるように、第1実施形態で示した試験リスト19に代えて、試験内容がXY座標から独立した識別情報27を用いて規定される改良型試験リスト19aを有する。
【0075】
識別情報27は、第1実施形態と同様に、例えばオブジェクト13に表示されるシンボル名27aなどである。
動作認識部16には、新たに改良型試験リスト19a中の操作位置情報34を一旦シンボル名27aで読み取ってシンボル名27aを抽出するシンボル名抽出部42が設けられる。
【0076】
シンボル名抽出部42は、抽出したシンボル名27aを座標変換部33に引き渡す。
座標変換部33は、変換用レイアウトデータ28を用いてシンボル名27aをXY座標へ変換して、動作認識部16にこのXY座標を通知する。
【0077】
第2実施形態では、試験者が表示試験の試験内容を変更する場合、試験リスト保持部14内の改良型試験リスト19aを直接変更することになる。
一方、表示画面11のレイアウトを変更する場合、第1実施形態と同様に入力端末82から画面レイアウト保持部84の画面レイアウト12を変更する。
また、表示試験が実施された改良型試験リスト19aは、第1実施形態と同様に画像データ蓄積部18又は試験リスト保持部14に試験リスト履歴36として保存される。
【0078】
なお、動作認識部16が試験内容をシンボル名27aで読み取って、このシンボル名27aをXY座標に変換すること以外は、第2実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0079】
このように、第2実施形態に係る支援装置10によれば、第1実施形態の効果に加えて、動作認識部16が読み取る改良型試験リスト19aを試験者が直接シンボル名27aで書き換えることができる。
【0080】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る支援装置10の概略構成図である。
また、図11は、第3実施形態に係る支援装置10で生成される差分情報46の一例を示す図である。
【0081】
第3実施形態に係る支援装置10は、図10に示されるように、配置変更のあったオブジェクト13のこの配置変更による差分情報46を保持する差分情報保存部47をさらに備える。
差分情報46とは、図11に示されるように、オブジェクト13の配置変更に関する情報である。
【0082】
この差分情報46は、例えば、試験リスト19と同様の形式で、試験リスト履歴36と更新された最新の試験リスト19の差分がリスト化される。
試験者は、差分情報46を参照することで前回からのレイアウト変更等があった箇所を容易に認識でき、変更があった画面を効率よく確認できる。
【0083】
また、変換用データ保持部32には、変換用レイアウトデータ28のレイアウトの変更が変更履歴48として記憶される。
つまり、画面レイアウト12が変更された場合、変換用レイアウトデータ28も自動で更新されて、その変更履歴48が記憶される。
【0084】
第1実施形態で述べたように、汎用リスト保持部31、試験リスト保持部14又は画像データ蓄積部18には、試験リスト履歴36(36a,36b)が保存される。
第3実施形態では、この試験リスト履歴36に、表示試験に使用された画面レイアウト12に付与されている画面IDが試験項目毎に記載される。
これら画面ID及び変更履歴48を利用することで、画面レイアウト12の変更の影響を受ける試験内容を把握することができる。
【0085】
以下、第3実施形態に係る試験支援方法の差分箇所抽出方法について、図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、座標変換部33が、汎用リスト24の読み込み時に、併せて試験リスト履歴36aを参照して(S31)、使用する画面レイアウト12が過去に使用されたか否かを確認する(S32)。
【0086】
過去に使用されていない画面レイアウト12については(S32がNOの場合)、座標変換部33は、第1実施形態と同様に、画面レイアウト12に含まれるオブジェクト13についてシンボル名27aをXY座標に変換する(S36へ)。
そして、座標変換部33は、第1実施形態と同様に、このXY座標で試験リスト19を更新して保存する(S39へ)。
【0087】
一方、画面レイアウト12が過去に使用されている場合(S32がYESの場合)、座標変換部33は、変更履歴48を読み込んで前回表示試験後にレイアウトが変更されているか確認する(S33)。
【0088】
前回表示試験後にレイアウトが変更されていない場合(S34がNOの場合)、前回変換したXY座標をそのまま利用することができるので、試験リスト19を更新せずに動作認識部16に試験リスト19の読み込み指示をする(S38へ)。
【0089】
