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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】建物の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/14 20060101AFI20220316BHJP
   E04B 1/35 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
E04G21/14
E04B1/35 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2016243905
(22)【出願日】2016-12-16
(65)【公開番号】P2018096163
(43)【公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】落合 昇
(72)【発明者】
【氏名】内馬場 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山内 一矢
(72)【発明者】
【氏名】頴川 由侑
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-270081(JP,A)
【文献】特開昭63-171939(JP,A)
【文献】特開平06-042184(JP,A)
【文献】特開平10-159344(JP,A)
【文献】特開2008-256617(JP,A)
【文献】実開平04-066199(JP,U)
【文献】特開平06-002436(JP,A)
【文献】特開2015-151805(JP,A)
【文献】特開2004-300681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
E04B 1/19、1/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹き抜け空間を覆う吹き抜け部を有する鉄骨造の建物の構築方法であって、
当該吹き抜け部の構造体は、複数の層を有する鉄骨造のトラス架構体と、当該トラス架構体を支持する複数の本設柱と、前記トラス架構体の下面に取り付けられたプレキャストコンクリート版と、前記トラス架構体の各層に構築された鉄筋コンクリート造の床スラブと、を備え、
前記吹き抜け空間に前記本設柱を建て込むとともに、平面視で前記本設柱とは異なる位置にベントを架設する工程と、
前記本設柱および前記ベント上で前記トラス架構体の鉄骨建方を行い、前記トラス架構体の鉄骨建方が完了した後、前記ベントによる前記トラス架構体の支持を解除して、前記トラス架構体を前記本設柱で支持する工程と、
前記トラス架構体の下から二層目の床スラブについて、コンクリートを打設して構築し、その後、上層に向かって順次、コンクリートを打設することで各層の床スラブを構築する工程と、
前記トラス架構体の最下面に、前記プレキャストコンクリート版を下方から持ち上げて取り付けて軒天部を構築する工程と、
前記トラス架構体の最下層の床スラブを構築する工程と、を含み、
前記プレキャストコンクリート版を取り付ける工程では、
高所作業車のブーム先端の作業ステージ上に緩衝材を固定しておき、当該緩衝材の上面に前記プレキャストコンクリート版を仮固定する工程と、
当該プレキャストコンクリート版の取付位置まで前記作業ステージを上昇させて、当該プレキャストコンクリート版を下方から持ち上げて前記トラス架構体の最下面に取り付けて、前記軒天部を構築する工程と、を含むことを特徴とする建物の構築方法。
【請求項2】
前記トラス架構体の鉄骨建方では、前記吹き抜け空間となる箇所に架設した前記ベントと前記トラス架構体との間にジャッキを配置して、前記本設柱の外周面および前記ベント上にて鉛直方向の変位を計測し、当該変位が許容値以下になるように、前記ジャッキを駆動して前記トラス架構体の高さ位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の建物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹き抜け空間を覆う吹き抜け部を有する建物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吹き抜け空間を覆う吹き抜け部を有する建物がある。このような吹き抜け部の構造体は、例えば、複数の層を有するトラス架構体と、当該トラス架構体を支持する複数の本設柱と、前記トラス架構体の各層に構築された鉄筋コンクリート造の床スラブと、トラス架構体の下面の軒天部分に取り付けられたプレキャストコンクリート版(PCa版)と、を備える。
【0003】
特許文献1には、鉄骨造の建築物躯体の施工方法が示されている。具体的には、鉄骨柱の建方を行い、最上階の屋根梁および仮設梁を取り付ける。その後、最上階から下方に向かってスラブを構築する。
【0004】
特許文献2には、トンネル内の上部に床版を取り付けるトンネル用床版取付装置が示されている。トンネル用床版取付装置は、トンネルに沿って走行する門型の走行フレームにと、この走行フレームに設けられたブラケット保持機構と、走行フレームに設けられて床版を吊り支持して昇降させる床版搬送機構と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-256636号公報
