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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ロボット及びロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/30 20060101AFI20220302BHJP
   B65B 39/14 20060101ALI20220302BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20220302BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B65B1/30 Z
B65B39/14
B65B39/00 Z
B25J13/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020522617
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2019021661
(87)【国際公開番号】W WO2019230931
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2018104345
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇都 達博
(72)【発明者】
【氏名】三澤 将司
(72)【発明者】
【氏名】平田 和範
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117047(JP,A)
【文献】特開2015-062824(JP,A)
【文献】特開2004-203400(JP,A)
【文献】特開2014-162481(JP,A)
【文献】特開2017-047934(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085928(WO,A1)
【文献】特開2015-167646(JP,A)
【文献】特開2012-018661(JP,A)
【文献】特開平02-271402(JP,A)
【文献】米国特許第7577498(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00-69/00
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに取り付けられた第1ロボットアームと、
前記第1ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークを保持する第1エンドエフェクタと、
前記ベースに取り付けられた第2ロボットアームと、
前記第2ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークに対し所定の作業を行う第2エンドエフェクタと、
前記第1および第2ロボットアームの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1エンドエフェクタによって保持されたワークを、第1の位置から、前記第1ロボットアームによって前記ワークが載置される第2の位置まで搬送するよう前記第1ロボットアームの動作を制御するとともに、
前記ワークを搬送している前記第1ロボットアームに追従しながら、前記搬送中のワークに対し、前記第2エンドエフェクタにより搬送作業以外の所定の作業を行うように第2ロボットアームの動作を制御する、ロボット。
【請求項2】
前記ワークは、上面が開口した食品用の容器であり、
前記第2エンドエフェクタは、所定の食品を上方から供給可能に構成された食品供給装置を有し、
前記所定の作業は、前記食品供給装置によって前記容器に対し上方から食品を供給する作業である、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記食品供給装置は、液状の食品を供給可能なノズルを有し、
前記ノズルの先端に前記容器の上面の開口を覆うような所定の形状を有するカバー部材が設けられている、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記食品供給装置は、液状の食品を供給可能なノズルを有し、
前記制御装置は、前記第2ロボットアームの動作を制御して、前記ノズル先端の位置を前記容器の底面の近くに配置し、前記食品供給装置により食品の供給を開始し、食品の液面が上昇するにしたがって前記ノズル先端の位置を上昇させるように前記第2ロボットアームの動作を制御する、請求項2又は3に記載のロボット。
【請求項5】
ベースと、前記ベースに取り付けられた第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークを保持する第1エンドエフェクタと、前記ベースに取り付けられた第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークに対し所定の作業を行う第2エンドエフェクタと、前記第1および第2ロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備えるロボットの制御方法であって、
前記制御装置は、
前記第1エンドエフェクタによって保持されたワークを、第1の位置から、前記第1ロボットアームによって前記ワークが載置される第2の位置まで搬送するよう前記第1ロボットアームの動作を制御するとともに、
