(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】安全クラッチ
(51)【国際特許分類】
A44C 7/00 20060101AFI20220301BHJP
F16B 2/24 20060101ALI20220301BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A44C7/00 B
F16B2/24 B
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2019504802
(86)(22)【出願日】2017-07-25
(86)【国際出願番号】 US2017043658
(87)【国際公開番号】W WO2018022579
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-16
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519025301
【氏名又は名称】レイル, ゴーラン
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】レイル, ゴーラン
(72)【発明者】
【氏名】レイル, ウラディミール
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04397067(US,A)
【文献】米国特許第04501050(US,A)
【文献】特開2000-070015(JP,A)
【文献】特開2003-169712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0061831(US,A1)
【文献】実開昭60-158413(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第1408297(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-0943245(KR,B1)
【文献】特開2001-054413(JP,A)
【文献】米国特許第6003333(US,A)
【文献】特開平11-113613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0189284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 7/00
F16B 2/24
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体穿刺においてポストを固定するためのクラッチであって、
貫通するポスト孔を有するプレート区画と、一対の片持ちばね要素であり、前記プレート区画の対向する縁部から互いに近接して延在し、前記片持ちばね要素が前記プレート区画の裏側で前記ポスト孔から垂直に延伸する仮想円筒面の対向する側に部分的に交差するように位置整合されている、一対の片持ちばね要素と、
ドームシールドであって、前記ポストを塞ぎ、前記片持ちばね要素を封止し、前記仮想円筒面が前記ドームシールドに交差するように前記プレート区画に固定されており、前記ドームシールド内の水分蓄積を低減するための少なくとも1つの通気孔
が前記ドームシールドに形成されている、ドームシールドと
を備える、クラッチ。
【請求項2】
前記ドームシールド
内の対向する表面
に一対の通気孔
が形成されている、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項3】
前記一対の通気孔は各々、前記ドームシールド内に延在し、前記片持ちばね要素の偏向を制限するストッパを形成するテーパ形状を備える、請求項2に記載のクラッチ。
【請求項4】
前記一対の通気孔は、前記一対の通気孔から前記ポストが塞がれるように前記片持ちばね要素の後ろに配置される、請求項2に記載のクラッチ。
【請求項5】
各片持ちばね要素は、前記仮想円筒面と位置整合して配置されたチャネルを含む、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項6】
前記片持ちばね要素の各チャネルは、少なくとも前記ポストのポスト半径と同じ大きさのチャネル半径を含む、請求項5に記載のクラッチ。
【請求項7】
前記片持ちばね要素は各々、前記ポスト孔の直径の少なくとも半分の大きさの曲げ半径を有する屈曲部と、係合されているときの前記ポストとの入射角が45度以下であり、曲げ角度は105度以上であり、前記ポストが係合されていないとき、前記片持ちばね要素の端部は互いから外方に屈曲する、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項8】
前記ドームシールドは、前記プレート区画の縁部から延伸する複数の屈曲タブによって前記プレート区画に固定されている、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項9】
前記片持ちばね要素は各々、前記仮想円筒面の軸から外方に屈曲した拡大領域を含む、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項10】
前記プレート区画の前記ポスト孔は、前記プレート区画の前側の陥凹底部に配置されている、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項11】
身体穿刺においてポストを固定するためのクラッチを製造する方法であって、
