(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】油圧駆動システム
(51)【国際特許分類】
F15B 21/14 20060101AFI20220309BHJP
F15B 11/02 20060101ALI20220309BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F15B21/14 A
F15B11/02 E
E02F9/22 C
E02F9/22 M
(21)【出願番号】P 2017125197
(22)【出願日】2017-06-27
【審査請求日】2020-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 信治
(72)【発明者】
【氏名】楠本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武久
(72)【発明者】
【氏名】中山 優樹
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0305455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0333903(US,A1)
【文献】特開昭53-080702(JP,A)
【文献】特開2016-080106(JP,A)
【文献】特開2016-017602(JP,A)
【文献】特開2013-104244(JP,A)
【文献】特開2011-220390(JP,A)
【文献】特開2004-324743(JP,A)
【文献】特開2004-324742(JP,A)
【文献】特開2003-130006(JP,A)
【文献】特開昭57-110859(JP,A)
【文献】特開昭57-110856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22,21/14
E02F 9/20- 9/24
F16H 61/452
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1閉ループを形成するように両方向ポンプと接続された旋回モータと、
第2閉ループを形成するように前記
旋回モータと接続された、
旋回減速操作時に前記
旋回モータから排出される作動油により回転される両方向モータと、
前記両方向モータにより回転されるフライホイールと、
前記両方向モータの傾転角を調整するレギュレータと、
前記
旋回モータに対する操作に基づいて前記レギュレータを制御する
とともに前記第2閉ループを通じた作動油の循環を禁止または許可する制御装置と、
ブームシリンダと、
前記ブームシリンダへ制御弁を介して作動油を供給する、エンジンにより駆動される供給ポンプと、
ブーム下げ操作時に前記ブームシリンダから排出される作動油により駆動され、前記フライホイールを回転させる回生モータと、
を備え、
前記制御装置は、旋回加速操作時または旋回等速操作時に、前記第2閉ループを通じた作動油の循環を許可することで、前記フライホイールに蓄積されたエネルギで駆動される前記両方向モータから吐出される圧油によって前記旋回モータを駆動する、油圧駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルや油圧クレーンのような建設機械やホイールローダのような産業車両では、油圧駆動システムによって各部が駆動される。このような油圧駆動システムとしては、従来、走行回路や旋回回路に油圧式無段変速機(HST)を用いたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、旋回減速操作時の運動エネルギを回生できるように構成された油圧駆動システムが開示されている。この油圧駆動システムでは、エンジンにより駆動される両方向ポンプ(オーバーセンターポンプともいう)が一対の給排ラインにより閉ループを形成するように旋回モータと接続される。また、エンジンは、旋回モータ以外の油圧アクチュエータへ作動油を供給する供給ポンプも駆動する。
【0004】
特許文献1に開示された油圧駆動システムでは、旋回減速操作時に、旋回モータから排出される作動油により両方向ポンプが駆動される。これにより、両方向ポンプがモータとして機能し、旋回減速操作時の運動エネルギによりエンジンによる供給ポンプの駆動がアシストされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された油圧駆動システムでは、供給ポンプが何れかの油圧アクチュエータへ作動油を供給している場合にしか旋回減速操作時の運動エネルギが回生されない。
【0007】