前記ワークを搬送している前記第1ロボットアームに追従しながら、前記搬送中のワークに対し、前記第2エンドエフェクタにより搬送作業以外の所定の作業を行うように第2ロボットアームの動作を制御する、ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、生産性向上の観点から、ロボットと作業者が同じ作業空間内で共同して作業を行うことが提案されている。例えば特許文献1には、例えば食品の製造現場に導入された人型の双腕ロボットが開示されている。このロボットは、コンベアで搬送されてくる弁当箱を、一方のアームで止め、その後、他方のアームで弁当箱の中の食品に調味料を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/085928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術の双腕ロボットでは、ワークの搬送作業やワークに対する調味料の供給作業は逐次的に実行される。このため、作業効率は更なる改善余地があった。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、搬送中のワークに対し所定の作業を行う双腕ロボットの作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係るロボットは、ベースと、前記ベースに取り付けられた第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークを保持する第1エンドエフェクタと、前記ベースに取り付けられた第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークに対し所定の作業を行う第2エンドエフェクタと、前記第1および第2ロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1エンドエフェクタによって保持されたワークを、第1の位置から第2の位置まで搬送するよう前記第1ロボットアームの動作を制御するとともに、前記ワークを搬送している前記第1ロボットアームに追従しながら、前記搬送中のワークに対し、前記第2エンドエフェクタにより搬送作業以外の所定の作業を行うように第2ロボットアームの動作を制御する。
【0007】
上記構成によれば、第1エンドエフェクタによって保持されたワークが、第1の位置から第2の位置まで搬送されるとともに、第2エンドエフェクタにより、搬送中のワークに対し所定の作業が行われる。ロボットにより、第1のアームによるワークの搬送作業と第2のアームによるワークに対する作業が平行して行われるので作業時間のロスが低減し作業効率が向上する。
【0008】
尚、前記第2の位置は、前記第1ロボットアームによって前記ワークが載置される所定の位置(例えば計量器の計量台)であってもよい。
【0009】
前記ワークは、上面が開口した食品用の容器であり、前記第2エンドエフェクタは、所定の食品を上方から供給可能に構成された食品供給装置を有し、前記所定の作業は、前記食品供給装置によって前記容器に対し上方から食品を供給する作業であってもよい。
【0010】
上記構成によれば、例えば食品の製造現場において、カップ容器をコンベア上の所定の位置から計量器の所定の位置に搬送しながら、スープ等の液状の食品を供給する作業を効率的に行うことができる。
【0011】
前記食品供給装置は、液状の食品を供給可能なノズルを有し、前記ノズルの先端に前記容器の上面の開口を覆うような所定の形状を有するカバー部材が設けられていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、食品供給装置は、液状の食品を供給可能なノズルを有し、ノズルの先端に容器の上面の開口(例えば円形)を覆うような所定の形状(例えば円形)を有するカバー部材が設けられているので、例えば容器の搬送中に液状の食品を供給する際に、容器の開口をカバー部材で覆うことで、食品が容器からこぼれ難くなる。作業効率が向上する。
【0013】
本発明のその他の形態に係るロボットの制御方法は、ベースと、前記ベースに取り付けられた第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークを保持する第1エンドエフェクタと、前記ベースに取り付けられた第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられ、ワークに対し所定の作業を行う第2エンドエフェクタと、前記第1および第2ロボットアームの動作を制御する制御装置と、を備えるロボットの制御方法であって、前記制御装置は、前記第1エンドエフェクタによって保持されたワークを、第1の位置から第2の位置まで搬送するよう前記第1ロボットアームの動作を制御するとともに、前記ワークを搬送している前記第1ロボットアームに追従しながら、前記搬送中のワークに対し、前記第2エンドエフェクタにより搬送作業以外の所定の作業を行うように第2ロボットアームの動作を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上に説明した構成を有し、搬送中のワークに対し所定の作業を行うロボットの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るロボットを適用した食品製造装置の構成を示す図である。
図2図2は、食品供給装置の構成を示す図である。
図3図3は、ロボットの制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図4図4は、ロボットの動作の一例を示した第1の説明図である。
図5図5は、ロボットの動作の一例を示した第2の説明図である。
図6図6は、ロボットの動作の一例を示した第3の説明図である。
図7図7は、本実施形態と比較例のロボットの動作手順を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットを適用した食品製造装置の構成を示す図である。図1に示すように、食品製造装置1は、例えば食品の製造現場に導入される。本実施形態の食品製造装置1は、本発明に係るロボット11により構成される。本実施形態のロボット11は容器40にスープを充填する作業を行う。ロボット11は、ベース12に支持された一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」ともいう)13L,13Rを備えた双腕ロボットである。なお、このロボット11について、水平多関節型の双腕ロボットを説明するが、垂直多関節型の双腕ロボットを採用することができる。ロボット11は、人一人分に相当する限られたスペース(例えば610mm×620mm)に設置することができる。以下では、一対のアーム13L,13Rを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
【0018】
