(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】物品探りあて把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20220221BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20220221BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B25J15/06 A
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2018555431
(86)(22)【出願日】2016-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2016086805
(87)【国際公開番号】W WO2018105121
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2019-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】篠原 啓樹
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-168983(JP,A)
【文献】特開平08-243961(JP,A)
【文献】特開2002-025169(JP,A)
【文献】特開2003-062771(JP,A)
【文献】特表2005-530230(JP,A)
【文献】特表2009-523623(JP,A)
【文献】特開2013-049134(JP,A)
【文献】特開2014-176963(JP,A)
【文献】特開2014-223718(JP,A)
【文献】特開2015-047681(JP,A)
【文献】特開2016-203294(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199452(JP,U)
【文献】米国特許第04846619(US,A)
【文献】米国特許第05579444(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08-15/08
G07F 11/14
G11B 15/68-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を感知するセンサー及び前記物品を把持する物品把持部を備えた把持機構と、三次元方向に移動可能なアームと、前記アーム及び前記把持機構に接続され回転駆動されることが可能な回転駆動機構とを有する物品把持移載機構
であって、前記物品把持移載機構の下面方向に複数の前記物品把持部が略均等に配列設置され、前記物品把持移載機構の下面方向の表面全域に前記センサーが略均等に配列される、物品把持移載機構と、
前記センサーが前記物品を感知することで得られる物品感知情報に基づいて前記物品把持移載機構を制御する制御機構と
を具備する物品探りあて把持装置であって、
前記制御機構は、
前記物品把持移載
機構が、前記
物品がランダムに納められた容器の内部を中心から外側へと左回りに円弧を描きながら回転するように動く動作を行って前記物品に徐々に近接するように
動いて徐々に物品に近接しながら、前記複数のセンサーが多数の物品を感知し、該感知した情報が前記制御機構に伝達され、前記多数の物品のうち把持すべき物品の位置が決定づけられ、該決定された物品の位置に適合した前記物品把持部が前記把持すべき物品を把持する、人間の手が容器の中に入り物品を探りあてつかみ出す動作に近似させる機能を実行するように、前記アーム及び前記回転駆動機構を制御し、
前記物品感知情報に基づいて、前記物品の把持の容易さ、前記物品との距離、前記物品が限定された物品であるか否か、のうち少なくともいずれか一つについての判断に基づき前記制御がなされる
ことを特徴とする物品探りあて把持装置。
【請求項2】
前記センサーによって前記物品の位置を認識した前記物品感知情報を受け、前記制御機構が前記物品把持移載機構を制御することによって物品を把持することに特徴を有する請求項1に記載の物品探りあて把持装置。
【請求項3】
前記センサーが、負圧センサー及び/若しくはレーザセンサー及び/若しくは紫外線センサー及び/若しくは赤外線センサー及び/若しくは可視光センサー及び/若しくはマイクロ波センサー及び/若しくは超音波センサーであることに特徴を有する請求項2に記載の物品探りあて把持装置。
【請求項4】
前記センサーが、リミットスイッチ及び/若しくは温度センサー(サーミスタ)及び/若しくは導電プローブ及び/若しくは光電管及び/若しくは感圧センサー及び若しくは磁気センサーであることに特徴を有する請求項2に記載の物品探りあて把持装置。
【請求項5】
前記把持機構が、真空吸引吸着機構及び/若しくは静電吸着パッド機構及び/若しくは電磁石機構及び/若しくはピックハンド機構であることに特徴を有する請求項2乃至4のいずれか1項に記載の物品探りあて把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を認識し把持し移載するための物品把持装置に関する。特に、物流集配拠点での多品種商品の配送箱等の詰め替え移載における自動物品移載のロボットアームの物品把持装置に関する。
【0002】
