IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビルコン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】印紙税等納付計器
(51)【国際特許分類】
   G01D 4/00 20060101AFI20220302BHJP
   B41K 3/00 20060101ALI20220302BHJP
   B41K 3/10 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
G01D4/00
B41K3/00 F
B41K3/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020118807
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015753
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2020-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390028484
【氏名又は名称】ビルコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 芳和
(72)【発明者】
【氏名】村田 広
(72)【発明者】
【氏名】藪内 健
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-43198(JP,A)
【文献】特開2012-208767(JP,A)
【文献】特開平10-122898(JP,A)
【文献】特開2007-286265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 4/00 - 4/12
B41K 3/00 - 3/68
G07B 17/00 - 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙への印紙税印等の納付印の押印発行を印字ユニット付き押印装置により行う計器本体が、外装カバーで被覆されて成る印紙税等納付計器において、
前記外装カバーが本体カバーと上カバーの多層構造で構成され、不正改ざんを防止する必要のある封印部品は、前記計器本体の封印エリア内に配置し前記本体カバーにより被覆した上で封印されると共に、前記封印エリア外で修理や部品交換可能な封印外部品は、前記本体カバーで封印される計器本体の上部に配置し前記上カバーにより被覆され、前記上
カバーが本体カバーに対し着脱自在であること、及び
前記印字ユニットは前記計器本体の前部に設けられた押印スイッチの位置まで下降して、前記印字ユニットの印字輪が前記押印スイッチに圧接され、前記押印スイッチ上に配置された用紙は、前記印字輪の圧下によって押印が施される構成であると共に、前記押印スイッチを構成するラバースイッチは、基板側の切断された電子回路パターンと、ドーム状のゴムスイッチ部内に導電材が貼付して構成されており、前記印字輪の圧下による押印時に、前記ラバースイッチのゴムスイッチ部が押され、前記導電材が基板の電子回路パターンと接触して通電が行われることにより、前記印字ユニットによって印紙税印等が押印されたことの検知が行われる構成であること、及び
前記押印装置が、印字輪を回動する印字輪モータが搭載された印字ユニットと、同印字ユニットを駆動する押印モータが搭載された駆動ユニットとがリンク機構によって連結されて成り、前記印字ユニットは略一定姿勢を保持しつつ上下方向及び水平方向に移動でき、押印位置に下降する動作で用紙に印紙税印等の納付印を印字するにあたり、前記駆動ユニットが押印モータの作動により水平方向に前進し、印字ユニットが押印位置の真上に移動し下降して印字した後、前記押印モータの逆回転により駆動ユニットが後退して原位置に戻る際に、同時に印字輪モータが回転して印字輪の数字が元に並び直されつつ前記印字ユニットが原位置に戻る構成であることを特徴とする、印紙税等納付計器。
【請求項2】
前記封印エリア外で修理や部品交換可能な封印外部品は、プリンタや操作モニタ、操作スイッチ部類であることを特徴とする、請求項1に記載した印紙税等納付計器。
【請求項3】
前記計器本体のマイクロコンピュータには、入力部としての操作キーで設定される押印金額と対象書類が予めリスト化でき、所定の前記対象書類に応じた押印金額の減算を行う演算処理部と、その演算結果を記憶するメモリ部が備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した印紙税等納付計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、図7に示したような一定の予納金額の範囲内で印紙税印等の押印及び押印金額の計数等を行う印紙税等納付計器に関し、特に言えば、不正改ざんが行われる可能性がある部品(制御基板や納付印等)は封印内に配置し、不正改ざんが行われる可能性がない部品を封印外へ配置し、その封印外部品についてはすぐに分解して修理や部品交換が可能な印紙税等納付計器の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
印紙税等納付計器に関し、本出願人は、下記特許文献1に記載の印紙税等納付計器を開発し特許を取得している。すなわち、図27(概略図)及び図28で示したように、同納付計器yは、計器本体aの前部には用紙載置台qの用紙挿入部bに挿入される用紙を検知する用紙検知装置uと、押印位置照明指示装置rと押印装置cが設けられ、プラテンdには押印済みを確認するための押印検知装置が設けられ、インクローラwの後方には、予納金額を記憶するためのカウンタnが設置され、同カウンタnはカウンタ装着部mに着脱可能に装着されている。前記の各機器要素が、側面の基板eに組み込まれ、皿状の下カバーfで支持されている。そして、前記下カバーf上の計器本体aと、プリンタpや操作モニタk、操作スイッチ部jの全てを本体カバーgで覆った構造となっており、その納付計器yの全体を覆う本体カバーgに、税務署専用の鉛玉hで封印が施されている。
【0003】
また、本出願人は、関連する下記特許文献2のように、図27を用いて説明すれば、用紙を挿入する用紙挿入部bに固定的な押印位置を設定し、その押印位置に用紙を挿入して停止した状態で印字ユニット(前記の押印装置)cにより押印を行うようにした押印計器であって、前記印字ユニットcは略一定姿勢を保持しつつ上下方向及び水平方向に移動でき、かつ押印位置にその上方から下降する動作によって印字を行う構成とした押印計器に係る技術も開発して特許を取得している。
この押印計器も前記納付計器yと同様に、側面の基板eに組み込まれた機械要素が下カバーfの上に、押印計器の全体が本体カバーgで被覆され、鉛玉hで封印されている。
【0004】