そこで、本発明は、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギを任意のタイミングで回生することができる油圧駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の一つの側面からの油圧駆動システムは、油圧モータと、第1閉ループを形成するように前記油圧モータと接続された、エンジンにより駆動されて前記油圧モータへ作動油を供給する両方向ポンプと、前記両方向ポンプの傾転角を調整する第1レギュレータと、第2閉ループを形成するように前記油圧モータと接続された、前記油圧モータに対する減速操作時に前記油圧モータから排出される作動油により駆動される両方向モータと、前記両方向モータにより回転されるフライホイールと、前記両方向モータの傾転角を調整する第2レギュレータと、前記油圧モータに対する操作に基づいて前記第1レギュレータおよび前記第2レギュレータを制御する制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギをフライホイールに蓄積することができる。従って、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギを任意のタイミングで回生することができる。例えば、油圧モータに対する加速操作時または等速操作時に、フライホイールによって両方向モータを駆動するとともに両方向モータの傾転角をゼロ以外として両方向モータをポンプとして機能させれば、フライホイールに蓄積したエネルギにより油圧モータを駆動することができる。あるいは、エンジンが油圧モータ以外の油圧アクチュエータへ作動油を供給する供給ポンプも駆動する場合には、油圧モータに対する加速操作時または等速操作時でなくても、油圧モータの出力軸をロック機構でロックした上で、フライホイールによって両方向モータを駆動するとともに両方向モータの傾転角をゼロ以外として両方向モータをポンプとして機能させれば、両方向ポンプがモータとして機能することになる。従って、フライホイールに蓄積したエネルギによりエンジンによる供給ポンプの駆動をアシストすることができる。
【0010】
上記の油圧駆動システムは、前記制御装置により制御される、前記第1閉ループを通じた作動油の循環を許可または禁止する第1切換弁と、前記制御装置により制御される、前記第2閉ループを通じた作動油の循環を許可または禁止する第2切換弁と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、第1閉ループを通じた循環の許可と禁止および第2閉ループを通じた循環の許可と禁止を瞬時に切り換えることができる。また、第1切換弁および第2切換弁が循環禁止状態で逆止弁として機能するように構成されていれば、両方向ポンプおよび両方向モータでの作動油の逆流を防止することができる。
【0011】
前記第1切換弁は、前記第1閉ループを通じた作動油の循環を禁止する中立状態と、第1方向への前記第1閉ループを通じた作動油の循環を許可する第1状態と、前記第1方向とは逆の第2方向への前記第1閉ループを通じた作動油の循環を許可する第2状態とに切り換え可能であり、前記第2切換弁は、前記第2閉ループを通じた作動油の循環を禁止する中立状態と、作動油が前記油圧モータを通過する向きが前記第1方向と同じである第3方向への前記第2閉ループを通じた作動油の循環を許可する第1状態と、前記第3方向とは逆の第4方向への前記第2閉ループを通じた作動油の循環を許可する第2状態とに切り換え可能であってもよい。この構成によれば、油圧モータに両方向ポンプと両方向モータの双方から作動油を供給する場合(第1切換弁および第2切換弁の双方が第1状態または第2状態に切り換えられる場合)に、第1閉ループまたは第2閉ループでの作業油の逆流を防止することができる。
【0012】
例えば、上記の油圧駆動システムは、前記油圧モータによって駆動される物体の速度を検出する速度検出器をさら備え、前記制御装置は、前記油圧モータに対する減速操作時に、前記第2切換弁を前記第1状態または前記第2状態に切り換え、前記減速操作後に前記速度検出器で検出される物体の速度がゼロとなったときに前記第2切換弁を中立状態に切り換えてもよい。
【0013】
上記の油圧駆動システムは、前記フライホイールの回転速度を検出する速度検出器をさらに備え、前記制御装置は、前記油圧モータに対する加速操作時および等速操作時に、前記第2検出器で検出される前記フライホイールの回転速度が前記所定値よりも大きければ、前記第2切換弁を前記第1状態または前記第2状態に切り換えるとともに、前記第1切換弁を前記中立状態に切り換え、前記速度検出器で検出される前記フライホイールの回転速度が所定値よりも小さければ、前記第1切換弁および前記第2切換弁の双方を前記第1状態または前記第2状態に切り換えてもよい。この構成によれば、油圧モータの駆動に、エンジンよりもフライホイールに蓄積したエネルギを優先的に使用し、フライホイールに蓄積したエネルギでは油圧モータの駆動に不十分な場合に、油圧モータに両方向ポンプと両方向モータの双方から作動油を供給することができる。
【0014】
上記の油圧駆動システムは、ブームシリンダと、前記ブームシリンダへ制御弁を介して作動油を供給する、前記エンジンにより駆動される供給ポンプと、ブーム下げ操作時に前記ブームシリンダから排出される作動油により駆動され、前記フライホイールを回転させる回生モータと、をさらに備えてもよい。この構成によれば、ブームの位置エネルギをフライホイールに蓄積することができるので、油圧モータの駆動にブームの位置エネルギをも利用することができる。
【0015】
