(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】供給装置及びそれを備えるロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/06 20060101AFI20220310BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220310BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20220310BHJP
B65B 43/44 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
B65G47/06
B25J13/00 A
B65G47/91 B
B65B43/44 A
(21)【出願番号】P 2017226310
(22)【出願日】2017-11-24
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長廣 一平
(72)【発明者】
【氏名】三井 栄二
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-189221(JP,A)
【文献】特開2003-211096(JP,A)
【文献】実開平04-088424(JP,U)
【文献】実開平05-024627(JP,U)
【文献】実開平05-065809(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/20
B25J 13/00
B65G 47/91
B65B 43/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを繰り出して供給するための供給装置であって、
前記複数のワークを積層された状態で収容するための収容部と、
前記収容部に沿って延びる第1レール及び第2レールと、
前記第1レール上を移動する第1移動子、及び前記第2レール上を移動する第2移動子と、
前記第1移動子に対して着脱可能に設けられる第1押圧部材、及び前記第2移動子に対して着脱可能に設けられる第2押圧部材と、
前記第1移動子を前端に向けて付勢する第1付勢部材、及び前記第2移動子を前端に向けて付勢する第2付勢部材と、を備え、
前記第1移動子と前記第2移動子とは互いに規制されずに移動可能であり、且つ、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との何れによっても前記収容部の後端を区画することができることを特徴とする、供給装置。
【請求項2】
前記第1付勢部材は前記第1レールに沿って延びる第1定荷重バネとして構成され、前記第2付勢部材は前記第2レールに沿って延びる第2定荷重バネとして構成される、請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記収容部の前端で前記収容部に収容された複数のワークの位置決めと前記位置決めの開放とを繰り返す位置決め機構をさらに備え、
前記位置決め機構は、一方が内向きに突出すると他方が外向きに引っ込み、且つ、一方が外向きに引っ込むと他方が内向きに突出する一対の位置決め部材を有し、
前記一対の位置決め部材の一方は内向きに突出することで前記収容部に収容された複数のワークのうちで最も前端に位置するワークの前面に当接するように配置され、且つ、前記一対の位置決め部材の他方は内向きに突出することで前記最も前端に位置するワークの1つ後端側に位置するワークの前面に当接するように配置される、
請求項1又は2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記一対の位置決め部材は、一対のロッド部材として構成され、
前記一対のロッド部材は、内外方向に対向させて2組設けられる、請求項3に記載の供給装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記複数のワークを水平方向に積層された状態で収容する、請求項1乃至4のいずれかに記載の供給装置。
【請求項6】
前記ワークは食品を収容する容器又は前記容器の蓋である、請求項1乃至5のいずれかに記載の供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の供給装置と、前記供給装置の収容部に収容された複数のワークと、前記供給装置から供給されるワークを搬送するためのロボットと、を備えるロボットシステムであって、
前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられるエンドエフェクタと、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを制御するためのロボット制御部と、を有し、
前記エンドエフェクタは、前記収容部に収容された複数のワークのうちで最も前端に位置するワークを保持して搬送することを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは、前記最も前端に位置するワークを前面から吸引することで保持する、請求項7に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置及びそれを備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のワークを繰り出して供給するための供給装置が知られている。このような供給装置として、例えば、特許文献1にはカップ供給装置が提案されている。