上述した印紙税等納付計器(以下、押印計器を含めて納付計器ともいう。)の利用は、税務署の収納を代行管理するということである。それ故に、納付計器を使用するためには、税務署への設置承認申請と納付計器への封印が必要である。
使用が許可された納付計器には、上述したように、納付計器の外装カバーたる本体カバーgに税務署専用の鉛玉hで封印が施される。これにより、封印を開封しない限り、装置の心臓部である制御基板や納付印へアクセス出来ないよう工夫がされており、不正改ざんを行うことを防止している。もし税務署の許可無く開封した納付計器は、無効とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3150913号公報
【文献】特許第3124935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、図27図28に示したように、納付計器y(押印計器)の全てを外装カバー(本体カバーg)で覆った構造をしており、納付計器yの全体が封印の内側にある。そのため、部品交換や修理が必要な場合には、税務署へ納付計器yを持ち込み、税務職員が封印を開封し、その開封後に、税務署内にて、サービスマンが修理・部品交換を行っている。このため、修理対応に要する時間が他の機器より大幅に掛かってしまうといった問題点があり、解決すべき課題となっている。
また、印紙税印等の押印時間を短縮するための工夫や、操作のし易さを考慮した技術の開発も待たれている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、外装カバーを多層構造にし、不正改ざんが行われる可能性がある部品(制御基板や納付印等)は封印内に配置し、不正改ざんが行われる可能性がない部品を封印外へ配置し、その封印外部品については納付計器を税務署へ持参しなくても修理や部品交換が可能とすると共に、押印時間の短縮や操作のし易さ等ユーザビリティの向上を図って便利な印紙税等納付計器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明は、用紙20(図13参照)への印紙税印等の納付印の押印発行を印字ユニット41付き押印装置23により行う計器本体1が、外装カバー3で被覆されて成る印紙税等納付計器において、
前記外装カバー3が本体カバー3Bと上カバー3Aの多層構造で構成され、不正改ざんを防止する必要のある封印部品Kは、前記計器本体1の封印エリアE内に配置し前記本体カバー3Bにより被覆した上で封印されると共に、前記封印エリアE外で修理や部品交換可能な封印外部品Sは、前記本体カバー3Bで封印される計器本体1の上部に配置し前記上カバー3Aにより被覆され、前記上カバー3Aが本体カバー3Bに対し着脱自在であること、及び
前記印字ユニット41は前記計器本体1の前部に設けられた押印スイッチ24の位置まで下降して、前記印字ユニット41の印字輪46が前記押印スイッチ24に圧接され、前記押印スイッチ24上に配置された用紙20は、前記印字輪46の圧下によって押印が施される構成であると共に、前記押印スイッチ24を構成するラバースイッチ85は、基板86側の切断された電子回路パターン87と、ドーム状のゴムスイッチ部88内に導電材89が貼付して構成されており、前記印字輪46の圧下による押印時に、前記ラバースイッチ85のゴムスイッチ部88が押され、前記導電材89が基板86の電子回路パターン87と接触して通電が行われることにより、前記印字ユニット41によって印紙税印等が押印されたことの検知が行われる構成であること、及び
前記押印装置23が、印字輪46を回動する印字輪モータ48が搭載された印字ユニット41と、同印字ユニット41を駆動する押印モータ56が搭載された駆動ユニット42とがリンク機構43によって連結されて成り、前記印字ユニット41は略一定姿勢を保持しつつ上下方向及び水平方向に移動でき、押印位置に下降する動作で用紙20に印紙税印等の納付印を印字するにあたり、前記駆動ユニット42が押印モータ56の作動により水平方向に前進し、印字ユニット41が押印位置の真上に移動し下降して印字した後、前記押印モータ56の逆回転により駆動ユニット42が後退して原位置Xに戻る際に、同時に印字輪モータ48が回転して印字輪46の数字46aが元に並び直されつつ前記印字ユニット41が原位置Xに戻る構成であることを特徴とする、印紙税等納付計器である(図2、3、4、及び図13参照)。
【0009】
請求項2に記載した発明は、前記封印エリアE外で修理や部品交換可能な封印外部品Sは、プリンタ14や操作モニタ13、操作スイッチ部9類であることを特徴とする、請求項1に記載した印紙税等納付計器である。
【0012】
請求項3に記載した発明は、前記計器本体1のマイクロコンピュータ35には、入力部としての操作キー11で設定される押印金額38と対象書類39が予めリスト化でき、所定の前記対象書類39に応じた押印金額38の減算を行う演算処理部と、その演算結果を記憶するメモリ部が備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した印紙税等納付計器である(図26参照)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1と請求項2に係る印紙税等納付計器によれば、外装カバーが本体カバーと上カバーといった多層構造にし、不正改ざんが行われる可能性がある部品は外装カバー内でしっかり封印して改ざんをしっかり防止しデータ改ざん等の恐れがなく、不正改ざんが行われる可能性がない部品は封印外へ配置して着脱自在な上カバーで被覆するので、封印外部品については納付計器を税務署へ持参しなくても修理や部品交換が可能であり、利便性に優れている。
また、印字ユニットによって印紙税印等が押印されたことの検知が押ボタン式のラバースイッチにより行われるので、検知機構の簡素化によって信頼性が向上し、従来の複雑な構成による動作不良が防止される。
さらに、用紙への印字後に駆動ユニットが後退して原位置に戻る際に、同時に印字輪モータが回転して印字輪の数字が元に並び直されつつ印字ユニットが原位置に戻るので、押印時間の短縮が図れ、押印作業効率の向上に寄与する。
しかも、請求項3の印紙税等納付計器によれば、入力部としての操作キーで設定される押印金額と対象書類が予めリスト化されるので、対象書類が分かれば、印紙税の知識がなくても簡単に押印金額を指定・押印でき、ユーザビリティが向上して使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】印紙税納付計器の上カバーの取り外し状況を示した斜視図である。
図2】印紙税納付計器の概略的構成と外装カバーを示した一部切欠断面図である。
図3図2の上カバーを取り外した状態を示した一部切欠断面図である。
図4図2の上カバーと本体カバーを取り外した状態を示した一部切欠断面図である。
図5】取り外した上カバーを裏面方向から示した斜視図である。
図6】本体カバーを取り外した印紙税納付計器の封印部品を中心に示した斜視図である。
図7】印紙税納付計器の外観を示した斜視図である。
