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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ペット用システムトイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
A01K1/01 801A
A01K1/01 801B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021184794
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2021-12-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 美里
(72)【発明者】
【氏名】笹野 廉紘
(72)【発明者】
【氏名】金子 真也
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-022414(JP,A)
【文献】特開2009-011176(JP,A)
【文献】特開2019-103456(JP,A)
【文献】中国実用新案第209057767(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第2132982(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 - 3/00
A01K 31/00 - 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ砂を収容すると共に、液透過性の底面部を有する排泄容器と、
前記排泄容器の下方に配置され、前記底面部を透過した液体を吸収する吸収シートを収容するトレイと、
前記トレイを保持する下容器と、
前記排泄容器の上方を覆うように配置され、ペットが出入りする開口部が形成された上容器と、を備え、
前記上容器は、
前記開口部の幅方向両側において互いに対向するように設けられ前記上容器の奥行き方向である前後方向に延びる一対の側壁部と、前記一対の側壁部に架け渡されるように前記開口部の上方に設けられた上壁部と、前記開口部の下方に設けられた下壁部と、前記一対の側壁部の前端部から折り返すように後方且つ前記幅方向の内側に延びる側壁ガイド部と、を有し、
前記側壁ガイド部の後端部によって、前記開口部の一部の領域が区画されており、
前記側壁部と前記側壁ガイド部との成す角が鈍角である、ペット用システムトイレ。
【請求項2】
前記側壁ガイド部は、前記側壁部と同一部材で構成されている、請求項1記載のペット用システムトイレ。
【請求項3】
前記側壁ガイド部は、前記側壁部と別部材で構成されている、請求項1記載のペット用システムトイレ。
【請求項4】
前記上容器は、
前記上壁部の下端部から下方に延びる上壁ガイド部と、前記下壁部の上端部から後方に延びる下壁ガイド部と、を更に有し、
前記側壁ガイド部と、前記上壁ガイド部と、前記下壁ガイド部とが連続して形成されており、
前記側壁ガイド部の後端部と、前記上壁ガイド部の下端部と、前記下壁ガイド部の後端部とによって、前記開口部の領域が区画されている、請求項1~のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項5】
前記上壁ガイド部は、前記前後方向において、前記下壁ガイド部よりも後方に位置している、請求項記載のペット用システムトイレ。
【請求項6】
前記開口部の上端部の下方に、前記排泄容器の前記底面部が位置している、請求項記載のペット用システムトイレ。
【請求項7】
前記前後方向における前記開口部の上端部と前記下壁ガイド部の後端部との中間点を通る仮想的な面であって前記前後方向に直交する第1仮想面は、前記開口部における上下方向の中央より上方において前記開口部に面する、請求項又は記載のペット用システムトイレ。
【請求項8】
前記前後方向における前記開口部の上端部と前記下壁部の前端部との中間点を通る仮想的な面であって前記前後方向に直交する第2仮想面は、前記開口部における上下方向の中央より上方において前記開口部に面する、請求項記載のペット用システムトイレ。
【請求項9】
前記側壁部は、前記下壁部に連続する箇所から前記上壁部に連続する箇所に向かって、その前端部が後方に傾斜するように伸びており、
前記側壁部の前端部は、変曲点を有し、前記下壁部から前記変曲点までの立ち上がり角が30°以上90°以下であり、前記変曲点から前記上壁部までの立ち上がり角が60°以上90°以下である、請求項のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項10】
前記開口部の上端部は、前記前後方向における前記トレイの中央位置と前記下壁部の前端部との中間点よりも後方に位置している、請求項のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項11】
前記下壁ガイド部の前記開口部に向かう延出方向における長さである下壁ガイド幅は、前記側壁ガイド部の前記開口部に向かう延出方向における長さである側壁ガイド幅よりも大きく、
前記側壁ガイド幅は、前記上壁ガイド部の前記開口部に向かう延出方向における長さである上壁ガイド幅よりも大きい、請求項10のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項12】
前記側壁ガイド幅、前記下壁ガイド幅、及び前記上壁ガイド幅の少なくともいずれか一つは、大きさが一定ではない、請求項11記載のペット用システムトイレ。
【請求項13】
前記上壁部と前記上壁ガイド部との成す角が鈍角である、請求項12のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項14】
前記上容器は、前記下壁部における前記幅方向の外端部に、突出部を更に有する、請求項1~13のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項15】
前記上容器は、
後方側に配置される固定フードと、前方側に配置される可動フードと、前記可動フードを回動可能に前記固定フードに連結する一対の連結部と、を含んで構成されており、
前記固定フードは、前記一対の連結部が設けられた箇所から前方に延びる一対の連絡部と、該一対の連絡部の前端部間を繋ぐように前記幅方向に延びる下壁第1部と、を有し、
前記可動フードは、前記下壁第1部の前方に配置される下壁第2部を有し、
前記下壁第1部に重なるように前記下壁ガイド部が配置され、前記下壁第1部の前方に前記下壁第2部が配置されることにより、前記下壁部が形成されている、請求項13のいずれか一項記載のペット用システムトイレ。
【請求項16】