【0003】
特許文献1のカップ供給装置は、多数のカップを上下に積み重ねたカップユニットを第1のカップストッカーの水平面上に縦横に配列し、これらのカップユニットの最前列のカップユニットを昇降装置の保持部により受け取って昇降移動させるとともに、移動させたカップユニットを第1のカップストッカーよりも下方の第2のカップストッカーに供給する。そして、当該第2のカップストッカー内にストックされているカップは、カップフイーダーにより下から順番に1個ずつ取り出され、食品製造ラインに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1のカップ供給装置は、食品製造ラインに供給されるカップ(ワーク)を第1のカップストッカーから第2のカップストッカーに補充する構造を備える。しかし、特許文献1のカップ供給装置は、第1のカップユニットを昇降装置により受け取って昇降移動させる必要があるなど、装置構成が複雑であると共にカップの補充に時間が掛かってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な装置構成で時間をかけずにワークを補充することができる供給装置及びそれを備えるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る供給装置は、複数のワークを繰り出して供給するための供給装置であって、前記複数のワークを積層された状態で収容するための収容部と、前記収容部に沿って延びる第1レール及び第2レールと、前記第1レール上を移動する第1移動子、及び前記第2レール上を移動する第2移動子と、前記第1移動子に対して着脱可能に設けられる第1押圧部材、及び前記第2移動子に対して着脱可能に設けられる第2押圧部材と、前記第1移動子を前端に向けて付勢する第1付勢部材、及び前記第2移動子を前端に向けて付勢する第2付勢部材と、を備え、前記第1移動子と前記第2移動子とは互いに規制されずに移動可能であり、且つ、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との何れによっても前記収容部の後端を区画することができることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、収容部の後端を区画する第1又は第2押圧部材の何れか一方の後方において収容部に補充すべきワークを載置したあと、第1又は第2押圧部材の何れか他方を当該補充すべきワークの後方で対応する第1又は第2移動子に取付け、且つ第1又は第2押圧部材の何れか一方を対応する第1又は第2移動子から取り外すことで、収容部にワークを補充することができる。また、このあとで収容部にワークをさらに補充したい場合も、第1又は第2押圧部材の一方と他方とを上記の場合と入れ替えて同様の手順を繰り返せばよい。上記の通りであるため、本発明に係る供給装置は、簡単な装置構成で時間をかけずにワークを補充することができる。
【0009】
前記第1付勢部材は前記第1レールに沿って延びる第1定荷重バネとして構成され、前記第2付勢部材は前記第2レールに沿って延びる第2定荷重バネとして構成されてもよい。
【0010】
上記構成によれば、第1及び第2付勢部材それぞれの変位によらず一定の力で対応する第1及び第2移動子を前端に向けて付勢することができる。したがって、収容部に収容されたワークをその数量によらず一定の力で押圧することが可能となる。
【0011】
前記収容部の前端で前記収容部に収容された複数のワークの位置決めと前記位置決めの開放とを繰り返す位置決め機構をさらに備え、前記位置決め機構は、一方が内向きに突出すると他方が外向きに引っ込み、且つ、一方が外向きに引っ込むと他方が内向きに突出する一対の位置決め部材を有し、前記一対の位置決め部材の一方は内向きに突出することで前記収容部に収容された複数のワークのうちで最も前端に位置するワークの前面に当接するように配置され、且つ、前記一対の位置決め部材の他方は内向きに突出することで前記最も前端に位置するワークの1つ後端側に位置するワークの前面に当接するように配置されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、収容部に収容された複数のワークを最も前端に位置するワークから1つずつ所望のタイミングで繰出して供給することが可能となる。
【0013】
前記一対の位置決め部材は、一対のロッド部材として構成され、前記一対のロッド部材は、内外方向に対向させて2組設けられてもよい。
【0014】
上記構成によれば、収容部に収容された複数のワークの位置決めと当該位置決めの開放とを簡単な構成で確実に行うことができる。
【0015】
前記収容部は、前記複数のワークを水平方向に積層された状態で収容してもよい。
【0016】
上記構成によれば、設置スペースが限られている場合であっても、本発明に係る供給装置が当該設置スペースに適合し易くなる。
【0017】
例えば、前記ワークは食品を収容する容器又は前記容器の蓋であってもよい。