図8図7の印紙税納付計器の右側面図である。
図9】同印紙税納付計器の正面図である。
図10】同印紙税納付計器の背面図である。
図11】同印紙税納付計器の平面図である。
図12】印紙税納付計器の背面における封印状況を示した部分斜視図である。
図13】押印装置の作動要領を示した説明図(A~D)である。
図14】押印装置の印字輪部分を拡大して示した斜視図である。
図15】押印装置を一部省略して示した平面図である。
図16】押印装置の待機状態を示した側面図である。
図17】押印装置が押印位置まで移動した印字状況を示した側面図である。
図18】インクローラの引き出し状態を示した斜視図である。
図19】印紙税納付計器(B)におけるラバースイッチを拡大して示した説明図(A)である。
図20】ラバースイッチの待機状態(A)と押圧状態(B)を示した説明図である。
図21】用紙検知装置と押印位置照明指示装置の構成を示した説明図である。
図22】Aは、カウンタを示した斜視図であり、Bは、カウンタの着脱要領を示した斜視図である。
図23】印紙税納付計器の使用状況を示したフローチャート図である。
図24】操作モニタ上の対象書類と押印金額の設定要領を示した図である。
図25図24の操作要領を示した図である。
図26】印紙税納付計器の電気的構造を示したシステム構成図である。
図27】従来の印紙税納付計器の概略的構成と外装カバーを示した一部切欠断面図である。
図28】従来の印紙税納付計器の外装カバーを取り外した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の印紙税等納付計器の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は印紙税の納付計器について適用したものである。
図7に外観を示したこの印紙税納付計器は、予め納付する一定金額の範囲内で印紙税印の押印と押印金額の計算等を行うもので、用紙20への印紙税印等の納付印の押印発行を印字ユニット41付き押印装置23により行う計器本体1が、多層構造の外装カバー3のうち、本体カバー3Bで被覆されている(図13)。本実施形態では計器本体1がデスクトップ型で構成され、その外側に3種類の上カバー3Aと本体カバー3B及び下カバー3Cが被覆されている。図11のような平面方向視で略長方形状をなす下底に配設された電源基板2’上に機器要素が組み込まれ、下カバー3Cで被覆されている(図2図8参照)。そして、後述するように、本体カバー3Bに封印が施される一方、上カバー3Aだけが一定条件下で着脱自在に構成されている(図1)。
【0016】
前記計器本体1の前面(図7図8の左側の面)下部には、納付用紙等を挿入するための水平な用紙挿入部4が設けてある。この用紙挿入部4は、電源基板2’の前端から前方に用紙載置台5を突出させるとともに、外装カバー3の本体カバー3Bの前面下部を用紙載置台5の上方に少し隙間を開けて離間させ、これにより水平な用紙挿入用の空間を形成したものである。この用紙挿入部5に、計器使用者が手差により納付用紙の印紙税印押印側を差込むようになっている。なお、紙載置台5には左右に引出して用紙受け面積を拡大できる補助台6も設けられている。この用紙挿入部4に位置する本体カバー3Bの前面に、差込んだ用紙20の押印位置を確認するための窓部7が設けてある。この窓部7には黒色系統の半透明板8が装着してあり、後述する押印位置照明指示装置のランプ点灯による用紙への照射光で押印位置が明確に透視できるようになっている。
【0017】
図2は、本実施形態の印紙税納付計器の主要な部品の配置構成を概略的に示している。この図2に示すように、計器本体1の前部(図2の左側端部)には用紙挿入部4に挿入される用紙20を検知する用紙検知装置21と、その用紙検知装置21によって用紙挿入が検知された場合に用紙20の押印位置を照射する押印位置照明指示装置22とが設けられている(図21参照)。また、計器本体1の中央部分には挿入した用紙20に印紙税印を押印するための押印装置23が設けられ、この押印装置23は水平方向及び上下方向に移動して、挿入状態の用紙20に圧下して押印を行うようになっている。この押印装置23による押印位置、すなわち押印位置照明指示装置22による印字指示位置の下方に押印スイッチ24が設けられる。押印装置23の移動位置下部にはインクローラ26(図18参照)が配置されている。このインクローラ26は、インクローラ装着部15(図1参照)に着脱可能に装着され、押印時に押印装置23の印字輪46に接触してインクの塗布を行うようになっている(図13参照)。また、インクローラ26の後方には、予納金額を記憶するためのカウンタ27(図22参照)が配置されている。このカウンタ27は、カウンタ装着部16(図1参照)に着脱可能に装着されている。
【0018】
また、下カバー3Cの側面部にはオン・オフ切替え用のメインスイッチGが設けられるとともに、上カバー3Aの上面部には入力部として通常額または高額等の切替えを行うためのキースイッチ10、及び具体的金額のセットを行うためのテンキー等の操作キー11を配したキーボード12(これらを総称して、操作スイッチ部9と言う。)が設けられ、その後方には表示装置としてのLCD表示部たる操作モニタ13、及び金額表示等を印字出力するプリンタ14が配置されている。さらに、本体カバー3Bの側面部にはインクローラ装着部15及び前記カウンタ装着部16が設けられている(図1図7等参照)。
【0019】
この印紙税納付計器の電気的構造は、図26にブロック図で示したように、計器本体1に内蔵された主コンピュータシステムを構成するコントロール基板2のマイクロコンピュータ35に、入力装置としての用紙検出センサ21、キースイッチ10、操作キー11、カウンタ検出センサ150、インクローラ検出センサ126等からの信号入力が行われ、これらの信号処理により、押印モータ56(押印ユニット23)、印字輪モータ48(印字ユニット41)、インクローラ駆動モータ119(インクローラユニット105)、表示装置13、プリンタ14等の駆動制御が行われるものである。
【0020】
よって、始動可能状態においては、キースイッチオン等によって計器本体1及びカウンタ27の両マイクロコンピュータが交信状態となり、予納金額が計器本体1側で読み込まれ、操作キー11の操作によって、印字輪モータ48の駆動が行われ、押印用紙20の検知及び操作キー11の操作で押印ユニット23を駆動して、押印作用、表示作用、プリント作用等を行うことができる。
【0021】
そして、本実施形態では、操作キー11で設定される押印金額38と対象書類39が予めリスト化できる税テーブル機能が備えられ、所定の前記対象書類39に応じた押印金額38の減算が行われる。図24図25に示した操作モニタ13(LCD表示部)の画面表示を用いて以下に説明する。
この「税テーブル」の登録は、図24の左図に示した表示画面で、国税庁が公表する印紙税の一覧表の中からユーザーが使用頻度の高い印紙税について、(1)対象書類39の種類、(2)対象書類39に記載された金額の上限額、(3)対象書類39に記載された金額の下限額、(4)押印金額38(納付金額)の項目を指定・設定することにより行う。この登録は最大20項目まで登録を行う事ができる。
