(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】混練機用防塵カバー
(51)【国際特許分類】
B29B 7/22 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
B29B7/22
(21)【出願番号】P 2018039779
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】305014375
【氏名又は名称】NOKエラストマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大里 祐平
(72)【発明者】
【氏名】大塚 真二
(72)【発明者】
【氏名】大友 政明
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠史
(72)【発明者】
【氏名】大西 健二
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-000552(JP,A)
【文献】特開2000-033252(JP,A)
【文献】特開2003-147976(JP,A)
【文献】実開昭48-053800(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00- 7/94
B01F 5/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練機から前記混練機の外部へ粉塵が飛散しないように前記混練機に装着される防塵カバーであって、
前記混練機における混練槽の外側に配置される内側防塵カバーと、前記内側防塵カバーのさらに外側に配置される外側防塵カバーとよりなるカバー二重構造を備え
、
前記外側防塵カバーは、前記内側防塵カバーとの間のカバー間チャンバに開口し吸引源に接続される吸引口と、前記混練槽および前記内側防塵カバー間の隙間の外側に配置されるカバー端部と、前記隙間および前記カバー端部間で大気開放される大気開放口と、前記隙間から漏洩する粉塵を前記大気開放口から流入する大気と共に前記カバー間チャンバを経由して前記吸引口へ導く吸引経路と、を備え、
前記内側防塵カバーは、前記内側防塵カバー内に開口する内側吸引口を備え、
前記内側吸引口を通じて前記内側防塵カバー内で発生する吸引力よりも前記吸引口を通じて前記カバー間チャンバ内で発生する吸引力のほうを大きく設定する、
ことを特徴とする混練機用防塵カバー。
【請求項2】
請求項
1に記載の混練機用防塵カバーにおいて、
前記内側防塵カバーを昇降作動させる駆動源および前記外側防塵カバーを昇降作動させる駆動源を備え、前記両カバーを個別に昇降作動させることを特徴とする混練機用防塵カバー。
【請求項3】
混練機から前記混練機の外部へ粉塵が飛散しないように前記混練機に装着される防塵カバーであって、
前記混練機における混練槽の外側に配置される防塵カバー本体と、前記混練槽および前記防塵カバー本体間の隙間の外側に配置される下側吸引ユニットと、前記混練機における固定カバーおよび前記防塵カバー本体間の隙間の外側に配置される上側吸引ユニットと、
を備え
、
前記下側吸引ユニットおよび前記上側吸引ユニットはそれぞれ、ユニットケーシングと、前記ユニットケーシング内に開口し吸引源に接続される吸引口と、前記隙間および前記吸引口間で大気開放される大気開放口と、前記隙間から漏洩する粉塵を前記大気開放口から流入する大気と共にケーシング内部空間を経由して前記吸引口へ導く吸引経路と、を備え、
前記防塵カバー本体は、前記防塵カバー本体内に開口する内側吸引口を備え、
前記内側吸引口を通じて前記防塵カバー本体内で発生する吸引力よりも前記下側吸引ユニットおよび前記上側吸引ユニットで発生する吸引力のほうを大きく設定する、
ことを特徴とする混練機用防塵カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練機から混練機の外部へ粉塵が飛散しないように混練機に装着される混練機用防塵カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から