【0018】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットシステムは、上記のいずれかに記載の供給装置と、前記供給装置の収容部に収容された複数のワークと、前記供給装置から供給されるワークを搬送するためのロボットと、を備えるロボットシステムであって、前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられるエンドエフェクタと、前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタを制御するためのロボット制御部と、を有し、前記エンドエフェクタは、前記収容部に収容された複数のワークのうちで最も前端に位置するワークを保持して搬送することを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、本発明に係るロボットシステムは、簡単な装置構成で時間をかけずにワークを補充することができる供給装置からワークをロボットに供給しつつワークを搬送することができる。
【0020】
前記エンドエフェクタは、前記最も前端に位置するワークを前面から吸引することで保持してもよい。
【0021】
上記構成によれば、設置スペースが限られている場合であっても、本発明に係るロボットシステムを当該設置スペースに適合し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な装置構成で時間をかけずにワークを補充することができる供給装置及びそれを備えるロボットシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る供給装置を備えるロボットシステムの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る供給装置を備えるロボットシステムにおけるロボットの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る供給装置を備えるロボットシステムにおけるロボットのエンドエフェクタを示す図であり、(A)が平面図であり、(B)が側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る供給装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る供給装置の収容部の前端部分を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る供給装置の後端区画機構の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係る供給装置及びそれを備えるロボットシステムについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0025】
(ロボットシステム10)
図1は、本実施形態に係る供給装置を備えるロボットシステムの全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、ロボットシステム10は、本実施形態に係る供給装置30と、供給装置30の収容部50に収容された複数の蓋W(ワーク)と、供給装置30から供給される蓋Wを搬送するためのロボット11と、食品が収容された複数の容器W´を
図1中手前側から奥側に向かって搬送するベルトコンベヤ90と、を備える。
【0026】
(ロボット11)
主に
図2及び
図3に基づいて、ロボット11について説明する。
図2は、本実施形態に係る供給装置を備えるロボットシステムにおけるロボットの正面図である。
図3は、同ロボットのエンドエフェクタを示す図であり、(A)が平面図であり、(B)が側面図である。本実施形態に係るロボット11は、食品を収容する容器W´を搬送するためのベルトコンベヤ90に沿うように配置され、当該ベルトコンベヤ90で搬送されてくる容器W´に蓋Wで蓋をする作業を行う。
【0027】
ロボット11は、台車に固定されたベース12と、ベース12に支持された第1ロボットアーム13a及び第2ロボットアーム13b(以下単に「一対のロボットアーム13a、13b」ということがある。)と、第1ロボットアーム13aの先端部に接続される第1エンドエフェクタ20a、及び第2ロボットアーム13bの先端部に接続される第2エンドエフェクタ20bと、ベース12内に収納されたロボット制御部28と、を備えている。ロボット11は、例えば、人一人分に相当する限られたスペース(例えば610mm×620mm)に設置することができる。
【0028】
以下では、一対のロボットアーム13a、13bを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
【0029】
(一対のロボットアーム13a、13b)
第1ロボットアーム13a(図中向かって左側のロボットアーム)及び第2ロボットアーム13b(図中向かって右側のロボットアーム)は、それぞれ、ベース12に対して移動可能に構成された水平多関節型のロボットアームである。一対のロボットアーム13a、13bは、それぞれ、アーム部15と、リスト部17と、を備えている。また、第1ロボットアーム13aの先端部には第1エンドエフェクタ20aが取り付けられ、且つ、第2ロボットアーム13bの先端部には第2エンドエフェクタ20bが取り付けられる。
【0030】