前記下壁第1部は、前記下壁ガイド部が重なっている状態において、平面視すると、前記下壁ガイド部よりも前記開口部側に張り出した領域を有している、請求項15記載のペット用システムトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、ペット用システムトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用システムトイレとして、トイレ砂を収容すると共に液透過性の底面部を有する排泄容器と、該排泄容器の下方に配置されて、トイレ砂を透過した尿を吸収する吸収シートを収容するトレイと、トレイを保持する下容器と、排泄容器の上方に配置された上容器と、を備える構成が知られている(例えば特許文献1参照)。このような上容器として、排泄容器の上方の開口を覆うように配置されるフードカバーがある。フードカバーには、その正面部分においてペットが出入りする開口部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-78412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フードカバーを設けたペット用システムトイレでは、ペットの入口がフードカバー正面部分の開口部に限られる。当該開口部からトイレ内にペットが入る際において、開口部を形成する側壁部分又は上壁部にペットの体が当たり、ペットが怪我をしてしまうことがある。また、例えばシステムトイレではないフードカバー型のペット用トイレとして、液透過性の底面部を有さず、固まるトイレ砂を用いるペット用トイレが知られているが、このようなトイレでは、大量(例えば下容器の5cm(40%)の高さを埋める量)のトイレ砂で下容器が埋められないと、ペットが開口部から侵入する際に腹部を下壁部に打ち付けて怪我をしてしまうことがある上、仮に5cm(40%)の高さを埋める量でトイレ砂を入れていたとしても、排尿と共に固まる砂を除去していくので、砂の高さはどんどん減り、侵入時の腹打ちの割合が高くなる。
【0005】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、ペットが体を傷つけることなく出入り可能なペット用システムトイレに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るペット用システムトイレは、トイレ砂を収容すると共に、液透過性の底面部を有する排泄容器と、排泄容器の下方に配置され、底面部を透過した液体を吸収する吸収シートを収容するトレイと、トレイを保持する下容器と、排泄容器の上方を覆うように配置され、ペットが出入りする開口部が形成された上容器と、を備え、上容器は、開口部の幅方向両側において互いに対向するように設けられ上容器の奥行き方向である前後方向に延びる一対の側壁部と、一対の側壁部に架け渡されるように開口部の上方に設けられた上壁部と、開口部の下方に設けられた下壁部と、一対の側壁部の前端部から折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部と、を有し、側壁ガイド部の後端部によって、開口部の一部の領域が区画されている。
【0007】
本発明の一態様に係るペット用システムトイレでは、排泄容器の上方を覆う上容器において、ペットが出入りする開口部が形成されている。そして、上容器において、開口部の幅方向において互いに対向して前後方向に延びる一対の側壁部の前端部から、折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部が設けられており、該側壁ガイド部の後端部によって開口部の一部の領域が区画されている。このようなペット用システムトイレでは、一対の側壁部から側壁ガイド部を経て開口部に至る構成とされているので、側壁部からトイレの内部に入るペットは、側壁ガイド部に体を沿わせてトイレの内部に入ることとなる。例えば側壁ガイド部が設けられていない構成においては、側壁部からトイレの内部にペットが入る際に側壁部にペットの体が当たりペットが怪我をしてしまうことがある。この点、本発明の一態様に係るペット用システムトイレでは、後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部が設けられているので、ペットが側壁ガイド部に面で体を沿わせながらトイレの内部に入ることができ、ペットが怪我をしてしまうことを効果的に抑制することができる。以上のように、本発明の一態様に係るペット用システムトイレによれば、ペットが体を傷つけることなく出入りすることができる。また、ペットが側壁ガイド部に体を沿わせながらトイレの内部に入る構成では、ペットが角度をつけてトイレの内部に入ることができるため、ペットが角度をつけてトイレの内部に入っていない場合に必要になるトイレ内部での角度変更(切り替えし)動作が不要となり、ペットにとって居心地のよいトイレ空間を提供することができる。更に、側壁ガイド部があることにより、トイレの内部を飼い主が清掃する際に、トイレの内部に入れた飼い主の腕が側壁部ではなく側壁ガイド部に面で当たることとなるため、飼い主の腕が傷つくことを抑制することができる。
【0008】
上記ペット用システムトイレにおいて、側壁ガイド部は、側壁部と同一部材で構成されていてもよい。このような構成によれば、側壁ガイド部を容易に形成することができる。すなわち、ペットを傷つけないトイレを容易に得ることができる。
【0009】
上記ペット用システムトイレにおいて、側壁ガイド部は、側壁部と別部材で構成されていてもよい。このような構成によれば、例えばペットの特性に合わせて、必要な部分に必要な材料の側壁ガイド部を設けることができる。また、側壁ガイド部を容易に交換することが可能になる。
【0010】
上記ペット用システムトイレにおいて、側壁部と側壁ガイド部との成す角が鈍角であってもよい。このような構成によれば、ペットが側壁ガイド部に体を沿わせてトイレ内に進入する構造を適切に実現することができる。
【0011】
上記ペット用システムトイレにおいて、上容器は、上壁部の下端部から下方に延びる上壁ガイド部と、下壁部の上端部から後方に延びる下壁ガイド部と、を更に有し、側壁ガイド部と、上壁ガイド部と、下壁ガイド部とが連続して形成されており、側壁ガイド部の後端部と、上壁ガイド部の下端部と、下壁ガイド部の後端部とによって、開口部の領域が区画されていてもよい。このように、上壁ガイド部及び下壁ガイド部が設けられていることにより、例えば上壁部側又は下壁部側からトイレ内に進入するペット(頭又は尻尾等が上壁部側又は下壁部側に至るペット)についても、ペットの尻尾等に対して上壁ガイド部又は下壁ガイド部が面で当たることとなり、ペットの体が傷つくことを適切に抑制できる。
【0012】
上記ペット用システムトイレにおいて、上壁ガイド部は、前後方向において、下壁ガイド部よりも後方に位置していてもよい。このように、上壁ガイド部が後方にオフセットしていることにより、開口部からペットが進入する際に、体や尻尾が開口部上部(上壁ガイド部)に接触しにくくなり、ペットの体が傷つくことをより効果的に抑制できる。
【0013】
上記ペット用システムトイレにおいて、開口部の上端部の下方に、排泄容器の底面部が位置していてもよい。このような構成によれば、ペットが開口部から上半身のみを外に出して排泄する際に、ペットの尿が落ちるエリアに排泄容器の底面部を適切に配置することができる。
【0014】
上記ペット用システムトイレにおいて、前後方向における開口部の上端部と下壁ガイド部の後端部との中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第1仮想面は、開口部における上下方向の中央より上方において開口部に面していてもよい。このような構成によれば、開口部を区画する側壁ガイド部において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0015】
上記ペット用システムトイレにおいて、前後方向における開口部の上端部と下壁部の前端部との中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第2仮想面は、開口部における上下方向の中央より上方において開口部に面していてもよい。このような構成によれば、開口部を区画する側壁ガイド部において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0016】
