(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】入隅部用保護カバー、及びその設置構造、並びに保護カバー接続体
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20220314BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20220314BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
F16L57/00 A
H02G3/30
H02G3/04 025
(21)【出願番号】P 2018081280
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-240931(JP,A)
【文献】特開2001-190010(JP,A)
【文献】特開平08-317526(JP,A)
【文献】実開平05-043713(JP,U)
【文献】特開2005-299714(JP,A)
【文献】特開2013-187980(JP,A)
【文献】特開2001-177944(JP,A)
【文献】特開2013-135555(JP,A)
【文献】特開2015-042066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
H02G 3/30
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側
板部が天
板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の一つの屈曲変形部の屈曲により、その両側の基台連設部は、入隅部の各壁面に沿って配置可能であると共に、特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部が形成可能であり、
当該傾斜基台連設部の有無により、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化
し、
前記傾斜基台連設部を形成することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して配置された基台に対して、前記一対の側板部の前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体が組み付け可能であることを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項2】
建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側
板部が天
板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の複数の屈曲変形部を選択して屈曲させることで、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さが変化され、
前記蓋体は、前記各側板部の一部を除去することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避する欠落コーナー部を形成可能であり、
当該傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さの変化により、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化することを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項3】
一対の基台基部の少なくとも一方に設けられた被嵌合部は、前記配設方向に沿って直線状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の入隅部用保護カバー。
【請求項4】
建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、
一対の側板部が天板部で繋がれて、当該基台に組み付けられる蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部が形成可能であり、
前記蓋体は、基台の前記傾斜基台連設部に係止される1又は複数の係止部が形成され
、
前記傾斜基台連設部を形成することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して配置された基台に対して、前記一対の側板部の前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体が組み付け可能であることを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項5】
前記基台の一対の基台基部の少なくとも一方、及び蓋体の対応部には、前記配線・配管材の配設方向に沿った前記傾斜基台連設部の長さの変化により、嵌合位置が相対的に変化する嵌合部と被嵌合部とがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4に記載の入隅部用保護カバー。
【請求項6】
建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が可撓性を有する基台連設部で繋がれた基台と、当該基台に組み付けられる蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とは、それぞれに設けられた被嵌合部と嵌合部との嵌合により組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
当該基台連設部の撓みの変化により、
前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して、前記入隅部に前記基台を固定配置可能とされ、
前記蓋体は、前記障害段差部と干渉する箇所を除去により欠落させることで、固定配置された前記基台に組付け可能であり、
前記基台連設部の撓みにより、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化することを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項7】
建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側
板部が天
板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の一つの屈曲変形部の屈曲により、その両側の基台連設部は、入隅部の各壁面に沿って配置可能であると共に、
当該配置状態で、前記蓋体は、前記各基台基部の複数の被嵌合部に対する複数の前記嵌合部の相対位置を変更することなく前記基台に組付け可能であり、
特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面の交差部に配置される障害段差部を回避する段差回避部を形成可能であると共に、
前記段差回避部により前記障害段差部を回避して配設された基台に対して、前記一対の側板部における前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体を、前記相対位置を変更することなく組み付け可能であることを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項8】
前記蓋体には、前記障害段差部と干渉を回避すべく、各側板部のコーナー部を折り取るための折取り溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の入隅部用保護カバー。
【請求項9】
交差して入隅部を構成する各壁面に沿って配置される基台と、当該基台に一体に組み付けられる蓋体とから成り、前記基台は、前記各壁面に固定される基台基部が基台連設部を介して連設され、当該基台連設部は、屈曲変形部で屈曲されて、その一部又は全部が前記各壁面に対して傾斜配置されて、当該各壁面の交差部に配置された障害段差部を回避して
おり、前記蓋体が、前記障害段差部と干渉する箇所が除去欠落されて、前記基台に組付けられている入隅部用保護カバーの設置構造であって、
