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  • 特許-固定構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/19 20180101AFI20220301BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220301BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220301BHJP
【FI】
F21S41/19
F21V19/00 212
F21W102:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017140387
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2019021547
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】山本 正義
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-069481(JP,U)
【文献】特開2014-013652(JP,A)
【文献】特開平07-263099(JP,A)
【文献】特開2014-041738(JP,A)
【文献】特表2005-513744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 19/00
F21W 102/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の収容部を有する本体部に貫通形成された円孔状の取付孔に、該取付孔よりも小径の円筒状の被固定体を着脱可能に組み付けるバヨネット機構を有する固定構造であって、
前記収容部の内側に設けられる前記被固定体の円環状の筒部の外周であって、円環状の樹脂製のシール部材が外側に設けられている前記筒部外周から径方向外方に突出する複数の被固定側係合爪と、
前記取付孔の内周縁を円弧状に切り欠いて形成されると共に、前記被固定側係合爪が通過可能な複数の爪逃孔と、
前記複数の爪逃孔の間から径方向内方に突出すると共に、前記被固定側係合爪とそれぞれ係合可能な複数の本体側係合爪と、を備え、
前記被固定側係合爪の軸方向長さが前記本体側係合爪の軸方向長さよりも長く形成されており、
前記本体側係合爪は、
前記被固定側係合爪が前記本体側係合爪に係合した状態において、前記本体側係合爪の前記被固定側係合爪が接する面における前記被固定体の周方向の一端に設けられており、前記被固定側係合爪が前記周方向における第1の向きに移動するのを規制する第1突起と、
前記本体側係合爪の前記被固定側係合爪が接する面における前記周方向の他端に設けられており、前記被固定側係合爪が前記周方向における前記第1の向きとは反対の第2の向きに移動するのを規制する第2突起と、
を有する
ことを特徴とする固定構造。
【請求項2】
前記被固定側係合爪の軸方向長さは、前記被固定体の前記筒部が前記取付孔に斜めに挿入されて、少なくとも1個の前記被固定側係合爪が前記爪逃孔を通過していない状態においても、当該通過していない被固定側係合爪の少なくとも一部分が前記爪逃孔内に突出する長さで設定されている
請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記本体部が車両用灯具のランプボディであり、前記被固定体がコネクタカバーである
請求項1又は2に記載の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構造に関し、特に、バヨネット機構を有する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用灯具においては、リフレクタやランプボディ等の灯具本体部に、バルブやコネクタカバー等の被固定体がバヨネット機構によって着脱可能に組み付けられている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
この種のバヨネット機構は、円筒状の被固定体の外周に周方向に所定のピッチで設けられた複数(例えば、3個)の係合爪と、本体部に貫通形成された円孔状の挿入孔と、該挿入孔の内周縁を円弧状に切り欠いて形成されて周方向に所定のピッチで設けられた複数(例えば、3個)の爪逃孔とを備えている。
【0004】
被固定体を本体部に組み付ける際には、まず、係合爪を爪逃孔に通して被固定体を挿入孔に差し込み、次いで、被固定体を時計回りに回転させると、係合爪が挿入孔の内周縁と係合することにより、被固定体が本体部に組み付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-100233号公報