一方、前回表示試験後にレイアウトが変更されている場合(S34がYESの場合)、引き受けたシンボル名27aが付されたオブジェクト13の配置が変更されているか確認する(S35)。
【0090】
対象のオブジェクト13の配置が変更されていない場合には(S35がNOの場合)、座標変換部33は、試験リスト19を更新せずに動作認識部16に試験リスト19の読み込み指示をする(S38へ)。
【0091】
一方、対象のオブジェクト13の配置が変更されている場合(S35がYESの場合)、座標変換部33は、再度シンボル名27aからXY座標に変換する(S36)。
そして、座標変換部33は、新たに取得したXY座標で試験リスト19を更新する(S37)。
【0092】
試験リスト19の更新後には、第1実施形態と同様に、動作認識部16が、試験内容を認識して、信号制御部21を介して機器制御部83に表示試験を実行させる(S38)。
そして、今回の表示試験で座標変換があった場合には(S39がYESの場合)、座標変換部33は、差分情報保存部47に差分情報46を追加保存する(S40)。
【0093】
試験者は、監視画面表示部81から差分情報保存部47にアクセスして差分情報46を画面出力や紙出力で確認することで、オブジェクト13の配置の変更箇所を容易に把握することができる(S41:END)。
なお、この差分情報46も、証拠データに含まれてもよい。
【0094】
このように、第3実施形態に係る支援装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、試験リスト19中の画面レイアウト12の変更による影響範囲を容易に把握することができ、試験結果を効率的に確認することができる。
【0095】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係る支援装置10の概略構成図である。
【0096】
第4実施形態に係る支援装置10は、図13に示されるように、差分情報46を動作認識部16が認識可能な差分試験リスト19bとして保持する差分試験リスト保持部50と、動作認識部16の読み込み対象を差分試験リスト19bに適時に切り替える差分試験制御部51と、を備える。
【0097】
表示試験後に画面レイアウト12に変更があった場合、この変更箇所については、再度表示試験を実施する必要がある。
このとき、再度の表示試験の対象を、変更があった画面レイアウト12に関連する箇所のみに限定すると表示試験が効率的に実施することができる。
そこで、第4実施形態では、画面レイアウト12の変更部分の影響範囲のみの再試験(以下、「差分再試験」という)を可能にする。
【0098】
差分試験制御部51が、例えば入力手段38からの差分再試験の指令を受けて、動作認識部16の読み込み対象を差分試験リスト19bに切り替える。
なお、差分試験制御部51は、動作認識部16に代えて、信号制御部21及びデータ取得指示部17を制御するものであってもよい。
また、差分情報46が前述したように既に試験リスト19と同様の形式で記述されている場合には、別個に差分試験リスト保持部50を設けなくてもよい。
【0099】
なお、差分試験リスト19bに基づいて表示試験を実施すること以外は、第3実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0100】
このように、第4実施形態に係る支援装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、差分再試験を実施することができるので、画面レイアウト12の変更後の表示試験の効率を向上することができる。
【0101】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態に係る支援装置10の概略構成図である。
【0102】
第5実施形態に係る支援装置10は、図14に示されるように、補助合成部52と、補助合成画面保存部53と、を備える。
補助合成部52は、画面レイアウト12上に、画面操作を補助する補助表示59を重ねて表示した補助合成画面54を作成する。
【0103】
ここで、図15は、補助合成画面54の一例を示す図である。
補助表示59は、例えば、図15に示されるような番号及び矢印で表された画面操作の順番59a又は入力予想値59b等であって、関連するオブジェクト13上又はその近傍に表示される。
【0104】
補助合成部52は、試験リスト19を読み込んで、その表示試験で使用される画面レイアウト12を取得する。
さらに、補助合成部52は、試験リスト19から画面操作内容を読み込んで、この画面操作内容に対応した補助表示59を取得した画面レイアウト12に重ねることで補助合成画面54を作成する。
【0105】
