(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】特典管理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220314BHJP
【FI】
G06Q30/02 354
(21)【出願番号】P 2018121221
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】柳 俊夫
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-122273(JP,A)
【文献】特開2014-215681(JP,A)
【文献】特開2007-272817(JP,A)
【文献】特開2012-141757(JP,A)
【文献】特開2003-022341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の取引項目をそれぞれ分類して定められた複数のカテゴリのそれぞれに関して複数の利用者に対して個別に設定された特典の付与率を表す付与率データを記憶する記憶手段と、
前記利用者からの指示に応じて、当該利用者に対して設定されたものとして前記記憶手段に記憶された付与率データを更新する更新手段と、
を具備した特典管理装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記複数のカテゴリのそれぞれに対して設定される付与率の総和が、前記利用者に対して定められた総付与率を越えない範囲となるように前記付与率データの更新を行う、
請求項1に記載の特典管理装置。
【請求項3】
前記更新手段は、前記カテゴリに対して設定される付与率が、当該カテゴリに定められた許容範囲内となるように前記付与率データの更新を行う、
請求項1又は請求項2に記載の特典管理装置。
【請求項4】
前記更新手段は、前記特典の付与の対象となるカテゴリの数が、利用者に対して定められた許容範囲内となるように前記付与率データの更新を行う、
請求項1-3のいずれか一項に記載の特典管理装置。
【請求項5】
複数の取引項目をそれぞれ分類して定められた複数のカテゴリのそれぞれに対して複数の利用者に対して個別に設定された付与率を表す付与率データを記憶する記憶手段を備えた特典管理システムを制御するためのコンピュータを、
前記利用者からの指示に応じて、当該利用者に対して設定されたものとして前記記憶手段に記憶された付与率データを更新する更新手段、
として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、特典管理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者毎の取引の実績に応じて決まる会員ランクに応じて、利用者に付与する特典の付与率を変更することは既に行われている。
しかしながら、特典の付与の対象となる取引は特典の提供側により固定的に定められていて、全ての利用者に対して一律であった。例えば、特典が割引である場合、利用者毎の割引率を異ならせることは行われているが、割引の対象となる商品はどの割引率が適用される利用者でも同一である。
このような事情から、利用者のニーズに応じた特典の付与が行えることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利用者のニーズに応じた特典付与のための特典の管理が行える特典管理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の特典管理装置は、記憶手段及び更新手段を備える。記憶手段は、複数の取引項目をそれぞれ分類して定められた複数のカテゴリのそれぞれに関して複数の利用者に対して個別に設定された特典の付与率を表す付与率データを記憶する。更新手段は、利用者からの指示に応じて、当該利用者に対して設定されたものとして記憶手段に記憶された付与率データを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る顧客サーバの要部回路構成と、当該顧客サーバを用いて構成された決済システムの概略構成とを示すブロック図。
【
図2】
図1中の付与ポイントテーブルの一例を示す図。
【
図3】
図1中の上限ポイントテーブルの一例を示す図。
【
図4】
図1中のランクテーブルに含まれるデータレコードの構成を示す図。
【
図5】
図1中の設定テーブルに含まれるデータレコードの構成を示す図。
【
図6】プロセッサによる情報処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、特典管理装置としての機能を備えた顧客サーバを例に説明する。
図1は本実施形態に係る顧客サーバ10の要部回路構成と、当該顧客サーバ10を用いて構成された決済システム100の概略構成とを示すブロック図である。
【0008】
