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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/78 20060101AFI20220216BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20220216BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
F16C33/78 Z
F16J15/3232 201
F16C19/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017196152
(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2019070398
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩規
(72)【発明者】
【氏名】加藤 稚菜
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03616999(DE,A1)
【文献】特開2014-077499(JP,A)
【文献】特開2013-160343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/72-33/82
F16J 15/3232
F16C 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に回転する内側部材及び外側部材で構成される環状空間を密封する密封装置であって、
前記内側部材及び前記外側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯金と、
前記芯金に固着され、前記内側部材及び前記外側部材のうち他方の部材に接触する複数のリップ部を有したシールリップ部材と、を備え、
前記複数のリップ部は、最も外界に近い位置に設けられ、外界と当該リップ部間に存在する空間との通気を遮断する第一リップ部と、前記第一リップ部より外界から遠い位置に設けられた他のリップ部と、を含み、
前記他のリップ部には、前記他方の部材との接触箇所から離間した箇所に、表裏に開口して通気を許容する貫通孔が設けられ、ちょう度が350以下のグリースが、前記貫通孔の表側又は裏側の開口の少なくとも一方を覆うように供給されており、
前記貫通孔は、その開口面積が、気体の通過は許容するも前記グリースの通過はし難い大きさに形成されており、
前記他のリップ部は、前記環状空間に最も近い位置に設けられた第二リップ部と、前記環状空間に2番目に近い位置に設けられた第三リップ部と、を含み、該第二リップ部及び該第三リップ部のそれぞれに前記貫通孔が設けられていることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
請求項1に記載の密封装置において、
前記貫通孔は、当該貫通孔が設けられるリップ部が前記他方の部材に接触した状態において、前記他方の部材から0.1mm以上離間するように設けられていることを特徴とする密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対的に回転する内側部材及び外側部材で構成される環状空間を密封する密封装置に関し、さらに詳しくは、複数のリップ部を備え外側部材と内側部材との間に装着される密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような密封装置において、外側部材もしくは内側部材が回転すると、使用環境等の影響を受け、環状空間の内圧が変動し、リップ部が接触する部材(接触面)に貼り付いて吸着された状態となる。また、外側部材もしくは内側部材の回転に伴い複数のリップ部間に存在する空間が温度上昇して膨張し、外側部材もしくは内側部材の回転が停止して温度が下がると前記空間が負圧になり、リップ部は前記接触面に吸着する。このようにリップ部が前記接触面に吸着した状態で回転が再開すると、回転トルク上昇の一因になることが問題とされている。
【0003】
特許文献1~3には前記のような問題点を解消するための構造が開示されている。特許文献1には、内軸の軸方向端面に摺動するアキシャルリップに、密封側と外部側とを連通する連通孔を設けた密封装置が開示されている。また、特許文献2には、外側のシールリップの中間部に貫通孔を設け、当該シールリップ、その内側のシールリップ、及びスリンガで囲まれた空間と、外界とを連絡するようにした密封装置が開示されている。さらに、特許文献3には、環状空間側に位置するリップに厚さ方向に貫通する切り込みを設けて、リップ先端に向けて舌状に延びる弁を形成した密封装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-230058号公報