上記ペット用システムトイレにおいて、側壁部は、下壁部に連続する箇所から上壁部に連続する箇所に向かって、その前端部が後方に傾斜するように伸びており、側壁部の前端部は、変曲点を有し、下壁部から変曲点までの立ち上がり角が30°以上90°以下であり、変曲点から上壁部までの立ち上がり角が60°以上90°以下であってもよい。変曲点までの側壁部の立ち上がり角が30°以上とされることにより、側壁ガイド部に体を沿わせてトイレ内に進入するペットを適切にガイドすることができる。また、側壁部の角度が90°以下とされることにより、側壁部の横からペットがトイレ内に進入しやすくすることができる。
【0017】
上記ペット用システムトイレにおいて、開口部の上端部は、前後方向におけるトレイの中央位置と下壁部の前端部との中間点よりも後方に位置していてもよい。このように、開口部の上端部が十分に後方に位置している構成においては、ペットの飼い主がしゃがまなくても上容器等の汚れを早期に発見することができる。また、開口部が広くなることによって、飼い主は、開口部の中に手を入れて上容器を容易に清掃することができる。また、このような構成によれば、開口部を区画する側壁ガイド部において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0018】
上記ペット用システムトイレにおいて、下壁ガイド部の開口部に向かう延出方向における長さである下壁ガイド幅は、側壁ガイド部の開口部に向かう延出方向における長さである側壁ガイド幅よりも大きく、側壁ガイド幅は、上壁ガイド部の開口部に向かう延出方向における長さである上壁ガイド幅よりも大きくてもよい。このように、ペットの進入時においてペットが体重を預ける可能性が高い領域ほど幅広とされることにより、ペットを適切にガイドすると共にペットが傷つくことを適切に抑制することができる。具体的には、下壁ガイド幅が上壁ガイド幅よりも大きくされることにより、ペットの進入時においてはペットが下壁ガイド部に脚を置きやすく安定し、上壁ガイド部が細いことによって頭や尻尾がぶつかることを抑制できる。
【0019】
上記ペット用システムトイレにおいて、側壁ガイド幅、下壁ガイド幅、及び上壁ガイド幅の少なくともいずれか一つは、大きさが一定ではなくてもよい。このような構成によれば、領域に応じてペットが体を沿わせやすいように幅を調整することが可能になり、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0020】
上記ペット用システムトイレにおいて、上壁部と上壁ガイド部との成す角が鈍角であってもよい。このような構成によれば、上壁ガイド部によって開口部方向にペットが適切にガイドされる構造を実現することができる。そして、ペットがトイレに進入する際には、例えば尻尾が接触する際、点ではなく上壁ガイド部に面で接触することとなるため、ペットが傷つくことを適切に抑制できる。
【0021】
上記ペット用システムトイレにおいて、上容器は、下壁部における幅方向の外端部に、突出部を更に有していてもよい。このような構成によれば、ペットが開口部の左右(幅方向の外縁)からトイレに進入する際に、突出部をペットの脚をかけるステップとして利用することができ、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0022】
上記ペット用システムトイレにおいて、上容器は、後方側に配置される固定フードと、前方側に配置される可動フードと、可動フードを回動可能に固定フードに連結する一対の連結部と、を含んで構成されており、固定フードは、一対の連結部が設けられた箇所から前方に延びる一対の連絡部と、該一対の連絡部の前端部間を繋ぐように幅方向に延びる下壁第1部と、を有し、可動フードは、下壁第1部の前方に配置される下壁第2部を有し、下壁第1部に重なるように下壁ガイド部が配置され、下壁第1部の前方に下壁第2部が配置されることにより、下壁部が形成されていてもよい。このように下壁部が2重構造になっていることにより、下壁部によってペットを安定的に支えることができ、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0023】
上記ペット用システムトイレにおいて、下壁第1部は、下壁ガイド部が重なっている状態において、平面視すると、下壁ガイド部よりも開口部側に張り出した領域を有していてもよい。これにより、ペットが下壁ガイド部に体重をかけた際に、下壁第1部によって下壁ガイド部を適切に支持することができ、下壁ガイド部がたわんでペットが脚を滑らせること等を抑制できる。また、下壁第1部によって下壁ガイド部が支持されることにより、ペットが入口側を向いて排泄する際に下壁ガイド部に脚を置いて安定的に排泄することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様に係るペット用システムトイレによれば、ペットが体を傷つけることなく出入りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本実施形態に係るペット用システムトイレの閉状態の斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るペット用システムトイレの開状態の斜視図である。
図3図3は、図1に示されるペット用システムトイレの分解斜視図である。
図4図4は、図1に示されるペット用システムトイレの正面図である。
図5図5は、図1に示されるペット用システムトイレの側面図である。
図6図6は、図1に示されるペット用システムトイレの平面図である。
図7図7は、変形例に係るペット用システムトイレの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るペット用システムトイレについて、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等については現実のものとは異なっている場合がある。
【0027】
図1は、本実施形態に係るペット用システムトイレ1の閉状態(詳細は後述)の斜視図である。図2は、本実施形態に係るペット用システムトイレ1の開状態(詳細は後述)の斜視図である。図3は、図1に示されるペット用システムトイレ1の分解斜視図である。本実施形態に係るペット用システムトイレ1は、例えばペットである猫の排泄用のシステムトイレである。本発明のペット用システムトイレは、猫以外のペットの排泄用のシステムトイレであってもよい。
【0028】
図1図3に示されるように、ペット用システムトイレ1は、排泄容器2と、下容器3と、フード4(上容器)と、トレイ5と、を備えている。図1に示される「閉状態」とはフード4が閉じた状態であり、図2に示される「開状態」とはフード4が開いた状態である(詳細は後述)。
【0029】
以下では、ペット用システムトイレ1の上下方向を「上下方向」、長手方向である奥行き方向を「前後方向」、上下方向及び前後方向に直交する方向を「幅方向」として説明する場合がある。「上下方向」において、下容器3から見たフード4側の方向が「上」、フード4から見た下容器3側の方向が「下」として説明する。また、「前後方向」において、図1に示されるフード4の固定フード41(詳細は後述)から見た可動フード42(詳細は後述)側の方向が「前」、図1に示される可動フード42から見た固定フード41側の方向が「後」として説明する。