前記のように登録した「税テーブル」を利用して押印するときは、図25の左図に示した画面のように、押印金額38の入力画面を表示させてMENUキーを押すと、図25の中図のようにユーザーが使用頻度の高い印紙税として登録した「税テーブル」の一覧が表示される。そこで、押印したい印紙税の項目を選択して「セット」キーで決定する。すると、図25の右図のように、押印金額38の入力画面へ移り、前記税テーブルで選択した押印金額38(図示例では「500」円)が自動で入力されるため、押印する印紙税の設定がわかり易く簡便である。
この税テーブル機能によれば、印紙税の種類が多数ある中、ユーザーが主に使用する印紙税は限られていることから、ユーザーが使用頻度の高い印紙税を予め最大20件までカスタム登録ができる。そして、前記ユーザーのカスタム登録によってユーザーが使用状況に即しリスト化された税テーブルから押印したい印紙税を選択することで金額設定を自動入力でき、押印時の設定を簡便にすると共に、印紙税の知識が無くても容易な押印を可能にしている。
【0022】
当該マイクロコンピュータ35は、USBポート90及びLANポート91を備えている(図10参照)。そのため、このマイクロコンピュータ35によって、以下のデータ管理が可能に構成されている。すなわち、USBポート90やLANポート91に接続して、USBやLANを利用することにより、外部記憶装置と接続して納付データなどを出力することができる。また、そのデータをパソコンで処理して、出納結果で帳票を作成したり、データを保存し、パソコンのプリンタで印字できる。
例えば、計器本体1の単体では3000件までのデータ保存が可能だが、パソコンを使用することで3000件以上のデータを保存することが可能となる。但し、保全のため、外部から計器本体1への操作や計器本体1へのデータ転送はできない構成となっている。また、計器本体1の内部にある電子マネーデータ(予納された金額)を出入力することも不可能になっている。
出力可能なデータについて、具体的には、最大3000件の納付データを1日単位から月単位、または任意の期間で集計したデータを出力する。項目は、次のとおりである。
(1)指定期間の使用者No/用途区分/補助コード/納付金額/集計期間の総合計金額
(2)残金額(今月/先月/当日/前日)累計金額、押印回数
(3)税務署へ納めた税金額(予納金額) 最大50件
【0023】
また、本実施形態では、「納付データの修正」機能として、印紙税印押印時の設定(日付、金額以外の付帯情報である使用者No.用途区分、補助コード)に間違いがあった場合、押印後に該当する納付データの前記付帯情報の修正を行うことができる機能を有している。但し、納付データにおける日付、金額情報は修正できない。
さらに、本実施形態の印紙税納付計器には、操作ログを保存する機能がある(図示は省略)。操作ログを記録できることで、計器本体1が故障した時にどんな操作をしていたのかを確認でき、故障の原因特定に役立つ。
例えば、操作されたキー、日時、モード(通常、高額、管理)、エラーコード等の操作に関する情報をログに保存でき(最大6000件)、CSV方式で、前記USBやLANにより外部に出力することができる。
【0024】
図23は、ユーザーインターフェースを操作系に採り入れた印紙税納付計器の起動から通常押印・高額押印に至るまでの動作を、フローチャートで示している。
まず、同図23の左上に図示したように、電源ONにし(メインスイッチG参照)、その直下に記載のように、キーSW(キースイッチ10参照)で「通常」または「高額」を選択する。その際、パスワードを設定している場合は、「0.パスワード入力」画面(操作モニタ13参照、以下同じ)に移り、そこでパスワードを入力する。なお、パスワードは数字テンキー(キーボード12の操作キー11参照、以下同じ)で入力可能である。パスワードを設定していない場合は、後述する「1.使用者No.入力」画面へと移る。
一方、電源ONの後、その右横に示すように、キーSWで「表示」を選択すると、その右の「0.残金/累計 表示」画面に移り、同画面のアローボタンを押すことで更にその右の「0.押印回数/押印回数累計 表示」画面を見ることができる。その後は、前記したようにパスワード設定の有無によって、「0.パスワード入力」か「1.使用者No.入力」画面に移行する。
「1.使用者No.入力」画面で、使用者Noを入力後、その右図の「2.用途区分入力」画面で用途区分を入力する。そのとき、直下に示した「2m.用途区分一覧」で表示された用途区分一覧を参照するとよい。その後、「3.補助コード入力」画面で、補助コードを入力する。しかる後、その右図の「4.納付金額入力」画面で、納付金額(押印金額38参照)を入力する。例えば図示した本実施例のように、納付金額の「200」円を入力する。その際、直下に示した「4m.税テーブル」を利用すればスムーズに所望の金額を入力できる。なお、前記の「1.」~「4.」までの操作は、「連続」ON/OFFの切替操作が可能である。と共に、数字テンキーで入力できる。なお、「連続」ONの解除は、押印前なら可能である。
前述した「4.納付金額入力」画面で、納付金額を入力したら、その右に示した「5.入力内容確認」画面で入力内容を確認する。そうすると、下欄に示したように、フロントプレート(用紙載置台5参照)上に用紙20が未だセットされていない場合は、「5’.用紙セット 指示」画面が表示されるので、用紙20をセットして「押印動作」画面のように押印を行う。前記フロントプレート上に用紙20がセット済みのときは、直接「押印動作」が開始される。押印終了後は、「5”.用紙セット 指示」画面のように、用紙20を取り除く。すると、「連続」モードがONのときは前記「5.入力内容確認」画面に戻り、連続モードがOFFのときは前記「1.使用者No入力」画面に戻る。
このように、本実施形態の印紙税納付計器は、ユーザビリティを考慮して操作し易く、対話式の画面で簡単かつスムーズに使用することができる。
【0025】
以下、上述した各構成要素について詳細に説明する。
【0026】
この印紙税納付計器の外装を形成する外装カバー3が、図1図5に示したように、下カバー3Cが最下位置に配設され、その下カバー3Cの上で本体カバー3Bが中間位置に配設され、その本体カバー3Bの上で上カバー3Aが最上位置に配設されて成る多層構造で構成されている。
即ち、不正改ざんを防止する必要のある封印部品Kは、前記計器本体1の封印エリアE内に配置し前記本体カバー3Bにより被覆した上で封印される。ここでいう封印エリアE内の封印部品Kとは、計器本体1を構成するコントロール基板2(図6図10参照)や、同コントロール基板2上にあるSDカード92及び用紙探知装置21、押印位置照明指示装置22、押印位置指示ランプ33、反射ミラー34、押印装置23(図2図4図13図17参照)等である。なお、カウンタ27は、残金が少なくなってきたら当該カウンタ27を取り出し、国税庁へ予納をしに行く必要があることから、本体カバー3Bの封印部品Kとはせずに、本体カバー3Bの封印を解かずに脱着ができる仕様になっている。