【文献】特開2015-218742号公報
【文献】特開2017-110786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された密封装置の場合、径方向の最も外側(外界側)のアキシャルリップに連通孔が形成されているので、この連通孔を通して外界から異物(泥水等)が浸入する懸念がある。密封装置内に浸入した異物は、内側のアキシャルリップと内軸との摺接部に噛み込み、当該アキシャルリップが摩耗する原因ともなる。また、特許文献2に開示された密封装置の場合も、外側シールリップに貫通孔が形成されているので、異物が浸入し易く、これによって、内側シールリップとスリンガとの間に異物が噛み込んで同様の不具合を生じることが懸念される。さらに、特許文献3に開示された密封装置の場合、舌状の弁によりリップ間の内圧を調整するものであるが、当該弁が所期の動作をするよう精密に設計及び製造することが難しいと想定される。
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みなされたもので、回転トルクの低減を効果的に図ることができる密封装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る密封装置は、相対的に回転する内側部材及び外側部材で構成される環状空間を密封する密封装置であって、前記内側部材及び前記外側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯金と、前記芯金に固着され、前記内側部材及び前記外側部材のうち他方の部材に接触する複数のリップ部を有したシールリップ部材と、を備え、前記複数のリップ部は、最も外界に近い位置に設けられ、外界と当該リップ部間に存在する空間との通気を遮断する第一リップ部と、前記第一リップ部より外界から遠い位置に設けられた他のリップ部と、を含み、前記他のリップ部には、前記他方の部材との接触箇所から離間した箇所に、表裏に開口して通気を許容する貫通孔が設けられ、ちょう度が350以下のグリースが、前記貫通孔の表側又は裏側の開口の少なくとも一方を覆うように供給されており、前記貫通孔は、その開口面積が、気体の通過は許容するも前記グリースの通過はし難い大きさに形成されており、前記他のリップ部は、前記環状空間に最も近い位置に設けられた第二リップ部と、前記環状空間に2番目に近い位置に設けられた第三リップ部と、を含み、該第二リップ部及び該第三リップ部のそれぞれに前記貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
内側部材及び外側部材が相対回転すると、リップ部と他方の部材との摩擦エネルギーが発生し、複数のリップ部間に存在する空気が膨張しようとする。しかし、本発明の密封装置によれば、前記空気は貫通孔を介して、リップ部間の外に放出される。また、内側部材及び外側部材の相対回転が停止すると、温度が下がり、空気が放出された分、リップ部間は負圧になろうとする。しかし、この場合、空気が貫通孔を介してリップ部間に流入するため、負圧は解消される。したがって、リップ部間において生じる内圧変動を緩和して内側部材及び外側部材の相対回転時の回転抵抗を低減することができる。
さらに、最も外界に近い位置に設けられた第一リップ部には貫通孔が形成されておらず、外界との通気を遮断するように形成されているため、泥水等の異物が他のリップ部にまで浸入することを抑制できる。
そして、リップ部に弁を形成するような構造に比べて、リップ部間における内圧変動を緩和する機能を備えたリップ部を容易に実現することができる。
【0009】
本発明の密封装置において、前記他のリップ部には、ちょう度が350以下のグリースが、前記貫通孔の表側又は裏側の開口の少なくとも一方を覆うように供給されている。そのため、内側部材及び外側部材の相対回転が停止している状態では、グリースが半固体状となるため、貫通孔を塞ぐように機能する。したがって、グリースによって、泥水等が貫通孔を介して浸入することを抑制できる。一方、リップ部間の負圧や、内側部材及び外側部材の相対回転等の影響によってグリースがせん断力を受けると、グリースは液状化して流動し易くなるため、リップ部間の空気は貫通孔を介して円滑に流通する。したがって、リップ部間における内圧変動を緩和する機能を低下させることなく、密封性の向上を図ることができる。因みにグリースのちょう度が350を超える場合、前記のようなグリースによる他のリップ部に設けられた貫通孔を塞ぐ機能が望めなくなる。
【0010】
本発明の密封装置において、前記貫通孔は、その開口面積が、気体の通過は許容するも前記グリースの通過はし難い大きさに形成されている。
グリース等の流体が貫通孔を通過しようとするときの抵抗力は、貫通孔の径に反比例することが知られている。そして、これによれば、グリースが有している降伏応力と相まって、グリースは、貫通孔が小さくなる程、気体と比べると通過に必要な力が大きくなるため、グリースが貫通孔を介して他の空間に移動することを抑制できる。