【0030】
排泄容器2は、トイレ砂(不図示)を収容する容器である。排泄容器2は、液透過性の底面部21と、壁面22とを有する。トイレ砂は、尿等の液体を吸収又は透過することができる粒状物である。トイレ砂は、例えば糞便を覆い液体を吸収できるベントナイトや撥水コートを行った木や紙、又は脱臭力を備えたゼオライト、シリカゲル、鉱物等を直径が数mm~数cm程度の略球状に成形したものであり、公知のものが使用されてもよい。なお、トイレ砂として固まる砂を用いた場合には、液透過性の底面部21が詰まるおそれがあるため、本ペット用システムトイレ1では固まる砂は採用されないことが好ましい。トイレ砂は、底面部21に配置される。
【0031】
底面部21は、スノコ状に桟が形成され、桟と桟との間に規則的な隙間を備える板状部材である。底面部21は、平面視略長方形状に形成されている。壁面22は、底面部21の周縁から、上方に立ち上がるように形成された部分である。すなわち、壁面22は、底面部21における前後方向両端部と、幅方向両端部とから上方に立ち上がるように形成されている。なお、底面部21は、トイレ砂を収容することができれば、平面視における形状が長方形以外の形状であってもよい。ペットが排泄した排泄物は、トイレ砂を透過し、スノコ状の桟によって形成される底面部21の隙間を透過して、排泄容器2の下方に配置される下容器3(詳細には下容器3に保持されたトレイ5)に落ちる。排泄容器2は、例えばプラスチック等の樹脂によって形成されているが、これに限定されない。
【0032】
トレイ5は、排泄容器2の下方に配置され、底面部21を透過した液体(排泄物)を吸収する吸収シート(不図示)を収容する。トレイ5には、前方側に使用者が手をかけて前方側へ引き出すことができるトレイ取手部51が形成されている。トレイ取手部51は、トレイ5の前方側だけでなく後方側にも形成されていてもよい。この場合、トレイ5は前後対称の形状とされる。このように、トレイ5が前後対称の形状とされて前方側にも後方側にもトレイ取手部51が形成されていることにより、例えばトレイ5の前後を入れ替えてもトレイ取手部51を介したトレイ5の引出しが可能になる。吸収シートにおける液体を吸収する領域はある程度決まってくるところ、トレイ5の前後を入れ替えることによって、吸収シートの向きを変更して、既に液体を吸収した領域とは異なる領域において液体を吸収させることが可能になる。このように、トレイ5の前後を入れ替えることによって、1つの吸収シートを最大限有効活用することができる。トレイ5は、下容器3の内側に収容され揺動可能となるように、下容器3よりも一回り小さい寸法に形成されている。トレイ5は、本実施形態においては水平方向に引き出されるが、これに限定されず、例えば斜め上に引き出されてもよい。
【0033】
下容器3は、トレイ5を保持する容器である。下容器3は、下容器3の内部において、揺動可能に引き出すことができるようにトレイ5を収容している。下容器3は、図3に示されるように、底面部31と、壁面32,33,34,35と、を含んで構成されている。底面部31は、ペット用システムトイレ1を設置する設置面と対向する部分である。底面部31は、平面視長方形状に形成されている。底面部31の中央部分は、開口とされていてもよい。
【0034】
壁面32は、底面部31における前端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面32には、トレイ5を引き出すための開口320が形成されている。壁面33は、底面部31における後端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面34,35は、底面部31における幅方向両端部から上方に立ち上がるように形成された部分である。壁面32,33,34,35は、連続して形成されており、壁面32,33,34,35によって底面部31の全周が囲われている。壁面32,33,34,35の上端部に、排泄容器2の壁面22が嵌合される。また、壁面32,33,34,35の上端部を覆うように、フード4の固定フード41が取り付けられる(詳細は後述)。壁面34,35の前後方向中央部且つ上端部には、固定フード41のフック419に連結される連結部300,300が設けられている(詳細は後述)。
【0035】
フード4は、排泄容器2の上方を覆うように配置され、ペットが出入りする開口部420が形成されている。フード4は、固定フード41と、可動フード42と、一対の連結部43,43と、を含んで構成されている。固定フード41は、排泄容器2の後方側の上方を覆う位置に配置されている。可動フード42は、図1に示される閉状態において、排泄容器2の前方側の上方を覆う位置に配置されている。
【0036】
固定フード41と可動フード42とは、前後方向における排泄容器2の中央付近において、互いに重なり合う部分45(図1参照)を有する。重なり合う部分45の下端部には、可動フード42を固定フード41に回動可能に連結する一対の連結部43,43が配置されている。一対の連結部43,43は、幅方向の両端部側から内側に向かって可動フード42及び固定フード41を貫くように延び、可動フード42を固定フード41に回動可能に連結している。なお、可動フード42は回動だけに限定されず、固定フード41に可動フード42が接した状態でスライドする形状などでもよい。
【0037】
閉状態とは、図1に示されるように可動フード42が排泄容器の前方側の上方を覆う位置に配置されている状態である。開状態とは、図2に示されるように可動フード42が後方(固定フード41側)に配置された状態である。可動フード42が一対の連結部43,43を軸に回動することによって、開状態と閉状態とが切り替え可能とされている。なお、固定フード41の外側表面を可動フード42が回動して移動するため、固定フード41は可動フード42よりも一回り小さな寸法とされている。
【0038】
固定フード41は、図3に示されるように、取り付け部410と、フード部418と、を含んで構成されている。取り付け部410は、下容器3の壁面32,33,34,35の上端部に取り付けられる部分である。取り付け部410は、後方取り付け部411と、一対の連絡部412,412と、下壁第1部413と、を含んで構成されている。
【0039】
後方取り付け部411は、壁面34,35の後方部分の上端部と、壁面33の上端部とに取り付けられる部分である。壁面34,35の後方部分とは、例えば前後方向における中心よりも後方の部分である。前後方向における、後方取り付け部411の壁面34側及び壁面35側の前端部の位置は、一対の連結部43,43が設けられた位置と略一致している。後方取り付け部411における壁面34,35に取り付けられる部分の前端部分には、下方に延びるフック419,419が設けられている。フック419,419がそれぞれ壁面34,35の連結部300に連結されることにより、固定フード41が下容器3に取り付け固定される。
【0040】
一対の連絡部412,412は、それぞれ、壁面34,35に取り付けられる後方取り付け部411の前端部(すなわち、前後方向において一対の連結部43,43が設けられた箇所)から前方に延びている。一対の連絡部412,412は、壁面34,35の前方部分の上端部に取り付けられる。
【0041】