連続した平面材料片から、貫通するポスト孔を有するプレート区画と、一対の片持ちばね要素と、ドームシールドとを型打ちおよび成形するステップであり、前記プレート区画および前記ドームシールドは間に接続フランジを有する、型打ちおよび成形するステップと、
互いに近接し、前記片持ちばね要素が前記プレート区画の裏側で前記ポスト孔から垂直に延伸する仮想円筒面の対向する側に部分的に交差するように位置整合されるように、前記プレート区画の対向する縁部から延伸するように前記一対の片持ちばね要素を屈曲させる
ステップと、
前記仮想円筒面が前記ドームシールドに交差するように、前記片持ちばね要素を前記ドームシールドによって封止するために前記接続フランジを屈曲させるステップと、
前記ドームシールドを前記プレート区画に固定するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記ドームシールド内の水分蓄積を低減するための少なくとも1つの通気孔
が前記ドームシールドに形成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドームシールド
内の対向する表面
に一対の通気孔
が形成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一対の通気孔は各々、前記ドームシールド内に延在し、前記片持ちばね要素の偏向を制限するストッパを形成するテーパ形状を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一対の通気孔は、前記一対の通気孔から前記ポストが塞がれるように前記片持ちばね要素の後ろに配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各片持ちばね要素は、前記仮想円筒面と位置整合して配置されたチャネルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記片持ちばね要素の各チャネルは、少なくとも前記ポストのポスト半径と同じ大きさのチャネル半径を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記片持ちばね要素は各々、前記ポスト孔の直径の少なくとも半分の大きさの曲げ半径を有する屈曲部と、係合されているときの前記ポストとの入射角が45度以下であり、曲げ角度は105度以上であり、前記ポストが係合されていないとき、前記片持ちばね要素の端部は互いから外方に屈曲する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ドームシールドは、前記プレート区画の縁部から延伸する複数の屈曲タブによって前記プレート区画に固定されている、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記片持ちばね要素は各々、前記仮想円筒面の軸から外方に屈曲した拡大領域を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記プレート区画の前記ポスト孔は、前記プレート区画の前側の陥凹底部に配置されている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体部分の装飾的穿刺のための装置および方法に関する。特に、本発明は、使用者に身体穿刺のポストを安全に固定するためのクラッチを製造するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体穿刺は、米国および世界各地でますます一般的に行われている。身体部分の穿刺は古くから行われているが、その実践は急速に、医療経験または訓練を受けていない素人が頻繁に行う日常的な手順になりつつある。主流の身体穿刺は、耳だけにとどまらない身体部分の穿刺を含むように発展していることを理解することも重要である。例えば、海軍またはへそ、眉、唇などの近くの皮膚の穿刺は、以前よりもはるかに一般的である。現在、身体部分の安全、衛生的、かつユーザフレンドリな穿刺を可能にするいくつかの手動操作デバイスが利用可能である。このようなシステムの例は、1985年7月9日にReilに対して発行された米国特許第4,527,563号明細書、1990年5月1日にReilに対して発行された米国特許第4,921,494号明細書、1996年3月5日にReilに対して発行された米国特許第5,496,343号明細書、1998年8月11日に発行されたReilによる米国特許第5,792,170号明細書、1999年2月9日に発行されたReilによる米国特許第5,868,774号明細書、2003年7月29日に発行されたReilによる米国特許第6,599,306号明細書、2004年9月28に発行されたReilによる米国特許第6,796,990号明細書、2011年6月7日に発行されたReilに対する米国特許第7,955,349号明細書、および2013年2月12日に発行されたReilらに対する米国特許第8,372,106号明細書に開示されている。これらの特許文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
針を用いて手で完全に穿刺することに加えて、今日、様々な身体穿刺システムが利用可能である。これらの様々な身体穿刺システムは本質的に、カートリッジ内に取り付けられた、そこから延伸するポスト(スタッド、ピンまたは穿刺ピンとしても知られている)と、クラッチ(ナットまたは締め具としても知られている)を備えた固定された装飾片を含むスタッド(イヤリングまたはピアスイヤリングとしても知られている)とを含む。穿刺プロセスの間に、身体部分(例えば、耳たぶ)がポストとナットとの間に配置され、カートリッジが、手で、または専用の身体穿刺システムシステム(または器具、アセンブリもしくは「ガン」)のいずれかによって押圧され、それによって、ポストが身体部分を穿刺してクラッチを係合させる。