商品物流拠点においては、大量に入荷される多品種商品を仕向け先別に仕分け包装するための商品の出荷容器への移載作業を、ロボット等を利用して行っている。この場合、他種多様な形状を有する商品の中から指定商品のみを特定し、認識し、ロボットアームを操作して商品を把持(ピックアップ)するが、このためにはカメラ画像認識装置等を用いて商品箱内を画像撮影し、特定商品のみを認識し、その商品の外形等のデータに応じてロボットアームが指定位置に移動して指定商品を把持し、その後出荷容器に移動して商品を配置(移載)する。
【0003】
しかしこの作業は、商品を画像認識により特定し且つ形状の確認を要することから、アームによる商品外形に応じた保持動作など非常に綿密なプログラムによるロボット操作が必要となり、できる限り早く効率的に大量の商品を移載することを要求される物流拠点においては、作業が遅すぎる上に、綿密なプログラム制御により高価なロボットなどを必要とする等、経済的な負荷が大きく、現実的な効率化作業には至っていない。
【0004】
実際のロボットアームによる商品保持においては、真空吸引パッドを商品にあてがい真空吸着によって商品を把持する手法が主技術となっているが、一様に平面をもつ物品に対しては真空吸引パッドによる吸着は対応できるが、多種多様な外観形状を有する商品を逐次吸着把持する機能を発揮する技術には至っていない。
【0005】
たとえば、特許文献1では、ロボット等を用いた物品把持の自動化システムにおいて、人の目に替わるビジョンシステムを用いて、動作毎にワーク把持位置を計算して吸着ヘッドを用いた吸引吸着による物品把持の技術思想が開示されている。しかし、この例では、物品を吸着による手法のみで把持する技術思想であるため、様々な形状である物品を認識して把持する技術には至っていない。様々な形状である物品を探りながら認識し、且つ最も把持し易い方法を選択して行う物品把持には適合できていない。
【0006】
またその他の従来技術では、ロボット等を用いた物品把持の自動化システムにおいて、人の目に代わるビジョンシステムを用いて、動作毎にワーク把持位置を計算してロボットに移動指示を出している。この方式では、ロボットシステムを用いてワークを把持する際に、ケース及びワークの位置情報を測定しロボットに動作指示しなければならない。この処理時間は各動作に必ず含まれる数字であり、サイクルタイムの拡大につながる。また、一般的なビジョンシステムは、カメラ、照明機器、コントローラにて構成され、システムの複雑化とコスト高につながっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
精密なプログラムに基づき稼働する高価なロボットを用いずに、様々なセンサー機能により商品を認識し特定し、最も適した方法で物品を安全に把持し、素早く移載することが可能な探りあて物品把持機能を提供することが本発明の課題である。
【0009】
かかる課題を解決するため、本発明に係る物品探りあて把持装置は、
物品を感知するセンサーと
物品を把持する機構と
上記センサーと上記把持機構を有する物品把持移載機構と
上記センサーの物品感知情報と上記把持機構と上記物品把持移載機構を制御する制御機構と
を具備して構成される。
【0010】
また本発明に係る物品探りあて把持装置は、上記感知センサーによって位置を認識した物品情報を受け、上記制御機構が上記把持機構及び上記物品把持移載機構を制御することによって物品を探りあてて把持することに特徴を有する。
【0011】
一般的に、物品把持作業において物品を認識する手法は主に画像認識によるものがほとんどであり、画像によって認識した物品に対して次にどの順番でどのように物品を把持し移載するかは予めアルゴリズムが組まれておりその指示通りにプログラムが成されて機械操作に繋がっている。
【0012】
本発明に係る本発明に係る物品探りあて把持装置は、上記感知センサーが、負圧(エアー圧)センサー及び/若しくはレーザセンサー及び/若しくは紫外線センサー及び/若しくは赤外線センサー及び/若しくは可視光センサー及び/若しくはマイクロ波センサー及び/若しくは超音波センサーであること、及び/又は上記感知センサーが、リミットスイッチ及び/若しくは温度センサー(サーミスタ)及び/若しくは導電プローブ及び/若しくは光電管及び/若しくは感圧センサー及び若しくは磁気センサーであることに特徴を有する。
【0013】
これらの物品感知センサーは、上記把持機構に略均一又はランダムに複数設置されており、把持機構の動きに従い物品に近接しつつ物品の存在を感知することができる。感知センサーの設置方向は限定されず、把持機構の表面全域に対して設置されていてもよい。それぞれの感知センサーは特有の感知機能を有することは周知の通りである。また画像認識を併設することを除外するものではない。
【0014】
物品をどのような方法で認識するかは、たくさんの方法が既に周知技術及び慣用技術として知られている。例えば、吸引エアー負圧、光(紫外、可視、赤外)、電磁波、接触、電気、音波、温度等様々な手法を用いた認識技術がある。これらの選択には、感知するセンサーの仕組みとしての用途と、実際に認識される物品の感知される物性との両方を考慮する必要がある。
【0015】
例えば、物品の温度を他の温度との比較において感知して認識する場合、感知センサー(サーミスタ)としては導電性に対する電気抵抗の差を電気感知することによって温度差として物品を認識する。超音波認識においては、物品に超音波を照射しその返信音波を捉えることによって物品の存在を感知する。感知レベルによっては物品の大きさや形状までも認識することができる。
【0016】
バキュウムは把持するための吸着手法であって、物品の感知認識には関与しないが、バキュウムによって吸着された物品の重量等を検知することによって物品を感知して認識する手段としても用いることができる。またバキュウムでのエアー負圧の変化は検知センサーとしても機能する。
