(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】グラフェン含有膜の陰イオン透過性評価方法および光電変換素子
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20220209BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220209BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20220209BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20220209BHJP
H01L 51/44 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G01N27/416 336M
G01N27/416 302M
H05B33/14 A
H05B33/26 Z
H05B33/28
H01L31/04 130
(21)【出願番号】P 2020512068
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2018033968
(87)【国際公開番号】W WO2020054018
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勝之
(72)【発明者】
【氏名】信田 直美
(72)【発明者】
【氏名】齊田 穣
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135379(JP,A)
【文献】特開2015-050442(JP,A)
【文献】特開2012-204184(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107037085(CN,A)
【文献】米国特許第04818365(US,A)
【文献】特開2016-086173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174954(US,A1)
【文献】国際公開第2014/188166(WO,A1)
【文献】特開2020-041982(JP,A)
【文献】BULT, J.B. et al.,Role of Dopants in Long-Range Charge Carrier Transport for p-Type and n-Type Graphene Transparent Conducting Thin Films,ACS Nano,2013年,Vol.7, No.8,p.7251-7261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26 - G01N 27/49
H01L 51/50
H05B 33/00 - H05B 33/28
H01L 31/02 - H01L 31/056
H01L 31/42 - H01L 31/48
C01B 32/00 - C01B 32/991
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン含有膜の陰イオン透過性を評価する方法であって、
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
0を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
1を測定し、
(iv)(ii)における反応電流I
0と(iii)における反応電流I
1とを比較することによって、前記グラフェン含有膜の陰イオン透過性を評価する方法。
【請求項2】
前記作用極の形状が膜状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作用極が、前記作用極を前記水溶液に直接接触させないための保護膜をさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記陰イオンがハロゲンイオンまたは水酸化物イオンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
金属銀を含む作用極が、金属銀薄膜または銀ナノワイヤからなる電極である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2つの電極とその間に設けられた光電変換層を具備し、前記2つの電極と前記光電変換層との間の少なくとも一方にグラフェン含有膜をさらに具備する光電変換素子であって、 前記グラフェン含有膜に含まれるグラフェン骨格にアルキル鎖を含有する置換基が結合しており、
さらに前記グラフェン含有膜に含まれるグラフェン骨格の炭素原子の一部が窒素原子で置換されており、かつ
前記グラフェン含有膜が、
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
0を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
1を測定したとき、
(iii)において、反応電流I
1の曲線が、プラス電位側でピークを有し、(iii)のプラス電位側の積算電荷量Q
1が、(ii)のプラス側の積算電荷量Q
0の20%以下である特性を有する、光電変換素子。
【請求項7】
前記グラフェン含有膜に隣接する金属酸化物層をさらに具備する、請求項
6に記載の素子。
【請求項8】
前記素子が具備する電極が、金属銀を含有する、請求項
6または7に記載の素子。
【請求項9】
前記素子が具備する電極が、金属銀薄膜または銀ナノワイヤからなる電極である、請求項
6~8のいずれか1項に記載の素子。
【請求項10】
2つの電極とその間に設けられた光電変換層を具備し、前記2つの電極と前記光電変換層との間の少なくとも一方にグラフェン含有膜をさらに具備する光電変換素子の製造方法であって、
前記グラフェン含有膜として、
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
0
を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I
1
を測定したとき、
(iii)において、反応電流I
1
の曲線が、プラス電位側でピークを有し、(iii)のプラス電位側の積算電荷量Q
1
が、(ii)のプラス側の積算電荷量Q
0
の20%以下である特性を有するものを選択することを含む、光電変換素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、グラフェン含有膜の陰イオン透過性測定方法および光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年エネルギーの消費量が増加してきており、地球温暖化対策として従来の化石エネルギーに代わる代替エネルギーの需要が高まっている。このような代替エネルギーのソースとして太陽電池に着目が集まっており、その開発が進められている。太陽電池は、種々の用途への応用が検討されているが、多様な設置場所に対応するために太陽電池のフレキシブル化と耐久性向上が特に要求されている。最も基本的な単結晶シリコン系太陽電池はコストが高く、フレキシブル化が困難であり、昨今注目されている有機太陽電池や有機無機ハイブリッド太陽電池は耐久性の点で改良の余地がある。