【0004】
イヤリングスタッドのポストを穿刺の裏側において係合するために、ほとんどの身体穿刺においてクラッチ(ナットまたは留め金としても知られている)が一般に使用されている。クラッチは、上記で参照したようなカートリッジシステムの一部として使用することができ、または、手動で行われる身体穿刺を閉じるために使用することもできる。従来のクラッチは、中央を貫通する孔と、後方に屈曲して孔の後ろで互いに接触するループをなす両方の端部を有する小型の金属リボンを含む。身体穿刺のポストは、孔を通過し、接触ループ間のばね力によって保持される。長年にわたり、クラッチのための様々な他の設計も開発されてきた。
【0005】
例えば、いくつかのクラッチは、皮膚の炎症または感染のリスクを低減するために、ポストの端部が使用者の皮膚に接触するのを防止するシールドを含むことができる。クラッチ内にポストを固定するための様々な技法も開発されている。例えば、クラッチは、ポストが貫通して保持されるある種の軟質材料を含む止まり孔を有する要素を含むことができる。いくつかのクラッチはポストに係止することができる。いくつかのクラッチは、例えば、ポスト内にノッチを有するなど、特定のポスト設計とともに動作するように設計することができる。様々な既存の独特なクラッチ設計は、典型的には、例えば衛生または係止など、特定の利点を強調する。身体穿刺に使用されるクラッチのいくつかの例は、以下の通りである。
【0006】
1985年2月26日に発行されたFountoulakisに対する米国特許第4,501,050号明細書は、ポストイヤリングのためのクラッチを開示している。このクラッチは、その一端が開いており、反対端に貫通開口部を有するハウジングと、ハウジングの開放端に受け入れられ、同じく貫通開口部を有するキャップ部材と、ハウジング内でキャップ部材から一体関係で内向きに延伸する一対の弾性リーフであり、互いに対して収束し、リーフは好ましくは、キャップ部材から離間した点において実質的に対面関係において当接する、一対の弾性リーフとを備える。イヤリングのポストが、キャップ部材の開口部を通って、リーフの対面部分の間でハウジング内の開口部を通って延伸するように、ポストイヤリングにクラッチを受け入れることができる。クラッチのリーフは、ポストを弾性的に受け入れて、クラッチをイヤリングに解放可能に固定するためにクラッチ内にポストを保持するように作用する。
【0007】
2013年2月5日に発行されたFountoulakisに対する米国特許第8,365,369号明細書は、ポストイヤリングのクラッチを開示している。ポストイヤリングのクラッチは、その一端が開いており、反対端に貫通開口部を有するハウジングと、ハウジングの開放端に受け入れられ、同じく貫通開口部を有するキャップ部材と、ハウジングフランジとキャップ部材との間に捕捉された支持ピース、および、支持ピースから支持される一対のリーフを含む弾性リーフ部材のインサートとを含む。リーフは、互いに対して収束し、それらの間にポストを受けるために対向する関係に配置される。ポストは、キャップ部材およびハウジング開口部を通って延伸し、リーフの間の摩擦係合において受けられるように、クラッチ内に受け入れ可能である。
【0008】
クラッチの自動係止は望ましくない状態であり、身体穿刺用のためのポストがクラッチ内に固定され、引き抜かれ得ないときに発生する。本質的に、ポストを引き抜くために加えられる力は、ばね要素が中国風指捕り器のように締まるようにする。引き抜き力の下でのばね要素の屈曲は、問題を悪化させるだけであり、これによってポストに永久的に係止される可能性がある。この状態が生じると、クラッチの取り外しは、典型的にはクラッチの破壊を必要とし、使用者にとって危険である。自動係止は、寸法または摩擦の不一致に十分に対応できない設計不良のクラッチにおいて、またはクラッチが互換性のない構成のポストに係合している場合に生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第4,527,563号明細書
【文献】米国特許第4,921,494号明細書
【文献】米国特許第5,496,343号明細書
【文献】米国特許第5,792,170号明細書
【文献】米国特許第5,868,774号明細書
【文献】米国特許第6,599,306号明細書
【文献】米国特許第6,796,990号明細書
【文献】米国特許第7,955,349号明細書
【文献】米国特許第8,372,106号明細書
【文献】米国特許第4,501,050号明細書
【文献】米国特許第8,365,369号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の観点から、単純で、正確で、再現性があり、かつ安全な身体穿刺を可能にする装置およびシステムが必要とされている。身体穿刺におけるポストの効率的かつ衛生的な固定を可能にする方法および装置が特に必要とされている。また、皮膚の炎症および/または感染から使用者を保護するそのような方法および装置も必要とされている。加えて、自動係止に耐えるそのような装置および方法が必要とされている。さらに、製造コストを低減するこのような方法および装置も必要とされている。以下に述べるように、本発明は、これらおよび他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
