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特許7025395単結晶成長炉の反射スクリーン及び単結晶成長炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】単結晶成長炉の反射スクリーン及び単結晶成長炉
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/00 20060101AFI20220216BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C30B15/00 Z
C30B29/06 502C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019191691
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2020079192
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】201811340095.6
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516145552
【氏名又は名称】上海新昇半導體科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】沈 偉民
(72)【発明者】
【氏名】范 進
(72)【発明者】
【氏名】王 剛
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉▲徳▼
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-538064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0055531(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102352530(CN,A)
【文献】特開2004-352581(JP,A)
【文献】特開2007-191353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶成長炉の反射スクリーンであって、
内側シリンダと、
外側シリンダと、
前記内側シリンダと前記外側シリンダとの間に挟み込まれた断熱材と、
前記内側シリンダと前記外側シリンダとの結合部に配置された断熱パッドと、
を有し、
当該反射スクリーンは、逆円錐形の本体と、該本体の上端から延在した延長部とを有し、
前記断熱パッドは、前記内側シリンダと前記外側シリンダとの間での熱伝達を低減させ、且つ
前記内側シリンダの底部に鉛直に又は斜めに配置された第1の断熱パッド、及び
前記延長部のエッジで前記内側シリンダの頂部に配置された第2の断熱パッドであり、前記内側シリンダと前記外側シリンダとの結合部に部分的に埋め込まれるとともに前記内側シリンダと前記外側シリンダとの間の曲がった部分内に部分的に充填された屈曲構造を有する第2の断熱パッド、
を有する、
反射スクリーン。
【請求項2】
前記断熱パッドの材料は石英を有する、請求項1に記載の反射スクリーン。
【請求項3】
前記石英は被覆処理を受けている、請求項2に記載の反射スクリーン。
【請求項4】
前記内側シリンダ及び/又は前記外側シリンダの材料は、カーボン/カーボン(C/C)コンポジット及び/又はグラフェンを有する、請求項1に記載の反射スクリーン。
【請求項5】
炉体と、
前記炉体内に配置されたるつぼと、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の反射スクリーンであり、前記るつぼの上方に配置された反射スクリーンと、
を有する単結晶成長炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体の技術分野に関し、特に、単結晶成長炉の反射スクリーン及び単結晶成長炉に関する。
【背景技術】
【0002】
技術及び新たなエレクトロニクス製品の発展とともに、大口径の単結晶シリコンの要求が急速に増している。単結晶シリコンを成長させる方法は、チョクラルスキー(CZ)法、フローティングゾーン(FZ)法、及びエピタキシャル成長を含む。チョクラルスキー法及びフローティングゾーン法は、単結晶シリコンインゴットを成長させるのに使用されるのに対し、エピタキシャル法は、単結晶シリコン膜を成長させるのに使用される。一般に、CZ法が最もよく知られたプロセスであり、準備されたその単結晶シリコンは、集積回路、ダイオード、エピタキシャル基板、太陽電池及びこれらに類するものに適用される。
【0003】