【0011】
本発明の密封装置において、前記他のリップ部は、前記環状空間に最も近い位置に設けられた第二リップ部と、前記環状空間に2番目に近い位置に設けられた第三リップ部と、を含み、前記貫通孔は、前記第二リップ部及び前記第三リップ部のそれぞれに設けられている。
これによれば、リップ部間の内圧変動が生じた際に、リップ部間に比べて大きい容積が存在する環状空間をバッファとして利用できるため、内圧変動の緩和効果をより向上させることができる。
【0012】
本発明の密封装置において、前記貫通孔は、当該貫通孔が設けられるリップ部が前記他方の部材に接触した状態において、前記他方の部材から0.1mm以上離間するように設けられているものとしてもよい。
これによれば、複数のリップ部が他方の部材に弾性変形した状態で相対摺接しても、貫通孔の開口が他方の部材によって塞がれることがないため、貫通孔の機能が損なわれることを未然に防止することができる。因みに、貫通孔の他方の部材からの離間距離が0.1mm未満の場合、前記リップ部の弾性変形によって貫通孔の開口が他方の部材によって塞がれ易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の密封装置によれば、回転トルクの低減を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る密封装置が適用される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。
図2】本発明に係る密封装置の第一の実施形態を示す図であり、(a)は図1のX部の拡大図である。(b)は(a)におけるZ部の拡大図である。
図3】(a)は同密封装置の芯金に固着されたシールリップ部材の形状を説明するための概略的断面図である。(b)は同密封装置に設けられるシールリップ部材を説明するための図であり、(a)の矢示A方向に沿って見たシールリップ部材のみの全体図である。
図4】同実施形態の密封装置の変形例を示す図1のX部に対応する拡大図である。
図5】本発明に係る密封装置の第二の実施形態を示す図であり、図1のY部の拡大図である。
図6】同実施形態の密封装置の変形例を示す図1のY部に対応する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、大略的に、外側部材としての外輪2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内側部材としての内輪5を構成する。外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、該2部材間に環状の軸受空間(環状空間)Sが形成される。軸受空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
【0016】
軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4、及び外輪2とハブ輪3との間には、ベアリングシール10,11が装着され、軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部が密封される。これらベアリングシール10,11によって、軸受空間S内への泥水等の侵入や軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。本発明に係る密封装置は、ベアリングシール10,11に適用される。
【0017】
図2図3を参照しながら、本発明に係る密封装置の第一の実施形態であるベアリングシール(密封装置)10を説明する。ベアリングシール10は、軸受空間Sの車体側端部に装着され、外輪(外側部材、一方の部材)2に嵌合される円筒部600を有した芯金60と、芯金60に固着されスリンガ(内側部材、他方の部材)50に接触する複数のリップ部を有したシールリップ部材61とを備えている。複数のリップ部は、最も外界に近い位置に設けられ、外界と当該リップ部間との通気を遮断する第一リップ部611と、第一リップ部611より外界から遠い位置に設けられた第二及び第三リップ部(他のリップ部)612,613と、を含む。第二及び第三リップ部612,613には、スリンガ(内側部材、他方の部材)50との接触箇所から離間した箇所に、表裏に開口して通気を許容する正面視円形状の貫通孔612a,613aが設けられている。本実施形態では、第二リップ部612が、軸受空間Sに最も近い位置に設けられ、第三リップ部613が、軸受空間Sに二番目に近い位置に設けられている。シールリップ部材61は、ゴム材からなり、芯金60に加硫成型により固着一体とされる。シールリップ部材61は、シールリップ基部610と、シールリップ基部610から延出された前記第一リップ部611、第二リップ部612及び第三リップ部613とからなる。