一方、前記封印エリアE外で修理や部品交換が可能な部品である封印外部品Sは、前記本体カバー3Bで封印される計器本体1の上部に配置し前記上カバー3Aにより被覆され、前記上カバー3Aが本体カバー3Bの上部位置で同本体カバー3Bに対し着脱自在に構成されている。計器本体1内の不正改造や不正利用を防止する一方、そのような恐れがないプリンタ14や操作系部品の修理・交換をスムーズに行えるようにするためである。
上カバー3Aは、図5に示したように、封印外部品Sの1つであるプリンタ14の上部が上方に臨めるように同プリンタ14の上部が嵌合する形状・大きさだけ開口された窓部3aを有し(図3図4)、本体カバー3Bの上にぴったりと嵌合する山形状の枠体で形成されている。この上カバー3Aの後方は略垂直な後方壁面部3a’に形成され、前方には本体カバー3Bの前方上方で係止自在な2つの垂下する前方爪部3a”を備えている。したがって、この上カバー3Aが本体カバー3Bの上に嵌合して前記前方爪部3a”で係止した際(図2参照)、後方壁面部3a’に形成のねじ孔31と位置を共通にする本体カバー3Bに形成の雌ネジ孔32に、固定ネジ30が締め付け固定されている(図10図12)。
本体カバー3Bは、下方が大きく開口した全体(外観)が蒲鉾状の枠体で形成されている。この本体カバー3Bの後方上面は、プリンタ14の本体が嵌合する形状・大きさだけ開口された開口部3bに形成されている。よって、プリンタ14は、計器本体1の後方上部に設置され、本体カバー3Bの前記開口部3bから上方に突き出された大部分の本体が、上カバー3A内の後方位置に配設されている。と共に、上述したように同プリンタ14の上部が、上カバー3Aの窓部3aに丁度臨んでいる。また、同本体カバー3Bの後面は、図12に示したように、開閉キー19aにより封印カバー19を開けた内部が、計器本体1に対して2箇所、封印用ビス18で留められていると共に、封印ワイヤー17aと鉛17bで封印されている。この封印は税務署で施される。
なお、常に封印されている前記本体カバー3Bの下部に配設されている電源基板2’は、不正利用等の恐れがなく、皿状の下カバー3Cで被覆されており、その下カバー3Cの上に前記本体カバー3Bが嵌合されている。
前記封印エリアE外で修理や部品交換が可能な部品である封印外部品Sとは、上述した不正改造や不正利用の恐れがないプリンタや操作系部品であって、プリンタ14、操作モニタ13(カラーLCD)や、キースイッチ10及び操作キー11(テンキー)を配したキーボード12等の操作スイッチ部9(メンブレンスイッチ等)や、操作中継の部類に属する部品である(図5参照)。したがって、これらのプリンタ14や操作モニタ13、操作スイッチ部9等に故障があれば、すぐに固定ネジ30を緩めて外した後、上カバー3Aを取り外してその場で修理や部品交換が行える(図10図3図1参照)。
【0027】
図21は用紙検知装置21及び押印位置照明指示装置22の構成を示す説明図である。
【0028】
前記用紙検知装置21は、略四角形状の押印スイッチ24の各隅角部の外側位置に配置した4個の発光器30a、30b、30c、30dと、これらの上方に配置した4個の受光器31a、31b、31c、31dとからなる4組の光センサ32a、32b、32c、32dで構成されている。そして、用紙挿入部4に挿入される用紙20が各光センサ32を遮光することによって個別に検出作用を行い、検出信号を出力するようになっている。
また、前記押印位置照明指示装置22は、押印スイッチ24の上方の一側部に配置された押印位置指示ランプ33と、押印スイッチ24の中心部の略真上に傾斜配置された略四角形の反射ミラー34とを備えた構成とされ、押印位置指示ランプ33から水平方向に発した光が反射ミラー34によって下向きに反射され、押印スイッチ24の輪郭位置を照射するようになっている。
【0029】
そして、図26に示すように、各光センサ32a、32b、32c、32dの検出信号は、マイクロコンピュータ35に入力され、CPU制御により、押印位置指示ランプ(33)を点灯させるようになっている。即ち、電源と押印位置指示ランプ33とを接続するスイッチが、マイクロコンピュータ35から出力される制御信号によってオン・オフ制御され、用紙検出装置21の光センサ32a、32b、32c、32dのいずれか1つによって用紙挿入が検知された場合にスイッチがオンとなり、押印位置指示ランプ(33)が点灯するようになっている。
これにより、計器使用者が用紙20を用紙挿入部4に挿入した場合、いずれかの光センサ32a、32b、32c、32dによって用紙20の一部が検知されると、押印位置指示ランプ33によって押印位置が指示されるので、用紙20を移動調整して押印すべき部位を指示光に合致させることにより、用紙20を容易に押印位置にセットすることができるものである。なお、押印後に用紙20を用紙挿入部4から引き出せば、全ての光センサ32a、32b、32c、32dによる用紙検知信号が消失するので、押印位置指示ランプ33は消灯する。
【0030】
次に、図13図17に示した押印装置23を説明する。
図16は押印装置23の待機位置における側面図であり、図15図16の一部を省略して示す平面図であり、図14は押印装置23の印字輪部分を拡大して示す斜視図である。図17は押印装置23が押印位置まで移動した状態を説明する側面図である。
この押印装置23は移動可能なユニットとして構成されており(以下、本実施形態において押印装置23を押印ユニット23ともいう。)、互いに別体に構成された印字ユニット41と、この印字ユニット41を駆動する駆動ユニット42とをリンク機構43によって連結した構成とされており、印字ユニット41が相対的に駆動ユニット42の前方に配置されている。
【0031】
印字ユニット41は、水平板に起立片を設けた形状の印字輪支持台44と、この印字輪支持台44の略中央位置に一部下方へ突出する状態で同一支軸45により同心上でそれぞれ回転自在に支持された複数(例えば4桁)の印字輪46とを有する。各印字輪46には、「0」~「9」の数字46aが形成され、その側部には、これらと一体回転する従動ギア47がそれぞれ同軸的に取り付けられている。印字輪支持台44の側部には、印字輪46に対応する複数(4個)のステッピングモータ等からなる印字輪駆動モータ48が搭載され、この各印字輪モータ48にギアボックス49を介して設けられた出力軸50が、印字輪46の軸心とそれぞれ平行に配置されている。そして、この各出力軸50に個々に設けられた駆動ギア51が、前記各従動ギア47にそれぞれ噛合し、テンキーからの入力信号に応じて印字輪モータ48が回転することにより、印字輪46が所定角度回動して押印金額に応じた印字部52(数字46a)が最下部となるような印字調整が行えるようにしてある。これらの印字輪46の回転角度の調整は、例えば図14に示すように、駆動ギア51(図15参照)に周方向に沿って間隔的に穿設した透孔53と、この透孔53に臨む光センサ54とによって回転角度を検知することで行えるようになっている。このようにして設定した印字輪46を固定した状態で押印作用が行われるものである。