アーム部15は、本例では、第1リンク15a及び第2リンク15bで構成されている。第1リンク15aは、ベース12の上面に固定された基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸L1まわりに回動可能である。第2リンク15bは、第1リンク15aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク15aの先端に規定された回転軸L2まわりに回動可能である。
【0031】
リスト部17は、第1エンドエフェクタ20a又は第2エンドエフェクタ20bが取り付けられるメカニカルインターフェイス19を有し、第2リンク15bの先端と直動関節J3及び回転関節J4を介して連結されている。リスト部17は、直動関節J3によって、第2リンク15bに対し昇降移動可能である。リスト部17は、回転関節J4によって、第2リンク15bに対し垂直な回転軸L3まわりに回動可能である。
【0032】
上記構成の一対のロボットアーム13a、13bは、それぞれ、関節J1~J4を有する。そして、一対のロボットアーム13a、13bには、それぞれ、関節J1~J4に対応付けられるように、図示しない駆動用サーボモータ、及び当該サーボモータの回転角を検出する図示しないエンコーダ等が設けられている。また、第1ロボットアーム13aの第1リンク15aにおける回転軸L1と、第2ロボットアーム13bの第1リンク15aにおける回転軸L1とは同一直線上に設けられ、第1ロボットアーム13aの第1リンク15aと第2ロボットアーム13bの第1リンク15aとは、上下に高低差を設けて配置されている。
【0033】
(第1及び第2エンドエフェクタ20a,20b)
図3に示すように、第1エンドエフェクタ20aは、メカニカルインターフェイス19に接続される基端部21と、平面視においてX字形状の支持板22と、基端部21と支持板22とを接続する側面視において直角三角形状の中間部23と、支持板22の底面における中央部から下方へと延び、負圧を利用して蓋Wの上面を吸引することで当該蓋Wを保持する吸引部24と、X字形状の支持板22の底面における4つの端部それぞれから下方へと延び、その先端が蓋Wを保持したときに当該蓋Wの上面に当接又はほぼ当接する当接部25と、を有する。
【0034】
第2エンドエフェクタ20bは、蓋Wによって蓋をされた容器W´をベルトコンベヤ90の下流側で保持して例えば番重などまで搬送するためのものであるが、当該容器W´を保持して搬送可能な構造であればその構造は任意であるため、
図2においてブラックボックスとして破線で囲んで示してある。例えば、第2エンドエフェクタ20bは、蓋Wで蓋をされた容器W´を幅方向に挟持することで保持してもよい。
【0035】
(ロボット制御部28)
本実施形態に係るロボット制御部28は、一対のロボットアーム13a、13b、並びに第1エンドエフェクタ20a及び第2エンドエフェクタ20bを制御する。ロボット制御部28の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することにより実現される構成であってもよい。
【0036】
(供給装置30)
図4は、本実施形態に係る供給装置の全体構成を示す斜視図である。
図4に示すように、本実施形態に係る供給装置30は、食品製造現場の載置面に載置される架台40と、複数の蓋W(ワーク)を積層された状態で収容するための収容部50と、収容部50の前端で収容部50に収容された複数の蓋Wの位置決めと当該位置決めの開放とを繰り返す位置決め機構60と、収容部50に収容された複数の蓋Wの後端を区画するための後端区画機構70と、を備える。
【0037】
(架台40)
架台40は、12本のフレーム42a~42lを含んで構成された略直方体形状の外形を有する。具体的には、架台40は、水平方向に延びて略直方体形状の底面における4辺を構成するフレーム42a~42dと、フレーム42a~42dによって構成される底面における4つの角部から鉛直方向上向きに延びるフレーム42e~42hと、フレーム42e~42hの上端近傍においてフレーム42eとフレーム42fとを互いに結ぶように水平方向に延びるフレーム42iと、フレーム42e~42hの上端近傍においてフレーム42gとフレーム42hとを互いに結ぶように水平方向に延びるフレーム42jと、フレーム42eの上端とフレーム42hの上端とを互いに結ぶように水平方向に延びるフレーム42kと、フレーム42fの上端とフレーム42gの上端とを互いに結ぶように水平方向に延びるフレーム42lと、を含んで構成される。
【0038】
フレーム42a~42dによって構成される底面の4つの角部それぞれには、下方に延びて載置面に当接する載置部44が設けられる。また、載置部44それぞれの近傍にはキャスタ46が設けられる。
【0039】
(収容部50)
収容部50は、架台40の上端部において前後方向に延びるように設けられる。収容部50は、架台40のフレーム42iの上面における左右方向の中央部と同フレーム42jの上面における左右方向の中央部とを互いに結ぶように前後方向に延びる2本のシャフト54a及び54bと、架台40のフレーム42kに支持されて当該フレーム42kの内側上方を前後方向に延びる枠部材56a、架台40のフレーム42lに支持されて当該フレーム42lの内側上方を前後方向に延びる枠部材56bと、を含んで構成される。
【0040】