CZ法は、単結晶成長炉のるつぼ内の溶融シリコン内に種結晶を浸し、種結晶及びるつぼを回転させながら種結晶を引き上げて、順に、ネック部、クラウン部、ショルダー部、ボディ部及びテイル部の成長を導くことで、単結晶シリコンインゴットを得ることを有する。炉内では、反射スクリーンが、溶融シリコン及びるつぼからシリコン結晶への熱放射を防いで、インゴットの鉛直方向の熱勾配を増大させることができ、結晶成長速度と、例えばCOP(crystal originated particle)及びこれに類するものなどの内部欠陥と、を制御することができる。さらに、反射スクリーンは、炉の上部から供給される不活性ガスが、溶融シリコンの表面の傍を、より速い流速で通るように調節することができ、それにより、結晶内の酸素及び不純物の含有量を制御することができる。しかしながら、既知の反射スクリーンは、外側シリンダから内側シリンダへの熱伝達を効果的に防止することができない。
【0004】
故に、上述の問題を解決することができる単結晶成長炉の反射スクリーン及び単結晶成長炉が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
ここでは、詳細な説明にて更に詳細に説明されることになる一連のコンセプトを、単純化した形態で紹介する。この発明の概要は、特許請求に係る技術的ソリューションの重要な要素又は本質的な技術的特徴を限定することは意図しておらず、また、特許請求に係る技術的ソリューションの範囲を限定することも意図していない。
【0006】
本出願は、単結晶成長炉の反射スクリーンを提供し、当該反射スクリーンは、内側シリンダと、外側シリンダと、前記内側シリンダと前記外側シリンダとの間に挟み込まれた断熱材と、前記内側シリンダと前記外側シリンダとの結合部に配置された断熱パッドとを有する。
【0007】
一実施形態において、前記断熱パッドの材料は石英を有する。
【0008】
一実施形態において、前記石英は被覆処理を受けている。
【0009】
一実施形態において、当該反射スクリーンは、少なくとも1つの断熱パッドを有する。
【0010】
一実施形態において、前記断熱パッドは、前記内側シリンダの底部に配置された第1の断熱パッド、及び/又は前記内側シリンダの頂部に配置された第2の断熱パッドを有する。
【0011】
一実施形態において、前記断熱パッドは、前記内側シリンダの頂部に配置された第2の断熱パッドを有し、当該反射スクリーンは、逆円錐形の本体と、該本体の上端から延在した延長部とを有し、前記第2の断熱パッドは更に、前記延長部に配置され且つ前記内側シリンダと前記外側シリンダとの間に挟み込まれた部分を有する。
【0012】
一実施形態において、前記内側シリンダ及び/又は前記外側シリンダの材料は、カーボン/カーボン(C/C)コンポジット及び/又はグラフェンを有する。
【0013】
本出願は更に単結晶成長炉を提供し、当該単結晶成長炉は、炉体と、該炉体内に配置されたるつぼと、上述の実施形態のいずれかの反射スクリーンであり、前記るつぼの上方に配置された反射スクリーンとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本出願の一実施形態に従った単結晶成長炉の反射スクリーンの構造を例示している。
図2】本出願の一実施形態に従った単結晶成長炉の構造を例示している。
図3a】従来技術における反射スクリーンのアナログ温度勾配を例示している。
図3b】本出願の一実施形態に従った反射スクリーンのアナログ温度勾配を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この開示が、完全なものとなり、その範囲を当業者に十分に伝えるものとなるよう、実施形態例が提供される。本開示の実施形態の完全なる理解を提供するために、例えば具体的なコンポーネント、デバイス、及び方法の例などの数多くの具体的詳細事項が説明される。当業者に明らかになることには、これら具体的詳細事項は必ずしも使用される必要がないものであり、これら実施形態例は、数多くの異なる形態で具現化されることができ、また、本開示の範囲を限定するように解釈されるべきでない。一部の実施形態例において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は、詳細には説明されていない。
【0016】
理解されるべきことには、本発明は、様々な形態で実施されることができ、開示される例の範囲に限定されるように解釈されるべきでない。それどころか、これらの例は、十分且つ完全な開示を達成して、当業者に本発明の範囲を十分に受け止めてもらうために提供されている。図面においては、明瞭さの目的で、層及び領域の大きさ及び相対的大きさが誇張されていることがある。図面において、同じ参照符号は同じ要素を指し示す。
【0017】