【0032】
一方、駆動ユニット42は、印字輪支持台44と略同様に水平板に起立片を設けた形状のモータ支持台55上に、押印モータ56を搭載した構成とされている。この駆動モータ56の回転軸57は、モータ支持台55の両側部に突出しており、この回転軸57の両端部に一対の走行用ギア58が連結されている。これらの走行ギア58は、図15及び図16に示すように、フレーム28の内側部に計器本体1の前後方向に沿って水平に固定されたガイドラック59に噛合している。
【0033】
そして、前記印字輪支持台44とモータ支持台55との両側部が、それぞれ上下一対の平行なリンク60、61によって連結されている。上側に位置するリンク60は印字輪支持台44の前部とモータ支持台55の前部とをそれぞれ軸62、63を介して連結し、また下側に位置するリンク61は印字輪支持台44の後部とモータ支持台55の後部とをそれぞれ軸64、65を介して連結しており、これらのリンク60、61は図15及び図16に示す待機位置において、若干後方が高くなる傾斜を有している。なお、各リンク60、61の前側には、印字輪支持台44への連結を行う軸62、64のスライドを許容する溝孔66、67が形成してあり、その軸62、64は溝孔66、67の前方に向かってそれぞれ圧縮コイルばね68、69によって押圧されている。
【0034】
また、下側のリンク61の後端部に前側を引き上げる方向の付勢力を与える捩じりばね71が設けられている。さらに、これらのリンク60、61のうち、上側のリンク60のモータ支持台55への連結を行う後部の軸65と、下側のリンク61の印字輪支持台44及びモータ支持台55への連結を行う各軸64、63とに、各リンク60、61の外側に突出する配置でガイドローラ72、73、74がそれぞれ設けられている。
これらのガイドローラ72、73、74が、フレーム28の内側部に計器本体1の前後方向に沿って形成された上下のガイド溝75、76に係合している。上側のガイド溝75は水平で、このガイド溝75にはガイドローラ72、74が係合している。下側のガイド溝76は、計器本体1の中央位置では略水平であるが、計器本体1の前側位置では湾曲部を介して後略垂直下方に向きを変えており、これにガイドローラ73が係合している。
【0035】
そして、操作キーの操作によって押印指令が行われた場合に、インクローラ駆動モータ56の駆動により走行ギア58が回転し、この走行ギア58がガイドラック59に噛合することにより駆動ユニット42が前進し、その前進動作がリンク機構43を介して印字ユニット41に伝達される。駆動ユニット42は、軸ガイドローラ72、74を介して上側の水平なガイド溝75の水平部分にのみ支持されており、水平移動のみを行う。
【0036】
これに対し、印字ユニット41はガイドローラ73を介して下側のガイド溝76の前側の垂直部分にまで支持されており、最大前進時においてはリンク機構43によって水平姿勢を維持しつつ全体として下降動作を行う。したがって、印字ユニット41が最大限前進した状態では図17に示すように、印字ユニット41が丁度押印スイッチ24の位置まで下降して、印字輪46の下部の印字部52が押印スイッチ24に圧接するようになる。この場合、押印スイッチ24上に用紙20を配置していれば、印字輪46の圧下によってその用紙20に対して押印が施されるわけである。
【0037】
この場合、印字ユニット41が押印スイッチ24上に圧下状態で停止し、なおも駆動ユニット42の前進による圧下力が作用することは十分に許容される。つまり、前述したように、各リンク60、61の前側には、印字輪支持台44への連結を行う軸62、64のスライドを許容する溝孔66、67が形成してあり、その軸62、64は溝孔66、67の前方に向かってそれぞれ圧縮コイルばね68、69によって押圧されているので、図17に示すように、その軸62、64と溝孔66、67との間でスライドが生じ、各リンク60、61の相対的な下降が許容されるからである。このような作用によって、用紙20に対する印字輪46の十分な圧下力が作用して、押印が確実に行われるものである。そして、本実施形態の構成による押印作用においては、印字輪46が略垂直方向に下降して固定状態の用紙20に圧接して押印を施すものであるから、用紙20の厚さや枚数等に拘らず、常に良好な押印が施されるものである。
なお、押印ユニット23の前進による押印動作の途中では、印字輪46がインクローラ26に接触してインクの塗布を受けるようになっている。また、図13では印字輪46を強調して突出形状として示したが、実際には側方の固定部分である枠形状等の押印も同時的に行われる。
【0038】
前記した駆動ユニット42が押印モータ56の作動により水平方向に前進し、印字ユニット41が押印位置の真上に移動し下降して印字する。印字(押印)後は、前記押印モータ56の逆回転により駆動ユニット42が後退して原位置X(図13A図16に図示の位置)に戻る際に、同時に印字輪モータ48が回転して印字輪46の数字46aが元に並び直されつつ前記印字ユニット41が原位置Xに戻る構成とされている。
上記の動作手順を図13A~Dの説明図を用いて説明する。
操作キー11を操作して押印を開始すると、駆動ユニット42の押印モータ56が原位置X(原点)から前進し(図13A)、印字ユニット41が用紙20の真上の所定位置に移動して、 図13Bに示したように、押印モータ56は前進を続け、印字ユニット41の印字輪モータ48はリンク機構43にて、用紙20と押印スイッチ24ヘ押し付けられる。次に、印字輪モータ48が押印スイッチ24を押すことで、押印モータ56は前進から後退へ切り替わる(図13C。そうすると、図12Dに示したように、 押印モータ56(駆動ユニット42)が後退して原位置Xで停止する間、同時に印字輪モータ48は回転して印字輪46の数字46aを並び直す(図14参照)。 押印モータ56と印字輪モータ48が停止した後、図13Aの状態に戻る。
従来機では、上記図13Dの工程が、まず、印字輪モータ48(印字ユニット41)が用紙20から離れ、押印モータ56(駆動ユニット42)が原位置Xまで後退する工程と、つづいて押印モータ56が停止した後、印字輪46の数字46aを並び正すように印字輪モータ48が回転して指定の初期の数字46aで停止する工程、の2工程を要していた。それが1工程で済み、動作時間の短縮を実現している。
すなわち、従来機では、この作動時に供給できる最大電気量を超えるため、上記図13Dのような同時動作は不可能であったが、本実施形態に係る印紙税納付計器では、電源基板を変更し、供給電気量を増大して、上記の後退過程で同時に印字輪46の並び直し工程を可能ならしめている。また、押印モータ48を新型モータにすることにより、前進・後退のスピードアップを図り、時間短縮されている。
【0039】
