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特許7032447リモートメディアコンテンツ検索装置、方法およびプログラム、ならびに乗り物または航空機
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  • 特許-リモートメディアコンテンツ検索装置、方法およびプログラム、ならびに乗り物または航空機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】リモートメディアコンテンツ検索装置、方法およびプログラム、ならびに乗り物または航空機
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20220301BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20220301BHJP
【FI】
G06F21/62
G06F21/32
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019566736
(86)(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018063540
(87)【国際公開番号】W WO2018219743
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-01-28
(31)【優先権主張番号】62/514,592
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519426036
【氏名又は名称】ツィネモ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レッサー,リヒャルト
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0185358(US,A1)
【文献】米国特許第09537865(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ(150)の所有するリモートメディアコンテンツを検索して乗り物(200)または航空機に取り込むリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記ユーザ(150)からアクセス認可を取得する認可コントローラ(110)を備え、前記アクセス認可は、前記認可コントローラ(110)が、前記ユーザ(150)により所有されているリモートメディアコンテンツへのアクセスを認可されていることを示すものであり、前記認可コントローラ(110)は、前記アクセス認可を、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを操作するリモートサービス(190)にリンクされた認可サーバ(180)からのアクセストークンの形状で取得する構成であり、
前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいるかどうかを検出して検出結果(125)を生成する検出器(120)を備え、
前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示している場合に、前記アクセス認可を使用して前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを検索し、前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいないことを示している場合には、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを検索しないメディアコンテンツ検索部(130)を備え、
前記メディアコンテンツ検索部(130)は、前記検出結果(12)がユーザが前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示しているかどうかを確認し、前記検出結果(125)がユーザが前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示している場合にのみ、前記アクセス許可としての前記アクセストークンと共にリソース取得要求を前記リモートサービス(190)に送るように構成され、
前記リモートメディアコンテンツ検索装置(100)は、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを操作する前記リモートサービス(190)で前記ユーザ(150)を認可するどのようなユーザログイン資格情報も保存しないように構成され、前記ユーザログイン資格情報は前記アクセストークンとは異なる
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記検出器(120)は、前記ユーザ(150)の所有するモバイルデバイスであるユーザデバイス(160)への無線接続を検出(121)するように構成され、前記検出器(120)は、ワイヤレス接続が存在するかどうか基づいて前記検出結果(125)を生成するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記検出器(120)は、可能性のあるユーザの写真を撮影(122)し、その写真に基づいてデータベースにアクセスし、前記データベース内に一致が見つかったか否かに応じて、前記可能性のあるユーザが乗り物(200)または航空機にいることを示す前記検出結果(125)を生成するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記検出器(120)は、前記可能性のあるユーザが発した音を記録し(123)、記録された音に基づいて前記データベースにアクセスし、前記データベース内に一致が見つかったか否かに応じて、前記可能性のあるユーザが乗り物(200)または航空機にいることを示す前記検出結果(125)を生成するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項5】
請求項2に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記検出器(120)は、前記リモートメディアコンテンツ検索装置(100)からの前記モバイルデバイスの切断が発生する切断イベントを検出するように構成され、
前記検出器(120)は、前記切断イベントが過ぎて前記ユーザ(150)がまだ切断されている(128)場合に、前記ユーザ(150)が所定の時間(127)内、前記乗り物(200)または前記航空機内にいないことを示す前記検出結果(125)のみを生成するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項6】
請求項5に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記所定の時間(127)は、1秒ないし20分の間の範囲である
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記メディアコンテンツ検索部(130)は、メディアストリームをリモートストリーム配信サービスである前記リモートサービス(190)から受信(131)する構成であり、
