(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】リサイクル燃料製造装置及びリサイクル燃料製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/46 20060101AFI20220215BHJP
B09B 3/30 20220101ALI20220215BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20220215BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20220215BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20220215BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20220215BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20220215BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20220215BHJP
【FI】
C10L5/46
B09B3/00 Z ZAB
B09B3/00 301W
B09B3/00 301Z
B09B5/00 E
B09B5/00 Q
B29B17/02
B29B17/04
C08J11/06
B09B3/00 303M
(21)【出願番号】P 2017105345
(22)【出願日】2017-05-29
【審査請求日】2020-04-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)刊行物による公開,大分合同新聞(平成28年12月1日付朝刊)(2)ウェブサイトによる公開,大分合同新聞ウェブサイト(平成28年12月1日)URL:http://www.oita-press.coo.jp/1010000000/2016/12/01/JD0055247238
(73)【特許権者】
【識別番号】398024745
【氏名又は名称】有限会社ワイ・エム・イー
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 由保
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-023187(JP,A)
【文献】特表2014-501608(JP,A)
【文献】特開2008-195910(JP,A)
【文献】特開2015-020110(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0032488(KR,A)
【文献】中国実用新案第201913105(CN,U)
【文献】中国実用新案第201220162(CN,Y)
【文献】特表2005-534733(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1662589(CN,A)
【文献】実開昭59-194911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/46
B09B 3/00
B09B 5/00
B29B 17/02
B29B 17/04
C08J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック、紙、
食品残渣を含む有機系混合廃棄物からリサイクル燃料を製造する装置であって、
前記有機系混合廃棄物を前記食品残渣である第一廃棄物と、それ以外の廃棄物が混合した第二廃棄物に分別する分別部と、
前記分別した第一廃棄物を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥した第一廃棄物をペレット化させる第一ペレット化部と、
前記分別した第二廃棄物を破砕する破砕部と、
前記破砕した第二廃棄物をペレット化する第二ペレット化部と、を備え、
前記第二廃棄物を積極的に乾燥させる機構を有さ
ず、
しかも前記第二ペレット化部は、孔が三段階に段階的に縮径し前記孔に前記第二廃棄物が圧入されるダイスを備えることを特徴とするリサイクル燃料製造装置。
【請求項2】
廃プラスチック、紙、
食品残渣を含む有機系混合廃棄物からリサイクル燃料を製造する方法であって、
前記有機系混合廃棄物を前記食品残渣である第一廃棄物と、それ以外の廃棄物が混合した第二廃棄物に分別する分別工程と、
前記分別した第一廃棄物を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥した第一廃棄物をペレット化させる第一ペレット化工程と、
前記分別した第二廃棄物を破砕する破砕工程と、
前記破砕した第二廃棄物をペレット化する第二ペレット化工程と、を備え、