図10に示すように、混練槽102の内部に混練材料を撹拌する一対のロータ103と混練材料を加圧するラム104とを組み込んだ加圧式の混練機101が知られている。
【0003】
この加圧式の混練機101では、混練時、混練槽102の内部で圧力変動が生じるので、混練槽102とラム104の間を完全に密閉することができず、このため、ゴム生地に混合する充填剤や添加剤などの配合剤が粉塵として外部へ飛散することがある。
【0004】
したがって従来は、防塵カバー105を設けたり、防塵カバー105に集塵ダクト106を接続したりすることで、粉塵が外部へ飛散するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-33252号公報
【文献】特開2006-289233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、混練機101の構造によっては、混練槽102と防塵カバー105の間を完全にシールできないことがあり、この場合、混練槽102と防塵カバー105の間の隙間から一部の粉塵が飛散してしまうことになる。また、粉塵の飛散を防止しようとして集塵ダクト106における吸引力を大きくすると、混練槽102内の配合剤を多量に吸引し、配合剤の配合量が予定を下回って、混練材料に必要とされる物性や機能が得られなくなることがある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みて、混練機から混練機の外部へ粉塵が飛散するのを有効に抑制することができる混練機用防塵カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
混練機用防塵カバーの実施の一形態は、混練機から前記混練機の外部へ粉塵が飛散しないように前記混練機に装着される防塵カバーであって、前記混練機における混練槽の外側に配置される内側防塵カバーと、前記内側防塵カバーのさらに外側に配置される外側防塵カバーとよりなるカバー二重構造を備える。
【0009】
前記外側防塵カバーは、前記内側防塵カバーとの間のカバー間チャンバに開口し吸引源に接続される吸引口と、前記混練槽および前記内側防塵カバー間の隙間の外側に配置されるカバー端部と、前記隙間および前記カバー端部間で大気開放される大気開放口と、前記隙間から漏洩する粉塵を前記大気開放口から流入する大気と共に前記カバー間チャンバを経由して前記吸引口へ導く吸引経路と、を備える。
【0010】
前記内側防塵カバーは、前記内側防塵カバー内に開口する内側吸引口を備え、前記内側吸引口を通じて前記内側防塵カバー内で発生する吸引力よりも前記吸引口を通じて前記カバー間チャンバ内で発生する吸引力のほうを大きく設定する。
【0012】
混練機用防塵カバーの別の実施の一形態は、混練機から前記混練機の外部へ粉塵が飛散しないように前記混練機に装着される防塵カバーであって、前記混練機における混練槽の外側に配置される防塵カバー本体と、前記混練槽および前記防塵カバー本体間の隙間の外側に配置される下側吸引ユニットと、前記混練機における固定カバーおよび前記防塵カバー本体間の隙間の外側に配置される上側吸引ユニットと、を備える。
【0013】
前記下側吸引ユニットおよび前記上側吸引ユニットはそれぞれ、ユニットケーシングと、前記ユニットケーシング内に開口し吸引源に接続される吸引口と、前記隙間および前記吸引口間で大気開放される大気開放口と、前記隙間から漏洩する粉塵を前記大気開放口から流入する大気と共にケーシング内部空間を経由して前記吸引口へ導く吸引経路と、を備える。
【0014】
前記防塵カバー本体は、前記防塵カバー本体内に開口する内側吸引口を備え、前記内側吸引口を通じて前記防塵カバー本体内で発生する吸引力よりも前記下側吸引ユニットおよび前記上側吸引ユニットで発生する吸引力のほうを大きく設定する。
【発明の効果】
【0015】
混練機から混練機の外部へ粉塵が飛散するのを有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
第1実施の形態に係る混練機用防塵カバーの説明図
【
図4】同混練機用防塵カバーにおける内側防塵カバーの他の例を示す要部説明図
【
図5】
第2実施の形態に係る混練機用防塵カバーの説明図
【
