(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】制御棒駆動水圧系
(51)【国際特許分類】
G21C 7/16 20060101AFI20220217BHJP
C02F 1/64 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G21C7/16 210
C02F1/64 A
(21)【出願番号】P 2018122907
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長平 大介
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-191154(JP,A)
【文献】特開2012-228676(JP,A)
【文献】特開昭56-118707(JP,A)
【文献】特開平05-297174(JP,A)
【文献】特開昭53-113990(JP,A)
【文献】実開昭61-098598(JP,U)
【文献】国際公開第2006/118537(WO,A1)
【文献】特開2013-185883(JP,A)
【文献】特開2004-230264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 7/16
C02F 1/64
G21F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復水器で生成された復水を貯蔵する復水貯蔵タンクと、
前記復水貯蔵タンクに接続され、前記復水貯蔵タンクから前記復水が流れるポンプ吸込み配管と、
前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記復水が供給される制御棒駆動水ポンプと、
前記制御棒駆動水ポンプで昇圧された前記復水が流入する水圧制御ユニットと、
前記水圧制御ユニットに接続された制御棒駆動機構と、
前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記制御棒駆動水ポンプに供給される前記復水の流れにおいて前記制御棒駆動水ポンプの上流の位置に設けられたポンプ入口フィルタと、
を備え、
前記ポンプ入口フィルタは、前記ポンプ吸込み配管から前記復水が内部に流れ込む取水口と、フィルタエレメントと、鉄除去装置とを備え、
前記鉄除去装置は、
前記ポンプ入口フィルタの内部で、前記取水口と前記フィルタエレメントとの間に設けられており、前記復水が前記フィルタエレメントを通過する前に、前記復水に含まれている鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方を除去するように構成されている、
ことを特徴とする制御棒駆動水圧系。
【請求項2】
前記鉄除去装置は、フィルタと、接触酸化法に用いられる除鉄ろ過材との少なくとも一方を備え、前記フィルタが前記鉄成分を除去し、前記除鉄ろ過材が前記鉄イオン成分を除去する、
請求項1に記載の制御棒駆動水圧系。
【請求項3】
前記ポンプ入口フィルタは、蓋を備え、
前記鉄除去装置は、前記蓋に設けられる、
請求項
1または2に記載の制御棒駆動水圧系。
【請求項4】
復水器で生成された復水を貯蔵する復水貯蔵タンクと、
前記復水貯蔵タンクに接続され、前記復水貯蔵タンクから前記復水が流れるポンプ吸込み配管と、
前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記復水が供給される制御棒駆動水ポンプと、
前記制御棒駆動水ポンプで昇圧された前記復水が流入する水圧制御ユニットと、
前記水圧制御ユニットに接続された制御棒駆動機構と、
前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記制御棒駆動水ポンプに供給される前記復水の流れにおいて前記制御棒駆動水ポンプの上流の位置に設けられたポンプ入口フィルタと、
を備え、
前記ポンプ入口フィルタは、
前記ポンプ吸込み配管から前記復水が内部に流れ込む取水口と、フィルタエレメントと、鉄除去装置と、前記ポンプ吸込み配管と前記取水口とに接続されたフィルタ吸込み配管を備え、
前記鉄除去装置は、前記フィルタ吸込み配管に設けられ
ており、接触酸化法に用いられる除鉄ろ過材を備え、前記復水が前記フィルタエレメントを通過する前に、前記復水に含まれている鉄イオン成分を前記除鉄ろ過材が除去するように構成されている、
ことを特徴とする制御棒駆動水圧系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉における制御棒駆動系を構成する制御棒駆動水圧系に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉において、制御棒駆動水圧系は、制御棒駆動系を構成する系統のひとつである。原子炉の制御棒は、水圧制御ユニットから供給された高圧水を駆動源として、制御棒駆動機構により駆動される。制御棒駆動機構に水を供給する系統が、制御棒駆動水圧系である。
【0003】