前記メディアコンテンツ検索部(130)は、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいないことを示す前記検出結果(125)の受信(132)に応答して、現在存在するメディアストリームを停止する(133)ように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項8】
請求項1に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記認可コントローラ(110)は、OAuth標準で定義されているプロトコルに従って動作するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記認可コントローラ(110)は、モバイルデバイスである前記ユーザデバイス(160)の前記リモートメディアコンテンツ検索装置(100)へのペアリングを検出、または前記乗り物(200)または前記航空機の無線ネットワークを検索するように構成され、
前記検出器(120)は、前記モバイルデバイスの切断イベントに基づいて、前記ユーザ(150)が前記乗り物または前記航空機にもはやいないことを検出するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、前記認可コントローラ(110)は、
サポートされているリモートサービスのグループ(202)を前記ユーザ(150)に提供し、
前記サポートされているサービスのグループ(202)から選択したリモートサービスを示すユーザ選択を受け取り、この選択したリモートサービスが前記リモートサービス(190)である
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、前記認可コントローラ(110)は、一時的認可、永久的認可、前記ユーザ(150)から入力される限られた期間内の一時的認可の有効期限、および前記乗り物または前記航空機を離れる場合の一時的認可の有効期限、の少なくとも2つをメンバーとして含む認可オプションのグループ(203)をユーザデバイス(160)に提供し、
ユーザ指定の認可オプションを示すユーザ選択を受け取り、
前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機を離れる場合に一時認可の有効期限を選択したときに、前記検出器(120)または前記メディアコンテンツ検索部(130)をアクティブにし、
前記グループからの別のものを選択する場合、前記メディアコンテンツ検索部(130)は、前記検出器(120)からのどのような検出結果(125)にも関係なしに前記リモートメディアコンテンツを検索するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記メディアコンテンツ検索部(130)は、アクセス認可が有効であり、前記検出結果(12)が前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示している場合のみ、前記リモートメディアコンテンツを処理するオンラインメディアサービス(190)における前記ユーザ(150)のアカウントに関連付けられたメディアコンテンツを、閲覧、検索、または再生するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、前記認可コントローラ(110)は、
前記リソース取得要求を前記ユーザデバイス(160)から受け取り、ここで、前記ユーザデバイス(160)はモバイルデバイスまたは前記乗り物(200)または前記航空機に接続されたデバイスでありユーザ入力を受け取るためのインターフェイスを有するデバイスであり、
認可要求を前記ユーザデバイス(160)に送り、
前記ユーザデバイス(160)からの認可取得要求を、前記リモートメディアコンテンツを処理するためのサービス(190)に関連付けられた前記認可サーバ(180)に転送し、
前記認可サーバ(180)からの認可グラフィカルユーザインターフェイスを前記ユーザデバイス(160)に転送する
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、前記認可コントローラ(110)は、
前記ユーザデバイス(160)からのユーザログイン資格情報を前記認可サーバ(180)に転送し、
前記認可サーバ(180)からの認可コードを前記ユーザデバイス(160)に転送し、
前記ユーザデバイス(160)からの認可コードを受け取り、
前記認可サーバ(180)からの前記アクセス認可としてアクセストークンを要求し、
前記認可サーバ(180)から前記アクセストークンを受け取る
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記メディアコンテンツ検索部(130)は、前記アクセストークンを前記認可サーバ(180)に送った応答として前記メディアコンテンツを受け取り、前記メディアコンテンツをディスプレイ(170c)または1以上のスピーカ(170a,170b)を用いて表現することにより、あるいは前記ユーザデバイス(160)により表現するために前記メディアコンテンツを前記ユーザデバイス(160)に送ることにより、受け取った前記メディアコンテンツを前記乗り物(200)または前記航空機で前記ユーザ(150)に提示するように構成された
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)において、
前記乗り物(200)は自動車であり、
前記リモートメディアコンテンツ検索装置は自動車ヘッドユニットであり、
前記ユーザ(150)はモバイルデバイスであるユーザデバイス(160)を有しており、
前記検出器(120)は前記ユーザ(150)が車内にいるかどうかを検出する
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索装置。
【請求項17】
ユーザ(150)の所有するリモートメディアコンテンツを検索して乗り物(200)または航空機に取り込むリモートメディアコンテンツ検索方法において、
前記ユーザ(150)から、前記ユーザ(150)の所有するリモートメディアコンテンツへのアクセスの認可があることを示すアクセス認可を、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを操作するリモートサービス(190)にリンクされた認可サーバ(180)からのアクセストークンの形状で取得し、
前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいるかどうかを検出して検出結果(125)を生成し、
前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物または前記航空機にいることを示している場合に、前記アクセス認可を使用して前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを検索し、前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいないことを示している場合には、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを検索せず、前記検索(130)では、前記検出結果(120)がユーザが前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示しているかどうかを確認し、前記検出結果(125)がユーザが前記乗り物または前記航空機にいることを示している場合にのみ、前記アクセス許可としての前記アクセストークンと共にリソース取得要求を前記リモートサービス(190)に送り、