この補助合成画面54は、補助合成画面保存部53に保存され、自由に監視画面表示部81への表示又は印刷が可能にされる。
試験者は、印刷された補助合成画面54を確認して、試験内容の規定漏れ、誤手順、及び誤入力をチェックすることができる。
【0106】
なお、補助合成画面54を作成すること以外は、第5実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0107】
このように、第5実施形態に係る支援装置10によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、画面操作の操作手順を試験者が事前に確認することができるので、より適切な試験内容にすることができる。
【0108】
(第6実施形態)
図16は、第6実施形態に係る支援装置10の概略構成図である。
また、図17は、補助合成画面54からの試験内容の編集態様を説明する図である。
【0109】
第6実施形態に係る支援装置10は、図16に示されるように、編集受付部58を備える。
編集受付部58は、補助合成画面54aからの画面操作情報の編集を受け付けて、この編集を実施する試験内容に反映させる。
【0110】
第6実施形態では、編集受付部58が補助合成画面54a上に表示する編集ボタン61a(61)の押下によって、補助合成画面54aの補助表示59が編集可能になる。
【0111】
例えば、図17に示されるように、入力予想値59bの入力値の変更は、汎用リスト24に反映される。
また、矢印の向きの変更や番号の削除等によって、画面操作の順番59aの変更も可能である。
編集受付部58は、補助合成画面54aに表示する終了ボタン61b(61)の押下で編集の受け付けを終了して、保存ボタン61c(61)の押下で編集を汎用リスト24に反映させる。
【0112】
なお、編集受付部58は、既存の画面操作情報の書き替えに加え、新たな試験手順を追加する追加保存機能を有してもよい。
【0113】
なお、補助合成画面54a上からの試験内容の変更が可能なこと以外は、第6実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
【0114】
このように、第6実施形態に係る支援装置10によれば、第5実施形態と同様の効果に加えて、画面操作情報及び補助表示59を視認しながら試験内容を編集することができるので、試験内容の修正及び追加が容易になる。
【0115】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の支援装置10によれば、オブジェクト13を座標に依存しない識別情報27で規定して表示試験時にXY座標情報に変換することで、表示画面11の自動による表示試験で読み込まれる操作指定座標の規定の汎用性を向上することが可能になる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0117】
例えば、第1実施形態等では、試験リスト19におけるオブジェクト13のXY座標(操作指定座標)を変換するものとして説明したが、変換ではなく追加するものであってもよい。
また、各実施形態では試験実行データを試験リスト19、試験設定データを汎用リスト24として説明したが、リスト形式に限る必要はなく、試験項目と操作情報とが対応付けられた形式のデータであればよい。
【符号の説明】
【0118】
100…プラント監視システム(監視システム)、10…支援装置、11(11a,11b)…表示画面(入力画面,状態画面)、12…画面レイアウト、13(13a,13b)…オブジェクト(入力エリア,グラフ表示ボタン)、14…試験リスト保持部、16…動作認識部、17…データ取得指示部、18…画像データ蓄積部、19(19a,19b)…試験リスト(改良型試験リスト,差分試験リスト)、21…信号制御部、22…画面複製部、23…データリンク部、24…汎用リスト、27(27a)…識別情報(シンボル名)、28…変換用レイアウトデータ、31…汎用リスト保持部、32…変換用データ保持部、33…座標変換部、34…操作位置情報、36(36a,36b)…試験リスト履歴、38…入力手段、42…シンボル名抽出部、46…差分情報、47…差分情報保存部、48…変更履歴、50…差分試験リスト保持部、51…差分試験制御部、52…補助合成部、53…補助合成画面保存部、54(54a)…補助合成画面、58…編集受付部、59(59a,59b)…補助表示(順番の表示,入力予想値)、61a…編集ボタン、61b…終了ボタン、61c…保存ボタン、81…監視画面表示部、82…入力端末、83…機器制御部、84…画面レイアウト保持部、85…画面生成部、86(86a~86z)…機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17