【0003】
このような太陽電池の他、有機EL素子、光センサーといった光電変換素子について、フレキシブル化および耐久性改良を目的とした検討が行われている。このような素子には透明電極としては通常ITO膜が用いられている。ITO膜は通常スパッタ等で製膜される。導電性の高いITO膜を得るためには、一般に高温でのスパッタやスパッタ後の高温アニールが必要であり、有機材料を組み合わせた素子には適用できないことが多い。また素子にITO膜を組み合わせた場合には、光電変換層などの活性部位にインジウム等の金属イオンやハロゲンイオン等が侵入して、素子活性が低下することもある。
【0004】
また、透明電極として、低抵抗、かつ高透明性であるITO/Ag/ITOや銀ナノワイヤが用いられることがある。このような電極では銀が酸やハロゲンによって劣化する傾向が強い。さらに銀はマイグレーションしやすい。マイグレーションした銀は水等と反応して酸化し、透明電極の透明性を低下させたり、素子内部の活性部位に到達して素子活性自体を低下させることがある。
【0005】
一方、透明電極部材としてグラフェン含有膜が用いられることがある。グラフェン含有膜は優れた導電性や安定性を有するが、種々の短所があることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、上記のような課題に鑑みて、電気化学素子に使用されるグラフェン含有膜の陰イオン透過性を簡便に評価する方法およびイオン透過性を制御したグラフェン含有膜を用いた光電変換素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態による方法は、グラフェン含有膜の陰イオン透過性を評価する方法であって、
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I0を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I1を測定し、
(iv)(ii)における反応電流I0と(iii)における反応電流I1とを比較することによって、前記グラフェン含有膜の陰イオン透過性を評価するものである。
【0009】
また、実施形態による光電変換素子は、2つの電極とその間に設けられた光電変換層を具備し、前記2つの電極と前記光電変換層との間の少なくとも一方にグラフェン含有膜をさらに具備する光電変換素子であって、
前記グラフェン層が、
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I0を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I1を測定したとき、
(iii)において、反応電流I1の曲線が、プラス電位側でピークを有し、
(iii)のプラス電位側の積算電荷量Q1が、(ii)のプラス側の積算電荷量Q0の20%以下である特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態による膜状構造体の陰イオン透過性測定方法を示す概念図。
【
図2】実施形態による電気化学素子(太陽電池セル)の構造を示す概念図。
【
図3】実施形態による電気化学素子(有機EL素子)の構造を示す概念図。
【
図5】実施例5の太陽電池セルの構造を示す概念図。
【
図6】実施例7の有機EL素子の構造を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下実施形態を詳細に説明する。
【0012】
[実施形態1]
まず、
図1を用いて、第1の実施形態に係るグラフェン含有膜の陰イオン透過性測定方法について説明する。
【0013】
実施形態による方法では、評価対象であるグラフェン含有膜が無い場合の電流I
0の測定(ii)と、ある場合の電流I
1の測定(iii)を行う。言い換えればサイクリックボルタモメトリーにより(ii)水溶液のみについて、または(iii)グラフェン含有膜を介して、測定する。これらには、いずれを先に行ってもよい。また、
図1は、本実施形態の一例に係る方法において、グラフェン含有膜がある場合の電流I
1を測定するときの構成概略図である。
【0014】
評価に用いる測定装置は、陰イオンを含有する水溶液104と、金属銀を含む作用極102と、対極107と、参照極108とを具備する。これらの作用極と対極と参照極は外部回路によって電気的に結合されている。
図1において、外部回路には作用極と対極との間に電位を印加する電源109および電流計111が結合されている。これらの電極、電源、電流計の電気的接続は、一般的にサイクリックボルタモメトリーにおいて用いられているポテンショスタットと同様の回路を構成している。したがって、実施形態において参照電極は、作用電極の電位を正確に知るための基準となるものである。
【0015】
ここで、作用極102に含まれる金属銀は、銀の単体である必要は無く、銀を含む合金であってもよい。また金属銀の形状は限定されない。作用極が金属銀薄膜の形状であったり、銀ナノワイヤから構成されたものであってもよい。また、
図1において作用極は膜状の形状であるが、その形状は限定されない。ただし、評価対象の形状が膜状であるため、作用極を膜状とすることで測定時に均一な電流を得ることができるので作用極は膜状であることが好ましい。
【0016】
図1において、作用極102と水溶液104との間に評価対象であるグラフェン含有膜101が挟まれている。言い換えれば、グラフェン含有膜101の一方の片面には、作用極12が接しており、もう一方の面に水溶液104が接している。
【0017】
グラフェン含有膜101は作用極102と積層された構造となっているが、このグラフェン含有膜101と作用極102は接触することによって電気的に結合されている。
【0018】
図1において、水溶液104は、外筒106とグラフェン含有膜101とで構成される空間に収容されている。この結果、水溶液104は、グラフェン含有膜101と接触し、グラフェン含有膜101を介して作用極102と電気的に結合される。外筒106とグラフェン含有膜101の間には水溶液流出を防止するためのシール105を備えてもよい。
【0019】
このような構成で、参照電極を基準として作用電極の電位を周期的に変化させ、グラフェン含有膜101が存在するときの、作用極に含まれる金属銀と陰イオンとの反応電流I1を電流計111で測定する。
【0020】
そして、I1の測定とは別に、上記した構成からグラフェン含有膜101を除外し、水溶液104を作用極102と直接接触させて、同様の測定を行って、グラフェン含有膜101が存在しないときの、作用極に含まれる金属銀と陰イオンとの反応電流I0を測定する。