下壁第1部413は、一対の連絡部412,412の前端部間を繋ぐように幅方向に延びている。下壁第1部413は、壁面32の上端部に取り付けられる。下壁第1部413は、壁面32の前面部分に沿って上下方向に延びると共に幅方向に延びる第1部分414と、第1部分414の上端部から後方に延びると共に幅方向に延びる第2部分415と、を含んで構成されている。閉状態においては、図1に示されるように、下壁第1部413に重なるように可動フード42の下壁ガイド部454(詳細は後述)が配置される。詳細には、下壁第1部413の第2部分415に重なるように下壁ガイド部454が配置され、下壁第1部413の第1部分414の前方に可動フード42の下壁第2部424(詳細は後述)が配置される。
【0042】
図3に戻り、フード部418は、排泄容器2の後方側の上方を覆うフードである。フード部418は、後方取り付け部411の略全域から上方に立ち上がり、排泄容器2の後方側の上方を覆っている。フード部418は、その上面が前端部側から後端部側に向けて湾曲した曲面である略円弧面で形成されている。フード部418の両側面部の前端部には、一対の連結部43,43が貫通する貫通孔418xが形成されている。貫通孔418xは、前後方向における位置がフック419と略一致している。
【0043】
可動フード42は、一対の連結部43,43を軸に回動することにより閉状態(図1参照)と開状態(図2参照)とが切り替わる構成である。可動フード42の詳細な構成について、図4図6も参照しながら説明する。図4は、閉状態のペット用システムトイレ1の正面図である。図5は、閉状態のペット用システムトイレ1の側面図である。図6は、閉状態のペット用システムトイレ1の平面図である。
【0044】
可動フード42は、その正面においてペットが出入りするための開口部420が形成されている。可動フード42は、一対の側壁部421,422と、上壁部423と、下壁第2部424と、突出部425と、側壁ガイド部451,452と、上壁ガイド部453と、下壁ガイド部454と、を含んで構成されている。可動フード42に含まれるこれらの構成は、同一部材で一体的に形成されている。
【0045】
一対の側壁部421,422は、開口部420の幅方向両端部において互いに対向するように設けられ、前後方向に延びる部分である。側壁部421,422は、図4及び図6に示されるように、その前端部側から後端部側に向けて幅方向外側に拡がるように湾曲した曲面で形成されている。側壁部421,422の後端部且つ下端部には、一対の連結部43,43が貫通する貫通孔428(図3参照)が形成されている。
【0046】
側壁部421,422は、図5に示されるように、下壁第2部424に連続する箇所から上壁部423に連続する箇所に向かって、その前端部429が後方に傾斜するように延びている。側壁部421,422の前端部429は、図5に示されるように変曲点IPを有しており、下壁第2部424から変曲点IPまでの立ち上がり角αは、例えば30°以上90°以下であり、例えば60°~80°であってもよく、例えば60°である。また、変曲点IPから上壁部423までの立ち上がり角βは、例えば60°以上90℃以下であり、例えば60°である。なお、変曲点IPの位置は、好ましくは開口部420を上下方向に4分割した場合の中央の2つの領域に対応する位置、より好ましくは中央の2つの領域の内、上側の領域に対応する位置とされてもよい。変曲点IPが過度に低い位置とされた場合には、側壁のガイド部が低い位置において短く伸びた構成となりガイドの役割を十分に果たすことができないおそれがある。すなわち、ガイド部が低い位置にあることによって、ペットが適切に体を当てることができなくなるおそれがある。また、変曲点IPが過度に高い位置とされた場合には、入口側において側壁部421,422が後方に傾斜しない構成となるため、ペットがトイレ内に進入し難くなるおそれがある。この点、変曲点IPの位置が上述した上下方向の中央の位置とされることにより、ペットを適切にガイドすると共に、ペットが進入しやすい構成とすることができる。
【0047】
上壁部423は、一対の側壁部421,422に架け渡されるように開口部420の上方に設けられた部分である。上壁部423は、図5に示されるように、その前端部側から後端部側に向けて湾曲した曲面である略円弧面で形成されている。
【0048】
下壁第2部424は、開口部420の下方に設けられている。下壁第2部424は、閉状態において下壁第1部413の前面部分に沿って上下方向に延びると共に幅方向に延びる部分である。下壁第2部424は、幅方向の両端部において一対の側壁部421,422に連続している。上述したように、閉状態において、下壁第2部424は、下壁第1部413の前方に配置される。下壁第1部413の前方に下壁第2部424が配置されることにより、当該下壁第1部413及び下壁第2部424によって、下壁部470が形成されている。
【0049】
突出部425は、図3に示されるように、下壁部470を構成する下壁第2部424の幅方向の外縁部に設けられており、下壁第2部424の外方に向けて突出した部分である。より詳細には、突出部425は、下壁第2部424における一対の側壁部421,422に連続する箇所の下端に設けられており、下壁第2部424及び側壁部421(又は側壁部422)の外方に向けて突出している。突出部425は、例えば閉状態から開状態に切り替える際に可動フード42を回動させる際にユーザに把持される部分とされる。すなわち、ユーザが突出部425を持ち上げることによって、可動フード42が回動して閉状態から開状態に切り替えられる。また、突出部425は、ペットが開口部420の左右(幅方向の外縁)からトイレ内に進入する際にペットの脚をかけるステップとして利用されてもよい。また可動フード42が、開状態で保持した場合は、広い開口部を持つシステムトイレとして用いることが出来る。この場合、排尿時は視界を遮られたいが、進入時に開放感を感じたい猫にとって好適な形態となる。また従来は閉状態で用いていても、肥満猫や老猫、障害を負った場合など、猫の状態の変化に応じて開状態で保持するなど、最適な形態で使用することが出来る。
【0050】
上述したように、側壁部421,422の前端部429が下壁第2部424に連続する箇所から上壁部423に連続する箇所に向かって後方に傾斜するように延びている(図5参照)ことにより、図1等に示されるように開口部420は上端部側ほど後方に位置するように形成されている。図6に示されるように、開口部420の上端部420aの下方には、排泄容器2の底面部21が位置している。開口部420の上端部420aの下方には、トレイ5(詳細には、トレイ5におけるトレイ取手部51以外の凹み部分)が位置して吸収シートや排尿部材(排尿トレイ等)が存在していてもよい。また、図6に示されるように、開口部420の上端部420aは、前後方向におけるトレイ5の中央位置TCと下壁部470の前端部471との中間点CPよりも後方に位置している。
【0051】
側壁ガイド部451,452は、図1に示されるように、一対の側壁部421,422の前端部429から折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる部分である。すなわち、側壁ガイド部451は側壁部421の前端部429から折り返すように延びており、側壁ガイド部452は側壁部422の前端部429から折り返すように延びている。図4に示されるように、側壁ガイド部451の後端部451a及び側壁ガイド部452の後端部452aによって、開口部420の一部の領域、具体的には開口部420の幅方向両端部側の領域が区画されている。すなわち、側壁ガイド部451の後端部451a及び側壁ガイド部452の後端部452aによって挟まれた領域は、全て開口部420の領域とされている。側壁部421と側壁ガイド部451との成す角、及び、側壁部422と側壁ガイド部452との成す角は、いずれも鈍角であり、例えば、100°~125°程度である。側壁ガイド部451,452の幅(側壁ガイド部451,452の開口部420に向かう延出方向における長さ)は、大きさが一定ではなく、例えば下壁ガイド部454に近接する側において比較的大きくされ、上壁ガイド部453に近接する側において比較的小さくされてもよい。側壁ガイド部451,452の幅は、例えば27mm~43mm程度である。