ところで、この押印ユニット23には、前述した用紙検知装置21を利用した空打ち防止機構が付設されている。即ち図26に示したように、用紙検知装置21の各光センサ32a、32b、32c、32dの検出信号は、計器本体1に内蔵された主コンピュータシステムを構成するマイクロコンピュータ35に入力され、CPU制御により、用紙20が押印位置から外れた場合には押印ユニット23の動作が停止して空打ちを防止するようになっている。
【0040】
つまり、モータ電源と押印モータ56とを接続するスイッチ(図示は省略)が、マイクロコンピュータ35から出力される制御信号によってオン・オフ制御され、用紙検出装置21の光センサ32a、32b、32c、32dのいずれか1つでも用紙挿入が検知されない状態となった場合にはオフとなり、押印モータ56が停止する。
これにより、押印直前まで用紙位置を監視することが可能となり、計器使用者が用紙20を用紙挿入部4から誤って引き出したような場合においても、瞬時にモータ停止状態となり、空打ちを確実に防止することができるようになる。空打ちが発生した場合は税務署に本計器を持ち込み、納付印が押されない状況で予納金額から減額された金額の還付手続きを行わなくてはならないなど無駄等の発生防止に極めて有効なものとなる。
【0041】
図19図20は、押印済みを確認する印台機構を示している。
この印台機構は、前記印字ユニット41によって印紙税印等が押印されたことの検知を、押印スイッチ24の下降動作(押印)にて検知する構成となっている。
即ち、図19Bの納付計器の破線部分を拡大して示した図19Aのように、押印スイッチ24を構成するラバースイッチ85は、基板86側の切断された電子回路パターン87と、ドーム状のゴムスイッチ部88内に導電材89が貼付して構成されている。図19A中、破線で示した範囲Tが接点回路である。そのため、図20Aの初期状態から図20Bのようにゴムスイッチ部88が押されることにより、前記導電材89が基板86の電子回路パターン87と接触し、通電が行われる。この押印スイッチ24は、ストロークが大きく、耐水性等に優れている。
【0042】
次に、図18を中心にインクローラ26について説明する。
このインクローラ26は、本出願人による前記特許第3150913号公報等に記載されたものと略同じ構成で好適に実施される。一部説明すれば以下のとおりである。
図7及び図8に示したように、計器本体1の内部には押印ユニット23(図2等参照)の下方位置にインクローラ装着部15としての空間が形成されており、外装カバー3の本体カバー3B及びフレーム28(図15参照)の側方にはその空間に連通する開口部100が設けられている。そして、このインクローラ装着部15としての空間内に略箱形の支持部材101が固定配置され、この支持部材101には、インクローラ26の着脱ガイドとなる水平なガイドレール102が開口部に向って突設されるとともに、インクローラ26の軸心位置を制御するインクローラ位置制御装置103が設けられている。一方、インクローラ26は、ガイドレール102に摺動可能に装着されるフレーム部104に軸支されており、計器本体1に着脱できるインクローラユニット105の一部品として構成され、インクローラ位置制御装置103によって押印時に偏心移動して押印ユニット23の印字輪46へのインク塗布が有効的に行えるようになっている(図13参照)。
【0043】
即ち、インクローラユニット105は、一端に指掛け用の操作面106を有する断面コ字形の細長なフレーム部104と、このフレーム部104の他端側に対向片113、114を介して片持ち支持されたクランク型の軸体108と、この軸体108に取付けられたインクローラ26とによって構成されている。このクランク型の軸体108は、前記対向片113、114で支持された太径な基軸部109と、この基軸部109の一端面に一定寸法の偏心量をもって一体に連設された細径な支軸部とを有している。
【0044】
インクローラユニット105は一定間隔をあけた一対の対向片113、114によって基軸部109の2カ所が支持されて回転及び軸方向のスライドが可能となっている。そして、対向片の一方113と、基軸部109に固定したリング115との間に、その基軸部109の周囲に配した圧縮コイルばね116を介在させることにより、基軸部109を対向片の他方114に向けて付勢し、これにより基軸部109の他端が対向片113、114から一定長さ突出する状態で軸支状態が安定できるとともに、付勢方向の反対側に押圧力が作用した場合には圧縮コイルばね116の付勢力に抗して移動できるようになっている。基軸部109の他端側の先端にはテーパ付きの連結穴が形成されるとともに、キー係合溝118が形成されている。
一方、インクローラ位置制御装置103は、ステッピングモータ等からなるインクローラ駆動モータ119と、このモータ119からギアボックス120を介して突出する出力軸121と、この出力軸121に設けられた偏心カム122及びキーと、偏心カム122に係合するマイクロスイッチ等からなるインクローラ原点検出センサ124とからなっている。
【0045】
次に、予納額のセッティングを行うための着脱式カウンタ27(図22参照)及びそれを用いた制御システム等について説明する。
本実施形態では基本的に、納付印の押印発行を行うための計器本体1に、印紙税の予納金額のセット及び封印が行われたことを条件とする始動プログラムと、予納金額を最高限度として印紙税印等の納付印の押印発行を許容する動作・停止プログラムとによって駆動される主コンピュータシステムとしてのマイクロコンピュータ35が内蔵されている。この計器本体1のマイクロコンピュータ35には、入力部としての操作キー11等で設定される押印金額の累計または予納金額に対する押印金額の減算を行う演算処理部、演算結果を記憶するメモリ部等が備えられている。
【0046】
カウンタ27は、納付計器使用時にはカウンタ装着部16の収納ケース142へ収納する。カウンタ装着部16は、回動蓋143によって閉じられており、キースイッチ10と操作キー11の操作によって自動で開放し、取出しボタン151を押すと当該カウンタ27は計器本体1から取り外せる構成となっている。即ち、計器本体1からのカウンタ27の取り外しは、カバー3Bの封印を解く必要はない。計器本体1のキースイッチ10を「管理メニュー」に合わせ、「2.カウンタ脱着」から「2.カウンタ取り外し」を操作キー11で選択することにより図1のカウンタ装着部16の扉143が開き、内部の取出しボタン151を押すことでカウンタ27の取り出しができる。カウンタ27の取り付けに関しても、計器本体1のキースイッチ10を「管理メニュー」に合わせ、「2.カウンタ脱着」から「1.カウンタセット」を選択して行う(図示は省略)。