また、本発明の別の側面からの油圧駆動システムは、油圧モータと、閉ループを形成するように前記油圧モータと接続された、前記油圧モータに対する減速操作時に前記油圧モータから排出される作動油により回転される両方向モータと、前記両方向モータにより回転されるフライホイールと、前記両方向モータの傾転角を調整するレギュレータと、前記油圧モータに対する操作に基づいて前記レギュレータを制御する制御装置と、ブームシリンダと、前記ブームシリンダへ制御弁を介して作動油を供給する、エンジンにより駆動される供給ポンプと、ブーム下げ操作時に前記ブームシリンダから排出される作動油により駆動され、前記フライホイールを回転させる回生モータと、を備える、ことを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギをフライホイールに蓄積することができる。従って、本発明の一つの側面からの油圧駆動システムと同様に、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギを任意のタイミングで回生することができる。さらに、上記の構成では、ブームの位置エネルギをフライホイールに蓄積することができるので、油圧モータの駆動にブームの位置エネルギをも利用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、油圧モータに対する減速操作時の運動エネルギを任意のタイミングで回生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システムのエンジンおよび旋回モータ回りの概略構成図である。
【
図2】
図1に示す油圧駆動システムのブームシリンダ回りの概略構成図である。
【
図3】建設機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システムのエンジンおよび旋回モータ回りの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1および
図2に、本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システム1Aを示し、
図3に、その油圧駆動システム1Aが搭載された建設機械10を示す。
図3に示す建設機械10は油圧ショベルであるが、本発明は、油圧クレーンなどの他の建設機械にも適用可能である。あるいは、本発明は、建設機械に限られず、ホイールローダのような産業車両にも適用可能である。
【0020】
本実施形態では、旋回回路にHSTが用いられ、走行回路にはHSTが用いられていない。つまり、本実施形態では、後述する旋回モータ16が本発明の油圧モータに相当する。ただし、旋回回路にHSTが用いられず、走行回路にHSTが用いられてもよい。この場合、後述する左走行モータおよび右走行モータのそれぞれが本発明の油圧モータに相当する。あるいは、旋回回路と走行回路の双方にHSTが用いられてもよい。
【0021】
図3に示す建設機械10は自走式であり、走行体11と、走行体11に旋回可能に支持された旋回体12を含む。走行体11は、後述する左走行モータおよび右走行モータによって駆動され、旋回体12は、後述する旋回モータ16によって駆動される。旋回体12には、操縦者を収容するキャビンが設けられているとともに、ブームが連結されている。ブームの先端にはアームが連結され、アームの先端にはバケットが連結されている。ただし、建設機械10は自走式でなくてもよい。
【0022】
油圧駆動システム1Aは、油圧アクチュエータとして、
図3に示すブームシリンダ13、アームシリンダ14およびバケットシリンダ15を含むとともに、
図1に示す旋回モータ16ならびに図略の左走行モータおよび右走行モータを含む。また、油圧駆動システム1Aは、旋回モータ16専用の両方向ポンプ23と、旋回モータ16以外の油圧アクチュエータへ制御弁を介して作動油を供給する供給ポンプ22を含む。両方向ポンプ23および供給ポンプ22は、エンジン21により駆動される。
【0023】
なお、
図1および
図2では、図面の簡略化のために、旋回モータ16およびブームシリンダ13以外の油圧アクチュエータを省略している。また、図例では、供給ポンプ22が1つだけ設けられているが、供給ポンプ22は複数設けられてもよい。
【0024】
両方向ポンプ23は、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプである。両方向ポンプ23の傾転角は、レギュレータ24(本発明の第1レギュレータに相当)により調整される。本実施形態では、両方向ポンプ23が、斜板がセンター(両方向ポンプ23の軸方向と直交する方向)から両側に傾倒可能な斜板ポンプである。すなわち、センターに対する斜板の角度が傾転角である。ただし、両方向ポンプ23は、斜軸がセンター(両方向ポンプ23の軸方向)から両側に傾倒可能な斜軸ポンプであってもよい。
【0025】
両方向ポンプ23は、一対の給排ライン4a,4bにより、第1閉ループ4を形成するように旋回モータ16と接続されている。つまり、給排ライン4a,4bの一方を通じて両方向ポンプ23から旋回モータ16へ作動油が供給され、給排ライン4a,4bの他方を通じて旋回モータ16から両方向ポンプ23へ作動油が排出される。
【0026】
なお、旋回モータ16の停止中は、旋回モータ16の出力軸が図略のロック機構によりロックされる。ロック機構は、例えば、旋回モータ16の出力軸を把持するように作動する油圧シリンダを含む。