【0021】
ここで測定される反応電流を生じさせる反応は以下のように説明される。
【0022】
グラフェン含有膜101を通して陰イオン(例えばハロゲンイオンX-)が金属銀(Ag)を含有する作用極102まで拡散し、印加される電位が陰イオンの酸化電位を超えると(1)式の反応が生じる。
X- + Ag → AgX + e- (1)
【0023】
次に 逆の電位を印加すると (2)式の逆反応が生じる
AgX + e- → X- + Ag (2)
【0024】
これら反応に基づく電子移動により電流が発生する。グラフェン含有膜の陰イオン透過性が低いと反応電流I1は小さくなる。一方グラフェン含有膜が無い場合は、グラフェン含有膜の影響が無い、基準となる電流I0が測定される。電流I0は実質的に陰イオンの濃度のみに依存する。これらの電流の比較からグラフェン含有膜101のイオン透過性が評価できる。
【0025】
電位を印加して電流を測定する方法としては、一般に、アンペロメトリーのように一定の電位を印加して電流値を検出する方法と、ボルタモメトリーのように電位を変動させながら電流値を測定する方法とがある。実施形態においては、周期的に電位を変えながら電位を印加して電流値の応答の変化をみる(サイクリックボルタモメトリー)。時間に対する電流応答波形が徐々に変化する場合があるが、その場合は時間に対する電流応答波形の変化が10%以下になった時の波形を採用する。プラス側の波形の電流値を時間で積分して得られる電荷量から式(1)の反応量(電流量)が測定できる。また、グラフェン含有膜が無い場合の電流I0と、膜のある場合との電流I1の比較から、測定対象である膜のイオン透過性を評価することができる。解析のしやすさからボルタモメトリーの場合は電位を時間に対して1次で変化させるいわゆるサイクリックボルタモメトリーが好ましい。
【0026】
印加する電位の範囲は、水の電解による酸素発生や水素発生があまり起こらない範囲が好ましい。好ましくは-500~+800mV(参照電極が銀塩化銀電極の場合)である。サイクリックボルタモメトリーにおいて、電位印加速度は2.5~50mV/sが好ましく、10~25mV/sがより好ましい。
【0027】
水溶液の陰イオンの濃度は、膜の透過性に応じて適切に調整されるが、濃度としては0.05~5質量%が好ましい。
【0028】
銀は酸素と反応して酸化しやすい。このため、作用極に含まれる金属銀の酸化を防ぐために、水溶液は窒素ガスで飽和させ、測定を窒素ガス雰囲気中で行うことが好ましい。測定温度は15℃から30℃が好ましい。
【0029】
本実施形態では金属銀を含有する作用極が水溶液に直接接触させないための保護膜をさらに具備することが好ましい。例えば、
図1とは異なり、容器に水溶液を満たし、そこに作用極、対極、および参照極を接触させる態様において、作用極の一部に測定対象となるグラフェン含有膜を積層した後、作用極の露出部分を保護膜で被覆することもできる。このような態様によれば、前記したような、水溶液の流出のおそれのある、外筒106やシール105の組み合わせでは無く、汎用の容器を用いて実施形態の方法を実施することができる。
【0030】
本実施形態では陰イオンとしてハロゲンイオンまたは水酸化物イオンを用いることが好ましい。ハロゲンイオンは銀との反応性が高く、また塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのイオンから適切なイオンを選択することによって、サイズや反応電位を容易に変えることができる。水酸化物イオンもまた銀との反応性が高く、アルカリ性状態でのグラフェン含有膜のイオン透過性を評価するのに適する。
【0031】
実施形態の方法により評価される対象となるグラフェン含有膜は特に限定されないが、光電変換素子に用いられる透明電極などに用いられるグラフェン含有膜であることが好ましい。
【0032】
本実施形態では、作用極は金属銀を含む。金属銀は純銀であってもよいし合金であってもよい。合金としてはPd、Pt、Au、Sn、Zn、Cuとの合金が好ましい。また、作用極が金属銀の薄膜、棒、またはパッドなどの形状であってもよい。さらに、金属銀が銀ナノワイヤであってもよい。この場合、作用極が銀ナノワイヤのみから構成されても、導電性材料によって結合されていてもよい。
【0033】
作用極が金属銀の超薄膜である場合、その平均厚さは2nm~20nmであることが好ましい。2nmより薄いと電気抵抗が高くなる傾向があり、反応電流を高い精度で測定することが難しくなる場合がある。20nmより厚いと透明性が低下する傾向にある。より好ましくは3nm以上15nm以下である。金属銀が銀ナノワイヤである場合、平均直径が20~200nmであることが好ましい。20nmより小さいと安定性が減少する傾向にあり、200nmより大きいと分散液が不安定になる傾向がある。作用極が金属銀の薄膜の場合は平均厚さが1μmから1mmが加工や取扱の点から好ましい。
【0034】
銀薄膜の厚さや銀ナノワイヤの直径は電子顕微鏡で表面もしくは断面を観測することにより測定できる。銀ナノワイヤの直径は銀ナノワイヤ平面画像の幅である。銀ナノワイヤの幅が一本の銀ナノワイヤ中で変化する場合は3か所測定する。これらの値の平均値はそれぞれランダムな測定点50から求めることができる。
【0035】
なお、測定対象となるグラフェン含有膜は種々の方法で作製することができる。
【0036】
グラフェン含有膜のひとつとして、単層グラフェン膜がある。この単層グラフェン膜は、例えば化学気相成長(CVD)法により製造することができる。具体的には、Cu箔を下地触媒層とし、メタン、水素、およびアルゴンの混合ガスを反応ガスとして化学気相成長(CVD)法によりグラフェン層を形成させる。Cu箔表面を、予めアニール処理によって、Cu箔表面の結晶粒を大きくしておくことが好ましい。アニール処理は、レーザー照射による加熱処理により行うことができる。さらに形成されたグラフェン層をアルゴン混合気流下で加熱処理した後、アルゴン気流下で冷却する。グラフェン層が形成された膜面に熱転写フィルムを圧着した後、アンモニアアルカリ性の塩化第二銅エッチャントに浸漬してCuを溶解し、単層からなるグラフェン層を熱転写フィルム上に転写させることで単層グラフェン膜を製造する。
【0037】
また、グラフェン層の積層構造を含む多層グラフェン膜は、単層グラフェン膜の形成と同様の操作を繰り返し、単層グラフェン膜を積層することにより得ることが可能である。
【0038】
これらのグラフェン含有膜を金属銀を含む膜上に熱転写することができる。
【0039】
グラフェン骨格の炭素原子の一部が窒素原子で置換されたグラフェン含有膜(以下、窒素置換グラフェン含有膜ということがある)を製造することもできる。このようなグラフェン含有膜は、陰イオンとの相互作用が大きく、陰イオンの拡散を小さくすることができるので好ましい。
【0040】
このようなグラフェン含有膜は、CVD法の原料として、メタンや水素などの基本原料に加えて、アンモニア、ピリジン、メチルアミン、エチレンジアミン、または尿素などの低分子窒素化合物を組み合わせることにより形成させることができる。