【0052】
上壁ガイド部453は、上壁部423の下端部423aから下方に延びる部分である。上壁ガイド部453は、側壁ガイド部451,452と連続的に形成されている。図4に示されるように、上壁ガイド部453の下端部453aによって、開口部420の一部の領域、具体的には開口部420の上部側の領域が区画されている。上壁ガイド部453は、上壁部423の下端部423aが変曲点となるように、上壁部423の曲面とは異なる角度で下方に延びている。上壁部423と上壁ガイド部453との成す角は鈍角であり、例えば、100°~125°程度である。上壁ガイド部453の幅(上壁ガイド部453の開口部420に向かう延出方向における長さ)は、大きさが一定ではなく、例えば幅方向の中央部において比較的小さくされ、幅方向の両端部において比較的大きくされてもよい。上壁ガイド部453の幅は、例えば25mm~27mm程度である。図6に示されるように、上壁ガイド部453は、前後方向において、下壁ガイド部454よりも後方に位置している。
【0053】
下壁ガイド部454は、図6に示されるように、下壁部470を構成する下壁第2部424の上端部424aから後方に延びる部分である。下壁ガイド部454は、開口部420に向けて、傾斜を持たずに(すなわち略水平に)後方に延びている。このことにより、開口部420から侵入するペットが下壁ガイド部454に脚を乗せやすくなり、トイレ内への進入が容易になる。また、例えば下壁ガイド部454が開口部420から離れる方向に向かって下方に傾斜している場合には、ペットの脚から下壁ガイド部454に落ちた砂がトイレ外部の床に転がり落ちるおそれがあるが、上述したように下壁ガイド部454が略水平とされていることにより、このような事態を抑制することができる。また、飼い主がフード4を下容器3から取り外して裏返した状態で持つような場合において、下壁ガイド部454が略水平とされていることにより、フード4の裏側に付着した尿飛沫や粉塵が床に落下することを抑制できる。
【0054】
下壁ガイド部454は、幅方向に直線的に伸びており、側壁ガイド部451,452と連続的に形成されている。図6に示されるように、下壁ガイド部454の後端部454aによって、開口部420の一部の領域、具体的には開口部420の下部側の領域が区画されている。下壁第2部424と下壁ガイド部454との成す角は鈍角であり、例えば95°~100°程度である。なお、下壁第2部424と下壁ガイド部454との成す角は鈍角でなくてもよい。下壁ガイド部454の幅(下壁ガイド部454の開口部420に向かう延出方向における長さ)は、大きさが一定ではなく、例えば幅方向の中央部において比較的大きくされ、幅方向の両端部において比較的小さくされてもよい。下壁ガイド部454の幅は、例えば43mm~50mm程度である。このように、下壁ガイド部454の幅は側壁ガイド部451,452の幅よりも大きく、側壁ガイド部451,452の幅は上壁ガイド部453の幅よりも大きくされてもよい。
【0055】
図6に示されるように、下壁ガイド部454は、閉状態において、下壁第1部413の第2部分415に重なるように、第2部分415の上方に配置されている。そして、下壁第1部413の第2部分415は、下壁ガイド部454が重なっている状態(下壁ガイド部454の下方に位置している状態)において、図6に示される平面視において、下壁ガイド部454よりも開口部420側に張り出した領域415aを有している。当該張り出した領域415aは、第2部分415の幅方向両端部側に設けられている。
【0056】
上述したように、側壁ガイド部451,452と、上壁ガイド部453と、下壁ガイド部454とが連続して形成されており、図4に示されるように、側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aと、上壁ガイド部453の下端部453aと、下壁ガイド部454の後端部454aとによって、開口部420の領域が区画されている。すなわち、側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aと、上壁ガイド部453の下端部453aと、下壁ガイド部454の後端部454aとによって囲まれた領域が、開口部420である。
【0057】
上述したように、上壁ガイド部453は、前後方向において下壁ガイド部454よりも後方に位置している(図6参照)。そして、下壁ガイド部454と上壁ガイド部453とを連結するように延びる側壁ガイド部451,452の前端部429は、比較的、前方側に位置する領域が大きい(図5参照)。そのことを示す各部位の位置関係を説明する。例えば、図6に示されるように、前後方向における開口部420の上端部420aと下壁ガイド部454の後端部454aとの中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第1仮想面801を考える。このような第1仮想面801は、開口部420における上下方向の中央よりも上方において開口部420に面する。すなわち、図4に示されるように、第1仮想面801と開口部420とが面する(接する)第1接触部分801xは、開口部420における上下方向の中央を通る中央線900よりも上方に位置する。また、例えば、図6に示されるように、前後方向における開口部420の上端部420aと下壁部470の前端部471との中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第2仮想面802を考える。このような第2仮想面802は、開口部420における上下方向の中央よりも上方において開口部420に面する。すなわち、図4に示されるように、第2仮想面802と開口部420とが面する(接する)第2接触部分802xは、開口部420における上下方向の中央を通る中央線900よりも上方に位置する。
【0058】
次に、本実施形態に係るペット用システムトイレ1の作用効果について説明する。
【0059】
本実施形態に係るペット用システムトイレ1は、トイレ砂を収容すると共に、液透過性の底面部21を有する排泄容器2と、排泄容器2の下方に配置され、底面部21を透過した液体を吸収する吸収シートを収容するトレイ5と、トレイ5を保持する下容器3と、排泄容器2の上方を覆うように配置され、ペットが出入りする開口部420が形成されたフード4と、を備え、フード4は、開口部420の幅方向両側において互いに対向するように設けられ前後方向に延びる一対の側壁部421,422と、一対の側壁部421,422に架け渡されるように開口部420の上方に設けられた上壁部423と、開口部420の下方に設けられた下壁部470と、一対の側壁部421,422の前端部429から折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部451,452と、を有し、側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aによって、開口部420の一部の領域が区画されている。
【0060】