【0027】
給排ライン4a,4b同士は、第1橋架路41、第2橋架路43および第3橋架路45によって接続されている。本実施形態では、第1橋架路41、第2橋架路43および第3橋架路45が、両方向ポンプ23から旋回モータ16に向かってこの順に並んでいる。ただし、第2橋架路43と第3橋架路45の位置は入れ替わってもよい。
【0028】
上述したエンジン21は、チャージポンプ25も駆動する。チャージポンプ25からタンクまでは循環ライン31が延びており、循環ライン31にはリリーフ弁32が設けられている。本実施形態では、循環ライン31におけるリリーフ弁32の下流側部分が両方向ポンプ23のドレンラインを兼ねている。
【0029】
第1橋架路41には、互いに逆向きに一対の逆止弁42が設けられている。第1橋架路41における逆止弁42の間の部分は、補給ライン33により循環ライン31におけるリリーフ弁32の上流側部分と接続されている。第2橋架路43には、互いに逆向きに一対のリリーフ弁44が設けられており、第3橋架路45には、互いに逆向きに一対の逆止弁46が設けられている。第2橋架路43におけるリリーフ弁44の間の部分は、中継ライン47により第3橋架路45における逆止弁46の間の部分と接続されている。
【0030】
給排ライン4a,4bは、それぞれリリーフライン48,49により切換弁37と接続されている。切換弁37からタンクまでは排出ライン38が延びており、排出ライン38にはリリーフ弁39が設けられている。本実施形態では、排出ライン38におけるリリーフ弁39の下流側部分が旋回モータ16のドレンラインを兼ねている。
【0031】
切換弁37は、給排ライン4a,4bの一方の圧力が高いときに、圧力が低い方である他方のラインを排出ライン38と連通するように構成されている。つまり、第2橋架路43に設けられたリリーフ弁44の一方が、旋回モータ16への供給側の圧力が設定値よりも高くなることを防ぎ、排出ライン38に設けられたリリーフ弁39が、旋回モータ16からの排出側の圧力が設定値よりも高くなることを防ぐ。
【0032】
上述したレギュレータ24は、電気信号により作動する。例えば、レギュレータ24は、両方向ポンプ23の斜板と連結されたサーボピストンに作用する油圧を電気的に変更するものであってもよいし、両方向ポンプ23の斜板と連結された電動アクチュエータであってもよい。
【0033】
レギュレータ24は、制御装置9により制御される。ただし、
図1では、図面の簡略化のために一部の信号線のみを描いている。制御装置9には、旋回操作装置67から出力される旋回操作信号が入力される。旋回操作装置67は、旋回操作信号として電気信号を出力する電気ジョイスティックである。
【0034】
旋回操作装置67は、旋回操作(旋回モータ16に対する操作)を受ける操作レバーを含み、操作レバーの傾倒角に応じた旋回操作信号(左旋回操作信号または右旋回操作信号)を出力する。つまり、旋回操作装置67から出力される旋回操作信号は、操作レバーの傾倒角(操作量)が大きくなるほど大きくなる。
【0035】
制御装置9は、旋回操作装置67から出力される旋回操作信号に基づいてレギュレータ24を制御する。例えば、制御装置9は、ROMやRAMなどのメモリとCPUを有し、ROMに格納されたプログラムがCPUにより実行される。なお、レギュレータ24の制御については、後述にて詳細に説明する。
【0036】
さらに、本実施形態では、両方向モータ26が、一対の給排ライン5a,5bにより、第2閉ループ5を形成するように、旋回モータ16と接続されている。つまり、給排ライン5aの旋回モータ16側の端部は上述した給排ライン4aの旋回モータ16側の端部と共通の流路となっており、給排ライン5bの旋回モータ16側の端部は上述した給排ライン4bの旋回モータ16側の端部と共通の流路となっている。
【0037】
両方向モータ26は、旋回減速時(旋回操作装置67から出力される旋回操作信号が減少するとき)に旋回モータ16から排出される作動油により駆動される。つまり、旋回減速時には、給排ライン5a,5bの一方を通じて旋回モータ16から両方向モータ26へ作動油が供給され、給排ライン5a,5bの他方を通じて両方向モータ26から旋回モータ16へ作動油が排出される。
【0038】
給排ライン5a,5b同士は、橋架路51によって接続されている。橋架路51には、互いに逆向きに一対の逆止弁52が設けられている。橋架路51における逆止弁52の間の部分は、補給ライン34により循環ライン31におけるリリーフ弁32の上流側部分と接続されている。
【0039】
両方向モータ26は、傾転角が変更可能な可変容量型のモータである。両方向モータ26の傾転角は、レギュレータ27(本発明の第2レギュレータに相当)により調整される。本実施形態では、両方向モータ26が、斜板がセンター(両方向モータ26の軸方向と直交する方向)から両側に傾倒可能な斜板モータである。すなわち、センターに対する斜板の角度が傾転角である。ただし、両方向モータ26は、斜軸がセンター(両方向モータ26の軸方向)から両側に傾倒可能な斜軸モータであってもよい。
【0040】
レギュレータ27は、電気信号により作動する。例えば、レギュレータ27は、両方向モータ26の斜板と連結されたサーボピストンに作用する油圧を電気的に変更するものであってもよいし、両方向モータ26の斜板と連結された電動アクチュエータであってもよい。
