(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220310BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A61F13/15 390
A61F13/15 311A
A61F13/49 312A
(21)【出願番号】P 2019074171
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】小澤特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 尊敬
(72)【発明者】
【氏名】清水 常男
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0071155(US,A1)
【文献】国際公開第2017/110122(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/075163(WO,A1)
【文献】特開平9-294769(JP,A)
【文献】特開2010-63716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性物品は、
前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、
肌面シートと、
前記肌面シートの肌面側に配置され、かつ前記幅方向に伸縮性を有するウエストバンドと、
前記ウエストバンドの前記幅方向の中央よりも前記幅方向の両外側において前記ウエストバンドと前記肌面シートとを接合する接着剤が配置された一対のサイド接合領域と、を有し、
前記吸収性物品の製造方法は、
前記ウエストバンドを構成するバンドシート材が連続したバンドシート連続体を含み、かつ伸縮性を有するバンド連続体を搬送する工程と、
前記バンド連続体に前記接着剤を塗布して前記一対のサイド接合領域を設ける工程と、
前記接着剤が塗布された前記バンド連続体を切断する工程と、
前記バンド連続体の切断によって得られた前記ウエストバンドを、前記肌面シートを構成するシート材が連続したシート連続体を含む本体連続体へ搬送する工程と、
前記本体連続体への前記ウエストバンドの受け渡しにおいて、前記接着剤を介して前記ウエストバンドを前記本体連続体へ接合する工程と、を備え、
前記バンド連続体を搬送する工程は、複数の吸引孔が形成された複数の保持部を備えた回転ドラム装置を用いて、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるように前記バンド連続体を前記複数の保持部の少なくともいずれかによって保持した状態で、前記バンド連続体を周方向に搬送する工程を有し、
前記バンド連続体を切断する工程では、前記周方向への搬送によって前記複数の保持部のうち少なくとも2つの保持部に跨がった前記バンド連続体を切断し、
前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態を維持したまま、前記ウエストバンドを前記本体連続体へ搬送する、吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記バンド連続体は、前記バンドシート連続体が厚さ方向に重なることによって構成される複数のシート層を有し、
前記バンド連続体を搬送する工程では、前記厚さ方向の一方側において最も外側に配置されているシート層と前記厚さ方向の他方側において最も外側に配置されているシート層とのうち伸縮力が高いシート層が前記保持部に当接するように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記バンド連続体は、前記バンドシート連続体が厚さ方向に重なることによって構成される複数のシート層を有し、
前記バンド連続体を搬送する工程では、前記複数のシート層のうち隣接するシート層どうしが接合されたバンド接合領域が前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記回転ドラム装置の径方向に沿った回転軸を中心として、前記ウエストバンドの受け渡し点までに、前記保持部を90度回転させる請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記ウエストバンドは、前記ウエストバンドの前記幅方向の端縁から前記幅方向の内側へ延びる領域であって、かつ前記伸縮性を有する弾性部材が接合されていない非伸縮領域を有し、
前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記非伸縮領域が前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態で前記ウエストバンドを搬送する請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記保持部は、前記バンド連続体に当接する当接面を有し、
前記当接面は、
前記バンド連続体の搬送方向における中央に配置されている中央当接面と、
前記搬送方向において前記中央当接面を挟むように配置され、かつ前記複数の吸引孔が形成された外側当接面と、を有し、
前記外側当接面の摩擦係数は、前記中央当接面の摩擦係数よりも高く、
前記バンド連続体を搬送する工程では、前記外側当接面が前記バンド連続体に当接するように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
前記保持部は、前記バンド連続体に当接する当接面を有し、
前記当接面は、
前記バンド連続体の搬送方向における中央に配置されている中央当接面と、
前記搬送方向において前記中央当接面を挟むように配置され、かつ前記複数の吸引孔が形成された一対の外側当接面と、を有し、
前記一対の外側当接面が前記中央当接面に対して前記回転ドラム装置の回転軸側へ傾斜することによって、前記一対の外端当接面と前記中央当接面との間に一対の角部が設けられ、
前記バンド連続体を前記周方向に搬送する工程では、前記バンド連続体が前記一対の角部のそれぞれを跨がるように前記バンド連続体を前記周方向に搬送する請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、肌面シートの肌面側に配置され、かつ幅方向に伸縮性を有するウエストバンドを有する吸収性物品が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の吸収性物品では、接着剤を介してウエストバンドを肌面シートに接合することによって、股下域側に向かって開口する空間が形成されている。当該空間は、ウエスト開口側に移動する排泄物を収容するポケットとして機能し、ウエスト開口から排泄物が漏れることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウエストバンドは、伸縮性を有するため、ウエストバンドを肌面シートに接合する際に、収縮によって、ウエストバンドに皺が発生したり、ウエストバンドが捲れたりすることがある。このため、ウエストバンドを狙った形状で肌面シートに接合できない虞があった。
【0006】