身体穿刺のためのポストの解放可能な固定のための安全クラッチが開示される。ポストは、プレートの縁部からプレートの裏側の位置へと屈曲される一対の片持ちばね要素の間に固定されるように(ただし取り外し可能な)プレートの孔を通って案内される。ドームシールドがまた、プレートの縁部に固定されて、クラッチの裏側の片持ちばね要素を覆い、ドームシールドは、ドームシールド内の水分蓄積を低減するための1つまたは複数の通気孔を含む。ドームシールドは、片持ちばね要素の間に延在するポストの端部が使用者に接触すること、および、場合によっては、皮膚を穿刺し、それによってポストが皮膚を通じた最初の穿刺を実施するための鋭利な端部を有する宝飾具の場合に皮膚を穿孔することを阻止する。片持ちばね要素は、位置整合を固定してポストを担持するための溝またはチャネルを含むように形成され、係合時にポストをより良好に固定するためにより大きい接触面積を提供する。プレート、ドームシールドおよび片持ちばね要素は、単一の材料片を成形および型打ちすることによって効率的に製造することができる。
【0012】
本発明の典型的な実施形態は、身体穿刺においてポストを固定するためのクラッチを含み、クラッチは、貫通するポスト孔を有するプレート区画と、一対の片持ちばね要素であって、プレート区画の対向する縁部から互いに近接して延在し、片持ちばね要素がプレート区画の裏側でポスト孔から垂直に延伸する仮想円筒面の対向する側に部分的に交差するように位置整合されている、一対の片持ち梁ばね要素と、ドームシールドであって、ポストを塞ぎ、片持ちばね要素を封止し、仮想円筒面がドームシールドに交差するようにプレート区画に固定されており、ドームシールド内の水分蓄積を低減するための少なくとも1つの通気孔を含む、ドームシールドとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの通気孔は、ドームシールドの対向する表面内の一対の通気孔を含むことができる。一対の通気孔は各々、ドームシールド内に延在し、片持ちばね要素の偏向を制限するストッパを形成するテーパ形状を備えることができる。さらに、一対の通気孔は、一対の通気孔からポストが塞がれるように片持ちばね要素の後ろに配置することができる。ドームシールドは、プレート区画の縁部から延伸する複数の屈曲タブによってプレート区画に固定することができる。片持ちばね要素は各々、仮想円筒面の軸から外方に屈曲した拡大領域を含むことができる。プレート区画のポスト孔は、プレート区画の前側の陥凹底部に配置することができる。
【0014】
さらなる実施形態では、各片持ちばね要素は、仮想円筒面と位置整合して配置されたチャネルを含むことができる。片持ちばね要素の各チャネルは、少なくともポストの半径と同じ大きさのチャネル半径を含むことができる。
【0015】
さらに、片持ちばね要素は各々、ポスト孔の直径の少なくとも半分の大きさの曲げ半径を有する屈曲部と、係合されているときのポストとの入射角が45度以下であり、曲げ角度は105度以上であり、ポストが係合されていないとき、片持ちばね要素の端部は互いから外方に屈曲する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、身体穿刺においてポストを固定するためのクラッチを製造する方法を対象とする。例示的な方法は、連続した平面材料片から、貫通するポスト孔を有するプレート区画と、一対の片持ちばね要素と、ドームシールドとを型打ちおよび成形するステップであって、プレート区画およびドームシールドは間に接続フランジを有する、型打ちおよび成形するステップと、互いに近接し、片持ちばね要素がプレート区画の裏側でポスト孔から垂直に延伸する仮想円筒面の対向する側に部分的に交差するように位置整合されるように、プレート区画の対向する縁部から延伸するように一対の片持ちばね要素を屈曲させるステップと、仮想円筒面がドームシールドに交差するように、片持ちばね要素をドームシールドによって封止するために接続フランジを屈曲させるステップと、ドームシールドをプレート区画に固定するステップとを含む。本方法の実施形態は、本明細書に記載の他の装置の実施形態と無矛盾でさらに変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで図面を参照する。同様の参照符号は、全体を通して対応する部分を表す。
【
図1A】本発明の例示的な安全クラッチの実施形態を示す図である。
【
図1B】本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の正面図である。
【
図1C】本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の側面図である。
【
図1D】本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の底面図である。
【
図1E】本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の等角図である。
【
図2A】(ドームシールドが適所にない状態で示されている)係合されている身体穿刺のノッチポストを示す、本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の断面図である。
【
図2B】(ドームシールドが適所にない状態で示されている)係合されている身体穿刺の真っ直ぐなポストを示す、本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の断面図である。
【
図2C】自動係止の可能性を低減するために片持ちばね要素の構成を規定する重要な特性を示す図である。
【
図3A】本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチの実施形態の図である。
【
図3B】本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチの実施形態の正面図である。
【