【0017】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、上記把持機構が、上記感知センサーからの物品情報を受けた上記制御機構のプログラムに従い、物品を探りあてる動作をすることに特徴を有する。
【0018】
物品を探りあてる動作とは、物品がランダムに納められた容器の中に近接しつつ、例えば内部を右回りに外郭から中心に向けて略回転するように動く動作であり、例えば内部を中心から外側へと左回りに円弧を描きながら回転するように動く動作であり、徐々に物品に近接していく。この動作を上記把持機構が行うことによって把持機構に設置された物品感知センサーは逐次物品を感知し情報を制御部に伝達する。
【0019】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、上記伝達情報によって次に物品把持移載機構が行う動作を決定する。これらの動作は予め決定されたアルゴリズムに従いプログラムされている制御機構の指示によって行われる。どの時点でどの物品を把持する動作に移行するかは、物品把持の容易さ又は物品との接近距離あるいは限定された物品であるか否かなどの判断アルゴリズムに基づき決定されればよい。
【0020】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、上記把持機構が、真空吸引吸着機構及び/若しくは静電吸着パッド機構及び/若しくは電磁石機構及び/若しくはピックハンド機構(
図7における28)であることに特徴を有する。
【0021】
物品を把持する方法は、吸着パッドによる吸引吸着把持をはじめ、静電気吸着パッドを用いた静電気吸引吸着把持、電磁石を用いた磁力吸着把持、ピックハンドのように物品を挟み掴み取る動作をするものなどがある。これらの把持機構の詳細部品は感知センサーと同様に把持機構の略全表面に設置することが可能である。本発明は物品把持移載機構の詳細である把持機構を限定するものではない。
【0022】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、感知センサーからの物品感知情報に基づき制御機構が指示する情報に従い把持機構が物品を把持移載する。把持機構は把持される物品の態様に従い選択される。例えば、把持機構の基材が可撓性を有する部材であれば、吸着パッドが不定形状の物品を包み込むように外側から囲い吸引吸着して把持することができる。
【0023】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、物品の特性により選択された物品のみを選択把持することもできる。例えば磁性を帯びた物品を感知したときは磁力吸着把持を行えばよい。例えば冷凍物品だけを把持する場合はサーミスタセンサーを用いて物品を選択すればよい。例えば、袋状のエアーパッキング物品を把持移載するときは吸引吸着又はピックハンドを用いて把持すればよい。
【0024】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、把持機構に設置する感知センサー及び把持機構詳細を限定する物ではなく、複数種類のセンサー及び複数方法の把持機構詳細である物品把持機構が同一の把持機構に設置されていてもよい。各々の部品が縮小化されればされるほど把持能力は向上する。物品の種類に応じた専用把持機構を限定して選択するか又は物品の種類に応じた把持機能をひとつの把持機構に複数包含させるかは自在である。
【0025】
本発明に係る物品探りあて把持装置は、まさに人間の手が容器の中に入り、物品を探りあて、つかみ取り出す動作に近似させる機能を有する把持移載作業を行うための技術思想であり、そのための感知センサー機構と把持機構とを制御機構がコントールするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、様々な物品(商品)を選択して早く効率的に把持移載することができる。また、物品の大きさ、重さ、外形、表面状態などの性質に制約されずに把持移載することができる。本発明によれば物流拠点での多品種物品の選別移載の安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品探りあて把持装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の概要を示す概念図である。
【
図1A】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のバキュウム吸引センサーを用いた検知概要を示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の光学的センサーを用いた検知概要を示す概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の接触スイッチを用いた検知概要を示す概念図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のサーミスタを用いた検知概要を示す概念図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の静電吸着盤を用いた吸着概要を示す概念図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の電磁石を用いた把持概要を示す概念図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のピックハンドを用いた把持概要を示す概念図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の物品検知機能を投受光式光電管にした場合の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の概要を示す概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置は、ロボット機構のアーム10と把持機構11から構成される。