原子炉圧力容器にて発生した蒸気は、タービンを回した後に復水器で復水になる。復水は、復水脱塩装置で処理された後、一部が原子炉圧力容器に供給され、一部が復水貯蔵タンクに供給される。復水貯蔵タンクに供給される復水の一部は、制御棒駆動水圧系への水として、ポンプ入口フィルタを経て、制御棒駆動水ポンプに供給される。制御棒駆動水ポンプにて昇圧された水は、ポンプ出口フィルタを経て、水圧制御ユニットに流入する。水圧制御ユニットには、制御棒駆動機構が接続されている。
【0004】
制御棒駆動水圧系では、水圧制御ユニットへの水の流れにおいて、制御棒駆動水ポンプの上流にはポンプ入口フィルタが設置され、下流にはポンプ出口フィルタが設置される。これらのフィルタは、フィルタエレメントを備え、制御棒駆動水圧系の水源となる復水系の復水脱塩装置または復水貯蔵タンクの復水に混入した不溶解物または鉄クラッドが、精密な駆動機構部を有する制御棒駆動機構に流入するのを防いでいる。
【0005】
上記のような従来の制御棒駆動水圧系は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御棒駆動水圧系の水源となる復水脱塩装置の復水には、鉄が金属やイオンとして含まれている。復水に含まれる鉄が酸化し、錆(酸化鉄)となってポンプ入口フィルタ内のフィルタエレメントに固着すると、フィルタエレメントの寿命と交換周期を縮める要因となる。フィルタエレメントの寿命と交換周期が短くなると、フィルタエレメントの交換頻度やポンプ入口フィルタの点検回数が増加し、さらには作業員のメンテナンスに要する時間や負担が増加し、コストが増加するので好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、復水がフィルタエレメントを通過する前に復水に含まれる鉄を除去できるポンプ入口フィルタを備えた制御棒駆動水圧系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による制御棒駆動水圧系は、復水器で生成された復水を貯蔵する復水貯蔵タンクと、前記復水貯蔵タンクに接続され、前記復水貯蔵タンクから前記復水が流れるポンプ吸込み配管と、前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記復水が供給される制御棒駆動水ポンプと、前記制御棒駆動水ポンプで昇圧された前記復水が流入する水圧制御ユニットと、前記水圧制御ユニットに接続された制御棒駆動機構と、前記ポンプ吸込み配管に接続され、前記制御棒駆動水ポンプに供給される前記復水の流れにおいて前記制御棒駆動水ポンプの上流の位置に設けられたポンプ入口フィルタを備える。前記ポンプ入口フィルタは、前記ポンプ吸込み配管から前記復水が内部に流れ込む取水口と、フィルタエレメントと、鉄除去装置を備える。前記鉄除去装置は、前記復水が前記フィルタエレメントを通過する前に、前記復水に含まれている鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方を除去するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、復水がフィルタエレメントを通過する前に復水に含まれる鉄を除去できるポンプ入口フィルタを備えた制御棒駆動水圧系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】従来の制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタの縦断面図。
【
図3】本発明の実施例1による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタの縦断面図。
【
図4】本発明の実施例2による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタの縦断面図。
【
図5】本発明の実施例3による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による制御棒駆動水圧系では、水圧制御ユニットへの水の流れにおいて制御棒駆動水ポンプの上流に設置されたポンプ入口フィルタは、復水に含まれる鉄成分(例えば、鉄粉)と鉄イオン成分のうち少なくとも一方が下流に流出するのを防止できる鉄除去装置を備える。この鉄除去装置は、復水に含まれる鉄(鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方)を、復水がポンプ入口フィルタ内のフィルタエレメントを通過する前に除去できる。
【0013】
本発明によると、ポンプ入口フィルタ内のフィルタエレメントに流入する復水に含まれている鉄を、復水がフィルタエレメントを通過する前に取り除くことができるので、フィルタエレメントへの錆(酸化鉄)の固着を防ぐことができ、フィルタエレメントの寿命を延ばすことができる。このため、フィルタエレメントの交換周期とポンプ入口フィルタの点検周期を延ばすことができる。
【0014】
以下、本発明の実施例による制御棒駆動水圧系を、図面を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一の構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0015】