前記リモートメディアコンテンツ検索方法は、前記ユーザ(150)の所有する前記リモートメディアコンテンツを操作する前記リモートサービス(190)で前記ユーザ(150)を認可するどのようなユーザログイン資格情報も保存せず、前記ユーザログイン資格情報は前記アクセストークンとは異なる
ことを特徴とするリモートメディアコンテンツ検索方法。
【請求項18】
メディア提示デバイス(170a,170b,170c)と、
請求項1から16のいずれか記載のリモートメディアコンテンツ検索装置(100)と、
を備えた乗り物(200)または航空機であって、
前記リモートメディアコンテンツ検索装置(100)は、前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいることを示している場合に、前記リモートメディアコンテンツを前記メディア提示デバイスに転送し、前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいないことを示している場合には、前記リモートメディアコンテンツを前記メディア提示デバイスに転送しないか、または、前記前記メディア提示デバイスを制御して前記前記リモートメディアコンテンツを提示させないように構成された
ことを特徴とする乗り物または航空機。
【請求項19】
請求項18に記載の乗り物(200)または航空機において、
前記乗り物は、自動車、タクシー、バス、列車、あるいはボート、フェリー、クルーザー等の水上の乗り物であり、あるいは、
前記航空機は、飛行機、ヘリコスター、グライダー、軽飛行機あるいは飛行船である
ことを特徴とする乗り物または航空機。
【請求項20】
メディア提示(170a,170b,170c)ステップと、
請求項17に記載の方法によってリモートメディアコンテンツを検索する検索ステップと、
を含む乗り物(200)または航空機の動作方法であって、
前記検索ステップでは、検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物または前記航空機にいることを示している場合に、前記リモートメディアコンテンツを前記メディア提示ステップ(170a,170b,170c)に転送し、前記検出結果(125)が、前記ユーザ(150)が前記乗り物(200)または前記航空機にいないことを示している場合には、前記リモートメディアコンテンツを前記メディア提示ステップに転送しないか、または、前記前記メディア提示デバイスを制御して前記前記リモートメディアコンテンツを提示させないようにする
ことを特徴とする乗り物または航空機の動作方法。
【請求項21】
コンピュータまたはプロセッサ上で動作させたときに、請求項17または20に記載の方法を実行するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによりリモートメディアコンテンツを検索して乗り物や航空機へ取り込むリモートメディアコンテンツ検索に関し、特に、便利であるが安全な方法でそのようなリモートメディアコンテンツを検索する装置、方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メディアデータのための分散再生アーキテクチャの概念が開示され、利用例として、乗り物や航空機で使用できる前部座席および/または後部座席の娯楽ユニットが示されている。乗り物は、陸上用、海用あるいは空用のいずれでもよい。特に、1個のデバイスに挿入されたDVDビデオディスクなどの同じメディアコンテンツを同時に提示する解決手段が提供されている。経済的な理由から、特にオーディオおよびビデオ信号がある特定の未加工フォーマットである場合に各ユニット間でオーディオおよびビデオ信号を伝送するために必要な専用の高帯域幅の機器やケーブルなどではなく、既存のネットワークインフラストラクチャを利用することが必要とされる。
【0003】
デジタルコンテンツを乗り物にローカルで提供するのではなく、リモートメディアコンテンツを車に読み出し、そこから、リモートメディアコンテンツを車内に提供する方法もある。ユーザがタクシーやその他の公共または私的な乗り物に乗ると、ユーザは、自分自身を(スマートフォンなどの個人用デバイスにより)リモートサービスに直接接続して、Spotify(登録商標)、iTunes(登録商標)、その他のサービスなどのメディアコンテンツプロバイダ、またはユーザの所有するメディアコンテンツを処理するリモートストレージから、リモートメディアコンテンツをストリーミングすることができる。
【0004】
ただし、ユーザが自分でリモートサービスにアクセスするのではなく、ユーザが乗り物または航空機内に設けられた特定のヘッドユニットあるいは対応する装置に委任(権限付与)し、そのユーザの名前で対応するサービスにアクセスする方が、例えば乗り物がより良いアンテナを有していることから、ユーザにとってより便利でより実用的である。しかし、このような手順では、セキュリティ、権限付与、あるいは利便性に関して、いくつかの問題が生じる。OAuthプロトコルなど、デスクトップアプリケーション、Webアプリケーション、モバイルアプリケーションに、標準化され安全なアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)権限付与を提供するオープンプロトコルが存在する。典型的には、ユーザまたはリソースの所有者は、サードパーティまたはクライアントに、自分のデータへのアクセス権を与えることができる。アクセスすべきデータは、別のサービス、すなわちリソースサーバにより提供される。このプロトコルにより、ユーザは、例えば公的にアクセス可能な乗り物や航空機内に配置されるクライアントに、自分の個人秘密やログイン資格情報を与える必要なしに、手続きをすることができる。したがって、ユーザは、ユーザの秘密を第三者に転送することなしに、ユーザの名前で特定のサービスを利用するために第三者に権限を付与することができる。
【0005】
このため、リソースサーバに接続された権限付与サーバは、何らかのやり取りの後、アクセストークンをサードパーティクライアントに提供し、サードパーティクライアントは、特定のメディアコンテンツのためのリソースサーバにアクセスする。リソースサーバは、受信したトークンが正しいかどうかを確認し、正しければ、特定のメディアコンテンツをクライアントに提供し、クライアントは、特許文献1で議論されているような前部および/または後部の座席の娯楽システムなどを用いて、特定の方法でメディアコンテンツを表示(レンダリング)することができる。ただし、問題は、アクセストークンの効力が、無制限であったり、特定の期間に依存すること可能性があったりすることである。すなわち、アクセストークンは、永久に機能するか、あるいは、アクセストークンの発行から一定の時間が経過したとき、または特定のクロックタイムなとの特定の時間が経過したとき、その有効性を失う可能性がある。
【0006】
しかし、アクセストークンをこのように時間に組み合わせて有効性を管理することは、ユーザが一時的に乗り物や航空機内にいる場合には不便である。通常、ユーザが乗り物内で過ごす時間は、非常に異なる。たとえば、ユーザが地下鉄や公共バスに乗る場合、移動時間は数分または15分程度と非常に短くなる。ユーザがタクシーに乗り込む場合も同様である。