また、ウエストバンドを構成するシート材が連続したシート連続体を含み、かつ伸縮性を有するバンド連続体を切断することによって、ウエストバンドが製造される。この切断の際に、バンド連続体に力が加えられることで、製造されたウエストバンドを保持する位置がズレることがある。これにより、位置がズレた状態でウエストバンドが肌側シートに接合される虞があった。
【0007】
そこで、狙い通りにウエストバンドを肌面シートに接合可能な吸収性物品の製造方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る吸収性物品の製造方法では、前記吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、肌面シートと、前記肌面シートの肌面側に配置され、かつ前記幅方向に伸縮性を有するウエストバンドと、前記ウエストバンドの前記幅方向の中央よりも前記幅方向の両外側において前記ウエストバンドと前記肌面シートとを接合する接着剤が配置された一対のサイド接合領域と、を有する。前記吸収性物品の製造方法は、前記ウエストバンドを構成するバンドシート材が連続したバンドシート連続体を含み、かつ伸縮性を有するバンド連続体を搬送する工程と、前記バンド連続体に前記接着剤を塗布して前記一対のサイド接合領域を設ける工程と、前記接着剤が塗布された前記バンド連続体を切断する工程と、前記バンド連続体の切断によって得られた前記ウエストバンドを、前記肌面シートを構成するシート材が連続したシート連続体を含む本体連続体へ搬送する工程と、前記本体連続体への前記ウエストバンドの受け渡しにおいて、前記接着剤を介して前記ウエストバンドを前記本体連続体へ接合する工程と、を備える。前記バンド連続体を搬送する工程は、複数の吸引孔が形成された複数の保持部を備えた回転ドラム装置を用いて、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるように前記バンド連続体を前記複数の保持部の少なくともいずれかによって保持した状態で、前記バンド連続体を周方向に搬送する工程を有する。前記バンド連続体を切断する工程では、前記周方向への搬送によって前記複数の保持部のうち少なくとも2つの保持部に跨がった前記バンド連続体を切断する。前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態を維持したまま、前記ウエストバンドを前記本体連続体へ搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た模式平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す吸収性物品の2A-2A断面に沿った模式断面図である。
【
図3】
図3は、伸長状態における
図1に示すB-B線に沿った模式断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す断面を基準とした吸収性物品10の着用状態を示す図である。
【
図5】
図5は、伸長状態におけるウエストバンドを説明するための模式平面図である。
【
図6】
図6は、吸収性物品の製造工程を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、回転ドラム装置を示す模式斜視図である。
【
図8】
図8は、回転ドラム装置を示す模式平面図である。
【
図9】
図9は、保持部を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、吸収性物品の製造方法を模式的に示した図(その1)である。
【
図11】
図11は、吸収性物品の製造方法を模式的に示した図(その2)である。
【0010】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
一態様に係る吸収性物品の製造方法では、前記吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、肌面シートと、前記肌面シートの肌面側に配置され、かつ前記幅方向に伸縮性を有するウエストバンドと、前記ウエストバンドの前記幅方向の中央よりも前記幅方向の両外側において前記ウエストバンドと前記肌面シートとを接合する接着剤が配置された一対のサイド接合領域と、を有する。前記吸収性物品の製造方法は、前記ウエストバンドを構成するバンドシート材が連続したバンドシート連続体を含み、かつ伸縮性を有するバンド連続体を搬送する工程と、前記バンド連続体に前記接着剤を塗布して前記一対のサイド接合領域を設ける工程と、前記接着剤が塗布された前記バンド連続体を切断する工程と、前記バンド連続体の切断によって得られた前記ウエストバンドを、前記肌面シートを構成するシート材が連続したシート連続体を含む本体連続体へ搬送する工程と、前記本体連続体への前記ウエストバンドの受け渡しにおいて、前記接着剤を介して前記ウエストバンドを前記本体連続体へ接合する工程と、を備える。前記バンド連続体を搬送する工程は、複数の吸引孔が形成された複数の保持部を備えた回転ドラム装置を用いて、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるように前記バンド連続体を前記複数の保持部の少なくともいずれかによって保持した状態で、前記バンド連続体を周方向に搬送する工程を有する。前記バンド連続体を切断する工程では、前記周方向への搬送によって前記複数の保持部のうち少なくとも2つの保持部に跨がった前記バンド連続体を切断する。前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記一対のサイド接合領域のそれぞれが前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態を維持したまま、前記ウエストバンドを前記本体連続体へ搬送する。
【0012】
サイド接合領域は接着剤によって通気性が低くなるため、サイド接合領域と重なっているバンド連続体の部分(以下、接合重複部)は、接合領域と重なっていないバンド連続体の部分(以下、非接合重複部分)と比べて、吸着され易い。従って、一対のサイド接合領域のそれぞれが複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるようにバンド連続体及びウエストバンドを保持することで、一対の接合重複部分を強く吸着できる。これにより、一対の接合重複部分が移動し難くなり、一対の接合重複部分を固定できる。一対の接合重複部分の間の部分が収縮するためには、一対の接合重複部分も一緒に収縮する必要があるため、一対の接合重複部分を固定することで、一対の接合重複部分の間の部分が収縮することも抑制できる。従って、バンド連続体及びウエストバンドが伸縮性を有しているものの、バンド連続体を搬送する工程及びウエストバンドを搬送する工程において、バンド連続体及びウエストバンドの収縮を抑制して、ウエストバンドを狙い通りに肌面シートに接合できる。
【0013】
加えて、少なくとも2つの保持部に跨がるまでバンド連続体が周方向に搬送されるため、バンド連続体の周方向に延びる部分が、回転ドラム装置の回転中心の方向への力を受ける。従って、周方向に搬送されるバンド連続体が保持部に押さえ付けられることで、バンド連続体の周方向に延びる部分と保持部との間に強い摩擦力が働き、バンド連続体の収縮がさらに抑制される。これにより、バンド連続体が保持部にしっかりと固定された状態で、バンド連続体を切断することができ、切断に伴ってウエストバンドの保持位置がズレることを抑制できる。
【0014】