決済システム100は、顧客サーバ10、情報端末20及びPOS(point-of-sale)システム30を、通信ネットワーク40を介して通信可能とすることで構成されている。通信ネットワーク40は、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。なお、決済システム100には、典型的には複数の情報端末20が含まれるが、
図1においては1つのみを示している。また決済システム100には、複数のPOSシステム30が含まれていてもよい。
【0009】
顧客サーバ10は、決済システム100により提供される決済サービスの利用者に関する各種の管理のための情報処理を行う。
情報端末20は、決済サービスでの特典付与に関わる設定のための利用者による操作を受け付ける。情報端末20は、典型的には、スマートフォン、携帯電話、あるいはタブレット端末等のような携帯型の情報処理装置である。情報端末20は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータなどのような据置型の情報処理装置であってもよい。複数の情報端末20が決済システム100に含まれる場合、これらの複数の情報端末20が同一の利用者により利用されてもよいし、異なる利用者により個別に利用されてもよい。あるいは、1つの情報端末20が複数の利用者により共用されてもよい。
【0010】
POSシステム30は、取引の内容の登録及び会計などのための処理を行う。なおPOSシステム30が処理の対象とする取引は、本実施形態では商品の販売とする。ただし取引は、飲食サービス、あるいは物の提供を伴わないサービスなど、いなかるものであってもよい。取引の対象は、複数のカテゴリに分類された複数の取引項目を含む。例えば本実施形態では、販売対象となる多数の商品のそれぞれが取引項目に相当し、これら多数の商品は、複数のカテゴリに分類されていることとする。
【0011】
顧客サーバ10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、通信インタフェース14及び伝送路15等を備える。プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インタフェース14とは、伝送路15によって接続される。
顧客サーバ10においては、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13を伝送路15で接続することによって、顧客サーバ10を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
【0012】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの各種の情報処理プログラムに従って、顧客サーバ10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0013】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。またメインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0014】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ11での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0015】
通信インタフェース14は、通信ネットワーク40を介したデータ通信のインタフェースである。通信インタフェース14としては、例えばインターネットを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
伝送路15は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0016】
顧客サーバ10は、例えば汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。このときに典型的には、後述する情報処理に関する情報処理プログラムと、当該情報処理プログラムがメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されない状態のコンピュータ装置とが個別に顧客サーバ10の運営者に譲渡される。情報処理プログラムの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介したダウンロードにより実現できる。そしてこの場合は、顧客サーバ10の管理者又は顧客サーバ10の設置作業者などによる操作に応じて、レシートサーバアプリP21が補助記憶デバイス13に書き込まれる。ただし、上記の情報処理プログラムがメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶された状態の顧客サーバ10が譲渡されてもよい。
【0017】
補助記憶デバイス13が記憶するデータには、会員マスタT1、付与ポイントテーブルT2、上限ポイントテーブルT3、ランクテーブルT4及び設定テーブルT5が含まれる。