【0018】
芯金60は、外輪2の車体側内径面2bに内嵌される円筒部600と、円筒部600の軸受空間S側の端部600aから内径側に延びる内向鍔部601とを有している。スリンガ50は、内輪5(内輪部材4)の外径面4bに外嵌されるスリンガ円筒部500と、スリンガ円筒部500の軸受空間Sとは反対側の端部500aから外径側に延びる外向鍔部501とを有している。芯金60及びスリンガ50は、鋼板をプレス加工することにより断面が略L字状に形成され、前記シールリップ部材61を有する芯金60とスリンガ50とを図2(a)に示すように互いに対向して組み合わせることでいわゆるパックシールタイプのベアリングシール10を構成している。
【0019】
第一リップ部611はアキシャルリップであり、先側に向け径大化する形状とされ、スリンガ50における外向鍔部501の車輪側面501aに弾性変形を伴い接触する。第二リップ部612及び第三リップ部613はラジアルリップであり、先側に向け径小化する形状とされ、スリンガ50におけるスリンガ円筒部500の外径面500bに弾性変形を伴い接触する。第二リップ部612は軸受空間S側に向くように形成され、第三リップ部613は軸受空間Sとは反対側に向くように形成されている。したがって、第二リップ部612はグリースリップと呼ぶこともある。図2(a)における2点鎖線で示すリップ部611,612,613は、それぞれ弾性変形前の原形状を示す(以下同様)。シールリップ基部610は、芯金60における内向鍔部601の軸受空間S側の面601aの一部から内周縁部601bを回り込み、内向鍔部601の軸受空間Sとは反対側の面601cの全面を覆い、芯金60に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部610は、芯金60における円筒部600の内径面600bの全面を覆い、芯金60に固着一体とされている。
【0020】
第二リップ部612及び第三リップ部613に設けられる前記貫通孔612a,613aについてさらに詳述する。貫通孔612a,613aは、前記のとおり、第二リップ部612及び第三リップ部613のそれぞれに表裏に開口するよう、即ち、厚み方向に貫通するように形成されている。図3(b)では、第三リップ部613及び貫通孔613aしか図面に現れないが、第三リップ部613の背後に第二リップ部612及び貫通孔612aが存在する。そして、貫通孔613aは、周方向90°ずつ間隔をあけて4個設けられている。また、貫通孔612aは、貫通孔613aと同様に周方向90°ずつ間隔をあけて4個設けられている。貫通孔613aと貫通孔612aとは、周方向に同じ位相となる位置に設けられている。貫通孔612a,613aは、それぞれ、第二リップ部612及び第三リップ部613の基端側寄りに設けられている。貫通孔612a,613aは、第二リップ部612及び第三リップ部613の先端よりも、第二リップ部612及び第三リップ部613の基端に近くなるように設けられている。第二リップ部612及び第三リップ部613の貫通孔612a,613aは、スリンガ円筒部500の外径面500bから離間した箇所に設けられる。本実施形態では、貫通孔612a,613aは、第二リップ部612及び第三リップ部613がスリンガ円筒部500の外径面500bに弾性変形を伴い接触した状態において、当該外径面500bから0.1mm以上離間するように設けられている。即ち、図2(b)に示すように、前記接触状態で、貫通孔612a,613aにおけるスリンガ円筒部500側開口部の前記外径面500bに最も近い開口縁部と外径面500bとの距離d1、d2が0.1mm以上となるように設定される。
【0021】
第二リップ部612と第三リップ部613とスリンガ円筒部500の外径面500bとによる空間部S1に、ちょう度が350以下のグリースg1が供給される。本実施形態では、このグリースg1は、貫通孔612a,613aのスリンガ円筒部500側の開口部の全体を覆うように供給されているが、スリンガ円筒部500とは反対側の開口部を覆うように供給されていてもよい。また、第一リップ部611の先端部とスリンガ50における外向鍔部510の車輪側面501aとのなす入隅部(三角コーナー部)S2にも同様のグリースg2が供給されている。本実施形態で供給されるグリースg1は、ちょう度が270~320のものが好ましい。またグリースg1の降伏応力としては、ずり速度0.2/sにおける応力が300~3000Paであることが好ましい。なお、図2(b)ではこのグリースg1の図示を省略している。さらに、貫通孔612a,613aの開口面積は、気体の通過は許容するも前記グリースg1の通過はし難い大きさに形成されている。貫通孔612a,613aの開口面積は、特に限定されないが、例えば、4mm以下であることが望ましい。また、貫通孔612a,613aは、その径が0.3~2mmとなるよう形成されることが好ましく、0.5~1mmとなるよう形成されることがより好ましい。