【0041】
また、窒素置換グラフェン含有膜は、前記のCVD法による方法とは別の方法で製造することもできる。例えば、酸化グラフェンの水分散液を金属上(例えばCu)にスピンコートして薄膜状にした後、アンモニア、水素、アルゴンの混合雰囲気下で熱処理する。この処理によって、グラフェン骨格の炭素原子の一部を窒素原子で置換することができる。
【0042】
さらには、
(i)酸化グラフェンの水分散液中にアミン化合物またはヒドラジン、およびナトリウムボロハイドライド等を加えて還元し、それを銀を含む膜上にスピンコートして薄膜状にする、
(ii)酸化グラフェン薄膜をヒドラジンで加熱処理して乾燥させた後、PETフィルム上に転写する、
(iii)無置換グラフェン薄膜を窒素プラズマ中で処理して製造する、
(iv)アンモニア、メタン、水素、アルゴンの混合雰囲気下、銅基材にマイクロ波を照射し、プラズマを発生させる
のいずれかの方法で窒素置換グラフェン含有膜を製造することができる。
【0043】
また、グラフェン骨格にアルキル鎖を含有する置換基が結合したグラフェン含有膜を製造することもできる。このようなグラフェン含有膜は有機溶媒に対する分散性が向上して製膜しやすくなると共に、アルキル鎖を含有する置換基のためにイオンの拡散を小さくすることができる。このようなグラフェン含有膜は、酸化グラフェンにアルキル鎖を有し、酸化グラフェンの官能基であるカルボン酸基、水酸基、エポキシ基等と反応することができる官能基を有する化合物と還元剤とを反応させて製造することができる。アルキル基としては炭素数2~18が分散性の点から好ましく、分岐していてもよいし鎖中に酸素原子や窒素原子のようなヘテロ原子を含有していてもよい。末端はメチル基でもよいし、水酸基やアミノ基、カルボン酸基であってもよい。末端の基を変えることによりグラフェン膜のゼータ電位を制御することができる。アルキル鎖を有する化合物が還元性を有すれば還元剤を省くことができる。還元剤としてヒドラジンを用いると窒素置換グラフェン膜を製造するのに好ましい。
【0044】
さらに、グラフェン骨格の炭素原子の一部がホウ素原子で置換されたグラフェン含有膜を製造することもできる。このようなグラフェン含有膜は、ジボラン、メタン、水素、アルゴンを混合反応ガスとしたCVD法で製造することができる。
【0045】
[実施形態2-1]
図2を用いて、第2の実施形態の一つに係る光電変換素子の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る太陽電池セル20(光電変換素子)の構成概略図である。太陽電池セル20は、このセルに入射してきた太陽光L等の光エネルギーを電力に変換する太陽電池としての機能を有する素子である。太陽電池セル20は、透明電極201と光電変換層203の間に第1のグラフェン含有膜202を有する。また対向電極205と光電変換層203の間に第2のグラフェン含有膜204を有する。
図2では2つのグラフェン含有膜を有する例を示したが、どちら一つだけを有してもよい。
【0046】
ここで、グラフェン含有膜202および204は、特定の陰イオン透過性を有している。この陰イオン透過性は、以下の方法により評価できる。
(i)陰イオンを含有する水溶液と、金属銀を含む作用極と、対極と、参照極とを具備し、前記作用極と前記対極と前記参照極が外部回路によって電気的に結合された測定装置を準備し、
(ii)前記水溶液に、前記作用極と、前記対極と、前記参照極とを接触させ、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I0を測定し、
(iii)前記作用極に代えて、前記作用極に電気的に接続された、グラフェン含有膜を前記水溶液に接触させ、ここで前記作用極と前記水溶液は直接的には接触させず、前記対極に対する前記作用極の電極電位を周期的に変化させながら掃引して金属銀と陰イオンとの反応電流I1を測定したとき、
(iii)において、反応電流I1の曲線が、プラス電位側でピークを有し、
(iii)のプラス電位側の積算電荷量Q1が、(ii)のプラス側の積算電荷量Q0の20%以下であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下である。この比率が低ければ、陰イオンの透過性が低く、光電変換素子の寿命が長くなる。
【0047】
実施形態ではグラフェン含有膜に含まれるグラフェン骨格の炭素原子の一部が窒素原子で置換されていてもよい。窒素置換グラフェン含有膜は陰イオンとの相互作用が大きく、陰イオンの拡散をさらに小さくすることができる。また仕事関数が小さくなる傾向があり、素子の陰極に好適である。窒素原子のドープ量(N/C原子比)はX線光電子スペクトル(XPS)で測定することができ、0.1~30atom%であることが好ましく、1~10atom%であることがより好ましい。
【0048】
実施形態ではグラフェン骨格にアルキル鎖を含有する置換基が結合していてもよい。グラフェン骨格にアルキル鎖を含有する置換基が結合していると有機溶媒に対する分散性が向上して製膜しやすくなると共にアルキル鎖を含有する置換基のためにイオンの拡散を小さくすることができて、素子寿命が長くなる傾向がある。
【0049】
実施形態では、素子の電極が銀を含んでいてもよい。電極が銀を含むことにより、イオン拡散の効果をより正確に予測することができる。対向電極205として銀電極を採用する場合、平均厚さが50nm~1μmの銀薄膜を用いることができる。銀薄膜は真空蒸着やスパッタ、スクリーン印刷により作製できる。
【0050】
また、透明電極201として銀を含む電極を用いることができる。このような電極として、銀超薄膜と導電性の金属酸化物との積層膜もしくは銀ナノワイヤを用いることができる。
【0051】
銀は純銀であってもよいし合金であってもよい。合金としてはPd、Pt、Au、Sn、Zn、Cuとの合金が好ましい。銀ナノワイヤは平均直径が20~200nmが好ましい。20nmより小さいと安定性が減少する傾向にある。200nmより大きいと透明性が減少する傾向にある。銀超薄膜の厚さや銀ナノワイヤの直径は前記した方法と同様の方法による求められる。
【0052】
導電性の金属酸化物膜としては、一般的に知られている任意のものから選択することができる。具体的には、インジウムドープスズ酸化物(Indium doped tin oxide、ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine doped tin oxide、FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(Aluminium doped zinc oxide,AZO等が挙げられる。上記金属酸化物はアモルファス構造を含有し、膜厚はいずれも30~200nmが好ましい。アモルファス構造を有すると連続的で均一、平坦な膜を形成しやすい。膜厚が30nmより小さいと抵抗が大きくなる傾向があり200nmより大きいと透明性が低下し、作製に時間がかかる傾向にある。より好ましくは35~100nm、さらに好ましくは40~70nmである。上記の中ではITOが中性pHでゼータ電位が0に近く陽イオンや陰イオンとの相互作用が小さいため好ましい。