【0007】
しかし、1時間以上の長距離タクシーに乗ることもあり、例えば、ユーザが例えば海外へのフライトなどで航空機に搭乗すると、ユーザは航空機内で数時間過ごすことになる。同じことは、ユーザが列車内で数時間を過ごす長距離列車の団体旅行にも当てはまる。
【0008】
ユーザがリモートメディアサービスから自分のメディアアイテムにアクセスする場合、ユーザはもちろん上記のプロトコルを使用できる。しかし、アクセストークンの有効期間を設定するのは容易ではない。有効期間が非常に短く設定されている場合、ユーザは、乗り物または航空機にいるときに、アクセストークン手順を何回も受けなければならない。一方、有効期間が非常に短いことで、手順全体のセキュリティが強化される。
【0009】
期間を非常に長く設定すれば利便性は向上するが、セキュリティは急激に低下する。たとえば、ユーザが乗り物内で短い時間しか費やさず、それでいてアクセストークンの有効性が非常に高い時間値に設定されている場合、乗り物内のヘッドユニットは、ユーザがもはや乗り物や航空機の中にいなくなっても、有効なアクセストークンを所有したままとなる。これを解決するには、ユーザのプライバシーと、対応するサービスを採用することに対するユーザの意欲と、を妥協させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】EP2628305B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、柔軟性があり、それでいて、ユーザデータのデータセキュリティを強化するとともに、ユーザ利便性を向上させる、改善されたリモートメディアコンテンツ検索を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載のリモートメディアコンテンツ検索装置、請求項19に記載のリモートメディアコンテンツ検索方法、請求項20に記載の乗り物または航空機、請求項22に記載の乗り物または航空機の動作方法、請求項23に記載のコンピュータプログラムにより達成される。
【0013】
本発明は、ユーザの所有するリモートメディアコンテンツを乗り物または航空機に取得するための概念により、便利で、柔軟性があり、それにもかかわらず、安全な処理手順が提供されるという発見に基づいている。ユーザが乗り物または航空機にいるかどうかの検出が提供される。さらに、クライアントまたは第三者がリモートメディアコンテンツへのアクセスを許可されていることを示すアクセス認可が使用されるが、リモートメディアコンテンツを取得するためのこの使用は、無条件で行われるものではない。その代わりに、リモートメディアコンテンツは、アクセス認証に加えて、ユーザがまだ乗り物または航空機にいることが検出された場合にのみ、リモートメディアコンテンツサーバから取得される。言い換えると、ユーザが航空機または乗り物を離れると、ユーザからのまだ有効なアクセス認可が存在する場合でも、メディアコンテンツの取得は実行されなくなる。したがって、たとえば、まだ有効期限が切れていない有効なトークンが乗り物または航空機のヘッドユニットに存在していても、ユーザが乗り物または航空機を離れたことを検出器が検出した場合には、メディアアクセスは実行されない。
【0014】
リモートサービスからユーザの所有するデータの現在実行されているストリーム配信の場合、または乗り物または航空機のヘッドユニットによりダウンロードされたユーザデータの再生の場合、そのようなストリーム配信または再生は、ユーザが自動車を離れたことを検出器が検出したときに停止される。
【0015】
この目的のため、好ましい実施形態では、検出器が、特定の期間あるいは定期的または非定期的な時間間隔のいずれかの検出を実行するか、または特定のイベントによってのみ駆動されるように構成される。例えば、乗り物または航空機のヘッドユニットが、例えば乗り物または航空機のホットスポットによって提供されるローカルワイヤレスネットワークからのモバイルユーザデバイスなどのユーザデバイスの切断を感知すると、これが一時的な接続障害に過ぎないのか、あるいはユーザが乗り物または航空機を離れたことを最終的に意味する長時間にわたる切断状態が存在するのかの、さらなる検出を開始することができる。
【0016】
さらなる実施形態は、光学検出または音響検出などの他の検出技術、または無線接続検出、光学検出および音響検出技術などのいくつかの検出技術の組み合わせに依存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ユーザが、乗り物または航空機のインフラストラクチャを介して、便利に自分のリモートメディアコンテンツに完全にアクセスする機会を有するという点で有利である。それでいてユーザは、有効期限が切れていないアクセストークンがまだ存在している場合でも、乗り物または航空機を離れるとすぐに、リモートメディアコンテンツへのアクセスが停止されることが保証される。
【0018】
一方、このようなアクセストークンを取得するためには、ユーザがヘッドユニットに自分のログイン資格情報を提供する必要のない何らかのプロトコルを使用することが好ましい。代わりに、ヘッドユニットは、ユーザデバイスとリモートメディアサービス間でメッセージをやり取りするだけで、ログイン資格情報を実際に調べてログイン資格情報を保存する機会はない。したがって、ユーザは自分の秘密が第三者に渡されないという安心感を得ることができ、それでいて、ユーザは自分の乗り物とは異なる乗り物または航空機で、リモートメディアアイテムを楽しむことができる。ユーザは、ユーザが乗り物または航空機を離れるとすぐに、ユーザが乗り物または航空機を離れたことが検出されるため、リモートメディアアイテムへのデータアクセスが不可能になると安心できる。
【0019】
したがって、ユーザの利便性を高めるための長い有効期間はアクセストークンに関連付けられているが、これらの長い有効期間はデータセキュリティを損なうことはない。したがって、一方ではユーザの利便性、他方ではデータセキュリティが、さらには、不必要なトークン「トラフィック」の回避による合理的なリソース使用量が、それぞれ得られる。
【0020】
望ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態のブロック構成図である。
図2a図2aは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの表示設定を示す。
図2b図2bは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの別の表示設定を示す。
図2c図2cは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの別の表示設定を示す。
図2d図2dは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの別の表示設定を示す。
図2e図2eは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの別の表示設定を示す。
図2f図2fは、リモートメディアコンテンツ検索装置を制御するためにユーザによりアクセス可能なユーザデバイスの別の表示設定を示す。
図3図3は、ユーザデバイスと認可サーバ/リソースサーバの観点から認可コントローラとメディアコンテンツ取得機によって実行される処理手順の好ましい実施例を示す。