ある要素又は層が別の要素又は層に対して“上にある”、“係合される”、“接続される”、又は“結合される”として言及されるとき、それが直接的に、上にある、係合される、接続される、又は結合されることもあれば、介在する要素又は層が存在することもある。対照的に、ある要素が別の要素又は層に対して“直に上にある”、“直に係合される”、“直に接続される”、又は“直に結合される”として言及されるときには、介在する要素又は層が存在しないとし得る。要素間の関係を記述するために使用されるその他の用語(例えば、“の間”と“の直に間”、“に隣接”と“に直に隣接”、等々)も同様に解釈されるべきである。ここで使用されるとき、用語“及び/又は”は、関連して列挙されるアイテムのうちの1つ以上のいずれ及び全ての組み合わせを含む。
【0018】
例えば“内側”、“外側”、“下方”、“下”、“下側”、“上”、“上側”、及びこれらに類するものなどの、空間的に相対的な用語は、ここでは、図示された1つの要素又は機構の別の(1つ以上の)要素又は(1つ以上の)機構に対する関係を記述する説明の容易さのために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な向きをも包含することが意図されることがある。例えば、図中のデバイスが裏返された場合、他の要素又は機構の“下”又は“下方”として記述された要素が、他の要素又は機構の“上”に配置されることになる。従って、例として用語“下”は、上と下との両方の向きを包含し得る。デバイスは、そうでない向き(90度回転又はその他の向き)にされることもあり、ここで使用される空間的な相対的記述語は然るべく解釈されるべきである。
【0019】
ここで使用される用語は、特定の実施形態例のみを説明する目的でのものであり、限定するものであるとの意図はない。ここで使用されるとき、単数形の“a”、“an”、及び“the”は、文脈が明確に別のことを指し示していない限り、複数形も同様に含むことを意図することがある。用語“有する”、“有している”、“含んでいる”、及び“持っている”は、包含的であり、従って、述べられる機構、整数、ステップ、処理、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の機構、整数、ステップ、処理、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しない。ここに記載される方法ステップ、プロセス、及び処理は、実行の順序として具体的に特定されない限り、説明又は図示される特定の順序でのそれらの実行を必ず必要とするとして解釈されるべきでない。追加又は代替のステップが使用され得ることも理解されるべきである。
【0020】
ここに記載される例示的な実施形態は、本発明の理想化された実施形態(及び中間構造)の概略図の断面図を参照するものである。故に、例えば製造の技術及び/又は公差に起因した形状変化が予期され得る。従って、本発明の実施形態は、ここに図示される領域の具体的形状に限定されるべきでなく、例えば製造によって引き起こされる形状の逸脱を含むものである。
【0021】
本発明の完全なる理解のため、本発明の技術的ソリューションを説明するために、以下の説明にて詳細なステップが詳述される。本発明の好適実施形態が次のとおり詳細に説明されることになるが、詳細な説明に加えて、本発明は他の実施形態も有し得る。
【0022】
単結晶成長炉内では、反射スクリーンが、溶融シリコン及び石英るつぼからシリコン結晶の表面への熱放射を防いで、インゴットの鉛直方向の熱勾配を増大させることができ、結晶成長速度と、例えばCOP(crystal originated particle)及びこれに類するものなどの内部欠陥と、を制御することができる。さらに、反射スクリーンは、炉の上部から供給される不活性ガスが、溶融シリコンの表面の傍を、より速い流速で通るように調節することができ、それにより、結晶内の酸素及び不純物の含有量を制御することができる。しかしながら、既知の反射スクリーンは、外側シリンダから内側シリンダへの熱伝達を効果的に防止することができない。この不要な熱伝達は、追加の加熱効能を生じさせて、内側シリンダの温度を上昇させるとともに、外側シリンダの温度を低下させ、インゴットの望ましくない温度勾配を引き起こすとともに、溶融シリコンから蒸発したシリコン酸化物を反射スクリーンの外側シリンダ上で凝結させてしまう。それにより、シリコン酸化物(SiOx)が溶融シリコン内に落ちることによって多結晶が生じてしまい得る。
【0023】
上述の問題を解決するため、本出願は、単結晶成長炉の反射スクリーン及び単結晶成長炉を提供する。当該反射スクリーンは、内側シリンダと、外側シリンダと、内側シリンダと外側シリンダとの間に挟み込まれた断熱材と、内側シリンダと外側シリンダとの結合部(ジョイント)に配置された断熱パッドとを有する。本出願の反射スクリーンは、外側シリンダから内側シリンダへの熱伝達を低減させて、インゴットの鉛直方向の温度勾配を増大させることができるとともに、溶融シリコンから蒸発したシリコン酸化物が反射スクリーンの外側シリンダ上で凝結するのを防止又は抑制することができる。それにより、酸化物が溶融シリコン内に落ちることによって生じる多結晶を抑制することができる。さらに、不要な熱伝達の低減により、単結晶シリコンの成長中に必要とされる熱出力を低減させることができる。本出願の単結晶成長炉は、上述の反射スクリーンを有するので、同じ利点を保有する。