図6】(A)は同混練機用防塵カバーにおける吸引ユニット取付け前の状態を示す説明図、(B)は取付け後の状態を示す説明図
【
図9】同混練機用防塵カバーにおける防塵カバー本体の他の例を示す要部説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施の形態・・・・
図1は、第1実施の形態に係る混練機用防塵カバーおよびこれを装着する混練機を模式的に示す説明図であって、混練機および防塵カバーがそれぞれ以下のように構成されている。
【0019】
すなわち、全体を符号11で示す混練機(混合機)は、加圧式の混練機(ニーダー)であって、上面を開口して開口部12aを設けた混練槽(混合槽)12を備え、この混練槽12の内部に、混練材料(図示せず)を撹拌すべく駆動源(図示せず)により回転作動する一対のロータ(回転羽根)13と、混練材料を加圧すべく駆動源15により昇降作動するラム(加圧蓋)14とが組み込まれている。ラム昇降用の駆動源15は例えばエアシリンダとされ、混練機11の固定カバー16の上面フレーム部などに保持されている。
【0020】
この加圧式の混練機11では、混練時、混練槽12の内部で圧力変動が生じるので、混練槽12とラム14の間を完全に密閉することができず、混練槽12とラム14の間に隙間c1が形成される。このため、この隙間c1からゴム生地に混合する充填剤や添加剤などの配合剤が粉塵として外部へ飛散することがある。
【0021】
そこで、粉塵の飛散を防止すべく、混練機11に全体を符号21で示す防塵カバーが装着されている。
【0022】
防塵カバー21は、混練槽12および固定カバー16間の側面開口部17を閉塞すべく側面開口部17の外側であって側面開口部17の側面位置に配置される内側防塵カバー31を備えている。
【0023】
混練槽12および固定カバー16はそれぞれその平面形状を四角形とされ側面4面を備えているが、このうち側面1面位置には混練機11の基台(図示せず)などが配置されているので側面開口部17は設けられていない。したがって残る3面位置に側面開口部17が設けられているので、側面開口部17は3面形状(平面コ字形状)に形成されている。したがって内側防塵カバー31もこの3面形状の側面開口部17を閉塞すべく3面形状に形成されている。
【0024】
内側防塵カバー31は、混練槽12内に混練材料を出し入れできるように図示しない駆動源により昇降作動することが可能とされている。駆動源は例えばエアシリンダとされ、混練機11の固定カバー16の上面フレーム部などに保持されている。
【0025】
内側防塵カバー31は、その内部空間32に向けて開口する内側吸引口33を備えている。内側吸引口33は配管34を介して吸引源35に接続される。吸引源35は例えばエアポンプとされる。
【0026】
内側防塵カバー31は上記したように昇降作動するので、その昇降作動の下限位置で内側防塵カバー31の下端部が混練槽12に密着する構造とされるが、混練槽12との間を完全にシールすることができずに内側防塵カバー31の下端部および混練槽12間に隙間c2が生じることがあり、このように隙間c2が生じるとこの隙間c2から一部の粉塵が漏洩する可能性がある。
【0027】
そこで、この隙間c2から漏洩する粉塵の飛散を防止すべく内側防塵カバー31のさらに外側に外側防塵カバー41が設けられている。上記したように側面開口部17および内側防塵カバー31が共に3面形状に形成され、隙間c2も3面形状に形成されているので、外側防塵カバー41も3面形状に形成されている。
【0028】
外側防塵カバー41は、内側防塵カバー31全体をその外側から覆うことができる大きさに形成されている。外側防塵カバー41はその上端部が、内側防塵カバー31の上端部よりも上方へ突出するとともに固定カバー16との間をシール可能なフランジ形状に形成されている。また、外側防塵カバー41はその下端部が、混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c2の外側であって隙間c2の側方位置に配置されるカバー端部41aとされている。このカバー端部41aは、内側防塵カバー31の下端部よりも下方へ突出するとともにその下端部を自由端とする形状とされ、よってカバー端部41aはスカート形状に形成されている。