【0053】
銀超薄膜の膜厚は2~20nmが好ましい。2nmより小さいと抵抗が大きくなる傾向があり、20nmより大きいと透明性が低下する傾向がある。より好ましくは3~15nmであり、さらに好ましくは5~10nmである。
【0054】
実施形態による光電変換素子は、紫外線カット層、またはガスバリア層をさらに具備することができる。紫外線カット層に含まれる紫外線吸収剤の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第3ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;フェニルサリチレート、p-オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系化合物が挙げられる。これらは400nm以下の紫外線をカットするものであることが望ましい。
【0055】
ガスバリア層としては特に水蒸気と酸素を遮断するものが好ましく、特に水蒸気を通しにくいものが好ましい。例えば、SiN、SiO2、SiC、SiOxNy、TiO2、Al2O3の無機物からなる層、超薄板ガラス等を好適に利用することができる。ガスバリア層の厚みは特に制限されないが、0.01~3000μmの範囲であることが好ましく、0.1~100μmの範囲であることがより好ましい。0.01μm未満では十分なガスバリア性が得られない傾向にあり、他方、前記3000μmを超えると重厚化しフレキシブル性や柔軟性等の特長が消失する傾向にある。ガスバリア層の水蒸気透過量(透湿度)としては、102g/m2・d~10-6g/m2・dが好ましく、より好ましくは101g/m2・d~10-5g/m2・dであり、さらに好ましくは100g/m2・d~10-4g/m2・dである。尚、透湿度はJIS Z0208等に基づいて測定することができる。ガスバリア層を形成するには、乾式法が好適である。乾式法によりガスバリア性のガスバリア層を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着、及びこれらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。中でも、真空下で蒸着法により膜形成する真空蒸着法が好ましい。
【0056】
実施形態による素子に用いられる基板として、例えば、透明基板としては、ガラスなどの無機材料、PET、PEN、ポリカーボネート、PMMAなどの有機材料が用いられる。特に、柔軟性のある有機材料を用いると、実施形態による光電変換素子が柔軟性に富むものになるので好ましい。
【0057】
光電変換層203は、入射してきた光の光エネルギーを電力に変換して電流を発生させる半導体層である。光電変換層203は、一般に、p型の半導体層とn型の半導体層とを具備している。光電変換層としてはp型ポリマーとn型材料との積層体、ABX3で示されるペロブスカイト型(ここでAは一価のカチオン、Bは二価のカチオン、Xはハロゲンイオンである)、シリコン半導体、InGaAsやGaAsやカルコパイライト系やCdTe系やInP系やSiGe系などの無機化合物半導体、量子ドット含有型、さらには色素増感型の透明半導体を用いてもよい。いずれの場合も効率が高く、より出力の劣化を小さくできる。
【0058】
光電変換層203と透明電極21の間には電荷注入を促進もしくはブロックするためにさらにバッファ層が挿入されていてもよい。
【0059】
対向電極205は通常は不透明な金属電極であるが、実施形態による透明電極を用いてもよい。また、対向電極205としてITOガラス透明電極を用いることができる。この場合には、光電変換素子のフレキシビリティは犠牲になるが高効率で光エネルギーを利用することができる。また、金属電極としてステンレスや銅、チタン、ニッケル、クロム、タングステン、金、銀、モリブデン、すず、亜鉛等を用いてもよい。この場合には、透明性が低下する傾向にある
【0060】
対向電極205と光電変換層203の間には第2のグラフェン層や電荷バッファ層や電荷輸送層が挿入されていてもよい。
【0061】
陽極用バッファ層や電荷輸送層としては例えばバナジウム酸化物、PEDOT/PSS、p型ポリマー、五酸化バナジウム(V2O5)、2,2’,7,7’-Tetrakis[N,N-di(4-methoxyphenyl)amino]-9,9’- spirobifluorene(以下、Spiro-OMeTADという)、酸化ニッケル(NiO)、三酸化タングステン(WO3)、三酸化モリブデン(MoO3)等からなる層を用いることができる。
【0062】
一方、陰極用のバッファ層や電荷輸送層としてはフッ化リチウム(LiF)、カルシウム(Ca)、6,6’-フェニル-C61-ブチル酸メチルエステル(6,6’-phenyl-C61-butyric acid methyl ester、C60-PCBM)、6,6’-フェニル-C71-ブチル酸メチルエステル(6,6’-phenyl-C71-butyric acid methyl ester、以下C70-PCBMという)、インデン-C60ビス付加体(Indene-C60 bisadduct、以下、ICBAという)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、二酸化チタン(TiO2)、poly[(9,9-bis(3’-(N,N-dimethylamino)propyl)-2,7-fluorene)-alt-2,7-(9,9-dioctyl- fluorene)](以下、PFNということがある)、バソクプロイン(Bathocuproine、以下BCPということがある)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、ポリエチンイミン等からなる層を用いることができる。
【0063】
なお、光電変換層と透明電極層の間に、特にグラフェン含有膜に隣接して、金属酸化物層を設けることができる。このような金属酸化物層として、ブルッカイト型酸化チタン層、酸化スズ層があげられる。酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、およびブルッカイト型の3種類の結晶構造があることが知られている。実施形態においては、このうちブルッカイト型酸化チタンを含む層を用いることが好ましい。このブルッカイト型酸化チタン層は、光電変換層から電極へのハロゲンの移動、および電極から光電変換層への金属イオンの移動を抑制する効果を奏する。このため、電極や電子デバイスの長寿命化が可能となる。このようなブルッカイト型酸化チタン層は、ブルッカイト型酸化チタンのナノ粒子、具体的には平均粒子径が5~30nmの粒子からなるものが好ましい。ここで、平均粒子径は粒度分布測定装置により測定した。このようなブルッカイト型ナノ粒子は、例えば高純度化学研究所などから市販されている。酸化スズ層は塩化スズをn-ブタノールに溶解させた液を塗布して、高湿度条件で加熱することにより作製できる。