ロボット11は、例えば台車に固定されたベース12と、ベース12に取り付けられた左のアーム13Lと、左のアーム13Lの先端に取り付けられたエンドエフェクタ18と、ベース12に取り付けられた右のアーム13Rと、右のアーム13Rの先端に取り付けられたエンドエフェクタ19と、左右のアーム13L,13Rの動作を制御する制御装置(図3参照)と、を備えている。
【0019】
各アーム13L,13Rは、アーム部15とリスト部17とを備えている。また、2つのアーム部15を構成する基端側リンクの回転軸線は同一直線上にあり、左のアーム13Lと右のアーム13Rとは上下に高低差を設けて配置されている。なお、左右のアーム13L,13Rは、実質的に同じ構造であってもよい。各アーム13L,13Rは、4つの関節を有し、各関節に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。左右のアーム13L,13Rは、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0020】
ロボット11の左側方にはテーブル80が配置されている。テーブル80上には容器40を載置するための容器置台82が配置されている。容器40は上方が開口した食品用の容器である。容器40は例えば逆截頭円錐型のカップ容器である。容器40は薄い紙又は合成樹脂等で形成される。容器40は上下に多段に堆積された状態(以下、単に「集合体41」ともいう)で容器置台82に載置される。ロボット11の正面には搬送装置50が配置される。搬送装置50は、ロボット11によって供給された容器40を搬送経路51に沿った搬送方向(図では左側から右側)に搬送するベルトコンベアである。本実施形態の搬送経路51は直線状に形成されている。搬送装置50の前側には計量器70を配置するための小型のテーブル81が設置されている。計量器70はスープが充填された容器40の重量を測るために使用される。ロボット11の作業領域は、容器置台82が配置されたテーブル80、計量器70が配置されたテーブル81及び搬送装置50の搬送経路51の一部を覆う領域である。
【0021】
エンドエフェクタ18は左のアーム13Lのリスト部17の先端に取り付けられている。エンドエフェクタ18は、リスト部17の先端を含む基部20と、基部20に上下に設けられた第1保持部21及び第2保持部22を備える。
【0022】
第1保持部21は、一対の爪を有する。各爪は容器40の上部の外周に沿って内側に湾曲している。これらの爪は基部20に設けられた一のアクチュエータ(例えばエアシリンダ)によって駆動されて、平行を維持しながら互いに近接・離反するように並進移動する。これにより、容器40の縁を保持又は解放することができる。さらに、第1保持部21の各爪には押下げ部21aが設けられている。押下げ部21aの下部は、アクチュエータ(例えばエアシリンダ)によって上下に駆動される。これにより、第1保持部21の一対の爪により、容器40の集合体41を保持している場合は、押下げ部21aにより、集合体41の最下位の容器40の縁を上から押し下げて、集合体41から最下位の容器40を切り離すことができるように構成されている。
【0023】
第2保持部22は、一対の爪を有する。各爪は容器40の上部の外周に沿って内側に湾曲している。これらの爪は基部20に設けられた一のアクチュエータ(例えばエアシリンダ)によって駆動されて、平行を維持しながら互いに近接・離反するように並進移動する。第2保持部22は、一対の爪により、容器40の縁を保持又は解放することができる。
【0024】
エンドエフェクタ19は左のアーム13Lのリスト部17の先端に取り付けられている。エンドエフェクタ19は、リスト部17の先端を含む基部30と、基部30に設けられた保持部31と、基部30に設けられた食品供給装置32とを有する。
【0025】
保持部31は、一対の爪を有する。各爪は容器40の上部の外周に沿って内側に湾曲している。これらの爪は基部30に設けられた一のアクチュエータ(例えばエアシリンダ)によって駆動されて、平行を維持しながら互いに近接・離反するように並進移動する。保持部31は、一対の爪により、容器40の縁を保持又は解放することができる。
【0026】
食品供給装置2は、液体状の食材(例えばスープ)を上方から供給可能に構成される。図2(A)は、食品供給装置2の平面図である。図2(B)は、図2(A)のB-B部の断面図である。図2では食品供給装置2と容器40のみ示している。図2に示すように、食品供給装置32は、液体状の食材(例えばスープ)を供給可能なノズル32aと、ノズル32aの先端に設けられたカバー部材32bとを有する。ノズル33先端のカバー部材32bは、容器40の上面の開口を覆うように円形状に形成されている。
【0027】
図3は、ロボット11の制御装置14の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置14は、CPU等の演算部14aと、ROM、RAM等の記憶部14bと、サーボ制御部14cと、を備える。制御装置14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置14は、集中制御する単独の制御装置14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置14によって構成されていてもよい。
【0028】
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット11の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、ロボット11の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14cに出力する。サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット11の各アーム13の関節に対応するサーボモータ等のアクチュエータの駆動を制御するように構成されている。また、エンドエフェクタ18のアクチュエータ、及びエンドエフェクタ19(食品供給装置32)の制御も制御装置14によって行われる。よって、制御装置14は、ロボット11全体の動作の制御を行う。
【0029】