【0041】
レギュレータ27は、制御装置9により制御される。制御装置9は、旋回操作装置67から出力される旋回操作信号に基づいてレギュレータ27を制御する。なお、レギュレータ27の制御については、後述にて詳細に説明する。
【0042】
両方向モータ26は、フライホイール54を回転するためのものである。本実施形態では、両方向モータ26が、ギア列からなる増速機53を介してフライホイール54と連結されている。ただし、両方向モータ26がフライホイール54と直接的に連結されてもよい。また、本実施形態では、両方向モータ26と増速機53との間にクラッチが設けられていないが、両方向モータ26と増速機53との間には、トルク伝達を許容するか否かを切り換えるクラッチが設けられてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態では、フライホイール54が、増速機53およびワンウェイクラッチ55を介して回生モータ28と連結されている。ワンウェイクラッチ55は、回生モータ28から増速機53へのトルク伝達のみを許容する。
【0044】
旋回回路には、第1切換弁61および第2切換弁64が組み込まれている。第1切換弁61および第2切換弁64は、制御装置9により制御される。第1切換弁61は、上述した第1閉ループ4を通じた作動油の循環を許可または禁止し、第2切換弁64は、上述した第2閉ループ5を通じた作動油の循環を許可または禁止する。
【0045】
本実施形態では、第1切換弁61が、給排ライン4aに設けられた切換弁62と、給排ライン4bに設けられた切換弁63とで構成されている。また、第2切換弁64は、給排ライン5aに設けられた切換弁65と、給排ライン4bに設けられた切換弁66とで構成されている。
【0046】
切換弁62は、中立位置では、給排ライン4aを通じた両方向ポンプ23から旋回モータ16へ向かう流れは許容するが、その逆の流れは禁止する逆止弁として機能する。制御装置9から切換弁62へ指令電流が供給されて、切換弁62が作動位置に切り換わると、切換弁62は、双方向の流れを許容する。同様に、切換弁63は、中立位置では、給排ライン4bを通じた両方向ポンプ23から旋回モータ16へ向かう流れは許容するが、その逆の流れは禁止する逆止弁として機能する。制御装置9から切換弁63へ指令電流が供給されて、切換弁63が作動位置に切り換わると、切換弁63は、双方向の流れを許容する。
【0047】
つまり、第1切換弁61は、切換弁62および切換弁63が中立位置に位置する中立状態と、切換弁62が中立位置、切換弁63が作動位置に位置する第1状態と、切換弁62が作動位置、切換弁63が中立位置に位置する第2状態と、切換弁62および切換弁63が作動位置に位置する第3状態とに切り換え可能である。中立状態の第1切換弁61は、第1閉ループ4を通じた作動油の循環を禁止する。第1状態の第1切換弁61は、第1方向への第1閉ループ4を通じた作動油の循環を許可する一方、第1方向とは逆の第2方向への第1閉ループ4を通じた作動油の循環を禁止する。第2状態の第1切換弁61は、第2方向への第1閉ループ4を通じた作動油の循環を許可する一方、第1方向への第1閉ループ4を通じた作動油の循環を禁止する。第3状態の第1切換弁61は、第1方向および第2方向への第1閉ループ4を通じた作動油の循環を許容する。
【0048】
切換弁65は、中立位置では、給排ライン5aを通じた両方向モータ26から旋回モータ16へ向かう流れは許容するが、その逆の流れは禁止する逆止弁として機能する。制御装置9から切換弁65へ指令電流が供給されて、切換弁65が作動位置に切り換わると、切換弁65は、双方向の流れを許容する。同様に、切換弁66は、中立位置では、給排ライン4bを通じた両方向モータ26から旋回モータ16へ向かう流れは許容するが、その逆の流れは禁止する逆止弁として機能する。制御装置9から切換弁66へ指令電流が供給されて、切換弁66が作動位置に切り換わると、切換弁66は、双方向の流れを許容する。
【0049】
つまり、第2切換弁64は、切換弁65および切換弁66が中立位置に位置する中立状態と、切換弁65が中立位置、切換弁66が作動位置に位置する第1状態と、切換弁65が作動位置、切換弁66が中立位置に位置する第2状態と、切換弁65および切換弁66が作動位置に位置する第3状態とに切り換え可能である。中立状態の第2切換弁64は、第2閉ループ5を通じた作動油の循環を禁止する。第1状態の第2切換弁64は、作動油が旋回モータ16を通過する向きが第1方向と同じである第3方向への第2閉ループ5を通じた作動油の循環を許可する一方、第3方向とは逆の第4方向への第2閉ループ5を通じた作動油の循環を禁止する。第2状態の第2切換弁64は、第4方向への第2閉ループ5を通じた作動油の循環を許可する一方、第3方向への第2閉ループ5を通じた作動油の循環を禁止する。第3状態の第2切換弁64は、第3方向および第4方向への第2閉ループ5を通じた作動油の循環を許容する。
【0050】
上述した第1橋架路41および補給ライン33は、第1切換弁61により第1閉ループ4を通じた作動油の循環が禁止されたときに、両方向ポンプ23の吸入側でのキャビテーションを防止する役割を果たす。同様に、橋架路51および補給ライン34は、第2切換弁64により第2閉ループ5を通じた作動油の循環が禁止されたときに、両方向モータ26の吸入側でのキャビテーションを防止する役割を果たす。