図4図4は、検出器の望ましい実施例を示す。
図5図5は、検出器の別の望ましい実施例を期間と共に示す。
図6図6は、メディアコンテンツ取得機の望ましい実施例を示す。
図7図7は、メディアコンテンツ取得機の望ましい実施例を示す。
図8図8は、乗り物または航空機の望ましい実施例を自動車の例で示す。
図9図9は、ヘッドユニットまたはリモートメディアコンテンツ検索装置を実施するために使用可能なコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、ユーザ150のリモートメディアコンテンツを乗り物または航空機200(図8に示す)に取得するリモートメディアコンテンツ検索装置100を示す。このリモートメディアコンテンツ検索装置100は、ユーザ150からアクセス権限を得るための認可コントローラ110を備える。アクセス権限は、例えばアクセストークンなどの、認可コントローラ110がリモートメディアコンテンツへのアクセス権限が付与されていることを示すトークンである。リモートメディアコンテンツは、例えば、認可サーバ180と連携するリモートメディアコンテンツサービス190の制御下に配置される。
【0023】
リモートメディアコンテンツ検索装置100はさらに、ユーザ150が乗り物または航空機のいずれに乗っているのかを検出し、対応する検出結果125を生成する検出器120を備える。
【0024】
リモートメディアコンテンツ検索装置100はさらに、検出結果がユーザが乗り物または航空機にいることを示すとき、アクセストークンなどのアクセス権限を用いて、典型的にはリモートメディアコンテンツサービス190から、リモートメディアコンテンツを読み出し構成のメディアコンテンツ検索部130を備える。メディアコンテンツ検索部130はさらに、有効期限の切れていないアクセストークンなどの有効なアクセス権限が存在する場合でも、検出結果が、ユーザが乗り物または航空機にいないことを示しているときには、リモートメディアコンテンツを読み出さないように構成される。
【0025】
肯定的な検出結果、すなわち、ユーザ150がまだ車/航空機/乗り物内にいるという検出結果の場合には、取得したメディアコンテンツを、ユーザが自分のリモートメディアコンテンツを音響的および/または光学的に楽しむことができるように、例えば図8に示すスピーカ170a、170bまたはディスプレイ170cを含むメディアプレゼンテーションデバイスに転送する。ユーザは、自分のデバイスで直接、またはヘッドフォンを介して、使用することができる。
【0026】
図4は、いくつかの実施形態における検出器の好ましい実施例を示す。第1の実施形態では、無線接続検出器121,カメラ検出器122または音響検出器123の3つの検出器のひとつだけが存在する。
【0027】
このような実施形態では、検出結果を提供するための結合器124は存在しない。これとは別に、検出器121~123の2つまたは3つすべてが同時に存在してもよく、その場合には、検出結果が結合器124に転送される。結合器124はこのとき、例えば多数決を実行し、検出器121~123の2つがユーザが車内にいることを示すときには、検出結果125が、ユーザが実際に乗り物または航空機内にいることを示すようにする。3つのうち1つのみがユーザの検出を示し、他の2つがユーザが検出されないことを示す場合には、検出結果125は否定的なものとする。
【0028】
代替的に、他の組み合わせアルゴリズムを実行して、3つの検出器121~123のうちの1つだけ、2つ、または3つすべてが乗り物または航空機内のユーザの存在を示すとき、肯定的な検出結果を示すこともできる。
【0029】
一実施形態では、無線接続検出器は、ユーザの所有するユーザデバイス160などの可搬デバイスへの無線接続を検出するように構成される。このとき、検出器は、ワイヤレス接続が存在するかどうかに基づいて検出結果を生成するように構成される。
【0030】
カメラ検出器122は、一実施形態では、潜在的ユーザの写真を撮影するか、または他の顔検出方法を実行し、その写真に基づいてデータベースにアクセスし、データベース内で一致するかどうかにより、その潜在的ユーザが乗り物または航空機に乗っていることを示す検出結果を生成する。データベースは、車内のローカルデータベースでもよい。このローカルデータベースには、以前に車内にいた、または実際にその車を使用するとして権限付与された複数のユーザからの、写真または典型的には写真から抽出された生体データが蓄えられる。典型的には図1のリモートメディアコンテンツ検索装置100内に格納されているローカルデータベース内で一致が検出されると、ユーザとの対話なしで、ユーザの存在が検出される。一致が検出されない場合には、特定の潜在的ユーザが車内にいても、メディア取得は開始されない。また、代替的に、潜在的ユーザが光学的検出によって検出され、ユーザに一致するものがデータベースに見つからない場合に、認可コントローラ110によって権限付与手順を開始することもできる。
【0031】
特定の時間間隔でユーザの変更が検出された場合、すなわち以前のユーザとは異なる新しいユーザが検出された場合には、以前のユーザが乗り物または航空機を離れたことを示すので、以前のユーザのメディアコンテンツ取得は停止される。
【0032】
代わりの音響検出器123は、カメラ検出器と同様に動作するが、写真ではなく音を記録し、記録された音を使用してローカルデータベースにアクセスする。これにより、特定の音声認識手順に基づいて、ローカルデータベースでの一致が見つけられる。
【0033】
音響検出器123に関するさらなる処理手順は、カメラ検出器122に関して前述したものと同様である。
【0034】
図5に示すさらなる実施形態では、無線接続検出器121は、切断イベント126を検出することができる。しかし、この切断イベント126に基づいてストリーミングが即時に停止されることはなく、ステップ127で、カウンタが起動される。カウンタは、特定の事前定義された期間に対応する特定の計数値まで計数する。続いて、ステップ128で、特定の期間が終了すると、ユーザデバイスがまだ切断されているかどうかのチェックを行う。ユーザがもはや切断されていないと判断された場合、検出結果が、「ユーザがまだ輸送期間または航空機内にいる、またはその場所にいる」となる。しかし、チェック128において、ユーザがまだ切断されていることが検出された場合には、検出結果125は、「ユーザが乗り物または航空機を離れた」となる。
【0035】
持続時間は、例えばステップ127におけるカウンタによって測定され、好ましくは、1秒から20分の範囲である。持続時間は、より好ましくは、1秒から1分の間などのより小さな範囲である。
【0036】
したがって、ユーザ自身が行った、またはワイヤレスシステムの何らかの外乱による、意図しない中断では、メディアストリーミングが終了しないことが保証される。
【0037】
メディアコンテンツ検索部130は、好ましい実施形態において、有効なアクセス権限および肯定的な検出結果125に基づく以前のメディアコンテンツ取得により、リモートストリーミングサービスからメディアストリームを受信するように構成される。また、メディアコンテンツ検索部130は、検出結果125がユーザがもはや運輸機関または航空機にいないことを示す場合には、その検出結果125に応じて、現在のメディアストリームを停止する。
【0038】