【0029】
外側防塵カバー41は、内側防塵カバー31に対し非接触とされ、よって外側防塵カバー41および内側防塵カバー31間にカバー間チャンバ42が設けられている。
【0030】
また、このように外側防塵カバー41が内側防塵カバー31に対し非接触とされているので、混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c2とカバー端部41aの間に、カバー間チャンバ42を防塵カバー21外部と連通させる大気開放口43が設けられている。
【0031】
外側防塵カバー41は、カバー間チャンバ42に向けて開口する吸引口(外側吸引口)44を備えている。この吸引口44は配管45を介して吸引源46に接続される。吸引源46は例えばエアポンプとされる。
【0032】
また、このように外側防塵カバー41に吸引口44が設けられているので、大気開放口43からカバー間チャンバ42を経由して吸引口44に至る吸引経路47が設けられている。
【0033】
外側防塵カバー41は、混練槽12内に混練材料を出し入れできるように図示しない駆動源により昇降作動することが可能とされている。駆動源は例えばエアシリンダとされ、混練機11の固定カバー16の上面フレーム部などに保持されている。この外側防塵カバー41の昇降作動は内側防塵カバー31の昇降作動と別途に行うことが可能とされ、すなわち両カバー31,41を個別に昇降作動させることが可能とされている。
【0034】
上記構成の混練機11および防塵カバー21において、混練槽12およびラム14間の隙間c
1から粉塵が漏洩すると、漏洩した粉塵の大部は、内側防塵カバー31に設けた内側吸引口33から吸引されるが、一部の粉塵が混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c
2から漏れることがある。この場合、
図2に拡大して示すように、混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c
2から粉塵が漏洩すると(矢印x)、この粉塵は大気開放口43から流入(矢印y)する大気と共にカバー間チャンバ42を経由して吸引口44のほうへ吸引される(矢印z)。また、一部の粉塵が固定カバー16および内側防塵カバー31間の隙間c
3から漏れることがあるが、この粉塵も大気開放口43から流入する大気と共に吸引口44のほうへ吸引される。したがって防塵カバー21が二重構造とされ、吸引系統も二重構造とされているため、混練機11の内部から外部へ粉塵が飛散するのを有効に抑制することができる。
【0035】
尚、このように吸引系統が二重構造とされると、内側防塵カバー31内に内側吸引口33を通じて吸引源35による吸引力(内側吸引力)が発生するとともにカバー間チャンバ42に吸引口44を通じて吸引源46による吸引力(外側吸引力)が発生するので、吸引力の大きさについて検討した結果、前者の内側吸引力よりも後者の外側吸引力のほうを大きく設定することが好ましい。これは以下の理由による。
【0036】
すなわち、粉塵の飛散を防止しようとして前者の内側吸引力を大きく設定すると、混練槽12内の配合剤を多量に吸引し、配合剤の配合量が予定を下回って、混練材料に必要とされる物性や機能が得られなくなることがある。そこで、前者の内側吸引力を大きく設定せず後者の外側吸引力のみを大きく設定すると、大気開放口43から流入する大気と共に吸引するため、混練槽12内の配合剤を多量に吸引することなく、混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c2から漏れる粉塵を吸引することができる。したがって、前者の内側吸引力をA、後者の外側吸引力をBとして、A<Bの関係に設定することが好ましい。
【0037】
本願発明者らは性能比較試験を行なったので、その試験条件および結果について説明する。
【0038】
上記実施の形態に係る防塵カバー21に対し、混練槽12に内側防塵カバー31のみを装着するとともにこの内側防塵カバー31に吸引口33を設けて吸引源35で吸引するものを比較例1とした。試験条件としては、防塵カバー21から0.1m離れた混練槽モーターカバー上部に直径90mmのフィルターペーパーを混練機作動中に8時間設置し、フィルターペーパーの中心部、直径10mmの円領域のなかに付着した粉塵個数を81倍に演算し数値化した。試験結果は