【0022】
前記のように構成されるベアリングシール10は、図1に示すような軸受装置1における軸受空間Sの車体側端部に装着される。ドライブシャフト7の軸L回りの回転に伴い、内輪5及びこれに一体とされたスリンガ50が軸L回りに回転する。この回転の際、第一リップ部611が、スリンガ50における外向鍔部501の車輪側面501aに相対的に弾性摺接する。また、第二リップ部612及び第三リップ部613が、スリンガ50におけるスリンガ円筒部500の外径面500bに相対的に弾性摺接する。これらの弾性摺接によって、外界側からの泥水等がベアリングシール10内に浸入することが抑制される。また、軸受空間S内に充填されている潤滑剤が外部へ漏出することが抑制される。そして、外向鍔部501に対する第一リップ部611の接触部における前記三角コーナー部S2には、グリースg2が供給されているから、回転に伴い、摺接部間にグリースg2が浸入する。これによって、第一リップ部611がスリンガ50の外向鍔部501に対して抵抗少なく相対摺接し、この部分の回転トルクが低減され、また、当該摺接部のシール性も向上する。さらに、第二リップ部612及び第三リップ部613とスリンガ50との前記空間部S1にもグリースg1が供給されているから、回転に伴い、第二リップ部612及び第三リップ部613とスリンガ50の円筒部500との摺接部間にグリースg1が浸入する。これによって、第二リップ部612及び第三リップ部613がスリンガ50に対して抵抗少なく相対摺接し、この部分の回転トルクが低減され、また、当該摺接部のシール性も向上する。
【0023】
第一リップ部611、第二リップ部612、第三リップ部613のスリンガ50に対する相対的な弾性摺接の際には、これらリップ部611,612,613とスリンガ50との摩擦エネルギーが発生する。これによってリップ部611,612,613間に存在する空気が膨張しようとする。しかし、本実施形態のベアリングシール10によれば、前記空気は貫通孔612a,613aを介して、リップ部間の外に放出される。また、内輪5の回転が停止すると、温度が下がり、空気が放出された分、リップ部間は負圧になろうとする。しかし、この場合、空気が貫通孔612a,613aを介してリップ部間に流入するため、負圧は解消される。したがって、リップ部間において生じる内圧変動を緩和して内輪5の外輪2に対する回転時の回転トルクを低減することができる。さらに、最も外界に近い位置に設けられた第一リップ部611には貫通孔が形成されておらず、外界との通気を遮断するように形成されているため、泥水等の異物が第三リップ部613及び第二リップ部612にまで浸入することを抑制できる。そして、リップ部に弁を形成するような構造に比べて、リップ部間における内圧変動を緩和する機能を備えたリップ部を容易に実現することができる。
【0024】
また、本実施形態では、第二リップ部612及び第三リップ部613とスリンガ50との前記空間部に供給されるグリースg1のちょう度が350以下とされているから、内輪5の回転が停止している状態では、グリースg1が半固体状となるため、貫通孔612a,613aを塞ぐように機能する。したがって、グリースg1によって、泥水等が貫通孔612a,613aを介して当該空間部に浸入することを抑制できる。一方、第二リップ部612及び第三リップ部613間の負圧や、内輪5の回転等の影響によってグリースg1がせん断力を受けると、グリースg1は液状化して流動し易くなる。そして、第二リップ部612及び第三リップ部613間の空気は貫通孔612a,613aを介して円滑に流通する。したがって、第二リップ部612及び第三リップ部613間における内圧変動を緩和する機能を低下させることなく、密封性の向上を図ることができる。因みにグリースg1のちょう度が350を超える場合、前記のようなグリースg1による第二リップ部612及び第三リップ部613に設けられた貫通孔612a,613aを塞ぐ機能が望めなくなる。
【0025】
一般に、グリース等の流体が貫通孔を通過しようとするときの抵抗力は、貫通孔の径に反比例することが知られている。そして、本実施形態では、貫通孔612a,613aは、その開口面積が、気体の通過は許容するも前記グリースg1の通過はし難い大きさに形成されている。そのため、グリースg1が有している降伏応力と相まって、グリースg1は、貫通孔612a,613aが小さくなる程、気体と比べると通過に必要な力が大きくなり、グリースg1が貫通孔612a,613aを介して他の空間に移動することを抑制できる。
【0026】
さらに、本実施形態では、環状空間Sに最も近い位置に設けられた第二リップ部612と、軸受空間Sに2番目に近い位置に設けられた第三リップ部613のそれぞれに貫通孔612a,613aが設けられている。したがって、第二リップ部612及び第三リップ部613間の内圧変動が生じた際に、第二リップ部612及び第三リップ部613間に比べて大きい容積が存在する軸受空間Sをバッファとして利用できるため、内圧変動の緩和効果をより向上させることができる。