一対のサイド接合領域のそれぞれが複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態を維持したまま、ウエストバンドを本体連続体へ搬送するため、ウエストバンドをしっかりと保持したまま、ウエストバンドを肌側シートへ接合することができる。これにより、狙い通りにウエストバンドを肌面シートに接合できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記バンド連続体は、前記バンドシート連続体が厚さ方向に重なることによって構成される複数のシート層を有し、前記バンド連続体を搬送する工程では、前記厚さ方向の一方側において最も外側に配置されているシート層と前記厚さ方向の他方側において最も外側に配置されているシート層とのうち伸縮力が高いシート層が前記保持部に当接するように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る。
【0016】
保持部に近い程、強く吸着されるため、伸縮力が高いシート層、すなわち、収縮し易いシート層に保持部が当接するように、回転ドラム装置がバンド連続体を受け取ることにより、バンド連続体を強く吸着した状態で搬送できる。これにより、搬送中にバンド連続体が収縮することを抑制できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記バンド連続体は、前記バンドシート連続体が厚さ方向に重なることによって構成される複数のシート層を有し、前記バンド連続体を搬送する工程では、前記複数のシート層のうち隣接するシート層どうしが接合されたバンド接合領域が前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なるように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る。
【0018】
バンド接合領域は、通気性が低くなるため、バンド接合領域と重なっている部分は、バンド接合領域と重なっていない部分と比べて強く吸着できる。従って、吸引孔がバンド接合領域と重なることで、バンド連続体及びウエストバンドをさらにしっかりと保持することができる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記回転ドラム装置の径方向に沿った回転軸を中心として、前記ウエストバンドの受け渡し点までに、前記保持部を90度回転させる。
【0020】
ウエストバンドを本体連続体へ受け渡すまでに、ウエストバンドの配置方向を90度回転させることができる。従って、設備の配置上、製造されたウエストバンドの配置方向が、狙った配置から90度ズレていたとしても、バンド連続体の搬送方向と本体連続体の搬送方向とを直交方向に重ねることができる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記ウエストバンドは、前記ウエストバンドの前記幅方向の端縁から前記幅方向の内側へ延びる領域であって、かつ前記伸縮性を有する弾性部材が接合されていない非伸縮領域を有し、前記ウエストバンドを搬送する工程では、前記非伸縮領域が前記複数の吸引孔の少なくともいずれかと重なった状態で前記ウエストバンドを搬送する。
【0022】
非伸縮領域では、弾性部材に起因した収縮が発生しないため、ウエストバンドの端部において皺が形成され難い。従って、ウエストバンドの端部(非伸縮領域)の全面においてウエストバンドが吸引孔に近づいている状態を維持でき、ウエストバンドを強く吸着し易い。これにより、ウエストバンドが収縮することを抑制でき、ウエストバンドを狙い通りに肌面シートに接合できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記保持部は、前記バンド連続体に当接する当接面を有し、前記当接面は、前記バンド連続体の搬送方向における中央に配置されている中央当接面と、前記搬送方向において前記中央当接面を挟むように配置され、かつ前記複数の吸引孔が形成された外側当接面と、を有し、前記外側当接面の摩擦係数は、前記中央当接面の摩擦係数よりも高く、前記バンド連続体を搬送する工程では、前記外側当接面が前記バンド連続体に当接するように、前記回転ドラム装置が前記バンド連続体を受け取る。
【0024】
これにより、外側当接面では、中央当接面に比べて、バンド連続体及びウエストバンドが摩擦によって収縮し難くなり、一対の接合重複部分をさらに固定できる。これにより、バンド連続体及びウエストバンドをさらにしっかりと保持し続けることができる、狙い通りにウエストバンドを肌面シートに接合できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記保持部は、前記バンド連続体に当接する当接面を有し、前記当接面は、前記バンド連続体の搬送方向における中央に配置されている中央当接面と、前記搬送方向において前記中央当接面を挟むように配置され、かつ前記複数の吸引孔が形成された一対の外側当接面と、を有し、前記一対の外側当接面が前記中央当接面に対して前記回転ドラム装置の回転軸側へ傾斜することによって、前記一対の外端当接面と前記中央当接面との間に一対の角部が設けられ、前記バンド連続体を前記周方向に搬送する工程では、前記バンド連続体が前記一対の角部のそれぞれを跨がるように前記バンド連続体を前記周方向に搬送する。
【0026】
バンド連続体は、一対の外側当接面において吸引孔によって強く保持されるとともに、バンド連続体が一対の角部のそれぞれを跨がることで、角部において保持部に強く押さえ付けられる。これにより、バンド連続体と角部(保持部)との間に強い摩擦力が働き、バンド連続体の収縮がさらに抑制される。これにより、バンド連続体が保持部にしっかりと固定される。
【0027】
(2)吸収性物品の概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の製造方法を用いて製造される吸収性物品の一例について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0028】
吸収性物品10は、テープ型の使い捨ておむつである。
図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た模式平面図である。
図2は、
図1に示す吸収性物品の2A-2A断面に沿った模式断面図である。
図2に示す模式断面図では、説明の便宜上、各部材を厚さ方向Tにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。
図1及び
図2は、伸長状態の吸収性物品を示している。なお、本明細書における伸長状態とは、吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。また、本明細書における自然状態とは、パッケージに収容されている吸収性物品10にあっては、パッケージから吸収性物品10を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
図3は、伸長状態における吸収性物品の前後方向に沿った模式断面図である。
図3Aは、伸長状態における
図1に示す3A-3A線に沿った模式断面図である。
図3Bは、伸長状態における
図1に示す3B-3B線に沿った模式断面図である。
図4は、