好ましい実施形態では、認可コントローラ110が、リモートメディアコンテンツを扱うリモートメディアコンテンツサービス190にリンクされた認可サーバ180からアクセストークンの形でアクセス権限を取得するように構成される。さらに、図1に示すリモートメディアコンテンツ検索装置100は、リモートメディアコンテンツサービス190においてユーザ150に権限を付与するために必要などのようなユーザログイン資格情報も格納しないように構成される。
【0039】
このために認可コントローラは、OAuth 1.0または2.0などのOAuth標準または関連プロトコルによって定義されるプロトコルに従って動作を実行することが望ましい。
【0040】
図3は、リソース所有者すなわちユーザ150、ユーザエージェントすなわちユーザデバイス160、クライアントすなわち乗り物/航空機のヘッドユニット100、認可サーバ180、およびリソースサーバ190の間の、メッセージおよび動作の望ましい手順を示す。リソースサーバ190は、Spotify、iTunesなど、どのようなリモートメディアコンテンツサービスでもよい。
【0041】
第1ステップにおいて、ユーザ150は、リソース要求メッセージを、ユーザエージェントすなわち自分のユーザデバイス(モバイルデバイス)160に転送する。ユーザデバイス160は、リソース取得メッセージを、図1のクライアントすなわちヘッドユニット100に転送する。クライアントすなわちヘッドユニット100は、http 302認可要求で応答する。次に、ユーザデバイス160は、クライアント(ヘッドユニット100)を介して、選択したサービスの認可サーバ180に認可取得要求を転送する。次に、認可サーバ180は、再びクライアントを介して、グラフィカルユーザインターフェイスで応答し、それがユーザエージェントすなわちユーザデバイス160に表示される。ユーザ150は、表示されたグラフィカルユーザインターフェイスを見ると、ステップ7として示されるように、彼女または彼のユーザ資格情報をユーザデバイス160に入力する。ユーザエージェント(ユーザデバイス160)は、再び好ましくはヘッドユニット100を介して確認・認可メッセージを認可サーバ180に送り、認可サーバ180は、肯定認可の場合、認可コードを、再びヘッドユニット100を介して、ユーザデバイス160に返送する。ユーザエージェントすなわちユーザデバイス160は、認可コードをクライアントに転送し、クライアントは、認証コードを、ステップ11に示す「認可コード&リダイレクションURL」メッセージで認可サーバに送る。認可サーバ180は、このとき、アクセストークンとオプショナルリフレッシュトークンをクライアント(ヘッドユニット100)に送り返すことで応答する。
【0042】
次に、クライアントは、ステップ13で、図1の検出器120からの検出結果を判定し、検出結果に基づいて、ステップ14で、ユーザが航空機または乗り物にいるのかどうかを判定する。検出結果が、ユーザが航空機または乗り物にいない場合、処理手順は図3に示すように停止する。ユーザが航空機または乗り物にいると判断された場合には、クライアントは、ステップ15で、アクセストークンの交換でリソースサーバからのリソースを要求する。そして、リソースサーバ190は、アクセストークンの有効性、およびそのアクセストークンの有効期限が切れていないことを確認すると、要求されたリソースを、図1の138に示すように、クライアントがさらに使用するために、クライアントへ転送する。
【0043】
図2aから図2fは、クライアントとユーザ、特にユーザデバイスに関連するいくつかの処理手順を示す。
【0044】
図2aは、ヘッドユニット100すなわちリモートメディアコンテンツを取得するための装置と、ユーザデバイス160と、の間の連携を示す。特に、図2aに示すように、乗り物(タクシー)あるいは航空機内の乗客は、自分のユーザデバイス160である電話/タブレットを、Bluetooth(登録商標)経由で自動車のヘッドユニット100にペアリングする、すなわち自動車のWi-Fiネットワークに接続する。
【0045】
図2bは、乗客が自動車メーカのアプリを携帯電話/タブレットで起動したときのユーザのモバイルデバイスの表示を示す。アプリは、符号201に示されるように、車のヘッドユニットを検出して識別する。乗客はこのとき、新しい車、この例ではマイクの車、を既知の車のリストに追加する。これは、図2bの符号201に示されている[追加]ボタンをユーザが操作することによって行われる。
【0046】
次に、図2cに示すように、マイクの車の構成ページが開く。マイクの車の構成ページでは、ナビゲーションの切り替え、暖房換気空調(HVAC:heating ventilating air condition)設定の切り替え、または音楽サービス共有の切り替えなど、いくつかの切り替えを行うことかできる。音楽サービス共有の切り替えは、例えば、図1に示されるユーザの所有するリモートメディアコンテンツを検索するための装置であるヘッドユニット100を参照することにより行う。
【0047】
図2dは、ユーザデバイス160のディスプレイに表示されるサポートされたオンラインサービスのリスト202を示す。このリスト202が、個々のサービスの認可を可能にする。さらに、サポートされるオンラインサービスのリスト202に加えて、認可オプションのリスト203がユーザに示される。このリスト203は、装置すなわちヘッドユニット100(この例ではマイクの車の)によってサポートされる許可オプションを提供する。認可オプションとしては、一時的な認可、あるいは永久的な認可、または本発明による、「車を離れるときに取り消す」認可、あるいはユーザにより入力された一定時間後に満了が切れることを示す認可オプションを選択できる。
【0048】
ここで、ユーザは、いつ、どのように認可が取り消されるべきかを選択する。例えば、有効期限を設定する、あるいは、乗客が車を離れたことを検出したときに許可が取り消されるようにする。乗客が車を離れたことは、例えば、ブルートゥース(登録商標)やWiFiの切断により検出できる。
【0049】
図2eは、ユーザデバイス160の別の表示を示す。認可のためのサービスを選択するとき、ユーザは、自分の資格情報を入力することができる。一例として、OAuth 2.0が使用される。電話/タブレットの内部ブラウザが、その特定のサービスのための正しい認可URL(一意のリソースローケータ)を開くアプリによって表示される。次に、サービスは、アクセストークンを作り、それがマイクの車のヘッドユニット100に送信される。このトークンは、一時的または永続的な認可などの、選択された有効期限ポリシーに従って格納および管理されます。
【0050】
図2eの左側に、選択されたSpotify認可GUIが提示され、図2eの右側の図で、ユーザは、ヘッドユニット100がアカウント情報および音楽ライブラリにアクセスしようとすることを認可または拒否するように指示される。
【0051】
図2fは、オンラインサービスが現在認可されており、マイクの車のヘッドユニット100が、乗客またはユーザのオンラインサービスアカウントのコンテンツを閲覧、検索、および再生できる状況を示す。認可は、例えば図2fの取消ボタン204を作動させることにより、ヘッドユニット100により提供される自動車メーカのアプリを使用して、乗客により手動で取り消すこともできる。
【0052】
図3図2aから図2fと比較すると、図2dは、図3に示すプロトコルの項目1、2、3、4に関連する。図2eの左側の絵は項目5,6を示し、図2eの右側の絵は項目7、8を示す。図2fは、項目9、10、11および12に続く表示、すなわち、ヘッドユニット100が期限の切れていないアクセストークンを保持している状態を示す。