【文献】特開2015-138700号公報
【文献】特開2001-256807号公報
【文献】特開平07-65610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のバヨネット機構においては、組み付け時に被固定体が挿入孔に斜めに差し込まれて回転されると、一部の係合爪(例えば、3個のうちの1個)が挿入孔の内周縁に乗り上げた状態で組み付けられる誤組を引き起こす場合がある。このような誤組によって本体部と被固定体との間に隙間が発生すると、シール性の低下により本体部内に水や埃が侵入するといった課題がある。
【0007】
本開示の技術は、本体部と被固定体との誤組を効果的に防止することができる固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の技術は、本体部に貫通形成された円孔状の取付孔に、該取付孔よりも小径の円筒状の被固定体を着脱可能に組み付けるバヨネット機構を有する固定構造であって、前記被固定体の筒部外周から径方向外方に突出する複数の被固定側係合爪と、前記取付孔の内周縁を円弧状に切り欠いて形成されると共に、前記被固定側係合爪が通過可能な複数の爪逃孔と、前記複数の爪逃孔の間から径方向内方に突出すると共に、前記被固定側係合爪とそれぞれ係合可能な複数の本体側係合爪と、を備え、前記被固定側係合爪の軸方向長さが前記本体側係合爪の軸方向長さよりも長く形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記被固定側係合爪の軸方向長さは、前記被固定体の筒部が前記取付孔に斜めに挿入されて、少なくとも1個の前記被固定側係合爪が前記爪逃孔を通過していない状態においても、当該通過していない被固定側係合爪の少なくとも一部分が前記爪逃孔内に突出する長さで設定されていることが好ましい。
【0010】
また、前記本体部が車両用灯具のランプボディであり、前記被固定体がコネクタカバーであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の技術によれば、本体部と被固定体との誤組を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す模式的な斜視切欠き断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコネクタカバーがランプボディに正しく組み付けられた状態を説明する模式的な断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコネクタカバーがコネクタ取付孔に斜めに挿入された状態を説明する模式的な断面図である。
図4】従前の固定構造による誤組の一例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る固定構造について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1は、車両用灯具1を示す模式的な斜視切欠き断面図である。車両用灯具1は、例えば、車体前部に取り付けられるヘッドランプ等であって、ランプボディ10(本体部の一例)と、ランプボディ10の前側開口を覆う前面レンズ11と、ランプボディ10の背面に貫通形成された円孔状のコネクタ取付孔12と、コネクタ取付孔12に取り付けられるコネクタカバー30(被固定体の一例)とを備えている。
【0015】
ランプボディ10の背面には、コネクタ取付孔12の周縁を覆う円環状のホルダ部21が設けられている。また、コネクタ取付孔12には、バヨネット機構の一部を構成する複数(本実施形態では3個)の爪逃孔22及び、ボディ側係合爪23が設けられている。
【0016】
コネクタカバー30は、蓋部31と筒部32とを有する有底円筒状を呈しており、その筒外径をコネクタ取付孔12の穴径よりも小径に形成されている。蓋部31には、コネクタ33が設けられている。筒部32には、バヨネット機構の一部を構成する複数(本実施形態では3個)のコネクタ側係合爪34が設けられている。コネクタ側係合爪34の一端部には、小突起35が突設されている。また、蓋部31の外周縁とコネクタ側係合爪34との間の筒部32には、樹脂材料等で形成された円環状のシールリング37が挿入されている。
【0017】
3個の爪逃孔22は、コネクタ取付孔12の内周縁の計3箇所を円弧状に切り欠くことにより形成されている。また、コネクタ取付孔12の内周縁を計3箇所で切り欠くことにより、コネクタ取付孔12の内周縁の切り残し部分が径方向内方に突出する計3個のボディ側係合爪23として機能するようになっている。各ボディ側係合爪23の一端部(正面視で時計回り方向の始端部)には、ロック用の小突起24が突設されている。また、各ボディ側係合爪23の他端部(正面視で時計回り方向の終端部)には、小突起24よりも高く突出する係止用の大突起25が突設されている。