図3Aに示す断面を基準とした吸収性物品10の着用状態を示す図である。
図4に示すBLは、着用者の身体のラインを示している。
図5は、伸長状態におけるウエストバンドを説明するための模式平面図である。
図5Aは、後述する第1シート層811を肌面側から見た模式平面図である。
図5Bは、後述する第2シート層812を肌面側から見た模式平面図である。
図5Cは、後述する第3シート層813を肌面側から見た模式平面図である。
【0029】
吸収性物品10は、前後方向L及び前後方向Lに直交する幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された吸収性物品10において前後に延びる方向である。また、吸収性物品10は、厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側T1と反対側の非肌面側T2と、に延びる。
【0030】
吸収性物品10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域であり、装着時に身体(臀部)が載せられる領域を含む。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。従って、股下域S3は、前胴回り域S1及び後胴回り域S2からなる2つの胴回り域の間に配置されている。股下域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部65が設けられた領域である。脚回り開口部65は、吸収性物品10の外側縁から幅方向Wの内側に凹む部分である。
【0031】
吸収性物品10は、本体部11とウエストバンド80とによって構成される。本体部11は、ウエストバンド80よりも非肌面側T2に配置されている部材により構成される。従って、本体部11は、吸収性物品10を構成する部材のうち、ウエストバンド80を除いた部材により構成されている。本実施形態では、本体部11(吸収性物品10)は、吸収コア31、肌面シート20、非肌面シート25、腰回り弾性部材45、ファスニングテープ90を有する。
【0032】
吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、図示しないコアラップによって覆われてよい。コアラップは、テッシュ又はSMS不織布によって構成されてよい。
【0033】
図2に示すように、肌面シート20は、吸収コア31よりも肌面側T1に位置する。肌面シート20は、吸収コア31を覆い、かつ吸収性物品10の全体に亘って配置されている。肌面シート20は、表面シート21と一対のサイドシート22とを含んでよい。なお、コアラップを有する吸収性物品にあっては、肌面シート20は、コアラップよりも肌面側T1に位置するシートである。
【0034】
表面シート21は、吸収コア31の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。一対のサイドシート22は、表面シート21の両外側部を覆うように配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。
【0035】
非肌面シート25は、吸収コア31よりも非肌面側T2に位置する。非肌面シート25は、吸収コア31を覆い、かつ吸収性物品10の全体に亘って配置されている。非肌面シート25は、裏面シート23と外装シート24とを含んでよい。なお、コアラップを有する吸収性物品にあっては、非肌面シート25は、コアラップよりも非肌面側T2に位置するシートである。
【0036】
裏面シート23は、液不透過性のシートであり、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。外装シート24は、裏面シート23の非肌面側T2に設けられてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。
【0037】
腰回り弾性部材45は、少なくとも後胴回り域S2に配置されており、幅方向Wに伸縮性を有する弾性部材である。腰回り弾性部材45の収縮によって、着用時に吸収性物品10が腰回りにフィットする。腰回り弾性部材45は、サイドシート22と裏面シート23との間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。腰回り弾性部材45は、幅方向Wに伸縮する略矩形の伸縮シートによって構成されてよい。腰回り弾性部材45は、幅方向Wに伸長した状態で、吸収コア31と非肌面シート25の間、又は肌面シート20と非肌面シート25の間に接合されてよい。
【0038】
ファスニングテープ90は、後胴回り域S2に設けられている。ファスニングテープ90は、ベース部92と係止部93を有する。ベース部92の少なくとも一部は、肌面シート20と非肌面シート25の間に接合され、かつ肌面シート20と非肌面シート25から幅方向Wの外側に延出する。係止部93は、ベース部92上に設けられ、ターゲット部95(
図1参照)に着脱可能に止着される。ファスニングテープ90は、後胴回り域S2において幅方向Wに沿って延び、ターゲット部95に止着されることにより、吸収性物品10を着用者の身体に保持する。ターゲット部95は、前胴回り域S1に配置されており、ファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。
【0039】
ウエストバンド80は、肌面シート20の肌面側T1に配置される(
図2及び
図3参照)。ウエストバンド80は、幅方向Wに伸縮性を有する。ウエストバンド80は、前胴回り域S1及び後胴回り域S2の少なくとも一方の胴回り域に配置されてよい。本実施形態では、ウエストバンド80は、後胴回り域S2に配置されている。ウエストバンド80は、接着剤(接合部83)を介して肌面シート20(本体部11)と接合されている。ウエストバンド80の前端縁は、吸収性物品10の伸長状態において、吸収性物品10の前端縁よりも内側に位置してよいし(
図1参照)、吸収性物品10の前端縁と重なっていてもよい。
【0040】
ウエストバンド80は、後述するバンド連続体80C(バンドシート材)が厚さ方向Tにおいて重なることによって構成される複数のシート層81と、少なくともいずれかのシート層81に接合されたバンド弾性部材82と、を有してよい。
【0041】
本実施形態では、複数のシート層81は、第1シート層811、第2シート層812、第3シート層813により構成されている。複数のシート層81は、同一のバンドシート材が折り返されることによって、同一のバンドシート材により構成されている。
【0042】
第1シート層811は、複数のシート層81のうち最も肌面側T1に配置されている。第2シート層812は、第1シート層811と第3シート層813との間に配置されている。第3シート層813は、複数のシート層81のうち最も非肌面側T2に配置されている。第1シート層811は、厚さ方向Tの一方側において最も外側に配置されており、第3シート層813は、厚さ方向Tの他方側において最も外側に配置されている。
【0043】
バンド弾性部材82は、幅方向Wに伸縮する部材である。バンド弾性部材82は、糸状又は帯状の弾性部材によって構成されている。バンド弾性部材82は、幅方向Wに伸長した状態で、シート層81に固定されている。これにより、ウエストバンド80は、幅方向Wに伸縮性を有する。実施形態では、バンド弾性部材82は、第3シート層813の非肌面側T2に固定されている。本実施形態では、バンド弾性部材82は、第1バンド弾性部材821から第4バンド弾性部材824によって構成されている。