前記第二廃棄物を、一連の工程で積極的には乾燥させることなくペレット化
し、
しかも前記第二ペレット化工程において、前記第二廃棄物を三段階に段階的に縮径させることを特徴とするリサイクル燃料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック、紙、食品残渣等を含む有機系混合廃棄物からリサイクル燃料を製造するリサイクル燃料製造装置及びリサイクル燃料製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチック、紙、食品残渣等を含む有機系混合廃棄物(一般事業系廃棄物)は焼却処分されることが主流であった。
そして、その焼却による熱を利用して、例えば隣接する温水プールの水を温めたり、そのゴミ処理場においてボイラー等の熱源として利用されていた。
【0003】
しかし、ゴミ処理場及びその近辺において有効に再利用できる熱量は限られており、無駄になってしまう熱も少なくなかった。
【0004】
そこで、そのような有機系混合廃棄物をゴミ処理場において焼却処分するのではなく、リサイクル燃料として再生する方法が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)
【0005】
このような方法によると、有機系混合廃棄物をリサイクル燃料としてペレット化することで、そのリサイクル燃料を運搬して必要なときに必要な場所で燃焼させることができるので、無駄になる熱がほとんど無くなった。
【0006】
さらに、この方法によってゴミは貴重な資源に変化したということであり、従来は費用を掛けて焼却処分していた有機系混合廃棄物を、リサイクル燃料として売却することすら可能になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5537614号公報
【文献】特許第5698711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、元々焼却処分されていた有機系混合廃棄物をリサイクル燃料として再生できていること自体、非常に有益なことであり、環境面にとっても大きなメリットがあるが、本出願人はさらなる創意工夫を行い、より安価にリサイクル燃料を製造することに成功した。
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、リサイクル燃料の製造コストが低廉なリサイクル燃料製造装置及びリサイクル燃料製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のリサイクル燃料製造装置(1)は、廃プラスチック、紙、食品残渣を含む有機系混合廃棄物からリサイクル燃料を製造する装置であって、前記有機系混合廃棄物が入れられた袋を破る破袋部(10)と、前記有機系混合廃棄物を前記食品残渣である第一廃棄物と、それ以外の廃棄物が混合した第二廃棄物に分別する分別部(20)と、前記分別した第一廃棄物を乾燥させる乾燥部(30)と、前記乾燥した第一廃棄物をペレット化させる第一ペレット化部(40)と、前記分別した第二廃棄物を破砕する破砕部(50)と、前記破砕した第二廃棄物をペレット化する第二ペレット化部(60)と、を備え、前記第二廃棄物を積極的に乾燥させる機構を有さず、しかも前記第二ペレット化部(60)は、孔(62)が三段階に段階的に縮径し前記孔(62)に前記第二廃棄物が圧入されるダイス(61)を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載のリサイクル燃料製造方法は、廃プラスチック、紙、食品残渣を含む有機系混合廃棄物からリサイクル燃料を製造する方法であって、前記有機系混合廃棄物が入れられた袋を破る破袋工程(100)と、前記有機系混合廃棄物を前記食品残渣である第一廃棄物と、それ以外の廃棄物が混合した第二廃棄物に分別する分別工程(200)と、前記分別した第一廃棄物を乾燥させる乾燥工程(300)と、前記乾燥した第一廃棄物をペレット化させる第一ペレット化工程(400)と、前記分別した第二廃棄物を破砕する破砕工程(500)と、前記破砕した第二廃棄物をペレット化する第二ペレット化工程(600)と、を備え、前記第二廃棄物を、一連の工程で積極的には乾燥させることなくペレット化し、しかも前記第二ペレット化工程(600)において、前記第二廃棄物を三段階に段階式に縮径させるすることを特徴とする。
【0017】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1及び2に記載のリサイクル燃料製造装置、及び請求項5及び6に記載のリサイクル燃料製造方法によれば、第二廃棄物を積極的に乾燥させる機構を有さないので、乾燥に用いる燃料が少なくて済む。
つまり、従来のように分別前の有機系混合廃棄物を乾燥させる場合では第一廃棄物及び第二廃棄物を乾燥させることになるが、本発明においては第一廃棄物のみを乾燥させるので、乾燥に必要な燃料が少なくて済む。よって、第二廃棄物から製造されるリサイクル燃料の製造コストが低廉になる。