前記蓋体に設けられた係止部は、基台の前記傾斜基台連設部に係止されることを特徴とする入隅部用保護カバーの設置構造。
【請求項10】
建物壁に固定される一対の基台基部が基台連設部を介して連結された基台と、当該基台に組み付けられて、内部に配線・配管材を配設する配設経路を形成する蓋体とから成って、他の保護カバーを接続する接続口を有する保護カバー接続体であって、
前記基台連設部は、前記各基台基部を、前記建物壁に形成された段差部の両側にそれぞれ固定可能とすべく、当該段差部を跨いで配置されるように屈曲変形可能であり、
前記蓋体の両側面には、前記基台の基台連設部が跨いでいる段差部との干渉を回避するために除去可能な除去予定部が形成され、
前記基台及び蓋体には、当該基台の基台連設部の折曲げの有無、又は折曲げられた部分の長さに対応して、当該基台連設部が連設される方向に沿った複数の異なる位置で嵌合可能な被嵌合部及び嵌合部がそれぞれ設けられていることを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項11】
前記基台連設部の屈曲変形状態において、蓋体に対する一方の基台基部の固定配置位置は不変であって、蓋体に対する他方の基台基部の固定配置位置は、前記基台連設部の屈曲変形の程度に応じた長さだけ変位し、当該変位に対応して、基台及び蓋体には、前記連設方向に沿って異なる位置で嵌合可能な被嵌合部及び嵌合部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項
10に記載の保護カバー接続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の入隅部を構成する各壁面の交差部、或いは配線・配管材の設置面に設けられた障害段差部を回避して配設可能な入隅部用保護カバー、及びその設置構造、並びに保護カバー接続体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の入隅部に配設される配線・配管材の屈曲部を収容して、入隅部の各壁面に配設される各直状保護カバーを接続する入隅部用保護カバーは、特許文献1の
図15~
図17、或いは特許文献2に開示されている。しかし、特許文献1,2に開示された入隅部用保護カバーは、入隅部に障害段差部が存在していると、基台と干渉して設置できない。また、入隅部の段差部を回避するために、予め基台に段差部を形成しておくと、入隅部用保護カバーの全体が大型化すると共に、更に大きな障害段差部には対応できず、しかも基台の段差部が不用の場合には、内部の収容空間が狭くなってしまう。
【0003】
建物の設置面に存在する障害段差部を回避して、直状保護カバーどうしを接続する保護カバー接続体は、特許文献3~6に開示されている。いずれも、障害段差部を回避可能なように、保護カバー接続体を構成する基台を屈曲させた構成であるため、保護カバー接続体が大型化されると共に、更に大きな障害段差部には対応不能であり、更に、基台の段差部が不用な場合には、内部の収容空間が狭くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-133391号公報
【文献】特開2015-040415号公報
【文献】特開2015-042066号公報
【文献】特開2012-036938号公報
【文献】特開2012-036937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、建物の入隅部、或いは建物壁の障害段差部の大きさに対応して、基台の基台連設部を屈曲変形して傾斜基台連設部を形成すると共に、障害段差部がない場合には、基台の基台連設部に傾斜基台連設部を形成しないで、そのまま使用することで、障害段差部の大きさ、及びその有無に対応させて、入隅部用保護カバー及び保護カバー接続体を配設可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側板部が天板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の一つの屈曲変形部の屈曲により、その両側の基台連設部は、入隅部の各壁面に沿って配置可能であると共に、特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部が形成可能であり、
当該傾斜基台連設部の有無により、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化し、
前記傾斜基台連設部を形成することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して配置された基台に対して、前記一対の側板部の前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体が組み付け可能であることを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、建物の入隅部に障害段差部が存在する場合には、基台を構成する基台連設部の特定の一つの屈曲変形部を屈曲させて、入隅部の各壁面に対して傾斜する傾斜基台連設部を形成することで、前記障害段差部を回避した状態で、基台の各壁面に一対の基台基部を固定配置して、一対の基台基部の少なくとも一方の側に直状保護カバーを配設して、各壁面に固定された基台に対して蓋体を組み付けると、基台の各基台基部及び蓋体にそれぞれ形成された被嵌合部と嵌合部とが互いに嵌合されて、基台と蓋体とが一体に組み付けられると共に、当該蓋体の少なくとも一方の接続口に前記直状保護カバーが接続される。一方、入隅部に障害段差部が存在しない場合には、基台の傾斜基台連設部を形成しないで、各基台基部を各壁面に固定配置して、前記被嵌合部と嵌合部との嵌合により、基台に対して蓋体が一体に組み付けられる。
ここで、基台の基台連設部における傾斜基台連設部の有無により、各壁面に沿った基台基部の間の距離が変化するが、基台の被嵌合部と蓋体の嵌合部の嵌合構造は、蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の配線・配管材の配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化し得るようになっているため、基台の基台連設部における傾斜基台連設部の有無に係わらず、各壁面に固定配置された基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と、蓋体の嵌合部との嵌合が可能となって、基台に対して蓋体が組み付けられる。
【0008】
請求項2の発明は、建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側板部が天板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の複数の屈曲変形部を選択して屈曲させることで、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さが変化され、
前記蓋体は、前記各側板部の一部を除去することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避する欠落コーナー部を形成可能であり、