【0044】
複数のシート層81は、接合部83によって接合されている。具体的には、第1シート層811は、第1接合部831を介して肌面シート20と接合されている。また、第1シート層811と第2シート層812とは、第2接合部832を介して接合されている。第2シート層812と第3シート層813とは、第3接合部833を介して接合されている。従って、接合部83は、ウエストバンド80(第1シート層811)を肌面シート20に接合する接合部(第1接合部831)と、ウエストバンド80どうしを接合する接合部83(第2接合部832、第3接合部833)によって構成されてよい。
【0045】
吸収性物品10は、肌面シート20(本体部11)とウエストバンド80とが接合された接合領域BRを有する。接合領域BRは、第1接合部831によって構成されている。接合領域BRは、中央接合領域CBRと、一対のサイド接合領域SBRとを有する(
図5A参照)。中央接合領域CBRは、ウエストバンド80の幅方向Wの中央においてウエストバンド80と肌面シート20とを接合する接着剤が塗布された領域である。一対のサイド接合領域SBRは、ウエストバンド80の幅方向Wの中央よりも幅方向Wの両外側においてウエストバンド80と肌面シート20とを接合する接着剤が塗布された領域である。接着剤は、例えば、ホットメルト型接着剤(HMA)を用いることができる。なお、ウエストバンド80の幅方向Wの中央は、ウエストバンド80の幅方向Wの中心を含む所定幅を有する領域である。ウエストバンド80の幅方向Wの中央は、後述する収容空間ASの幅によって規定されてよい。収容空間ASよりも幅方向Wの外側の領域がサイド接合領域SBRであってよい。
【0046】
吸収性物品10(ウエストバンド80)は、ウエストバンド80どうしが接合されたバンド接合領域BBRを有する。従って、バンド接合領域BBRは、複数のシート層81のうち隣接するシート層81どうしが接合された領域である。本実施形態では、バンド接合領域BBRは、第2接合部832を介して第1シート層811と第2シート層812とが接合された第1バンド接合領域BBR1と、第3接合部833を介して第2シート層812と第3シート層813とが接合された第2バンド接合領域BBR2と、を有する。
【0047】
また、ウエストバンド80は、伸縮性を有する伸縮領域STRと伸縮性を有さない非伸縮領域NSTRとを有する。
図2及び
図5Cに示すように、幅方向Wにおいて、バンド弾性部材82が配置されている領域が伸縮領域STRであり、バンド弾性部材82が配置されていない領域が非伸縮領域NSTRである。非伸縮領域NSTRは、ウエストバンド80の幅方向Wの端縁80Eから幅方向Wの内側へ延びる領域であって、バンド弾性部材82が接合されていない領域である。なお、第3シート層813には、バンド弾性部材82が接合されているため、第3シート層813の伸縮力は、第1シート層811の伸縮力よりも高い。
【0048】
なお、各シート層81の伸縮力は、例えば、次の方法にて測定できる。シート層81に生じていた皺が視認出来なくなる程にシート層81を前後方向Lに最大に伸長した状態での、シート層81の有効長部分の幅方向Wの長さH0を測定する。次に、自然状態でのシート層81の幅方向Wの長さH1を測定する。そして、「伸縮力=H1/H0」によって、シート層81の収縮力を算出できる。
【0049】
図4に示すように、吸収性物品10には、股下域S3側に向かって開口する空間(収容空間AS)が形成されている。ウエストバンド80は、伸縮性を有するため、着用者の身体から本体部11が離れた場合に、ウエストバンド80の接合されていない部分が肌面シート20から浮き上がる。収容空間ASは、ウエスト開口66側に移動する排泄物を収容するポケットとして機能する。これにより、ウエスト開口66から排泄物が漏れることを抑制できる。なお、ウエスト開口66は、吸収性物品10の後端縁と前端縁によって構成され、ファスニングテープ90がターゲット部95に止着した状態で腰回りを囲む部分である。
【0050】
(3)吸収性物品の製造装置の構成
次に、吸収性物品10の製造装置100の構成について、
図6から
図9を用いて説明する。
図6は、吸収性物品の製造工程を説明するための概略図である。
図7は、回転ドラム装置を示す模式斜視図である。
図8は、回転ドラム装置を示す模式平面図である。
図9は、保持部を説明するための模式図である。
図9A及び
図9Bは、保持部132を吸着面側から見た模式図である。
図9Cは、保持部132の模式断面図である。なお、
図9Bは、保持部132がウエストバンド80を保持している状態を示す。
図9Cは、保持部132がバンド連続体80Cを保持している状態を示す。
【0051】
図6に示すように、吸収性物品10の製造装置100は、接合装置110と、折り装置120と、回転ドラム装置130と、切断装置140と、を有してよい。
【0052】
接合装置110は、接合部83を設けるための装置である。接合装置110は、第1接合部831を設けるための第1接合装置111と、第2接合部832を設けるための第2接合装置112と、第3接合部833を設けるための第3接合装置113と、を有してよい。
【0053】
折り装置120は、バンド連続体80C(バンドシート材)を折るための装置である。折り装置120は、第1折り装置121と、第2折り装置122と、を有してよい。回転ドラム装置130は、回転ドラム131と、複数の吸引孔135が形成された複数の保持部132とを備える。
【0054】
回転ドラム装置130は、回転軸131Aを基準に回転することによって、バンド連続体80C及びウエストバンド80を周方向CIDに搬送する装置である。回転ドラム装置130は、受け取り点P1においてバンド連続体80Cを保持部132上に受け取り、回転ドラム131の回転に伴って回転ドラム131の周方向CIDに沿ってバンド連続体80Cを搬送する。また、回転ドラム装置130は、バンド連続体80Cの切断によって得られたウエストバンド80を周方向CIDに沿って搬送し、受け渡し点P2においてウエストバンド80を後述する本体連続体11Cへ受け渡す。
【0055】
回転ドラム装置130は、回転ドラム131の径方向RDに沿った回転軸132Aを中心として保持部132を回転させてウエストバンド80の方向を転換してよい。回転ドラム131は、回転ドラム131内に、回転機構を有してよい。具体的には、回転ドラム131は、保持部132を本体連続体11Cへ搬送する間に、回転機構によって保持部132を90度回転してよい。また、回転ドラム131は、保持部132を受け取り点P1へ搬送する間に、回転機構によって保持部132を90度回転してよい。
【0056】
保持部132は、バンド連続体80C及びウエストバンド80を保持する。保持部132は、回転ドラム131の外周上に設けられている。
【0057】
保持部132は、バンド連続体80C及びウエストバンド80に当接する当接面133を有する。当接面133は、中央当接面133Aと、一対の外側当接面133Bとを有してよい。中央当接面133Aは、バンド連続体80Cの搬送方向MD1(具体的には、受け取り点P1における搬送方向MD1)における中央に配置されている。外側当接面133Bは、搬送方向MD1において中央当接面133Aを挟むように配置され、かつ複数の吸引孔135が形成されている。