【0019】
また、請求項3に記載のリサイクル燃料製造装置、及び請求項7に記載のリサイクル燃料製造方法によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、第二ペレット化部は、孔が段階式に縮径し孔に第二廃棄物が圧入されるダイスを備えるので、第二廃棄物をリサイクル燃料として取扱いし易い。
つまり、ペレット化、すなわち固体化できないと取扱い難くゴミを燃料として再生できたとは言えないが、請求項3の装置では第二廃棄物を乾燥させなくても取扱いし易いペレットとすることができ、燃料としての価値がある。
【0020】
特に、請求項4に記載の発明のように、ダイスの孔の径が三段階になるように縮径すると、第二廃棄物を乾燥させなくても確実に第二廃棄物をペレット化可能である。
つまり、第二廃棄物を乾燥させるための費用が掛からず製造コストが低廉で、しかも確実に第二廃棄物をペレット化でき、取扱いが容易である。
【0021】
なお、本発明のリサイクル燃料製造装置及びリサイクル燃料製造方法のように、第二廃棄物を積極的には乾燥させない点は、上述した特許文献1及び2には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るリサイクル燃料製造装置を示す機械的概略図である。
【
図2】
図1に示す第二ペレット化部におけるダイスを示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るリサイクル燃料製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至
図4を参照して、本発明の実施形態に係るリサイクル燃料製造装置1及びリサイクル燃料製造方法を説明する。
従来は、食品残渣以外の有機系混合廃棄物が混合した第二廃棄物を乾燥させないと第二廃棄物をペレット化できなかったが、本出願人は創意工夫により第二廃棄物を乾燥させなくても第二廃棄物をペレット化することに成功した。
【0024】
このリサイクル燃料製造装置1は、破袋部10と、分別部20と、乾燥部30と、第一ペレット化部40と、破砕部50と、第二ペレット化部60と、を備える。
破袋部10、分別部20、乾燥部30、第一ペレット化部40、及び破砕部50は、従来と同様のものを使用している。
【0025】
また、このリサイクル燃料製造装置1に投入されるものは有機系混合廃棄物であって、一般事業系廃棄物と呼ばれる。具体的にはこの有機系混合廃棄物は、廃プラスチック、紙、少量の木、ウエス、食品残渣等を含む。
【0026】
破袋部10は、回転刃を備え、内容物を粗粉砕する。ここでの目的は廃プラスチック等を細かく壊すことではなく、食品残渣を次の分別部20で分別可能にすることである。
【0027】
分別部20では、風力分別や篩分けを行う。食品残渣は、篩の目を介して落下させる。
分別後の食品残渣をここでは第一廃棄物と呼び、食品残渣以外の廃棄物が混合したものを第二廃棄物と呼ぶ。
【0028】
乾燥部30は、第一廃棄物を格納する本体部と、空気を加熱するボイラーと、ボイラーで加熱された空気を本体部に送る送風機と、を備える。
この乾燥部30は第一廃棄物を乾燥させるためだけのものである。
【0029】
第一ペレット化部40は、ダイスと、第一廃棄物をダイスに対して押し付ける圧力部を備える。また、第一廃棄物を撹拌のためのモーターと、第一廃棄物を上流から下流に送るためのモーターをそれぞれ別に設けた。
また、ダイスの下流直後にはカッターが設置されている。
【0030】
破砕部50は、回転刃を備え、分別した第二廃棄物を破袋部10における破袋よりも細かく破砕する。
【0031】
第二ペレット化部60は、
図2に示すダイス61と、圧力部を備え、第二廃棄物に対して圧力を掛けてダイス61の孔62を通すことで第二廃棄物をペレット化させるものである。
ここで、
図3に示すように、ダイス61の孔62の直径を上流から下流へ順に20mm、18mm、16mmと、段階的に縮径している。
この上流とは破砕部50側ということであり、
図2においてはダイス61を立てて記載しているが、ダイス61を水平に設置しても当然問題は無い。ダイス61を水平設置した場合の上流とは上方のことである。
また、ダイス61の下流直後にはカッターが設置されている。
【0032】
次に、以上のように構成されたリサイクル燃料製造装置1を使用した、リサイクル燃料製造方法について
図4を参照して説明する。
このリサイクル燃料製造方法は、途中からラインが二つに分かれて、二種類のリサイクル燃料が製造される。
本実施形態に係るリサイクル燃料製造方法は、破袋工程100、分別工程200、乾燥工程300、第一ペレット化工程400、破砕工程500、第二ペレット化工程600と、を備える。
【0033】
まず、破袋工程100において、投入された有機系混合廃棄物が入れられたゴミ袋を破る。