【0024】
本出願を完全に理解するため、本出願にて提供される技術的手段を例示すべく、構造及び/又はプロセスを提示して詳細に説明する。好適実施形態を次のとおり説明するが、本出願はなおも他の実施形態を有する。
【0025】
例1
図1を参照して、本出願の一実施形態に従った単結晶成長炉の反射スクリーン100を詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、反射スクリーンは、内側シリンダ101と、外側シリンダ102と、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間に挟み込まれた断熱材103と、内側シリンダ101と外側シリンダ102との結合部に配置された断熱パッド104とを有している。
【0027】
一実施形態において、反射スクリーンは、逆円錐形の本体と、該本体の上端から延在した延長部とを有する。本体の鉛直断面形状が、逆円錐形状(すなわち、底部が狭くて頂部が広い)であり、それにより、溶融シリコン及びヒータから単結晶シリコンへの熱伝達を防止することができる。反射スクリーン100が単結晶成長炉内に適用されている間、本体の底部が溶融シリコンの表面の近くにある。
【0028】
反射スクリーン100は、内側シリンダ101及び外側シリンダ102を有している。内側シリンダ101及び外側シリンダ102はサンドイッチ構造を形成しており、このサンドイッチ構造内に断熱材103が充たされている。内側シリンダ101及び/又は外側シリンダ102の材料は、カーボン/カーボン(C/C)コンポジット及び/又はグラフェンを含む。断熱材103は、限定されるものではないが、固体カーボンフェルトを含む。固体カーボンフェルトは、低い熱伝導率、良好な熱保存及び断熱特性を持ち、それ故に、溶融シリコン及びヒータから単結晶シリコンインゴットへの熱伝達を低減させることができ、結晶インゴットの温度を低下させることができる。
【0029】
断熱パッド104は、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間の接続部に設置されて、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間での熱伝達を低減させる。断熱パッド104の材料は、内側シリンダ101及び外側シリンダ102の熱伝導率よりも低い熱伝導率を持つ。一実施形態において、断熱パッド104の材料は石英を含み、これは、黒鉛の熱伝導率よりも低い熱伝導率を持ち、その良好な断熱特性により、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間での熱伝達を効果的に低減させる。この材料は、被覆処理を受けた又は受けていない石英材料を有する。
【0030】
断熱パッド104は、内側及び外側のシリンダ101、102間での熱伝達を低減させ、特に、より高い温度を持つ外側シリンダ102から、より低い温度を持つ内側シリンダ101への熱伝達を防止し、それ故に、外側シリンダ102の温度が上昇する一方で、内側シリンダ101の温度が低下する。図3a及び3bに示すように、その計算に、例えばFEMAG、CGSim、及びこれらに類するものなどのデジタル・アナログソフトウェアが適用される。現在知られている反射スクリーンと比較して、本出願の反射スクリーン100は断熱パッドを有しており、内側シリンダ101の温度が平均で30-150℃だけ低下する一方で、外側シリンダ102の温度が平均で10-100℃だけ上昇する。内側シリンダ101の温度の低下は、インゴット表面から内側シリンダ101への熱放射を促進させることができ、インゴットの温度勾配を増大させる。外側シリンダ102の温度の上昇は、溶融シリコン表面から蒸発したシリコン酸化物(SiOx)の蒸気が外側シリンダ102上で凝結するのを防止又は抑制することができる。それにより、シリコン酸化物(SiOx)が溶融シリコン内に落ちることによって生じる多結晶を抑制することができる。同時に、るつぼの軸方向の温度差を低減させることができ、るつぼの内部応力分布を適度に抑えることができる。さらに、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間での不要な熱伝達の低減により、単結晶シリコンの成長中に必要とされる熱出力を低減させることができる。
【0031】