図1においてはアーム10の先端部のみが示されており、ロボットシステム等に連接したアーム10は回転駆動機構12を経由して把持機構11と連接している。回転駆動機構12は回転駆動することにより把持機構11を自在な方向に向けることができる。アーム10はX、Y、Z軸の三次元方向に移動が可能なシステムとなっている。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の把持機構11の物品(商品)把持面である下面方向には、例えば物品の表面を真空吸着して把持するための吸着パッド13が略均等に配列設置されている。吸着パッドの間隙には略均等に配列した光学的センサー14が設置されている。
【0031】
図1に示す光学的センサー14は、その先端より可視光又は紫外線、赤外線などを照射して物品を感知するセンサー機能を有している。照射した光の反射光の減衰率、周波数又は光線の遮断等を検知することによって物品を感知するセンサー感知方法は多種類の光電管のように数多の周知技術がある。
【0032】
図1に示すように、例えば多数の光学的センサー14によって存在を感知された物品(商品)15は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の制御機構によってその形状が認識され、アーム10及び把持機構11が動作して吸着パッド13によって吸着把持される。複数の吸着パッド13は、例えば内部にエアー吸引機構を備えており、物品形状に応じて真空吸引して物品15の表面を吸着して把持する。物品に接触していない吸引パッド13は吸引操作をストップ開放すればよい。
【0033】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の特徴は上記のように光学的センサー14の機能を活用して把持すべき物品を自在に認識できることにある。つまりアーム10及び回転駆動機構12の駆動に従い光学的センサー14が物品を感知する探りあて機能を有することにある。例えば異なる物品が多数あった場合にも、アーム10及び回転駆動機構12の動きに従い把持機構11の光学的センサー14は異なる多数の物品を前方に感知することができる。その情報は全て本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の制御機構に伝達把握され、そして、どの位置にあるどの物品を吸着把持するかを決定付けられる。そして機能に従いその物品を吸着把持する。把持された物品は例えば出荷箱の中に移動載置されることになる(この感知、把持、移動、載置の一連の作業を把持移載作業と称する)。
【0034】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のバキュウム吸引センサーを用いた検知概要を示す概念図である。同図の破線部内はバキュウム吸引センサー2を用いた物品検知及び把持の機構を示している。エアー1で吸引された吸着パッド13に接触した物品(商品)15は、把持機構11によってバキュウム吸着把持される。このときセンサーとして働くバキュウム吸引センサー2は、物品15の把持によって発生する減圧を感知(検知)する。同時に重量等を検知してもよい。これらの情報は制御機構19に送られる。そして制御機構19の指示に従い物品吸着がされていない吸着パッド13のエアー吸引を止め、物品把持移載機構のアーム10が働き、物品を移動し載置する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持機構の光学的センサーを用いた検知概要を示す概念図である。
図2は概念図である
図1の内部を含めた機能の概念を表している。同図に示すように、把持機構11には光学的センサー14(図中では光電管14A)が略均等に配列されており、その間隙に吸着パッド13が略均等に設置されている。
図1によって説明したように光学的センサー14で感知した物品は吸着パッド13によって真空吸着される。真空脱気システム17はエアー配管16を通じて行われる。
【0036】
同図に示すように、把持機構11には例えば光電管14Aが複数設置されていて光電管14Aの間隙には吸着パッド13を複数備えている。光電管14Aは下部にある物品に対して検出光を発信し物品の存在を感知検出するセンサー機能を備えている。
【0037】
図1に示すように、光電管は均等に分散配置されているため、感知した物品の全体形状を認識することができる。認識した物品の情報は制御機構19に送信され制御機構19の指示に従い吸着パッド13が物品を吸着把持する。吸着パッド13も光電管14Aと同様に均等分散配置されているため、複数の吸着パッド13による吸着把持は制御機構19から指示する吸着パッドのみが動作する仕様であってよい。もちろん吸着において物品の接触しない部分は吸着動作に関与しないのだから問題はない。
【0038】