【0058】
保持部132は、少なくとも2以上の吸引孔135を有する。本実施形態では、各外側当接面133Bに4つの吸引孔135が形成されており、保持部132は、8個の吸引孔135を有する。保持部132上に配置されたバンド連続体80Cを複数の吸引孔135から吸引することによって、バンド連続体80Cが保持部132に吸着される。
【0059】
保持部132は、グリップ向上手段を有してよい。保持部132がグリップ向上手段を有するために、保持部132の当接面133に対して、例えば、凹凸処理、梨地処理、テフロン(登録商標)、シリコンなどのコーティング処理を行ってよい。グリップ向上手段によって、上記処理が施された当接面133の摩擦係数を向上させてよいし、当接面133に繊維(バンド連続体80C/ウエストバンド80)を引っかける微細な凹凸が形成されてよい。保持部132の外側当接面133Bに上記処理を行うことによって、外側当接面133Bの摩擦係数は、中央当接面133Aの摩擦係数よりも高くてよい。
【0060】
一対の外側当接面133Bが、中央当接面133Aに対して回転ドラム装置130の回転軸131A側へ傾斜することによって、一対の外側当接面133Bと中央当接面133Aとの間に角部136が設けられてよい。回転ドラム装置130の回転軸131Aに沿った方向から見て、角部136の角度θ(中央当接面133Aと外側当接面133Bとによって形成される角度θ)は180度未満である(
図9C参照)。
【0061】
切断装置140は、バンド連続体80Cを切断する装置である。切断装置140は、バンド連続体80Cを切断するためのカッター刃を有してよい。
【0062】
(4)吸収性物品の製造方法
次に、吸収性物品の製造方法を
図1から
図11を用いて説明する。
図10は、吸収性物品の製造方法を模式的に示した図(その1)である。
図11は、吸収性物品の製造方法を模式的に示した図(その2)である。
図10及び
図11では、横断方向TDの上側からバンド連続体80C及びウエストバンド80を見た模式図である。
図6、
図10、
図11では、吸収性物品10が製造されている過程の一部を示している。なお、
図10及び
図11では、切断装置140によって切断される切断線CLを仮想線で示している。
【0063】
製造過程における構成部品を搬送する方向を搬送方向MDとして示し、当該搬送方向と交差する方向を交差方向CDとして示し、搬送方向MD及び交差方向CDに直交する方向を横断方向TDとして示す。また、ウエストバンド80の構成部品を搬送する方向を搬送方向MD1として示し、本体部11の構成部品を搬送する方向を搬送方向MD2として示す。
【0064】
なお、本実施の形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。
【0065】
図6及び
図10に示すように、吸収性物品10の製造方法は、バンド形成工程S10と、第1搬送工程S20と、切断工程S30と、第2搬送工程S40と、接合工程S50と、を備えてよい。本実施形態では、吸収性物品10の製造方法では、第1搬送工程S20と並行して行われる塗布工程S21、S23、S25と、折り工程S22、S24と、を備えている。第1搬送工程S20は、周方向搬送工程S26を有する。
【0066】
バンド形成工程S10では、バンド連続体80Cが形成される。バンドシート材が連続したバンドシート連続体81Cを搬送しながら、バンドシート連続体81Cにバンド弾性部材連続体82Cを接合することによってバンド連続体80Cを形成できる。
【0067】
バンドシート連続体81Cでは、第1シート層811に対応する第1シート部分811pと、第2シート層812に対応する第2シート部分812pと、第3シート層813に対応する第2シート部分812pと、が交差方向CDに並んでいる。交差方向CDにおいて、第3シート部分813pは、第1シート部分811pと第2シート部分812pとの間に位置する。
【0068】
バンド弾性部材連続体82Cは、第3シート部分813p上に配置される。バンド弾性部材連続体82Cは、搬送方向MD1に連続しており、かつ交差方向CDにおいて間欠的に配置される。これにより、バンド連続体80Cは、搬送方向MD1に伸縮性を有する。本実施形態では、バンド弾性部材連続体82Cは、切断線CLを跨いて搬送方向MD1に延びている。
【0069】
バンドシート連続体81Cとバンド弾性部材連続体82Cとを接合するために、バンドシート連続体81Cに接着剤が塗布されていてもよく、バンド弾性部材連続体82Cに接着剤が塗布されてもよい。バンド弾性部材連続体82Cは、切断線CL付近では、バンドシート連続体81C(シート層81)に接合されないように接着剤が塗布されてよい。これにより、切断工程S30において、非伸縮領域NSTRが設けられてよい。
【0070】
バンドシート材は、不織布により構成されてよいし、液不透過性のフィルムにより構成されてよい。バンド弾性部材連続体82Cは、糸状又は帯状の弾性部材によって構成されてよい。
【0071】
第1搬送工程S20では、バンド連続体80Cが搬送される。バンド連続体80Cが搬送されながら、以下の工程が行われる。
【0072】
塗布工程S21では、バンド連続体80Cに接着剤を塗布して第2バンド接合領域BBR2を設ける。具体的には、第3接合装置113は、一対の切断線CLの間において搬送方向MD1に間隔を空けて一対の第3接合部833が設けられるように、接着剤を第2シート部分812pに塗布してよい。第3接合装置113は、接着剤が交差方向CDに延びるように、接着剤を塗布してよい。なお、塗布された接着剤によって、バンド弾性部材連続体82Cがバンドシート連続体81Cと接合されてよい。
【0073】
折り工程S22では、バンド連続体80Cを搬送方向MD1に沿った折り線を基点に折り畳む。具体的には、第2折り装置122は、第2シート部分812pが第3シート部分813pの上側に配置されるように、バンド連続体80Cを折り畳む。これにより、第2シート部分812pと第3シート部分813pとが厚さ方向T(横断方向TD)に重なる。また、第2シート部分812pと第3シート部分813pとの間にバンド弾性部材連続体82Cが挟まれる。第2シート部分812pと第3シート部分813pとが、接着剤によって接合されて、第3接合部833が設けられる。
【0074】
塗布工程S23では、バンド連続体80Cに接着剤を塗布して第1バンド接合領域BBR1を設ける。具体的には、第2接合装置112は、一対の切断線CLの間において、搬送方向MD1に間隔を空けて一対の第2接合部832が設けられるように、接着剤を第2シート部分812pに塗布してよい。第2接合装置112は、接着剤が交差方向CDに延びるように、接着剤を塗布してよい。
【0075】
折り工程S24では、バンド連続体80Cを搬送方向MD1に沿った折り線を基点に折り畳む。具体的には、第1折り装置121は、第1シート部分811pが第2シート部分812pの上側に配置されるように、バンド連続体80Cを折り畳む。これにより、第1シート部分811pと第2シート部分812pとが横断方向TD(厚さ方向)に重なる。また、第1シート部分811pと第2シート部分812pとが、接着剤によって接合されて、第2接合部832が設けられる。
【0076】