【0064】
実施形態による光電変換素子は、両面を透明電極に挟まれた構造とすることができる。このような構造を有する太陽電池は、両面からの光を効率よく利用することができる。エネルギー変換効率は一般に5%以上である。
【0065】
なお、本実施形態の光電変換素子は、光電池、太陽電池セルなどのほか、光センサーとしても使用できる。
【0066】
[実施形態2―2]
図3を用いて、第2の別の実施形態に係る光電変換素子の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る有機EL素子30(光電変換素子)の構成概略図である。有機EL素子30は、この素子に入力された電気エネルギーを光Lに変換する発光素子としての機能を有する素子である。有機EL素子30は、透明電極301と光電変換層303の間に第1のグラフェン含有膜302を有する。また対向電極305と光電変換層303の間に第2のグラフェン含有膜304を有する。
図3では2つのグラフェン含有膜を有する例を示したが、どちら一つだけを有してもよい。
【0067】
ここで、グラフェン含有膜302および304は特定の陰イオン透過性を有している。この陰イオン透過性は、前記と同様の方法により評価できる。
【0068】
光電変換層303は、透明電極301から注入された電荷と対向電極305から注入された電荷を再結合させ電気エネルギーを光に変換させる有機薄膜層である。光電変換層303は通常p型の半導体層とn型の半導体層からなっている。光電変換層303と対向電極305の間には電荷注入を促進もしくはブロックするためバッファ層が設けられ、光電変換層303と透明電極301の間にも別のバッファ層が設けられていてもよい。対向電極35は、通常は金属電極であるが透明電極を用いてもよい。
【0069】
素子の基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENという)などの樹脂材料が挙げられる。基材は平坦化処理したものが好ましい。
【0070】
(実施例1)
厚さ約100μmのPETフィルム上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は5%である。
【0071】
ITO/銀合金/ITO上にチタン線を銀ペーストで固定して電気的に結合する。結合部をシリコーンテープで保護し、PETフィルムの裏面もシリコーンテープで保護する。この試料を3質量%の塩化ナトリウム水溶液中に漬けて、サイクリックボルタモメトリーを行う(試料面積0.85cm2)。一方、グラフェン含有膜が無い試料として、120℃で加熱のみ行った試料(0.69cm2)、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で処理した試料(0.61cm2)、および酸化グラフェンをスピンコートし、120℃で処理した試料(0.84cm2)に対して同様にサイクリックボルタモメトリーを行う。
【0072】
図4に12.5mV/sで同じ測定条件で測定したサイクリックボルタモグラムを示す。電位プラス側の波形面積から、塩化物イオンと銀の反応量、すなわち積算電荷量を求めることができる。ここで波形面積は、電位を上げていく場合と、電位を下げていく場合の両方の和である。この波形面積を比較することで積算電荷量を比較することができる。窒素置換グラフェン含有膜の試料(1)における積算電荷量Q
1に対応する波形面積を1とすると、120℃で加熱のみ行った、置換グラフェン含有膜を有していない試料(2)の積算電荷量Q
0に対応する波形面積は7.8である。また、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で処理した試料(3)は7.9、酸化グラフェンをスピンコートし、120℃で処理した試料(4)は9.1である。窒素置換グラフェン含有膜はグラフェン含有膜が無い試料の13%(=1/7.8)である。酸化グラフェン膜ではグラフェン含有膜がない場合より塩化物イオンとの反応量が増えているが、この理由は濃縮作用によるものと考えられる。
【0073】
(実施例2)
酸化グラフェンの水分散液中に分岐ポリエチレンイミン水溶液を添加し、90℃で1時間加熱した後、水和ヒドラジンを添加し、さらに90℃で1時間加熱する。得られる混合物を12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。沈殿物を水で再分散させた後12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。この操作を2回行い、未反応のポリエチレンイミンと水和ヒドラジンを除去する。得られる沈殿を乾燥後、イソプロパノールで分散する。
厚さ約100μmのPETフィルム上にITO/(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上に上記イソプロパノール分散液をバーコーターで塗布し120℃で乾燥する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は12%である。この場合にはポリエチレンイミン由来の窒素原子が多い。IRスペクトルからグラフェンにアルキル鎖が結合している。
【0074】
ITO/銀合金/ITO上にチタン線を銀ペーストで固定して電気的に結合する。
図1で示すように3質量%の塩化ナトリウムを含有する水溶液を接触させる。水溶液を入れる容器とグラフェン含有膜の間にはシールで水溶液が流れ出さないようにする。サイクリックボルタモメトリーを行う(試料面積12cm
2)。一方、グラフェン含有膜が無い試料として、130℃で加熱のみ行った試料に対して同様にサイクリックボルタモメトリーを行う。いずれも同一の条件(25mV/s)で測定する。この結果、グラフェン含有膜がある場合の塩化物イオンと銀の反応量はグラフェン含有膜がない場合に対して3%未満である。
【0075】
(実施例3)
Cu箔の表面をレーザー照射によって加熱処理し、アニールにより結晶粒を大きくする。このCu箔を下地触媒層とし、アンモニア、メタン、水素、アルゴン(15:60:65:200ccm)を混合反応ガスとして1000℃、5分間の条件下、CVD法により平面状の単層窒素置換グラフェン含有膜を製造する。この時、ほとんどは単層の窒素置換グラフェン含有膜が形成されるが、条件により一部に2層以上の窒素置換グラフェン含有膜も生成する。さらにアンモニア、アルゴン混合気流下1000℃で5分処理した後、アルゴン気流下で冷却する。熱転写フィルム(150μm厚)と単層窒素置換グラフェン含有膜を圧着した後、Cuを溶解するため、アンモニアアルカリ性の塩化第二銅エッチャントに漬けて、単層窒素置換グラフェン含有膜を熱転写フィルム上に転写する。同様の操作を4回繰り返して多層窒素置換グラフェン含有膜を得る。
【0076】