図3C】本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチの実施形態の側面図である。
【
図3D】本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチの実施形態の底面図である。
【
図3E】本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチの実施形態の等角図である。
【
図4】安全クラッチを製造するための本発明の例示的な方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施形態を含む以下の説明では、その一部を形成する添付の図面を参照し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的変更を行うことができることを理解されたい。
【0019】
1.0 概要
前述したように、本発明の実施形態は、身体穿刺においてポストを解放可能に固定するための新規の安全クラッチおよびその製造方法に関する。安全クラッチは、身体の任意の部分における身体穿刺とともに利用することができ、任意の既知の方法、例えば、手動穿刺ガンシステムを使用するかまたは手動で穿刺することによって製造することができる。
【0020】
この新規の設計は、非常にコンパクトで効率的なクラッチを提供し、クラッチは、ポストに自動的に位置整合し、非常に安全であるが取り外し可能な、身体穿刺のための閉じ込めを可能にする。使用時には、ポストは、プレート区画の縁部からプレートの裏側の対向する位置へと屈曲される一対の片持ちばね要素の間の圧力によって保持されるようにプレート区画のポスト孔を通って案内される。ドームシールドがまた、プレートの縁部に固定され、クラッチの裏側の片持ちばね要素を覆う。ドームシールドは、ポストの端部が使用者に接触すること、場合によっては皮膚の感染および/または穿孔することを阻止するために使用される。
【0021】
本発明の実施形態は、ドームシールド内の1つまたは複数の通気孔を利用することができる。これらの通気孔は、封止されたドームシールド内の任意の水分の蓄積を低減する。通気孔は、ポストを保持する片持ちばね要素の拡大領域の後ろに配置されるように配向することができる。このように、ポストが誤って通気孔の1つから押し出されることはあり得ない。また、通気孔は、ドームシールド内に延伸するテーパ状に形成することができる。テーパ形状はまた、片持ちばね要素がポストからの圧力を受けて過度に屈曲するのを防止し、また自動係止をさらに防止するための、片持ちばね要素のストッパとしても機能する。1つの例示的な実施形態では、安全クラッチは、以下に詳述するように、1つのポスト孔と、片持ちばね要素の後ろに配置された2つの通気孔とを含む。
【0022】
本発明の実施形態はまた、自動係止の発生に抵抗するように動作する特徴を利用することもできる。クラッチ内の片持ちばね要素は、大きい半径の屈曲部を利用する。さらに、これらの屈曲部は、それらがポストに接触する滑らかな移行面を有するようになされる。理想的には、各片持ちばね要素の曲げ半径は、少なくともプレート区画の孔の直径の半分の大きさである。さらに、各片持ちばね要素の屈曲は、係合したときのポストとの入射角が45度以下であり、曲げ角度が105度以上となるようにする必要がある。しかし、片持ちばね要素の端部は、ポストが係合される前の弛緩状態でも互いから外方に屈曲していなければならない。さらに、(片持ちばね要素の偏向を制限することによってストッパとして機能する)テーパ状の通気孔は、自動係止を防止するのにも役立つ。ストッパに接触すると、片持ちばね要素は(曲げ半径に沿って)真っ直ぐになる傾向があり、これにより曲げ半径が効果的に増加し、それにより、係合したポストによる自動係止が回避される。
【0023】
本発明の別の特徴は、片持ちばね要素の各々に形成されたチャネルまたは溝を含む。対向する片持ちばね要素内のチャネルは、位置整合を固定してポストを案内し、担持する。さらに、チャネルは、クラッチ内に係合したときにポストをより良好に固定するためにポストとの接触面積を大きくする。片持ちばね要素の各チャネルは、少なくともポストの半径と同じ大きさのチャネル半径を利用することができる。より大きいチャネル半径は、ポストが片持ちばね要素チャネル内に堅固にとどまることを保証する。
【0024】
本発明の別の重要な特徴は、完成したデバイスを連続した材料片から製造することができるような自動生産に適した設計を含む。プレート区画、ドームシールドおよび片持ちばね要素は、自動化された一連の型打ちおよび成形操作で処理される単一の連続したシート金属片から製造することができる。間に接続フランジを有するプレート区画およびドームシールドを製造することができる。この接続フランジは、ドームシールドがプレート区画(および片持ちばね要素)の背面側に配置されるように、接続フランジが屈曲するときに、プレート区画とドームシールドとの間の自動位置整合を容易にする。
【0025】
2.0 安全クラッチ
図1A~
図1Eは、本発明の例示的な安全クラッチ100の実施形態の図を示す。
図1Bおよび
図1Cは、ドームシールド108内の内部要素を破線で示していることに留意されたい。安全クラッチ100は、貫通するポスト孔104を有するクラッチ100の基部を形成するプレート区画102を備える。プレート区画102のポスト孔104は、プレート区画102の前側の凹部106の基部に配置されている。
【0026】
一対の片持ちばね要素110A、110Bが、プレート区画102の対向する縁部から延伸している。片持ちばね要素110A、110Bは、互いに近接するように定位置へと屈曲され、片持ちばね要素110A、110Bが、プレート区画102の裏側でポスト孔104から垂直に延伸する仮想円筒面118の対向する側に部分的に交差するように位置整合される。仮想円筒面118は、