図1は、制御棒駆動水圧系の構成を示す図である。
図1には、制御棒駆動水圧系に関連する復水給水系の構成も示している。
【0016】
初めに、復水給水系について説明する。原子炉圧力容器5で発生した蒸気は、タービン(図には示されていない)を回した後に復水器1に戻され、復水器1で凝縮して水(復水)になる。復水器1で生成された復水は、復水移送ポンプ2によって復水脱塩装置3に送られ、復水脱塩装置3で処理された後、復水系配管4を通って原子炉圧力容器5に供給される。
【0017】
制御棒駆動水圧系は、主に、復水貯蔵タンク6、ポンプ入口フィルタ8、制御棒駆動水ポンプ9、ポンプ出口フィルタ11、水圧制御ユニット13、及び制御棒駆動機構19を備える。復水貯蔵タンク6は、建屋内に設置されても屋外に設置されてもよい。ポンプ入口フィルタ8、制御棒駆動水ポンプ9、及びポンプ出口フィルタ11は、いずれも、通常は2台が並列に設置されて1台のみが通水している。水圧制御ユニット13は、原子炉に複数台設置されている。
【0018】
制御棒駆動水圧系には、復水系配管4から分岐した制御棒駆動水供給配管20によって、復水脱塩装置3から水が供給される。この水は、復水器1で生成された復水である。制御棒駆動水供給配管20は、復水貯蔵タンク6に復水を供給する。復水貯蔵タンク6は、復水を貯蔵する。
【0019】
制御棒駆動水供給配管20を流れる復水の一部は、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7に流れ、ポンプ入口フィルタ8を流れて、制御棒駆動水ポンプ9に供給される。制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7は、ポンプ入口フィルタ8に接続され、ポンプ入口フィルタ8と制御棒駆動水ポンプ9とを接続するとともに、復水貯蔵タンク6にも接続される。ポンプ入口フィルタ8は、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7に接続され、制御棒駆動水ポンプ9に供給される復水の流れにおいて、制御棒駆動水ポンプ9の上流の位置に設けられる。
【0020】
制御棒駆動水ポンプ9で昇圧された復水は、制御棒駆動水ポンプ吐出配管10、ポンプ出口フィルタ11、系統流量調節弁12、及びパージ水ヘッダ配管21を流れ、水圧制御ユニット13に流入する。
【0021】
水圧制御ユニット13には、2台の制御棒駆動機構19が接続されている。水圧制御ユニット13に流入した水は、パージ水として2台の制御棒駆動機構19に分配されて供給される。これにより、原子炉圧力容器5からの不溶解物や鉄クラッドが制御棒駆動機構19の内部に沈降することを防いでいる。
【0022】
以下では、特に断りのない限り、復水貯蔵タンク6から水圧制御ユニット13への水の流れについて「上流」または「下流」と呼ぶ。
【0023】
ポンプ出口フィルタ11と系統流量調節弁12を接続する配管は、系統流量調節弁12の上流の位置で分岐し、充てん水ヘッダ配管22を介して水圧制御ユニット13に高圧水を供給する。水圧制御ユニット13は、アキュムレータ(図には示していない)を備え、高圧水によりアキュムレータを常時高圧に維持している。
【0024】
制御棒駆動水ポンプ9が吐出した水の一部は、ポンプ出口フィルタ11の下流の位置から、原子炉冷却材再循環ポンプ14のパージ水、及び原子炉冷却材浄化系ポンプ15のパージ水として供給される。
【0025】
制御棒駆動水ポンプ9に接続された制御棒駆動水ポンプ吐出配管10には、ポンプミニマムフロー配管16が接続されている。通常運転中では、制御棒駆動水ポンプ9が吐出した水の一部は、ポンプミニマムフロー配管16を流れ、制御棒駆動水加熱器17を経て、ポンプ入口フィルタ8の上流の位置に戻される。制御棒駆動水加熱器17は、制御棒駆動水圧系の水の温度調整を行う。なお、制御棒駆動水加熱器17が運転しない場合には、ポンプミニマムフロー配管16を流れる水は、バイパス弁18により、制御棒駆動水加熱器17に流れないで復水貯蔵タンク6に流入する。
【0026】
原子炉の定期検査中には、復水脱塩装置3から制御棒駆動水圧系への水の供給が停止されるので、制御棒駆動水圧系の水源は、復水貯蔵タンク6となる。水源が復水貯蔵タンク6の場合でも、制御棒駆動水圧系の水(復水)は、復水貯蔵タンク6から制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7とポンプ入口フィルタ8を流れて、制御棒駆動水ポンプ9に供給される。これにより、制御棒駆動水ポンプ9より下流の位置にある各装置は、定期検査中でも通常運転時と同様に作動することができる。
【0027】