熱転写フィルムを厚さ約100μmのPETフィルム上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上にラミネートした後、加熱してグラフェン含有膜を転写する。XPSで測定された窒素の含有量は、この条件では1~2atm%である。
【0077】
ITO/銀合金/ITO上にチタン線を銀ペーストで固定して電気的に結合する。
図1で示すように3質量%の塩化ナトリウムを含有する水溶液を接触させる。水溶液を入れる容器とグラフェン含有膜の間にはシールで水溶液が流れ出さないようにする。サイクリックボルタモメトリーを行う(試料面積12cm
2)。一方、グラフェン含有膜が無い試料として、100℃で加熱のみ行った試料に対して同様にサイクリックボルタモメトリーを行う。いずれも同一の条件(25mV/s)で測定する。この結果、グラフェン含有膜がある場合の塩化物イオンと銀の反応量はグラフェン含有膜がない場合に対して1%未満である。
【0078】
(実施例4)
実施例2で得られるグラフェンのイソプロパノール分散液を厚さ約100μmのPETフィルム上に形成された平均直径40nmの銀ナノワイヤ塗布膜上にバーコーターで塗布し、塩化ナトリウムの濃度を1質量%である以外は実施例2と同様にして塩化物イオンの透過性を評価する。いずれも同一の条件(25mV/s)で測定する。この結果、グラフェン含有膜がある場合の塩化物イオンと銀の反応量はグラフェン含有膜がない場合に対して4%未満である。
【0079】
(実施例5)
図5に示す太陽電池セル50を作成する。
【0080】
実施例1と同様に、厚さ約100μmのPETフィルム501上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造502上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜503を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は5%である。503上に電子輸送層504としてC60-PCBMのトルエン溶液をバーコーターで塗布して乾燥させる。ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(以下、P3HTという)とC60-PCBMとを含むクロルベンゼン溶液をバーコーターで塗布し、100℃で20分乾燥することにより光電変換層505を作製する。
【0081】
絶縁性セラミックス膜が反対面に形成されたステンレス箔506の表面を、希塩酸で処理して表面酸化膜を除去してから酸化グラフェンの水溶液をスピンコートして酸化グラフェン膜を形成させる。次いで、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜507を得る。
【0082】
窒素置換グラフェン含有膜507の上に、ソルビトールを含有したPEDOT・PSSの水溶液をバーコーターで塗布し、100℃で30分乾燥してPEDOT・PSSを含む接着層508(50nm厚)を形成させる。
【0083】
光電変換層505の上に上記接着層508面が接合するように90℃で貼り合わせる。PET表面に2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン含有の紫外線カットインクをスクリーン印刷して紫外線カット層509を作製する。紫外線カット層の上に真空蒸着法でシリカ膜を製膜しガスバリア層511を作製し太陽電池セル50を作製する。
【0084】
得られる太陽電池セルは1SUNの太陽光に対して5%以上のエネルギー変換効率を示し、室外で一か月放置しても効率の劣化は5%未満である。
【0085】
(実施例6)
実施例2と同様に、酸化グラフェンの水分散液中に分岐ポリエチレンイミン水溶液を添加し、90℃で1時間加熱した後、水和ヒドラジンを添加しさらに90℃で1時間加熱する。得られる混合物を12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。沈殿物を水で再分散させた後12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。この操作を2回行い、未反応のポリエチレンイミンと水和ヒドラジンを除去する。得られる沈殿を乾燥後、イソプロパノールで分散する。
【0086】
厚さ約100μmのPETフィルム上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上に上記イソプロパノール分散液をバーコータで塗布し120℃で乾燥することにより窒素置換グラフェン含有膜を得る。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は12%である。この場合にはポリエチレンイミン由来の窒素原子が多い。IRスペクトルからグラフェンにアルキル鎖が結合している。
上記グラフェン含有膜上に電子輸送層としてC60-PCBMのトルエン溶液をバーコーターで塗布して乾燥させる。ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(以下、P3HTという)とC60-PCBMとを含むクロルベンゼン溶液をバーコーターで塗布し、100℃で20分乾燥することにより光電変換層を作製する。
【0087】
絶縁性セラミックス膜が反対面に形成されたステンレス箔の表面を、希塩酸で処理して表面酸化膜を除去してから上記窒素置換グラフェンのイソプロパノール分散液をスピンコートして窒素置換グラフェン含有膜を得る。以下実施例5と同様にして太陽電池セルを作製する。
【0088】
得られる太陽電池セルは1SUNの太陽光に対して5%以上のエネルギー変換効率を示し、室外で一か月放置しても効率の劣化は2%未満である。
【0089】
(比較例1)
窒素置換グラフェン含有膜503および507を作製しないことを除いては実施例5と同様にして太陽電池セルを作製する。得られる太陽電池セルは1SUNの太陽光に対して5%以上のエネルギー変換効率を示すが室外で一か月放置すると効率の劣化は80%以上である。
【0090】
(実施例7)
図6に示す有機EL素子60を作成する。
【0091】
実施例1と同様に、厚さ約100μmのPETフィルム)601上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造602上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜603を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は5%である。窒素置換グラフェン含有膜603上にトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)(40nm)を蒸着して光電変換層604を作製する。その上にN,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(以下、NPDという)を30nmの厚さで蒸着しホール輸送層605を作製する。その上に金電極606をスパッタ法により製膜する。さらに周りを封止することにより有機EL素子を作製する。