図3のグラフ図に示すとおり、比較例1では3240個であったところ、実施の形態では682個となり、よって
本実施の形態による粉塵飛散抑制の効果を確認することができた。
【0039】
冒頭に記載したとおり、
図1は混練機11および防塵カバー21の模式図であるので、この
図1に示す構成に対して混練機11および防塵カバー21はその構成を種々変更することが可能とされる。
【0040】
例えば、
図4の例では、内側防塵カバー31の下端部が側方へ屈曲しさらに下方へ屈曲する形状とされ、ここに断面クランク形状を呈するフランジ部31bが設けられている。この場合は、混練槽12および内側防塵カバー31間の隙間c
2が側方へ延びさらに下方へ屈曲する断面鉤形状(断面L字形状)に形成される。そして、このように内側防塵カバー31の下端部をクランク状にし、隙間c
2の開口部を大気側(下方)に向けた構造で、隙間c
2から漏洩する粉塵を大気開放口43から流入する大気と共に吸引することで、外側防塵カバー41による粉塵吸引効果を変えることなく、外側防塵カバー41による吸引力が隙間c
2内まで及ぶのをより抑制することができる。したがって外側防塵カバー41による吸引力が隙間c
2内まで及んで混練機内部の配合剤を多量に吸引してしまうのを防止することができる。
【0041】
第2実施の形態・・・・
図5は、第2実施の形態に係る混練機用防塵カバーおよびこれを装着する混練機を模式的に示す説明図であって、混練機および防塵カバーがそれぞれ以下のように構成されている。
【0042】
すなわち、全体を符号11で示す混練機(混合機)は、加圧式の混練機(ニーダー)であって、上面を開口して開口部12aを設けた混練槽(混合槽)12を備え、この混練槽12の内部に、混練材料(図示せず)を撹拌すべく駆動源(図示せず)により回転作動する一対のロータ(回転羽根)13と、混練材料を加圧すべく駆動源15により昇降作動するラム(加圧蓋)14とが組み込まれている。ラム昇降用の駆動源15は例えばエアシリンダとされ、混練機11の固定カバー16の上面フレーム部などに保持されている。
【0043】
この加圧式の混練機11では、混練時、混練槽12の内部で圧力変動が生じるので、混練槽12とラム14の間を完全に密閉することができず、混練槽12とラム14の間に隙間c1が形成される。このため、この隙間c1からゴム生地に混合する充填剤や添加剤などの配合剤が粉塵として外部へ飛散することがある。
【0044】
そこで、粉塵の飛散を防止すべく、混練機11に全体を符号51で示す防塵カバーが装着されている。
【0045】
防塵カバー51は、混練槽12および固定カバー16間の側面開口部17を閉塞すべく側面開口部17の外側であって側面開口部17の側面位置に配置される防塵カバー本体61を備えている。
【0046】
混練槽12および固定カバー16はそれぞれその平面形状を四角形とされ側面4面を備えているが、このうち側面1面位置には混練機11の基台(図示せず)などが配置されているので側面開口部17は設けられていない。したがって残る3面位置に側面開口部17が設けられているので、側面開口部17は3面形状(平面コ字形状)に形成されている。したがって防塵カバー本体61もこの3面形状の側面開口部17を閉塞すべく3面形状に形成されている。
【0047】
防塵カバー本体61は、混練槽12内に混練材料を出し入れできるように図示しない駆動源により昇降作動することが可能とされている。駆動源は例えばエアシリンダとされ、混練機11の固定カバー16の上面フレーム部などに保持されている。
【0048】
防塵カバー本体61は、その内部空間62に向けて開口する内側吸引口63を備えている。この内側吸引口63は配管64を介して吸引源65に接続される。吸引源65は例えばエアポンプとされる。
【0049】
防塵カバー本体61は上記したように昇降作動するので、その昇降作動の下限位置で防塵カバー本体61の下端部が混練槽12に密着する構造とされるが、混練槽12との間を完全にシールすることができずに防塵カバー本体61の下端部および混練槽12間に隙間(下側隙間)c2が生じることがあり、このように隙間c2が生じるとこの隙間c2から一部の粉塵が漏洩する可能性がある。