当該傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さの変化により、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、基台の基台連設部に設けられた複数の屈曲変形部のうち特定の複数の屈曲変形部を選択することで、入隅部の各壁面に傾斜配置される傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さを変化させられるので、建物の入隅部に形成される障害段差部の大きさが変化しても、異なる大きさの複数の障害段差部を回避して、入隅部の各壁面に基台の基台連設部を配設できる。各壁面に固定配置された基台に対する蓋体の組み付け、及び直状保護カバーの接続は、請求項1の発明と同一である。請求項2の発明では、傾斜基台連設部の前記配設方向に沿った長さの変化により、蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の当該配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化するが、障害段差部の大きさに応じて、基台を構成する一対の基台基部の各壁面に沿った長さが変化しても、基台の被嵌合部と蓋体の嵌合部との嵌合による基台と蓋体との組み付けが可能となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、一対の基台基部の少なくとも一方に設けられた被嵌合部は、前記配設方向に沿って直線状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、傾斜基台連設部が存在しない状態に対して当該傾斜基台連設部を設けることで、或いは傾斜基台連設部の配線・配管材の配設方向に沿った長さの変化により、一対の基台基部の入隅部の各壁面に沿った間隔が変化されても、基台の被嵌合部が直線状に形成されているため、基台の被嵌合部と蓋体の嵌合部との嵌合により、基台と蓋体との組付けが可能となる。よって、一対の基台基部の少なくとも一方に直線状の被嵌合部を形成するという簡単な構成によって、基台の被嵌合部と蓋体の嵌合部との前記配設方向に沿った嵌合位置を変化させられる。
【0012】
請求項4の発明は、建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、一対の側板部が天板部で繋がれて、当該基台に組み付けられる蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部が形成可能であり、
前記蓋体は、基台の前記傾斜基台連設部に係止される1又は複数の係止部が形成され、
前記傾斜基台連設部を形成することで、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して配置された基台に対して、前記一対の側板部の前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体が組み付け可能であることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明によれば、基台を構成する基台連設部の特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、入隅部の各壁面に対して傾斜配置される傾斜基台連設部が形成され、基台と蓋体とは、当該蓋体における基台の傾斜基台連設部に対応する部分に形成された係止部が当該傾斜基台連設部に係止されることで、一体に組み付けられる。即ち、前記基台は、前記傾斜基台連設部の存在により、入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して各壁面に固定配置でき、基台と蓋体との組付けにおいて、入隅部の各壁面に対して傾斜する傾斜基台連設部に対して蓋体の係止部が係止されるため、当該係止構造によって、基台に対して蓋体は、入隅部の各壁面のいずれの方向に沿っても移動できない状態となって、基台と蓋体とが組み付けられる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記基台の一対の基台基部の少なくとも一方、及び蓋体の対応部には、前記配線・配管材の配設方向に沿った前記傾斜基台連設部の長さの変化により、嵌合位置が相対的に変化する嵌合部と被嵌合部とがそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明によれば、基台と蓋体とは、蓋体の係止部と基台の傾斜基台連設部との係止構造と、基台と蓋体のそれぞれに設けられた被嵌合部と嵌合部との嵌合構造との双方によって一体に組み付けられるので、基台と蓋体との一体化の強度が高められる。
【0016】
請求項6の発明は、建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が可撓性を有する基台連設部で繋がれた基台と、当該基台に組み付けられる蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とは、それぞれに設けられた被嵌合部と嵌合部との嵌合により組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
当該基台連設部の撓みの変化により、前記入隅部を構成する各壁面の交差部に存在する障害段差部を回避して、前記入隅部に前記基台を固定配置可能とされ、
前記蓋体は、前記障害段差部と干渉する箇所を除去により欠落させることで、固定配置された前記基台に組付け可能であり、
前記基台連設部の撓みにより、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化することを特徴としている。
【0017】
請求項6の発明によれば、基台を構成する一対の基台基部は、可撓性を有する基台連設部で繋がれているために、入隅部に設けられた種々の大きさの障害段差部との干渉を回避して、入隅部の各壁面に一対の基台基部を固定配置でき、一対の基台基部の各壁面の方向に沿った間隔が変化されても、蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の前記配設方向に沿った嵌合位置が相対的に変化する構造であるため、基台と蓋体との組み付けが可能となる。
【0018】
請求項7の発明は、建物の入隅部に沿って屈曲配設された配線・配管材の配管経路を内部に形成する入隅部用保護カバーであって、
前記入隅部を構成する各壁面に固定される一対の基台基部が基台連設部で繋がれた基台と、前記基台の各基台基部に設けられた被嵌合部と嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側板部が天板部で繋がれた蓋体と、を備え、
前記基台と蓋体とが組み付けられて、内部に配線・配管材の配管経路が形成されると共に、前記各壁面の少なくとも一方に配設された直状保護カバーの端部と接続可能な接続口が配線・配管材の配設方向に沿った少なくとも一方の端部に形成され、
前記基台連設部には、当該連設方向と直交する幅方向に沿って複数の屈曲変形部が当該連設方向に沿って所定間隔をおいて形成され、特定の一つの屈曲変形部の屈曲により、その両側の基台連設部は、入隅部の各壁面に沿って配置可能であると共に、当該配置状態で、前記蓋体は、前記各基台基部の複数の被嵌合部に対する複数の前記嵌合部の相対位置を変更することなく前記基台に組付け可能であり、
特定の複数の屈曲変形部の屈曲により、各壁面の交差部に配置される障害段差部を回避する段差回避部を形成可能であると共に、前記段差回避部により前記障害段差部を回避して配設された基台に対して、前記一対の側板部における前記障害段差部と干渉する箇所を除去欠落させた前記蓋体を、前記相対位置を変更することなく組み付け可能であることを特徴とする入隅部用保護カバーである。
【0019】
請求項7の発明によれば、基台を構成する基台連設部を複数の屈曲変形部で屈曲させて、障害段差部を回避する段差回避部を形成するために、当該障害段差部の比較的大きな横断面が方形状である場合であって、傾斜変形のみでは、干渉を回避できない場合において効果的である。また、入隅部を構成する各壁面の交差部に障害段差部が存在し、当該障害段差部の回避のために、基台連設部の複数の屈曲変形部を屈曲させる場合、及び前記障害段差部の不存在により、基台連設部を屈曲させずに使用する場合のいずれの態様においても、前記基台と蓋体とは、前記蓋体の嵌合部に対する基台の被嵌合部の相対位置を変更させることなく組付け可能となる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記蓋体には、前記障害段差部と干渉を回避すべく、各側板部のコーナー部を折り取るための折取り溝が形成されていることを特徴としている。
請求項8の発明によれば、蓋体の各側板部に形成された折取り溝を折り取るという簡単な構成により、当該蓋体に、前記障害段差部との干渉を回避する干渉回避部を形成できる。
【0021】