ポンプ入口フィルタ8は、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7に接続したフィルタ吸込み配管8dとフィルタ吐出配管8eを備える。フィルタ吸込み配管8dは、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7を流れる水をポンプ入口フィルタ8の内部に流入させる配管である。フィルタ吐出配管8eは、ポンプ入口フィルタ8から制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7に水を流出させる配管である。すなわち、ポンプ入口フィルタ8は、上流の位置にフィルタ吸込み配管8dを備え、下流の位置にフィルタ吐出配管8eを備える。
【0028】
図2は、従来の制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタ8の縦断面図である。
図2には、ポンプ入口フィルタ8の概略を示している。従来の制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタ8は、フィルタエレメント8a、ポンプ入口フィルタ容器8b、ポンプ入口フィルタ蓋8c、フィルタ吸込み配管8d、フィルタ吐出配管8e、及び取水口25を備える。ポンプ入口フィルタ容器8bは、フィルタエレメント8aを内部に収納し、上部がポンプ入口フィルタ蓋8cで覆われており、フィルタ吸込み配管8dとフィルタ吐出配管8eとが接続されている。ポンプ入口フィルタ容器8bとフィルタ吸込み配管8dとの接続部は、水30(復水)がポンプ入口フィルタ8の内部に流れ込むための開口部であり、取水口25である。フィルタ吸込み配管8dは、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7と取水口25とに接続される。取水口25には、制御棒駆動水ポンプ吸込み配管7からフィルタ吸込み配管8dを経由して水30(復水)が流れ込む。
【0029】
フィルタ吸込み配管8dを流れて取水口25からポンプ入口フィルタ容器8bの内部に流入した水30は、直接、フィルタエレメント8aに流れ、フィルタ吐出配管8eを流れてポンプ入口フィルタ容器8bから流出する。
【0030】
ポンプ入口フィルタ蓋8cは、ポンプ入口フィルタ容器8bに対して着脱可能である。フィルタエレメント8aを交換するときには、ポンプ入口フィルタ蓋8cをポンプ入口フィルタ容器8bから取り外して、フィルタエレメント8aをポンプ入口フィルタ容器8bから取り出す。
【0031】
図3は、本実施例による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタ8の縦断面図である。
図3には、ポンプ入口フィルタ8の概略を示している。ポンプ入口フィルタ8は、フィルタエレメント8a、ポンプ入口フィルタ容器8b、ポンプ入口フィルタ蓋8c、フィルタ吸込み配管8d、フィルタ吐出配管8e、取水口25、及び鉄除去装置23を備える。鉄除去装置23は、ポンプ入口フィルタ8の内部で、板状部材24に載置されて、取水口25とフィルタエレメント8aとの間に位置するように設けられる。板状部材24は、開口部24aを有する。鉄除去装置23は、鉄除去部を備える。
【0032】
フィルタ吸込み配管8dを流れて取水口25からポンプ入口フィルタ容器8bの内部に流入した水30(復水)は、鉄除去装置23を流れてから、板状部材24の開口部24aを通ってフィルタエレメント8aに流れ、フィルタ吐出配管8eを流れてポンプ入口フィルタ容器8bから流出する。
【0033】
鉄除去装置23は、鉄除去部として、水30(復水)がフィルタエレメント8aを通過する前に、水30に含まれている鉄成分(例えば、鉄粉)と鉄イオン成分とのうち少なくとも一方を除去し、除去した成分がフィルタエレメント8aに流れるのを防ぐ構成を備える。鉄除去装置23は、鉄除去部として、鉄成分を除去する構成と鉄イオン成分を除去する構成の両方を備えるのが好ましいが、どちらか一方の構成だけを備えてもよい。
【0034】
鉄除去装置23は、水30に含まれている鉄成分を除去し、鉄成分がフィルタエレメント8aに流れるのを防ぐ構成として、例えば、カートリッジフィルター、マグネットフィルター、及び繊維ろ材などの、多孔性の膜や層などを持ち流体を通過させることで流体に混在する固体粒子を分離するフィルタを備えることができる。また、鉄除去装置23は、水30に含まれている鉄イオン成分を除去し、鉄イオン成分がフィルタエレメント8aに流れるのを防ぐ構成として、例えば、表面がオキシ水酸化鉄(FeOOH)で被覆されたろ過材(例えば、セラミックス)などの除鉄ろ過材を備えることができる。除鉄ろ過材は、例えば、接触酸化法(接触ろ過法)に用いられ、水30に含まれている鉄イオン成分を除去する。
【0035】
本実施例による制御棒駆動水圧系では、ポンプ入口フィルタ8が鉄除去装置23を備えるので、ポンプ入口フィルタ8に流入した復水(水30)は、鉄除去装置23を流れてからフィルタエレメント8aに流れる。復水に含まれている鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方は、復水がフィルタエレメント8aを通過する前に除去できる。このため、フィルタエレメント8aへの錆(酸化鉄)の固着を防止でき、フィルタエレメント8aが目詰まりを起こすまでの期間を延ばすことができ、フィルタエレメント8aの寿命を延ばすことができる。そして、フィルタエレメント8aの交換周期を伸ばすことができ、フィルタエレメント8aの交換頻度やポンプ入口フィルタ8の点検回数の増加を防ぐことができる。