【0051】
上述した供給ポンプ22は、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプ(斜板ポンプまたは斜軸ポンプ)である。供給ポンプ22の傾転角は図略のレギュレータにより調整される。供給ポンプ22の吐出流量は、油圧ネガティブコントロール方式、電気ポジティブコントロール方式、ロードセンシング方式のいずれで制御されてもよい。
【0052】
供給ポンプ22は、供給ライン71によりブーム制御弁73を含む複数の制御弁(ブーム制御弁73以外は図示せず)と接続されている。ブーム制御弁73は、ブーム上げ供給ライン75およびブーム下げ供給ライン74によりブームシリンダ13と接続されている。本実施形態では、供給ライン71からブリードライン72が分岐しており、このブリードライン72が複数の制御弁を通過するセンターブリードラインとなっている。ただし、ブリードライン72が複数の制御弁を通過せず、ブリードライン72にアンロード弁が設けられてもよい。また、ブーム制御弁73は、タンクライン76によりタンクと接続されている。
【0053】
ブーム制御弁73は、ブーム操作装置68が操作されることによって、中立位置からブーム上げ作動位置(
図1の左側位置)またはブーム下げ作動位置(
図1の右側位置)に切り換えられる。ブーム上げ作動位置では、ブーム制御弁73は、ブーム上げ供給ライン75を供給ライン71と連通するとともに、ブーム下げ供給ライン74をタンクライン76と連通する。一方、ブーム下げ作動位置では、ブーム制御弁73は、ブーム下げ供給ライン74を供給ライン71と連通するとともに、ブーム上げ供給ライン75をタンクライン76と連通する。
【0054】
本実施形態では、ブーム制御弁73が油圧パイロット式であり、一対のパイロットポートを有する。ただし、ブーム制御弁73は、電磁パイロット式であってもよい。
【0055】
ブーム操作装置68は、ブーム操作(ブームシリンダ13に対する操作)を受ける操作レバーを含み、操作レバーの傾倒角に応じたブーム操作信号(ブーム上げ操作信号またはブーム下げ操作信号)を出力する。つまり、ブーム操作装置68から出力されるブーム操作信号は、操作レバーの傾倒角(操作量)が大きくなるほど大きくなる。
【0056】
本実施形態では、ブーム操作装置68がブーム操作信号として電気信号を出力する電気ジョイスティックである。ブーム操作装置68から出力されるブーム操作信号は、制御装置9に入力される。
【0057】
制御装置9は、ブーム制御弁73がブーム操作信号に応じた開口面積となるように、図略の一対の電磁比例弁を介してブーム制御弁73を制御する。ただし、ブーム操作装置68は、ブーム操作信号としてパイロット圧を出力するパイロット操作弁であってもよい。この場合、ブーム制御弁73のパイロットポートがパイロットラインによりパイロット操作弁であるブーム操作装置68と接続される。また、ブーム操作装置68がパイロット操作弁である場合、ブーム操作装置68から出力されるパイロット圧が圧力センサにより検出されて制御装置9へ入力される。
【0058】
上述した回生モータ28は、ブーム下げ操作時(ブーム操作装置68からブーム下げ操作信号が出力されるとき)にブームシリンダ13から排出される作動油により駆動され、フライホイール54を回転させる。そのための構成として、タンクライン76には、回生弁81が設けられている。また、回生弁81は、回生ライン82により回生モータ28と接続されている。ただし、回生弁81は、ブーム上げ供給ライン75に設けられてもよい。
【0059】
回生モータ28は、傾転角が変更可能な可変容量型のモータ(斜板モータまたは斜軸モータ)である。回生モータ28の傾転角は図略のレギュレータにより調整される。例えば、回生モータ28用のレギュレータは、ブーム操作信号に基づいて制御装置9により制御される。ただし、回生モータ28は、固定容量型のモータであってもよい。
【0060】
回生弁81は、タンクライン76をブーム制御弁73側の上流流路とタンク側の下流流路とに分断するようにタンクライン76に設けられている。回生弁81は、中立位置では、タンクライン76の上流流路を下流流路と連通する。回生弁81は、制御装置9により制御される。回生弁81は、ブーム下げ操作時に作動位置に切り換えられ、タンクライン76の上流流路を回生ライン82と連通する。
【0061】
回生ライン82には、逆止弁83が設けられている。また、回生ライン82における逆止弁83の下流側部分は、逆止弁36が設けられた補給ライン35により循環ライン31におけるリリーフ弁32の上流側部分と接続されている。補給ライン35は、回生弁81が中立位置に位置するときに、回生モータ28の吸入側でのキャビテーションを防止する役割を果たす。
【0062】
さらに、回生ライン82における逆止弁83の下流側部分からはリリーフライン84が分岐しており、このリリーフライン84にリリーフ弁85が設けられている。また、回生ライン82における逆止弁83の下流側部は、逆止弁87が設けられた補給ライン86によりタンクと接続されている。
【0063】