図1Bおよび
図1Cに示されている。本質的に、仮想円筒118は、クラッチ100と係合したときのポストの位置で視覚化することができるが、さらに両方向に延在することができる。
【0027】
各片持ちばね要素110A、110Bは、仮想円筒面と位置整合して配置されたチャネル112A、112Bを含む。片持ちばね要素110A、110Bのチャネル112A、112Bは、後述するように、クラッチ100内で係合すると、ポストを位置整合して案内し、担持するように、ポストと接触する。ポストとの完全な係合を保証するために、片持ちばね要素の各チャネルは、少なくともポストのポスト半径と同じ大きさのチャネル半径を含む。例示的な実施形態において、片持ちばね要素は各々、仮想円筒面の軸から外方に屈曲した拡大領域を含む。拡大領域は、自動的にチャネル112A、112B内に案内されるまで、ばね要素110A、110Bに当接したままであるように、種々の角度でのクラッチへのポストの初期進入に対応する。
【0028】
ドームシールド108は、片持ちばね要素110A、110Bを封止してクラッチ100の上に配置され、その端部においてプレート区画102に固定される。ドームシールド108は、仮想円筒面がドームシールド108と交差するように、片持ちばね要素110A、110Bを封止する。ドームシールド108は、任意の適切な方法でプレート区画102に固定することができる。例えば、ドームシールドは、接着、圧着、および/または溶接によって固定することができる。1つの例示的な実施形態において、ドームシールド108は、プレート区画102の縁部から延伸する複数の屈曲タブ114によってプレート区画102に固定される。図示された例では、8つのタブ114が、ほぼ円形のプレート区画102の各四分円縁部において対向する対になって利用される。複数のタブ114は、ドームシールド108のフレア状リップの上で屈曲して、シールド108を片持ちばね要素110A、110B上に位置整合させて固定する。
【0029】
ドームシールド108内の任意の水分は、金属クラッチの腐食をもたらす可能性があるだけでなく、感染を促進する可能性もあるため、望ましくない。新規の穿刺によれば、使用者が感染の影響を最も受けやすい期間は約4~6週間である。したがって、ドームシールド108内に保持される水分の存在に抵抗するために、1つまたは複数の通気孔116A、116Bがドームシールド108内に配置されて、シールド108内に蓄積する可能性のある任意の水分の蒸発を促進する。図示の例では、一対の通気孔116A、116Bがドームシールド108の対向する表面に配置され、片持ちばね要素110A、110Bと位置整合されている。しかしながら、当業者であれば、ドームシールド108の側面の周りで任意の数の通気孔をドームシールド108内に作成することができることを理解するであろう。この領域は、ポストが使用者に接触するのを阻止するので、ドームシールド108の上部のみは通気孔なしで残すべきである。
【0030】
片持ちばね要素110A、110Bとの通気孔116A、116Bの位置整合は、ポストが、クラッチ100内に係合されたとき、通気孔116A、116Bの1つを通じて不注意に誘導され得ないことを確実にする。片持ちばね要素110A、110Bの広い接触領域は、通気孔116A、116Bからポストを塞ぐ。当業者であれば、数、サイズ、形状、およびドームシールド上の配置の任意の適切な組み合わせを含む、ドームシールド108内の通気孔の他の構成も容易に利用できることを理解するであろう。
【0031】
通気孔116A、116Bは、ドームシールド108内に延伸するテーパ状に形成される。テーパ形状はまた、片持ちばね要素がポストからの圧力を受けて過度に屈曲するのを防止するための、片持ちばね要素のストッパとしても機能する。例えば、各片持ちばね要素110A、110Bの端部と通気孔116A、116Bの隣接するテーパ状延伸との間の距離を示す
図1Bを参照されたい。片持ちばね要素との接触は、その端部における通気孔のテーパ形状となされるので、これらのストッパは片持ちばね要素を平坦化または直線化する傾向がある。通気孔116A、116Bのストッパによる片持ちばね要素110A、110Bのこの平坦化または直線化は、以下に説明するように、曲げ角度θを増加させるため、自動係止に対してさらに保護する。
【0032】
機能するためには、シールド108は、前述したように仮想円筒(係合したポストを表す)と交差する領域を占有すれば十分であることにも留意されたい。したがって、側部構造は適正に最小限にすることができ、ほぼ通気孔によって占有され、側部構造は、ポスト端部を塞ぐためにドームの頂部のシールド領域を支持するのに十分であればよい。
【0033】
一般に、身体穿刺におけるポストは円筒形である。しかしながら、身体穿刺のためのポストは、特にポストが身体を穿刺してクラッチに係合するポストエンドにおいて変化してもよい。本発明の実施形態は、様々なポスト構成で使用することができる。片持ちばね要素110A、110Bのチャネル112A、112Bは、広範囲のポスト形状にわたって、例えば、ノッチの有無にかかわらず、広範囲のポスト径にわたってポストをクラッチ内で自動的に案内し、位置整合させる。
【0034】
例えば、