本実施形態に係る収容部50は、シャフト54a及び54bで複数の蓋Wの底部を支持し、且つ、枠部材56a及び56bで複数の蓋Wの側部を支持することで、複数の蓋Wを水平方向に積層された状態で収容可能である。
【0041】
なお、蓋Wとは別のワークを収容部50に収容する場合、そのワークの幅寸法に応じて枠部材56aと枠部材56bとの間隔を調整可能な構造としてもよい。このとき、例えば、インジケータを設けて枠部材56aと枠部材56bとの間隔を数値で読み取れるようにすることで利便性を向上させてもよい。
【0042】
(位置決め機構60)
図5は、本実施形態に係る供給装置の収容部の前端部分を示す斜視図である。
図5に示すように、位置決め機構60は、収容部50の前端に沿うように設けられる。位置決め機構60は、一方が内向きに突出すると他方が外向きに引っ込み、且つ、一方が外向きに引っ込むと他方が内向きに突出する一対のロッド部材62(一対の位置決め部材)を有する。本実施形態では、一対のロッド部材62は、内外方向(又は左右方向)に対向させて2組設けられる。
【0043】
一対のロッド部材62のうちで前側に配置されるロッド部材(一対の位置決め部材の一方)は、内向きに突出することで収容部50に収容された複数の蓋Wのうちで最も前端に位置する蓋Wの前面に当接するように配置される。また、一対のロット部材62のうちで後側に配置されるロッド部材(一対の位置決め部材の他方)は、内向きに突出することで最も前端に位置する蓋Wの1つ後端側に位置する蓋Wの前面に当接するように配置される。
【0044】
一対のロッド部材62のうちで後側に配置されるロッド部材の先端には、ロッド部材と比較して幅寸法が小さい先端部材64が設けられてもよい。これにより、最も前端に位置する蓋Wと当該蓋Wの1つ後端側に位置する蓋Wとの間に上記後側に配置されるロッド部材を容易に挿入することが可能となる。
【0045】
(後端区画機構70)
図6は、本実施形態に係る供給装置の後端区画機構の構造を示す概略図である。後端区画機構70は、収容部50に沿って延びる第1レール72a及び第2レール72bと、第1レール72a上を摺動する(移動する)第1移動子74a、及び第2レール72b上を摺動する(同前)第2移動子74bと、第1移動子74aに対して着脱可能に設けられる第1押圧部材76a、及び第2移動子74bに対して着脱可能に設けられる第2押圧部材76bと、第1レール72aに沿って延び、第1移動子74aを前端に向けて付勢する第1定荷重バネ78a(第1付勢部材)、及び第2レール72bに沿って延び、第2移動子74bを前端に向けて付勢する第2定荷重バネ78b(第2付勢部材)と、を有する。
【0046】
本実施形態では、第1レール72aは、架台40のフレーム42kの下方及び同フレーム42lの下方のそれぞれに前後方向に延びて設けられる一対のレール部材によって構成される。また、第1移動子74aは、当該一対のレール部材を接続するように幅方向に延びて設けられる。同様に、第2レール72bは、架台40のフレーム42kの下方且つ上記第1レール72aの上方及び同フレーム42lの下方且つ上記第1レール72aの上方のそれぞれに前後方向に延びて設けられる一対のレール部材によって構成される。また、第2移動子74bは、当該一対のレール部材を接続するように幅方向に延びて設けられる。
【0047】
上記構成によれば、第1レール72aと第2レール72bとは互いに上下方向にずれて設けられるため、第1移動子74aと第2移動子74bとは互いに規制されずに移動可能であり、且つ、第1押圧部材76aと第2押圧部材76bとの何れによっても収容部50の後端を区画することができる。
【0048】
(効果)
本実施形態に係る供給装置30は、上記構成を備えることで、収容部50の後端を区画する第1又は第2押圧部材76a、76bの何れか一方の後方において収容部50に補充すべき蓋Wを載置したあと、第1押圧部材76a又は第2押圧部材76bの何れか他方を当該補充すべき蓋Wの後方で対応する第1移動子74a又は第2移動子74bに取付け、且つ第1押圧部材76a又は第2押圧部材76bの何れか一方を対応する第1移動子74a又は第2移動子74bから取り外すことで、収容部50に蓋Wを補充することができる。また、このあとで収容部50に蓋Wをさらに補充したい場合も、第1又は第2押圧部材76a、76bの一方と他方とを上記の場合と入れ替えて同様の手順を繰り返せばよい。上記の通りであるため、本実施形態に係る供給装置30は、簡単な装置構成で時間をかけずに蓋Wを補充することができる。
【0049】
本実施形態では、第1定荷重バネ78a(第1付勢部材)が第1移動子74aを前端に向けて付勢し、第2定荷重バネ78b(第2付勢部材)が第2移動子74bを前端に向けて付勢する。これにより、第1及び第2定荷重バネ78a、78bそれぞれの変位によらず一定の力で対応する第1及び第2移動子74a、74bを前端に向けて付勢することができる。したがって、収容部50に収容された蓋Wをその数量によらず一定の力で押圧することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る供給装置30は、収容部50の前端で当該収容部50に収容された複数の蓋Wの位置決めと当該位置決めの開放とを繰り返す位置決め機構60をさらに備える。これにより、供給装置30は、収容部50に収容された複数の蓋Wを最も前端に位置する蓋Wから1つずつ所望のタイミングで繰出して供給することが可能となる。
【0051】