請求項9の発明は、交差して入隅部を構成する各壁面に沿って配置される基台と、当該基台に一体に組み付けられる蓋体とから成り、前記基台は、前記各壁面に固定される基台基部が基台連設部を介して連設され、当該基台連設部は、屈曲変形部で屈曲されて、その一部又は全部が前記各壁面に対して傾斜配置されて、当該各壁面の交差部に配置された障害段差部を回避しており、前記蓋体が、前記障害段差部と干渉する箇所が除去欠落されて、前記基台に組付けられている入隅部用保護カバーの設置構造であって、
前記蓋体に設けられた係止部は、基台の前記傾斜基台連設部に係止されることを特徴としている。
【0022】
請求項9の発明は、請求項4を引用する請求項5の発明を、「入隅部用保護カバーの設置構造」の観点から把握して表現したものであって、実質的な内容は、請求項4を引用する請求項5の発明と同等である。
【0023】
請求項10の発明は、建物壁に固定される一対の基台基部が基台連設部を介して連結された基台と、当該基台に組み付けられて、内部に配線・配管材を配設する配設経路を形成する蓋体とから成って、他の保護カバーを接続する接続口を有する保護カバー接続体であって、
前記基台連設部は、前記各基台基部を、前記建物壁に形成された段差部の両側にそれぞれ固定可能とすべく、当該段差部を跨いで配置されるように屈曲変形可能であり、
前記蓋体の両側面には、前記基台の基台連設部が跨いでいる段差部との干渉を回避するために除去可能な除去予定部が形成され、
前記基台及び蓋体には、当該基台の基台連設部の折曲げの有無、又は折曲げられた部分の長さに対応して、当該基台連設部が連設される方向に沿った複数の異なる位置で嵌合可能な被嵌合部及び嵌合部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0024】
請求項10の発明によれば、保護カバー接続体の配置部に障害段差部が存在する場合には、当該障害段差部の大きさに対応して、当該障害段差部と干渉しないように基台の基台連設部を折り曲げることで、当該障害段差部の両側に配置された各基台基部をそれぞれ建物壁に固定する。基台及び蓋体には、基台連設部が折曲げられた部分の長さに対応して、当該基台連設部が連設される方向に沿った複数の異なる位置で嵌合可能な被嵌合部及び嵌合部がそれぞれ設けられているため、当該基台連設部の折曲げ長とは無関係に、建物壁に固定配置された一対の基台基部の各被嵌合部に対して蓋体の各嵌合部が嵌合されて、建物壁に固定配置された基台に対して蓋体が組み付けられる。また、当該蓋体の両側面に設けられた除去予定部を除去することで、蓋体と障害段差部との干渉は回避される。なお、障害段差部が存在しないために、基台の基台連設部を折り曲げない場合でも、被嵌合部と嵌合部との嵌合による基台と蓋体との組付けは可能である。
【0025】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記基台連設部の屈曲変形状態において、蓋体に対する一方の基台基部の固定配置位置は不変であって、蓋体に対する他方の基台基部の固定配置位置は、前記基台連設部の屈曲変形の程度に応じた長さだけ変位し、当該変位に対応して、基台及び蓋体には、前記連設方向に沿って異なる位置で嵌合可能な被嵌合部及び嵌合部がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0026】
請求項11の発明によれば、蓋体に対する一方の基台基部の配置位置が不変な状態で、基台の基台連設部の屈曲変形の程度が変化しても、基台の被嵌合部と蓋体の嵌合部とが、当該基台連設部の連設方向に沿って異なる位置で嵌合されるため、一方の基台基部に対する前記連設方向に沿った蓋体の配置位置を一定にできる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1~8の各発明によれば、基台を構成する一対の基台基部を繋いでいる基台連設部を屈曲させて、当該入隅部の各壁面に対して傾斜していて、建物の入隅部に形成される障害段差部の大きさに対応して長さの異なる傾斜基台連設部を形成可能にすることで、建物の入隅部に形成される大きさの異なる障害段差部を回避して、当該入隅部に入隅部用保護カバーを配設できると共に、基台連設部に傾斜基台連設部を形成することなく、当該基台連設部の全ての部分を各壁面に沿わせることで、入隅部に障害段差部が存在しない場合にも対応可能である。
【0028】
請求項10,11の各発明によれば、建物壁に障害段差部が存在する場合には、その大きさに応じて基台の基台連設部を折り曲げることで、当該障害段差部を回避して、建物壁に基台を固定配置すると共に、障害段差部が存在しない場合には、基台の基台連設部を折り曲げることなく配置することで、建物壁に障害段差部が存在する場合には、当該障害段差部との干渉を回避して、他の保護カバーと接続される保護カバー接続体を建物壁に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】請求項1~5,8の発明の実施例1の入隅部用保護カバーC
1 を入隅部Aに障害段差部D
1 を回避して配設された状態の斜視図である。
【
図2】同様の状態における入隅部Aに固定配置された基台V
1 と、当該基台V
1 に組み付けられる蓋体L
1 との分解斜視図である。
【
図3】障害段差部D
2 を回避して入隅部Aに固定配置された基台V
1 と、当該基台V
1 に組み付けられる蓋体L
1 との分解斜視図である。
【
図4】障害段差部が存在しない入隅部Aに固定配置された基台V
1 と、当該基台V
1 に組み付けられる蓋体L
1 との分解斜視図である。
【
図5-A】(a),(b)は、それぞれ障害段差部D
1 ,D
2 を回避して入隅部Aに入隅部用保護カバーC
1 を配設した状態の縦断面図である。
【
図5-B】(c)は、障害段差部が存在しない入隅部Aに入隅部用保護カバーC
1 を配設した状態の縦断面図である。
【
図6】
図5-A(a)のU-U線拡大断面図である。
【
図7】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の斜視図及び平面図である。
【
図8】(a),(b)は、それぞれ
図7(b)のX
1 -X
1 線及びX
2 -X
2 線の各断面図である。
【
図9】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 を異なる方向から見た斜視図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ請求項1~5,8の発明の実施例2の入隅部用保護カバーC
2 の基台V
2 の異なる折曲げ状態の斜視図と側面図との組合せ図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 の基台V
2 の平面図及び中央縦断面図である。
【
図12】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 の蓋体L
2 を異なる方向から見た斜視図である。
【
図13】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 の蓋体L
2 の第1係止突起36が基台V
2 の傾斜基台連設部32aと係止された状態の斜視図、及び
図10(a)のY
1 -Y
1 線断面図である。
【
図14】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 の蓋体L
2 の第2係止突起37が基台V
2 の傾斜基台連設部32aと係止された状態の斜視図、及び
図10(b)のY
2 -Y
2 線断面図である。
【
図15】(a),(b)は、それぞれ請求項6の発明の実施例3の入隅部用保護カバーC
3 を構成する基台V
3 の使用状態の斜視図及び断面図である。
【
図16】(a),(b)は、それぞれ基台傾斜連設部2aを形成した状態、及び形成しない状態の基台V
4 の斜視図と、その配置状態の断面図との組合せ図である。
【
図17】(a),(b)は、それぞれ請求項7の発明に係る基台V
5 の斜視図、及び障害段差部D
1 を回避して配置した状態の断面図である。
【
図18】請求項
10,11の発明の実施例4の保護カバー接続体E
1 の使用状態の斜視図である。
【
図19】同じく建物壁W
11に固定配置された基台V
11と、蓋体L
11との分離状態の斜視図である。
【
図20】(a)は、基台V