例えば弁当容器内に残存している食品残渣が次の分別工程200において落下して分別可能な程度に破袋(粗破砕)する。
【0034】
次に分別工程200において、有機系混合廃棄物を食品残渣である第一廃棄物と、それ以外の廃棄物が混合した第二廃棄物に分別する。
例えば、分別後にも弁当容器に食品残渣が多少残ることもあるが、この程度のことはここでは分別できたと呼ぶ。
ここで、分別後の第二廃棄物の含水率は通常20~40%程度である。
【0035】
次に乾燥工程300において、前工程で分別した第一廃棄物(食品残渣)を温風により乾燥させる。
次工程である第一ペレット化工程400において確実にペレット化するだけの含水率になるまで乾燥させるが、乾燥させ過ぎても固まらなくなる。
【0036】
次に第一ペレット化工程400において、前工程で乾燥した第一廃棄物に圧力を掛けるとともにダイス61を介し、カッターで所定の長さにすることで、ペレットにする。
出来上がったものをここでは第一ペレットと呼ぶ。
【0037】
そして、分別工程200後に、乾燥工程300とは別ラインとして破砕工程500があり、その破砕工程500では前工程で分別した第二廃棄物を回転刃によって数mm程度に破砕する。
【0038】
次に第二ペレット化工程600において、前工程で破砕した第二廃棄物に対して圧力を掛けながら段階的に縮径させて、圧縮成形された第二廃棄物をカッターによって所定の長さに切断する。この切断によって、固体燃料である第二ペレットになる。
【0039】
ここでは第二廃棄物を、一連の工程で積極的には乾燥させることなくペレット化している。
つまり、第一ペレットの製造工程においては乾燥を行うが、第二ペレットの製造工程においては乾燥を行わない。
【0040】
また、第二ペレット化工程600では第二廃棄物を積極的には加熱することはない。前工程での剪断熱や、ダイス61の孔62と第二廃棄物とが摩擦されることで第二廃棄物が昇温するが、これは上記加熱には含まないものとする。
さらに、第二ペレット化工程600ではバインダーも投入しない。
【0041】
以上のように構成されたリサイクル燃料製造装置1及びリサイクル燃料製造方法によれば、第二廃棄物を積極的に乾燥させるための機構を有さないので、乾燥に用いる燃料が少なくて済む。
つまり、従来のように分別前の有機系混合廃棄物を乾燥させる場合では第一廃棄物及び第二廃棄物の両方を乾燥させることになるが、本実施形態においては第一廃棄物のみを乾燥させるので、乾燥に必要な燃料が少なくて済む。よって、第二廃棄物から製造されるリサイクル燃料の製造コストが低廉になる。
【0042】
また、第二ペレット化部60は、孔62が段階式に縮径し孔62に第二廃棄物が圧入されるダイス61を備えるので、第二廃棄物をリサイクル燃料として取扱いし易い。
つまり、ペレット化、すなわち固体化できないと取扱い難くゴミを燃料として再生できたとは言えないが、本実施形態に係る製造装置では第二廃棄物を乾燥させなくても取扱いし易いペレットとすることができ、燃料としての価値がある。
【0043】
特に、ダイス61の孔62の径が三段階になるように縮径すると、第二廃棄物を乾燥させなくても確実に第二廃棄物をペレット化可能である。
つまり、第二廃棄物を乾燥させるための費用が掛からず製造コストが低廉で、しかも確実に第二廃棄物をペレット化でき、取扱いが容易である。
【0044】
なお、本実施形態において、第二ペレット化部60のダイス61の孔62の径が三段階になるように縮径したが、これに限られるものではなく、例えば二段階でも四段階以上であってもよい。
また、ダイス61の孔62の直径は本実施形態に係る具体例に限られない。
【0045】
また、分別部20等の各部位は一つの大きな機械の中に一連に構成されていてもよいし、各部位が独立したそれぞれの機械であってもよい。仮に各部位が独立していてもここではそれら全体を指してリサイクル燃料製造装置1と呼ぶ。
【0046】
また、一連の工程において有機系混合廃棄物の他に投入するものはおが屑や木屑等の油脂吸着剤のみであり、これも毎回投入するものではなく、必要があるときだけ投入すればよい。
加えて、有機系混合廃棄物に金属が混入していることがあるので、第一ペレット化工程400や第二ペレット化工程600の前に金属を分別する工程を加えてもよい。
【0047】
また、第一廃棄物よりも第二廃棄物のほうが単位あたりの熱量が大きいが、出来上がるリサイクル燃料の単位あたりの熱量を調整するために第一ペレット化工程400や第二ペレット化工程600の前に、第二廃棄物の一部を第一廃棄物に加える調整工程を設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 リサイクル燃料製造装置
10 破袋部
20 分別部
30 乾燥部
40 第一ペレット化部
50 破砕部
60 第二ペレット化部
61 ダイス
62 孔
100 破袋工程
200 分別工程
300 乾燥工程
400 第一ペレット化工程
500 破砕工程
600 第二ペレット化工程