次に、制御装置9が行うレギュレータ24,27ならびに第1切換弁61および第2切換弁64の制御について説明する。制御装置9は、旋回操作装置67およびブーム操作装置68だけでなく、第1速度検出器91および第2速度検出器92とも電気的に接続されている。第1速度検出器91は旋回体12の速度を検出し、第2速度検出器92はフライホイール54の回転速度を検出する。
【0064】
まず、建設機械10の起動時などで、フライホイール54にエネルギが蓄積されていない状態、すなわち第2速度検出器92で検出されるフライホイール54の回転速度がゼロの状態からの制御を説明する。この初期状態では、第1切換弁61および第2切換弁64は、中立状態に維持される。
【0065】
旋回操作装置67の操作レバーが傾倒されることによって旋回操作が開始されると、制御装置9は、旋回操作信号の種類(左旋回か右旋回か)に応じて、第1切換弁61を第1状態または第2状態に切り換える。また、制御装置9は、旋回加速操作時(旋回操作装置67から出力される旋回操作信号が増加するとき)および旋回等速操作時(旋回操作装置67から出力される旋回操作信号がゼロ以外で一定のとき)に、旋回操作信号が大きくなるにつれて旋回操作信号の種類(左旋回か右旋回か)に応じた方向における両方向ポンプ23の吐出流量が大きくなるように、レギュレータ24を制御する。
【0066】
さらに、旋回加速操作時および旋回等速操作時は、旋回減速操作の開始直後に両方向モータ26を駆動するために、制御装置9は、両方向モータ26の傾転角が旋回操作信号の種類および大きさに応じた角度となるようにレギュレータ27を制御する。
【0067】
旋回操作装置67の操作レバーが中立位置に向かって戻される旋回減速操作時は、制御装置9は、第2切換弁64を旋回操作信号の種類(左旋回か右旋回か)に応じて第1状態または第2状態に切り換えるとともに、第1切換弁61を中立状態に切り換える。これと同時に、制御装置9は、両方向ポンプ23の傾転角がゼロとなるようにレギュレータ24を制御する。
【0068】
例えば、旋回加速操作時に第1切換弁61が第1状態であれば、旋回減速操作時に第2切換弁64を第1状態に切り換えて、第1方向の作動油の循環を第3方向の作動油の循環にシフトする。これにより、旋回モータ16から排出される作動油により両方向モータ26が駆動され、フライホイール54に旋回減速操作時の運動エネルギが蓄積される。ただし、旋回減速操作時には、第2切換弁64を第1状態または第2状態に切り換える代わりに、第3状態に切り換えてもよい。
【0069】
旋回減速操作後、第1速度検出器91で検出される旋回体12の速度がゼロとなったときに、制御装置9は、第2切換弁64を中立状態に切り換える。これと同時に、制御装置9は、両方向モータ26の傾転角がゼロとなるようにレギュレータ27を制御する。
【0070】
フライホイール54にエネルギが蓄積されている状態、すなわち第2速度検出器92で検出されるフライホイール54の回転速度がゼロでない状態で旋回操作が開始されると、制御装置9は、旋回操作信号の種類に応じて、第2切換弁64を第1状態または第2状態に切り換える。また、制御装置9は、旋回加速操作時および旋回等速操作時に、旋回操作信号が大きくなるにつれて旋回操作信号の種類(左旋回か右旋回か)に応じた方向における両方向モータ26の吐出流量が大きくなるように、レギュレータ27を制御する。
【0071】
さらに、両方向モータ26から旋回モータ16へ作動油を供給するときは、フライホイール54に蓄積されたエネルギ量に基づいて、両方向ポンプ23からも旋回モータ16へ作動油を供給するか否かが切り換えられる。
【0072】
具体的に、制御装置9は、第2速度検出器92で検出されるフライホイール54の回転速度Vfが所定値Vsよりも大きければ(Vf>Vs)、第1切換弁61を中立状態に維持する。一方、フライホイール54の回転速度Vfが所定値Vsよりも小さければ(Vf<Vs)、制御装置9は、旋回操作信号の種類に応じて、第1切換弁61を第1状態または第2状態に切り換える。さらに、制御装置9は、旋回操作信号の大きさに基づいて両方向ポンプ23用のレギュレータ24を制御する。
【0073】
例えば、第2切換弁64が第1状態であれば、第1切換弁61も第1状態に切り換えて、第1方向の作動油の循環と第3方向の作動油の循環とを可能にする。これにより、両方向モータ26と両方向ポンプ23の双方から旋回モータ16へ作動油が供給される。
【0074】
フライホイール54の回転速度がゼロでない場合の旋回減速操作時は、制御装置9は上述したフライホイール54の回転速度がゼロである場合と同様の制御を行う。
【0075】
このように、本実施形態では、旋回加速操作時または旋回等速操作時に、フライホイール54によって両方向モータ26を駆動するとともに両方向モータ26の傾転角をゼロ以外として両方向モータ26をポンプとして機能させれば、フライホイール54に蓄積したエネルギにより旋回モータ16を駆動することができる。
【0076】