11の平面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のZ
1 -Z
1 線及びZ
2 -Z
2 線の各断面図である。
【
図21】基台V
11と蓋体L
11との分解斜視図である。
【
図22】基台V
11と蓋体L
11との嵌合部の断面図である。
【
図23】(a)~(c)は、異なる大きさの障害段差部D
11,D
12を回避した状態、及び障害段差部が存在しない状態における基台V
11の斜視図と縦断面図との組み合せに係る図である。
【
図24】請求項
10,11の発明の実施例5の保護カバー接続体E
2 の使用状態の斜視図である。
【
図25】(a),(b)は、それぞれ障害段差部D
11が存在する状態、及び存在しない状態の保護カバー接続体E
2 の組付け状態の縦断面図である。
【
図26】(a),(b)は、折曲規制突起26が設けられた基台V
2'の斜視図及び固定配置状態における折曲規制突起26の部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に、
図1~
図9を参照して、建物の入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 の壁面交差部A
1 に障害段差部D
1(D
2)が形成されていて、当該障害段差部D
1 を回避して、当該入隅部Aに,各壁面W
1 ,W
2 に配設される各直状保護カバーC
21を接続する請求項1~5,8の発明の実施例1の入隅部用保護カバーC
1 を配設する例について説明する。
【実施例1】
【0031】
入隅部用保護カバーC
1 は、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に亘って固定配置される基台V
1 と、嵌合構造により当該基台V
1 に一体に組み付けられる蓋体L
1 とから成る。基台V
1 及び蓋体L
1 は、いずれも樹脂の射出成形により形成される。基台V
1 は、
図7及び
図8に示されるように、配管材Pの配設方向Qに沿った方向に長辺が存在するような長方形状の全体形状を有していて、当該配設方向Qと直交する幅方向Rに長辺が存在する長方形状の一対の基台基部1が、基台連設部2で繋がれた構成である。即ち、基台連設部2は、幅方向Rに長辺が存在する複数枚(実施例では2枚)の小片板部3で構成されて、各小片板部3どうし、及び基台基部1と小片板部3は、幅方向に形成された横断面V字状の複数の折曲げ溝4a~4cを介して折曲げ可能に連結されている。一対の基台基部1の幅方向Rの両端基部には、配設方向Qに沿って所定長を有する部分立壁5がそれぞれ形成され、各部分立壁5の上半部であって、しかもその外側には、横断面が爪状をした被嵌合部6が全長に亘って形成されている。即ち、被嵌合部6は、配管材Pの配設方向Qに沿った直線状をなしている。
【0032】
また、各基台基部1の幅方向の中央部には、当該基台基部1を各壁面W1 ,W2 に固定するためのビスBを挿通するビス挿通孔7が配設方向に沿って長孔状に形成されており、各小片板部3の幅方向Rの中央部には、当該小片板部3を各壁面W1 ,W2 に固定するビスを挿通するためのビス下孔8が形成されている。また、各基台基部1の外側の長辺の部分の中央部には、当該基台基部1に対する入隅部用保護カバーC1 に接続される直状保護カバーC21の基台V21の幅方向Rの位置決めを行うための一対の位置決め片9が、幅方向Rに所定間隔をおいて配設方向Qに沿って形成されている。なお、基台V1 は、折曲げ溝4bに対して対称形状となっている。
【0033】
蓋体L
1 は、
図9に示されるように、前記基台V
1 の幅に対応する間隔をおいて互いに平行となるように対向配置された変則正方形状をした一対の側板部11が、一つのコーナー部において天板部12で連結されることで、各側板部11の計4辺の対向部には、いずれも開口が形成され、配管材Pの配設方向Qに沿った2つの各開口は、それぞれ直状保護カバーC
21と接続される接続口13となっている。
図5-A及び
図5-Bに示されるように、前記基台V
1 を構成する一対の基台基部1は、入隅部Aの各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
1 に形成される障害段差部D
1 ,D
2 の大きさ、及び当該障害段差部D
1 ,D
2 の存否に係わらず、当該入隅部Aを形成する各壁面W
1 ,W
2 に密着状態で固定され、基台V
1 を構成する一対の基台基部1は、前記障害段差部D
1 ,D
2 の大きさ、及び当該障害段差部D
1 ,D
2 の存否によって、複数の折曲げ溝4a~4cのうち、特定の2本又は1本の折曲げ溝4a(4b,4c)のみを折り曲げて使用される。蓋体L
1 を構成する一対の側板部11の内側面における使用状態で各壁面W
1 ,W
2 に近接する部分には、基台V
1 の各被嵌合部6に嵌合される嵌合突起14がそれぞれ対向して形成されている。また、対向配置された一対の側板部11の内側面における前記天板部12に対して対角線方向に沿って対向する部分には、入隅部Aの交差部A
1 に障害段差部D
1 ,D
2 が存在している場合に、当該障害段差部D
1 ,D
2 との干渉を回避すべく、各側板部11のコーナー部を折り取るための折取り溝15,16が、当該側板部11における各壁面W
1 ,W
2 に当接する当接端面17,18に対して45°の角度で傾斜して形成されている。
【0034】
なお、入隅部Aを形成する各壁面W
1 ,W
2 に配設されて、上記した入隅部用保護カバーC
1 により接続される直状保護カバーC
21は、
図1に示されるように、横断面視で凹凸を有する板状の基台V
21と、当該基台V
21に覆蓋される横断面U字状の蓋体L
21とから成り、当該基台V
21には、入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の各基台基部1に設けられた一対の位置決め片9を挿入して、当該基台V
1 に対する基台V
21の幅方向の位置決めを行う一対の位置決め溝71が長手方向に連続して形成されている。直状保護カバーC
21の蓋体L
21は、一対の側
板部72が、基台V
21の幅に対応する幅を有して対向配置されて、天
板部73が繋がれた構成であり、基台V
21と蓋体L
21とは、当該基台V
21の幅方向の両端部に設けられた各嵌合凹部74に、前記蓋体L
21の嵌合凸部75が嵌合されることで、一体に組み付けられる。
【0035】
次に、
図1~
図6を参照して、入隅部Aの各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に大きさの異なる各障害段差部D
1 ,D
2 が存在している場合、及び当該交差部A
0 に障害段差部が存在していない場合の計3つの場合における入隅部用保護カバーC
1 の配設構造について説明する。なお、障害段差部D
1 は同D
2 よりもサイズが大きい。
【0036】
まず、入隅部Aの交差部A
0 にサイズの大きな障害段差部D
1 が存在している場合には、
図1、
図2及び
図5-A(a)に示されるように、基台V
1 の各折曲げ溝4a,4cにおいて、各基台基部1に対して当該各基台基部1に接続された小片板部3を内側に角度45°だけ折り曲げた状態で、各基台基部1を各壁面W
1 ,W
2 にビスBを用いて固定すると、平面を維持して連結されている2枚の各小片板部3は、前記交差部A
1 に存在している障害段差部D
1 と干渉することなく、各壁面W
1 ,W
2 に対して、それぞれ角度45°で傾斜配置されて、傾斜基台連設部2aとなる。次に、入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の各基台基部1に設けられた一対の位置決め片9を、直状保護カバーC
21の基台V
21の各位置決め溝71に挿入して、各基台V
1 ,V
21の端面を当接させた状態で、各壁面W
1 ,W
2 に、直状保護カバーC
21の基台V
21を配設する。この状態で、各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された直状保護カバーC
21の各基台V
21上に、入隅部Aで屈曲された配管材Pを配管した後に、各壁面W
1 ,W
2 の各基台V
21に対して蓋体L
21を一体に組み付ける。
【0037】
最後に、