少なくとも1つの断熱パッド104が反射スクリーンに含められる。一実施形態において、断熱パッド104は、内側シリンダ101の底部に配置された第1の断熱パッド、及び/又は内側シリンダ101の頂部に配置された第2の断熱パッドを有する。内側シリンダ101の底部で、第1の断熱パッドは、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間での熱伝達を低減させるように鉛直に又は斜めに設置される。第2の断熱パッドは、内側シリンダ101の頂部のエッジ及び外側シリンダ102の結合部に設置される。特に、第2の断熱パッドは、上記延長部のエッジに設置される。第2の断熱パッドは屈曲構造を有し、それが部分的に、内側シリンダ101と外側シリンダ102との結合部に埋め込まれるとともに、部分的に、内側シリンダ101と外側シリンダ102との間の曲がった部分内に充填され、それにより、内側及び外側のシリンダ101、102の頂部同士の間の接続部での熱伝達をいっそう効果的に低減させることができる。
【0032】
本出願においては、単結晶成長炉の反射スクリーンは、断熱パッドを有しており、それ故に、外側シリンダから内側シリンダへの熱伝達を低減させ、インゴットの鉛直方向の温度勾配を増大させ、溶融シリコンから蒸発したシリコン酸化物が反射スクリーンの外側シリンダ上で凝結するのを防止又は抑制することができる。それにより、酸化物が溶融シリコン内に落ちることによって生じる多結晶を抑制することができる。さらに、不要な熱伝達の低減により、単結晶シリコンの成長中に必要とされる熱出力を低減させることができる。
【0033】
例2
図2を参照して、本出願の一実施形態に従った単結晶成長炉200を詳細に説明する。単結晶成長炉200は、上述の反射スクリーン100を含んでいる。単結晶成長炉200は、炉体(ファーネスボディ)と、炉体内に配置されたるつぼと、るつぼの上方に配置された反射スクリーンとを含んでいる。反射スクリーンの詳細は上述したとおりである。
【0034】
図2に示すように、本出願の単結晶成長炉は、炉体201、及び炉体201内に配置されたるつぼを有している。るつぼは、石英るつぼ202及び黒鉛るつぼ203を有している。石英るつぼ202は、例えば多結晶シリコンなどのシリコン材料を担持するのに使用される。石英るつぼに収容されたシリコン材料が加熱されて、シリコン融液205となる。石英るつぼ202は黒鉛るつぼ203で覆われる。黒鉛るつぼ203は、加熱工程中に石英るつぼ202を支持する。黒鉛るつぼ203の外側にヒータ204が設置される。石英るつぼ202の上方に反射スクリーン100が配置される。反射スクリーン100は、ヒータ204及びシリコン融液205から成長中の単結晶シリコン206への直接的な熱放射を遮断するように、下方に延在して単結晶シリコン206の成長領域を取り囲む。それにより、単結晶シリコン206の温度を下げることができる。同時に、反射スクリーン100は、アルゴンガスを集中させてシリコン成長界面に直接的に噴射することによって、単結晶シリコン206の放熱を促進させることができる。反射スクリーンは、内側シリンダと、外側シリンダと、内側シリンダと外側シリンダとの間に挟み込まれた断熱材と、内側シリンダと外側シリンダとの結合部に配置された断熱パッドとを有する。その具体的な構造は上述したとおりである。
【0035】
単結晶成長炉200は更に、鉛直方向に設定されるものであるシード軸207及びるつぼ軸208を有する。シード軸207は、石英るつぼ202の上方に配置される。種結晶がシード軸207の底部にクランプされ、そして、駆動ユニットがシード軸207の頂部につながって、回転しながらゆっくり上向きに引っ張る。るつぼ軸208は黒鉛るつぼ203の底に配置され、駆動ユニットがるつぼ軸208の底部につながって、るつぼを回転させる。
【0036】
本出願においては、単結晶成長炉内に適用される反射スクリーンが、断熱パッドを有しており、それ故に、外側シリンダから内側シリンダへの熱伝達を低減させ、インゴットの鉛直方向の温度勾配を増大させ、シリコン融液の表面から蒸発したシリコン酸化物が反射スクリーンの外側シリンダ上で凝結するのを防止又は抑制することができる。それにより、シリコン融液内に酸化物が落ちることによって生じる多結晶を抑制することができる。さらに、不要な熱伝達の低減により、単結晶シリコンの成長中に必要とされる熱出力を低減させることができる。
【0037】
以上の実施形態の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。網羅的であることも、本開示を限定することも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素又は機構は、概してその特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合、具体的に示されたり説明されたりしていなくても、相互に入れ換え可能であり、また、選択された実施形態で使用されることができる。それらはまた、多様に変形されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされるべきではく、全てのそのような変更が本開示の範囲内に含まれることが意図される。本発明の範囲は、添付の請求項及びそれらの均等範囲によって定められる。
図1
図2
図3a
図3b