会員マスタT1は、利用者を識別するための会員コードに関連付けて、利用者を管理するための氏名及び認証情報などの各種の情報を記述している。
【0018】
付与ポイントテーブルT2は、会員ランクに関連付けて、付与ポイント数及び許容カテゴリ数を記述している。付与ポイント数は、関連付けられた会員ランクに属する利用者に対して付与するポイントの数である。許容カテゴリ数は、付与されたポイントを割り振ることを許容するカテゴリの数である。
図2は付与ポイントテーブルT2の一例を示す図である。
会員ランクは1~10の10段階であり、10が最大である。そして付与ポイントテーブルT2は、例えば会員ランクが10である利用者に対しては、30ポイントが付与され、この30ポイントを6つまでのカテゴリに割り振ることを許容することを表している。
【0019】
上限ポイントテーブルT3は、カテゴリを識別するためのカテゴリコードのそれぞれに関連付けて、上限値を記述している。上限値は、関連付けられているカテゴリコードで識別されるカテゴリに対して割り振ることを許容するポイントの上限を表す。
図3は上限ポイントテーブルT3の一例を示す図である。
図3は、10個のカテゴリが存在する場合の例であって、それらのカテゴリコードは、Ca,Cb,Cc,Cd,Ce,Cf,Cg,Ch,Ci,Cjである。そして上限ポイントテーブルT3は、例えばカテゴリコードがCaであるカテゴリに対しては、5ポイントまでを割り振ることが許容されることを表している。
【0020】
ランクテーブルT4は、会員コードに関連付けて会員ランクを記述している。
図4はランクテーブルT4に含まれるデータレコードR1の構成を示す図である。
ランクテーブルT4は、複数の利用者のそれぞれに関連付けられた複数のデータレコードR1の集合である。データレコードR1は、フィールドF11,F12を含む。フィールドF11には、関連付けられている会員の会員コードが記述される。フィールドF12には、関連付けられている会員の会員ランクが記述される。
【0021】
上限ポイントテーブルT3及びランクテーブルT4の記述内容は、例えば特典提供側の管理担当者等により決定される。そして上限ポイントテーブルT3及びランクテーブルT4は、上記の管理担当者又は顧客サーバ10の保守担当者等の操作の下にプロセッサ11により作成される。上限ポイントテーブルT3及びランクテーブルT4は、上記の管理担当者又は保守担当者の操作の下に、プロセッサ11により任意に更新される場合もある。
【0022】
設定テーブルT5は、会員コードに関連付けて、カテゴリ毎の適用ポイント数を表す。
図5は設定テーブルT5に含まれるデータレコードR2の構成を示す図である。
設定テーブルT5は、複数の利用者のそれぞれに関連付けられた複数のデータレコードR2の集合である。データレコードR2は、フィールドF21~F31を含む。フィールドF21には、関連付けられている会員の会員コードが記述される。フィールドF22~F31は、カテゴリコードCa~Cjにそれぞれ対応する。フィールドF22~F31には、対応するカテゴリコードで識別されるカテゴリに関して設定されている適用ポイント数が記述される。ここで適用ポイント数は、後述するように特典としての割引に関する割引率を表す。つまり設定テーブルT5は、複数のカテゴリのそれぞれに対して複数の利用者に対して個別に設定された付与率を表す付与率データの一例である。そして補助記憶デバイス13は、付与率データの一例である設定テーブルT5を記憶する記憶手段の一例である。
【0023】
次に以上のように構成された決済システム100の動作について説明する。
利用者の会員ランクは、例えば利用者の取引実績に基づいて決定される。より具体的には、一ヶ月においてPOSシステム30を用いて利用者が決済した取引金額の総額に応じて、次の一ヶ月についての当該利用者の会員ランクを決定する。ただし、会員ランクの決定方法は、この実施形態の特徴ではなく、どのような方法であっても構わない。また会員ランクの決定のための情報処理は、顧客サーバ10で行われてもよいし、他の任意の情報処理装置で行われてもよい。あるいは会員ランクの決定は、人間により行われてもよい。顧客サーバ10は、適宜のタイミングで、利用者毎の会員ランクを決定又は取得し、ランクテーブルT4に書き込む。
【0024】
またPOSシステム30は、利用者を対象とする新たな取引に際して、当該利用者に関しての設定テーブルT5に示された設定に応じた特典を付与する。例えばPOSシステム30は、利用者が商品を買い上げる際に、当該商品に関する決済額を割引く。そしてPOSシステム30は、その割引に適用する率を、利用者に関連付けられたデータレコードR2にて該当商品が属するカテゴリのカテゴリコードに対応するフィールドに記述された適用ポイント数に応じて決定する。例えばPOSシステム30は、適用ポイント数が5ポイントである場合に、決済額の5%を割り引く。ただし、特典の内容及び適用ポイント数に対する特典の付与率の大きさなどは、任意である。例えばPOSシステム30は、適用ポイント数が5ポイントである場合に、決済額の2.5%に相当する数のポイントを、利用者のポイント在高に加算してもよい。ここでのポイントは、上記の適用ポイント数として利用できるポイントとは異なり、例えば将来の決済において支払金額の一部として使用することができるポイントなどである。