図2に示されるように、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の各側板部11を折取り溝15の部分で二等辺直角三角形状に折り取ることで、各側板部11における天板部12が設けられた部分と対角線方向に沿って対向する部分に欠落コーナー部19を形成しておき、各壁面W
1 ,W
2 が交差している入隅部Aに固定配置された入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 に対して蓋体L
1 を一体に組み付ける。これにより、
図5-A(a)に示されるように、蓋体L
1 の各側板部11は、欠落コーナー部19によって、入隅部Aの交差部A
0 に存在している障害段差部D
1 との干渉が回避された状態で、基台V
1 に対して蓋体L
1 が組み付けられる。なお、
図2において、21は、折取り片を示す。
【0038】
ここで、入隅部Aの交差部A
0 にサイズの大きな障害段差部D
1 が存在している場合は、各壁面W
1 ,W
2 には、それぞれ基台V
1 の長手方向の両端部の各基台基部1のみが固定配置されて、当該基台V
1 は、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 を通り、しかも各壁面W
1 ,W
2 に対してそれぞれ45°で交差する対称面K〔
図5-A(a)参照〕に対して対称に配置される。この結果、蓋体L
1 の各嵌合突起14は、基台V
1 の直線状の各被嵌合部6の長手方向の中央に対して小片板部3の側に僅かに変位した位置に配置されて、
図6に示されるように、基台V
1 の被嵌合部6と蓋体L
1 の嵌合突起14とは、上記位置で互いに嵌合されている。
【0039】
また、入隅部Aの交差部A
0 にサイズの小さな障害段差部D
2 が存在している場合には、
図3及び
図5-A(b)に示されるように、各折曲げ溝4a,4b(又は4b,4c)の部分で基台V
1 を内側に角度45°だけ折り曲げて、一方の壁面W
1 に一方の基台基部1のみを固定配置すると共に、他方の壁面W
2 に他方の基台基部1及び当該基台基部1に接続する一方の小片板部3を固定配置すると、他方の小片板部3は、各壁面W
1 ,W
2 に対してそれぞれ角度45°で傾斜配置されて傾斜基台連設部2aとなることで、入隅部Aの交差部A
0 に存在している障害段差部D
2 との干渉を回避して、入隅部Aに基台V
1 が固定配置される。
【0040】
そして、蓋体L
1 の各側板部11における天板部12と対角線方向に沿って対向するコーナー部を折取り溝16の部分で二等辺直角三角形状に折り取って、欠落コーナー部22を形成しておいて、各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された前記基台V
1 に対して被嵌合部6と嵌合突起14との嵌合構造により、当該蓋体L
1 を一体に組み付ける。ここで、壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 は、前記対称面Kに対して非対称に配置されているため、基台V
1 の直線状の被嵌合部6に対する蓋体L
1 の嵌合突起14の配管材Pの配設方向Qに沿った嵌合位置は、上記したサイズの大きな障害段差部D
1 の嵌合位置に対して、壁面W
1 に固定された基台基部1の側に変位して、蓋体L
1 の各嵌合突起14は、基台V
1 の各被嵌合部6に対して長手方向の端部で嵌合されている。なお、
図3において、23は、蓋体L
1 の側板部11の折取り片を示す。
【0041】
更に、入隅部Aの交差部A
0 に障害段差部が存在しない場合には、
図4及び
図5 -B(c)に示されるように、基台V
1 を折曲げ溝4bの部分で直角に折り曲げて、基台基部1と1枚の小片板部3が接続された各部分を壁面W
1 ,W
2 に固定配置して、各側板部11の折取り溝15,16が形成されたコーナー部を残したままで、各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 に対して蓋体L
1 を上記嵌合構造により、一体に組み付ける。
【0042】
入隅部Aの交差部A0 に障害段差部が存在しない場合には、壁面W1 ,W2 に固定配置された基台V1 は、前記対称面Kに対して対称に配置されて、サイズの大きな障害段差部D1 が存在している場合に対して、基台V1 の直線状の各被嵌合部6に対する蓋体L1 の各嵌合突起14は、配設方向Qに沿って外側に変位した位置でそれぞれ嵌合される。
【0043】
このように、各壁面W1 ,W2 に対する基台V1 の固定配置の形状が異なることで、各壁面W1 ,W2 に対する基台V1 の各被嵌合部6の配置位置が配管材Pの配設方向Qに沿って変位しても、基台V1 に形成された各被嵌合部6は、配管材Pの配設方向Qに沿った直線状に形成されているため、壁面W1 ,W2 に固定配置された基台V1 の各被嵌合部6に対する蓋体L1 の各嵌合突起14の嵌合位置が変位した状態で嵌合可能となる。
【実施例2】
【0044】
次に、
図10~
図14を参照して、請求項1~5,
9の発明の実施例2の入隅部用保護カバーC
2 について説明する。入隅部用保護カバーC
2 は、全体形状が配管材Pの配設方向Qに沿って長辺を有する長方形状の基台V
2 と、当該基台V
2 に一体に組み付けられる蓋体L
2 とから成る。基台V
2 は、各壁面W
1 ,W
2 に固定配置される一対の長方形板状の基台基部31が、基台連設部32で繋がれた構成である。基台連設部32は、複数枚(実施例では3枚)の長方形状の小片板部33が折曲げ溝34b,34cの部分で折曲げ可能に連結され、各基台基部31と,当該各基台基部31に接続される小片板部33とは、それぞれ折曲げ溝34a、34dを介して折曲げ可能に連結されている。なお、基台V
2 には、前記基台V
1 と同様に、ビス挿通孔7、ビス下孔8及び位置決め片9が設けられている。
【0045】
蓋体L
2 は、前記蓋体L
1 と同等な構成であるので、同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。即ち、蓋体L
2 は、
図12に示されるように、前記基台V
2 の幅に対応する間隔をおいて対向配置された一対の側板部11の内側面における天板部12に対して対角線方向に沿って対向するコーナー部に、一対一組となった第1係止突起36及び一つの第2係止突起37が互いに直交する当接端面17,18の双方に対して角度45°で傾斜する方向に沿ってそれぞれ形成されている。一対の第1係止突起36は、一つの第2係止突起37に対して各当接端面17,18の角部38の内側に形成される。
図13及び
図14に示されるように、一対一組の第1係止突起36及び一つの第2係止突起37は、計3枚の小片板部33で構成される傾斜基台連設部32a及び中央の小片板部33で構成される傾斜基台連設部32aの各裏面に対してそれぞれ係止される。第1及び第2の各係止突起36,37における前記角部38から最も離間する部分に形成された係止面は、各側板部11の内側面に対して垂直に形成されている。
【0046】
よって、
図10(a)に示されるように、基台連設部32を構成する全ての小片板部33が、入隅部Aの各壁面W
1 ,W
2 に対して傾斜配置された状態で、基台V
2 が各壁面W
1 ,W
2 に固定配置される場合には、全ての小片板部33が傾斜基台連設部32aとして機能し、各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
2 に対して傾斜基台連設部32aに垂直な方向から蓋体L
2 を押し付けて、第2係止突起37が傾斜基台連設部32aの部分に達すると、対向する各側板部11が外方に拡開変形されて、当該第2係止突起37は、傾斜基台連設部32aを乗り越える。更に、蓋体L
2 に押し付けて、一対の第1係止突起36が傾斜基台連設部32aの部分に達すると、対向する各側板部11が、再度外方に拡開変形されて、蓋体L
2 の一対の第1係止突起36が、基台V
2 の傾斜基台連設部32aの裏面に配置されると、
図13に示されるように、各側板部11が原形状に復元して、基台V
2 の傾斜基台連設部32aに対して蓋体L
2 の一対の第1係止突起36が係止される。
【0047】