【0027】
さらにまた、本実施形態では、第二リップ部612及び第三リップ部613のスリンガ50に対する前記接触状態で、貫通孔612a,613aの開口縁部と外径面500bとの前記距離d1、d2が0.1mm以上となるように設定されている。これにより、第二リップ部612及び第三リップ部613がスリンガ50に弾性変形した状態で相対摺接しても、貫通孔612a,613aの開口がスリンガ50によって塞がれることがない。そのため、貫通孔612a,613aの機能が損なわれることを未然に防止することができる。因みに、前記距離d1、d2が0.1mm未満の場合、第二リップ部612及び第三リップ部613の弾性変形によって貫通孔612a,613aの開口がスリンガ50によって塞がれ易くなる。
【0028】
図4は、前記実施形態の変形例を示す。この例のベアリングシール(密封装置)10では、内側部材の一部を構成するスリンガ50が、外向鍔部501の外径側端部501bから軸受空間S側に屈曲された屈曲円筒部502を有している。また、シールリップ基部610は、芯金60における円筒部600の内径面600bから車体側端部600cを回り込んで外径面600dの一部を覆うように芯金60に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部610における円筒部600の外径面600dを覆う部分には、環状突部610aが形成されている。その他の構成は、図2(a)(b)に示す例と同様であるから、以下ではその説明を割愛する。
【0029】
本例のベアリングシール10も、図1に示す軸受装置1における軸受空間Sの車体側端部に装着される。このとき、環状突部610aが、外輪2の車体側内径面2bと、芯金60における円筒部600の外径面600dとの間に圧縮状態で介在する。これによって、芯金60と外輪2と金属嵌合部がシールされ、この金属嵌合部の発錆を抑え、金属嵌合部から軸受空間S内への泥水等の浸入が抑制される。また、スリンガ50は、ベアリングシール10内に向く屈曲円筒部502を含んでいるから、外界からベアリングシール10内への泥水等の浸入経路が長くなる。これによって、第一リップ部611、第三リップ部613及び第二リップ部612のスリンガ50に対する相対摺接部への異物を含む泥水等の到着が遅延され、シール性の長寿命化が図られる。
【0030】
図5は、本発明に係る密封装置の第2の実施形態であって、図1における車輪側のベアリングシール11に適用させた例を示している。この例のベアリングシール11は、外輪(外側部材、一方の部材)2に嵌合される円筒部800を有した芯金80と、芯金80に固着されハブ輪(内側部材、他方の部材)3に接触する複数のリップ部を有したシールリップ部材81とを備えている。芯金80は、外輪2の車輪側内径面2cに内嵌される円筒部800と、円筒部800の軸受空間Sとは反対側の端部800aから内径側に延びる内向鍔部801とを有している。
【0031】
複数のリップ部は、最も外界に近い位置に設けられ、外界と当該リップ部間との通気を遮断する第一リップ部811と、第一リップ部811より外界から遠い位置に設けられた第二及び第三のリップ部(他のリップ部)812,813と、を含む。第二及び第三リップ部812,813には、ハブ輪3との接触箇所から離間した箇所に、表裏に開口して通気を許容する貫通孔812a,813aが設けられている。本実施形態では、第二リップ部812が、軸受空間Sに最も近い位置に設けられ、第三リップ部813が、軸受空間Sに二番目に近い位置に設けられている。シールリップ部材81は、前記例と同様にゴム材からなり、芯金80に加硫成型により固着一体とされる。シールリップ部材81は、シールリップ基部810と、シールリップ基部810から延出された前記第一リップ部811、第二リップ部812及び第三リップ部813とからなる。
【0032】
第一リップ部811はアキシャルリップであり、先側に向け径大化する形状とされ、ハブ輪3におけるハブフランジ32のフランジ面32aに弾性変形を伴い接触する。第二リップ部612はラジアルリップ(グリースリップ)であり、先側が軸受空間S側に向き且つ先側に向け径小化する形状とされ、ハブ輪3におけるハブ輪本体30の外径面30aに弾性変形を伴い接触する。さらに、第三リップ部613はアキシャルリップであり、先側に向け径大化する形状とされ、ハブ輪3における立上基部31の凹曲面31aに弾性変形を伴い接触する。シールリップ基部810は、芯金80における内向鍔部801の軸受空間S側の面801aの一部から内周縁部801bを回り込み、内向鍔部801の軸受空間Sとは反対側の面801cの全面を覆い、芯金80に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部810は、その最外径側部分に環状突部810aを有し、芯金80を外輪2に嵌合させた際に、環状突部810aが芯金80と外輪2との間に圧縮状態で介在されるように構成されている。図5では、環状突部810aの圧縮変形前の形状を2点鎖線で示している。