当該カウンタ27は、計器本体1から取り外した状態で印紙税の徴収者に持ち込んで予納金額をセットすることができるものである。計器本体1に装着した場合にのみ計器本体のマイクロコンピュータ35との間で交信が可能な補助コンピュータシステムとしてのマイクロコンピュータが内蔵されている。このカウンタ27は少なくとも、それ自体において予納金額を独自にセットできる入力操作部、セットした予納金額を記憶するメモリ部、計器本体1の最終使用時における残高を記憶するメモリ部、その残高と新たにセットされる予納金額との加算を行う演算処理部、及びこれらの処理表示を行う表示部を備えている。
【0047】
図7図8に示すように計器本体1には、インクローラ装着部15の後方に位置してカウンタ装着部16としての空間が設けられ、外装カバー3(本体カバー3B)及びフレーム28の側方にはその空間に連通する開口部141が設けられている。そして、このカウンタ装着部16としての空間内に収納ケース142が固定配置され、この収納ケース142の内部には図示しないコネクタが設けられるとともに、開口部141側には下向きに回動する蓋143が水平な軸144を介して蝶着してある。
前記の蓋144には舌片状の係止部材145が設けられ、この係止部材145が計器本体1内に設けたソレノイド146によって駆動される取出しボタン151に係合するようになっており、これによりカウンタ取出し装置148が構成されている。また、係止部材145の一部は光センサ149によって蓋閉位置で検知されるようになっており、これによりカウンタ検知センサ150が構成されている。さらに、計器本体1内には押し引き操作用のノブ151及びこれに係合して回動する押動片152からなるカウンタ押出し機構153が設けられている。
【0048】
当該カウンタ27は、片手把持が可能な薄箱状をなすハンド型の構成とされており、前記の計器本体1の開口部141を介してカウンタ装着部16の収納ケース(図示省略)に挿脱できるようになっている。カウンタ27の挿入側端部には、図示しないが計器本体1のコネクタと係合するコネクタが設けられ、これらのコネクタ接続及びコードナンバーの合致等によって、計器本体1の主コンピュータシステムとカウンタ27の補助コンピュータシステムとの間での交信が可能となる。
そして、平坦なケースの上面にLCD表示部155及び回動蓋156とスライド蓋161を有し、この回動蓋156は封印施錠キー157によって閉状態にロックできるようになっている。また、カウンタ27のケース154表面のスライド蓋161で覆われる部位には、入力部としての複数の操作キー158が設けられ、徴収者はこの操作キー158を操作することによって予納金額を入力することができる。入力された予納金額はLCD表示部155で表示されるとともに、メモリに記憶される。
また、このカウンタ27ではキー操作によって各種メッセージも記憶、表示できるようになっており、ケース154の側面に設けた切替表示ボタン159によってメッセージも読み取ることができる。
【0049】
カウンタ27は、電源ボタン160を一回押すと電源がオン状態になり、表示切替ボタン159を押すたびに表示内容が切り替わる。そして、再び電源ボタン160を押すか、1分間放置すると電源がオフ状態になる。
このカウンタ27の封印方法は、まず、封印施錠キー157で回動蓋156を開ける。次に、スライド蓋161の端部貫通孔161aと、位置を同じくする操作キー158の端部貫通孔158aに、図示を省略した封印ワイヤーを挿通して鉛で封印する。そして、前記回動蓋156を閉じ、封印施錠キー157で施錠する事により行う。予納金額を入力する場合は、回動蓋156を封印施錠キー157で開けて、スライド蓋161を封印している封印を開封する事で、スライド蓋161を回動蓋156側にスライドさせて取り外す事ができ、予納金額を入力する操作キー158を使用する事が可能となる。
このカウンタ27は、予納額セット及び封印後に計器本体1の開口部141を介してカウンタ装着部16に挿入し、前記のコネクタ接続状態とすることで、計器始動を可能とするものである。
【0050】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、例えば切手、証紙その他の納付料金計器などでも適用でき、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために申し添える。
【符号の説明】
【0051】
K 封印部品
S 封印外部品
E 封印エリア
X 原位置
G メインスイッチ
1 計器本体
2 コントロール基板
2’ 電源基板
3 外装カバー
3A 上カバー
3a 窓部
3a’ 後方壁面部
3a” 前方爪部
3b 開口部
3B 本体カバー
3C 下カバー
4 用紙挿入部
5 用紙載置台
6 補助台
7 窓部
8 半透明板
9 操作スイッチ部
10 キースイッチ
11 操作キー
12 キーボード
13 操作モニタ
14 プリンタ
15 インクローラ装着部
16 カウンタ装着部
17a 封印ワイヤー
17b 鉛
18 封印用ビス
19 封印用カバー
20 用紙
21 用紙検知装置
22 押印位置照明指示装置
23 押印装置(押印ユニット)
24 押印スイッチ
26 インクローラ
27 カウンタ
28 フレーム
30 固定ネジ
31 ネジ孔
32 雌ネジ孔
32 光センサ
33 押印位置指示ランプ
34 反射ミラー
35 マイクロコンピュータ
38 押印金額
39 対象書類
41 印字ユニット
42 駆動ユニット
43 リンク機構
44 印字輪支持台
45 同一支軸
46 印字輪
46a 数字
48 印字輪モータ
49 ギアボックス
50 出力軸
51 駆動ギア
52 印字部
53 透孔
54 光センサ
55 モータ支持台
56 押印モータ
57 回転軸
58 走行用ギア
59 ガイドラック
60、61 リンク
62、63 軸
64、65 軸
66、67 溝孔
68、69 圧縮コイルばね
71 捩じりばね
72、73、74 ガイドローラ
75、76 ガイド溝
81 ベース板
82 下部板
85 ラバースイッチ
86 基板
87 電子回路パターン
88 ゴムスイッチ部
89 導電材
90 USBポート
91 LANポート
100 開口部
101 支持部材
102 ガイドレール
103 インクローラ位置制御装置
104 フレーム部
105 インクローラユニット
106 操作面
108 軸体
109 基軸部
110 支軸部
111 スリーブ
113、114 対向片
115 リング
116 圧縮コイルばね
117 連結穴
118 キー係合溝
119 インクローラ駆動モータ
120 ギアボックス
121 出力軸
122 偏心カム
123 キー
124 インクローラ原点検出センサ
141 開口部
142 収納ケース
143 蓋
144 軸
145 係止部材
146 ソレノイド
148 カウンタ取出し装置
149 光センサ
150 カウンタ検知センサ
151 取出しボタン
152 押動片
153 カウンタ押出し機構
154 ケース
155 LCD表示部
156 回動蓋
157 封印施錠キー
158 操作キー
158a 端部貫通孔
159 表示ボタン
160 電源ボタン
161 スライド蓋
161a 端部貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28