一方、フライホイール54にエネルギが蓄積されている場合には、旋回操作が行われなくても、フライホイール54に蓄積されたエネルギを利用することは可能である。例えば、旋回操作以外の操作が行われて、供給ポンプ22が少なくとも1つの油圧アクチュエータへ作動油を供給する場合には、制御装置9は、旋回モータ16の出力軸を上述した図略のロック機構でロックした上で、フライホイール54によって両方向モータ26を駆動するとともに両方向モータ26の傾転角をゼロ以外として両方向モータ26をポンプとして機能させれば、両方向ポンプ23がモータとして機能することになる。従って、フライホイール54に蓄積したエネルギによりエンジン21による供給ポンプ22の駆動をアシストすることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の油圧駆動システム1Aでは、旋回減速操作時の運動エネルギをフライホイール54に蓄積することができる。従って、旋回減速操作時の運動エネルギを任意のタイミングで回生することができる。
【0078】
また、本実施形態では、第1切換弁61および第2切換弁64のそれぞれが第1状態または第2状態では一方向のみの循環を許可するので、旋回モータ16に両方向ポンプ23と両方向モータ26の双方から作動油を供給する場合(第1切換弁61および第2切換弁64の双方が第1状態または第2状態に切り換えられる場合)に、第1閉ループ4または第2閉ループ5での作業油の逆流を防止することができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、フライホイール54の回転速度が大きい場合は第2切換弁64のみが第1状態または第2状態に切り換えられ、フライホイール54の回転速度が小さい場合は第1切換弁61および第2切換弁64の双方が第1状態または第2状態に切り換えられる。従って、旋回モータ16の駆動に、エンジン21よりもフライホイール54に蓄積したエネルギを優先的に使用し、フライホイール54に蓄積したエネルギでは旋回モータ16の駆動に不十分な場合に、旋回モータ16に両方向ポンプ23と両方向モータ26の双方から作動油を供給することができる。
【0080】
また、本実施形態では、回生モータ28が設けられていてブームの位置エネルギもフライホイール54に蓄積することができるので、旋回モータ16の駆動にブームの位置エネルギをも利用することができる。
【0081】
(第2実施形態)
図4に、本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システム1Bを示す。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。また、
図4では、
図1に示す増速機53、フライホイール54、ワンウェイクラッチ55および回生モータ28を省略する。
【0082】
本実施形態では、第1切換弁61は、第1実施形態の切換弁62,63を組み合わせたような単一の3位置弁である。つまり、第1切換弁61の中立位置が第1実施形態で説明した中立状態であり、第1切換弁61の一方の作動位置(
図4では上側位置)が第1実施形態で説明した
第1状態であり、第1切換弁61の他方の作動位置(
図4では下側位置)が第1実施形態で説明した
第2状態である。
【0083】
同様に、第2切換弁64は、第1実施形態の切換弁65,66を組み合わせたような単一の3位置弁である。つまり、第2切換弁64の中立位置が第1実施形態で説明した中立状態であり、第2切換弁64の一方の作動位置(
図4では上側位置)が第1実施形態で説明した
第1状態であり、第2切換弁64の他方の作動位置(
図4では下側位置)が第1実施形態で説明した
第2状態である。
【0084】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、本発明が建設機械に適用される場合、油圧駆動システム(1Aまたは1B)において、ブームの位置エネルギは非常に大きなために、両方向ポンプ23および第1切換弁61を省略して、フライホイール54に蓄積したエネルギのみで旋回モータを駆動することが可能である。この場合、第2切換弁64も省略されてもよい。
【0087】
あるいは、本発明が、走行回路にHSTが用いられた産業車両に適用される場合、ブームシリンダ13および回生モータ28が省略されてもよい。
【0088】
また、第1および第2実施形態においては、第1切換弁61および第2切換弁64を省略して、レギュレータ24,27の制御のみで第1閉ループ4を通じた作動油の循環および/または第2閉ループ5を通じた作動油の循環を許可したり禁止したりすることができる。ただし、第1および第2実施形態のように第1切換弁61および第2切換弁64が設けられていれば、第1閉ループ4を通じた循環の許可と禁止および第2閉ループ5を通じた循環の許可と禁止を瞬時に切り換えることができる。また、第1切換弁61および第2切換弁64が循環禁止状態で逆止弁として機能するように構成されていれば、両方向ポンプ23および両方向モータ26での作動油の逆流を防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
1A,1B 油圧駆動システム
13 ブームシリンダ
16 旋回モータ(油圧モータ)
21 エンジン
22 供給ポンプ
23 両方向ポンプ
24 レギュレータ(第1レギュレータ)
26 両方向モータ
27 レギュレータ(第2レギュレータ)
28 回生モータ
4 第1閉ループ
5 第2閉ループ
54 フライホイール
61 第1切換弁
64 第2切換弁
73 ブーム制御弁
9 制御装置
91 第1速度検出器
92 第2速度検出器