【0033】
第二リップ部812及び第三リップ部813のハブ輪3に対する前記接触状態で、貫通孔812a,813aのハブ輪3に最も近い開口縁部とハブ輪3との距離d3、d4が0.1mm以上となるように設定される。その他の貫通孔812a,813aの形成態様は前記例と同様である。また、第二リップ部812と第三リップ部813とハブ輪3における外径面30a及び凹曲面31aとによる空間部S3に、ちょう度が350以下のグリースg3が供給される。さらに、第一リップ部811の先端部とフランジ面32aとのなす入隅部(三角コーナー部)S4にも同様のグリースg4が供給されている。グリースg3、g4の性状等は前記例のグリースg1,g2と同様である。
【0034】
前記のように構成されるベアリングシール11は、図1に示すような軸受装置1における軸受空間Sの車輪側端部に装着される。ドライブシャフト7の軸L回りの回転に伴い、内輪5が軸L回りに回転する。この回転の際、第一リップ部811が、ハブ輪3におけるハブフランジ32のフランジ面32aに相対的に弾性摺接する。また、第二リップ部812が、ハブ輪本体30の外径面30aに相対的に弾性摺接する。さらに、第三リップ部813が、ハブ輪3における凹曲面31aに相対的に弾性摺接する。これらの弾性摺接によって、外界側からの泥水等がベアリングシール11内に浸入することが抑制される。また、軸受空間S内に充填されている潤滑剤が外部へ漏出することが抑制される。そして、フランジ面32aに対する第一リップ部811の接触部における前記三角コーナー部S4には、グリースg4が供給されているから、第一リップ部811がハブ輪3に対して抵抗少なく摺接し、この部分の回転トルクが低減される。さらに、第二リップ部812及び第三リップ部813とハブ輪3との接触部における空間部S3にもグリースg3が供給されているから、第二リップ部812及び第三リップ部813がハブ輪3に対して抵抗少なく摺接し、この部分の回転トルクが低減される。また、環状突部810aが外輪2の車輪側内径面2cと、芯金80における円筒部800との間に圧縮状態で介在する。これによって、芯金80と外輪2と金属嵌合部がシールされ、この金属嵌合部の発錆を抑え、金属嵌合部から軸受空間S内への泥水等の浸入が抑制される。
【0035】
その他の貫通孔812a,813aの形成態様による作用効果やグリースg3の性状による作用効果は前記例と同様であるから、ここではその説明を割愛する。
【0036】
図6は、第二の実施形態の変形例を示す。この例では、回転側部材(他方の部材)の一構成部として、ハブ輪3におけるハブ輪本体30の外径面30aからフランジ面32aに装着される金属環70を有している。この金属環70は、ハブ輪本体30の外径面30aに外嵌される円筒部700と、この円筒部700の一端部700aから湾曲部701を介して外径側に連続する円板部702とからなる。円板部702は、円筒部700のハブ輪本体30に対する嵌合状態で、フランジ面32aに密接するように構成される。金属環70はステンレス鋼のような発錆し難く且つ滑性に優れた金属材で構成される。また、芯金80は、外輪2の車輪側内径面2cに内嵌される円筒部800と、円筒部800の軸受空間S側の端部800aから内径側に延びる内向鍔部801と、円筒部800の軸受空間Sとは反対側の端部800bから外径側に延びる外向鍔部802とを有している。
【0037】
シールリップ部材81は、前記例と同様にゴム材からなり、シールリップ基部810と、シールリップ基部810から延出された第一リップ部811、第二リップ部812及び第三リップ部813とからなる。シールリップ基部810は、芯金80における内向鍔部801の軸受空間S側の面801aの一部から内周縁部801bを回り込み、内向鍔部801の軸受空間Sとは反対側の面801cの全面を覆い、芯金80に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部810は、芯金80における円筒部800の内径面800cの全面及び外向鍔部802の軸受空間Sとは反対側の面802aの全面と、外向鍔部802の外周縁部802bを回り込んで軸受空間S側の面802cの一部とを覆うように芯金80に固着一体とされている。このシールリップ基部810における外向鍔部802の軸受空間S側の面802cに回り込んだ部分810bは、芯金80を外輪2に嵌合した際に、外輪2の車輪側端面2dに密着するように構成される。これにより、芯金80と外輪2との金属嵌合部に対する泥水等の浸入が防止される。
【0038】