【0092】
得られる有機EL素子は出力光の劣化が少なく、1000時間連続運転しても出力の低下は5%以下である。
【0093】
(実施例8)
透明な有機EL素子を作成する。
【0094】
実施例1と同様に、厚さ約100μmのPETフィルム)上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で120℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は5%である。グラフェン上に発光層であるトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)(40nm)を蒸着して光電変換層を作製する。その上にN,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(以下、NPDという)を30nmの厚さで蒸着しホール輸送層を作製する。その上にa-ITO(40nm)/銀(10nm)/a-ITO膜(50nm)をスパッタ法により製膜する。さらに素子外周を封止することにより有機EL素子を作製する。
【0095】
得られる有機EL素子は出力光の劣化が少なく、1000時間連続運転しても出力の低下は6%以下である。
【0096】
(比較例2)
窒素含有グラフェン含有層を作製しないことを除いては実施例7と同様にして有機EL素子を作製する。得られる有機EL素子1000時間連続運転すると出力は80%以下に低下する。
【0097】
(実施例9)
厚さ約100μmのPETフィルム上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で80℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は3%である。
【0098】
ITO/銀合金/ITO上にチタン線を銀ペーストで固定して電気的に結合する。結合部をシリコーンテープで保護し、PETフィルムの裏面もシリコーンテープで保護する。この試料を3質量%の塩化ナトリウム水溶液中に漬けて、サイクリックボルタモメトリーを行う。一方、グラフェン含有膜が無い試料として、80℃で加熱のみ行った試料に対して同様にサイクリックボルタモメトリーを行う。いずれも同一の条件(25mV/s)で測定する。この結果、グラフェン含有膜がある場合の塩化物イオンと銀の反応量はグラフェン含有膜がない場合に対して20%である。
【0099】
以下実施例8と同様にして有機EL素子を作製する。得られる有機EL素子は出力光の劣化が少なく、1000時間連続運転しても出力の低下は10%以下である
【0100】
(比較例3)
厚さ約100μmのPETフィルム上にITO(厚さ45nm)/銀合金(厚さ10nm)/ITO(厚さ45nm)の積層構造上にGraphenea社製酸化グラフェンの水溶液をスピンコートした後、水和ヒドラジン蒸気中で60℃で還元して窒素置換グラフェン含有膜を作製する。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は2%である。
【0101】
ITO/銀合金/ITO上にチタン線を銀ペーストで固定して導通をとる。導通部をシリコーンテープで保護し、PETフィルムの裏面もシリコーンテープで保護する。この試料を3質量%の塩化ナトリウム水溶液中に漬けて、サイクリックボルタモメトリーを行う。一方、グラフェン含有膜が無い試料として、60℃で加熱のみ行った試料に対して同様にサイクリックボルタモメトリーを行う。いずれも同一の条件(25mV/s)で測定する。この結果、グラフェン含有膜がある場合の塩化物イオンと銀の反応量はグラフェン含有膜がない場合に対して25%である。
【0102】
以下実施例8と同様にして有機EL素子を作製する。得られる有機EL素子1000時間連続運転すると出力は50%以下に低下する
【0103】
(実施例10)
実施例2と同様に、酸化グラフェンの水分散液中に分岐ポリエチレンイミン水溶液を添加し、90℃で1時間加熱した後、水和ヒドラジンを添加しさらに90℃で1時間加熱する。得られる混合物を12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。沈殿物を水で再分散させた後12000rpmで遠心分離し、沈殿物を得る。この操作を2回行い、未反応のポリエチレンイミンと水和ヒドラジンを除去する。得られる沈殿を乾燥後、イソプロパノールで分散する。
【0104】
厚さ約100μmのPETフィルム上に直径40nmの銀ナノワイヤをバーコーターで塗布し、その上に上記イソプロパノール分散液をバーコーターで塗布し120℃で乾燥することにより窒素置換グラフェン含有膜を得る。XPS測定から窒素原子の炭素原子に対する含有量は12%である。この場合にはポリエチレンイミン由来の窒素原子が多い。IRスペクトルからグラフェンにアルキル鎖が結合している。
【0105】
上記グラフェン含有膜上に電子輸送層としてC60-PCBMのトルエン溶液をバーコーターで塗布して乾燥させる。ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(以下、P3HTという)とC60-PCBMとを含むクロルベンゼン溶液をバーコーターで塗布し、100℃で20分乾燥することにより光電変換層を作製する。
【0106】
絶縁性セラミックス膜が反対面に形成されたステンレス箔の表面を、希塩酸で処理して表面酸化膜を除去してから上記窒素置換グラフェンのイソプロパノール分散液をスピンコートして窒素置換グラフェン含有膜を得る。以下実施例5と同様にして太陽電池セルを作製する。
【0107】
得られる太陽電池セルは1SUNの太陽光に対して5%以上のエネルギー変換効率を示し、室外で一か月放置しても効率の劣化は3%未満である。
【0108】
以上の通り、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
101…グラフェン含有膜
102…作用極
104…陰イオンを含有する水溶液
105…シール
106…外筒
107…対極
108…参照電極
109…電源
111…電流計
20…陽電池セル
201…透明電極
202…第1のグラフェン含有膜
203…光電変換層
204…第2のグラフェン含有膜
205…対極
30…有機EL素子
301…透明電極
302…第1のグラフェン含有膜
303…光電変換層
304…第2のグラフェン含有膜
305…対極
50…太陽電池セル
501…PETフィルム
502…ITO/銀合金/ITOの積層構造
503…グラフェン層
504…電子輸送層
505…光電変換層
506…ステンレス箔
507…N-グラフェン層
508…接着層
509…紫外線カット層
511…ガスバリア層
60…有機EL素子
601…PETフィルム
602…ITO/銀合金/ITOの積層構造
603…N-グラフェン層
604…光電変換層
605…ホール輸送層
606…金電極