【0050】
そこで、この隙間c
2から漏洩する粉塵の飛散を防止すべくこの隙間c
2の外側であって隙間c
2の側面位置に下側の吸引ユニット71が設けられている。上記したように側面開口部17および防塵カバー本体61が共に3面形状に形成されているので、
図6(A)に示すように隙間c
2も3面形状に形成され、
図6(B)に示すように吸引ユニット71も3面形状に形成されている。
【0051】
また、昇降作動する防塵カバー本体61は、その昇降作動の上限位置で防塵カバー本体61の上端部が固定カバー16に密着する構造とされるが、固定カバー16との間を完全にシールすることができずに防塵カバー本体61の上端部および固定カバー16間に隙間(上側隙間)c3が生じることがあり、このように隙間c3が生じるとこの隙間c3から一部の粉塵が漏洩する可能性がある。
【0052】
そこで、この隙間c
3から漏洩する粉塵の飛散を防止すべくこの隙間c
3の外側であって隙間c
3の側面位置に上側の吸引ユニット81が設けられている。上記したように側面開口部17および防塵カバー本体61が共に3面形状に形成されているので、
図6(A)に示すように隙間c
3も3面形状に形成され、
図6(B)に示すように吸引ユニット81も3面形状に形成されている。
【0053】
下側吸引ユニット71は、以下のように構成されている。
【0054】
すなわち
図7に示すように、混練槽12および防塵カバー本体61間の隙間c
2の外側であって隙間c
2の側方位置に配置されるユニットケーシング72が設けられている。ユニットケーシング72は上面部72aおよび側面部72bを一体に備える形状に形成され、上面部72aの端部をもって防塵カバー本体61に接合されている。
【0055】
ユニットケーシング72に、ケーシング内部空間73に開口し配管75を介して吸引源76に接続される吸引口74が設けられている。吸引口76はユニットケーシング72の側面部72bに設けられている。吸引源76は例えばエアポンプとされる。
【0056】
ユニットケーシング72に、隙間c2および吸引口74間で大気開放される大気開放口77が設けられている。大気開放口77はユニットケーシング72の下方へ向けて開口するように設けられている。
【0057】
また、ユニットケーシング72に、隙間c2から漏洩する粉塵を大気開放口77から流入する大気と共にケーシング内部空間73を経由して吸引口74へ導く吸引経路78が設けられている。
【0058】
上側吸引ユニット81は、以下のように構成されている。
【0059】
すなわち
図7に示すように、固定カバー16および防塵カバー本体61間の隙間c
3の外側であって隙間c
3の上方位置に配置されるユニットケーシング82が設けられている。このユニットケーシング82は上面部82a、側面部82b(
図6(A))および下面部82cを一体に備える形状に形成され、下面部82cの端部をもって防塵カバー本体61に接合されている。
【0060】
ユニットケーシング82に、ケーシング内部空間83に開口し配管85を介して吸引源86に接続される吸引口84が設けられている。吸引口84はユニットケーシング82の側面部82bに設けられている。吸引源86は例えばエアポンプとされる。
【0061】
ユニットケーシング82に、隙間c3および吸引口84間で大気開放される大気開放口87が設けられている。大気開放口87はユニットケーシング82から固定カバー16のほうへ向けて開口するように設けられており、ユニットケーシング82および固定カバー16間に間隔が設けられているので、大気を導入することが可能とされている。
【0062】
また、ユニットケーシング82に、隙間c3から漏洩する粉塵を大気開放口87から流入する大気と共にケーシング内部空間83を経由して吸引口84へ導く吸引経路88が設けられている。
【0063】
上記構成の混練機11および防塵カバー21において、混練槽12およびラム14間の隙間c
1から粉塵が漏洩すると、漏洩した粉塵の大部は、防塵カバー本体61に設けた内側吸引口63から吸引されるが、一部の粉塵が混練槽12および防塵カバー本体61間の隙間c
2から漏れることがある。この場合、
図7に示すように、隙間c