次に、ロボット11の動作について図面を参照しながら説明する。まず、制御装置14は、図1に示すように、左のアーム13Lの動作を制御して、エンドエフェクタ18により、搬送経路51上に配置された容器40を保持する。具体的には、制御装置14は、第2保持部22の一対の爪を駆動させて、搬送経路51上の容器40の縁を保持する。
【0030】
次に、制御装置14は、図4に示すように、左のアーム13Lの動作を制御して、エンドエフェクタ18によって保持された容器40を、搬送経路51(第1の位置)からテーブル81上の計量器70(第2の位置)まで搬送する。容器40は、左のアーム13Lによって計量器70の上の載置位置に載置される。これと同時に、制御装置14は、右のアーム13Rの動作を制御して、容器40を搬送している左のアーム13Lに追従しながら、搬送中の容器40に対し、エンドエフェクタ19(食品供給装置32)によりスープを供給する。ノズル32a先端のカバー部材32bにより容器40の上面開口を覆いながらスープが供給される。カバー部材33aが円形状であるので、容器40の搬送中にスープを供給しても円形状の容器40の上面開口からスープがこぼれ難い。
【0031】
次に、制御装置14は、図5に示すように、エンドエフェクタ19によるスープ供給作業終了と同時にエンドエフェクタ18から容器40を解放することによって、スープが充填された容器40を計量器70の計量台の上に載置する。尚、本実施形態では容器40の計量作業は、作業者が計量器70の値を目視で読み取ることにより行われる。
【0032】
最後に、制御装置14は、図6に示すように、右のアーム13Rの動作を制御して、エンドエフェクタ19によって、計量器70の計量台の上の容器40を保持し、エンドエフェクタ19によって保持された容器40を搬送装置50の搬送経路51まで搬送する。一方、制御装置14は、左のアーム13Lの動作を制御して、エンドエフェクタ18により、左のテーブル80上の容器置台82に載置された容器40の集合体41を保持する。そして、左のアーム13Lの動作を制御して、エンドエフェクタ18により保持された容器40の集合体41を、搬送装置50の搬送経路51上に移動させ、制御装置14は、エンドエフェクタ18(第1保持部21)の動作を制御して、集合体41から最下位の容器40を切り離す。これにより、最下位の容器40が搬送装置50の搬送経路51上に供給される。その後は、再び上記動作を作業終了まで繰り返す。
【0033】
図7は、本実施形態と比較例のロボットの動作手順を示す表である。図7の右の表は、比較例としてロボットの従来の制御手順を示している。比較例では、ロボット11は、左アーム13Lによる容器40の保持動作の後に容器40の搬送作業が行われる。その後、右アーム13Rによる食品供給作業が行われ、最後に、右アーム13Rによる容器40の搬送作業が行われる。このように、従来のロボット制御では、双腕であっても、各動作が時系列に順次行われていた。
【0034】
これに対し、図7の左の表は、本実施形態のロボットの制御手順を示している。本実施形態では、ロボット11は、左アーム13Lによる容器40の保持動作の後に、左右のアーム13L,13Rによる容器40の搬送作業と同時に食品供給作業が行われ、最後に、右アーム13Rによる容器40の搬送作業が行われる。このように、容器40の搬送作業と食品供給作業が平行して行われるので、従来の制御と比べて、作業時間のロスが低減し作業効率が向上する。
【0035】
尚、本実施形態では、一方のアーム13Lによる容器40(ワーク)の搬送作業中に容器40(ワーク)に対して行われる他方のアーム13Rによる作業は食品供給作業であったが、搬送作業以外の作業であればこれに限られない。例えば食品搬送中における食品の加熱又は冷却処理であってもよいし、例えば金属材料(ワーク)の搬送作業中における金属加工(溶接作業等)であってもよい。
【0036】
尚、本実施形態の食品供給装置32のノズル32aの先端にカバー部材32bは、円形状であったが、これに限定されるものではない。容器40の上面開口が矩形状であれば、これを覆うような矩形状であってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、ロボット11は、容器40の搬送中に容器40に対してスープを充填したが、液状の食品であれば、例えばシチューであってもよい。シチューはスープよりも粘度の高いゲル状の食品である。このため、シチューを高いところから落下させると、シチューの液面が山状になってしまう。その結果、充填作業終了後に液面が容器の縁に向かって広がり、シチューが容器の縁からこぼれ易くなる。これに対し、容器の底面の近くでノズル先端からシチューを放出するとシチューの液面が平面状に広がる。そこで、制御装置14は、右のアーム13Rの動作を制御してノズル先端の位置を容器40の底面の近くに配置し、その状態から、食品供給装置32により食品の供給を開始し、食品の液面が上昇するにしたがってノズル先端の位置を上昇させるように右のアーム13Rの動作を制御してもよい。これにより、食品をこぼれ難くすることができる。尚、この場合には、本実施形態と同様に、ノズル33先端には、容器40の上面の開口を覆うようにカバー部材32bが設けられていてもよい。
【0038】
尚、本実施形態の食品製造現場では、容器40の計量作業は、作業者により行われていたが、ロボット11により計量作業を自動化してもよい。例えばロボット11が右のアーム13の先端に計量ユニットを備え、エンドエフェクタ19によって容器40を把持した状態で、計量ユニットにより容器40の重量を計量可能に構成されていてもよい。
【0039】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、食品の製造現場において有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 食品製造装置
11 ロボット
12 ベース
13L,13R ロボットアーム
14 制御装置
15 アーム部
17 リスト部
18、19 エンドエフェクタ
20 基部
21 第1保持部
21a 押し下げ部
22 第2保持部
30 基部
31 保持部
32 食品供給装置
32a ノズル
32b カバー部材
40 容器(ワーク)
41 容器集合体
50 搬送装置
51 搬送経路
70 計量器
80,81 テーブル
82 容器置台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7