本実施形態に係るペット用システムトイレ1では、排泄容器2の上方を覆うフード4において、ペットが出入りする開口部420が形成されている。そして、フード4において、開口部420の幅方向において互いに対向して前後方向に延びる一対の側壁部421,422の前端部429から、折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部451,452が設けられており、該側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aによって開口部420の一部の領域が区画されている。このようなペット用システムトイレ1では、一対の側壁部421,422から側壁ガイド部を451,452経て開口部420に至る構成とされているので、側壁部421,422からトイレの内部に入るペットは、側壁ガイド部451,452に体を沿わせてトイレの内部に入ることとなる。例えば側壁ガイド部451,452が設けられていない構成においては、側壁部からトイレの内部にペットが入る際に側壁部にペットの体が当たりペットが怪我をしてしまうことがある。この点、本実施形態に係るペット用システムトイレ1では、後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部451,452が設けられているので、ペットが側壁ガイド部451,452に面で体を沿わせながらトイレの内部に入ることができ、ペットが怪我をしてしまうことを効果的に抑制することができる。以上のように、本実施形態に係るペット用システムトイレ1によれば、ペットが体を傷つけることなく出入りすることができる。また、ペットが側壁ガイド部451,452に体を沿わせながらトイレの内部に入る構成では、ペットが角度をつけてトイレの内部に入ることができるため、ペットが角度をつけてトイレの内部に入っていない場合に必要になるトイレ内部での角度変更(切り替えし)動作が不要となり、ペットにとって居心地のよいトイレ空間を提供することができる。更に、側壁ガイド部451,452があることにより、トイレの内部を飼い主が清掃する際に、トイレの内部に入れた飼い主の腕が側壁部421,422ではなく側壁ガイド部451,452に面で当たることとなるため、飼い主の腕が傷つくことを抑制することができる。
【0061】
上記ペット用システムトイレ1において、側壁ガイド部451,452は、側壁部421,422と同一部材で構成されていてもよい。このような構成によれば、側壁ガイド部451,452を容易に形成することができる。すなわち、ペットを傷つけないトイレを容易に得ることができる。
【0062】
上記ペット用システムトイレ1において、側壁部421,422と側壁ガイド部451,452との成す角が鈍角であってもよい。このような構成によれば、ペットが側壁ガイド部451,452に体を沿わせてトイレ内に進入する構造を適切に実現することができる。
【0063】
上記ペット用システムトイレ1において、フード4は、上壁部423の下端部423aから下方に延びる上壁ガイド部453と、下壁部470を構成する下壁第2部424の上端部424aから後方に延びる下壁ガイド部454と、を更に有し、側壁ガイド部451,452と、上壁ガイド部453と、下壁ガイド部454とが連続して形成されており、側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aと、上壁ガイド部453の下端部453aと、下壁ガイド部454の後端部454aとによって、開口部420の領域が区画されていてもよい。このように、上壁ガイド部453及び下壁ガイド部454が設けられていることにより、例えば上壁部423側又は下壁第2部424側からトイレ内に進入するペット(頭又は尻尾等が上壁部423又は下壁第2部424に至るペット)についても、ペットの尻尾等に対して上壁ガイド部453又は下壁ガイド部454が面で当たることとなり、ペットの体が傷つくことを適切に抑制できる。
【0064】
上記ペット用システムトイレ1において、上壁ガイド部453は、前後方向において、下壁ガイド部454よりも後方に位置していてもよい。このように、上壁ガイド部453が後方にオフセットしていることにより、開口部420からペットが進入する際に、体や尻尾が開口部430の上部の上壁ガイド部453に接触しにくくなり、ペットの体が傷つくことをより効果的に抑制できる。
【0065】
上記ペット用システムトイレ1において、開口部420の上端部420aの下方に、排泄容器2の底面部21が位置していてもよい。このような構成によれば、ペットが開口部420から上半身のみを外に出して排泄する際に、ペットの尿が落ちるエリアに排泄容器2の底面部21を適切に配置することができる。
【0066】
上記ペット用システムトイレ1において、前後方向における開口部420の上端部420aと下壁ガイド部454の後端部454aとの中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第1仮想面801は、開口部420における上下方向の中央より上方において開口部420に面していてもよい。このような構成によれば、開口部420を区画する側壁ガイド部451,452において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部451,452におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部451,452に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0067】
上記ペット用システムトイレ1において、前後方向における開口部420の上端部420aと下壁部470の前端部471との中間点を通る仮想的な面であって前後方向に直交する第2仮想面802は、開口部420における上下方向の中央より上方において開口部420に面していてもよい。このような構成によれば、開口部420を区画する側壁ガイド部451,452において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部451,452におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部451,452に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0068】
上記ペット用システムトイレ1において、側壁部421,422は、下壁部470に連続する箇所から上壁部423に連続する箇所に向かって、その前端部429が後方に傾斜するように伸びており、側壁部421,422の前端部429は、変曲点IPを有し、下壁部470から変曲点IPまでの立ち上がり角αが30°以上90°以下であり、変曲点IPから上壁部423までの立ち上がり角βが60°以上90°以下であってもよい。変曲点IPまでの側壁部421,422の立ち上がり角αが30°以上とされることにより、側壁ガイド部451,452に体を沿わせてトイレ内に進入するペットを適切にガイドすることができる。また、側壁部421,422の角度が90°以下とされることにより、側壁部421,422の横からペットがトイレ内に進入しやすくすることができる。
【0069】