【0053】
図6は、リソースサーバからヘッドユニットへのストリーミングが、図3の項目16として示されるように実行される状況を示す。ステップ131のこの処理手順に続いて、メディアコンテンツ検索部130は、ユーザが車または航空機から離れたとの検出結果を受け取る。次に、ステップ133で、メディアコンテンツ検索部はストリーミングジョブを停止し、好ましくはそれに応じて、リソースサーバに通知する。
【0054】
図7は、アクセス認可を得るために認可コントローラ110によって実行されるさらなる処理手順を示す。
【0055】
ステップ111において、認可コントローラ110は、例えば図2aを参照して説明したように、乗り物または航空機内またはその場所で、新しいユーザを識別する。
【0056】
次に、ステップ112において、認証コントローラ110は、特にローカルデータベースで、有効なトークンなどのアクセス認証がヘッドユニットに既に存在するかどうかをチェックする。このステップは、例えば、図2bを参照して説明したように、マイクの車が既に登録されている状況で実行できる。
【0057】
特定の識別されたユーザに対するアクセス認可が既にヘッドユニット100に存在すると判断されると、処理手順はステップ113に進み、トークンがローカルデータベースから取得される。トークンが取得され、トークンの有効期限が切れていないと判断されるとすぐに、メディアコンテンツの取得がこのトークンを用いて、当然ながら対応する肯定的な結果の場合のみ、つまりユーザが車内または航空機内にまだいる場合にのみ、開始される。
【0058】
ただし、ステップ112において、ステップ111で識別されたユーザのヘッドユニットに有効なトークンなどのアクセス許可が存在しないという結果になった場合には、図3または図2aから図2fを参照して説明したように、トークン取得手順114が開始される。
【0059】
例えば、図3のステップ12に示されるように、特定のトークンがヘッドユニットによって受信されると、ヘッドユニットは、トークンとそれに対応するユーザIDとを、図7のブロック115に示されるように、ヘッドユニットのローカルデータベースに格納する。そして、格納に続いて、または同時に、メディアコンテンツ検索116が実行される。
【0060】
図8は、乗り物内、特に自動車内での本発明の好ましい実施形態を示す。この自動車は、リモートメディアコンテンツを取得するための装置(APPA)として示されるヘッドユニット100を有する。APPAすなわちヘッドユニット100は、通常、アンテナ101によって示されるある種の短距離無線接続設備を備える。
【0061】
さらに、自動車は、ヘッドユニット(APPA)100にも接続されるアンテナ209で示される長距離無線接続設備をさらに備える。
【0062】
さらに、自動車は、スピーカ170b、170aおよび170cで例示的に示されるディスプレイのようないくつかの娯楽機能を有し、当然ながら、モバイルデバイス(ユーザデバイス160)を持つ後部座席乗客(ユーザ150)を載せている。
【0063】
乗り物または航空機について、図8では乗用車またはタクシーとして示されているが、乗り物は、公共または民間輸送用の列車、トラック、またはバスでもよい。さらに、乗り物は、公共または民間輸送用のボート、フェリー、またはクルーザーなどの水上の乗り物でもよい。航空機は、公共または民間輸送を目的とする、例えば、飛行機、ヘリコプター、グライダー、軽飛行機、飛行船(ツェッペリン)、またはその他の航空機でもよい。
【0064】
開示された実施形態の変化形は、コンテンツ配信に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、コンテンツの認可および認証に関する。
【0065】
次に、様々な例示的な実施形態について説明する。以下の説明では、これらの例を完全に理解し、説明を有効にするための、特定の詳細を提供する。ただし、関連技術の当業者であれば、開示された実施形態のいくつかについて、これらの詳細の多くが無くても実施できると理解できるはずである。
【0066】
同様に、関連技術の当業者であれば、実施形態のいくつかが、本明細書で詳細に説明されていない他の多くの自明な特徴を含みうることも理解できるはずである。さらに、さまざまな例の関連する説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、いくつかのよく知られている構造または機能は、以下で詳細に示されないか、または説明されない場合がある。
【0067】
以下で使用される用語は、実施形態の特定の具体例の詳細な説明と併せて使用されている場合でも、その最も合理的な方法で解釈されるものとする。実際、以下では特定の用語を強調することもある。ただし、制限されて解釈されることを意図した用語は、この詳細な説明の欄で、そのように明確かつ具体的に定義される。
【0068】
図9は、いくつかの実施形態の特定の特徴を実施するために使用することのできるコンピュータシステムのブロック図である。このコンピュータシステムは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、ユーザデバイス、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、ブラックベリー(登録商標)、プロセッサ、電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、コンソール、ハンドヘルドコンソール、(ハンドヘルド)ゲームデバイス、音楽プレーヤ、ポータブル、モバイルあるいは手で持つことのできるデバイス、ウェアラブルデバイス、あるいはそのマシンが実行するアクションを指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行できる任意のマシンである。
【0069】
コンピューティングシステム300は、1または複数の中央処理装置(プロセッサ)305、メモリ310、キーボードおよびポインティングデバイス、タッチデバイス、表示装置、等の入出力装置325、ディスクドライブ等の記憶装置320、ネットワークインターフェイス等のネットワークアダプタ330を備え、これらが相互接続315に接続される。相互接続315については概念的に示しており、1以上の別個の物理バス、ポイントツーポイント接続、その双方が適切なブリッジ、アダプタ、またはコントローラによって接続されたもののいずれでも良い。したがって、相互接続315は、例えば、システムバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスまたはPCIエクスプレスバス、ハイパートランスポートまたはISA(Industry Standard Architecture)バス、SCSI(small computer system interface)バス、USB(universal serial bus)、IIC(I2C:Inter Integrated Circuit)バス、またはIEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)標準1394バス(Fire wire(登録商標)とも呼ばれる)を含むことができる。
【0070】