【文献】特開平10-115192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PCa版の重量は1枚約2tであり、このPCa版をトラス架構体の一端側から順番に取り付けていく場合、取り付けたPCa版がトラス架構体に偏心荷重として作用し、トラス架構体に大きな変形が生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、鉄骨造架構体の軒天部分にプレキャストコンクリート版を取り付けた際に、鉄骨造架構体に大きな変形が生じるのを防止できる、建物の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、吹き抜け空間の軒天部分にプレキャストコンクリート版が取り付けられる鉄骨造建物の構築方法として、鉄骨造架構体の軒天部分にPCa版を取り付けた後、下方階側から上層階に向って鉄骨造建物を構築していくのではなく、先ず、軒天部分にPCa版を取り付けることなく、本設柱や仮設構台を構築し、その上に鉄骨造架構体を架設する。その後、鉄骨造架構体のスラブ部分に床コンクリートを現場打設して、軸剛性が高められた床スラブ付き鉄骨造架構体を先行して構築した後、当該床スラブ付き鉄骨造架構体に下方から軒天PCa版を取り付けて鉄骨造建物を構築することで、鉄骨造架構体に過大な偏心変位を生じさせずにPCa版を取り付けることができる点に着目し、本発明に至った。
【0009】
第1の発明の建物の構築方法は、吹き抜け空間を覆う吹き抜け部(例えば、後述の吹き抜け部3)を有する建物(例えば、後述の建物1)の構築方法であって、当該吹き抜け部の構造体(例えば、後述の構造体10)は、複数の層を有する鉄骨造架構体(例えば、後述のトラス架構体11)と、当該鉄骨造架構体を支持する複数の本設柱(例えば、後述の本設柱12)と、前記鉄骨造架構体の下面に取り付けられたプレキャストコンクリート版(例えば、後述の軒天プレキャストコンクリート版30)と、前記鉄骨造架構体の各層に構築された鉄筋コンクリート造の床スラブ(例えば、後述の床スラブ13)と、を備え、前記吹き抜け空間に前記本設柱を建て込む工程(例えば、後述のステップS1、S2)と、前記鉄骨造架構体を構築して前記本設柱で支持する工程(例えば、後述のステップS3)と、前記鉄骨造架構体の下から二層目の床スラブについて、コンクリートを打設して構築し、その後、上層に向かって順次、コンクリートを打設することで各層の床スラブを構築する工程(例えば、後述のステップS6)と、前記鉄骨造架構体の下面に、前記プレキャストコンクリート版を下方から持ち上げて取り付ける工程(例えば、後述のステップS7)と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本設柱の本数が少ない場合には、吹き抜け空間となる箇所に仮設構台(例えば、後述のベント40A、40B)を架設し、当該仮設構台と本設柱で鉄骨造架構体を支持してもよい。
【0011】
この発明によれば、吹き抜け空間を覆う鉄骨造架構体について、まず、下から二層目以上の床スラブを現場で配筋してコンクリートを打設して構築する。このように、各層の床コンクリートを打設することで、鉄骨造架構体の全面に均等に鉛直荷重をかけて、鉄骨造架構体の軸剛性を確保しておく。次に、鉄骨造架構体の下面の軒天部分に、重量物であるプレキャストコンクリート版(PCa版)を鉄骨造架構体の一端側から順番に取り付けていく。このとき、PCa版が鉄骨造架構体に偏心荷重となって作用するが、鉄骨造架構体の鉛直軸剛性が既に確保されているので、鉄骨造架構体に大きな変形が生じるのを防止して、吹き抜け空間を有する建物を効率的に構築できる。
【0012】
第2の発明の建物の構築方法は、前記プレキャストコンクリート版を取り付ける工程では、高所作業車(例えば、後述の高所作業車45)のブーム先端の作業ステージ(例えば、後述の作業ステージ46)上に緩衝材(例えば、後述の発泡ブロック体47)を固定しておき、当該緩衝材の上面に前記プレキャストコンクリート版を仮固定する工程と、当該プレキャストコンクリート版の取付位置まで前記作業ステージを上昇させて、当該プレキャストコンクリート版を下方から持ち上げて前記鉄骨造架構体の下面に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、高所作業車のブーム先端の作業ステージ上にプレキャストコンクリート版を仮固定した後、このプレキャストコンクリート版を下方から持ち上げて鉄骨造架構体の下面の軒天部分に取り付ける。よって、プレキャストコンクリート版を短時間で広範囲に取り付けることができる。
【0014】