【0025】
さて、利用者は、適用ポイント数を設定しようとする場合、情報端末20から予め定められたURL(uniform resource locator)を用いて、通信ネットワーク40経由で顧客サーバ10にアクセスする。このようなアクセスを受けた顧客サーバ10においては、プロセッサ11が以下に説明する情報処理を開始する。
【0026】
図6はプロセッサ11による情報処理のフローチャートである。プロセッサ11は、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶された情報処理プログラムに従って、この情報処理を実行する。なお、以下に説明する情報処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
【0027】
Act1としてプロセッサ11は、利用者を認証するための認証処理を実行する。この認証処理としては、会員コード及びパスワード等の認証情報を用いるなどの周知の処理を適用できる。そしてプロセッサ11は、認証に失敗したならば、例えばAct1をやり直すか、この情報処理を終了する。プロセッサ11は、認証に成功した場合に、Act2へと進む。
【0028】
Act2としてプロセッサ11は、設定画面の表示を情報端末20に指示する。設定画面は、適用ポイント数を設定する操作のための画面である。プロセッサ11は例えば、設定画面をHTML(hypertext markup language)などにより表したファイルを生成し、当該ファイルを、通信ネットワーク40を介して情報端末20に送る。
【0029】
図7は設定画面S1を示す図である。
設定画面S1は、文字列C1,C2,C3,C4及びリストL1を含む。設定画面S1は、利用者の会員ランクが「10」である場合の一例を示す。
文字列C1は、会員の氏名を表す。プロセッサ11は例えば、会員マスタT1にて会員コードに関連付けられた氏名の末尾に「様」を付加して文字列C1を生成する。
【0030】
文字列C2は、現在の会員ランクを表す。プロセッサ11は、利用者の会員コードがフィールドF11に記述されているデータレコードR1をランクテーブルT4から探し出し、該当するデータレコードR1のフィールドF12に記述された値を判定する。そしてプロセッサ11は、当該判定した値を、「度 ランク」なる固定文字列の後ろに付加するとともに、当該固定文字列の前に現在の年月を表す「2018年5月」のような文字列を付加して文字列C2を生成する。
【0031】
文字列C3は、会員ランクに応じて利用者に付与されるポイント数を表す。プロセッサ11は、利用者の会員ランクに関連付けて付与ポイントテーブルT2に記述された付与ポイント数を判定する。そしてプロセッサ11は、当該判定した付与ポイント数を、「進呈ポイント=」なる固定文字列の後ろに付加するとともに、さらにその後ろに「P」を付加して文字列C3を生成する。
【0032】
文字列C4は、文字列C3に示される付与ポイント数を割り振ることが許容されるカテゴリの数を表す。プロセッサ11は、利用者の会員ランクに関連付けて付与ポイントテーブルT2に記述された許容カテゴリ数を判定する。そしてプロセッサ11は、当該判定した許容カテゴリ数を、「許容カテゴリ数=」なる固定文字列の後ろに付加して文字列C4を生成する。
【0033】
かくして
図7に示す例での文字列C1~C4は、情報端末20を操作している利用者の現在の会員ランクが「10」であり、30ポイントを6つまでのカテゴリに対して割り振ることができることを利用者に通知するメッセージを構成している。
【0034】
リストL1は、2行目~11行目のそれぞれの左側の欄に、各カテゴリの名称を示す。なお
図7においては、「AAA」のような形で示しているが、実際には例えば、「野菜」「鮮魚」「精肉」「惣菜」「一般食品」「日配品」「米」「種類」「日曜雑貨」「冷凍食品」などのような利用者がカテゴリを識別できるように予め定められた名称が示される。
【0035】
リストL1は、2行目~11行目のそれぞれの中央の欄に、各カテゴリに設定することを許容するポイント数の上限を表す。プロセッサ11は、上限ポイントテーブルT3に記述された上限値のそれぞれを、2行目~11行目のそれぞれの中央の欄に表す。
【0036】
リストL1は、2行目~11行目のそれぞれの右側の欄に、各カテゴリに設定されているポイント数を表す。プロセッサ11は、利用者の会員コードがフィールドF21に記述されているデータレコードR2を設定テーブルT5から探し出し、該当するデータレコードR2のフィールドF22~F31に記述された適用ポイント数をそれぞれ判定する。そしてプロセッサ11は、これらの判定した適用ポイント数のそれぞれを、2行目~11行目のそれぞれの右側の欄に表す。なお