塗布工程S25では、バンド連続体80Cに接着剤を塗布して接合領域BRを設ける。具体的には、塗布工程S25では、中央接合領域CBRと一対のサイド接合領域SBRとを設けることができる。第1接合装置111は、一対の切断線CLの間において第1接合部831が設けられるように、接着剤を第1シート部分811pに塗布してよい。
【0077】
周方向搬送工程S26では、回転ドラム装置130を用いてバンド連続体80Cを周方向CIDに搬送する。
【0078】
回転ドラム装置130は、受け取り点P1において、バンド連続体80Cを受け取る。回転ドラム装置130は、バンド連続体80Cを受け取る際に、一対のサイド接合領域SBRのそれぞれが複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なるように、バンド連続体80Cを複数の保持部132の少なくともいずれかによって保持する(
図9B及び
図9C参照)。
【0079】
図9Cに示すように、バンド連続体80Cは、バンドシート連続体81Cが厚さ方向Tに重なることによって構成される複数のシート層81を有する。厚さ方向Tの一方側において最も外側に配置されている第1シート層811と厚さ方向Tの他方側において最も外側に配置されている第3シート層813とのうち伸縮力が高い第3シート層813が保持部132に当接するように、回転ドラム装置130がバンド連続体80Cを受け取ってよい。
【0080】
また、複数のシート層81のうち隣接するシート層どうしが接合されたバンド接合領域BBRが複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なるように、回転ドラム装置130がバンド連続体80Cを受け取ってよい。
図9Cに示すように、第1バンド接合領域BBR1が複数の吸引孔135と重なってよく、第2バンド接合領域BBR2が複数の吸引孔135と重なってよい。
【0081】
回転ドラム装置130は、外側当接面133Bがバンド連続体80Cに当接するように、バンド連続体80Cを受け取る。
【0082】
回転ドラム装置130は、バンド連続体80Cを保持した状態で、バンド連続体80Cを周方向CIDに搬送する。
図8に示すように、回転ドラム装置130がバンド連続体80Cを周方向CIDに搬送することにより、バンド連続体80Cは、2つの保持部132に跨がっている。
【0083】
図9Cに示すように、バンド連続体80Cが一対の角部136に跨がるようにバンド連続体80Cを周方向CIDに搬送してよい。
【0084】
切断工程S30では、切断装置140によってバンド連続体80Cを切断する。具体的には、
図8に示すように、切断装置140は、少なくとも2つの保持部132に跨がったバンド連続体80Cを切断する。バンド連続体80Cの切断によってウエストバンド80が得られる。
【0085】
なお、切断装置140は、バンド連続体80Cが3つの保持部132に跨がってからバンド連続体80Cを切断してもよい。切断装置140は、バンド連続体80Cが回転ドラム装置130に所定の角度α(例えば、90度)以上巻き付いてから、バンド連続体80Cを切断してもよい。ここで、回転軸131Aとバンド連続体80Cの前端とを結ぶ直線を第1の直線とし、回転軸131Aとバンド連続体80Cのうち回転ドラム装置130に巻き付いている部分の後端とを結ぶ直線を第2の直線とする。
図8に示すように、所定の角度αは、第1の直線と第2の直線とのなす角度によって規定できる。
【0086】
切断装置140が、バンド連続体80Cを交差方向CDに沿って切断することによって、バンド弾性部材連続体82Cが切断されてよい。これにより、バンドシート連続体81C(シート層81)に接合されていないバンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)が収縮して、非伸縮領域NSTRが設けられてよい。具体的には、ウエストバンド80の幅方向Wの端縁80E(バンド連続体80Cの前端縁)からバンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)が接合される部分までの領域では、バンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)の伸縮力がシート層81に働かなくなり、非伸縮領域NSTRが設けることができる。
【0087】
第2搬送工程S40では、ウエストバンド80を本体連続体11Cへ搬送する。具体的には、一対のサイド接合領域SBRのそれぞれが複数の吸引孔135のすくなくともいずれかと重なった状態を維持したまま、ウエストバンド80を本体連続体11Cへ搬送する。
【0088】
非伸縮領域NSTRが、複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なった状態でウエストバンド80を搬送してよい。
【0089】
回転ドラム装置130は、回転ドラム装置130の径方向RDに沿った回転軸132Aを中心として、ウエストバンド80の受け渡し点P2までに、保持部132を90度回転させてよい(
図11参照)。
【0090】
接合工程S50では、本体連続体11Cへのウエストバンド80の受け渡し点P2において、接着剤を介してウエストバンド80を本体連続体11Cへ接合する。具体的には、回転ドラム装置130は、受け渡し点P2において、第1接合部831(接着剤)を介してウエストバンド80を本体連続体11Cのシート連続体(肌面シート20)へ接合する。
【0091】
本体連続体11Cは、肌面シート20を構成するシート材が連続したシート連続体を含む。本体連続体11Cは、本体部11が前後方向Lに連続することにより構成されてよい。ウエストバンド80が接合された本体連続体11Cを切断等により加工することによって、吸収性物品10を得ることができる。
【0092】
上述のように、吸収性物品10の製造方法では、サイド接合領域SBRは接着剤によって通気性が低くなるため、サイド接合領域SBRと重なっているバンド連続体80Cの部分(
図2の接合重複部分85)は、接合領域BRと重なっていないバンド連続体80Cの部分(以下、非接合重複部分)と比べて、吸着され易い。従って、一対のサイド接合領域SBRのそれぞれが複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なるようにバンド連続体80C及びウエストバンド80を保持することで、一対の接合重複部分85を強く吸着できる。これにより、一対の接合重複部分が移動し難くなり、一対の接合重複部分85を固定できる。一対の接合重複部分85の間の部分が収縮するためには、一対の接合重複部分85も一緒に収縮する必要があるため、一対の接合重複部分85を固定することで、一対の接合重複部分85の間の部分が収縮することも抑制できる。従って、バンド連続体80C及びウエストバンド80が伸縮性を有しているものの、第1搬送工程S20及び第2搬送工程S40において、バンド連続体及びウエストバンドの収縮を抑制して、ウエストバンドを狙い通りに肌面シート20(本体連続体11C)に接合できる。
【0093】
加えて、少なくとも2つの保持部132に跨がるまでバンド連続体80Cが周方向CIDに搬送されるため、バンド連続体80Cの周方向CIDに延びる部分が、回転ドラム装置130の回転中心(回転軸131A)の方向への力を受ける。従って、周方向CIDに搬送されるバンド連続体80Cが保持部132に押さえ付けられることで、バンド連続体80Cの周方向CIDに延びる部分と保持部132との間に強い摩擦力が働き、バンド連続体80Cの収縮がさらに抑制される。これにより、バンド連続体80Cが保持部132にしっかりと固定された状態で、バンド連続体80Cを切断することができ、切断に伴ってウエストバンド80の保持位置がズレることを抑制できる。