第3の発明の建物の構築方法は、前記鉄骨造架構体を構築する工程では、前記吹き抜け空間となる箇所に架設した仮設構台と前記鉄骨造架構体との間にジャッキ(例えば、後述のジャッキ41)を配置して、前記本設柱の外周面および前記仮設構台上にて鉛直方向の変位を計測し、当該変位が許容値以下になるように、前記ジャッキを駆動して前記鉄骨造架構体の高さ位置を調整することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、本設柱の外周面および仮設構台上にて鉛直方向の変位を計測し、この変位が許容値以下になるように、ジャッキを駆動して鉄骨造架構体の高さ位置を調整するので、吹き抜け空間を覆う構造体を高精度で構築できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鉄骨造架構体の軒天部分にプレキャストコンクリート版を取り付けた際に、鉄骨造架構体に大きな変形が生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る建物の構築方法により構築される建物の吹き抜け部の縦断面図である。
図2】前記吹き抜け部の上に設ける鉄骨造架構体の平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】前記吹き抜け部の構造体を構築する手順のフローチャートである。
図5】前記吹き抜け部の構造体の構築手順の説明図(その1、鉄骨造架構体の構築方法)である。
図6】前記吹き抜け部の構造体の構築手順の説明図(その2、軒天PC版の取付方法)である。
図7】前記鉄骨造架構体にPCa版を取り付けている状態の側面図である。
図8】前記鉄骨造架構体にPCa版を取り付けている状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、吹き抜け空間の軒天部分にPCa版が取り付けられる鉄骨造建物の構築方法として、吹き抜け空間の上方側に、床スラブ付きの鉄骨造架構体を先行して架設した後、その鉄骨造架構体に下方から軒天PCa版を取り付けて鉄骨造建物を構築するものである。具体的には、スラブ部分に床コンクリートが現場打設された床スラブ付き鉄骨造架構体は、床スラブ無しの鉄骨造架構体に比べて、高い軸剛性を有し、軒天部分に1枚当たり2ton程の重量を有するPCa版を取り付けていく作業工程においても、鉄骨造架構体に過大な偏心変位を生じさせずにPCa版を取付けることができる。
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建物の構築方法により構築される建物1の吹き抜け部3の縦断面図である。
建物1は、高層建物である建物本体2(図2参照)と、この建物本体2に連結された4階から7階までの4層を有する吹き抜け部3と、を有する。
【0020】
吹き抜け部3の構造体10は、鉄骨造の鉄骨造架構体としてのトラス架構体11と、トラス架構体11を支持する複数の本設柱12と、トラス架構体11の各層に設けられた床スラブ13と、トラス架構体11の下面に形成された軒天部14と、を備える。
なお、本実施形態では、鉄骨造架構体をトラス架構体11としたが、これに限らず、柱梁架構体としてもよい。
【0021】
図2は、トラス架構体11の4階床レベルの平面図である。図3は、図2のA-A断面図である。なお、図2および図3は、トラス架構体11を後述のベント40A、40B上に架設した状態を示す。
トラス架構体11は、各層で略水平に延びる互いに略平行な一対の大梁20と、これら大梁20に接合された複数の小梁21と、上下の大梁20同士を連結する柱22およびブレース23と、を備える。
【0022】
以下、吹き抜け部3の構造体10を構築する手順について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、図2図3および図5に示すように、吹き抜け空間となる箇所に仮設構台としてのベント40A、40Bを架設する。ベント40A、40Bは、トラス架構体11の柱22の直下に配置され、ベント40A、40Bの上端には、ジャッキ41が設けられる。ここで、ベント40Aは、トラス架構体11の鉄骨建方時の水平力を負担しないベントであり、ベント40Bは、トラス架構体11の鉄骨建方時の水平力を負担するベントである。
【0023】
ステップS2では、図5に示すように、地中に柱基礎15を構築し、この柱基礎15上に本設柱12を建て込む。
【0024】
ステップS3では、トラス架構体11の鉄骨建方を行う。このとき、トラス架構体11を本設柱12およびベント40A、40Bで支持する。これにより、ベント40A、40Bとトラス架構体11との間に、ジャッキ41が配置される。
【0025】
このトラス架構体11の鉄骨建方を行う際、本設柱12の外周面にひずみゲージ43を取り付けて、本設柱12に作用する鉛直荷重および鉛直方向の変位を計測する。また、所定のベント40A、40Bにひずみ計44を取り付けて、所定のベント40A、40Bに本設柱12に作用する鉛直荷重および鉛直方向の変位を計測する。
【0026】
図2および図3中、ひずみゲージ43の位置を四角形で表し、ひずみ計44の位置を丸で表す。
そして、本設柱12および所定のベント40A、40Bの鉛直方向の変位が許容値以下になるように、ジャッキ41を駆動してトラス架構体11の高さ位置を調整する。
また、本設柱12および所定のベント40A、40Bで計測した鉛直荷重を確認して、トラス架構が成立していることを確認する。
【0027】
ステップS4では、図6に示すように、ジャッキ41をジャッキダウンして、ベント40A、40Bによるトラス架構体11の支持を解除し、ベント40A、40Bを解体する。