【0018】
3個のコネクタ側係合爪34は、コネクタカバー30の筒部32外周に周方向に爪逃孔23と同ピッチで突設されている。コネクタ側係合爪34の周方向長さは、組み付け時に爪逃孔22を通過できるように、爪逃孔22の円弧長さよりも短く形成されている。
【0019】
以上のように構成されたコネクタカバー30をランプボディ10に組み付ける際には、まず、コネクタカバー30の筒部32の軸心をコネクタ取付孔12の軸心と一致するように平行に差し込んで、3個のコネクタ側係合爪34をそれぞれ3個の爪逃孔22に通過させる。次いで、コネクタカバー30を時計回りに回転させると、図2に示すように、コネクタ側係合爪34がボディ側係合爪23と係合することにより、コネクタカバー30がバヨネット機構を介してランプボディ10側のホルダ部21内に保持される。コネクタカバー30が正しく組み付けられると、コネクタカバー30の筒部32外周とホルダ部21内周との隙間は、シールリング37によって確実に封鎖されるようになっている。
【0020】
本実施形態において、コネクタ側係合爪34は、ボディ側係合爪23よりも肉厚に形成されている。言い換えれば、コネクタ側係合爪34の軸方向厚み(軸方向長さ)T1が、ボディ側係合爪23の軸方向厚み(軸方向長さ)T2よりも長く形成されている。
【0021】
より詳細に説明すると、図3に示すように、コネクタ側係合爪34の軸方向厚みT1は、コネクタカバー30の筒部32がコネクタ取付孔12に斜めに挿入されて、計3個のコネクタ側係合爪34のうち2個のみが爪逃孔22を通過した状態においても、残り1個のコネクタ側係合爪34の少なくとも一部分が爪逃孔22内に確実に突出する厚みとなるように設定されている。軸方向厚みT1の具体的な寸法は、筒部32の筒外径やコネクタ取付孔12の内径に応じて適宜に設定することが好ましい。
【0022】
このように、コネクタ側係合爪34を肉厚に形成すると、作業者によってコネクタカバー30の筒部32がコネクタ取付孔12に斜めに挿入された状態で、作業者がコネクタカバー30を時計回りに回転させようとしても、コネクタ側係合爪34の時計回り方向の端面が、ボディ側係合爪23の反時計回り方向の端面に当接することにより、コネクタカバー30の回転が規制されるようになる。
【0023】
すなわち、図4に示す従前の固定構造では、コネクタ側係合爪340が薄肉に形成されているので、作業者がコネクタカバー300の筒部320をコネクタ取付孔120に斜めに挿入して時計回りに回転させると、コネクタ側係合爪340はボディ側係合爪230と干渉することなく乗り上げた状態で組み込まれてしまい、コネクタカバー300の誤組を招くといった課題があった。また、誤組によってシールリング370の一部が筒部320とホルダ部210との間から抜けてしまうことで、シール性の低下を招くといった課題もあった。
【0024】
これに対し、本実施形態では、コネクタカバー30の筒部32がコネクタ取付孔12に斜めに挿入されても、爪逃孔22を通過していないコネクタ側係合爪34の一部が爪逃孔22内に確実に残された状態になる。すなわち、作業者がこの状態からコネクタカバー30を時計回りに回転させようとしても、コネクタ側係合爪34の端面がボディ側係合爪23の端面と干渉することにより、コネクタカバー30の回転が確実に阻止されるように構成されている。
【0025】
これにより、作業者に対してコネクタカバー30の誤組を効果的に気付かせることが可能となり、誤組を未然に防止することができる。また、誤組が防止されることにより、筒部32とホルダ部21との間にシールリング37が確実に挟持されるようになり、シール性の低下も効果的に防止することが可能になる。
【0026】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0027】
例えば、爪逃孔22,ボディ側係合爪23,コネクタ側係合爪34の個数は、上記実施形態の各3個に限定されず、各2個或いは各4個以上であってもよい。
【0028】
また、本実施形態が適用される固定構造は、車両用灯具1の固定構造に限定されず、バヨネット機構により本体部と被固定体とを固定する他の構造物にも広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用灯具
10 ランプボディ
11 前面レンズ
12 コネクタ取付孔
21 ホルダ部
22 爪逃孔
23 ボディ側係合爪
24 小突起
25 大突起
30 コネクタカバー
31 蓋部
32 筒部
33 コネクタ
34 コネクタ側係合爪
35 小突起
37 シールリング
図1
図2
図3
図4