本実施形態では、位置決め機構60が有する一対のロッド部材62は、内外方向に対向させて2組設けられる。これにより、収容部50に収容された複数の蓋Wの位置決めと当該位置決めの開放とを簡単な構成で確実に行うことができる。
【0052】
本実施形態では、収容部50は、複数の蓋Wを水平方向に積層された状態で収容する。これにより、設置スペースが限られている場合であっても、本実施形態に係る供給装置30が当該設置スペースに適合し易くなる。
【0053】
本実施形態に係るロボットシステム10は、簡単な装置構成で時間をかけずに蓋Wを補充することができる供給装置30から蓋Wをロボット11に供給しつつ蓋Wを搬送することができる。
【0054】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0055】
上記実施形態では、第1移動子74aは、第1レール72a上を摺動する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1移動子74はaは、第1レール72a上を車輪で移動してもよいし、その他の態様で移動してもよい。
【0056】
上記実施形態では、第1付勢部材が第1定荷重バネ78aとして構成され、第2付勢部材が第2定荷重バネ78bとして構成される場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、第1及び第2付勢部材は、それぞれ、定荷重ではない単純なバネとして構成されてもよいし、電動式モータを用いることで構成されてもいし、その他の付勢部材として構成されてもよい。
【0057】
上記実施形態では、供給装置30が、収容部50の前端で当該収容部50に収容された複数の蓋Wの位置決めと当該位置決めの開放とを繰り返す位置決め機構60を備える場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、供給装置30は、位置決め機構60を備えなくてもよく、これにより一層簡単な構成とすることが可能となる。
【0058】
上記実施形態では、一対の位置決め部材は、一対のロッド部材62として構成され、一対のロッド部材62は、内外方向に対向させて2組設けられる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、一対の位置決め部材は、平面視における蓋Wの面積と同程度の面積を各々が有する一対の平板状の部材として構成されてもよい。これにより、一対の位置決め部材を内外方向に対向させて2組設けなくても、収容部50に収容された複数の蓋Wの位置決めと当該位置決めの開放とを確実に行うことができる。
【0059】
上記実施形態では、収容部50は、複数の蓋Wを水平方向に積層された状態で収容する場合について説明したが、これに限定されない。収容部50は、複数の蓋Wを例えば鉛直方向に積層された状態で収容させるなど、設置スペースに応じた任意の方向に積層された状態で収容することが可能である。
【0060】
上記実施形態では、ワークは食品を収容する容器の蓋Wである場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ワークは、食品を収容する容器W´であってもよいし、収容部50に積層された状態で収容することが可能なその他のワークであってもよい。
【0061】
上記実施形態では、供給装置30から供給される蓋Wをロボット11で搬送する場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、供給装置30から供給される蓋Wをロボット11以外の任意の装置で搬送してもよいし、人手によって搬送してもよい。
【0062】
上記実施形態では、エンドエフェクタは、最も前端に位置する蓋Wを前面から吸引することで保持する第1エンドエフェクタ20aとして構成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、エンドエフェクタは、最も前端に位置する蓋Wを厚さ方向に挟持することで保持するものであってもよい。
【0063】
上記実施形態では、ロボットシステム10は、供給装置30を1台のみ備える場合について説明したが、これに限定されず、供給装置30を複数台備えてもよい。例えば、2台の供給装置30を備えることで、一方の供給装置30から複数の蓋Wを繰り出して供給している間に、他方の供給装置30に複数の蓋Wを補充するようにしてもよい。これにより、ロボット11に対して蓋Wを途切れることなく供給し続けることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10 ロボットシステム
11 ロボット
12 ベース
13a 第1ロボットアーム
13b 第2ロボットアーム
15 アーム部
15a 第1リンク
15b 第2リンク
16 基軸
17 リスト部
19 メカニカルインターフェイス
20a 第1エンドエフェクタ
20b 第2エンドエフェクタ
21 基端部
22 支持板
23 中間部
24 吸引部
25 当接部
28 ロボット制御部
30 供給装置
40 架台
42 フレーム
44 載置部
46 キャスタ
50 収容部
54 シャフト
56 枠部材
60 位置決め機構
62 一対のロッド部材
64 先端部材
70 後端区画機構
72 レール
74 移動子
76 押圧部材
78 付勢部材
80 架台
90 ベルトコンベヤ
W 蓋
W´ 容器