メモリ310および記憶装置320は、様々な実施形態の少なくとも一部を実施する命令を蓄えることのできるコンピュータ可読記憶媒体である。加えて、データ構造およびメッセージ構造は、通信リンク上の信号など、データ伝送媒体を介して蓄積または伝送されてもよい。種々の通信リンク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、あるいはポイントツーポイントダイヤルアップ接続を利用することができる。したがって、コンピュータ可読媒体は、例えば、を含むことができる。例えば、非一時的メディア、コンピュータ可読伝送メディア等のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0071】
メモリ310に格納された命令は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装され、プロセッサ305をプログラムして上記の動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、そのようなソフトウェアまたはファームウェアは、最初に、リモートシステムからコンピューティングシステム300、例えばネットワークアダプタ330を介してダウンロードすることにより、コンピューティングシステム300に提供することもできる。
【0072】
本明細書で紹介される種々の実施形態は、例えば、ソフトウェアおよび/またはファームウェアでプログラムされた1つ以上のマイクロプロセッサ等のプログラム可能回路、すべて特定目的ハードワイヤード(プログラム不可)回路、あるいはそれらの組み合わせを含む。特定目的ハードワイヤード回路は、例えば、1以上のASIC、PLD、FPGAで実現される。
【0073】
本発明について、ブロックが実際のまたは論理的なハードウェア構成要素を表すブロック図として説明したが、本発明はまた、コンピュータで実行される方法として実施することもできる。後者の場合、ブロックは、対応する方法ステップを表し、これらのステップは、対応する論理または物理ハードウェアブロックによって実行される機能を表す。
【0074】
いくつかの側面を装置として説明したが、これらの側面は対応する方法の説明をも表しており、ブロックまたはデバイスが方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップとして説明される側面は、対応するブロックまたは項目または対応する装置の機能の説明をも表す。方法ステップの一部または全ては、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(または使用して)実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのうちのいくつかの1以上が、そのような装置によって実行される。
【0075】
本発明に係る送信または符号化された信号は、デジタル記憶媒体に格納することができ、無線伝送媒体やインターネット等の有線伝送媒体などの伝送媒体で伝送することができる。
【0076】
特定の実施要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装することができる。実装は、電子的に読み取り可能な制御信号が保存されたデジタル記憶媒体、たとえばフレキシブルディスク、DVD、ブルーレイ(登録商標)、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリを使用して行うことができる。その上で、それぞれの方法が実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータで読み取り可能である。
【0077】
本発明に係るいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法の1つが実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータ担体を含む。
【0078】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに方法の1つを実行するように動作する。プログラムコードは、例えば、機械可読担体に保存されてもよい。
【0079】
他の実施形態は、機械可読担体に格納された、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを含む。
【0080】
言い換えれば、本発明の方法の実施形態は、したがって、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0081】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、ここで説明した方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録したデータ担体(またはデジタル記憶媒体などの非一時的記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。データ担体、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、通常、有形および/または非一時的である。
【0082】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して、転送されるように構成することができる。
【0083】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するように構成または適合された処理手段、例えばコンピュータまたはプログラム可能な論理デバイスを含む。
【0084】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを含む。
【0085】
本発明に係るさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に(例えば、電子的または光学的に)転送するように構成された装置またはシステムを含む。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、メモリデバイスなどである。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するためのファイルサーバを備えてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部またはすべてを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法の1つを実行するために、マイクロプロセッサと協働してもよい。一般に、これらの方法は、任意のハードウェア装置によって実行されることが好ましい。
【0087】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載の配置および詳細の修正および変更は、他の当業者には明らかであることを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態の説明および説明として提示される特定の詳細によってではなく、特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。

図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9