図7の例では、適用ポイント数が「0」である場合には、対応する欄を空欄としている。
【0037】
利用者は設定画面S1を確認し、設定を変更する場合には、適用ポイント数を変更しようとするカテゴリに対応する行を選択するための予め定められた操作を情報端末20で行う。そうすると情報端末20は、選択された行の右側の欄への数値入力を待ち受ける状態となる。そして情報端末20は、利用者が数値を入力するための操作を行ったならば、その入力値を、選択された行が対応するカテゴリのカテゴリコードとともに顧客サーバ10に通知する。なお、以上の情報端末20における情報処理は、例えば汎用のウェブブラウザの機能を用いて実行することができる。
【0038】
顧客サーバ10においてプロセッサ11は、Act2として設定画面の表示を指示した後には、Act3へと進む。
Act3としてプロセッサ11は、適用ポイント数が情報端末20から通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、当該通知がなされていないならばNoと判定し、Act4へと進む。
Act4としてプロセッサ11は、終了宣言がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、終了宣言がなされていないならばNoと判定し、Act3へと戻る。
かくしてプロセッサ11はAct3及びAct4としては、適用ポイント数が通知されるか、または終了宣言がなされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ11は、上述のように適用ポイント数が情報端末20から通知されたならば、Act3にてYesと判定し、Act5へと進む。
【0039】
Act5としてプロセッサ11は、通知された入力値が、ともに通知されたカテゴリコードで識別されるカテゴリに対して定められた上限値以下であるか否かを確認する。プロセッサ11は具体的には、カテゴリコードに関連付けられた上限値を上限ポイントテーブルT3から読み出し、この上限値と入力値とを比較する。そしてプロセッサ11は、この比較の結果、入力値が上限値以下であることを確認したならばYesと判定し、Act6へと進む。
【0040】
Act6としてプロセッサ11は、通知された入力値を、ともに通知されたカテゴリコードで識別されるカテゴリに関する適用ポイント数として設定する。プロセッサ11は具体的には、Act2で探し出したデータレコードR2のフィールドF22~F31のうちの、通知されたカテゴリコードで識別されるカテゴリに対応するフィールドに記述された適用ポイント数を、通知された入力値に更新する。
【0041】
Act7としてプロセッサ11は、上記のような適用ポイント数の更新を反映するように設定画面を更新する。そしてプロセッサ11はこののち、Act3及びAct4の待受状態に戻る。なおプロセッサ11は、入力値が上限値以下ではないことを確認したならばAct5にてNoと判定し、Act6及びAct7をパスして、Act3及びAct4の待受状態に戻る。従ってこのとき情報端末20においては、利用者による数値の入力が無視され、新たな適用ポイント数の入力と、終了宣言とを受け受ける状態となる。ただしプロセッサ11は、このとき、入力された数値が上限値を超えているために適用ポイント数として設定できないことを操作者に通知するための画面を情報端末20にて表示させるようにしてもよい。
【0042】
利用者は、カテゴリの選択と数値の入力とを必要に応じて繰り返し、付与されたポイントを任意にカテゴリに割り振ってゆく。これに応じてプロセッサ11は、Act5、Act6及びAct7を繰り返し、設定テーブルT5を更新してゆく。かくして情報処理プログラムに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、付与率データとしての設定テーブルT5を更新する更新手段として機能する。そしてプロセッサ11は、入力値が上限値以下であるときに設定テーブルT5を更新することにより、更新手段としての機能を、カテゴリに対して設定される付与率が、当該カテゴリに定められた許容範囲内となるように付与率データの更新を行うものとしている。
【0043】
そして割り振りが完了したならば操作者は、終了宣言のための予め定められた操作を情報端末20にて行う。この操作に応じて情報端末20は、顧客サーバ10に対して終了宣言を行う。具体的には、例えば情報端末20は、終了宣言のための予め定められたデータを顧客サーバ10へと送信する。
終了宣言が通信ネットワーク40を介して顧客サーバ10へと伝送され、通信インタフェース14により取り込まれると、プロセッサ11はAct4にてYesと判定し、Act8へと進む。
【0044】