図2Aは、(ドームシールド108が適所にない状態で示されている)係合されている身体穿刺のノッチポスト202を示す、本発明の例示的な安全クラッチ100の実施形態の断面図である。ノッチポスト202は、指定の深さまでポスト係合を係止するために、片持ちばね要素110A、110Bの長さに沿って屈曲部206A、206Bに係合するために使用することができる。同時に、片持ちばね要素110A、110Bのチャネル112A、112Bは、ポスト202をクラッチ100の孔104に垂直に位置整合させた状態に保つ。ポスト202は、図示のような鋭角の端部または鈍角の端部を利用することができる。前述したように、片持ちばね要素110A、110Bの位置を記述するために使用される仮想円筒面は、例えば
図2Bのポスト204などのポストの位置で視覚化することができる。
【0035】
別の例において、
図2Bは、(ドームシールド108が適所にない状態で示されている)係合されている身体穿刺の真っ直ぐなポスト204を示す、本発明の例示的な安全クラッチ100の実施形態の断面図である。ここでは、片持ちばね要素110A、110Bの長さに沿って屈曲部206A、206Bを係合させるためのノッチは利用されない。ポスト204は、片持ちばね要素110A、110Bの圧力に抗して摩擦によって固定される。ポスト204の係合の深さは調整することができる。一方、片持ちばね要素110A、110Bのチャネル112A、112Bは、依然としてポスト204をクラッチ100の孔104に垂直に位置整合させた状態に保つ。加えて、チャネル112A、112Bは、ポスト204との接触面積を拡大することによって、片持ちばね要素110A、110Bの摩擦保持を改善する。ポスト204は、図示のような鈍角の端部または鋭角の端部を利用することができる。
【0036】
図2Aおよび
図2Bは、(ドームシールドが適所にない状態で示されている)係合されている身体穿刺のノッチポストおよび平滑なポストを示す、本発明の例示的な安全クラッチの実施形態の断面図である。これらの断面図は、ポストに対するばね力が、各片持ちばね要素110A、110Bがプレート区画102に接合する2つの屈曲部208A、208Bにおいて発生することを示している。ばね力は、当業者には理解されるように、屈曲部208A、208Bからポストに対する接触領域までの平均長さとの組み合わせにおいて(すなわち、ほぼ片持ちばね要素110A、110Bの屈曲部206A、206Bにおける)2つの屈曲部208A、208Bの領域における材料の厚さtおよび幅wによって大きさを決めることができる。片持ちばね要素110A、110Bの厚さtを示す、以下に説明する
図2Cを参照されたい。ばね要素110Bの幅w、および、ポストが接触する拡大領域との幅の差を示す、以下に説明する
図3Bを参照されたい。各片持ちばね要素110A、110Bがプレート区画102に接合するばね力を決定するための臨界幅wは、ポストが片持ちばね要素110A、110Bに接触する拡大領域よりもかなり狭いことに留意すべきである。したがって、ばね力は、ポストに接触するための拡大領域およびチャネルのサイジングとは独立して調整され得る。
【0037】
図2Cは、自動係止の可能性を低減するために片持ちばね要素110A、110Bの構成を規定する重要な特性を示す。重要な特性は、平均長さl、片持ちばね要素の厚さt、曲げ角度θ、ポスト入射角θ’、片持ちばね要素の外面の曲げ半径r、およびポストのノッチ半径r’を含む。新規の安全クラッチには、特に自動係止に抗するようにする多くの機能が組み込まれている。
【0038】
片持ちばね要素110A、110Bの屈曲部206A、206Bは、任意のバリまたはポストの縁部の引っ掛かりを防止するために、それらがポストに接触する滑らかな移行面を有するようになされる。さらに、片持ちばね要素110A、110Bの構成において、ポスト(または仮想円筒面118)に対する入射角θ’および曲げ角度θの2つの重要な角度がある。片持ちばね要素110A、110Bの仮想円筒面118への初期、すなわちポストの挿入前の入射角θ’は、プレート区画102内の凹部106の形状によって固定される。
図1Bに示すように、片持ちばね要素110A、110Bは、凹部106の裏側に直接載っている。したがって、凹部106の形状は初期角度θ’を設定する。しかし、ポストが挿入されると、角度θ’は、片持ちばね要素110A、110Bがポストによって外側に押しやられるにつれて減少する。これは、
図1Bを
図2Aおよび
図2Bと比較することによって見ることができる。曲げ角度θは、ポストによる入射線と片持ちばね要素110A、110Bの端部との間の全角度である。曲げ角度を大きくすると、自動係止が発生する可能性が低くなる。しかし、ポストの保持を助けるためには、ある程度の曲げ角度が望ましい。曲げ角度が使用されないとすると、すなわち直線ばね要素が使用されるとすると、クラッチは実際にポストの保持に抵抗するか、またはポストを排出する可能性がある。
【0039】
チャネル半径がポスト半径よりも大きくなるように、屈曲部206A、206Bに適用される半径のサイズもまた非常に重要である。屈曲部206A、206Bの半径rの大きさは大きくする必要がある。特に、この半径はポストノッチ210の半径r’よりも大きくなければならない。尖鋭な屈曲部が利用される場合、すなわち折り目がつけられた屈曲部の場合、ポストのノッチが折り目に容易に引っ掛かる可能性があり、当業者には理解されるようにポストが引き抜かれるときに2つの片持ちばね要素がともに押し出されるため、自動係止の可能性がはるかに高くなる。
【0040】