ステップS5では、図6に示すように、トラス架構体11を囲むように外部足場42を架設する。
【0028】
ステップS6では、図6に示すように、トラス架構体11の下から二層目の床スラブ13を構築し、その後、上層に向かって順次、各層の床スラブ13を構築する。
【0029】
ここで、各階の床スラブ13のうち大梁20同士の間の部分は、現場でデッキプレートを敷設して、このデッキプレート上に配筋してコンクリートを打設することで構築される、現場打ち床スラブ131である。一方、各階の床スラブ13のうち大梁20よりも外側の部分は、工場で予め製作したプレキャストコンクリート部材である床プレキャストコンクリート版(床PCa版)132である。
【0030】
具体的には、まず、4階の床PCa版132を取り付ける。次に、5階の床PCa版132を取り付けて、その後、5階の現場打ち床スラブ131を構築する。次に、6階の床PCa版132を取り付けて、その後、6階の現場打ち床スラブ131を構築する。次に、7階の床PCa版132を取り付けて、その後、7階の現場打ち床スラブ131を構築する。
【0031】
ステップS7では、図6に示すように、トラス架構体の下面の軒天部14を構築する。この軒天部14は、工場で予め製作した軒天プレキャストコンクリート版(軒天PCa版)30を複数枚取り付けることで構築されている。
具体的には、図7および図8にも示すように、高所作業車45のブーム先端の作業ステージ46上に緩衝材としての発泡ブロック体47をベルト48で固定しておき、さらに、発泡ブロック体47の上面に軒天PCa版30をベルト48で仮固定する。次に、軒天PCa版30の取付位置まで作業ステージ46を上昇させて、軒天PCa版30を下方から持ち上げてトラス架構体11の下面に取り付ける。
【0032】
ステップS8では、トラス架構体11の最下層の床スラブ13を構築する。具体的には、4階の現場打ち床スラブ131を構築する。
【0033】
本実施形態では、図4に示すように、吹き抜け空間となる個所にベント40A、40Bを架設するとともに、本設柱12を建て込んだ後、トラス架構体11を本設柱12とベント40A、40Bとで支持したが、これに限らず、ベント40A、40Bを設けずに、本設柱12のみでトラス架構体を支持してもよい。
【0034】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)吹き抜け空間を覆うトラス架構体11について、まず、下から二層目以上の現場打ち床スラブ131を現場で配筋してコンクリートを打設することで構築する。このように、各層に床コンクリートを短時間に打設していくことで、トラス架構体11の全面に均等に鉛直荷重をかけて、鉄骨造であるトラス架構体11の軸剛性を増大させる。次に、トラス架構体11の下面の軒天部分に、重量物である軒天PCa版30をトラス架構体11の一端側から順番に取り付けていく。このとき、軒天PCa版30がトラス架構体11に偏心荷重となって作用するが、トラス架構体11の鉛直軸剛性が高められているので、トラス架構体11に大きな変形が生じるのを防止して、吹き抜け空間を有する建物1を効率的に構築できる。
【0035】
(2)高所作業車45のブーム先端の作業ステージ46上に軒天PCa版30を仮固定した後、この軒天PCa版30を下方から持ち上げてトラス架構体11の下面の軒天部分に取り付ける。よって、軒天PCa版30を短時間で広範囲に取り付けることができる。
【0036】
(3)本設柱12の外周面およびベント40A、40B上にて、ひずみゲージ43およびひずみ計44により鉛直方向の変位を計測し、この変位が許容値以下になるように、ジャッキ41を駆動してトラス架構体11の高さ位置を調整することで、先行して構築するトラス架構体11の据え付け精度を管理した上で、吹き抜け空間を覆う吹き抜け部3の構造体10を高精度で構築できる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、吹き抜け空間を、図1に示すように外部空間に接する構造としたが、これに限らず、建物の内部に設けてもよい。つまり、本実施形態では、吹き抜け空間を覆う吹き抜け部3の軒天部分に軒天PCa版30を取り付けたが、これに限らず、建物内部の吹き抜け空間の天井部分にPCa版を取り付けてもよい。
また、本実施形態では、建物を鉄骨造としたが、これに限らず、鉄筋コンクリート造であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…建物 2…建物本体 3…吹き抜け部
10…構造体 11…トラス架構体(鉄骨造架構体) 12…本設柱 13…床スラブ
14…軒天部 15…柱基礎
20…大梁 21…小梁 22…柱 23…ブレース
30…軒天プレキャストコンクリート版
40A、40B…ベント(仮設構台) 41…ジャッキ 42…外部足場
43…ひずみゲージ 44…ひずみ計
45…高所作業車 46…作業ステージ 47…発泡ブロック体(緩衝材)
48…ベルト
131…現場打ち床スラブ 132…床プレキャストコンクリート版
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8