物品の存在を認識する手段は光電管によるものに限定はしない。例えば、レーザー光を照射してその反射を捉えてもよいし、赤外線、紫外線、マイクロ波を照射してその反射を検知してもよい。光学的との定義の問題ではないが、音波例えば超音波センサーであっても同様である。つまり光学的センサーと称する部類のセンサーが対応可能であることを意味する。構造としては前記の光電管による物品感知と同様である。本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置は、このような様々な光学的センサーを任意に配設することができることに特徴を有する。
【0039】
図2に示す制御機構19は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の動きを制御するのみではなく、あらゆる物品を探りあて把持移載するためのアルゴリズムが予めプログラミングされており、本発明の一実施形態に係る探りあてピッキング移載装置の具体的な動作はその中から抽出された一つの動作にすぎない。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の接触スイッチを用いた検知概要を示す概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の把持機構11の内部には光センサーではなく接触スイッチ20を用いている。接触スイッチ20の代表的なものにはリミットスイッチ21などがある。
図3の破線内にリミットスイッチ21の概念図を示す。プランジャ22の接触により物品を電気的に感知する機能を有する。
【0041】
同図に示すように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置は、
図1の場合の光電管等の光学的センサーに換えて接触スイッチ20を用いた物品認識機構を用いることもできる。接触式センサーの代表的なものがリミットスイッチ21である。把持機構11に均等分散設置されたリミットスイッチ21は、物品との接触によってそのプランジャ22を押し上げて接触感知機能を発揮する。
【0042】
リミットスイッチ21は、把持機構11の下方移動に従い順次物品の表面に接触することになる。つまり接触プランジャ22の感知情報はそのまま制御機構19に連動することによって、物品の形状が認識される。制御機構19は物品形状情報を解析し、最も適した吸着パッド13を用いて物品を把持すればよいことになる。リミットスイッチ21、吸着パッド13は把持機構11と共に物品吸着把持のために適した移動動作を行うことができる。ここでリミットスイッチ20の設置される方向は
図3のように下方向に限定する必要はない。リミットスイッチ20の向く方向は任意に設定することができることを追記する。これらの方向は把持機構が探りあて機能に基づいて動作する方向に有効に設定されていればよい。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のサーミスタを用いた検知概要を示す概念図である。同図に示すように、物品を検知するセンサー機構は、サーミスタ(温度検知センサー)23によって構成されている。サーミスタ23は物品との接触により温度差を検知して物品を認識することができる。
図2及び
図3と同様に物品を感知することには変わりはない。しかしサーミスタ23で最も特徴的なことは、感知される物品の特性にある。
【0044】
サーミスタ23は物品との接触と同時に物品の形状を認識することになるが、サーミスタ23に一定の検知温度を付与限定することによって様々な物品の中から必要な物品を選択する機能を持つことができる。つまり多数の物品の中から例えば冷凍物のみを探りあて認識しピッキングしたい場合等に有効となる。本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のサーミスタ23を用いた感知機能は、物品を選択選別して把持することができる。
【0045】
一定の温度感知を制御機構19から指示されたサーミスタ23は一定の温度を有する物品のみを接触感知し、その物品情報を基に制御機構19は吸着パッド13を操作して物品を把持し、移載することになる。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の静電吸着盤を用いた吸着概要を示す概念図である。同図に示すように、上記までの吸着パッド13の仕様を静電吸着盤24に換えたものである。例えば静電吸着盤24は表面が可撓性部材であれば物品との接触時に、静電引力による吸着力も機能し且つ物品表面を覆うように多面積にて接触し、エアー吸引に換えて柔らかく柔軟に物品を把持する機能を有する。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の電磁石を用いた把持概要を示す概念図である。同図に示すように、物品を感知するセンサー機能には電極を先端に有する導電プローブ25を用いている。また吸着把持する仕様は吸着パッド13に換えて電磁石26である。破線内は導電ブローブ25の機能概要を示している。先端のブローブに物品が接触することにより電気的に物品を感知する。
【0048】
例えば把持移載される物品が磁性体仕様であれば、導電プローブ25の物品接触感知と同時に例えば導電プローブ25から一定電流を通じることにより、磁性体物品の磁性を喚起することができる。磁性体は電磁石26である把持盤によって磁力吸着把持される。
【0049】
本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の電磁石26を用いた把持仕様であれば、