2から粉塵が漏洩すると(矢印x)、この粉塵は下側吸引ユニット71において大気開放口77から流入(矢印y)する大気と共にケーシング内部空間73を経由して吸引口74のほうへ吸引される(矢印z)。したがって防塵カバー本体61の外側に下側吸引ユニット71が設けられ、吸引系統が二重構造とされているため、混練機11の内部から外部へ粉塵が飛散するのを有効に抑制することができる。
【0064】
また、上記構成の混練機11および防塵カバー21において、混練槽12およびラム14間の隙間c
1から粉塵が漏洩すると、漏洩した粉塵の大部は、防塵カバー本体61に設けた内側吸引口63から吸引されるが、一部の粉塵が固定カバー16および防塵カバー本体61間の隙間c
3から漏れることがある。この場合、
図8に示すように、隙間c
3から粉塵が漏洩すると(矢印x)、この粉塵は上側吸引ユニット81において大気開放口87から流入(矢印y)する大気と共にケーシング内部空間83を経由して吸引口84のほうへ吸引される(矢印z)。したがって防塵カバー本体61の外側に上側吸引ユニット81が設けられ、吸引系統が二重構造とされているため、混練機11の内部から外部へ粉塵が飛散するのを有効に抑制することができる。
【0065】
尚、上記したように吸引系統が二重構造とされると、防塵カバー本体61内に内側吸引口63を通じて吸引源65による吸引力(内側吸引力)が発生するとともにケーシング内部空間73,83にそれぞれ吸引口74,84を通じて吸引源76,86による吸引力(外側吸引力)が発生するので、吸引力の大きさについて検討した結果、前者の内側吸引力よりも後者の外側吸引力のほうを大きく設定することが好ましい。これは以下の理由による。
【0066】
すなわち、粉塵の飛散を防止しようとして前者の内側吸引力を大きく設定すると、混練槽12内の配合剤を多量に吸引し、配合剤の配合量が予定を下回って、混練材料に必要とされる物性や機能が得られなくなることがある。そこで、前者の内側吸引力を大きく設定せず後者の外側吸引力のみを大きく設定すると、大気開放口77,87から流入する大気と共に吸引するため、混練槽12内の配合剤を多量に吸引することなく、混練槽12および防塵カバー本体61間の隙間c2や固定カバー16および防塵カバー本体61間の隙間c3から漏れる粉塵を吸引することができる。したがって、前者の内側吸引力をA、後者の外側吸引力をBとして、A<Bの関係に設定することが好ましい。
【0067】
冒頭に記載したとおり、
図5は混練機11および防塵カバー21の模式図であるので、この
図5に示す構成に対して混練機11および防塵カバー21はその構成を種々変更することが可能とされる。
【0068】
例えば、
図7において防塵カバー本体61の下端部には側方へ屈曲したフランジ部61aが一体に設けられているが、このフランジ部61aの形状について種々の形状が想定される。例えば
図9の例では、防塵カバー本体61の下端部が側方へ屈曲しさらに下方へ屈曲する形状とされ、ここに断面クランク形状を呈するフランジ部61bが設けられている。この場合は、混練槽12および防塵カバー本体61間の隙間c
2が側方へ延びさらに下方へ屈曲する断面鉤形状(断面L字形状)に形成される。そして、このように防塵カバー本体61の下端部をクランク状にし、隙間c
2の開口部を大気側(下方)に向けた構造で、隙間c
2から漏洩する粉塵を大気開放口77から流入する大気と共に吸引することで、吸引ユニット71による粉塵吸引効果を変えることなく、吸引ユニット71による吸引力が隙間c
2内まで及ぶのをより抑制することができる。したがって吸引ユニット71による吸引力が隙間c
2内まで及んで混練機内部の配合剤を多量に吸引してしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
11 混練機
12 混練槽
12a 開口部
13 ロータ
14 ラム
15 駆動源
16 固定カバー
17 側面開口部
21,51 防塵カバー
31 内側防塵カバー
32,62,73,83 内部空間
33,44,63,74,84 吸引口
34,45,64,75,85 配管
35,46,65,76,86 吸引源
41 外側防塵カバー
41a カバー端部
42 カバー間チャンバ
43,77,87 大気開放口
47,78,88 吸引経路
c1,c2,c3 隙間