【0094】
一対のサイド接合領域SBRのそれぞれが複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なった状態を維持したまま、ウエストバンド80を本体連続体11Cへ搬送するため、ウエストバンド80をしっかりと保持したまま、ウエストバンド80を肌面シート20へ接合することができる。これにより、狙い通りにウエストバンド80を肌面シート20に接合できる。
【0095】
また、保持部132に近い程、強く吸着されるため、厚さ方向Tにおいて最も外側に配置されている第1シート層811と第3シート層813とのうち伸縮力が高い第3シート層813、すなわち、収縮し易いシート層に保持部132が当接するように、回転ドラム装置130がバンド連続体80Cを受け取ることにより、バンド連続体80Cを強く吸着した状態で搬送できる。これにより、搬送中にバンド連続体80Cが収縮することを抑制できる。
【0096】
また、バンド接合領域BBRは、通気性が低くなるため、バンド接合領域BBRと重なっている部分は、バンド接合領域BBRと重なっていない部分と比べて強く吸着できる。従って、吸引孔135がバンド接合領域BBR(第1バンド接合領域BBR1及び第2バンド接合領域BBR2)と重なることで、バンド連続体80C及びウエストバンド80をさらにしっかりと保持することができる。
【0097】
また、上述の製造方法では、ウエストバンド80を本体連続体11Cへ受け渡すまでに、ウエストバンド80の配置方向を90度回転させることができる。従って、設備の配置上、製造されたウエストバンドの配置方向が、狙った配置から90度ズレていたとしても、バンド連続体80Cの搬送方向MD1と本体連続体11Cの搬送方向MD2とを横断方向TDに重ねることができる。従って、設備の配置をコンパクトにすることができる。
【0098】
また、非伸縮領域NSTRでは、バンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)に起因した収縮が発生しないため、ウエストバンド80の端部において皺が形成され難い。従って、上述の製造方法では、非伸縮領域NSTRが、複数の吸引孔135の少なくともいずれかと重なった状態でウエストバンド80を搬送するため、ウエストバンド80の端部(非伸縮領域NSTR)の全面においてウエストバンド80が吸引孔に近づいている状態を維持でき、ウエストバンド80を強く吸着し易い。これにより、ウエストバンド80が収縮することを抑制でき、ウエストバンド80を狙い通りに肌面シート20(本体連続体11C)に接合できる。
【0099】
また、外側当接面133Bでは、中央当接面133Aに比べて、バンド連続体80C及びウエストバンド80が摩擦によって収縮し難くなる。従って、回転ドラム装置130は、外側当接面133Bがバンド連続体80Cに当接するように、バンド連続体80Cを受け取ることで、一対の接合重複部分85をさらに固定できる。これにより、バンド連続体80C及びウエストバンド80をさらにしっかりと保持し続けることができ、狙い通りにウエストバンドを肌面シート20(本体連続体11C)に接合できる。
【0100】
また、バンド連続体80Cは、一対の外側当接面133Bにおいて吸引孔135によって強く保持されるとともに、バンド連続体80Cが一対の角部136のそれぞれを跨がることで、角部136において保持部132に強く押さえ付けられる。これにより、バンド連続体80Cと角部136(保持部132)との間に強い摩擦力が働き、バンド連続体80Cの収縮がさらに抑制される。これにより、バンド連続体80Cが保持部132にしっかりと固定される。
【0101】
(5)その他実施形態
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0102】
上述の実施形態では、後胴回り域S2にウエストバンド80が配置されていたが、これに限られない。ウエストバンド80は、前胴回り域S1に配置されてよいし、前胴回り域S1及び後胴回り域S2の両方に配置されてよい。
【0103】
上述の吸収性物品10において、ウエストバンド80は、複数のシート層81により構成されていたが、1枚のシート層81により構成されてもよい。この場合、塗布工程S21、S23及び折り工程S22、S24が行われない。なお、ウエストバンド80を本体連続体11Cに接合するために塗布工程S25は行われる。
【0104】
上述の製造方法において、ウエストバンド80どうしが接着剤により接合されていたが、これに限られない。ウエストバンド80は、ソニックシール、ヒートシールなどの融着によって接合されてよい。この場合、塗布工程S21、S23の代わりに、折り工程S22、S24の後にウエストバンド80どうし(シート層81どうし)を融着する工程が行われてよい。
【0105】
上述の製造方法において、切断線CL付近において、バンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)が接合されていないことで、非伸縮領域NSTRが設けられていたが、これに限られない。ウエストバンド80の端縁80Eからバンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)が接合されていてもよい。この場合、吸引孔135に重なる領域において収縮力を低減させるために、ウエストバンド80の端縁80Eから幅方向Wの内側へ延びる所定領域においてバンド弾性部材82(バンド弾性部材連続体82C)を所定間隔でカットしてもよい。所定領域は、例えば、ウエストバンド80の端縁80Eからサイド接合領域SBRの幅方向Wの内側端までの間の領域である。これにより、吸引孔135に重なる所定領域ではバンド弾性部材82の収縮力が低減しているため、ウエストバンド80(バンド連続体80C)を強く吸着し易い。従って、周方向搬送工程S26及び第2搬送工程S40において、ウエストバンド80(バンド連続体80C)を保持部132にしっかりと固定できる。その結果、ウエストバンド80に皺及び捲れなく、ウエストバンドを狙い通りに肌面シート20(本体連続体11C)に接合できる。
【0106】
上述の実施形態では、吸収性物品10は、テープ型の使い捨ておむつであったが、これに限られない。吸収性物品10は、パンツ型の使い捨ておむつであってもよい。
【0107】
上述の実施形態、及びその他実施形態に係る吸収性物品10の製造方法に係る構成は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 :吸収性物品
11 :本体部
20 :肌面シート
21 :表面シート
22 :サイドシート
23 :裏面シート
24 :外装シート
25 :非肌面シート
31 :吸収コア
45 :腰回り弾性部材
65 :脚回り開口部
66 :ウエスト開口
80 :ウエストバンド
81 :シート層
82 :バンド弾性部材
110 :接合装置
120 :折り装置
121 :装置
122 :装置
130 :回転ドラム装置
131 :回転ドラム
132 :保持部
135 :吸引孔
136 :角部
140 :切断装置
811 :第1シート層
812 :第2シート層
813 :第3シート層
AS :収容空間