本発明の実施形態は、クラッチにおける自動係止の可能性を低減するために、要素の新規の組み合わせを利用することができる。ポストと係合したときの入射角θ’は45度以下でなければならない。例示的な実施形態では、片持ちばね要素110A、110Bは、ポストが係合される前に、凹部106の裏側に対する約45度の入射角θ’で始まる。ポストを係合させると、片持ちばね要素110A、110Bが外側に押し出され、約40度の入射角θ’が生じる。さらに、各片持ちばね要素110A、110Bの屈曲部206A、206Bは、90°を超える角度θを有するべきである。好ましくは、屈曲部206A、206Bは、105°以上の角度をなす。例示的な実施形態は、約110度の曲げ角度θを利用する。最後に、曲げ半径rは、少なくともプレート区画102の孔104の直径の半分の大きさであるべきである。曲げ半径と孔との間のこの大きさの関係は、ポストが、片持ちばね要素110A、110Bに引っ掛かってクラッチが自動繋止することなく円滑に引き抜かれることを保証するのに役立つ。ノッチポストが用いられる場合、曲げ半径rはまた、ポストのノッチ半径r’よりも大きくなければならない。
【0041】
図面に示された相対的なサイズは例示的なものに過ぎないことにも留意すべきである。当業者は、本発明の適用可能な実施形態の記載された原理を適用する任意の合理的な寸法を有する特定の設計を開発することができる。
【0042】
3.0 安全クラッチの製造
安全クラッチの新規の設計は容易に効率的な製造を促進する。典型的には、安全クラッチの実施形態は、例えば、銀もしくは金、または当技術分野で公知の任意の他の適切な材料を含むシート金属から製造することができる。安全クラッチは、当業者には理解されるように、一連の型打ちおよび成形ステップにおいて連続的に処理されるシート金属リボンから製造することができる。製造プロセスは自動化に適している。新規のクラッチ設計の重要な特徴の1つは、連続した材料片から製造できることである。
【0043】
図3A~
図3Eは、本発明の予め組み立てられた例示的な安全クラッチ300の実施形態の図を示す。図示のように、プレート区画102(片持ちばね要素110A、110Bを含む)およびドームシールド108は、連続片として形成されている。この組み立ての状態は、フランジ302によって単一の連続片として形成されている、ドームシールド108と、片持ちばね要素110A、110Bを有するプレート区画102とを示す。予め組み立てられた安全クラッチ300は、片持ちばね要素110A、110Bが型打ちされ、成形され、所定位置に屈曲されて示されており、ドームシールドには通気孔116A、116Bも形成されている。
【0044】
その後の操作において、ドームシールド108が片持ちばね要素110A、110Bを封止し、プレート区画102の縁部から延伸するタブ114がドームシールド108のフレア端部上で曲げられてこれをプレート区画102に固定するように、接続フランジ302が曲げられる。当業者であれば、接続フランジ302を有する単一の連続した材料片から予め組み立てられた例示的な安全クラッチ300を形成することにより、後続の組み立てのための構成要素の自動位置整合が可能になることを理解するであろう。接続フランジ302が屈曲してドームシールドをプレート区画(および片持ちばね要素)上の所定の位置に折り畳むと、これは自動的に定位置に位置整合される。これにより、デバイスの製造効率が大幅に向上する。任意選択的に、折り畳まれたフランジ302は、組み立て完了後に切り取ることができる。折り畳まれたフランジが切り取られたとしても、プレート区画102およびばね要素110A、110Bは、依然として単一の連続した材料片から形成されたままである。
【0045】
例えば、
図1A~
図1Eに示すような、結果として生じる安全クラッチ100は、平らなシート金属から一連の型打ちおよび成形操作によって製造することができ、予め組み立てられた安全クラッチ300は重要な中間状態のアセンブリである。当業者であれば、過度の実験をすることなく安全クラッチ100を得るために、本明細書の記載に基づいて必要な先行操作および後続操作を容易に開発することができる。
【0046】
図4は、安全クラッチを製造するための本発明の例示的な方法400の実施形態のフローチャートである。この方法は、貫通する孔を有するプレート区画と、一対の片持ちばね要素と、ドームシールドとを連続した平面材料片から型打ちおよび成形する操作402から始まる。プレート区画とドームシールドとの間には、接続フランジが設けられている。操作404において、一対の片持ちばね要素は、互いに近接するようにプレート区画の対向する縁部から延伸するように屈曲され、片持ちばね要素が、プレート区画の裏側で孔から垂直に延伸する仮想円筒面の対向する側に部分的に交差するように位置整合される。これに続いて、操作406において、接続フランジが曲げられて、仮想円筒面がドームシールドと交差するように、片持ちばね要素をドームシールドによって封止する。最後に、操作408において、ドームシールドがプレート区画に固定される。
【0047】
記載された操作は、当業者に理解されるように、任意の適切な順序で実行することができる。前述したように、製造方法は自動化に適している。上述した方法を用いた自動化製造は、連続した材料片から安全クラッチ要素を型打ちおよび成形するための金属リボンを利用して容易に展開することができ、最後の操作として、各クラッチが金属リボンから分離される。当業者であれば、説明した方法を容易に自動化することができる。
【0048】
これによって、本発明の好ましい実施形態を含む説明を終える。本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することは意図されていない。上記教示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0049】
本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。前述の明細書、例およびデータは、本発明の装置および方法の製造および使用の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができるため、本発明は添付の特許請求の範囲に属する。