図4におけるサーミスタ検知同様に、磁性体物品のみを選択感知し、把持移載することができる。つまり、本発明の一実施形態に係る探りあてピッキング移載装置は、センサー機能を自在に活用して物品の探りあて、物品の特性に応じて選別把持移載することを可能にする。
【0050】
図7は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置のピックハンドを用いた把持機構概要を示す概念図である。同図に示すように、物品把持機構を吸着パッドに換えてピックハンド28を用いている。ピックハンド28は、その先端に複数の把持爪29を有し、把持爪29の開閉によって物品の表面を挟み込み把持する機能を有する。表面が軟質の物品や、布製物品、袋状物品などの把持に機能を発揮する。
【0051】
図7に示すように、例えばリミットスイッチ20のプランジャ22(
図3破線部に示す。)で物品を感知し、且つ物品の外形状などの情報と共に軟質物品又は布製物品、袋状物品であることの感知情報も入手することができることにより、物品把持機構をピックハンド28として選択することもできる。多数均等に配列されたピックハンド28は、軟質物品、布製物品、不定形物品などを有効に把持移載することに機能を発揮する。
【0052】
図8は、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の物品検知機能を投受光式光電管にした場合の概念図である。同図の破線部に示すように、投受光式光電管30はその先端部が二つに分割されており片方が投光器32、もう一方が受光器31によって構成されており、その間隙を走る光33の減衰を感知する。物品表面が投受光式光電管30によって感知されることによって、上記と同様に物品認識情報を基に
図7と同様にピックハンド28によって物品を把持ピッキングすることができる。
【0053】
以上のように、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置は、把持機構11に敷設されたセンサー機構によって物品を探りあて感知し、そのセンサー機能によって把握できる情報を全て制御機構に送付し制御機構が予めプログラミングされたアルゴリズムに従い物品を把持するための指示情報を物品把持機構に送り、把持機構11は物品をその最適機能に基づいて把持移載する。
【0054】
これらのセンサー機構、物品把持移載機構は、上記のように様々なセンサーが利用でき、また把持機構も上記のような様々な種類の把持機構が利用できる。たとえセンサー機構、把持機構がセンサー技術として周知技術であっても、本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置は、把持機構にこれらの機構を位置・方向・数・配列等を任意に併設させることにより、制御機構の最適把持指示に従い把持される物品仕様に対応した最適把持移載を成すことができる。そしてセンサー機構の機能によっては物品の選択把持移載をすることもできる。
【0055】
本発明の一実施形態に係る物品探りあて把持装置の把持機構11の形状は上記図によって説明した平面形状に限定する物ではない。把持機構として略円形、楕円形、略球面形や場合によっては不定形として任意形状とすることも包含する技術思想である。また把持機構に限らずセンサー機構及び把持移載機構の材質も可撓性物質等を選択することができる。センサー機構及び物品把持移載機構の把持機構における敷設配列も方向も任意に設定することができる。
【0056】
これらの任意配置、方向、材質は、把持移載される物品の仕様に対応して選択されるべきものであり、その選択性を可能とした組み合せ仕様こそが本発明の技術思想である。最も検知、把持移載し易い方法で把持移載作業することができることが、把持移載作業の最高効率を生み出し、経済的にも最も高率的な把持移載機構となることは言うまでもない。それを可能にするのが本発明に係る物品探りあて把持装置である。
【0057】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、上記説明でのセンサー機構及び把持機構の個別部品仕様の違いを本発明の技術範囲外に許容するものではなく、本発明の技術思想内として包含するものである。つまりこれらはすべて、本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、様々な物品(商品)を選択して早く効率的に把持移載することできる。また、物品の大きさ、重さ、外形、表面状態など態様に制約されずに把持移載することができる。物流拠点での多種多様物品の選別移載の安全性と作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品探りあて把持装置が実現される。
【0059】
よって本願は、物流業界での商品選別把持移載に限定されず、製造業を含めたあらゆる産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0060】
1 エアー
2 バキュウム吸引センサー
10 アーム
11 把持機構
12 回転駆動機構
13 吸着パッド
14 光学的センサー
14A 光電管
15 物品(商品)
16 エアー配管
17 真空吸引
18 光線
19 制御機構
20 接触スイッチ
21 リミットスイッチ
22 プランジャ
23 サーミスタ
24 静電吸着パッド
25 導電プローブ
26 電磁石
27 導電プローブ概要
28 ピックハンド
29 把持爪
30 投受光式光電管
31 受光器
32 投光器
33 光軸