【実施例2】
【0036】
本発明の実施例2による制御棒駆動水圧系を説明する。
【0037】
図4は、本実施例による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタ8の縦断面図である。
図4には、ポンプ入口フィルタ8の概略を示している。以下では、実施例1による制御棒駆動水圧系と異なる点を主に説明する。
【0038】
ポンプ入口フィルタ8は、ポンプ入口フィルタ蓋8cに鉄除去装置23を備える。鉄除去装置23は、ポンプ入口フィルタ8の内部で、ポンプ入口フィルタ蓋8cから垂れ下がっており、取水口25とフィルタエレメント8aとの間に位置するように設けられる。鉄除去装置23は、鉄除去部を備える。
【0039】
フィルタ吸込み配管8dを流れて取水口25からポンプ入口フィルタ容器8bの内部に流入した水30(復水)は、鉄除去装置23を流れてからフィルタエレメント8aに流れ、フィルタ吐出配管8eを流れてポンプ入口フィルタ容器8bから流出する。ポンプ入口フィルタ8に流入した復水(水30)は、鉄除去装置23を流れてからフィルタエレメント8aに流れる。このため、復水に含まれている鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方は、復水がフィルタエレメント8aを通過する前に除去できる。
【0040】
本実施例による制御棒駆動水圧系は、実施例1による制御棒駆動水圧系によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施例による制御棒駆動水圧系では、ポンプ入口フィルタ蓋8cをポンプ入口フィルタ容器8bから取り外すことで、鉄除去装置23をポンプ入口フィルタ8から取り外すことができる。このため、ポンプ入口フィルタ8のメンテナンス作業に必要な労力を減らすことができ、ポンプ入口フィルタ8のメンテナンス時に作業員の負担を軽減し、メンテナンス時間を短縮することができる。
【実施例3】
【0041】
本発明の実施例3による制御棒駆動水圧系を説明する。
【0042】
図5は、本実施例による制御棒駆動水圧系におけるポンプ入口フィルタ8の縦断面図である。
図5には、ポンプ入口フィルタ8の概略を示している。以下では、実施例1による制御棒駆動水圧系と異なる点を主に説明する。
【0043】
ポンプ入口フィルタ8は、水30(復水)をポンプ入口フィルタ8の内部に流入させる配管であるフィルタ吸込み配管8dに鉄除去装置23を備える。鉄除去装置23は、取水口25よりも上流の位置でフィルタ吸込み配管8dに設置される。鉄除去装置23は、鉄除去部を備える。
【0044】
鉄除去装置23は、例えば、Y型ストレーナのように、フィルタ吸込み配管8dにフランジで接続されるか溶接によって取付けられ、鉄除去部を取り出すための取出し口を備え、鉄除去部の脱着と取り扱いが容易に行える構造を備える。
【0045】
フィルタ吸込み配管8dを流れる水30(復水)は、鉄除去装置23を流れてから、取水口25を通ってポンプ入口フィルタ容器8bの内部に流入してフィルタエレメント8aに流れ、フィルタ吐出配管8eを流れてポンプ入口フィルタ容器8bから流出する。フィルタ吸込み配管8dを流れる復水(水30)は、鉄除去装置23を流れてからフィルタエレメント8aに流れる。このため、復水に含まれている鉄成分と鉄イオン成分のうち少なくとも一方は、復水がフィルタエレメント8aを通過する前に除去できる。
【0046】
本実施例による制御棒駆動水圧系は、実施例1による制御棒駆動水圧系によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施例による制御棒駆動水圧系では、ポンプ入口フィルタ蓋8cをポンプ入口フィルタ容器8bから取り外さずに、鉄除去装置23の鉄除去部をポンプ入口フィルタ8から取り外すことができる。このため、ポンプ入口フィルタ8のメンテナンス作業に必要な労力を減らすことができ、ポンプ入口フィルタ8のメンテナンス時に作業員の負担を軽減し、メンテナンス時間を短縮することができる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…復水器、2…復水移送ポンプ、3…復水脱塩装置、4…復水系配管、5…原子炉圧力容器、6…復水貯蔵タンク、7…制御棒駆動水ポンプ吸込み配管、8…ポンプ入口フィルタ、8a…フィルタエレメント、8b…ポンプ入口フィルタ容器、8c…ポンプ入口フィルタ蓋、8d…フィルタ吸込み配管、8e…フィルタ吐出配管、9…制御棒駆動水ポンプ、10…制御棒駆動水ポンプ吐出配管、11…ポンプ出口フィルタ、12…系統流量調節弁、13…水圧制御ユニット、14…原子炉冷却材再循環ポンプ、15…原子炉冷却材浄化系ポンプ、16…ポンプミニマムフロー配管、17…制御棒駆動水加熱器、18…バイパス弁、19…制御棒駆動機構、20…制御棒駆動水供給配管、21…パージ水ヘッダ配管、22…充てん水ヘッダ配管、23…鉄除去装置、24…板状部材、24a…開口部、25…取水口、30…水。