本例においては、第一リップ部811は金属環70の円板部702に弾性的に接触し、また、第二リップ812は金属環70の湾曲部701に弾性的に接触し、さらに、第三リップ部813は金属環70の円筒部700に弾性的に接触するように構成される。また、第二リップ部812と第三リップ部813と金属環70とによる空間部、及び、第一リップ部811の先端部と金属環70とのなす入隅部(三角コーナー部)に、図示を省略する前記と同様のグリースが供給される。
【0039】
本例においては、ハブ輪3(内輪5)が回転すると、第一リップ部811、第二リップ部812及び第三リップ部813は、金属環70に相対的に弾性摺接する。金属環70は、ステンレス鋼のような滑性に優れた金属材で構成されるから、第一リップ部811、第二リップ部812及び第三リップ部813の先端部が、摺接によって摩耗することが抑制される。
その他の構成は、図5に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0040】
なお、前記各実施形態では、第二リップ部612(812)に設けられる貫通孔612a(812a)及び第三リップ部613(813)に設けられる貫通孔613a(813a)がそれぞれ4個設けられているが、これに限らず、1~3個、或いは5個以上設けることも可能である。さらに、貫通孔612a(812a),613a(813a)の周方向の位置は、特に限定されず、また複数個の場合は周方向に不等間隔に設けてもよい。さらに、貫通孔612a(812a)と貫通孔613a(813a)との周方向位置を互いに位相をずらせるように設けることはもとより可能である。
また、貫通孔612a(812a)と貫通孔613a(813a)の開口面積は同じであってもよいが、貫通孔612a(812a)の開口面積の方が貫通孔613a(813a)の開口面積より大きくてもよいし、その逆でもよい。貫通孔612a(812a),613a(813a)の形状は、正面視円形状に限らず、矩形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
さらに、各実施形態では、第二リップ部612(812)及び第三リップ部613(813)のそれぞれに貫通孔612a(812a),613a(813a)を設けているが、どちらか一方にだけ設けるようにしてもよい。
【0041】
また、各部位に供給されるグリースg1(g3),g2(g4)の性状については、特に限定されないが、グリースg1(g3),g2(g4)の性状として、増ちょう剤の種類、基油の種類、基油の40℃における動粘度等が挙げられ、これらは求められる仕様に応じて適宜採用すればよい。例えば、第二リップ部612(812)及び第三リップ部613(813)と内輪5との摺動抵抗により生じる回転トルクを低減することが求められる場合、40℃における動粘度が10~30mm/sの基油からなるグリースを用いてもよい。また、両部位に供給されるグリースg1(g3),g2(g4)は、性状的に同じでなくてもよい。
さらに、貫通孔612a(812a),613a(813a)の開口部は、必ずしもグリースにより覆われなくてもよい。
【0042】
また、前記各実施形態では、本発明に係る密封装置が、自動車用の軸受装置に適用される例について述べたが、これに限らず、相対的に回転する内側部材及び外側部材を備えるものであれば、他の産業機械装置にも等しく適用可能である。例えば、本発明に係る密封装置は、ハウジングと回転軸との間に配置され、ハウジング内のオイル漏れを防止するオイルシールに適用されるようにしてもよい。また、図1に示す軸受装置は、外輪が固定側、内輪が回転側であるが、外輪が回転側、内輪が固定側である軸受装置であってもよい。また、芯金60,80及びこれに固着されるシールリップ部材61,81の形状・構成も図例のものに限定されない。また、リップ部611~613,811~813の形状や数等も図例のものに限定されず、他の態様も採用可能である。例えば、リップ部が第一リップ部と第二リップ部とで構成され、第三リップ部がないものであってもよい。さらに、スリンガ50及び金属環70の形状も図例のものに限らず、さらに、芯金60,80の形状も図例のものに限らず、他の形状のものも採用可能である。さらにまた、図2図4の例において、スリンガ50に回転検出を行うためのエンコーダ(例えば、周方向に磁極N,Sが交互に着磁された磁性体)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2 外輪(外側部材、一方の部材)
3 ハブ輪(内側部材、他方の部材)
5 内輪(内側部材、他方の部材)
S 軸受空間(環状空間)
10,11 ベアリングシール(密封装置)
50 スリンガ(内側部材、他方の部材)
70 金属環(内側部材、他方の部材)
60,80 芯金
600,800 円筒部
61,81 シールリップ部材
611,811 第一リップ部
612,812 第二リップ部(他のリップ部)
613,813 第三リップ部(他のリップ部)
612a,812a 貫通孔
613a,813a 貫通孔
g1,g3 グリース
図1
図2
図3
図4
図5
図6