上記ペット用システムトイレ1において、開口部420の上端部420aは、前後方向におけるトレイ5の中央位置TCと下壁部470の前端部471との中間点CPよりも後方に位置していてもよい。このように、開口部420の上端部420aが十分に後方に位置している構成においては、ペットの飼い主がしゃがまなくてもフード4等の汚れを早期に発見することができる。また、開口部420が広くなることによって、飼い主は、開口部420の中に手を入れてフード4を容易に清掃することができる。また、このような構成によれば、開口部420を区画する側壁ガイド部451,452において前方側に位置する領域が大きくなるので、側壁ガイド部451,452におけるペットが体を沿わせる領域を大きくすることができる。そして、このことによって、ペットが側壁ガイド部451,452に顔を沿わせるタイミングと体を沿わせるタイミングとが同じになりやすくなるので、従来の製品のようにペットの身体よりも先に顔が先にぶつかることが無くなり、顔と体が同じタイミングでガイド部に接するため、ペットが怪我をすることを抑制することができる。
【0070】
上記ペット用システムトイレ1において、下壁ガイド部454の開口部420に向かう延出方向における長さである下壁ガイド幅は、側壁ガイド部451,452の開口部420に向かう延出方向における長さである側壁ガイド幅よりも大きく、側壁ガイド幅は、上壁ガイド部453の開口部420に向かう延出方向における長さである上壁ガイド幅よりも大きくてもよい。このように、ペットの進入時においてペットが接触する可能性が高い領域ほど幅広とされることにより、ペットを適切にガイドすると共にペットが傷つくことを適切に抑制することができる。
【0071】
上記ペット用システムトイレ1において、側壁ガイド幅、下壁ガイド幅、及び上壁ガイド幅の少なくともいずれか一つは、大きさが一定ではなくてもよい。このような構成によれば、領域に応じてペットが体を沿わせやすいように幅を調整することが可能になり、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0072】
上記ペット用システムトイレ1において、上壁部423と上壁ガイド部453との成す角が鈍角であってもよい。このような構成によれば、上壁ガイド部453によって開口部420方向にペットが適切にガイドされる構造を実現することができる。そして、ペットがトイレに進入する際には、例えば尻尾が接触する際、点ではなく上壁ガイド部453に面で接触することとなるため、ペットが傷つくことを適切に抑制できる。
【0073】
上記ペット用システムトイレ1において、フード4は、下壁部470における幅方向の外端部に、突出部425を更に有していてもよい。このような構成によれば、ペットが開口部420の左右(幅方向の外縁)からトイレに進入する際に、突出部425をペットの脚をかけるステップとして利用することができ、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0074】
上記ペット用システムトイレ1において、フード4は、後方側に配置される固定フード41と、前方側に配置される可動フード42と、可動フード42を回動可能に固定フード41に連結する一対の連結部43,43と、を含んで構成されており、固定フード41は、一対の連結部43,43が設けられた箇所から前方に延びる一対の連絡部412,412と、該一対の連絡部412,412の前端部間を繋ぐように幅方向に延びる下壁第1部413と、を有し、可動フード42は、下壁第1部413の前方に配置される下壁第2部424を有し、下壁第1部413に重なるように下壁ガイド部454が配置され、下壁第1部413の前方に下壁第2部424が配置されることにより、下壁部470が形成されていてもよい。このように下壁部470が2重構造になっていることにより、下壁部470によってペットを安定的に支えることができ、ペットがより容易にトイレに進入することができる。
【0075】
上記ペット用システムトイレ1において、下壁第1部413は、下壁ガイド部454が重なっている状態において、平面視すると、下壁ガイド部454よりも開口部420側に張り出した領域を有していてもよい。これにより、ペットが下壁ガイド部454に体重をかけた際に、下壁第1部413によって下壁ガイド部454を適切に支持することができ、下壁ガイド部454がたわんでペットが脚を滑らせること等を抑制できる。また、下壁第1部によって下壁ガイド部454が支持されることにより、ペットが入口側を向いて排泄する際に下壁ガイド部454に脚を置いて安定的に排泄することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、側壁ガイド部451,452が側壁部421,422等と同一部材で構成されているとして説明したが、これに限定されない。図7は、変形例に係るペット用システムトイレ1Aの正面図である。図7に示されるペット用システムトイレ1Aでは、側壁ガイド部751,752が、側壁部421,422と別部材で構成されている。より詳細には、ペット用システムトイレ1Aは、上壁ガイド部753と、下壁ガイド部754とを有している。そして、側壁ガイド部751,752と、上壁ガイド部753と、下壁ガイド部754とが連続して形成されており、側壁ガイド部751,752の後端部と、上壁ガイド部753の下端部と、下壁ガイド部754の後端部とによって開口部420の領域が区画されている。側壁ガイド部751,752、上壁ガイド部753、及び下壁ガイド部754は、互いに同一部材で構成されている。すなわち、側壁ガイド部751,752、上壁ガイド部753、及び下壁ガイド部754は、いずれも側壁部421,422等と別部材で構成されている。側壁ガイド部751,752、上壁ガイド部753、及び下壁ガイド部754は、例えば、プラスチック、ウレタンフォームや発泡ビーズの集合体、コットンなど繊維の集合体等、本技術分野において公知のクッション材により構成されていてもよい。このような構成によれば、例えばペットの特性に合わせて、必要な部分に必要な材料のガイド部を設けることができる。また、側壁ガイド部等を容易に交換することが可能になる。
【符号の説明】
【0077】
1,1A…ペット用システムトイレ、2…排泄容器、3…下容器、4…フード(上容器)、5…トレイ、21…底面部、41…固定フード、42…可動フード、43,43…連結部、412,412…連絡部、413…下壁第1部、420…開口部、420a…上端部、421,422…側壁部、423…上壁部、423a…下端部、424…下壁第2部、424a…上端部、425…突出部、429…前端部、451,452…側壁ガイド部、451a,452a…後端部、453…上壁ガイド部、453a…下端部、454…下壁ガイド部、454a…後端部、470…下壁部、471…前端部、751,752…側壁ガイド部、753…上壁ガイド部、754…下壁ガイド部、801…第1仮想面、802…第2仮想面。
【要約】
【課題】ペットが体を傷つけることなく出入り可能なペット用システムトイレを提供すること。
【解決手段】ペット用システムトイレ1は、排泄容器2と、トレイ5と、下容器3と、排泄容器2の上方を覆うように配置され、ペットが出入りする開口部420が形成されたフード4と、を備え、フード4は、開口部420の幅方向両側において互いに対向するように設けられ前後方向に延びる一対の側壁部421,422と、一対の側壁部421,422に架け渡されるように開口部420の上方に設けられた上壁部423と、開口部420の下方に設けられた下壁部470と、一対の側壁部421,422の前端部429から折り返すように後方且つ幅方向の内側に延びる側壁ガイド部451,452と、を有し、側壁ガイド部451,452の後端部451a,452aによって、開口部420の一部の領域が区画されている。
【選択図】図4

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7