上記した係止状態では、蓋体L2 の各当接端面17,18は、各壁面W1 ,W2 に当接し、基台V2 の傾斜基台連設部32aと蓋体L2 の一対の第1係止突起36は、いずれも各壁面W1 ,W2 に対して45°の角度で傾斜しているため、当該係止構造のみによって、基台V2 に対して蓋体L2 は、全方向に移動不能となって、基台V2 に対して蓋体L2 が一体に組み付けられる。
【0048】
また、
図10(b)に示されるように、基台連設部32を構成する中央の小片板部33のみが、各壁面W
1 ,W
2 に傾斜配置された状態で、基台V
2 が各壁面W
1 ,W
2 に固定配置される場合には、
図14 に示されるように、蓋体L
2 における角部38に近い一つの第2係止突起37が、基台V
2 における基台連設部32を構成する中央の小片板部33の裏面に係止されることで、基台V
2 に対して蓋体L
2 が一体に組み付けられる。
【0049】
なお、入隅部用保護カバーを構成する基台と蓋体との組付けに関しては、蓋体L2 の各当接端面17,18が、それぞれ各壁面W1 ,W2 に当接又は近接して配置されるため、上記した係止構造のみでも、各壁面に固定配置された基台に対して蓋体を全方向に対して移動不能に組み付けられるが、当該係止構造と、基台の直線状の被嵌合部と、蓋体の嵌合部との嵌合位置が、配管材の配設方向に沿って変位する構成の実施例1の嵌合構造とを併用すると、一層確実に、基台と蓋体とを一体に組み付けられる。なお、入隅部用保護カバーを構成する基台と蓋体との組付けに関しては、障害段差部の有無により、嵌合構造のみ、又は係止構造のみの場合に使い分けてもよい。
【0050】
また、実施例2では、蓋体L2 に設けられた第1及び第2の各係止突起36,37は、基台V2 の傾斜基台連設部32aの裏面側で係止されているが、その表面側で係止させることも可能である。
【実施例3】
【0051】
次に、
図15を参照して、請求項6の発明の実施例3の入隅部用保護カバーC
3 を構成する基台V
3 について説明する。基台V
3 は、実施例1の基台V
1 の一対の基台基部1を繋いでいる基台連設部2を、可撓む性を有する薄肉シート状の基台連設部2’に変更したものであって、残りの構成は、当該基台V
1 と同一であるので、同一符号を付して、特徴部分である可撓性を有する基台連設部2’のみについて説明する。基台連設部2’は、基台基部1よりも薄肉のシート状に形成されて可撓性を有するために、入隅部Aの交差部A
0 に障害段差部D
1 が存在していても、各壁面W
1 ,W
2 に各基台基部1を固定配置することで、基台連設部2’は、障害段差部D
1 の大きさに応じて、自在に撓み変形するため、当該障害段差部D
1 を回避して、入隅部Aに基台V
3 を固定配置できる。
【実施例4】
【0052】
次に、
図16を参照して、実施例4の基台V
4 について説明する。実施例1の基台V
1 の被嵌合部6は、配管材Pの配設方向Qに沿って所定長だけ直線状に形成されて、横段面形状が爪状であるが、実施例4の基台V
4 の被嵌合部6’は、側面視で幅広の門形をなしていて、配設方向Qに配置された被嵌合板部6'aの長手方向の両端部が基台基部1に脚部6'bを介して固定されることで、当該被嵌合板部6'aと基台基部1との間に被嵌合空間部6'cが形成された構成のみが、前記基台V
1 と異なる。基台V
4 は、実施例1の蓋体L
1 が組み付けられる。
【0053】
このため、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に大きな障害段差部D
1 が存在する場合には、
図16(a)に示されるように、基台V
4 の2枚の小片板部3を折り曲げて、傾斜基台連設部2aと機能させて、当該基台V
4 を各壁面W
1 ,W
2 に固定配置させ、この状態で、当該基台V
4 に対して蓋体L
1 を押し付けて、一体に組み付けると、当該蓋体L
1 の各嵌合突起14は、前記被嵌合空間部6'cに挿入され、内側の脚部6'bに近接した状態で、各被嵌合板部6'aにそれぞれ嵌合される。一方、交差部A
0 に障害段差部が存在しない場合には、
図16(b)に示されるように、当該蓋体L
1 の各嵌合突起14は、外側の脚部6'bに近接した状態で、各被嵌合板部6'aにそれぞれ嵌合される。また、図示されていないが、交差部A
0 に小さな障害段差部D
2 が存在する場合には、蓋体L
1 の各嵌合突起14は、基台V
4 の各被嵌合板部6'aにおける各脚部6'bの中間部で嵌合される。実施例4の基台V
4 は、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に大きな障害段差部D
1 が存在する場合、及び障害段差部が存在しない場合には、蓋体L
1 の嵌合突起14が被嵌合部6’の配設方向に沿った両端部の脚部6'bに近接するように、基台基部1に対する配置位置、及びその長さが定められているため、基台V
4 と蓋体L
1 との嵌合状態が安定化する利点がある。
【実施例5】
【0054】
次に、
図17に示される請求項7の発明の実施例5の基台V
5 について説明する。実施例5の基台V
5 も、実施例1の蓋体L
1 に組み付けられる。基台V
5 は、実施例1の基台V
1 に対して、被嵌合部6の構成が異なるのみであって、蓋体L
1 の嵌合突起14が配設方向Qに沿って僅かの隙間を有して嵌合される側面視で門形の被嵌合部6”を有している構成が異なるのみである。
図17(b)に示されるように、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に大きな障害段差部D
1 が存在する場合には、2枚の各小片板部3を内側に直角に折り曲げることで、段差回避部20となって、干渉回避空間部10が形成されると共に、障害段差部が存在しない場合には、同図で2点鎖線で示されるように、各小片板部3を接続する折曲げ溝4bの部分で、当該各小片板部3を直角に折り曲げて、入隅部Aに固定配置される。この結果、上記した2つの配置態様において、基台V
5 の各被嵌合部6”の配設方向Qに沿った配置位置は、同一となるので、被嵌合部6”の被嵌合空間部6”c は、蓋体L
1 の嵌合突起14の挿入嵌合状態で、配設方向Qに沿って僅かの隙間を形成しておくのみでよい。
【実施例6】
【0055】
次に、
図18~
図25を参照して、請求項
10,11の発明の実施例6について説明する。請求項9,10の発明は、建物壁W
11における直状保護カバーC
21の接続部に障害段差部D
11が存在している場合に、当該障害段差部D
11を回避して接続可能な保護カバー接続体E
1 ,E
2 に係るものである。
【0056】
保護カバー接続体E
1 は、
図18~
図23に示されており、障害段差部D
11を回避して建物壁W
11に固定される基台V
11と、当該基台V
11に組み付けられる蓋体L
11とから成る。基台V
11は、
図20~
図23に示されるように、前記基台V
1 と同様に、配管材Pの配設方向Qに沿って長辺を有する長方形状の全体形状を有し、一対の基台基部41が基台連設部42で繋がれた構成である。基台連設部42は、複数枚(実施例では5枚)の長方形状の小片板部43が折曲げ溝44の部分で折曲げ可能に連結された構成であり、各基台基部41と、当該各基台基部41に接続される各小片板部43とは、折曲げ溝44により折曲げ可能に連結されている。各基台基部41の幅方向Rの両端部には、部分立壁45が配設方向Q沿ってそれぞれ形成され、各部分立壁45の外側の上端部には、被嵌合突起46が配設方向Qに沿って形成されている。各基台基部41の外側であって幅方向Rの中央部には、位置決め辺47が形成され、各基台基部41の幅方向の中央部には、ビス挿通孔48が形成されている。
【0057】
蓋体L
11は、
図21及び
図22に示されるように、前記基台V
11の幅に対応した間隔をおいて対向配置された一対の側板部51が天板部52で連結されることで、横断面が逆U字状をなしており、配管材Pの配設方向Qに沿った両端部の各開口は、直状保護カバーC
21の端部と接続される接続口53となっていると共に、各側板部51の下端部の間に形成された開口は、基台V
11と組み付けるための組付け開口54となっている。対向配置された各側板部51の内側面であって、その下端部の中央部には、建物壁W
11に存在する障害段差部D
11,D