Act8としてプロセッサ11は、利用者が設定した適用ポイント数の総数Paが付与ポイント数Pb以下であるか否かを確認する。プロセッサ11は具体的には、Act2で探し出したデータレコードR2のフィールドF22~F31にそれぞれ記述された値の総和として総数Paを算出する。そしてプロセッサ11は、この総数Paと、Act2で判定した付与ポイント数Pbとを比較し、総数Paが付与ポイント数Pb以下であるならばYesと判定してAct9へと進む。
【0045】
Act9としてプロセッサ11は、割引の適用対象として設定されているカテゴリの数Naが許容カテゴリ数Nb以下であるか否かを確認する。プロセッサ11は具体的には、Act2で探し出したデータレコードR2のフィールドF22~F31のうちで記述されている値が「0」ではないフィールドの数としてカテゴリ数Naをカウントする。そしてプロセッサ11は、このカテゴリ数Naと、Act2で判定した許容カテゴリ数Nbとを比較し、カテゴリ数Naが許容カテゴリ数Nb以下であるならばYesと判定して
図6に示す情報処理を終了する。つまりプロセッサ11は、Act2で探し出したデータレコードR2にこの時点で記述された内容を、割引に適用するものとして確定させる。
【0046】
なおプロセッサ11は、総数Paが付与ポイント数Pbよりも大きい場合、あるいはカテゴリ数Naが許容カテゴリ数Nbよりも大きい場合は、Act8又はAct9にてNoと判定し、Act3及びAct4の待受状態に戻る。つまりプロセッサ11は、Act2で探し出したデータレコードR2にこの時点で記述された内容が、割引に適用するものとしては不適切なものであるとして、利用者による修正のための操作を待ち受ける状態に移行する。これによりプロセッサ11は、更新手段としての機能を、複数のカテゴリのそれぞれに対して設定される付与率の総和が、前記利用者に対して定められた総付与率を越えない範囲となるように前記付与率データの更新を行うものとする。またプロセッサ11は、更新手段としての機能を、特典の付与の対象となるカテゴリの数が、利用者に対して定められた上限数を超えないように付与率データの更新を行うものとする。
【0047】
以上のように、利用者は、付与されたポイントを、複数のカテゴリのそれぞれの適用ポイントとして割り振ることができる。つまり利用者は、自らのニーズに応じて割引の条件を設定することができ、その設定に応じた割引を特典として受けることができる。かくして顧客サーバ10によれば、利用者のニーズに応じた特典付与のための特典の管理が行える。そして、このように利用者のニーズに応じた使い勝手のよい特典付与により、ランク向上に対する利用者のモチベーションを高めることができる。そしてこの結果、取引金額の増加が期待できる。
【0048】
また顧客サーバ10によれば、適用ポイントの割り振りは、適用ポイント数の総数が付与ポイント数以下となる範囲で許容される。これにより、利用者に付与される特典の総量を制限することが可能である。
【0049】
また顧客サーバ10によれば、カテゴリ毎の適用ポイントは、カテゴリ毎の上限値を越えないこととして定められた許容範囲内となるように設定される。これにより、利用者に付与される特典の量を、その特典の提供者の事情などに応じて制限できる。
【0050】
また顧客サーバ10によれば、特典の付与の対象とするカテゴリの数は、会員レベルに応じて利用者に定められた上限数を越えないこととして定められた許容範囲内となるように設定される。これにより、利用者に付与される特典の量を、その特典の提供者の事情などに応じて制限できる。
【0051】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
Act5は、適用ポイント数が許容範囲内であるか否かを確認する処理であればよく、許容範囲は、予め定められた下限値及び上限値の間の範囲とするなど、任意に変更が可能である。なお、許容範囲は、カテゴリに拘わらずに共通であってもよい。
【0052】
Act8は、適用ポイント数の総数が許容範囲内であるか否かを確認する処理であればよく、許容範囲は、予め定められた下限値及び上限値の間の範囲とするなど、任意に変更が可能である。
【0053】
Act9は、特典の付与の対象とするカテゴリの数が許容範囲内であるか否かを確認する処理であればよく、許容範囲は任意に変更が可能である。許容範囲は例えば、会員レベルに関わらずに利用者毎に定められた上限数を越えない範囲としたり、予め定められた下限値及び上限値の間の範囲としたりすることが想定される。
【0054】
Act5、Act8及びAct9の少なくともいずれか一方は、省略してもよい。
【0055】
POSシステム30の他に、あるいはPOSシステム30に代えて、インターネットショッピングのための情報処理を行うサーバなどの別の装置が含まれていてもよい。
【0056】
情報処理によりプロセッサ11が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…プロセッサ、10…顧客サーバ、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…通信インタフェース、15…伝送路、20…情報端末、30…POSシステム、40…通信ネットワーク、100…決済システム。