12との干渉を回避するために折り取るための方形状をした薄肉の除去予定部55がそれぞれ形成されていると共に、当該除去予定部55の両側には、前記基台V
11の各被嵌合突起46と嵌合される直線状の各嵌合部56が、前記接続口53の内側の部分まで形成されている。各嵌合部56は、等長であって、除去予定部55に対して対称に配置されている。各側板部51の除去予定部55を折り取ることで、障害段差部D
11,D
12を回避可能な干渉回避開口57(
図18及び
図19参照)が形成される。なお、直線状の各嵌合部56の接続口53の側の端部には、基台V
11と蓋体L
11とが嵌合により組み付けられた状態で、当該基台V
11に対して蓋体L
11が配設方向にスライドして外れるのを防止するためのストッパー部58が形成されている。
【0058】
そして、建物壁W
11に障害段差部D
11が存在している場合には、
図18、
図19及び
図23(a)に示されるように、基台V
11の基台連設部42の各小片板部43の接続部に形成された複数の折曲げ溝44のうち各基台基部41と接続されている2本の折曲げ溝44を除く残りの全ての折曲げ溝44の部分で各小片板部43を等脚台形状に折り曲げて干渉回避空間部59を形成することで、前記障害段差部D
11を回避して建物壁W
11に当該基台V
11を固定配置する。この状態で、基台V
11の位置決め片47を、直状保護カバーC
21の基台V
21の長手方向の端部の位置決め溝76に挿入して、保護カバー接続体E
1 の基台V
11に対する直状保護カバーC
21の基台V
21の幅方向の位置決めを行って、当該基台V
11の配設方向Qの両端部に基台V
21を接続する。この状態で、各基台V
11,V
21の上に配管材Pを配管した後に、直状保護カバーC
21の各基台V
21に対して蓋体L
21を組み付ける。
【0059】
最後に、障害段差部D
11との干渉を回避して建物壁W
11に固定配置されている基台V
11に対して蓋体L
11を押し付けると、
図18に示されるように、基台V
11の各被嵌合突起46と、蓋体L
11の嵌合部56とが互いに嵌合して、基台V
11と蓋体L
11とが一体に組み付けられる。
【0060】
また、建物壁W
11に存在する障害段差部D
12が大きい場合には、
図23(b)に示されるように、複数の折曲げ溝44のうち最も外側の2本の折曲げ溝44を含んだ計4本の折曲げ溝44を用いて、基台V
11の各小片板部43を利用して、前記干渉回避空間部59よりも大きな等脚台形状の干渉回避空間部59’を形成することで、当該障害段差部D
12との干渉を回避する。
【0061】
更に、建物壁W
11に障害段差部が存在しない場合には、
図23(c)に示されるように、基台V
11の基台連設部42は、平板状のままにすると共に、蓋体L
11の各側板部51の除去予定部55は、残存させることで、通常の基台V
11と蓋体L
11として使用する。
【0062】
なお、
図23に示されるように、建物壁W
11に障害段差部が存在しないために、基台V
11の基台連設部42を平板状のまま使用する場合には、基台V
11の被嵌合突起46と蓋体L
11の嵌合部56との嵌合位置は、蓋体L
11の各側板部51の接続口53の内側に形成されたストッパー部の内側に近接した位置であり、障害段差部D
11,D
12が存在する場合には、前記嵌合位置は、ストッパー部の内側に僅かの隙間を有した位置である。従って、基台V
11と蓋体L
11との嵌合状態において、基台V
11に対して蓋体L
11が大きくスライドされることはない。
【実施例7】
【0063】
次に、
図24及び
図25を参照して、上記した保護カバー接続体E
1 の嵌合構造の部分のみを変更した別の保護カバー接続体E
2 について説明する。保護カバー接続体E
2 については、前記保護カバー接続体E
1 と同一部分には同一符号を付すと共に、同等部分には、同一符号に「’」を付すことで、図示を主体に説明する。保護カバー接続体E
2 は、基台V
12と、当該基台V
12に組み付けられる蓋体L
12とから成る。前記保護カバー接続体E
1 では、蓋体L
11の各側板部51の内側面の下端部に形成された各嵌合部56は、等長であって、除去予定部55に対して対称に配置されているが、当該保護カバー接続体E
2 では、除去予定部55’は、一方の嵌合部56の側に入り込むことで、配設方向Qに沿って長く形成されて、当該除去予定部55’の両側に、長さの異なる嵌合部56と同56’がそれぞれ形成されている。長さの短い嵌合部56’は、基台V
12の被嵌合突起46が、両側のストッパー部58の間に僅かの隙間を有して配置された状態で嵌合されることで、基台V
12の一方の基台基部41に対する配設方向Qに沿った蓋体L
12の配置位置は、一定している構成が、前記保護カバー接続体E
1 と異なる。なお、基台V
12の各小片板部43を屈曲させて、障害段差部との干渉を回避する干渉回避空間部59を形成することで、長さの長い側の嵌合部56の部分において、位置決め片47’は、各小片板部43の屈曲により、配設方向Qに沿って短くなる基台V
12の長さの減少分の全てが、蓋体L
12の内部に入り込むために、嵌合部56の側の基台V
12の位置決め片47’は、他の位置決め片47よりも長くしてある。
【0064】
よって、
図25(a)に示されるように、建物壁W
11に存在している障害段差部D
11の回避のために、各小片板部43を屈曲させて干渉回避空間部59を形成する場合、及び
図25(b)に示されるように、建物壁W
11に障害段差部が存在しないために、各小片板部43を折り曲げることなく、全体を平板状にして使用する場合の双方において、基台V
12の一方の基台基部41に対する蓋体L
12の配設方向Qに沿った配置位置(組付け位置)は、不変であると共に、組付け状態において、基台V
12に対して蓋体L
12は、スライド不能となる。
【0065】
なお、障害段差部との干渉を回避して、蓋体L11,L12に形成された除去予定部55,55’を除去する場合に、当該障害段差部の外形状に倣って除去すると、当該障害段差部との間に隙間が発生しなくなって、見栄えが良くなる。
【0066】
また、実施例1に係る
図3~
図5-Aに示されるように、基台V
1 を構成する基台基部1及び/又は基台連設部2を構成する小片板部3を折り曲げたり、或いは実施例2に係る
図10に示されるように、基台V
2 を構成する基台基部31及び/又は基台連設部32を構成する小片板部3を折り曲げることで、入隅部Aの各壁面W
1 ,W
2 に対して傾斜連設部2a,32aを形成する場合に、折曲げ角度を確定させて、折曲げ形状を安定化させるために、
図26に示されるように、基台V
2'に関しては、基台基部31及び各小片板部33における幅方向Rの両端部であって、しかも各折曲げ溝34a~34dに臨んだ部分に、傾斜角度(各実施例1,2は、いずれも45°)を規制する折曲げ規制突起26を形成して、折曲げ部において、各折曲げ規制突起26が互いに当接することで、折曲げ最大角度(各実施例1,2では、45°)を超えて、折り曲げられないようにすることも可能である。この折曲げ規制突起は、実施例6,7の基台V
11,V
12を構成する各小片板部43を内側に折り曲げる部分の折曲げ角度の規制に対しても適用可能である。なお、
図26において、27は、前記折曲げ規制突起26を補強するために、その両端部に設けられた補強部を示す。
【0067】
なお、上記した各実施例1,2,4,5,6,7において、基台を構成する各小片板部の折曲げ角度は、いずれも45°であるが、障害段差部の形状、大きさ等との関係で、45°に限定されず、任意の角度であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
A:入隅部
A0 :各壁面の交差部
C1 ~C3 :入隅部用保護カバー
C21:直状保護カバー
D1,D2,D11:障害段差部
E1,E2 :保護カバー接続体
L1,L2 :保護カバーの蓋体
L11,L12:保護カバー接続体の蓋体
P:配管材(配線・配管材)
Q:配設方向
R:幅方向
V1 ~V5 :保護カバーの基台
V11,V12:保護カバー接続体の基台
W1,W2 :入隅部の各壁面
W11:建物壁
1,31,41:基台基部
2,2',32,42:基台連設部
2a,32a:傾斜基台連設部
6,6',6”:被嵌合部
14:嵌合突起(嵌合部)
20:段差回避部
46:被嵌合突起
55:除去予定部
56:嵌合部